Gen とるくん TM(血液用) Dr.GenTLE

製品コード
Gen
とるくん
9081
TM
(血液用)
Dr.GenTLE (Gene Trapping by Liquid Extraction)
説明書
v201010Da
Gen とるくん ™(血液用)は血液から DNA を調製するためのキットです。スタンダードプロトコールは
100 μl 全血処理について記述していますが、2 ml までの血液を処理することも可能です。(参照:V. 多
量の血液を処理するには)
キットには GenTLE solution I、II、III が含まれています。このうち GenTLE solution I は、血球を破壊す
るとともに、核酸と電気的に中性な複合体を形成します。この複合体を遠心で集め、GenTLE solution II
で洗浄を行った後の沈殿に、GenTLE solution III を加えて DNA だけを分離します。これにイソプロパノー
ルを加えて、DNA を沈殿として回収します。これらの操作に必要な時間は約 40 分であり、非常に単純
な操作で純度の高い DNA が調製できます。
GenTLE solution I には菌体やウイルス粒子を破壊する作用があるので、病原菌等、感染の恐れのあるサ
ンプルの取り扱いに有用です。また、GenTLE solution I と核酸の複合体は強固かつ安定なので、サンプ
ルの輸送や多サンプルの処理にも有用です。
本キットで処理できる血液サンプルは、採血直後の凝固していない全血、および各種抗凝固剤(クエ
ン酸、EDTA、ヘパリン)処理した血液です。(参照:VI. 採血後のサンプル処理・保存と DNA の収量)
本キットを用いて調製される DNA 量は、いずれの抗凝固剤処理に関わらず、血液 100 μl あたり 1 〜 7 μ
g です。また、その DNA サンプルの純度は A260/280=1.8 〜 2.0 です。調製された DNA は LA ( Long
and Accurate) PCR や制限酵素処理などの反応に使用できます。
I.キットの内容(200 回用)
1.
GenTLE solution I
50 ml × 2 本
2.
GenTLE solution II
50 ml × 4 本
3.
GenTLE solution III
50 ml × 2 本
※ キット以外に必要な試薬、機器(主なもの)
1.遠心分離器(各種チューブに対応したもの)
2.イソプロパノール
3.70%エタノール
4.各種チューブ(処理する血液量に対応するもの)
5.マイクロピペットおよびチップ等(滅菌済のもの)
II.保存
輸送
保存
室温
室温
[注意]
GenTLE solution I および GenTLE solution II は沈殿を生じることがあります。
その場合は
「III.
使用上の注意」の1、2 の方法にしたがってご使用ください。
*適切に保存した場合、未開封であれば2年間安定です。開封後はコンタミネーション
に注意して、なるべく早めにご使用ください。
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III.使用上の注意
本キットを使用する時の注意事項です。使用前に必ずお読みください。
1.GenTLE solution Iを20℃以下で保存すると沈殿を生じることがありますので、できる
だけ20℃以上で保存してください。沈殿が生じた場合、50〜55℃で1〜2時間加温し、
沈殿を完全に融解した後ご使用ください。なお、60℃以上で加温しますと、性能が低
下するおそれがありますのでご注意ください。
2.GenTLE solution IIは、保存中に沈殿が生じることがあります。その場合、沈殿を完全
に融解していただく必要はありません。GenTLE solution IIを静置し、沈殿を含まない
上清液をご使用いただくことで問題なく回収できます。
3.GenTLE solution I は、火傷を起こすことがあります。もし、眼に入ったときはすぐに
多量の水で洗い、医師の指示を受けてください。また、皮膚に触れた場合、直ちに多
量の水で洗浄してください。コンタミネーション防止のためにもディスポーザブル手
袋および防護眼鏡を着用してください。
4.GenTLE solution I は気温により粘性が増し、ピペッティングしづらい時があります。
その時には、37℃で数分間温めますと、ピペッティングしやすくなります。
5.全てのピペッティング操作毎に、必ず滅菌した新しいディスポーザブルチップ(エア
ルゾル対応のフィルター付きチップが望ましい)を用い、試薬およびサンプルのコン
タミネーションを極力防止してください。
6.PCR法などの増幅反応に使用するためにDNAを調製する時は、コンタミネーションを
予防するために、DNAを調製するエリア(実験台)、増幅反応を行うエリア(実験
台)を明確に分けることが重要です。実験台・ピペットなどはDNAコンタミネーショ
ン除去液であるDNA-OFF™(製品コード 9036)で洗浄するのも有効です。
7.抗凝固剤の種類や保存状態によって、血液サンプルからのDNAの収率は若干異なっ
てきます。使用される前に、必ず、VI. 採血後のサンプル処理・保存とDNAの収量
(p7)をご覧ください。
8.抗凝固剤はクエン酸、EDTA、ヘパリンのいずれも使用できますが、ヘパリンは酵素反
応を阻害するおそれがあるため、特に制約がなければクエン酸あるいはEDTAの使用を
お勧めします。
9.プロトコールの最後でDNAの沈殿を溶解する時に、TE緩衝液で溶解した場合にはその
後のDNA溶液の保存は4℃で構いませんが、水に溶解した場合はDNAの分解のおそれ
がありますので凍結して保存することをお勧めします。
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IV.スタンダードプロトコール(全血 100 μl を処理する場合)
ステップ4(GenTLE solution I と血液の混合物を取り除く操作)、およびステップ9(GenTLE
solution III とイソプロパノールの混合物を取り除く操作)は非常に重要です。初めてキットを
使用される方は、文中の通りに、フラッシュ遠心により上清を完全に除去することを強くお勧
めします。
1.サンプル数の 1.5 ml マイクロチューブを用意し、GenTLE solution I を 500 μl ずつ分注する。
2.血液 100μl(均一に混合したもの)を、分注した GenTLE solution I に加え、サンプル 1 本毎
に直ちに数秒間ボルテックスで撹拌する*1。
* 1: 本操作は、血液と GenTLE solution I を混合した時点で直ちに行ってください。複数の
サンプルを同時に処理する場合についても、サンプル 1 本毎に GenTLE solution I に血
液を加えると同時にボルテックスで混合してください。複数サンプルを処理する時は、
すべてのサンプルを GenTLE solution I に加えてからまとめてボルテックスしがちで
すが、これは収量の低下につながりますので絶対に避けてください。
3.室 温で 10 分間以上静置後、室温*2 にて 12,000 × g*3 以上で5分間
遠心する。(沈殿が見えにくいことがあります。チューブの向きを揃え
て遠心してください。)
* 2: 遠心ローターの温度が低いと収量および純度に影響を及ぼす
恐れがあります。20℃以上で遠心するよう注意してください。
* 3: 通常のマイクロ遠心機では 12,000 rpm です。
4.黒 く濁った上清をマイクロピペット等で丁寧に取り除き*4、沈殿に
GenTLE solution II を 1 ml 加える。*5
* 4: 沈殿はほとんど見えませんが、遠心時のチューブの外側にあたる内壁につい
ています。外側の壁にチップが触れないように、チューブの内側の底までチッ
プの先端を入れて、できる限り上清を取り除くようにしてください。一度上
清を除いた後、フラッシュ遠心(12,000 rpm 数秒)により残っていた上清を
底に集め先端の細いチップでさらに上清を取り除くのも有効です。
* 5: チューブの内側の壁を伝わらせて入れるようにしてください。
5.マイクロチューブをやさしく転倒混和した後*6、室温(20℃以上)にて 12,000 × g
以上で2分間遠心し、上清をマイクロピペット等で丁寧に取り除く(* 4 参照)。
* 6: チューブを軽く2、3回転倒するだけで十分です。この時にボルテックスな
どの激しい操作をすると収量および純度が落ちる恐れがあります。
6.沈殿に GenTLE solution III を 500 μl 加え、10 秒間ボルテックスで撹拌する、あるいは 10 秒
間上下にマイクロチューブを強く振る。
7.室温(20℃以上)にて 12,000 × g 以上で5分間遠心し、上清を新しく用意したマイクロチュー
ブに移す。(デカンテーションで十分です)
*7
8.等量(500 μl)のイソプロパノールを加え、やさしく転倒混和してよく混合する。
* 7: 白い糸状の DNA がはっきりと確認できるまで十分混合してください。DNA の沈殿は
確実に確認してください。この時点で DNA が確認できない時は、ここまでの操作上
で何らかの問題があったことが考えられます。
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*8
9.4℃、12,000 × g で5分間遠心して、上清を丁寧に取り除く。
* 8: GenTLE solution III 中には酵素反応に影響を及ぼす恐れのある物質が入って
います。【DNA の沈殿を目視しつつ上清を丁寧に確実に取り除いてくださ
い。沈殿がはがれることがありますので吸い込まないように注意してくだ
さい。一度上清を除いた後、フラッシュ遠心(12,000 rpm 数秒)により上
清を底に集め先端の細いチップでさらに上清を取り除くのも有効です。】
10.1 ml の 70%エタノールをチューブ加えて、全体に行き渡らせる。
11.4℃、12,000 × g で5分間遠心して、上清を丁寧に取り除く(* 8 参照)。
さらに以下の操作により DNA の純度が上がることがあります。
11-a. 1 ml の 100%エタノールを加え、チューブ全体にいきわたらせる。
11-b. 4℃、12,000 × g で5分間遠心し、上清を丁寧に取り除く(* 8 参照)。
*9
12.真空乾燥機あるいは風乾により簡単に乾燥する。
* 9: 乾燥しすぎると、DNA が溶解しにくい場合があります。例えば、11. の操作でフラッ
シュ遠心などにより上清をほぼ完全に除去できている場合は5分程度の風乾で十分
です。
13.10 〜 50 μl TE 緩衝液または以降の実験に適した緩衝液等に溶解する。
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操作フローチャート
500 μl GenTLE solution I
100 μl 血液
直ちに数秒間ボルテックスで撹拌
室温で 10 分以上放置
12,000 × g で室温、5 分間遠心分離
(さらにフラッシュ遠心で上清を除く)
沈殿
1 ml GenTLE solution II
2、3 回軽く転倒混和
12,000 × g で室温、2 分間遠心分離
沈殿
500μl GenTLE solution III
10 秒間 ボルテックス撹拌
12,000 × g で室温、5 分間遠心分離
上清
500μl イソプロパノール(よく混合する)
12,000 × g で 4℃、5 分間遠心分離
(さらにフラッシュ遠心で上清を除く)
沈殿
1 ml 70%エタノール
2、3 回軽く転倒混和
12,000 × g で 4℃、5 分間遠心分離
(さらにフラッシュ遠心で上清を除く)
沈殿
室温で 5 分間風乾
10 〜 50 μl TE 緩衝液等で溶解する
LA PCR を行う場合
(例)
10 × LA PCR Buffer (Mg2+ plus)
dNTP Mixture
human-1 primer※
human-2 primer※
上記プロトコールで調製した鋳型 DNA
TaKaRa LA Taq ®
蒸留滅菌水
total
5 μl
8 μl
20 pmol
20 pmol
2μl
0.5 μl
X μl
50 μl
反応条件(注)
94℃、1 min
↓
98℃、10 sec
30 cycles
68℃、15 min
(注)TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice®, GP,
SP, MP, PERSONAL を用いる場合。機種により
反応条件は異なる場合があります。
※ LA PCR™ 用 genome DNA Set(製品コード 9060)に含まれる。
以上の LA PCR 条件にて human β - グロビン遺伝子 17.5 kb を増幅することが可能です。
なお、PCR 反応に使用する DNA 量は全血 5 μl 相当分以下としてください。
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V.多量の血液を処理するには
多量の血液を処理する方法としては、スタンダードプロトコールをスケールアップして全血を処
理することが可能です。
GenTLE solution I と血液との比率(5:1)は必ずお守りください。使用する液量の比率は GenTLE
solution I: GenTLE solution II: GenTLE solution III = 1 : 2 : 1 が基本ですが、GenTLE solution II は
チューブの容量程度で、GenTLE solution III はチューブの容量の半分程度で DNA を充分抽出でき
ます。以下に例を紹介します。
(例)
GenTLE solution
血液量
使用チューブサイズ
I
II
III
200 μl
1 ml 1.3 ml
1 ml
2 ml
1 ml
5 ml
10 ml
5 ml
10 ml
1.5 ml 7.5 ml
10 ml
7 ml
15 ml
2 ml
10 ml
12 ml
7 ml
15 ml
注)1 ml 以上の全血から処理する場合、血球由来の PCR 反応阻害物の持ち込みにより PCR 増幅
がされないことがあります。この場合、フェノール抽出処理を最後に行うことをお勧めします。
VI.採血後のサンプル処理・保存と DNA の収量
1. 各種抗凝固剤処理した血液について
各々その日のうちに DNA を調製する場合には、操作を始めるまで 4℃で保存してください。
2. 血液と GenTLE solution I を混合した状態での保存について
採血したサンプルをその日のうちに GenTLE solution I と混合して放置したときに、いずれの抗
凝固剤処理血においても、10 日目までは、その日のうちに処理したものと比べて 90%程度
の収率で DNA を調製できます。
この時の保存温度についてですが、4℃で保存するよりも室温で保存するほうが若干回収率
がよく、また、ー 80℃での保存は収率が半分程度に落ちます。
3. 後日 DNA 調製をする場合
後日 DNA 調製をする場合は、小分けにしてー 80℃で凍結保存することをお勧めします。こ
の際、凍結融解を繰り返すと、収率が下がる恐れがあります。また、- 80℃での保存は 2
カ月程度までできることを確認しております。
参考に、弊社で各処理血をー 80℃、4℃および室温で保存し、4 日目と 10 日目に DNA 調製
したときの結果を次ページの表にまとめました。
4. 4℃で保存したときには
収率が若干落ちます(収率:90%程度)が、4 日目ぐらいまではほぼ問題なく DNA が調製で
きます。ヘパリン処理血に関しては純度が多少低くなる傾向があります。
10 日目まで保存するとヘパリン処理血からの DNA 調製は難しくなりますが、クエン酸処理
血および EDTA 処理血に関しては、収率がやや落ちるものの(収率:85%程度)、調製は可能
です。
5. 室温で保存したときには
ヘパリン処理血からの DNA 調製は 4 日保存した状態で困難になります。また、クエン酸処
理血および EDTA 処理血については、4 日目までは多少収率が落ちるものの(収率 80% 程度)
調製は可能ですが、10 日まで保存すると DNA 調製は難しくなります。
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製品コード 9081
抗凝固剤処理血
ヘパリン
ー 80℃
クエン酸
EDTA-2Na
10 日間(収率 90%)
後日 DNA 調製を行うときはお勧め。
2 か月間保存可能。
GenTLE solution I との混合物
お勧めできません。
10 日目(収率 50%)
*
4 日目(収率 90%)
4℃
10 日目
調製不可能
室温
調製不可能
10 日目収率(85%)
4 日目(収率 90%)
10 日目調製不可能
10 日目(収率 85%)
10 日目(収率 90%)
採血後、すぐに抽出した場合の収率を100%としました。
*:ヘパリン処理血を4℃で保存すると純度が悪くなる傾向があります。(A260/280≦1.8)
VII.注意
・ 本製品は研究用として販売しております。ヒト、動物への医療、臨床診断用には使
用しないようご注意ください。また、食品、化粧品、家庭用品等として使用しない
でください。
・ タカラバイオの承認を得ずに製品の再販・譲渡、再販・譲渡のための改変、商用製
品の製造に使用することは禁止されています。xx
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