第11号 - 京都学園大学

関口
久雄
ことをポジティブにとらえる声も増えている。
また、 そのような賛否に加え、 「これまで近代
社会を支えてきた本というメディアの代わりに
何が文化的公共圏を支えるのか?」 といった議
論が展開され、 同時に 「アナログ」 から 「デジ
人類にとって、 大きな力を持ち得てきた (と
タル」 への技術の進化 (転換) に伴い、 「紙」
いわれる) 「読書 (本を読む)」 という社会的/
と 「活字」 によって構成される 「本」 に加え、
文化的営みが"何度目か"の転機を迎えようとし
「ディスプレイ」 で読むという“1/0”の 「デー
ている (らしい)。
タ」 の集積である“本”が登場し、 ネット上の
たとえば、 近年“かたい本”が売れなくなっ
てきている、 とのことだが、 その主な原因は、
「掲示板」 「ブログ」 等とともに、 新たなる“文
字文化”として力を持ちはじめている。
TV や VIDEO ( DVD ) そ し て コ ン ピ ュ ー タ
そもそも私たちは、 なぜ/どのように本を読
(インターネット) 等の新しい 「メディア」 が
んでいるのであろうか。 そして、 今後私たちの
広く普及し、“読書時間”が減ったから、 とい
本を読むという行為のなにがどのように変容す
われる (マジ?)。
る (かもしれない) というのだろうか…
一読
そして、 そのような“読書離れ”は概してネ
者/一利用者/一消費者/一著者として、“永
ガティブに語られがちである。 しかし、 一方で、
遠の過渡期”である本を巡る混沌とした状況を、
情報のチャンネルが増加し、 単なる 「文字」 だ
無責任に楽しんでいる今日この頃である。
けではなく 「音声」 や 「映像」 を幅広く扱える
(せきぐち・ひさお
巻頭言
本学人間文化学部助教授)
ニューズレター第11号(2005.10)
など、 さまざまな意識、 能力の者がいる。
これに対応して、 いろいろな段階を設定し
て、 セキュリティと機器のレベルを決めて
いくべきである。 つまり
朋文館利用者一般
↓
人間文化学部生
↓
めてきた 「朋文館メディアセンター化プロジェ
メディア文化学科生
↓
クト」 を、 現段階でできるだけの報告としてお
放送局、 ゼミ生など
↓
ここでは2003年度から人間文化学部として進
きたい。 事の起こりは、 朋文館マルチスタジオ
の改造予算であった。 これまではどちらかとい
えば、 スタジオをゼミに活用する当事者の教員
のみに予算なども任せきりという形であったの
だが、 この際、 人間文化学部として責任を持っ
て予算等を決めていきたいということで、 暗中
模索ながら関わっていった。 以下はそのコンセ
プトを表明したものだ。
朋文館メディアセンター化計画
2004・10
人間文化学部メディア文化学科
メディア文化学科と改称したが、 従来通り
では、 事実上クラブ活動としての放送局、
数人のメディア関係教員ゼミ生しかスタジ
このように下に進むほど高度な機器を必要
オなどのメディア装置が、 使えない状態に
とし、 そのかわりに使用のための制限が加
あり、 看板に偽りありになっている。 高額
わってくる。 朋文館のメディアセンター化
な設備投資の割には、 全学的なメリットが
とは、 この利用者層の段階にあわせて、 当
少なく、 入試広報的にも望ましくないので、
面三つのコーナーを整備し、 機器の程度と
改善をする必要がある。 もちろんプロ仕様
セキュリティを段階的に上げていくように
の高度なレベルの機器は、 誰にでも触らせ
する。 間口は広く、 誰にでも利用できるイ
るというわけにはいかない。 メディア文化
メージを形成しながら、 高度な機器を必要
学科の名前に惹かれ、 志願してくる受験生
とし、 能力を磨こうとする構成員の邪魔を
の中には、
しない体制を整備していこうというもので
●
明確にメディア業界のプロを目指し、
ある。
自らの技術を向上させる層
三つのコーナーと利用層の対応は以下のよ
歴史文化の方を志望しているが、 映像
うだ。
情報を手段として使いたいと考えてい
○
一般→メディアウィンドウ
る層
○
メディア文化学科→メディア工房
あいまいなまま入学して来て、 明確な
○
放送局、 ゼミ生など→スタジオ (ただし、
●
●
目的意識がない層
そして、 大学全体から見て朋文館利用者に
2
しかし、 この区分を絶対化するのではな
く、 使用規定、 貸し出し規定などを整備し、
は
●
貸出規定を作り、 一般開放も)
他学科、 他学部だが朋文館に授業など
高度、 高額な施設、 機器も広く利用できる
で出入りする層
ようなソフト整備も行っていく。
1. メディアウィンドウ (朋文館がメディ
アセンターであることを一般に現すショー
ウィンドゥ)
タル映像のノンリニア編集用に特化していく予
定である。
メディアセンターという名称は、 もちろんア
一階ロビー展示コーナーに以下の機器
メリカの学校図書館が、 メディアセンターとし
を設置して自由に使用させる 定時にシャッ
て活動していることを意識してのことである。
ターを下ろせばセキュリティは大丈夫。
図書館の未来形として、 活字資料ばかりでなく
シャッターを下ろしていても中が見られ
映像資料の活用も図っていくための布石である。
る。 目の前が映像編集室なので目が届い
メディア《つくる》工房は現在独自のサーバー
ている。
を持ち活動を開始している。
最低限の能力のパソコン5∼6台をイン
http://www.media-tukuru.jp/index.html
ターネット接続
設備の概要は上のサイトに詳しい。
→
プラズマディスプレイ
学内LAN
スタジオと映像
編集室からの映像→DVD/VHS コン
パチブルデッキとモニター
数台
→
そのコンセプトは次のようになっている。
メディア《つくる》工房
(media-tukuru-studio) とはコミュニ
ケーションの手段・道具としての 「メディ
2. メディア工房
メディア文化学科学生
の自主的な創造のための工房
別紙
Apple系で統一
ア (media)」 をさまざまなスタイルで活
H23改造
用できる自らの手を使った"ものづくり"の
スタンドアロー
学びの場/コミュニケーションの場 (=メ
ン
ディア) です。
3. スタジオデジタル化
映像編集室とケーブル接続
たとえば―
映像編集室にWindows系の編集機を整
・だれもが簡単に、 メディアとしてのコン
備
放送局、 ゼミ生優先だが、 使用規定
ピュータを使って、 DTV (iMovie)、 DT
を公開し、 必要とする学生に使用させる
M (GarageBand)、 DTP (AppleWorks)
一週間のうちに曜日を決めて学生音楽
バンドなどにも開放
使用規定を公開す
る (全学)
ができる。
・アナログからデジタルまでさまざまな制
作活動、 各種ワークショップ等もおこなえ
デジタルカメラ、 デジタルビデオにつ
いても貸出規定を作成、 公開する (人間
る。
等々…。
文化学部優先)
4. 2階共同研究室 (もと非常勤講師室)
に最低限の能力のパソコン2台をインター
ネット接続
→
学内LAN
5. H12,22,32教室に最低限の能力のパソ
コンを1台ずつインターネット接続 (A
Vボックス内に) しておく→学内LAN
ここに挙げた構想がすべて実現したわけでは
ないが、 メディア・ウィンドウ、 メディア《つ
くる》工房、 スタジオデジタル化は実現し、 現
在は、 引き続き、 スタジオデジタル化の一環と
して、 H21教室を改装中である。 こちらはデジ
3
ニューズレター第11号(2005.10)
不毛な空――独り文学部のつぶやき
上村
倫行
もし築きあげえたことの成果でものの価値が
る。 卒論のテーマは三島由紀夫の文学論と決まっ
計られるのなら、 私たちの間の愛情はまことに
ていたので、 専攻は文学と言えない事もないの
価値寡いものだった。
だが、 私は所謂文学部の学生ではないので 「専
――高橋和巳
攻は文学です」 とは言えず、 剰え所属ゼミは日
我が心は石にあらず
本史と、 可成り滅茶苦茶な学生なので、 畢竟答
える事は出来なかった。 然し大学と云う機関は、
大学1回生、 春――
大学を卒業するには、 卒論と云う大きな壁を
自分の興味関心のある事を研究する場所なので、
乗り越えなければならない。 私は大学1回生の
私は何等間違った事はしていない。 所属など、
頃から卒論は文学論を書きたいと考えていた
関係ない。 然し――
(勿論その頃は文学論がどう云うものかは全く
何故、 今、 三島由紀夫なのか。 理由は単純で
知らない)。 然し、 どの作家のどの作品を取り
物語の構成に感動したからである。 また書かれ
上げて論じるかは1回生の時点で、 はっきりと
た時代が面白い (尤も面白いと云う表現は不適
は決まらなかった。
切かもしれないが)。 小説は時代を映す鏡でも
ある。 三島由紀夫がその時代で何を思い、 何を
考え、 そしてその時代や思考を映し出している
大学2回生、 秋――
ある教授に三島由紀夫
豊饒の海
庫) を読むよう薦められた。 私は
(新潮文
作品の奥には何が描かれているのか、 少しだけ
覗いてみたくなったのである。 それは戦後の文
豊饒の海
を一生読まないだろうと思っていた。 何故なら
学と云うものに興味を持ちはじめ、 戦後の文学
某非常勤講師が 「私はこの小説の思想が判らな
を知りたくなった契機でもある。 私は安部公房
い」 と、 文学を研究している学者が難しいと言っ
を好んで読んでいたのだが、 安部公房が戦後の
たので、 私には到底読めないだろうと思ったの
作家と云う位置で活躍していた事を知ったのは
である。 然し教授は 「今の時期に読んでいた方
豊饒の海
を読んだ後である。 安部公房を読
がいい」 と薦めるので、 試しに読んでみた。 読
んでいた時、 安部公房と云う存在は点でしかな
了後、 私は小説を読んで初めて物語が終わって
く、 全く距離を掴めていなかった。
しまう寂しさを感じた。 それは今までの読書体
豊饒の海
は雑誌 「新潮」 に昭和40年から
昭和45年に掛けて書かれた小説である。 昭和35
験とは明らかに違っていた。
は全4巻に亘る輪廻転生の物語
年から昭和45年、 この10年間は豊饒とした時代、
である。 第1巻 春の雪 は悲恋な物語を描き、
正に 「豊饒の海」 である。 昭和45年、 世間は大
第2巻
豊饒の海
は激烈な行動小説、 第3巻
暁
阪万国博覧会に沸いた。 太陽の塔や月の石など
は転生の模索と官能の世界、 第4巻
天
が展示され、 表向きは一見華やかな時代に見え
は物語の終結とも再生とも思える幕切
る。 然し表が有れば裏も有る。 戦後史上最大の
の寺
奔馬
人五衰
春の
国民運動の60年安保闘争で樺美智子が死亡した
雪 を読み返さなければならない様な気がした。
昭和35年(1)。 慶應大学の授業料値上げ反対から
それは三島由紀夫が仕掛けた松枝清顕の転生と、
始まり全国へと広まった大学紛争は昭和40年か
物語そのものの転生ではないだろうか。 私は三
ら昭和47年まで続いた(2)。 三島由紀夫自身、 昭
島由紀夫が創り出す文章に構成に物語に心を奪
和43年に私設民兵組織 「楯の会」 を結成する(3)。
われ、 虜になった。
そして――
大学3回生、 春――
谷駐屯地で切腹をし、 この世を去る。 享年45歳。
れ。
天人五衰
を読み終えた後、 また
昭和45年11月25日、 三島由紀夫は自衛隊市ヶ
高校の友人に 「専攻は何?」 と訊かれ、 答え
に困った。 何故なら自分でも判らないからであ
4
豊饒の海
惹かれた。
の中でも、 私は特に
奔馬
奔馬
に
に登場する飯沼勲が、 三島
幸運な事に、 本学図書館には
由紀夫その人に見えて仕方がなかった。 憂国の
三島由紀夫全
情、 美としての天皇、 そして自刃。 飯沼勲の思
集
想と行動が、 三島由紀夫の思想と行動に、 あま
紀夫の直接的な文章に不自由はしない。 三島由
りにも似すぎていた。 尤も小説家が作品を生み
紀夫の天皇観を読み解く際、
出す際、 ある程度自分の経験や思想を織り込ん
で創るものである。 然し
奔馬
は、 普通の小
説としてだけでは終わらない気がした。 これは
(新潮社) が所蔵されているので、 三島由
反革命宣言
文化防衛論
や
などの評論は必読である。 諫死
をしてまで伝えたかった事を、 私なりに読み解
いてみたいのである。
あくまで私の私的な見解である。
嘗て小説家の京極夏彦がテレビでこの様な発
三島由紀夫の文章を熟読した次は、 研究史の
整理である。 論文を書く際、 研究史の整理は欠
言をしていた。
かす事の出来ない作業である。 しかし三島由紀
小説って字しかないんですよ。 字が並んで
夫の資料は無数に存在する。 三島由紀夫につい
いるだけじゃないですか。 そこから何を読
ての雑誌記事、 論文、 書籍は至る所に分散され
み取るかって云うのは読者一人々々のもの。
ているので、 三島由紀夫の研究史の整理は途方
読み取ったものがその人にとっての真実(4)。
もない作業になるだろう。 それだけ三島由紀夫
と云う人物が、 世に与えた影響が大きかったの
なるほど、 真実は読み取った人のもので、 また
だ。 それが小説であれ、 思想であれ、 自刃であ
読んで自分の中に止めておく分には全く問題な
れ。
い。 然し論文となるとそうはいかない。 それで
は単なる感想文で終わってしまう。 論文は問題
註 (1)
提起がされ、 仮説が立てられ、 証拠が提示され、
(2)
全共闘白書
検証され、 論点や構成がきちんとしており、 論
(3)
作家の墓
理的整合性を保った結論が出されなければなら
(4)
爆笑問題のススメ
(5)
ない
日本大百科全書
下巻
てや三島由紀夫と云う偉大な作家についての卒
奔馬
一穂社
札幌テレビ
2005年7月24日放送
。 果たして――
※読売テレビの場合
私にそれ程のものが書けるのだろうか。 況し
論 (尤も内容は
小学館
新潮社
が中心なのだが) を、
ただ物語の構成に感動したと云う単純な理由で
書けるのだろうか。 書ける訳がない。 好きだけ
(5)
怪Vol.17
角川書店
(かみむら・のりゆき
人間文化学部文化コミュニケーション学科
3回生)
では卒論を書く事は出来ない。 卒論を書くには
知識、 蓄積、 視点、 論点、 読解力、 文章力、 構
成力、 そして何よりオリジナリティが必要とさ
れる。 別に新説を提示する訳ではない。 新説は
知識が豊富で天稟に優れた学者がする仕事であ
り、 卒論はそこまで求められてはいない。 私が
書く卒論は子どもの戯れ言と同じであり、 嗤っ
て読まれる位が丁度良いのである。 然し、 もし
私の卒論を笑って読んで呉れる人が居るとする
ならば、 それは私にとってこの上ない喜びであ
る。 そんな無謀と挑戦の見極めも出来ない莫迦
な私が、 それでも論じたいと思わせた三島文学
には何か悪魔的な力が存在し、 私はその魔法に
囚われてしまった。
5
ニューズレター第11号(2005.10)
公共図書館での障害者サービスを担当して
進
どうも、 こんにちは。 ニューズレターに参加
美幸
(東京都港区立みなと図書館)
ですから、 著作権なしでは、 作れません。
せていただくのは、 2度目になります。
もともと、 このような録音図書にする事に
前回、 自分の文章力のなさに、 ほとほと嫌気
際し、 著作権を与えている作家もいれば、
がさし、 もう二度と失態はさらすまいと思って
そのつど著作権の許諾をお願いしなければ
いたのですが…。 何故か今回も登場してしまい
いけない作家さんもいらっしゃいます。
ました。 そんなわけで、 つまらないかもしれま
③
テープに吹き込む。
せんが、 しばらくお付き合いください。
みなと図書館に登録しているボランティア
早いもので、 私が図書館で働くようになり、
さんに連絡を取り、 本とテープを渡し、 録
3年目となりました。 私が働いているのは、 東
音して頂きます。 録音が終了したら、 私達
京都港区にある、 港区立みなと図書館です。 港
の出番です。
区には、 みなと・三田・麻布・赤坂・高輪・港
④
録音の一次チェックをする。
南と6つの図書館があります。 みなと図書館は、
これは一字一句、 読み間違いがないか、 ひ
その中で中央図書館的な場所です。 今年 (平成
たすらテープを聞き、 本を読んでいきます。
17年) 3月までは、 三田図書館にいましたが、
一般的な小説で、 カセット (90分テープ)
4月から、 みなと図書館、 視聴覚係・声の図書
6本分です。 漢字の読み間違いや、 その他、
担当として働いています。 とはいっても、 週30
雑音、 文字の欠落…ありとあらゆるところ
時間の非常勤職員ですけれど。
に気をつけながら、 辞書片手にひたすらテー
プを聞いていきます。
私が担当している 「声の図書」 とは、 簡単に
⑤
いうと、 視覚障害者に録音図書 (港区では、 利
修正箇所を、 再度ボランティアさんに修正
用者の要望によりカセットテープのみ) の貸出・
作成をする担当です。 もちろん、 全国の公共図
していただく。
⑥
修正録音されたテープをひたすら聞いて、
再度チェックしていく。
書館・点字図書館との相互協力も行っています。
おもな仕事は、 みなと図書館に登録している
視覚障害者の方々と、 連絡を取り合い、 希望を
聞いて、 カセットの貸出をします。
カセットは書架には配架せず、 書庫に配架し
てあります。 ですから、 一般の利用者の目に触
れる事はありません。 利用できる施設も、 みな
と図書館のみとなっています。
そして、 修正箇所がなくなったら、 テープを
作っていきます。 このとき、 保管用のマスター
テープと貸出用のジュニアテープの2つを作り
ます。
それにテプラで書名・著者・朗読者・巻数を
うち、 テープに貼り付けます。 その上から、 透
カセットは、 みなと図書館で所蔵のものは、
明の点字テプラで書名・著者と巻数を打ち、 貼
そこから貸し出し、 みなと図書館に所蔵がない
り付けます。 これをケースとテープ両方におこ
ものは、 FAXで相互協力を依頼し、 カセット
ないます。
を取り寄せ、 貸し出します。 貸出方法は、 原則
郵送です。 これを日々、 繰り返します。
では、 カセットはどの様に作成するかという
テープが出来上がったら、 テープの書誌情報
を作ります。 これも一個一個作っていきます。
それが終わって、 初めて貸出が出来る状態にな
と、 これが実に根気のいる作業です。
るわけです。 一見、 たいしたことなさそうなこ
①
図書を選定する。
の作業。 本当に根気作業なのです。
②
著者の著作権の許諾を取る。
これは、 カセットに録音して貸し出すわけ
6
(この⑤と⑥の作業を、 修正箇所がなくな
るまで、 繰り返します。)
みなと図書館で作成するテープは、 利用者の
要望にそった作品を選んで作ります。 みなとに
ですが、 一番の難題はジャンルや利用者の好み
登録しているのは、 年配の方々が多いので、 歴
を伝えられて、 本の選定は職員に任せられる場
史・時代・人情小説が大半を占めます。 当然、
合があることです。 電話や手紙で、 推理が良い
私が今まで読んできたタイプの、 小説ではない
とか、 時代小説が良いとか依頼されるわけです
わけで…。
が、 これが難しい!!
そんなわけで、 はっきりいって読んでいても、
以前、 貸し出す前に、 その本を読んで内容を
面白くないです。 しかし、 読まなくてはいけな
把握した上で、 本を選んで欲しいと言われたこ
い!仕事だし…。 しかも、 いい加減に読むこと
とがあります。 確かに、 本の選定は書誌データ
は出来ないし、 そのようなことあってはいけな
にある、 本の紹介部分を見て決めているのが事
い!!結構、 辛かったですね。
実です。 しかし、 一冊一冊すべて読んでいたら、
みなと図書館に登録しているボランティアさ
らちがあきません。 一体世の中にどれだけの本
んは約50人。 声の図書担当は5人。 当然、 録音
が存在している事やら…。 私たちも、 声の図書
にはそれぞれ、 ボランティアさんのペースがあ
の仕事だけしていればいい、 というわけではあ
るので、 本1冊の録音に2ヶ月かからない人も
りません。
いれば、 6ヶ月以上かかる人もいます。 様々な
視聴覚係としての日常のカウンターもあれば、
人がいて、 全員に依頼しているわけではありま
視聴覚全体の内勤、 督促や予約資料の処理もあ
せんが、 それでも絶対的に担当者の人数が足り
ります。 これは毎日の仕事ですから、 それだけ
ない!出来上がってくる朗読テープは常にあり、
時間はそちらにとられます。 これに日々、 声の
未チェックのものは、 いつも山積み。 1つテー
図書の作成や相互協力の仕事が加わる訳です。
プが完成しても、 次々と新しい未チェックの録
音カセットが出来上がってきます。
現在、 港区に登録されている、 声の図書利用
者の中にはご家族の方が代わりに貸りに来られ
る方や、 ほとんど利用されない方もいて、 頻繁
図書館の仕事は、 表向き楽な仕事に見えるら
しいのですが、 内勤は山ほどあります。 決して
カウンターに座っている事だけが、 仕事ではあ
りません。
そんなわけで、 貸し出す本を、 その都度、 読
に利用されるのは10人くらいです。 その中で、
んでいられないのです。 本当は、 それが一番良
利用者3人ずつを、 3人の担当者が、 利用者1
い方法だと思います。 しかし、 現実問題、 それ
人を2人の担当者が受け持っています (この方
は不可能です。 だからこそ、 利用者とのコミュ
は貸出ペースが速いため2人でも作業が追いつ
ニケーションが必要で、 それを大事にしたいと
かないため)。 私は現在、 3人の方の担当をし
思います。
ています。
「声の図書」 担当になって、 もうすぐ半年が
テープの貸出期限は、 約1ヶ月で、 正確に何
経とうとしています。 今まで図書係の仕事しか
日間とは決まっていません。 また貸出数も決まっ
したことがなかったので当初は、 仕事に対して、
ていません。 その理由は、 本によってテープの
不安や不満がいっぱいありました。 でも、 何と
巻数が違ってくる事などがあるようです。
か悪戦苦闘しながら、 やっています。 人情や時
みなと図書館には、 自館作成テープと購入テー
代小説も読む楽しみを、 少し見つけました。 結
プの2種類があります。 この中から、 選ぶ事も
構、 読んでみると面白い作品もありました。 今
あれば、 CD−ROMで全国の図書館から、 録
は、 目の前にある仕事をこなす事で精一杯です
音テープを探し、 相互協力で借りる場合もあり
が、 もっと余裕が出来たら、 障害者サービスに
ます。 この場合、 貸し出し依頼をするのも、 依
ついてもっと勉強して、 より良いサービスが提
頼を受けるのも、 すべてFAXで行います。
供できるようになりたいです。 まぁ…、 まだま
みなとは、 利用者がまだ少数という事もあり、
だ当分は、 先の話になりそうですけれど (笑)
利用者が作家と書名を依頼してくることもあれ
ば、 作家だけを指定して、 あとはこちらの職員
(しん・みゆき
2003年卒業)
が探して貸し出す場合もあります。
7
ニューズレター第11号(2005.10)
4月17日→お花見 (嵐山)
☆テクノロジー研究会は、 司書課程の児童サー
ビスの研究と実践のために活動しているクラブ
です。
ごらんのように、 地域に出かけて、 じっさい
の子どもたちに絵本を読んだり、 ストーリーテ
大原佳美、 山本陽子、 中山七重、 上野達也、
リングをしたり、 紙芝居を上演したりしていま
安房直輝、 清水真由美、 上村倫行、 白石若子、
す。 司書課程の「児童サービス論」を、 通りいっ
栗山浩司、 加賀原由佳、 尾崎暢俊
ぺんだけでなく、 生かしたいと思っている学生
諸君!また、 特色あるボランティア活動をやっ
5月5日→かめおかっこひろばまつり
大原佳美、 山本陽子、 中山七重、 清水真由美、
てみたいと思っている学生諸君!絵本や子ども
が大好きだという学生諸君!!
上村倫行、 白石若子、 栗山浩司、 岩口公平、
ぜひエディテクに参加してください。
加賀原由佳、 尾崎暢俊
絵本ブログもはじめました。 http://www.
内容→新聞けん玉、 ぱっくんけん玉
doblog.com/weblog/myblog/47723
こちらもお楽しみに。
5月12日→絵本ブログ作成練習
上野達也、 清水真由美、 上村倫行、 白石若子、
栗山浩司、 岩口公平、 加賀原由佳、 尾崎暢俊
後
6月16日→新入生歓迎会 (京都駅近辺)
記
◆朋文館メディアセンター化計画はま
大原佳美、 山本陽子、 中山七重、 上野達也、
だ、 進行中で完成ではないのだが、
清水真由美、 上村倫行、 白石若子、 栗山浩司、
これまでの経過を記録しておく。 司
岩口公平、 加賀原由佳、 尾崎暢俊
書課程資料室もある朋文館は、 じつ
は相当クラシックなのだが、 あまり
8月17日→子育て支援センターのお話し会
お金をかけなくても、 情報化や、 資
清水真由美 「あおくんときいろちゃん」
料組織は可能なのだという見本にな
上村倫行 「くまとせみ」
ればよいと思っている。
加賀原由佳 「よるくま」
◆メディア《つくる》工房等、 朋文館
山本陽子、 中山七重→手遊び
を根城に、 のびのび活動しはじめて
卒業生の速水暁子さんも来てくれました。
いる学生が少しずつ増えている。 こ
の場所がそういう温床になれば本望
8月20日→京都清元町地蔵盆のお話し会
である。
岩口公平 「にぎやかなともだち」
中山七重→大型絵本 「からすのパンやさん」
上村倫行 「おねぼうなじゃがいもくん」
「くまとせみ」
京都学園大学司書課程
山本陽子→手遊び 「ごんべえさんの赤ちゃん
がかぜひいた」 「ひゅーぽん」
清水真由美→大型絵本 「そらまめくんのベッ
第11号
編集・発行
8
(年2回刊行)
京都学園大学司書課程
〒621‐8555
京都府亀岡市曽我部町南条大谷1番
TEL 0771‐29‐2470/FAX 0771‐29‐2239
ト」
(報告・清水)
2005年10月1日
印刷
和光印刷
TEL 075‐441‐5408
用紙
クリーム書籍