3次元画像検査システムの最適化

3次元画像検査システムの最適化
クワンタービュー株式会社/取締役 劉 暁紅
近年、CPUの高性能化と処理アルゴリズムの進化によって、画像処理、ロボットビジョンは3次元
処理が身近なものになっている。3次元計測の一般的な手法は大きく分けて接触と非接触に
分類できる。
非接触分野には更に三角測量法、干渉法、TOF、Depth from Defocus等がある。
本稿は三角測量法をベースにしたステレオマッチング法、パタン投影法と光切断法について、
弊社で経験した具体的な事例を交えて紹介する。
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はじめに
われわれは 3 次元空間に生きている。人間は画
素数億を超える目を 2 つ有し、瞳間隔は約 65mm。
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3次元計測の事例
2.1 ステレオカメラによる卓球軌道の計測と卓
球ロボットの開発
観察する際、人間は角度を変えながら、対象物を
卓球ボールは直径 40mm、色は白またはオレン
凝らし、輝度、色相の変化から対象物の形状を感
ジでなければならない。ボールのスピードは初心
じる。場合によっては、指で触ったりし、触感情
者の秒速 5 メートルからプロの秒速 30 メートルま
報も駆使し総合的に判断する。しかし、人の主観
で多岐にわたる。今回のテーマは初心者レベルの
判断は人の生理的、心理的な要素に左右され、一
人間と協調し、ラリーできる卓球ロボットを作成
定なものではない。また、人と人の間個人差が存
することにした。
在し、定量的に定めることは難しい。
2.7m の卓球台を抜けるのに初心者レベルの球
一方、産業用システムにおいては、多くの検査
で約 0.3 から 0.5 秒かかる。80fps のカメラで撮る
対象物は形、色がシンプルな物が多く、しかもこ
場合、24 から 40 フレームの画像が撮れる。Point
れらの情報は事前に把握することができる。この
Grey Research 社 の GigE カ メ ラ FL3-GE-
ような対象物には、適切な照明状況と測定アルゴ
03S2C-C を 2 台用い、外部トリッガで同期させ、
リズム、固定角度で適度な解像度の 2 次元画像処
ステレオカメラを構成した。ロボットは高速デル
理によって、位置決め、欠陥検査ができる。
タロボットヤマハYD-1100 を使用した。先端部に
しかし上記のとおり、測定対象物は基本的に 3
α、βの回転軸を加え、ラケットの XYZ 空間位置
次元空間に存在し、形状シンプルな物以外は 3 次
とともに、煽り、正手、逆手の制御も可能。
元的に把握することによって、より高度な検出、
卓球台にカメラ校正用チャートを敷き、カメラ、
測定ニーズに応えることができる。
ロボットアーム共通のワールド座標系を確立した
(図 1 、2)。
eizojoho industrial
October 2014︱39