24 . 非アルコール性脂肪性肝疾患における膵β細胞機能 改善に関連する食事運動療法による体組成の変化 佐賀大学 医学部 内科学 北島陽一郎、高橋 宏和、辻 千賀、 尾崎 岩太、安西 慶三 医療法人 ロコメディカル 江口病院 消化器内科 北島陽一郎、小野 尚文、江口 尚久 佐賀大学 医学部 肝疾患医療支援学 江口有一郎 JSG-NAFL 北島陽一郎、高橋 宏和、江口有一郎 【背景】NAFLD/ NASH の病態は内臓脂肪、骨格筋、膵などの多臓器と関 連している。我々は NASH の肝線維化進展において膵 β 細胞の機能低下と筋 組織の萎縮を示し、さらに NAFLD での食事運動療法前後において、骨格筋の 質や量の改善を認めることを示してきた。今回は、介入前後で骨格筋の質・ 量の変化と膵 β 細胞機能に関連が見られるかを検討した。 【方法】対象はNAFLD と診断され6カ月間の食事運動療法クリティカルパ スを行い完遂した症例。肝脂肪化は肝臓/脾臓 CT 値比( LSR)で、線維化予 測は Fib 4 index で評価した。骨格筋の評価は臍部 CT 断面の腰筋群を画像解析 して、筋脂肪化の指標として IMAC( intra-muscular adipose tissue content)、 全身骨格筋量の指標として SAI( skeletal muscle area index)を用いた。膵β 細胞機能としては HOMA-β を用いた( IRI×360/ FBS-63)。骨格筋の質 と量の変化を区分して評価するために、パス前後の IMAC、SAIの変化率をも とに、筋脂肪減少・筋量増加群( A 群:IMAC-/ SAI+)、筋脂肪減少・筋量 減少群( B 群:IMAC -/ SAI -)、不応群( C群:NR)の3群に区分した。ま た HOMA-β 減少と関連する因子を多重ロジスティック解析で検討した。 【成績】対象は 60 例で(女性:30 例) 、37例( 61.7%)で体重5%以上の減量を 認め、空腹時の血糖・インスリン、筋脂肪化は有意に減少し、筋量は維持さ れていた。一方、体重非改善群では空腹時の血糖・インスリン、筋脂肪化は 不変で、さらに筋量の有意な減少を認めた(いずれも p< 0 . 01)。骨格筋の質 と量の変化で区分した 3 群間において、A群はC群に比較してBMI、肝脂肪化 の有意な減少と(いずれも p< 0 . 01)、FIB4 index、空腹時血糖、インスリン、 HOMA-β の減少傾向を示した。B 群は C群に比較して BMI、肝脂肪化の有意 な減少を示した(いずれも p< 0 . 01 )。HOMA-β減少に寄与する独立因子とし ては、LSR改善( OR:6.8, p<0.05) 、IMAC-/ SAI+ ( OR:27.7, p<0.05) 、 VFA 減少( OR:6 . 9, p= 0 . 07 )が抽出された。 【まとめ】NAFLD における食事運動療法では、筋量増加と筋脂肪化の改善 が膵β細胞機能亢進の改善に寄与することが明らかになった。一方、骨格筋 脂肪化の改善があっても筋量も減少する食事運動療法では、BMIや脂肪肝改 善はあるものの、膵β 細胞機能亢進改善は認められなかった。膵 β 細胞機能 亢進の改善には、肝脂肪化の改善、筋量の増加、内臓脂肪の減少を目指した 食事運動療法が有用であると推察された。
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