消費者契約法による取消と遡及効 平成13年4月1日以降に締結された契約には、消費者契約法が適用されます。消費者契約法は、 これまで錯誤、詐欺、脅迫を立証出来ず泣かされていた消費者を救済する意義を持ちます。 消費者契約法のポイントは、以下の通りです。 A 事業者と消費者間の、全ての消費者契約に適用されます。 事業は、個人事業、法人、公法人、非営利を問いません。弁護士、行政書士などの専門職種も 事業者に含まれます。ただし、労働契約は除かれます。 ※ なお、事業として又は事業の為であっても、事務所を構えたり、従業員を雇った りしていない場合、或は開業準備段階の場合等には、消費者として扱われます。 B 事業者の行為が消費者契約の勧誘に際し、次の5つに該当すると、契約の取消が出来ます。 ※ なお、契約の媒介の委託を受けた第三者の行為にも準用されます。 イ 不実の告知 → 「重要事項」について ロ 断定的判断の提供 ハ 不利益事実の不告知 → 「重要事項」に関連する事項も含む ニ 退去妨害 ホ 不退去 ※ 「重要事項」とは、物品、権利、役務、その他の消費者契約の目的となる質、用途その他の 内容や対価その他の取引条件に関する事項で、かつ、消費者が契約締結をするか否かの判断 に通常影響を及ぼすものをいいます。 C 取消は、追認可能時点から6ケ月以内、又は契約締結時が5年以内なら行使出来ます。 D 以下の不当条項は、無効とされます。 イ 事業者の賠償責任を免除する条項 ロ 債務不履行、不法行為、瑕疵担保による損害賠償責任を全部免除する条項 ハ 事業者の故意又は重過失による債務不履行、不法行為の損害賠償責任を一部免除する条項 ニ 損害賠償額の予定 ただし、解除にともない事業者に生じる平均損害額を超える部分のみが無効です。 ホ 履行遅滞の場合の賠償額又は違約金の予定 ただし、履行期日に支払われる金額に 14.6%を掛けた金額を超える部分のみが無効です。 ※ なお、金銭消費貸借契約の場合は、特別法の利息制限法が優先されます。 ヘ 消費者の利益を一方的に害する条項 a 民法その他の任意規定の場合に比べて、消費者の権利を制限し又は義務を加重するもの b 信義誠実の原則に反するもの c 消費者の利益を一方的に害するもの ・「勧誘をするに際し」とは → 業者が、消費者に最初に接触してから契約を締結するまでの時間的経過においての意です。 ・ 勧誘とは、口頭の説明等により特定の消費者に働きかけ、契約意思形成に直接影響を与える 行為をいいます。 なお、有力説によれば、不特定多数向けのパンフレット、説明書、チラシ等であっても、 その内容に誤認させる記載があり、その印象が残って誤認を引き起こされたのであれば、 これを勧誘概念から排除すべき理由はないとされます。 消費者契約法による取消の遡及効について
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