オムニチャネルによる B2B 顧客エンゲージメントを 徹底的に追求する

Forrester Consulting
Thought Leadership Paper
委託元:
アクセンチュア・
インタラクティブ および
SAP hybris
オムニチャネルによる B2B
顧客エンゲージメントを
徹底的に追求する
2015 年 10 月
目次
エグゼクティブ・サマリー ................................................................................. 1
買い手はデジタル・チャネルを取り入れている ............................................... 2
買い手はカスタマー・ジャーニー全体にわたるエンゲージメント
に大きな期待を抱いている ................................................................................. 3
売り手にとっての課題は、買い手の期待に応えること .................................... 4
売り手は、オムニチャネル体験を調整する必要がある .................................... 5
主な提案 ............................................................................................................... 8
付録 A: 調査方法 ............................................................................................... 9
付録 B: 調査対象 ............................................................................................... 9
付録 C: 補足資料 ............................................................................................. 10
付録 D: 巻末注 ................................................................................................. 11
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1
エグゼクティブ・サマリー
B2B ビジネスにおける買い手の要求の変化により、売り手
は、様々な変化を求められています。 一般消費者としての
経験やデジタル・テクノロジーの積極的な活用によって、
B2B の買い手は、購入に至るまでのあらゆる段階において
一貫性のあるパーソナライズされた顧客体験を求めるよう
になってきています。 一方で、売り手の多くは様々なデジ
タル・タッチポイントを開発していますが、魅力的でシー
ムレスなオムニチャネル体験を提供するという点において
は、既存のチャネルと新しいタッチポイントをつなぐこと
に苦労しています。
›
›
B2B 企業が今後の e コマースを成功に導くために
は、顧客エンゲージメントの取り組みについて再
検討し、チャネル横断的なエンゲージメントの強
化に向け、人材、プロセス、およびテクノロジー
への投資のあり方を考え直す必要があります。
2015 年 7 月、Forrester Consulting は、アクセンチュア・
インタラクティブおよび SAP hybris からの委託を受け、
B2B ビジネスにおける買い手の要求と売り手のオムニチャ
ネル戦略の変化に関する調査を実施しました。 本調査は、
北米、中南米、欧州、およびアジア太平洋地域の B2B 企
業 750 社、およびその他の企業 (いずれも従業員 1,000 人
以上) の B2B 企業の買い手1,307 人を対象として実施しま
した。
調査結果の要点
今回の Forrester の調査の結果、主に以下の 4 点が明らか
になりました。
›
企業側の買い手が、デジタル・タッチポイントを積極的
に取り入れ始めています。 B2B ビジネスにおける買い
手は、カスタマー・ジャーニーの一部のタッチポイント
において、企業とのやりとりに従来のチャネルを利用し
ていますが、製品情報の収集や購買においては、ますま
す多くのデジタル・チャネルを利用しています。 このた
め、売り手はチャネルごとの顧客のニーズに対応しなけ
ればならず、これに必要な様々な機能を構築することが
課題となります。
›
そして、買い手はカスタマー・ジャーニー全体における
パーソナライゼーションと特別なサービスに大きな期待
を抱いています。 また、B2C における売り手としての
経験は、B2B における売り手の買い手としての期待を高
める結果となっています。 買い手は、今やカスタマー・
ジャーニー全体にわたる高いレベルのサービスとパーソ
ナライゼーションを求めており、そのような顧客体験を
提供できる売り手には相応の対価を支払う用意があり
ます。
しかし、多くの売り手はシームレスなオムニチャネル体
験を提供する準備が十分にできているとは言えません。
売り手はシームレスなオムニチャネル顧客エンゲージメ
ントの重要性を理解しているものの、データ、およびプ
ロセスが縦割りになっていることが、エンゲージメント
を高める阻害要因となっています。 本調査では、カスタ
マー・ジャーニーのすべてのタッチポイントにおいて、
B2B 企業が直面している様々な課題が明らかになりま
した。
優れた顧客エンゲージメントを実現するためには、買い
手の期待に応えられる、適切なオムニチャネル戦略、パ
ートナー・エコシステム、最適な技術を選択することが
必要です。 複数のチャネルにわたって一貫性のある、質
の高い顧客体験を実現するためには、場当たり的なソリ
ューションを都度、導入するだけでは十分とは言えませ
ん。 デジタル・チャネルを活用して顧客エンゲージメン
トを高めるためには、顧客を中心に据えたビジネスモデ
ル、テクノロジーの検討、継続的に実行と分析を繰り返
す文化、そして (通常は) ギャップを埋めるために、パー
トナー・エコシステムを活用し、市場投入までの時間を
短縮する必要があります。
2
買い手はデジタル・チャネルを取り入
れている
今日の B2B 企業にとって、オムニチャネルに取り組むこ
とが、これまでになく重要になっています。 買い手は、そ
の購買行動においてデジタル・チャネルを積極的に活用し
ているため、まだデジタル・チャネルの開発に着手してい
ない B2B 企業は後れを取ることになります。 しかし、デ
ジタル・チャネルは、買い手の購買行動における唯一の選
択肢ではないため、売り手は顧客が利用している全チャネ
ルから得られたデータを統合する方法を検討し、顧客の要
求に対応しなければなりません。 本調査対象の売り手は、
顧客の 38% がオンライン・チャネルのみを使用し、32%
がオンライン・チャネルとオフライン・チャネルを併用し
ていると回答しています。 これについて、本調査から明ら
かになったことは以下のとおりです。
›
›
業務関連製品をオフラインで購入する場合でも、製品情
報の収集はオンラインで行う。 世界各国の企業の買い手
を対象とした本調査では、業務関連製品をオフラインで
購入する場合でも、製品情報の収集については少なくと
もある程度オンラインで行うという回答が全体の 98%
を占めていました。 大多数の買い手がオフラインで購入
した製品の 25% 以上についてオンラインで製品情報を
収集しており、多くの回答者が、これよりはるかに高い
確率でオンラインの情報源を利用していることが明らか
になりました。 実際、大多数の買い手がオフラインで購
入した製品の 25% 以上についてオンラインで製品情報
を収集しており、前年よりオムニチャネル化が加速して
いる傾向を読み取ることができます (図 1 参照)。
製品情報を収集するために一般消費者向け Web サイト
を利用する買い手が増えています。 業務に必要な製品や
サービスを購入する場合、買い手のほとんどが企業内で
使用する社内ポータルや企業専用の調達・購買 Web サ
イトにアクセスしていますが、一方で、これ以外の様々
な情報源を利用して製品情報を収集していることが明ら
かになりました。 具体的には、オンラインの一般消費者
向けマーケットプレイス (33%)、検索エンジン (26%)、
企業向けマーケットプレイス (17%) などであり、その利
便性ゆえに、最初に製品情報を収集する際に利用する買
い手が増えています。
図1
B2B 購買行動
「オフラインで業務関連製品を購入する場合、
購入前にどの程度 (%) オンラインで情報を収集しますか」
22%
21%
75% 以上
24%
21%
50% ~ 74%
25% ~ 49%
24%
18%
19%
11% ~ 24%
7%
1% ~ 10%
0
29%
1%
2%
12%
2015 年
2014 年*
調査対象: 北米および欧州に本拠を置く従業員 1,000 人以上 (欧州の
場合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 696 人
*調査対象: 北米および欧州に本拠を置く従業員 1,000 人以上 (欧州の
場合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 930 人
資料: Forrester Consulting が SAP hybris およびアクセンチュア・
インタラクティブの委託を受けて実施した調査 (2015 年 9 月)
›
オンライン購入は全般的に拡大しています。 情報収集に
も購入にもオンライン・チャネルを利用する買い手が増
えています。 本調査から、販売代理店、顧客サービス担
当窓口、通信販売をはじめとする多くの従来型の販売チ
ャネルが、オンライン・チャネルに取って代わられつつ
あることが明らかになりました。 また買い手は、オンラ
インでの総支出額が増えただけでなく、業務関連製品の
オンラインでの購入金額、オンラインでの平均購入金額
も増えていると回答しています (図 2 参照)。
3
わたる魅力的かつシームレスな顧客体験を提供できるか
どうかにかかっていると認識しているのです。
図2
B2B 購買行動 ― 業務関連製品の購入が前年より増加
図3
「オンラインでの業務関連製品の購入について、
2015 年には 2014 年に比べてどの程度変化がありましたか」
増えた
変わらない
減った
業務関連製品の
合計購入金額 ( 総支出額 )
65%
総支出額に占める業務関連製品
のオンライン購入金額
63%
業務関連製品の
オンライン平均購入金額
オンライン上の推奨情報を見てオ
ンライン購入が増えた場合、この
購入金額の総支出額に占める割合
企業は、一貫性のあるオムニチャネル体験に対する顧
客の期待が高まっていると感じています。
53%
49%
28%
「貴社のオムニチャネルへの投資の主な目的は何ですか」
7%
27%
10%
36%
11%
39%
12%
顧客の期待に応えること
複数のチャネルにわたって一貫性のあ
るエクスペリエンスを提供すること 0%
オムニチャネルで顧客生涯
価値を高めること
競合他社に後れを取らないこと
顧客満足度を高めること
資料: Forrester Consulting が SAP hybris およびアクセンチュア・イン
タラクティブの委託を受けて実施した調査 (2015 年 9 月)
オンライン専業企業に対する
競争優位を得ること
国際展開/グローバル化
今日、B2B ビジネスにおける買い手は、B2C デジタル・コ
マースに期待される機能、パーソナライゼーション、サー
ビスを B2B の e コマースにも求めています。 B2C に期待
される利便性や親しみやすさを求める声が高まり、これを
提供できる売り手には相応の対価を支払う用意がありま
す。 これについて、本調査から明らかになったことは以下
のとおりです。
›
顧客の期待に応えるために、オムニチャネルへの投資を
加速させる売り手が増えています。 本調査対象の B2B
企業は、マルチチャネルに対する顧客の期待に応えるた
めに、不釣り合いなほど多額の投資を行っていると回答
しています。 実際、北米および欧州の回答者の 74%
が、オムニチャネルへの投資の最大の目的は「顧客の期
待に応える」ことであるとしています。 (図 3 参照)。
また、ほぼ同程度の 68% が「複数のチャネルにわたっ
て一貫性のある顧客体験」が優先事項であると回答して
います。 売り手は、顧客の生涯価値は複数のチャネルに
65%
64%
51%
さらなる効率化とコスト削減
調査対象: 北米、欧州、中南米、アジア太平洋地域に本拠を置く従業員
1,000 人以上 (欧州の場合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 1,307 人
買い手はカスタマー・ジャーニー全体
にわたるエンゲージメントに大きな期
待を抱いている
74%
66%
顧客サービス/コー
ルセンターの経費削減
60%
54%
55%
50%
53%
59%
49%
56%
41%
33%
36%
38%
2015 年
2014 年*
調査対象: 北米および欧州に本拠を置く従業員 1,000 人以上 (欧州の場
合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 450 人
*調査対象: 北米および欧州に本拠を置く従業員 1,000 人以上 (欧州の場
合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 526 人
資料: Forrester Consulting が SAP hybris およびアクセンチュア・イン
タラクティブの委託を受けて実施した調査 (2015 年 9 月)
›
買い手は、サプライヤーが情報の透明性、パーソナラ
イゼーション、サービス、低価格のオファーを提供し
てくれるのであれば、繰り返し購入したいと考えま
す。 また、上記すべての中で、B2B ビジネスにおける
買い手が最も知りたいと考えている情報は価格に関す
る情報です。 買い手は、特定の製品やサービスの実際
の価格がわかるまでに複雑な手続きを踏み、様々な条
件を勘案しなければならないという事態は回避したい
と考えています。 本調査では、買い手がサプライヤー
を選ぶ際に「低価格」よりも「価格の透明性」を重視
することが明らかになりました (図 4 参照)。
4
その他、注目すべき事項は、「優れた顧客サービスとアフ
ターサービス」が上位に挙がっているということです。
また、業務関連製品のオンライン購入に関する自由記述で
は、「パーソナライゼーション」と「サポート」が優れた
体験につながったとする回答が多くなっています。
図4
パーソナライゼーションと価格の透明性がリピーター
獲得につながる
「業務関連製品を同じサプライヤーから繰り返し購入
したいと思う理由は何ですか。主な理由を 5 つ選択し、
順位を付けてください」.
1位
2位
3位
価格の透明性と詳細な製品情報
異なる複数のチャネルにわたる購買
行動を追跡し、パーソナライズされ
たリコメンデーションを提供すること
製品やサービスの
選択の幅が広いこと
一貫した低価格
5位
4位
19%
6%
12% 8% 8%
4%
4%
16% 6% 5%
13% 12% 9% 7% 9%
12%
13%
13% 7%
支払い方法を選択できること 10% 10% 9% 6%
オムニチャネル機能 9% 9% 6%
優れた顧客サービ
スとアフターサービス 7% 9%
13%
4%
売り手にとっての課題は、買い手の期
待に応えること
売り手は買い手の欲しいものや必要としているものを十分
に認識しているものの、カスタマー・ジャーニー全体にわ
たって買い手の期待に応えるのは難しく、かなり苦労して
います。 パーソナライズされたシームレスなオムニチャネ
ル体験を提供するためには、非常に多くの人材、プロセ
ス、テクノロジー、データを連携させ、様々なチャネルを
通じてリアルタイムで (またはほぼリアルタイムで) 情報を
共有する必要があります。 概して、売り手は、まだここま
で達していません。 この点について、本調査から明らかに
なったことは以下のとおりです。
›
B2B 企業が直面している課題は、テクノロジー、データ
のサイロ化、そして評価。 売り手にとってオムニチャネ
ル戦略実現の最大の妨げは (第 1 位、かつ上位の合計が
最大)、「チャネル間、各国間、各国の拠点間で顧客デー
タや分析結果を共有することが難しいこと」です。ま
た、「適切な業務評価基準やインセンティブがないこ
と」も上位 5 位に入っています。パーソナライズされた
顧客体験を提供するためには、様々なシステムを連携さ
せる必要があります。実際にアクセスできるデータを利
用して顧客エンゲージメントを高めるためには、まず
「何を評価するのか」が問題になります。売り手は現
在、このような課題に直面しているのです。
「適切な評価指標を手に入れるのはとてつもなく困
難なことです。 確かに様々な種類の情報が手に入
ります。しかし、顧客には常に別の選択肢がある
ので、顧客を何人維持できるか、何人獲得できる
かという情報はほとんどあてになりません。」
— 某大手製造業者の財務責任者
4%
4%
5%
14% 10%
調査対象: 北米、欧州、中南米、アジア太平洋地域に本拠を置く従業員
1,000 人以上 (欧州の場合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 1,307 人
資料: Forrester Consulting が SAP hybris およびアクセンチュア・イン
タラクティブの委託を受けて実施した調査 (2015 年 9 月)
›
売り手は、カスタマー・ジャーニーのすべての段階にわ
たって、販売とマーケティングの問題に直面している。
売り手は、カスタマー・ジャーニーの各段階においてパ
ーソナライズされた顧客体験を提供することが課題であ
ると考えています。 複数の異なるプロセスやシステムが
混在すると、データ統合や共同作業が困難になります。
初期段階 — 買い手が情報を収集し始める段階 — では、
買い手について入手できる情報が少ないため、パーソナ
ライゼーションが困難なのは当然ですが、 これは以後の
販売プロセスでも重要な課題となっています (図 5 参照)。
5
図5
図6
売り手の課題は、カスタマー・ジャーニーのすべての
段階にわたる顧客エンゲージメント
顧客データは一部のチャネルからしか入手できない
「見込み客 / 顧客のカスタマー・ジャーニーの各段階で
パーソナライズされたエクスペリエンスを実現しよう
とする場合、営業 ( マーケティング・販売 )
部門はどの程度、困難な課題に直面していますか?」
ある程度困難
非常に困難
認知:見込み客が欲しいものに気づく
( 偶然目にした場合など ) 段階
38%
28%
発見:見込み客が様々な製品
について徹底的に検討し始める段階
36%
29%
興味・関心:見込み客が製品
情報を収集し、候補を絞る段階
38%
評価:見込み客が製品の候補を絞り、さらに
情報を収集し、購入する製品を決定する段階
36%
25%
25%
どのチャネルから
も容易に入手でき
ない情報
一部のチャネル
から入手でき
る情報
すべてのチャ
ネルから入手で
きる情報
顧客名 12% 28%
顧客満足度 9%
60%
35%
56%
顧客の配送先 / 請求先住所 16%
36%
48%
購買履歴 11%
42%
47%
過去の製品出荷情報 13%
42%
44%
顧客がこれまでに直面したサー
12%
ビスやサポートの問題
44%
43%
行動:製品やサービスを購入することで、
見込み客が顧客に変わる段階
34%
使用:顧客が製品やサービスを入手し、
使用し始める段階
33%
24%
43%
43%
アドボカシー:顧客がエクスペ
リエンスを他人と共有する段階。
各顧客の以前の販売 / マーケ
ティング担当者 ( 自社内 ) 13%
34%
23%
顧客の支払い方法 / 支払い行動 16%
41%
43%
情報を収集した製品 / サービス 13%
47%
40%
顧客独自の価格設定やカタログ情報 17%
43%
40%
顧客の企業情報 13%
47%
39%
27%
調査対象: 北米、欧州、中南米、アジア太平洋地域に本拠を置く従業員
1,000 人以上 (欧州の場合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 1,307 人
資料: Forrester Consulting が SAP hybris およびアクセンチュア・イン
タラクティブの委託を受けて実施した調査 (2015 年 9 月)
›
「顧客に関する次の情報は、販売・マーケティング・
チャネルを通じて、どの程度入手できますか?」
顧客データは、一部のチャネルからしか入手できない。
売り手は、パーソナライゼーションに必要な顧客データ
がすべてのチャネルから入手できるわけでなく、一部の
チャネルに限られていると回答しています。 たとえば、
顧客名、購買/サービス利用履歴、企業情報などは幅広く
入手できるものの、パーソナライゼーションに不可欠な
これ以外の情報 (価格情報など) はすべてのチャネルから
得られるわけではありません (図 6 参照)。
売り手は、オムニチャネル体験を調整
する必要がある
Forrester のこれまでの調査から、「オムニチャネル・ソリ
ューションに不可欠なのは、顧客が必要とするときに、ニ
ーズに応じた、一貫性のあるコンテンツ、データ、および
調査対象: 北米、欧州、中南米、アジア太平洋地域に本拠を置く従業員
1,000 人以上 (欧州の場合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 1,307 人
資料: Forrester Consulting が SAP hybris およびアクセンチュア・イン
タラクティブの委託を受けて実施した調査 (2015 年 9 月)
トランザクション・サービスをすべてのチャネルに提供す
るためのテクノロジーと有効なビジネス・プロセスであ
1
る」という結論が導かれています。 売り手は、オムニチ
ャネル・タッチポイントを提供しようと努力しています。
この点では正しい方向に向かっているのですが、一方で、
リアルタイムな運用をサポートするためには、IT プラット
フォームと人材、そして「アジャイルな」プロセスとの連
携を加速させる必要があります。 パーソナライズされたオ
ムニチャネル・エンゲージメントに必要な要素は以下のと
おりです。
6
今日の複雑なカスタマー・ジャーニーをサポートするテ
クノロジー。 顧客は自由に、購入までの道筋を辿ること
ができます。 見込み顧客の購入までの流れは、必ずしも
一定してはいません。 今日の B2B 企業は、カスタマ
ー・ジャーニー全体にわたる顧客エンゲージメントをサ
ポートするビジネス・テクノロジーの導入計画を策定し
なければなりません。 このような顧客サポートに必要な
テクノロジーを導入する場合は、以下のような段階を踏
んで進めていきます。
図7
カスタマー・ジャーニーをサポートするテクノロジー
ライフサイクル・ソリューション
顧客サービス・
ソリューション
• カスタマー・ジャーニー・マップを作成し、顧客の
一般的な興味、関心や行動を理解する。
興味・関心
も顧客ニーズも絶えず変化しているため、オムニチャネ
ル体験を徹底的に追求することは、急激な変化に対応で
きる「アジャイルな」ビジネス・プロセスを取り入れる
ことに他なりません。 反復型開発の手法に倣い、試作、
開発、テスト、微調整を繰り返すソリューションが必要
になります。 すなわち、カスタマー・ジャーニーを常に
念頭に置き、顧客ニーズを掘り起こし、ニーズに応じた
デジタル・エンゲージメントを設計し、エンゲージメン
トを提供するための計画を立案し、成果を分析するとい
うサイクルを継続的に繰り返すことです。
購入
エンゲージ
メント・プラ
ットフォーム
イン
タラクシ
ジー
ョン・テクノロ
デジ
タルデ
ジー
リバリー・テクノロ
ン
フ
ラス
トラ
イ
›「アジャイルな」分析と改善のプロセス。 デジタル環境
情報収集
使用
• このような機能と自社のシステム・オブ・エンゲー
ジメント (SoE) を比較し、既存のシステムまたは新
規投資によって埋めることができるギャップを見つ
け出す。
「組織内の人間が有望な見込み客を見出し、接点
を作ることができ、これが成果につながること。
これが当社にとって大きな牽引力になっています。
このためには当社のスタッフや代理店が顧客に接
するときに最適なすべての情報が、すぐに手に入
ることが重要であり、これにより、当社が市場を
牽引しているという印象を与えることができます。
このような仕組みが、当社のブランドを支えてい
ます」
— 某大手製造業者の財務責任者
販売およびフル
フィルメント・
ソリューション
発見
問い合わせ
• カスタマー・ジャーニーの各段階で顧客にサービス
を提供するために各企業が必要とする機能を決定
2
する。
カスタマー・ジャーニーの各段階におけるエンゲージメ
ントに役立つテクノロジー・ソリューションはいくつか
ありますが、重複する部分があり、複数のタッチポイン
トに関わる場合もあります (図 7 参照)。 既存の機能を確
認したら、次に重要なのは、これをチャネル全体に拡張
できるプラットフォームであることを確認することです。
エンタープライズ・
マーケティング・
ソリューション
プロダクト・
イノベーション・
ソリューション
統合テクノロジ ー
ジ
ノロ
テク
クチャ
・
ト
およびコンテキス
ー
›
資料: 「Elevate Omni-channel Customer Experience With Continuous
Business Services」、Forrester Research, Inc.、2015 年 5 月
›
オムニチャネルを実現するために必要な、適切な人材と
パートナー。 優れたオムニチャネル顧客エンゲージメン
トを実現するためには、優れたデジタル体験や顧客体験
を提供することに最優先で取り組み、全員が共通の目標
に向かって進むことができるよう、組織をまとめ上げる
ことができるリーダーが必要となります。 また、リーダ
ーだけでなく、戦略、テクノロジー、顧客体験を担当
し、オムニチャネル時代に対応できる多様な人材も必要
となります。 新たな取り組みに向けてシステム間のギャ
ップを埋め、市場投入までの時間を短縮するために、多
くの企業がサードパーティに頼っています。実際、
Forrester Consulting がアクセンチュア・インタラクティ
ブの委託を受けて最近実施した調査では、B2B 企業の
87% が、デジタル戦略の少なくとも一部について、社外
プロバイダーと協働していると回答しています。
Forrester の調査「Q2 2014 Global eBusiness And
Channel Strategy Professional Online Survey」でも、
e-ビジネス担当者は幅広いサービスについて信頼できる
コンサルタントと協働していることが明らかになりまし
た (図 8 参照)。
「5 ~ 10 年前だったら、実装やプロジェクト管理は
IT 専門担当者が引き受けていたと思います。 ま
た、当時は社内にたくさんのスタッフがいたと思
いますが、今はもうそんな必要はないでしょう」
— 某大手製造業者の財務責任者
7
図8
e-ビジネス担当者はギャップを埋めるために信頼でき
るコンサルタントと協働している
「以下のシステム間連携やデジタル化に
関するサービスのうち、過去 2 年間
に利用したものを選択してください」
グローバル市場拡大コンサルティング
52%
システム/チャネル連携
51%
e-ビジネス・テクノロジー選択サポート
49%
品質保証 (QA)
46%
導入後のアプリケー
ション開発 (機能強化)
44%
Web サイト最適化サービス
43%
プラットフォームおよび e-ビジネス・
テクノロジーのアップグレード
43%
要件開発
41%
チャネル戦略コンサルティング
41%
導入後のアプリケーション・サポート
38%
システム設計とアーキテクチャー
38%
プラットフォームおよび e-ビジネス・
テクノロジーの運用および保守管理
e-ビジネス・カスタマー・
エクスペリエンス
開発およびテクノロジー導入
プログラムおよびプロジェクト管理
35%
34%
33%
31%
調査対象: e-ビジネスおよびチャネル戦略担当者 85 人
資料: Forrester 調査報告書「Q1 Global eBusiness And Channel
Strategy Survey」
8
主な提案
世界トップレベルのオムニチャネルでの B2B e コマースを実現するためには、組織が一丸となって取り組まなけれ
ばなりません。 このためには適切な IT プラットフォーム、経験豊かで有能な e コマース担当者が必要であり、顧客
満足にこだわる企業文化を育むことが重要となります。 今回、Forrester は B2B における買い手と売り手を対象と
して徹底的な調査を行いました。この結果に基づき、製品の差別化を図り、顧客の時代を生き抜こうとする B2B 企
業に、以下のとおり提案します。
›
›
›
市場を牽引するパーソナライゼーション機能の開発と提供に優先的に取り組む。B2B 企業はカスタマー・ジャー
ニーの全段階にわたるさらなるパーソナライゼーションを求めており、これを可能にする売り手には相応の対価
を支払う用意があります。 B2C のようなパーソナライズされた顧客体験を提供できなければ、競合他社に先を越
されてしまいます。 テクノロジーの活用、データの共有、そしてパーソナライゼーションにより顧客満足度を高
めることができる人材を採用すること。これはもはや選択肢の一つではなく、必須要件です。
製品の継続的な評価と改善。 デジタル・ビジネスの構築と改善は単発的な取り組みではなく、継続的改善のプロ
セスです。 新たな改革の計画を立て、実行する場合、その有効性を把握する唯一の方法は、成果を評価すること
です。 常に進化し続けるデジタル・エンゲージメントを提供するためには、継続的・反復的な評価、分析、微調
整が必要になります。
オムニチャネル戦略に取り組む。 本調査から、買い手は、どこにいても情報収集し、購入できること、そして各
タッチポイントを連携させたシームレスな顧客体験を期待していることが明らかになりました。しかも 2 年連続
でこのような結果が得られました。 各チャネルが分断されサイロ化している場合は、今すぐに対処しないとさら
に後れを取ることになります。 B2B 企業は、オムニチャネル機能を最大限に活用するために、全社的なデジタル
戦略を検討し、テクノロジー、組織構造、そしてプロセスを調整する必要があります。
「(デジタル変革の) 全体像や規模が重要になります。 変革への長い道のりの第一歩は、基本に立ち返ることです」
― 某製造業者のディレクター
›
定評のあるパワフルなプラットフォーム上に構築する。 チャネル全体にわたってシームレスな顧客エンゲージメ
ントを提供するためには、異なる複数のシステムを連携させる必要があります。 適切な統合プラットフォームを
導入し、タッチポイントや企業内のシステムを連携させることで、チャネル間で容易にデータを共有できるよう
になります。 より高度なデジタル技術を備えた企業は、各タッチポイントでシームレスな顧客体験を提供するた
めに、内部 API を駆使し、プロセス間通信を実現しようとしています。
「かつてと比較すると、レガシーシステムのマスターデータを販売店や販売店の顧客が利用できるようになったことは、飛躍的
な進歩を遂げたと言えます。」
― 英国に本拠を置く某自動車メーカーのソリューション担当者
›
経験豊かなパートナーとのエコシステムを構築する。 刻々と進化するデジタル環境にあって、ほとんどすべての
企業がシステム間や部門間のギャップを抱えています。 このようなギャップを埋めるためには、有効な補完関係
を築くことができるパートナーとのエコシステムを構築することが重要となります。 社外のコンサルタントは、
上記に関するノウハウやリソースを提供します。 優れたコンサルタントなら、既に他のクライアントから評価、
戦術、導入、フルフィルメントなどについて相談を受け、同様の問題を解決した経験があるため、有益な助言を
受けることができるでしょう。
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付録 A: 調査方法
今回、Forrester は、北米、欧州、中南米、およびアジア太平洋地域の企業の B2B ビジネスにおける買い手 1,307 人およ
び意思決定者 750 人を対象としたオンライン・アンケート調査を実施し、買い手について、および買い手のオンライン体
験について評価し、B2B 企業が買い手の高まるニーズに応えるためにどのようにプラットフォームやテクノロジーを活用
しているかについて検討しました。 具体的には、業務関連製品のオンライン・ショッピングに利用するサイトや情報源、
オンライン・ショッピングを促す要因、今後期待される顧客体験について質問しました。 さらに、回答者 5 人に対して電
話による調査を実施し、さらに詳しいお話を伺いました。 本調査の実施期間は 2015 年 8 月から 2015 年 9 月までです。
プロジェクト・ディレクター: Mark Brozek、市場への影響に関するコンサルタント
付録 B: 調査対象
図 D1
調査対象バイヤー
国
7%
7%
従業員数
23%
8%
8%
8%
8%
8%
8%
8%
米国
ブラジル
メキシコ
オーストラリア
カナダ
中国
フランス
ドイツ
インド
英国
日本
1,000 ~ 4,999 人
5,000 ~ 14,999 人
4%
25,000 ~ 34,999 人
16%
8%
13%
役職/職位
9%
$10,000 ~ $49,999
33%
マネージャ
経営幹部
ディレクター
バイス・プレジデント
28%
$5,000 ~ $9,999
$1,000 ~ $4,999
31%
11%
35,000 人以上
$50,000 以 上
40%
25%
15,000 ~ 24,999 人
前年度の製品購入金額
9%
42%
30%
調査対象: 北米、欧州、中南米、アジア太平洋地域に本拠を置く従業員 1,000 人以上 (欧州の場合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 1,307 人
資料: Forrester Consulting が SAP hybris およびアクセンチュア・インタラクティブの委託を受けて実施した調査 (2015 年 9 月)
10
図 D2
調査対象セラー
前年度のオンラインチャネル経由での製品購入金額
8%
1%
12%
2 億 5,000 万 ~ 4 億 9,990 万ドル
35%
22%
企業の総売上高
25% ~ 49%
50% ~ 74%
11% ~ 24%
75% 以上
1% ~ 10%
0
20%
5 億ドル ~ 9 億 9,990 万ドル
33%
10 億 ~ 50 億ドル
50 億ドル超
27%
19%
23%
調査対象: 北米、欧州、中南米、アジア太平洋地域に本拠を置く従業員 1,000 人以上 (欧州の場合は 1,500 人以上) の企業の意思決定者 750 人
資料: Forrester Consulting が SAP hybris およびアクセンチュア・インタラクティブの委託を受けて実施した調査 (2015 年 9 月)
付録 C: 補足資料
FORRESTER 関連調査報告書
「Evaluate Your B2B eCommerce Maturity」、Forrester Research, Inc.、2014 年 11 月
「Elevate Omnichannel Customer Experience With Continuous Business Services」、Forrester Research, Inc.、2015 年 5 月
「Accelerate Digital Business With A BT Agenda」、Forrester Research, Inc.、2015 年 6 月
「Linking Customer Engagement To Business Capabilities In The Age Of The Customer」、Forrester Research, Inc.、
2015 年 2 月
「Death Of A (B2B) Salesman」、Forrester Research、2015 年 4 月
「Forrester Wave™ B2B Commerce Suites, Q2 2015」、Forrester Research、2015 年 6 月
アクセンチュア・インタラクティブ、SAP HYBRIS に関する調査報告書
「Digital Transformation in the Age of the Customer」、Forrester Consulting、2015 年 10 月
「Building the B2B Omni-channel Commerce Platform of the Future」、Forrester Consulting、2014 年 11 月
「Customer Desires vs. Retailer Capabilities: Minding The Omni-channel Commerce Gap」、Forrester Consulting、
2014 年 1 月
「Digital transformation: Re-imagine from the outside-in」、アクセンチュア・インタラクティブ、2014 年
11
付録 D: 巻末注
1
資料: 「Elevate Omnichannel Customer Experience With Continuous Business Services」、Forrester Research, Inc.、
2015 年 5 月
2
デジタル化によって力を得た顧客はコンテキストからコンテキストへと移行します。このような状況で顧客エンゲージ
メントを高めるためには、様々な機能が必要になります。Forrester は企業に必要なこのような機能を 8 分野に大別し、
検討しました。 詳細については、 「Linking Customer Engagement To Business Capabilities In The Age Of The Customer」
(Forrester Research, Inc.、2015 年 2 月) をご覧ください。