第 78 回国際大学協会(IAU)理事会報告書 第 78 回国際大学協会(IAU)理事会は、平成 25 年 4 月 23 日(火)~24 日(水)の日程で、英国マンチェス ターで開催された。今回の理事会は、昨年 11 月の IAU 総会で国際大学協会日本協力会の辻中豊会長が理事とし て選ばれて初の理事会であった。IAU 会長 Dr. Dzulkifli Abdul Razak(マレーシア)を始め、アフリカ(4 大学) 、 アメリカ(3 大学) 、アジア太平洋(5 大学) 、ヨーロッパ (5 大学) 、組織団体(4 団体)の理事及び副理事などが 出席した。 The Lowry Salford Quays(理事会会場) 【第 78 回国際大学協会(IAU)理事会】 (資料 6 参照) 1. 前日に開催された、IAU 執行委員会(Executive Committee Member)の議題が本理事 会で承認された。主な内容は、IAU 理事メンバーである浙江大学(中国)Yang Wei 学長の 辞任にあたり、一般的に後任となる副理事(アジア)が不在のためウェイ学長の後任の浙 江大学学長(未定)が引き継ぐことで承認された。また、浙江大学が後任を出せない場合 は、中国の IAU メンバー校が候補者となった。中国の代表者が理事に就くというのは、非 常に重要であるとの認識による。また、過去の理事会では、随行者の理事会陪席が認めら れていたが、今回の理事会より、言語の問題(通訳などの必要性)以外では、基本的に参 加が認められないと決まった。幾つか挙げられた理由として、費用の問題、理事のコミッ トメントの低下、会議の雰囲気の変化があった。 2. 第 77 回理事会議事録が承認された。同理事会に関連する活動は、①IAU の活動を UNESCO により理解してもらう手紙を、各国理事の UNESCO 派遣代表者に書くことが提 案された。IAU と UNESCO は設立依頼特別な関係にあり、UNESCO のビルを無料で借り るなど便宜供与があるが、UNESCO がそれについて疑問を呈しているため、IAU 事務局が 各理事に支援を求めた。エヴァ事務局長は、3 名の大使と会い、今後 4 件の会合を予定して いる。*理事からは、政治的な支援がなく行うのは困難であるとの意見もあった。③IAU 理 事選挙の投票手続きの規定について、一人一票以上投票ができないという文章に改定され 承認された。④IAU が Global Academy Job (GAJ)と契約を結んだことが紹介された。メン バー校は GAJ のウェブサイトに教職員募集の広告を割引価格で載せてもらうことが出来る。 3. IAU 執行委員会の紹介が行われた。また、執行委員会の規約の修正について確認が行わ れ、finance committee が担っていた責任を treasurer が 担うとなった。また、「執行委員会は、財務状況を監視 し、資金計画を立て、投資の方針・指針を見直す。 」と、 規約条項が追加された。 4. 2012年4月に行われた執行委員会会議のレポー トが提出された。 The Lowry Salford Quays (会議室) 5. 各理事から、自国の高等教育機関の現状について発 表があった。 ①ルーマニア副理事(Remus Pricopie, Rector, National University of Political Studies and Public Administration, Romania, Minister of Education) ②スウェーデン理事(Organization: Marianne Granfelt, Secretary-General, Association of Swedish Higher Education (SUHF)) ③ナイジェリア副理事(Abdulganiyu Ambali, Vice-Chancellor, University of Ilorin) ④イタリア理事(Angelo Riccaboni, Rector, University of Siena) ⑤アメリカ理事(Stephen Freedman, Provost, Fordham University) ⑥フランス理事(Patricia Pol, Policy Advisor for European and International Affairs, Université Paris-Est Créteil Val De Marne) ⑦レバノン理事(Walid Moussa, President, Notre Dame University-Louaize) ⑧スペイン理事(Daniel Hernandez Ruiperez, Rector, University of Salamanca) ⑨アルゼンチン理事(Juan Tobias, University of Salvador) ⑩Organization 副理事(Roberto Escalante Semerena, Secretary-General, Association of Universities of Latin America and the Carribean (UDUAL) Mexico) ⑪リソト副理事(Sharon Siverts, Vice-Chancellor, National University of Lesotho) ⑫アフリカ連合(Etienne E. Ehile, Secretary-General, Association of African Universities (AAU), Ghana) ⑬日本理事(筑波大学、辻中豊学長特別補佐) ⑭オーストラリア理事(Anna Ciccarelli, Deputy Vice Chancellor and Vice President, The University of Queensland) ⑮英国理事(Sir Howard Newby, Vice-Chancellor, University of Liverpool) ⑯プエルトリコ理事(Manuel J. Fernos, President, Inter American University of Puerto Rico)*第14回 IAU 総会の主催大学(平成24年11月サンフアン開催) ⑰タイ理事(Pornchai Mongkhonvanit, President, Siam University) ⑱マレーシア会長 (Dzulkifli Abdul Razak, Former Vice-Chancellor University Sains Malaysia and Vice-Chancellor, Albukhary International University) ⑲ヨルダン理事(Khalid Omari, President, Jerash University) ⑳スイス名誉会長(1985‐1990 会長) (Justin Thorens, Former Rector, Université de Genève) ㉑ドイツ副理事(Godehard Ruppert, Chairman, Bavarian University Association) 6. IAU 活動計画 2013‐2016(資料 7 参照) 第 14 回 IAU 総会にて採択された 2013‐2016 の活動計画について事務局から発表があり、 理事の間で、IAU の役割について様々な提案がされた。途上国の学生を支援する基金の設立、 Profit Institution も IAU 会員として認めるなど、途上国や先進国など各国の利益となる提案 が各理事から出された。その他に、IAU が国際的な組織としての国・地域レベル組織との違 い、IAU メンバー校が何を得られるのか明確にする、他の組織団体との共同メンバーシップ を与える、各地域により関心が異なるため各地域の利益に繋がる戦略を立てる、各国の主 流な大学をメンバーに引きつけることの重要性などが議論された。 7. 財務報告書(資料 8 参照) 2013 年の会計報告及び、2014 年の予算計画が承認された。 Manuel Fernos(財務担当)より、赤字決算(2 年間)について、IAU World Higher Education Database – WHED の関連費用、及び UNESCO の賃貸料が 2014 年から徴収されるためと 説明があった。そのため、IAU へのメンバーを増やすことが必須であり、理事への協力が求 められた。 8. 主な活動プログラム ①委員会(作業部会) ・・・各委員会(8)のメンバーは、理事の希望及び地域的なバラン スを考慮し選ばれた。辻中理事は、日本、オーストラリア、ヨルダン、イタリア、フラン ス、スペイン、ジャマイカ、南米カリブ連合(UDUAL)の理事で構成する国際化委員(資 料 9 参照)の委員長に就任した。 ②Swedish International Development Agency (SIDA)・・・IAU の主要な収入源である SIDA が、2012 年末に IAU 組織の経営財務監査を行い、IAU は SIDA からの提言を盛り込んだ行 動計画を作成することとなった。そのため、会長や事務局の責任や権限が述べられた草案 が示されたが、理事からは、IAU 事務局の責任として、戦略的に計画をたてることの必要性 が述べられた。さらに、Manuel Fernos(プエルトリコ理事)が、行動計画を書き直すこと を提案され、理事により承認された。次の理事会から本格的に議論を始め、次回総会に向 け戦略的計画の準備を始めることになった。 ③その他 IAU の活動・刊行物について議論された。IAU 会議日本開催について、IAU 事務 局から紹介があった後、辻中理事が、①日本での開催については決定していない。②会議 の目的は、IAU へのコミットメント及び、日本の IAU 加盟大学の活性化を目的として行わ れる。③会議の開催の可能性については、日本協力会において決定すると説明した。Justin Thorens(スイス名誉会長)から、国連大学の参加について提案があった。 9. ~ 11.今後の IAU 理事会・国際会議・総会等について ●次回の理事会は、2014 年 3 月 18 日~19 日にイキトス・ペルー で開催される。 ●2014 年の IAU 国際会議は、理事会後に、Indigenous に関連する 議題で、開催される。理事からは、IAU のメンバーが 7%の地域 で、首都以外の場所で会議を行うのは、財政的にリスクがある、 また、参加者が興味を持つプログラム(講演者を含む)が必要と 発言があった。講演者として、ヨルダン皇太子、UNDP 事務局長、 ノーベル化学賞受賞者(メキシコ)などの案が出された。 ●2 年に一度開催される、GAM(Global Association Meeting)会 議の 2015 年開催地はアフリカ大学連合の申出によりアフリカの ガーナで開催される ●2015 年の国際会議開催は、Mr. Angelo Riccaboni(イタリア理 理事メンバー(辻中会長 3 列目右端) 事)が主催する可能性について述べられ、確認することで決ま った。 ●第 15 回 IAU 総会(2016 年 11 月開催)の開催は、Mr. Pornchai Mongkhonvanit(タイ理 事)が、タイで開催する可能性について検討することで同意した。南米カリブ大学連合は、 南米のメンバー校で IAU 会議の開催に関心があるか確認すると発言あった。
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