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特色ある重点研究 - 香川大学医学部

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様式2
特色ある重点研究最終成果報告書
研究課題名
糖鎖構造の認識を基盤とする感染と生体防御反応機構の解明
氏
研究代表者
中北 愼一
学部等名・職名
総合生命科学
研究センター・
教授
学部等名・職名
総合生命科学研
究センター・
准教授
〃
吉田 裕美
〃
神鳥 成弘
氏
西
研究組織
名
名
望
分担事項・役割等
研究の統括 ・糖鎖結合タンパク質の
X 線結晶解析
分担事項・役割等
糖鎖結合タンパク質の能解析
ヒト型糖糖鎖ライブラリー作製
糖鎖結合タンパク質のX線結晶解析
(平成 22 年度のみ)
宮田 茂
岡部 昭延
医学部・講師
医学部・教授
ウェルシュ菌酵素の調製
ウェルシュ菌酵素の調製
総合生命科学研
究センター・客
員准教授
バイオセンサーの作製
(平成 21 年度のみ)
宮西 伸光
平成23年度研究成果概要
本重点研究は,われわれが開発・保有しているヒト型糖鎖ライブラリーを用いて,糖鎖構造の認
識を基盤とする生体防御反応機構(細菌・ウィルス感染機構や免疫応答等)の解明を目的とし,①
X線結晶解析による糖鎖認識機構の分子レベルでの解明,②糖鎖認識に基づくバイオセンサーの開
発,③ヒト型糖鎖ライブラリーの医学・薬学への応用,の 3 点を中心に行った。本年度の研究成果
を以下に示す。 (1) 細胞接着活性を持つガレクチン 8 と糖鎖との複合体の X 線結晶解析に成功し
た。ガレクチン 8 は,2 つの糖鎖結合ドメインが 30 アミノ酸程度のリンカーでつながれた構造を
しており,極めて不安定である。今回,リンカー部分を短くした変異型ガレクチン 8 を用いて X
線結晶解析を行った。その結果,2 つの糖鎖結合ドメイン間の基質特異性の違いを立体構造の面か
ら説明できた。さらに,結晶中の分子パッキング構造から,ガレクチン 8 が様々なタイプの 2 量体
を形成することが示唆された。このことは,過去の構造学的研究あるいはバイオアッセイの結果か
らも支持されることであり,ガレクチン 8 が多重会合モードを持つ可能性を提唱した。この成果は,
学会発表を行い,現在,学術論文誌に投稿中である。 (2) ウェルシュ菌由来の糖鎖プロセッシン
グ酵素について,N-アセチルグルコサミニダーゼおよびガラクトシダーゼの結晶を得ることに成
功した。現在,X 線結晶解析に適した結晶化条件を探索中である。ウェルシュ菌由来のタンパク質
を研究している中で,ウェルシュ菌よりクローニングされたファージ由来のウェルシュ菌特異的溶
菌酵素(Psm)が見つかった。Psm は,ヒト型糖鎖には反応しないが,ウェルシュ菌の細胞壁を特
異的に分解することができ,臨床的応用の可能性が高い酵素である。今年度,Psm の X 線結晶解
析に成功し学会発表を行った。Psm は,糖鎖分解活性ドメインと細胞壁接着ドメインがつながった
極めて新しいタイプの立体構造を持っており,今後,基質複合体の X 線結晶解析等,研究を展開
する必要がある。 (3) ガレクチン 9 の標的分子の 1 つとしてイムノグロブリン E(IgE)が同定さ
れている。ガレクチン 9 と IgE 糖鎖の結合は,IgE・抗原複合体の形成を阻害し,結果的にマスト
細胞の脱顆粒を抑制する。ガレクチン 9 が認識する IgE の機能性糖鎖の同定を,マウスモノクロー
ナル IgE を用いて行った。その結果,定常ドメインに存在する Asn233 の N-結合型糖鎖がガレクチ
ン 9 の作用発現に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
平成22年度研究成果概要
(1) ガレクチン 9 は,活性化 T 細胞アポトーシス誘導をはじめ,様々な免疫応答に関与してい
る分子である。ヒト由来のガレクチン 9 の C 末側ドメイン(G9C-CRD)を用いて,枝分かれを 1
つ持つ天然型糖鎖との複合体の X 線結晶解析に成功した。その結果,糖鎖の 2 つの枝が,それぞ
れ別のタンパク質分子(C-CRD)によって認識されるという架橋構造を形成していることがわか
った。これは,世界で 2 例目となる糖鎖結合タンパク質・枝分かれ糖鎖の複合体の立体構造決定で
ある。また,シアル化糖鎖との複合体の X 線結晶解析にも成功し,G9C-CRD のシアル酸認識には
Arg221 が重要な役割を担っていることを明らかにした。本研究成果は,いち早く学術誌 J. Biol.
Chem. (Impact Factor 5.328) に掲載された。 (2) ガレクチン 3 が,糖尿病において持続する高血
糖状態により形成される終末糖化産物 (advanced glycation end-products, AGE) の受容体として機
能していることに着目し,AGE を迅速にかつ簡便に測定できるセンサーの開発を目指した。セン
サー基盤には Au を採用し,炭素鎖の異なる数種のスペーサーを用いて固定化し,表面プラズモン
共鳴によるセンシングを行ったところ,感度,精度とも炭素数 5 のスペーサーが最適であることが
わかった。ガレクチン 3 の糖鎖分子認識機構の解析では,単糖レベルでの分子認識が可能であると
いうことを世界で初めて見つけ,ガレクチン 3 は極めて有用なバイオセンサー素子となり得ること
が明らかとなった。また,センシングの感度向上を目的とし,「金黒めっき」によりセンサーチッ
プの表面積を広くし,検出物のセンサーチップへの結合量を増加させることを試みた。BAS を用
いた検証実験によりセンサー感度の向上を確認した。 (3) ウェルシュ菌がヒトに感染する際に
関与すると考えられる分泌型の糖鎖プロセッシング酵素には,2 種類のシアリダーゼ,1 種類のガ
ラクトシダーゼ,2 種類の N-アセチルグルコサミニダーゼが存在する。本年度は,ガラクトシダ
ーゼおよびシアリダーゼの基質特異性解析を行った。その結果,ガラクトシダーゼは分枝構造認識
能を持たず,どのような枝先のガラクトースも水解することがわかった。2 種類のシアリダーゼ
(NanI, NanJ)については,NanJ がほとんどの基質を水解するのに対し,NanI は2-6 結合した Nグルコリルノイラミン酸(非ヒト型)に対して働かないということがわかった。
平成21年度研究成果概要
(1) ガレクチン 8 とガレクチン 9 は,ともに 2 つの異なった糖鎖結合ドメイン(Carbohydrate
Binding Domain,N-CRD と C-CRD)を持っており,これまでに,ガレクチン 8 の N-CRD,および
ガレクチン 9 の N-CRD が,それぞれ単独で X 線結晶解析により 3 次元構造が決定されている。本
年度は,2 つの CRD を同時に持つプロテアーゼ耐性変異型ガレクチン 8,およびガレクチン 9 の
C-CRD の 3 次元構造を X 線結晶解析により決定した。プロテアーゼ耐性変異型ガレクチン 8 の X
線結晶解析は,低分解能ではあるが,2 つの CRD を持つガレクチンの最初の構造決定例であり,
分子内において 2 つの CRD がどのような位置関係にあるかを解明した。ガレクチン 9 の C-CRD
の X 線結晶解析においては,興味深いことに,結晶中において 3 量体を形成していた。このこと
は,ガレクチン 9 の分子会合状態について新たな可能性を示唆している。これらの構造の詳細につ
いては,次年度以降,糖鎖複合体の X 線結晶解析を中心に行い,糖鎖認識機構を解明していく。
(2) ウェルシュ菌は,糖鎖プロセッシング酵素として,2 種類の N-アセチルグルコサミニダーゼ
(NagH, NagJ)を分泌する。この 2 つの酵素について,それらの基質特異性の解析を行った。NagH
は,O-結合型糖鎖に働くと考えられている。そこで,人工的に O-結合糖鎖 (pNP-GlcNAc)を合成
し,これと反応させたところ,GlcNAc の水解反応が観察された。一方,N-結合型糖鎖と反応させ
たところ,ほとんど水解反応が起こらなかった。以上より,NagH が O-結合型糖鎖特異的に働くこ
とがわかった。NagJ については,O-結合糖鎖および N-結合型糖鎖の双方において水解反応が見ら
れた。さらに,NagJ の詳細な基質特異性を調べるため,種々の N-結合型ヒト型糖鎖を用いて反応
させたところ,枝分かれ構造の糖鎖において GlcNAc が非還元末端に複数存在している場合(特に
3 本鎖,4 本鎖)
,GlcNAc を1つだけ残して他の部分は水解してしまうという,いわゆる「刈残し」
現象が起こることを見出した。さらに,この「刈残し」現象は,長時間(24 時間)反応させても
見られた。以上の結果より,ウェルシュ菌は,NanJ を分泌し,この「刈残し」構造を残すことに
より,感染の際のターゲットとしている可能性が考えられた。次年度以降,ウェルシュ菌の他の糖
鎖プロセッシング酵素についても,それらの基質特異性を解析していく。
期間全体の研究成果及び実績
・(総論)
【学術的背景および目的】
糖鎖は,各種の単糖がグリコシド結合により数個から 20 数個つながったもので,生体内におい
て,構造体や栄養貯蔵体としてばかりでなく,情報提示・伝達といった重要な役割を担っており,
糖鎖生物学の研究は年々重要性が増し盛んとなっている。真核生物の膜タンパク質には,Asn のア
ミド N に N-結合型糖鎖,Ser,Thr の水酸基に O-結合型糖鎖が付加されており,その結果,細胞表
面は,これらの糖鎖よって覆われている。N-結合型糖鎖は,枝分かれ(分枝)を持つ複雑な構造
で,アレルギー反応やウィルス・細菌感染等に深く関与しているが,その多様さ・複雑さゆえ,特
定の糖鎖を大量に得るのが困難で,これらを大量に用いる研究は立ち遅れている。生体内で糖鎖を
認識しているのは糖鎖結合タンパク質である。糖鎖結合タンパク質には,糖鎖の枝分かれの度合い
により親和性が変化するものがあることから,枝分かれ構造を認識する機構が存在しているはずで
ある。また,糖鎖結合タンパク質の多様性から考えて,様々なタイプの分枝糖鎖認識機構が存在す
るに違いない。分枝糖鎖認識機構を分子レベルで調べるためには,糖鎖結合タンパク質・分枝糖鎖
複合体の X 線結晶解析を行う必要があるが,結晶化に供するのに十分量の均一な分枝糖鎖を入手
するのが困難であった。最近,本研究組織メンバーの中北は,ニワトリ卵黄のような生体資材から,
ヒドラジン分解を用いることにより,ヒト型糖鎖を,純度よく大量(10 mg 以上)に調製する技術
を開発し,様々な構造を持つ 100 種類以上のヒト型糖鎖の大量調製(ヒト型糖鎖ライブラリー)に
成功している。本重点研究では,このヒト型糖鎖ライブラリーを用いて,糖鎖構造の認識を基盤と
する細菌・ウィルス感染機構および免疫応答等の生体防御反応機構の解明を目的とし,①X線結晶
解析による糖鎖認識機構の分子レベルでの解明,②糖鎖認識に基づくバイオセンサーの開発,③ヒ
ト型糖鎖ライブラリーの医学・薬学への応用,の 3 点を中心に行うこととした。
【到達目標および達成状況】
3 年間の具体的な到達目標は,以下の 4 つである。
(1) ガレクチンと枝分かれを持つ天然型糖鎖とのX線結晶解析を行い,どのように枝分かれ構造が
認識されているか明らかにする。
(2) ガレクチン3を用いたバイオセンサーシステムを構築する。
(3) ヒト型糖鎖ライブラリーを用いて,ウェルシュ菌の糖鎖プロセッシング酵素の基質特異性を解
析し,その有用性を示す。
(4) その他の糖質生命科学に関する研究について継続的に行い,さらに新たな研究シーズを発掘し
ていく。
(1)については,ガレクチン 9 と 1 つ枝分かれを持つ糖鎖との X 線結晶解析に成功し,糖鎖の 2
つの枝が,それぞれ別のタンパク質分子(C-CRD)によって認識されるという架橋構造を形成し
ていることを明らかにし,いち早く学術誌 J. Biol. Chem. (Impact Factor 5.328) に掲載することがで
きた。到達状況としては極めて良好で満足のいくものである。今後はさらに複雑な糖鎖との複合体,
あるいはガレクチン以外の糖鎖結合タンパク質への研究を展開していく予定である。
(2)については,ガレクチン 3 が糖尿病において持続する高血糖状態により形成される終末糖化
産物 (advanced glycation end-products, AGE) の受容体として機能していることに着目し,AGE を
迅速にかつ簡便に測定できるセンサーの開発を目指した。ガレクチン 3 をセンサーチップに固定化
し,終末糖化産物類似の糖化タンパク質のセンシングが可能であることを示し,さらに,センサー
チップに微細加工を施すことによって感度を上げることにも成功した。担当者の学外転出もあり,
実際に AGE を検体からセンシングできる実用に向けたシステムを構築することができなかったこ
とが残された課題である。達成状況としては良好で,今後,継続的に努力をしていきたい。
(3)については,ウェルシュ菌の糖鎖プロセッシング酵素の基質特性の解析を行ったところ,
「刈
残し」現象等,興味深い結果を得て,ヒト型糖鎖ライブラリーの有用性を示すことができた。今後,
この成果を積極的に学会発表・論文発表していかねばならない。達成状況としては良好である。
(4)については,本研究組織のメンバーが各々,糖質生命科学関連のこれまでの研究をさらに展
開している。また,この 3 カ年で新たな研究シーズもいくつか発掘しており,これらのシーズを開
花させるように努力している。達成状況としては極めて良好である。
学術誌への発表は,本経費を謝辞として明記しているものが 10 報(うち 1 報は投稿中)
,関連す
るもの 17 報で,学会発表は 32 件である。現在,投稿準備中のものもあり,3 カ年の成果としては
十分なものである。
以上,本重点研究の達成状況・学術的成果は,期待通りのものが得られていると考えられる。
【人材育成】
本研究組織は総合生命科学研究センター専任教員によるものであり,学部学生の研究室配属の対
象とはなっていない。また,組織メンバーは農学研究科あるいは医学系研究科担当であるが,大学
院学生を獲得することは容易ではない。そのような状況のもと,愛媛大学連合農学研究科学生であ
る武田耕青君が,希少糖研究センターから本センターに派遣され,本研究に深く携わり,研究業績
#8 により平成 22 年 3 月,博士(農学)を取得した。なお,武田耕青君は,在学中の研究活動・
業績が評価され,日本学生支援機構により奨学金返還の半額免除が決定されている。また,工学研
究科石井研究室より,毎年修士課程大学院生を 1 名受け入れており,本重点研究に携わっている。
糖質生命科学は,日本が国際的に優位に立っている研究分野であり,この優位性を保つためにも,
もっと多くの当該研究領域の若手研究者を育成することは極めて重要である。今後は,学内のみな
らず,学外から大学院生として研究に従事してもらう人材の確保に努力していく必要がある。
【その他特記すべき事項】
本研究組織が中心となり本重点研究を発展させる形で提案した文部科学省平成 22-25 年度特別経
費(プロジェクト分)
(大学の特性を生かした多様な学術研究機能の充実)
「香川グライコリソース
(希少糖・ヒト型糖鎖)を用いたナノ糖質生命科学研究推進事業」が予算化された。本事業は,総
合生命科学研究センター,希少糖研究センター,微細構造デバイス統合研究センター,医学部,農
学部,工学部が参加している大規模なものであり,本重点研究組織(総合生命科学研究センター)
は,その一部を担っている。本重点研究成果はすべて研究推進事業の成果として報告する。
また,競争的外部資金に関しては,本重点研究がスタート後,本重点研究の成果に基づいて新た
に申請・採択されたものは,以下の通りである。獲得件数,獲得経費,ともに以前より増加してお
り,本重点研究経費は,外部資金獲得にも大いに貢献している。
科学研究費補助金基盤(B)(一般)課題番号:23370054 平成23-25年度 代表者: 神鳥成弘
「X線構造に基づくガレクチンと糖鎖プロセッシング酵素のヒト型分枝糖鎖認識機構の解明」
科学研究費補助金若手研究(B)課題番号:23770122 平成23-24年度 代表者: 吉田裕美 「新
規単糖異性化反応機構の解明を目指した希少糖生産酵素群のX線結晶解析」
研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラムフィージビリティスタディ【FS】ステージ
探索タイプ(A-STEP)課題番号:AS231Z00618F 平成23年度 研究代表者:西 望「移植・再生
医療に用いる非拡散性拒絶反応抑制剤の開発」
研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラムフィージビリティスタディ【FS】ステージ
探索タイプ(A-STEP)課題番号:AS231Z03835E 平成23年度 研究表者:中北愼一 「化学的手法
を用いた希少糖アルドヘキソースの合成法」
【今後の展望】
本経費により,本研究組織ができ,3年間で,多くの研究成果を出すことができた。また,それ
らに基づき,現在,文部科学省平成22-25年度特別経費事業を推進している。今後の大きな課題は,
その次のステップ(平成26年度以降)であり,学内・学外の研究者と協力し,研究組織の一層の強
化に努め,さらなる国際的レベルの研究成果を得て,広く発信を行っていきたい。
以下,研究課題ごとに報告する。複数年度にまたがる成果の場合は,重要な成果が得られた年度
の成果としてある。それぞれの課題だけを読んでも理解できるよう,多少,重複した記述がある。
ここでは,先の「平成23-21年度研究成果概要」では触れられなかった糖質生命科学関連の研
究成果についても記述している。図の番号は研究課題ごとに付している。
・(平成23年度の研究成果及び実績)
【ガレクチン 8・糖鎖複合体の X 線結晶解析】研究業績#1, #10, #34, #43
ガレクチン-8(G8)は,生体内に広く発現しており,細胞‐マトリックス間相互作用や細胞(好
中球)接着に関与していることが報告されている。G8 は,2 つの異なった糖鎖結合ドメイン
(Carbohydrate Binding Domain,N-CRD と C-CRD)を持っている。平成 21 年度において,2 つの
CRD を同時に持つプロテアーゼ耐性変異型ヒトガレクチン 8(G8Null)の 3 次元構造を X 線結晶
解析により決定した。これは,2 つの CRD を持つガレクチンの最初の構造決定例であった。今年
度は,G8Null と糖鎖(シアルラクトース,ラクトース)との複合体(G8Null/SiaLac/Lac),および
G8 の N-CRD とシアルラクトサミンとの複合体(G8N-CRD/SiaLacNAc)の高分解能 X 線結晶解析
に成功した(図 1)
。G8Null/SiaLac/Lac 複合体においては,SiaLac は N-CRD に,Lac は C-CRD に
結合していた。これは,それぞれの CRD の基質親和性の違うからであり,立体構造を詳細に検討
した結果,親和性を決定しているアミノ酸残基が Arg45,Gln47,Arg59,Lys71,Arg72 であるこ
とがわかった。G8Null は,結晶中で C-CRD を背中合わせにして 2 量体を形成していた(図 2)
。
さらにこの 2 量体が N-CRD の端同士で相互作用し,さらに大きな格子構造を形成していた。また,
G8N-CRD/SiaLacNAc においては,N-CRD を界面とした 2 量体を形成していた(図 1B)
。以上のこ
とから,G8 は,様々なタイプの 2 量体を形成できる,いわゆる多重会合モードを持つ可能性が示
唆される(図 3)
。G8 の機能発現には 2 つの CRD の存在が重要であり,今回の成果は,より詳細
な G8 の機能解明にとって有用な情報をもたらすと考えられる。
図 1.G8Null/SiaLac/Lac の構造(A)と
G8N-CRD/SiaLacNAc の構造(B)。
図 2 . G8Null/SiaLac/Lac の 2 量 体 構 造
(Mol-A と Mol-B)と格子構造
図 3.予想される G8 の多重会合モード。G8 の 2 つの CRD は,近づいたり(i),離れたりしている
(ii)。近づいたときに G8Null の構造をとり(iii), (iii)’
,
C-CRD が背中合わせで 2 量体を形成(iv),
さらに大きな格子構造を形成する(v)。2 つの CRD が十分離れた場合,N-CRD 同士が界面と
なり 2 量体となる(vi)。
【ウェルシュ菌関連糖鎖結合タンパク質の X 線結晶解析】研究業績#29, #33
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は,多くの糖鎖プロセッシング酵素を菌体外に分泌する。
これらのタンパク質は,一般に糖鎖を特異的に切断する触媒ドメインと複数の糖鎖結合ドメイン
を持ち,腸管上皮細胞上の糖鎖を非還元末端から特異的に 1 糖ずつ切断し,菌体の細胞表面への
アクセスを容易にさせていると考えられている。これらのタンパク質の個別のドメインの X 線結
晶解析はいくつか報告されているが,全長タンパク質の報告例はない。現在,大量調製が可能な
ものは,2 種類の N-アセチルグルコサミニダーゼ(NagH, NagJ),2 種類のシアリダーゼ(NanI,
NanJ),1 種類のガラクトシダーゼ(BgaA),の計 5 つである。これまでに,NagH および BgaA の
全長タンパク質の結晶を得ることに成功した(図 1)が,構造解析可能な X 線回折データを得る
には至っていない。現在,X 線結晶解析に適する結晶の調製を行っている。
ウェルシュ菌由来のタンパク質を研究している中で,ウェルシュ菌よりクローニングされたファ
ージ由来のウェルシュ菌特異的溶菌酵素(Psm)が見つかった(Nariya, H. et al., (2011). Appl.
Microbiol. Biotechnol. 90, 1973-1979)
。Psm は,ヒト型糖鎖には反応しないが,ウェルシュ菌の細胞
壁の糖鎖成分を特異的に分解することができ,臨床的応用の可能性が高い酵素である。今年度,
Psm の X 線結晶解析に成功し学会発表を行った。Psm は,糖鎖分解活性ドメインと細胞壁接着ド
メインがつながった興味深い立体構造を持っていた(図 2)。糖鎖分解活性ドメインは,バレル
構造をとり,その中央に活性部位があると考えられる。細胞壁接着ドメインは SH3 ドメインと呼
ばれる構造が 2 回繰り返されたもので,極めて新規性が高い。どのようにウェルシュ菌細胞壁に特
異的に結合するのかを解明するため,今後,基質複合体の X 線結晶解析等,研究を展開する必要
がある。
図 1.NagH(左)および BgaA
(右)の結晶。タンパク
質の結晶であることは
確認できたが,X 線回折
データを得るにはいた
っていない。
図 2.Psm の全体構造。糖鎖分解活性ド
メイン(上)と細胞壁接着ドメイ
ン(下)からなる。
【ガレクチン9が認識する IgE の機能性糖鎖の同定】研究業績#25, #36
動物レクチンファミリーの1つであるガレクチンは,β-ガラクトシドに対する結合特異性を特徴
とする。免疫反応に対する調節作用はガレクチンファミリーに共通した生物活性の1つであり,特
にガレクチン9(G9)については,自然免疫と獲得免疫の両面で働く免疫機能調節因子であるこ
とを示すデータが蓄積している。このような性質は,G9 を免疫関連疾患に対する治療薬として利
用できる可能性を示しており,実際,関節リューマチ,多発性硬化症,アレルギー性喘息などの疾
患モデル動物において,G9 の有効性が報告されている。これまでに G9 の標的分子として,T-cell
immunoglobulin and mucin domain-3 (Tim-3),CD44,EB virus LMP-1,Protein disufide isomerase,
GLUT2,Forssman glycosphingolipid,IgE が見出され,G9 による Th1 細胞のアポトーシス誘導
(Tim-3),リンパ球の浸潤阻害(CD44),マスト細胞の脱顆粒抑制(IgE)などに関わることが明
らかにされている。しかし,100 種類を越えるモデル糖鎖に対する G9 の結合特異性がすでに知ら
れている一方で,これら標的分子上に存在する機能性糖鎖(G9 の作用発現に必須な糖鎖)に関す
る情報は限られている。
G9 と IgE 糖鎖の結合は,IgE-抗原複合体の形成を阻害し,結果的にマスト細胞の脱顆粒を抑制
する。G9 が認識する IgE の機能性糖鎖の同定を平成 23 年度の研究目標として,マウスモノクロー
ナル IgE(TIB-141)を用いた検討を行った。その結果,(1) cDNA の解析結果から,TIB-141 の H
鎖には 9 カ所の N-結合型糖鎖付加部位が存在することが示された(図 1)
。(2) ヒトおよびマウス
G9 は,TIB-141 + antigen による RBL-2H3 細胞の脱顆粒を抑制し,その効果はラクトースにより阻
害された。(3) 還元アルキル化した TIB-141 をリシルエンドペプチダーゼで処理後,逆相 HPLC 分
析を行うと,マイナーピークを含めて約 40 のピーク(主要ピーク:P1〜P23)に分離された。一
方,同じ標品を G9 固定化カラムによりアフィニティー精製した試料には,9 つのピーク(P4, P13,
P16〜P19, P21〜P23)に一致する成分が含まれ(図 2)
,残りはカラム非結合画分に回収された。こ
れらの成分の中で P23 が G9 の作用を阻害したが,他のピークに活性は検出されなかった(図 3)
。
(4) P23 画分について,N-glycanase 処理前後での N-末端アミノ酸配列の決定と MALDI-TOF MS 分
析を行った結果,P23 は CH1 ドメインの C-末端側およそ 1/4 と CH2 ドメインの N-末端側を含むペ
プチド(HLysC-13;CH1 の3カ所の N-結合型糖鎖付加部位を含む)であることが分かった。これ
らの結果は,CH1 ドメインに存在する N-結合型糖鎖が G9 の作用発現に重要な役割を果たしてい
る可能性を示している。
P23 (HLysC-13)に含まれる3カ所の N-結合型糖鎖付加部位の中で,どの部位に結合する糖鎖が
G9 との相互作用に重要であるかを明らかにするために,P23 標品をトリプシン処理し,逆相 HPLC
で分離精製した。分離されたピークの G9 の作用(脱顆粒抑制活性)に対する効果を調べた結果,
P23-T11 (HLysC-13-T3, 図4) のみが G9 の作用を阻害した。これらのデータは,TIB-141 の 233 番
目の Asn 残基に結合した糖鎖と G9 が特異的相互作用することを示唆しており,G9 による脱顆粒
抑制機構を分子レベルで理解する上で重要と考えられる。
【希少糖生産酵素 L-リボースイソメラーゼの X 線結晶解析】研究業績#2, #41, #44
近年,われわれは新規希少糖生産酵素として Acinetobacter sp. 由来 L-リボースイソメラーゼ
(L-RI)に注目している。L-RI は 5 単糖の L-リボースと L-リブロース間の可逆的な異性化反応を
触媒する酵素である。両基質とも希少糖であり,これらを基質とする酵素は極めて少なく,L-RI
は,希少 5 単糖生産には極めて有用な酵素である。L-RI は,相同性の高い 1 次構造を持つタンパ
ク質が見つかっていない極めてユニークな酵素であり,その立体構造は,これまでの単糖異性化酵
素にない全く新規なものであると考えられる。また,ケトース・アルドース異性化反応には,これ
まで 2 つの反応触媒機構,hydride-shift 機構および cis-enediol 機構が提唱されている。しかしなが
ら L-RI には,これらの反応触媒機構に必要とされるアミノ酸が確認できないことから,全く新規
なケトース・アルドース異性化反応触媒機構を発見できる可能性がある。本年度は, L-RI の X 線
結晶解析に成功し,学会発表を行った。L-RI は歪んだバレル構造をとり,その中心に金属イオン
(Mn2+)が結合して,活性部位を形成していると考えられる(図 1)
。現在,基質あるいは阻害剤
との複合体の X 線解析に取組んでいる。
図 1.L-RI の全体構造。歪んだバレル
構造をとり,その中心に金属イオ
ン(Mn2+ )が結合して,活性部位
を形成している
【希少オリゴ糖の X 線結晶解析】研究業績#3
京 都 薬 科 大 学 上 西 教 授 ら の グ ル ー プ と 共 同 で , 2 つ の 希 少 オ リ ゴ 糖 , -D-glucopyranosyl
-D-psicofuranoside と -D-galactopyranosyl -D-psicofuranoside の X 線結晶解析を行った。これらは,
いわゆるテーブルシュガーであるスクロースとよく似た構造を持っているが,スクロースのフルク
トース部分をプシコースに変えることによって,結晶構造が大きく異なることがわかり,学術誌に
発表した(図 1)
。われわれが知る限り,希少糖が構成成分となったオリゴ糖の初めての構造決定
である。
図 1.-D-glucopyranosyl -D-psicofuranoside(グルコースとプシコースによる2糖)の分子構
造(左)と層状の結晶構造(右)
。
・(平成22年度の研究成果及び実績)
【ガレクチン 9 の C 末側ドメイン・糖鎖複合体の X 線結晶解析】研究業績#6, #37, #47, #49, #52
ガレクチン 9(G9)は,活性化 T 細胞アポトーシス誘導をはじめ,様々な免疫応答に関与して
いる分子である。G9 は,2 つの異なった糖鎖結合ドメイン(Carbohydrate Binding Domain,N-CRD
と C-CRD)を持っている。平成 22 年度は,前年度,X 線構造解析を行ったヒト由来のガレクチン
9 の C 末側ドメイン(G9C-CRD)を用いて,枝分かれを 1 つ持つ天然型糖鎖との複合体の X 線結
晶解析に成功した。その結果,糖鎖の 2 つの枝が,それぞれ別のタンパク質分子(C-CRD)によ
って認識されるという架橋構造を形成していることがわかった(図 1)。また,シアル化糖鎖との
複合体の X 線結晶解析にも成功し,G9C のシアル酸認識には Arg221 が重要な役割を担っているこ
とを明らかにした(図 2)。本研究成果は,中北らが持つ卵黄などの生体試料から複雑な分枝糖鎖
を調製する技術(図 3)
,西ら作成した様々な種類のガレクチンファミリータンパク質大量発現系,
吉田・神鳥らによる結晶化および X 線結晶解析によるものであり,研究組織メンバーの技量が十
分発揮された好例である。また,これは,枝分かれ糖鎖がタンパク質に結合した構造を捉えた 2
例目であり,当該研究領域へのインパクトが高いと考えられたので,迅速な学術論文誌(J. Biol.
Chem.)へ投稿し,極めて好意的な審査意見により,速やかに受理・印刷が行われた。
図 1.2 つのタンパク質分子
(G9C-CRD)による分枝糖
鎖認識により形成された架
橋構造。
図 2.末端がガラクトースで終わっている糖鎖(左),および末端にシアル酸が結合している糖鎖(右)
が G9C-CRD に結合した構造。シアル酸が存在すると Arg221(R221)のコンフォメーションが
変化してシアル酸を認識するようになる。
図 3.本研究に使用した分枝糖鎖の化
学構造式。
【ガレクチン 3 を用いたバイオセンサーの開発】研究業績#40
ガレクチン 3 が,糖尿病において持続する高血糖状態により形成される終末糖化産物 (advanced
glycation end-products, AGE) の受容体として機能していることに着目し,AGE を迅速にかつ簡便に
測定できるセンサーの開発を目指した。まず,ガレクチン 3 の固定化および結合特異性について検
討を行った。センサー基盤には Au を採用し,炭素鎖の異なる数種のスペーサーを用いて固定化し
表面プラズモン共鳴によるセンシングを行ったところ,感度,精度とも炭素数 5 のスペーサーが最
適であることがわかった(図 1)。ガレクチン 3 の糖鎖分子認識機構の解析では,単糖レベルでの
分子認識が可能であるということを世界で初めて見つけた。以上のことから,ガレクチン 3 は極め
て有用なバイオセンサー素子となり得ることが明らかとなった。また,センシングの感度向上を目
的とし,センサーチップの表面積を広くすることで,検出物のセンサーチップへの結合量を増加さ
せる手法を提案した。センシングチップにおける微細加工法として,センサー表面に広く用いられ
る金に着目し,フラットな金表面に電気化学的に金を堆積させることにより,金ナノ構造を製作す
ること(金黒めっき,図 2)を試みた。電位・堆積時間をパラメータとしてナノ構造の形状,大きさ,
表面積を制御する事に成功し,BSA による検出実験を行い,検出部の表面積増加によるセンサー
感度向上を検証した。
図 1.ガレクチン 3 と糖化タン
パク質の詳細な親和性解
析。センサー基盤には Au
を採用。ガレクチン 3 は,
AGE センサー素子として
十分な感度を持つことが
わかった。
図 2.センシングチップに金黒(きんこく)メッキ
を施した時の FE-SEM 画像。金黒メッキのピ
ラミッド微細構造が多いほど(下),センサー
感度が高く出る傾向が見られた。
【ウェルシュ菌の持つガラクトシダーゼ・シアリダーゼの基質特異性解析】
ウェルシュ菌がヒトに感染する際に関与すると考えられる分泌型の糖鎖プロセッシング酵素と
して,2種類のシアリダーゼ,1種類のガラクトシダーゼ,2種類のN-アセチルグルコサミニダーゼ
が存在する。これまで,これらの酵素に関する詳しい基質特異性はほとんど行われておらず,これ
らがどのような構造のヒト型糖鎖を分解するのかは不明であった(図1)。本年度は,ガラクトシ
ダーゼおよびシアリダーゼの基質特異性解析を行った。
ウェルシュ菌ガラクトコシダーゼについて N-結合型ヒト型糖鎖を使って基質特異性を調べたと
ころ,Gal1-4GlcNAc 構造を効率よく水解した。さらに,この酵素は分枝構造認識能を持たず,
どのような枝先のガラクトースも水解することがわかった。
ウェルシュ菌には 2 種類のシアリダーゼ(NanI, NanJ)を分泌する。今回は,これまで調べられ
てこなかった NeuAc(N-アセチルノイラミン酸,ヒト型)
,NeuGc(N-グルコリルノイラミン酸,
非ヒト型)のシアル酸に関する基質特異性の違いに関して調べた(図 2)。NanJ(図 4b)では,シ
アル酸の種類(NeuAc, NeuGc),結合位置の違い(2-3, 2-6 結合)において,活性の顕著な違い
はなく,すべての糖鎖を効率よく水解した。ところが,NanI においては,2-6 結合した NeuGc を
まったく水解しないことがわかった。このことは NanI の大きな特徴であると考えられる。さらに
NanI の基質特異性を詳細に調べるため,様々な種類の 2 本鎖型 N-結合型ヒト型糖鎖を基質にし,
1 時間反応させたところ,酵素活性に顕著な見られなかった(図 3)
。NanI は,分枝構造認識の特
異性を持たないと考えられる。
図 1.ヒト型糖鎖が,ウェルシュ菌が持つ
グルコシダーゼによって分解され
る様子。
図 2.NanI(a,左)と NanJ(b,右)
のシアル酸の種類,結合の違いによ
る酵素活性。
●:NeuAc 2-3
▲:NeuGc 2-3
◆:NeuAc2-6
◆:NeuGc2-6
図 3.様々な種類の 2 本鎖 N-結合型ヒト
型糖鎖に対する NanI の酵素活性。
横軸は糖鎖の種類,縦軸は分解され
るシアル酸の割合を表す。どの糖鎖
に対しても,40%~70%の活性を有
しており顕著な差は見られない。
【腹部前立腺(ventral prostate)由来の新奇低分子量のフコシル化複合糖質の発見】研究業績#7, #45
前立腺は男性ホルモンの代表的な標的器官であり,成熟動物においてもホルモン処理(去勢と去
勢動物への男性ホルモン投与)によって比較的短期間のうちに組織の萎縮と再成長を観察できると
いう特徴を持つ。男性ホルモンに依存した前立腺細胞の増殖と分化,男性ホルモン欠乏時のアポト
ーシス誘導,あるいは癌化と前立腺癌細胞の男性ホルモン非依存性増殖能の獲得などの現象には,
それぞれの過程で特異的に発現する遺伝子(群)が中心的な役割を果たしている。このような遺伝
子の同定と遺伝子産物の機能解析は,前立腺の様々な生理的,病理的変化の分子的基盤を明らかに
する上で重要と考えられる。
平成22年度の研究から,(1) 前立腺における男性ホルモン作用の発現に関わる因子を探索する
過程で,フコース転移酵素の 1 つである FUT4 遺伝子の発現(mRNA レベル)がラットの主要な組
織中前立腺において最も高く,また,男性ホルモンにより正の調節を受けることが分かった。この
結果に基づき,(2) 前立腺におけるフコース転移酵素の役割を検討する目的で,フコース特異的レ
クチン(Aleuria aurantia lectin, AAL)を用いたレクチンブロットによる複合糖質の分析を行った結
果,腹部前立腺(ventral prostate)の不溶性画分に,特徴的な低分子量のフコシル化複合糖質(PFGs:
PFG-1 & -2)が存在することを見出した(図 1;同組織には分泌蛋白質である prostatein が大量に含
まれており,その C3 サブユニットの糖鎖もフコシル化を受けている)
。PFGs は今回検討したラッ
ト組織中では腹部前立腺にのみ検出され,また,その発現は男性ホルモン依存性であった(図 2)。
PFGs がクロロホルム-メタノールにより抽出されること,endoglycoceramidase に感受性であるが
peptide-N-glycosidase には抵抗性であること(図 3)などから, PFGs はフコシル化(α1,3/4)され
たスフィンゴ糖脂質の一種であると考えられる。なお,レクチンブロットの結果は,薄層クロマト
グラフィー(TLC)と TLC ブロットにより確認された(図 4)
。これらの結果は,PFGs 合成におけ
る FUT4 活性の重要性を示唆するとともに,PFGs が前立腺特異的な機能と密接に関連している可
能性を示している。今後,複数の分子種を含むと考えられる PFGs の構造を決定し,その合成機構
(フコシル化)と FUT4 の関連性を明らかにするために,以下の研究が必要と考えられる。(1) PFGs
に含まれる分子種を分離精製し,酵素処理,化学修飾,HPLC,質量分析(MS)を組み合わせて糖
鎖と脂質部分の構造を決定する。(2)初代培養前立腺細胞と株化細胞から PFGs の発現レベルが異な
る細胞を選び,FUT4 を含む各種酵素の強制発現あるいはノックダウンを行う。(3) PFGs の機能推
定のため,細胞分画と Imaging MS により細胞・組織内分布を調べるとともに,抗 PFGs 抗体(抗
糖鎖抗体)の作製を試みる。(4)前述の培養細胞を用いて,増殖刺激やアポトーシス誘導に対する
精製 PFGs 添加,内在性 PGFs の誘導・抑制の効果を検討する。(5)ヒト前立腺手術材料を対象とし
て,レクチンブロットにより PFGs あるいはその類似物質の検出を試みる。
【希少糖生産酵素 L-ラムノースイソメラーゼの X 線構造に基づく反応触媒機構の解明】
研究業績#5, #9, #28, #31, #32, #53, #57
単糖の構造中には不斉炭素が多くあり,炭素原子 6 つからなる 6 単糖では 24 種もの立体異性体
が存在する。しかしながら,天然に存在する単糖はかぎられており,6 単糖であれば D-グルコー
ス,D-フルクトース,D-ガラクトース,D-マンノースのみが多量に存在し,その他のものはごく
微量にしか存在が確認できない「希少糖」と呼ばれている。希少糖生産のストラテジーは,種々の
天然に豊富に存在する D-グルコースおよび D-フルクトースから,単糖異性化酵素を用いて,希少
糖に変換することである。Pseudomonas stutzeri 由来 L-ラムノースイソメラーゼ(L-RhI)は,元来
L-ラムノースと L-ラムニュロース間の可逆的な異性化反応を触媒する酵素であるが,D-アロース
と D-プシコース間の異性化も触媒することから希少糖生産酵素として用いられている。それぞれ
の基質は水溶液中では,ほとんどが環状構造(ピラノース環あるいはフラノース環)をとると考え
られている。本酵素は異性化反応を触媒する前に,環状構造の基質を認識して糖環を開環すると考
えられる(図 1)。われわれは,種々の変異酵素を作製することにより,反応を各段階で止め,完
全な反応機構解明を目指している。本年度においては,変異酵素 D327N で,図に示すような,5
員環(L-ラムニュロフラノース)の基質が結合した興味深い結果が得られ,Asp327 が酸・塩基触
媒として開環に関与していることがわかった(図 2)
。今後,6 員環(L-ラムノピラノース)の糖環
の開環機構について解明するため, 6 員環の開環に関与すると考えられるアミノ酸に変異を導入
した変異酵素の構築と結晶解析を重点的に行うことにより,6 員環の基質が結合した状態の構造解
析に取組む予定である。
図 1.L-RhI が触媒する化学反応。
図 2.L-RhI の変異酵素による反応各段階での構造。Ser→Lys329 変異酵素では,直鎖構造の L-ラム
ノースが結合した構造(図 1 において左から 2 番目)が,Asp→Asn327 変異酵素では,5 員環
L-ラムニュロフラノースが結合した構造(図 1 において右端)が決定できた。
・(平成21年度の研究成果及び実績)
【ガレクチン 8 およびガレクチン 9 の X 線結晶解析】研究業績#55, #56, #58
ガレクチン 8(G8)とガレクチン 9(G9)は,それぞれ免疫細胞である好中球および好酸球の働き
を助けている。G8,G9 は,ともに 2 つの異なった糖鎖結合ドメイン(Carbohydrate Binding Domain,
N-CRD と C-CRD)を持っており,これまでに,G8 の N-CRD,および G9 の N-CRD が,それぞれ
単独で X 線結晶解析により 3 次元構造が決定されている。本年度は,2 つの CRD を同時に持つプ
ロテアーゼ耐性変異型ガレクチン 8(G8Null)
,および G9 の C-CRD(G9C-CRD)の 3 次元構造を
X 線結晶解析により決定した。G8Null の X 線結晶解析は,低分解能ではあるが,2 つの CRD を持
つガレクチンの最初の構造決定例であり,分子内において 2 つの CRD がどのような位置関係にあ
るかを解明した(図 1)
。G9C-CRD の X 線結晶解析において,興味深いことに,G9-C-CRD は結晶
中において 3 量体を形成していた(図 2)。このことは,G9 の分子会合状態について新たな可能性
を示唆している。これらの構造の詳細については,次年度以降,糖鎖複合体の X 線結晶解析を中
心に行い,それらの糖鎖認識機構について明らかにしていく。
図 1.G8Null の全体構造。低分解能ではあるが 2 つの CRD の位置関係は決定できた。
図 2.G9C-CRD の 3 量体構造(左)と 3 量体の界面(右)。中心に Ni2+(青い球)が存在し,
それぞれの分子から His によって配位結合が形成されている。
【ウェルシュ菌の持つ N-アセチルグルコサミニダーゼの基質特異性解析】
ウェルシュ菌がヒトに感染する際に関与すると考えられる分泌型の糖鎖プロセッシング酵素と
して,2種類のシアリダーゼ,1種類のガラクトシダーゼ,2種類のN-アセチルグルコサミニダーゼ
が存在する。われわれは,これまでに,ニワトリの卵やウシのミルクといった大量入手可能な材料
(生体資材)を利用して糖鎖の調製を行ってきた。そこで得られる生体資材の糖鎖構造の情報をま
とめることにより,必要な糖鎖を「どの生体資材から」,「どの程度の量」,「どれだけの手間を
かけることによって」入手できるかを示す糖鎖戦略マップの作製を行った(図1)。これまで数nmol
程度の糖鎖しか入手できなかったものを,mol(mg)からmmol(g)オーダーまで調製が可能になり,
さらに糖鎖も種類も100種類程度は利用可能となった。これらの糖鎖を利用して,ウェルシュ菌の
グリコシダーゼの精密な基質特異性の解析を行うこととした。平成21年度は,N-アセチルグルコサ
ミニダーゼの基質特異性解析を行った。
ウェルシュ菌は,2 種類の N-アセチルグルコサミニダーゼ(NagH, NagJ)を分泌する。NagH は
タンパク質中のセリンやスレオニンに N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合している
O-GlcNAc を切り出す酵素として考えられている。そこで,GlcNAc にパラニトロフェニル基が,
結合したような合成基質(pNP-GlcNAc)と反応させたところ,GlcNAc の水解反応が観察された。
N-結合型ヒト型糖鎖のような複雑な構造の糖鎖と反応させたところほとんど水解反応が起こら
ず,NagH が O-GlcNAc 特異的であることが分かった。一方,NagJ においては,pNP-GlcNAc や
N-結合型ヒト型糖鎖の水解反応が見られたので,種々の N-結合型ヒト型糖鎖を使って基質特異性
を調べたところ,特徴的な性質が見出だされた(図 2)
。枝分かれ構造の糖鎖において GlcNAc が
非還元末端に存在している場合(特に 3 本鎖,4 本鎖)
,GlcNAc を1つだけ残して他の部分は水解
してしまうというものであった。切り出すことのできない構造は,GlcNAc1-2Man1-3Man 構造
の先に存在する GlcNAc であり,長時間(24 時間)反応させても,水解することはなかった。こ
れらの結果から,ウェルシュ菌は,NanJ を分泌することにより,この構造を残すことにより(刈
残し),感染の際のターゲットとしている可能性が考えられた。
図 1.糖鎖戦略マップの概念図
図 2.3 本鎖 N-結合型ヒト型糖鎖と NagJ
を反応させた溶液を HPLC で分離し
た結果。時間が経過するにつれ,末
端の GlcNAc は分解されていくが,
60 分経過しても,位置特異的に 1 つ
だけ GlcNAc が残る(刈残し,矢印
と丸印で示す)。ウェルシュ菌が感
染する際のターゲットとしている
可能性が考えられる。
【内在性 G9 のインターフェロン(IFN)感受性調節因子としての新機能】研究業績#59
ガレクチン 9(G9)は,主としてその細胞外作用の解析から,自然免疫と獲得免疫の両面で働く
免疫機能調節因子としての位置付けが確立されつつある。平成21年度の研究から,内在性 G9 が
インターフェロン(IFN)感受性調節因子である可能性が示された。
血管内皮細胞(HUVEC)や線維芽細胞において,G9 の発現が IFN により強く誘導されることが
知られている(図 1)。血管内皮細胞における内在性 G9 の役割を検討する目的で,siRNA によるノ
ックダウンを行った結果,無刺激状態における Stat1 のリン酸化が亢進するとともに(図 2)
,典型
的な IFN 応答遺伝子産物である CXCL10/IP-10 の産生が増加した(図 3)。この効果は抗 IFN-β 抗体
によりほぼ完全に抑制されること(図 2,図 4)
,また対照 siRNA や他のガレクチン(ガレクチン 1,
3)に対する siRNA はこのような効果を示さないことから,短鎖 RNA による非特異的な作用では
ないと考えられる。G9 をノックダウンした細胞を IFN-α で刺激すると,CXCL10 と RANTES の産
生が顕著に増加し(図 5)
,CCL2/MCP-1 と CXCL8/IL-8 の産生は抑制された。これらの結果は,内
在性 G9 が血管内皮細胞自身の産生する IFN-β や外来性 IFN に対する感受性調節因子である可能性
を示している。本年度の研究には,Dharmacon 社の siRNA を使用したが,その使用濃度は 100 nM
である。siRNA の濃度が 10 nM を越えると IFN 様作用が現れやすくなることが知られているため,
低濃度で十分なノックダウン効果が得られる新世代の siRNA を用いて,G9 のノックダウン効果を
確認する必要がある。ガレクチンは比較的最近になって見出された動物レクチンであり,その研究
の歴史は浅く,国内外の研究者も未だ少ない状況にある。ガレクチンの研究はこれまで,ガレクチ
ン 1 とガレクチン 3 に集中しているが,G9 の場合,そのアポトーシス誘導能の強さや IFN などに
対する応答は,他のガレクチンと比較して1−2桁以上大きく,ガレクチンファミリーの中でも特
異な機能を担っている可能性が高い。ウィルス感染などの刺激により産生される IFN に対して標
的細胞が効率よく反応するためには,無刺激状態で構成的に産生される微量の IFN-α/β による“ウ
ォーミングアップ”が必要なことが知られている。本年度の研究成果は,内在性 G9 がこの微量の
IFN-α/β に対する反応を制御することにより,IFN 感受性調節因子として機能している可能性を示
唆するものであり,この結果は IFN シグナル調節機構の解明に寄与すると考えられる。また,G9
の免疫機能調節作用や抗腫瘍作用に基づいた治療薬開発が具体的に進められているが,本研究の成
果はこの目的にも利用できる可能性がある。
【希少糖生産酵素 D-アラビノースイソメラーゼの X 線結晶解析】研究業績 #8, #31, #53
希少糖の生産において,D-プシコースからケトース・アルドースの異性化を行うと,2 位水酸基
のエピマーが生成するので, D-アロースと D-アルトロースが生じる。D-プシコース・D-アルトロ
ース間の異性化には D-アラビノースイソメラーゼが用いられる。D-アラビノースは 5 炭糖である
が 4 位までのキラリティーは D-アルトロースと同じである。本年度は,Bacillus pallidus 由来 D-ア
ラビノースイソメラーゼ(D-AI)の X 線解析に成功した。D-AI は,ホモ 6 量体を形成した大きな
分子であった(図 1)
。D-AI と阻害剤である L-フシトールとの複合体の活性部位構造を示す(図 2
2+
左)。Mn に配位した Glu342 と Asp366 が基質をはさむように位置している。この X 線構造に基づ
き,Glu342 と Asp366 が酸-塩基触媒として働き,cis-エンジオレート中間体を経るという反応機構
が考えられる(図 2 右)
。本成果は,共同研究先である希少糖研究センターから派遣されていた博
士課程学生・武田耕青君が主体となって行い,学術誌に発表し,学位論文となっている。
図 1.D-AI の 6 量体構造。1辺が 120Å の
3 角柱をしている。
図 2.阻害剤 L-フシトールが活性部位に
結合した構造(左)。Mn2+に配位し
た Glu342 と Asp366 が L-フシトール
をはさむように位置している。
Glu342 と Asp366 が酸-塩基触媒とし
て働き,cis-エンジオレート中間体
を経るという反応機構(右)。
研究成果発表等実績(本研究に関連した主な発表論文名・著者名・学会発表・特許等)
[1]
原著論文(査読有,アンダーラインは本研究メンバーおよび本研究に従事している非常勤研
究員・大学院学生,*はCorresponding Author)
本研究組織のメンバーがCorresponding Authorで,本研究支援への謝辞が明記されている業績
1. Yoshida, H., Yamashita, S. Teraoka, M., Itoh, A., Nakakita, S.. Nishi, N.,& Kamitori, S.* (2011). X-ray
Structure of a Protease-resistant Mutant Form of Human Galectin-8 with Two Carbohydrate Recognition
Domains. FEBS J. (to be submitted.)
2. Yoshida H, Teraoka M, Yoshihara A, Izumori K, Kamitori S.* (2011). Overexpression, crystallization and
preliminary X-ray diffraction analysis of L-ribose isomerase from Acinetobacter sp. strain DL-28. Acta
Crystallogr. Sect F 67, 1281-1284.
3. Kamitori, S.,* Ueda, A., Tahara, Y., Yoshida, H., Ishii. T. & Uenishi, J. (2011). Crystal structures of rare
disaccharides, α-D-glucopyranosyl β-D-psicofuranoside, and α-D-galactopyranosyl β-D-psicofuranoside.
Carbohydr Res. 346, 1182-185.
4. Tanaka, H., Nariya, H., Suzuki, M., Houchi, H., Tamai, E., Miyata, S.* & Okabe, A. (2011). High-level
production and purification of clostripain expressed in a virulence-attenuated strain of Clostridium
perfringens. Protein Expr. Purif. 76, 83-89.
5. Yoshida, H., Takeda, K., Izumori, K. & Kamitori, S.* (2010). Elucidation of the role of Ser329 and the
C-terminal region in the catalytic activity of Pseudomonas stutzeri L-rhanmose isomerase. Protein Eng.
Des. Sel. 23, 919-927.
6. Yoshida, H., Teraoka, M., Nishi, N., Nakakita, S., Nakamura, T., Hirashima, M. & Kamitori, S.* (2010).
X-ray structures of human galectin-9 C-terminal domain in complexes with a biantennary oligosaccharide
and sialyllactose. J. Biol. Chem. 285, 36969-36976.
7. Miyanaka, H., Nakamura, T. & Nishi, N.* (2010). Tissue-specific expression of fucosylated
glycosphingolipid species in rat prostate. Biosci. Biotechnol. Biochem. 74, 1261-1266.
8. Takeda, K., Yoshida, H., Izumori, K. & Kamitori, S.* (2010). X-ray structures of Bacillus pallidus
D-arabinose isomerase and its complex with L-fucitol. BBA - Proteins and Proteomics 1804, 1359-1368.
9. Yoshida, H., Yamaji, M., Ishi, T., Izumori, K. & Kamitori, S.* (2010). Catalytic reaction mechanism of
Pseudomonas stutzeri L-rhamnose isomerase deduced from X-ray structures. FEBS J. 277, 1045-1057.
10. Yoshida, H., Nishi, N., Nakakita, S. & Kamitori, S.* (2009). Crystallization and preliminary X-ray
diffraction analysis of a protease-resistant mutant form of human galectin-8. Acta Crystallogr. Sect F 65,
512-514.
本研究支援への謝辞は明記されていないが,本研究と深く関わる業績
11. Sriwilaijaroen, N., Kondo, S., Yagi, H., Hiramatsu, H., Nakakita, S., Yamada, K., Ito, H., Hirabayashi, J.,
Narimatsu, H., Kato, K. & Suzuki, Y.* (2011). Bovine milk whey for preparation of natural N-glycans:
structural and quantitative analysis. Open glycoscience (in press)
12. Hasehira, K., Miyanishi, N., Sumiyoshi, W., Hirabayashi, J., Nakakita, S.* (2011). Development of a
chemical strategy to produce rare aldohexoses from ketohexoses using 2-aminopyridine. Carbohydr. Res.
346, 2693-2698.
13. Ueno, M., Nakagawa, T., Nagai, Y., Nishi, N., Kusaka, T., Kanenishi, K., Onodera, M., Hosomi, N.,
Huang, C. L., Yokomise, H., Tomimoto, H. & Sakamoto, H.* (2011). The expression of CD36 invessels
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14. Iwaki, J., Tateno, H., Nishi, N., Minamisawa, T., Nakamura-Tsurut,a S., Itakura, Y., Kominami, J.,
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15. Ohashi, T., Nakakita, S., Sumiyoshi, W., Yamada, N., Ikeda, Y., Tanaka, N. & Takegawa, K.* (2011).
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18. Natsuka, S.*, Hirohara, Y., Nakakita, S., Sumiyoshi, W. & Hase, S. (2010). Structural analysis of
N-glycans of the planarian Dugesia japonica. FEBS J. 278, 452-460.
19. Ohashi, T., Nakakita, S., Sumiyoshi W. & Takegawa K.* (2010). Production of heterologous
glycoproteins by a glycosylation-defective alg3och1 mutant of Schizosaccharomyces pombe J.
Biotechnol. 150, 348-156.
20. Sumiyoshi, W., Nakakita, S., Hasehira, K., Miyanishi, N., Kubo, Y., Kita, T. & Hirabayashi J.* (2010).
Comprehensive analysis of N-linked oligosaccharides from eggs of the family Phasianidae. Biosci.
Biotechnol. Biochem. 74, 606-613.
21. Hasehira, K., Nakakita, S., Miyanishi, N., Sumiyoshi, W., Hayashi, S., Takegawa, K. & Hirabayashi, J.*
(2010). A comprehensive HPLC analytical system for the identification and quantification of hexoses that
employs 2-aminobenzamide coupling. J. Biochem. 147, 501-509.
22. Miyanishi, N., Nakakita, S., Sumiyoshi, W., Okuma, H., Izumori, K. & Hirabayashi, J.* (2010).
Development of d-allose sensor on the basis of three strategic enzyme reactions. Biosens. Bioelectron.,
15, 126-130.
23. Nariya, H.*, Miyata, S., Suzuki, M., Tamai, E. & Okabe, A. (2011). Development and application of a
method for counterselectable in-frame deletion in Clostridium perfringens. Appl. Environ. Microbiol. 77,
1375-1382.
24. Manabe, S., Nariya, H., Miyata, S., Tanaka, H., Minami, J., Suzuki, M., Taniguchi, Y. & Okabe, A.*
(2010). Purification and characterization of a clostripain-like protease from a recombinant Clostridium
perfringens culture. Microbiology 156, 561-569.
25. Niki, T., Tsutsui, S., Hirose, S., Aradono, S., Sugimoto, Y., Takeshita, K., Nishi, N., Hirashima, M.*
(2009). Galectin-9 is a high affinity IgE-binding lectin with anti-allergic effect by blocking IgE-antigen
complex formation. J. Biol. Chem.. 284, 32344-52.
26. Nagae, M., Nishi, N., Murata, T., Usui, T., Nakamura, T., Wakatsuki, S. & Kato, R.* (2009). Structural
analysis of the recognition mechanism of poly-N-acetyllactosamine by the human galectin-9 N-terminal
carbohydrate recognition domain. Glycobiology. 19, 112-117.
27. Nobumoto, A., Oomizu, S., Arikawa, T., Katoh, S., Nagahara, K., Miyake, M., Nishi, N., Takeshita, K.,
Niki, T., Yamauchi, A. & Hirashima, M.* (2009). Galectin-9 expands unique macrophages exhibiting
plasmacytoid dendritic cell-like phenotypes that activate NK cells in tumor-bearing mice. Clin Immunol.
130, 322-330.
[2] 学会発表(○は発表者,アンダーラインは本研究メンバーおよび本研究に従事している非常勤
研究員・大学院学生)
28. ○吉田裕美,寺岡美沙,何森健, 神鳥成弘 「糖環開環機構の解明を目指した Pseudomonas stutzeri
由来 L-ラムノースイソメラーゼ変異酵素の構造解析」 平成 24 年農芸化学会大会,2012 年 3 月発表予
定(京都)
29. ○玉井栄治,関谷洋志,吉田裕美,成谷宏文,神鳥成弘,桑原知巳,牧 純 「ウエルシュ菌特異的溶
菌酵素 Psm の酵素活性中心の解析」 第 85 回日本細菌学会総会, 2012 年 3 月発表予定(長崎)
30. ○Nakakita, S., Hirabayashi, J., Narimatsu H., Sriwilaijaroen, N., Yamada, K., Ito, H., Hiramatsu, H. &
Suzuki, Y. “Development of receptor glycan microarray to survey host specificity of H5N1 influenza
viruse” Asian-African Research Forum on Emerging and Reemerging Infections, Jan. 2012, Kobe, Japan.
31. ○Yoshida, H., Yamada, M., Takeda, K., Nishitani, T., Ohyama, Y., Yamaji, M., Ishii, T., Takada, G.,
Izumori, K. & Kamitori, S. X-ray structures of the enzymes used for rare sugar production and their
catalytic reaction mechanisms. Rare Sugar Congress, November 2011, Takamatsu, Japan.
32. ○Yoshida, H., Teraoka, M., Izumori, K. & Kamitori, S. Structure analysis of mutant L-rhamnose
isomerase from Pseudomonas stutzeri to elucidate the ring opening mechanism. Rare Sugar Congress,
November 2011, Takamatsu, Japan.
33. ○玉井栄治,吉田裕美,田所隼人,成谷宏文,関谷洋志,神鳥成弘,岡部昭延,牧 純 「ウエルシュ
菌特異的溶菌酵素 Psm の構造と機能解析」 第 64 回日本細菌学会中国・四国支部総会, 2011 年 10
月(岡山)
34. ○寺岡美沙, 吉田裕美, 山下 哲, 西 望, 神鳥成弘 「ヒトガレクチン 8N 末端糖鎖認識ドメインと
3'-sialyl-Nlacetyllactosamine 複合体の X 線結晶解析」 第 84 回日本生化学会大会, 2011 年 9 月(京都)
35. ○山下 哲, 吉田裕美, 殿塚隆史, 小熊惠二, 西河 淳, 神鳥成弘 「ボツリヌス菌 C 型神経毒素複合
体におけるヘマグルチニン HA3・糖鎖複合体の X 線結晶解析」 第 84 回日本生化学会大会, 2011 年
9 月(京都)
36. ○伊藤愛子,宮中宏,中村隆範,西 望 「マスト細胞の脱顆粒調節における IgE 糖鎖の役割:
ガレクチン9結合性糖鎖の解析」第 84 回日本生化学会大会 2011 年 9 月(京都)
37. ○野中康宏,小川崇,大水総一,中北愼一,神鳥成弘,西 望,中村隆範 「タンデムリピート
型ガレクチン9のC末側糖鎖認識ドメインの役割について」第 84 回日本生化学会大会 2011 年
9 月(京都)
38. ○小川崇,東海林博樹,野中康宏,館野浩章,平林淳,西 望,中村隆範, 「アフリカツメガ
エル消化管におけるガレクチンファミリーの発現解析」第 84 回日本生化学会大会 2011 年 9 月
(京都)
39. 馳平加代, 宮西伸光, 住吉 渉, 平林 淳, ○中北愼一 「化学的手法を用いた希少糖アルドヘキ
ソースの合成法」 第 30 回日本糖質学会年会,2011 年 7 月(長岡)
40. ○Miyanishi, N., Hoshinoo, A., Nishi, N., Nakakita, S., Hirabayashi, J., Kamitori, S. What is real
target of galectin-3? XXI International Symposium on Glycoconjugate (GLYCO21), August 2011,
Vienna, Austria.
41. ○Yoshida, H., Teraoka, M., Yoshihara, A., Izumori, K. & Kamitori, S. Crystal structure of a rare sugar
producible enzyme L-ribose isomerase from Acinetobacter sp. 36th FEBS Congress, June 2011, Torino,
Italy.
42. ○山下 哲,吉田裕美,殿塚隆史,小熊惠二,西川 淳,神鳥成弘 「ボツリヌス菌 C 型神経毒素複合
体におけるヘマグルチニンの糖鎖認識機構の構造研究」 第 11 回 日本蛋白質科学会年会,2011 年 6
月(大阪)
43. ○吉田裕美,西 望,寺岡美沙,山下 哲,中北愼一,神鳥成弘 「プロテアーゼ耐性型ヒト由
来ガレクチン 8/シアリルラクトース/ラクトース複合体のX線結晶解析によるドメイン間の基質
親和性の検討」 第 11 回 日本蛋白質科学会年会,2011 年 6 月(大阪)
44. ○寺岡美沙,吉田裕美,武田耕青,吉原明秀,何森 健, 神鳥成弘 「Acinetobacter sp. strain DL-28
由来 L-ribose isomerase の結晶化及び予備的 X 線回折実験」第 33 回日本分子生物学会年会,第 83
回日本生化学会大会,2010 年 12 月(神戸)
45. 宮中宏,伊藤愛子,中村隆範,○西 望 「前立腺におけるフコシル化スフィンゴ糖脂質の組織
特異的発現」第 33 回日本分子生物学会年会,第 83 回日本生化学会大会合同大会,2010 年 12 月
(神戸)
46. ○小川崇,東海林博樹,西 望,中村隆範 「消化管におけるガレクチンファミリーの発現解析」
第 33 回日本分子生物学会年会,第 83 回日本生化学会大会合同大会,2010 年 12 月(神戸)
47. ○野中康宏,小川崇,西 望,中村隆範 「NMR によるガレクチン9の糖鎖認識メカニズムにつ
いての解析」第 33 回日本分子生物学会年会,第 83 回日本生化学会大会合同大会,2010 年 12 月
(神戸)
48. ○東海林博樹,島村英理子,石垣靖人,西 望,中村隆範,島田ひろき,八田稔久 「胎盤栄養
膜幹細胞におけるガレクチンファミリーの発現」第 33 回日本分子生物学会年会,第 83 回日本生
化学会大会合同大会,2010 年 12 月(神戸)
49. 吉田裕美,寺岡美沙,西 望,中北愼一,中村隆範,平島光臣,○神鳥成弘 「X 線構造に基づ
くガレクチン9のシアル化糖鎖認識機構の解明」 第 60 回日本結晶学会,2010 年 12 月(大阪)
50. ○Tahara, Y., Ishii, T., Yoshida, H., Izumori, K. & Kamitori, S. (2010). Crystal Structure of D-tagatose
3-Epimerase Cys66Ser from Pseudomonas cichorii. 2010 International Chemical Congress of Pacific
Basin Societies, Dec. 2010, Honolulu, Hawaii, U.S.A.
51. ○田中裕章,成谷宏文,鈴木基生,谷口有紀,芳地 一,宮田 茂,岡部昭延 「ウェルシュ菌の
glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase の性状解析」 第 63 回日本細菌学会中国・四国支部総
会,2010 年 10 月(松山)
52. Yoshida, H., Teraoka, M., Nishi, N., Nakakita, S., Nakamura, T., Hirashima, M. & ○Kamitori, S. (2010).
X-ray Structure of Galectin-9 C-terminal Domain in Complex with N-linked Oligosaccharide with a
Branch. The 25th International Carbohydrate Symposium, Aug. 2010, Tokyo-Chiba, Japan.
53. ○Yoshida, H., Takeda, K., Tahara, Y., Ishii, T., Izumori, K. & Kamitori, S. (2010). X-ray structures of
rare sugar production related enzymes and the catalytic mechanisms. The 25th International Carbohydrate
Symposium, Aug. 2010, Tokyo-Chiba, Japan.
54. Hasehira, K., ○Nakakita, S., Miyanishi, N., Sumiyoshi, W., Hayashi, S., Takegawa, K. & Hirabayashi, J.
(2010). A Comprehensive HPLC Analytical System for the Identification and Quantification of Hexoses
that Employs 2-aminobenzamide coupling. The 25th International Carbohydrate Symposium, Aug. 2010,
Tokyo-Chiba, Japan.
55. ○Yoshida, H., Teraoka, M., Nishi, N., Nakamura, T., Hirashima, M. & Kamitori, S. (2010). Crystal
structure of the C-terminal carbohydrate recognition domain of human galectin-9. 35th FEBS Congress,
June 2010, Gothenburg, Sweden.
56. ○吉田裕美,西 望,寺岡美沙,中北愼一,中村隆範,平島光臣,神鳥成弘 「ヒト由来ガレク
チン 9 の C 末端糖鎖認識ドメイン・シアリルラクトース複合体およびプロテアーゼ耐性型ヒト
由来ガレクチン 8 のX線結晶解析」 第 10 回 日本蛋白質科学会年会,2010 年 6 月(札幌)
57. ○吉田裕美,武田耕青,何森健, 神鳥成弘 「C 末端領域の改変による Pseudomonas stutzeri 由
来 L-ラムノースイソメラーゼの酵素活性への影響」 平成 22 年農芸化学会大会,2010 年 3 月(東
京)
58. ○吉田裕美,西 望,中北愼一, 神鳥成弘 「プロテアーゼ耐性変異型ヒトガレクチン 8 の X 線結
晶解析」第 82 回日本生化学会大会,2009 年 10 月(神戸)
59. ○西 望,井本(山本)ひとみ,東海林博樹,中村隆範 (2009) 第 82 回日本生化学会大会 「血
管内皮細胞におけるガレクチン9の機能解析」
外部資金の獲得状況
平成21年度,22年度,研究組織メンバーを含む。
文部科学省科学研究費補助金(研究代表者のみ)
① 科学研究費補助金基盤(B)(一般)課題番号:23370054 平成23-25年度 代表者: 神鳥成
弘 「X線構造に基づくガレクチンと糖鎖プロセッシング酵素のヒト型分枝糖鎖認識機構の解明」
② 科学研究費補助金若手研究(B)課題番号:23770122 平成23-24年度 代表者: 吉田裕美 「新
規単糖異性化反応機構の解明を目指した希少糖生産酵素群のX線結晶解析」
③ 科学研究費補助金基盤(C)(一般)課題番号:20570109 平成20-22年度 代表者:
弘「X線構造による脳内新規EFハンドタンパク質Iba1のシグナリング分子機構の解明」
神鳥成
④ 科学研究費補助金基盤(C)(一般)課題番号:20570133 平成20-22年度 代表者:西 望 「内
在性ガレクチン9による血管内皮細胞のインターフェロン感受性調節作用」
⑤ 科学研究費補助金基盤(C)(一般)課題番号:21590483 平成21-23年度
「Clostripainの活性制御と炎症反応の修飾の機構について」
代表者: 岡部昭延
⑥ 科学研究費補助金基盤(C)(一般)課題番号:20590448 平成20-22年度
「ウェルシュ菌ε毒素プロモーター下流のbent DNAの解析と応用」
代表者: 宮田
茂
その他の外部資金
① 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラムフィージビリティスタディ【FS】ステー
ジ 探索タイプ(A-STEP)課題番号:AS231Z00618F 平成 23 年度 研究代表者:西 望「移
植・再生医療に用いる非拡散性拒絶反応抑制剤の開発」
② 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラムフィージビリティスタディ【FS】ステー
ジ 探索タイプ(A-STEP)課題番号:AS231Z01595F 平成 23 年度 研究代表者:松下治 分
担者:西 望「組織再生を目的としたコラーゲン結合性ヒト型上皮成長因子の生産法確立」
③ 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラムフィージビリティスタディ【FS】ステー
ジ 探索タイプ(A-STEP)課題番号:AS231Z03835E 平成 23 年度 研究表者:中北愼一 「化
学的手法を用いた希少糖アルドヘキソースの合成法」
その他
○文部科学省平成 22-25 年度特別経費(プロジェクト分)
(大学の特性を生かした多様な学術研究機能の充実)
「香川グライコリソース(希少糖・ヒト型糖鎖)を用いたナノ糖質生命科学研究推進事業」
研究経費の明細(平成23年度)
備
研 究 計 画 別
品
品
費
名
金額
消
耗
品
名
品
費
千円
糖鎖複合体構造解析 振とう培養器
および糖質バイオロ (2 x @842)
ジー関連研究
冷却遠心機
(1 x @649)
クリーンベン
チ
(1 x @735)
サーマルサイ
クラー
(1 x @487)
1,684 一般試薬
糖鎖およびタ
649 ン パ ク 質 精
製・解析関連
製品
735
一般試薬およ
びディスポー
ザブル製品な
487 ど
(H24.2 購 入
予定)
クロマトデー
タ処理装置
(1 x @189)
189
蛍光検出器
(1 x @709)
709
そ
金額
事
4,453 計
項
千円
他
金額
千円
367 実 験 器 具 修
理費
641
研究関連連
絡費
33
データ収集
293 旅費
(高松-つく
ば 1 回)
52
共同研究打
合せ旅費
76
学会参加及
び成果発表
(高松-神戸
1 回)
84
研究成果報告
計
の
1
1,301 計
246
総 額
6,000
千円
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