close

Enter

Log in using OpenID

研究内容の詳細はこちら

embedDownload
別紙:参考資料
精密研磨において生産効率を向上させる研磨パッドの開発について
スマートフォンやタブレット PC の普及が飛躍的に進んでいるなか、これらのモバイル端末に
搭載されるタッチパネルの需要も急速に拡大しています。タッチパネルなどの表示機器は高精細
化や高輝度化が進んでおり、ディスプレイの表面を覆っているカバーガラスには高い平滑性が要
求されています。ガラス基板の平滑化には研磨加工が多用されていますが、生産性の向上や製品
コストの削減のため、加工技術の高機能化が必要となっています。
立命館大学では、ガラス基板や様々な機能性材料の精密研磨において、より高い生産性を実現
する高機能研磨工具(研磨パッド)を提案し、(株)クリスタル光学(本社:滋賀県大津市、代
表取締役:桐野茂)とともに、開発を進めてきました。
このたび顕著な研究成果が得られましたので、ご報告申し上げます。
1.研究体制および研究内容
本研究開発は、経済産業省/NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「希
少金属代替材料開発プロジェクト」の一環として行われ、立命館大学と(株)クリスタル光学が
共同で、高機能研磨パッドとその製造技術に関する研究開発を行っています。
研磨パッドは、研磨材粒子(砥粒)を保持し、加工物の表面に作用させる工具です。研磨パッ
ドは、その形態によって多孔質パッド、不織布パッド、人工皮革状のスエードパッドなどの種類
があり、加工対象や工程によって使い分けがされています。今回、開発対象としたスエードタイ
プの研磨パッドは主に最終仕上げ研磨工程で用いられており、研磨パッド全体の使用割合のうち
約50%を占めています。
スエードパッドを含む研磨パッドの材質にはポリウレタン樹脂が多用されています。研磨パッ
ドの研磨能率は、材料となる樹脂の親水性に依存します。親水性の乏しいウレタン樹脂より優れ
た研磨特性を得ることを目的に、親水性に優れる樹脂を研磨パッドの材質に適用することを検討
しました。
開発した研磨パッドはウレタン樹脂に対し、高い親水性を有するエポキシ樹脂またはポリイミ
ド樹脂を添加したスエードタイプの研磨パッド(図1)です。新たな材料を適用してもスエード
パッド特有の縦型発泡構造(図2)が維持された研磨パッドを実現しました。
図1 開発した研磨パッドの外観写真
-1-
図2 研磨パッドの電子顕微鏡写真
上図:表面写真、下図:断面写真
研磨液
研磨パッド
(a)従来の研磨パッド
(b)開発した研磨パッド
図3 研磨パッドの親水性の評価
図3に示すように、ウレタン樹脂のみからなる従来の研磨パッドと新たに開発した研磨パッド
の親水性を評価した結果、従来パッドでは液滴がはじかれており親水性が悪いのに対し、開発し
たパッドは液滴が濡れ広がっており、親水性に優れることがわかりました。このような親水性に
優れる研磨パッドは研磨液の保持性が高くなり、より多くの砥粒が加工物表面に作用するため、
研磨特性の向上に繋がります。
2.研究成果
新規に開発した研磨パッドによりソーダガラスの研磨特性を評価した結果、図4に示すように
従来のウレタン樹脂のみからなる研磨パッドと比較して、最大で2倍程度の研磨能率が達成され
ることがわかりました。それだけでなく、研磨されたガラスの表面粗さも従来の研磨パッドより
も優れることが明らかとなりました。
研磨能率が2倍となることは、研磨時間を半減させることができ、研磨工程における生産効率
の向上や、研磨材の原料であるレアメタルの使用量低減にも繋がります。また、従来の研磨パッ
ドよりも優れた表面粗さが得られることは、最終製品の性能向上も期待されます。
今回開発した研磨パッドは、様々な砥粒と組み合わせることで、ガラスだけでなく LED 用のサ
ファイア基板やシリコンなどの半導体基板にも適用が可能です。
現段階では試作・評価を終えており、早期の上市を目指して工業的製造技術の検討を行ってい
ます。
この成果は、8月27日から29日に行われる2013年度砥粒加工学会学術講演会にて発表
する予定です。
研磨能率
仕上げ面粗さ
研磨能率(µm/min)
0.5
0.4
3.0
仕上げ面粗さ
改善
研磨能率
約2倍!!
2.5
2.0
0.3
1.5
0.2
1.0
0.1
0.5
0.0
ウレタンのみ ポリイミド添加 エポキシ添加
(市販パッド)
(新規開発パッド)
図4 研磨パッドの研磨特性の比較
-2-
0.0
仕上げ面粗さ (nmRa)
0.6
<用語解説>
砥粒:
研磨において機械的除去作用を行う粒子。研磨材ともいう。砥粒を液体に分散したものを研磨剤
や研磨スラリーという。
研磨パッド:
精密研磨において使用される樹脂製の工具。砥粒を保持する役割を持つ。現在ではポリウレタン
製のものが多用されている。人工皮革製のスエードパッド、発泡体の多孔質パッド、不織布パッ
ド等がある。
親水性:
固体の表面と水とのなじみやすさ(親和性)のこと。濡れ性ともいう。
研磨能率:
単位時間あたりの研磨量。研磨能率が大きいほど早く研磨できることを意味する。
表面粗さ:
表面の平滑性を表す指標。表面粗さの値が小さいほどより平滑であることを意味する。
-3-
Author
Document
Category
Uncategorized
Views
1
File Size
205 KB
Tags
1/--pages
Report inappropriate content