第 142 号 2014. 1.20 - 福井大学広報センター福井大学広報センター

第 142 号
2014. 1.20
News&Topics
エストロゲンの脳神経保護作用に迫る
「
学生のビジネスアイデア
島津科学技術振興財団の研究助成に採択
エストロゲンは女性特有のホルモンと考えられがちです
が、男女問わず存在し中枢神経系においても重要な役割を
果たしています。脳梗塞の前触れである脳虚血、てんかん、
自己免疫性疾患や神経変性疾患などでエストロゲンによる
神経保護作用が重要であることが報告されていますが、こ
れまで脳内エストロゲン受容体の動きを生体内で観察する
方法はありませんでした。
高エネルギー医学研究センターでは、これまでにエスト
ロゲン受容体を生体イメージングできる PET 薬剤:18F-FES
(フルオロエストラジオール)の簡易合成法を開発し、主
に婦人科領域で子宮筋腫と肉腫の鑑別診断などについて検
討を行いその有用性を報告してきました。
センターの辻川哲也准教授はこの方法を脳に応用し、脳
疾患モデル動物および患者においてエストロゲン受容体の
発現程度とその経過を生体イメージングできれば今後適切
な投薬治療法の確立につながるとして、島津科学技術振興
財団の研究助成に応募したところこのほど採択されました。
辻川准教授はこの FES-PET 検査の研究に合わせて、脳障害
時に血液と脳の組織液との間の物質交換を制限する機構で
ある血液脳関門の破綻があるかどうかや神経保護作用を阻
害する酸化ストレスの程度なども FES 以外の PET 薬剤を用
いて検査できないか検討し、新たな知見や治療法の開発に
つながる有用な情報を提供したいとしています。
問い合わせ 高エネルギー医学研究センター
辻川 哲也 准教授 0776-61-8434
“Pick Memo”メモ以上のメモを手にするシステム
メモやノートといえば、筆記が当たり前でしたが、今で
はスマホやタブレットのメモ機能で残すことが主流になっ
てきました。原子力・エネルギー安全工学専攻 前期課程 2
年の山森 文生さんは、オンラインのメモやノートにある必
要な単語やユーザーの思考法を一目瞭然で確認できる
“Pick Memo”というシステムを開発。「クリエイティブ・ベ
ンチャー・シティ金沢ビジネスプランアワード 2013」を受
賞しました。
自分が書き記したメモやノートをいつでも取り出せるよ
うに開発されたアプリ「エバーノート」は、整理しなくて
も検索で目的のメモをみつけるシステムが構築されていま
す。しかし、山森さんはこの「エバーノート」のユーザー
は引き出したい情報だけしか、引き出せないという短所に
気付き、もっと人間の脳活動を活発にするような柔軟性を
加えたシステムが作れないかと考えました。
山森さんが考えたのは、「エバーノート」を基に、過去
のメモ履歴の中から、筆者が多用するキーワードや思考傾
向を自動的に反映させた“強化メモ”として閲覧できるとい
うシステムです。また、表示される文字は色や大小がつき
見やすくなっているのも特徴。蓄えたメモ以上に新たな関
連キーワードが追加されることもあり、ユーザーが得意と
する領域以外からも、関連する言葉に出会い、今までにな
いアイディアや興味をさらに見つけ出せる可能性もありま
す。山森さんは「この“Pick Memo”をビジネスにしながら、
世の中に必要なモノが何かを自分で考えて実現していきた
い」と今後に向けて、イメージを膨らませています。
問い合わせ 工学研究科 原子力・エネルギー安全工学専攻
小高 知宏教授 0776-27-8546
学生企画のジビエフェア
~おいしく食べて理解を促す~
ジビエの消費拡大を図ることで獣害に悩む農林業従事者
の支援を行おうと、1 月 27 日から 30 日まで教育地域科学部
の学生が企画した「ジビエフェア」を開催します。
嶺南地方で特に多いイノシシやシカの獣害を問題視した
教育地域科学部の学生6名が、初めは授業の一環として文
献調査に取り組み、さらに猟友会や県庁の担当者へのイン
タビュー、現地調査などを通して獣害に関する理解を深め
ました。食材としての消費拡大が捕獲促進の一助となるこ
とを知った後は、フォーラムに参加したり、レストランを
食べ歩いたりしながらおいしい料理法を研究。普段ジビエ
になじみの薄い学生にも広く提供しようと、安価で簡単に
作れるレシピを作り、学生食堂にメニューの採用を持ちか
けました。
教育地域科学部3年の高木 優吾さんは「今回提供する猪
肉によるすきやき丼を多くの人に味わってもらいたいで
す」と期待を込め、「当日は調査結果をまとめた冊子も配
布します。併せて、獣害についての理解も深めて欲しいで
す」と話しています。
と き 1 月 27 日(月)~30 日(木)
ところ 学生食堂(文京キャンパス)
備 考 1 月 27 日(月)11:00~12:00 まで、担当学生が
学生食堂にて取材対応します。
ジビエ料理の試食もご用意しています。
問い合わせ 教育地域科学部 地域政策講座
三浦 麻 准教授 0776-27-8695
★次号は 2 月 10 日発行です。
今年もどうぞよろしくお願いします。
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