」 <H23 年 5 月 2 日発行> 松沢社会保険労務士事務所 ライフサポートまつざわ 今月のテーマ 〒950-1425 新潟市南区戸石 382-19 メンタルヘルス対策とハラスメントの防止 ~ハラスメントの防止がメンタルヘルス対策に効果的?~ TEL025(372)5215 FAX025(372)5218 E メール [email protected] URL http://www.matsuzawa-support.com 最近では、どんなに小規模の会社でもうつ病の社員が発生するなど、社会全体でメンタル不調者が目立 つようになってきています。 中小企業の中には、温情主義で社内のルールが不明確なままであるために、実際にメンタル不調者が発 生してから慌てる場合も少なくありません。 また、発症前の業務に就くことができる状態まで回復しなかったために、解雇問題に発展するケースも あります。 Ⅰ.メンタルヘルス関連規程整備の重要性 ~未整備のために起こりがちなリスク例~ リスク1) 病的状態であるにもかかわらず本人がそれを認めないため病院へ行きたがらない メンタルヘルス不調者の中には、本人に自覚がなく専門医の受診を拒むケースがあります。 (本当に自覚がないというより、 “認めたがらない”人も多いようです。 ) 対 策 k □ 一定の猶予期間を与えて改善されないようであれば受診するよう約束をしておく □ 比較的抵抗感のない心療内科医の受診を勧める □ あらかじめ就業規則に根拠規定を示しておけば受診を促すことも容易になる リスク2) 解雇問題などの労使トラブルが発生する メンタルヘルス不調者の中には、休職期間を経ても回復が難しいケースがあります。 可能であれば担当職務を変えて無理のない仕事を任せる方法もありますが、残念ながらそこまで回復 しない場合もあるかもしれません。 特に中小企業では、休職期間は3~6ヶ月、長くても1年程度の企業が多いからです。 十分に回復しないまま休職期間が満了してしまった場合、延長が可能であればそれに越したことはな いのですが、たった一人のメンタル不調者を支えるために会社の経営を圧迫して、他の多くの従業員 の生活にもかかわってくるのであれば、厳しい決断をせざるを得ないでしょう。 対 策 k 制度があやふやなために労使トラブルや裁判沙汰が発生して、お互いに余計な体力を消耗するこ とのないよう、就業規則に“自動退職の規定”など明確な根拠を定めておく -1- リスク3) 復職後も欠勤を繰り返す 主治医から復職可能診断が出ているにもかかわらず、復職後も欠勤を繰り返す場合、周囲のモチベー ションにも影響します。 また、本来復職できる状態となっていないにもかかわらず復職してしまっているのであれば、会社の 安全配慮義務の観点からも、あまり望ましい状況とはいえないでしょう。 対 策 k 復職後も欠勤を繰り返すようであれば欠勤日を通算し、一定の基準に達する場合は再休職させる ような規定を就業規則に明記する リスク4) 主治医の診断内容と、復職後に要求される業務能力のズレが大きい 主治医の復職可能診断が出た後に復職させても、業務遂行能力が回復せず会社が求める水準と大きな ズレがあると、復職がスムーズにいかず、現場も疲弊してしまう場合があります。 対 策 k 復職の要件として産業医等の面接が必要であることを就業規則に盛り込んでおく Ⅱ.ハラスメント防止と規程の整備 ~メンタルヘルス対策と同時にハラスメント対策も~ 組織でハラスメント問題が発生すると、直接の被害者だけでなく、間接的な被害者もメンタル不調にな るリスクが高くなります。 昨今のように、経済情勢が厳しく心身の余裕を失いやすいストレス社会で、相手の本音がみえにくいメ ールでのコミュニケーションが一般的な社会環境では、どんな組織でも発生する可能性があるといわれ ています。 メンタルヘルス対策を進める場合、ハラスメント対策も同時に進めた方がより効果的です。 規程を作成する場合は、セクシャルハラスメント規程とパワーハラスメント規程をまとめて、「ハラス メント規程」と一本化した規程にするとよいでしょう。 ●セクシャルハラスメント(セクハラ)とは? 対価型セクハラ 相手の意に反する性的誘いかけを行ったり、性的に好意的な態度をとるよう要求し、性 的要求への服従または拒否を理由として、就労上で一定の利益または不利益を与えるこ と 環境型セクハラ 性的な言動、図画、文書の掲示等により、就労に影響を与えるような不快な環境を醸成 すること ●パワーハラスメント(パワハラ)とは? 上司の部下に対する行き過ぎた指導、叱責、罵倒など、職権や利権などの見えない力を利用し、本人の人 格や尊厳を傷つけるような言動や行為を行い、本来の業務における責任を逸脱するような要求を行うこと -2- ≪ハラスメント・マニュアル≫ 次の言動はハラスメントに該当する可能性が高いので注意してください! ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ ☑ 「バカ」「アホ」「辞めろ」などと言う 「 ~ のくせに」などと言う 精神病者扱いをする 会議等で存在しないかのように扱う(無視する) 必要もないのに休日に電話をかける イライラをぶつける 他人のミスを負わせる 仲間はずれにする 紙やペンなどを投げつける お酌やお茶くみを強要する カラオケでデュエットを強要する 結婚や子どもの有無をしつこく尋ねる 服装や容姿、年齢、身体的特徴等を話題にする 「おばさん」「おじさん」などと呼ぶ Ⅲ.今日からはじめるメンタルヘルス対策 ● メンタルヘルス担当者を選任(社内の窓口を設置) ● メンタルヘルス・ハラスメント問題に対応した規程・マニュアルの整備 ● 管理職社員を対象としたメンタルヘルス・ハラスメント教育 ● 産業医など専門家との連携 ● 安全衛生委員会などで「心の健康づくり計画」の策定と推進(PDCA) ● 労働時間等、労働条件の見直し検証 etc 仕組みのルール化 仕組みの文書化 仕組みの見える化 -3-
© Copyright 2024 Paperzz