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ツイントレイDVDプレーヤDV-W300

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ツイントレイ DVD プレーヤ DV-W300
ツイントレイDVD プレーヤ DV-W300
Twin Tray DVD Player DV-W300
江 川 龍太郎 *
Ryuhtaroh Egawa
まえがき
ツイントレイメカニズム搭載のDVDプレーヤを開
発した。
DVDソフトのタイトル数は98年上期に1300タイト
ルを突破したが,
そのカテゴリ分布は以下のような構
成となっている。
映画,アニメ系ソフト 約 50%
カラオケソフト 約 14%
音楽系ソフト 約 12%
アダルト系ソフト 約 11%
趣味教養系ソフト 約 13%
(当社ビデオ事業部企画部調査)
カラオケソフトはDVDソフト構成比の第2位を占
めており,マルチチャンネル音声や高インタラクティ
ブ性の特長がカラオケにも積極的に応用されている。
DVDカラオケはDVDビデオ規格の機能をカラオケ
に適用したもので,その特徴は高画質高音質に加え
て,大容量による収録楽曲数の大幅増,AC-3 マルチ
チャンネル音声を利用し,通常のステレオ音声(左右
2チャンネル)以外にガイドメロディで1チャンネ
ル,ボーカルで2チャンネルの合計5チャンネルの音
声 ス ト リ ー ム を 持 つ 点 に あ る 。 こ の 仕 様 は DVD
フォーラムがガイドラインとして提案しており大半の
DVD カラオケソフトはこれに準拠したものになって
いる。本機は DVD カラオケの機能を最大限に活かす
ため DVD プレーヤでは業界で初めてツイントレイメ
カを採用すると同時に 50 曲収録のカラオケディスク
を2枚同梱している。また,基本である高画質,高音
質に関連する機能も,色差映像出力,適応型ガンマ補
正,新ディジタルスーパーピクチャ,DTSストリーム
出力などの採用により充実を図った。
1 . 主要仕様
表1に本機の主要仕様を示す。
* AV システム事業本部 ビデオ事業部 第2技術部
写真1 ツイントレイ DVD プレーヤ
表1 仕様
対応ディスク
メカニズム
ピックアップ
レーザ
映像出力
DVDビデオ/ビデオCD/CD
ツイントレイメカ
単レンズ1ビーム方式
650nmレーザ(ホログラムユニット)
NTSC/コンポジット/S1-ビデオ
コンポーネント
(Y/CB/CR)
5.1チャンネル/2チャンネル 切り替え出力
アナログ音声出力 光出力/同軸出力
ディジタル音声出力 リニアPCM/ドルビーディジタル/DTS
2系統(独立レベルコントロール付)
マイク入力
エコー/キーコントロール等
カラオケ機能
適応型ディジタルガンマ
特長機能
新ディジタルスーパーピクチャ
ツイントレイプログラム再生
ドルビーバーチャルサラウンド
注:
ドルビー,DOLBY,
ドルビーディジタル,
ドルビーバーチャルサラウンド及び
ダブルD記号はドルビーラボラトリーズライセンシングコーポレーションの商
標です。
DTS及びDTSディジタルサラウンドはディジタルシアターシステムズ社の商
標です。
2 . 主な特徴機能
(1)適応型ディジタルγ
(ガンマ)補正
ディジタルガンマ補正は,
映像の暗い部分を非直線
ゲイン補正により適度に明るくして,黒部分に隠れて
いた映像情報を見やすく補正する技術で,
当社の第1
世代プレーヤから独自特徴として採用されている。本
機ではこれに加えて,これまで固定値であった補正量
を映像全体の明るさに応じて自動的に最適の状態に補
正する適応型ディジタルガンマ補正を開発採用した。
(2)新ディジタルスーパーピクチャ
従来のディジタルスーパーピクチャを機能強化し
た。強化ポイントは以下の2点となっている。
①映像の輪郭補正
映像の輪郭部分を検出し,
波形なまりを補正するこ
とでメリハリのある画質を実現。新しく開発したディ
ジタル演算処理により,
従来の輪郭補正で問題となっ
― 63 ―
シャープ技報
第72号・1998年12月
図1 DV-W300 システムブロック図
ていた不要な波形歪を押さえることが可能となり,よ
り自然でくっきりとした映像を得ることができた。ま
た画素単位で高速に補正処理を行っているので,
動き
の激しい映像の輪郭ボケ(ぶれ)に対しても画質改善
効果を得ることができた。
②映像のディテール補正
映像信号の高域成分には映像のディテールとノイズ
が混在しているが,
特別ノイズが多い場合を除けば一
般的にディテール部分とノイズ成分とではノイズ成分
のほうの信号が小さいということに着目,
この部分の
ディジタル処理に改良を加えて映像のディテールを分
別して補正を行う方式を開発した。これにより,より
精細感のある映像を得ることができた。
最近のソフト
タイトル数増加に伴い古い映画やテレビ番組など比較
的画質のよくない映像を使った DVD ソフトも市販さ
れるようになってきているが,
本機能によりこのよう
なソフトでもよりノイズをおさえた精細感のある映像
を得ることができる。
(3)ツイントレイメカ
当社オーディオ事業部で ビデオCD用に開発したツ
イントレイ機構に1部変更を加えた DVD メカを装着
している。
ツイントレイによる操作性の良さは ビデオ
CD で定評があり,DVD においてもカラオケ再生や2
枚組み連続再生など,操作性を大幅に改善している。
(4)プログラム再生
DVDソフト製作ガイドラインに準拠した2枚組みカ
ラオケDVDを使えば,2つのトレイにまたがって最大
20曲まで予約でき,また演奏中に次の曲の予約が可能
なディスク再生管理ソフトを開発した。これによりツ
イントレイの機能性を最大限に活かしている。
(5)ドルビーバーチャルサラウンド
ソフトウエア処理による Q サラウンド方式のドル
ビーバーチャルサラウンドを開発し採用した。
一般の
テレビなどのステレオ(2スピーカ)機器でも DVD
ビデオのサラウンドを楽しむことができる。音声はす
べてディジタルで演算処理されるが,単に2チャンネ
ルのステレオ音声を演算してサラウンド効果を得るの
ではなく,ディスクに記録された 5.1 チャンネルの音
声すべてを使って演算処理されているため,より高い
サラウンド効果を得ることができる。これらの処理は
すべてソフトウエアによる処理であるため,この機能
のための追加ハードウエアは使用していない。
3 . 基本システムと設計思想
3・1 構成
本機の構成を,図1に示す。エンジン部に DVD プ
レーヤのほぼ全機能を集約し,他,電源やインタ
フェース等の周辺回路部を付加する構成となっている。
3・2 エンジン部
エンジン部はユニット化されている。
本機に採用さ
れたエンジンは当社としては第2世代にあたる。エン
ジン部は,多様な機種展開に,柔軟に対応ができるよ
う設計面での配慮がなされており,
本機以外にアンプ
付やシングルトレイ DVD プレーヤに共通ユニットと
― 64 ―
ツイントレイ DVD プレーヤ DV-W300
して使っている。この考え方は第1世代エンジンか
ら,当社DVD開発の基本思想として継承されている。
4 . エンジン設計の基本思想
(1)ハードウエアの共通化と標準化
あらかじめ,機種展開に必要なすべてのハードウエ
アを基本設計段階で作り込み,機種ごとに基板を新規
設計せずに共通ユニットとして使用することで,開発
日程の短縮を図ると同時に,
生産効率の向上を図った。
エンジンは,
シングルトレイを基本形態として開発
されている。写真2にエンジン基本構成を,写真3に
DV-W300 などのツイントレイへの応用例を示す。
サラウンド,DTS ストリーム出力などがソフトウエア
で実現でき,また今後の機能アップに対してもハード
ウエアだけに依存しないシステムになっている。
②フラッシュメモリへのシステムソフト格納
標準で4MBのフラッシュメモリに大半のソフトウ
エアを格納。
ソフトウエアを書き換えることで仕様変
更ができるため,
生産ライン上での機種切り替えも可
能にした。
(3)小型,薄型
複合商品への展開性の確保を目的として,
エンジン
はできるだけ小型の基板(119mm × 102mm)と小型
ピックアップ及びメカで構成し,シングルトレイタイ
プではトレイローディング機構と電気回路基板を含め
て,幅 144 ミリ,高さ 47 ミリ,奥行き 197 ミリの小型
ユニットで DVD の基本機能をすべて搭載している。
これにより機能面だけではなく形状面でも応用範囲を
広げることができた。
むすび
本稿では,ツイントレイ機構を採用した日本向け
DVD プレーヤ DV-W300 を例にとって,当社 DVD 商
品開発のコンセプトを簡単に紹介した。現在この
DVDエンジンを使用してアンプ内蔵DVDプレーヤな
どの応用商品の開発も進展しており,今後は機種展開
と同時に,更なる小型化や独自特長の開発に注力して
いきたい。
写真2 エンジン基本構成
写真3 ツイントレイへの応用例
(2)ソフトウエアによる機種展開と機能拡張
DTS(米国ディジタルシアターシステム社が開発し
た高ビットレートの高音質マルチサウンドシステムは
DVDのオプション規格として採用されている)やDVD
オーディオなど,将来の高性能なディジタルシステム
に対応するために,次の2項目を主眼にソフト処理に
よる機能拡張が可能なシステム構成に採用している。
①高機能 DSP
ソフトウエアで特徴機能を付加できるシステムとす
るために,MPEG2デコーダをコアに持つ高速CPU搭載
の DSP を採用したことで,特別な部品を追加すること
なくソフトウエアで特徴機能を付加することが可能と
なった。具体例としては,カラオケ機能やバーチャル
謝辞
DVD プレーヤの開発にあったては,オーディオ事
業部,オプトデバイス事業部,技術本部,精密技術開
発センター,
他関係各位の絶大なご支援とご協力を賜
り,またビデオ事業部においても,生産立ち上げに際
して,生産部,生産技術部,品質部,企画部,ビデオ
第1技術部をはじめとする多くの部門の方々に惜しみ
ないご支援とご協力を頂いたことに,心から感謝の意
を表して本稿の結びとしたい。
参考文献
1) JAS journal, 日本オーディオ協会, vol.37, no.9,7月臨時増刊夏
― 65 ―
号
(1997)
.
(1
99
8年1
0月3
0日受理)
〈お問い合わせ先〉
AV システム事業本部 ビデオ事業部 第2技術部
〒3
2
9-2
193 栃木県矢板市早川町1
74番地
電話 (02
8
7)4
3−1
13
1(大代表)
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