内燃機関用高圧燃料噴霧の構造解析 StudyonFuelSprayStructurewithHighPressureInjectionSystem inanlnternalColnbustionEngine 服部廣司 HiroshiHATTORI ディーゼル機関の燃料の微粒化による混合気形成過程は、着火過程から初期および主燃 焼過程、さらには有害物質排出特性を支配する重要な因子である。陸上輸送に代表される 軽油を燃料とする小型・高速ディーゼル機関では、燃焼および有害排出物質の改善のため、 燃焼室内の噴霧挙動や燃焼過程の解析研究がさかんに行われてきており、高圧噴射が主流 となりつつある。近年の計測技術の発達によって、噴霧の初期微粒化機構や噴霧の微細内 部構造についても一部明らかにされてきた。一方、海上輸送の代表的原動機である中.大 型舶用ディーゼル機関では、IMOの2000年規制を始め、さらに厳しい規制が予想され、早 急にその対策を講じる必要がある。しかしながら、小型機関に比べ、装置が大型となるた め実験室での基礎的な研究報告は少ない。特に混合気形成および燃焼過程について、わず かに報告されているものの、最近の舶用ディーゼル機関で使用されている最高噴射圧力 lOOMPa以上、燃焼室圧力l0MPa以上の噴霧特性についてはまだ不明な点が多い。 本研究では、舶用ディーゼル機関の混合気形成過程および着火・燃焼過程を基礎的に解 析することにより、排出される有害物質を低減することを目的としている。このために、 中型機関用の噴射系で構成された単発噴射装置および高圧観察容器を設計・製作した。第 一段階として、基礎的な噴霧特性、特に非蒸発噴霧の先端到達距離および噴霧角を高速度 イメージコンバータにより観察し、考察をした。 本報告では、船舶用の中型ディーゼル機関の混合気形成と燃焼観察用の単発噴射装置と 高圧容器を設計・製作し、その特性を吟味し、第一段階としてこの装置を用いて噴霧の到 達距離および噴霧角に関する考察を行った。その結果、単発噴射装置と高圧容器は実機の 噴射特性などと対比し、噴霧および燃焼の観察に十分であることがわかった。また、噴射 初期の噴霧の到達距離の基礎特』性が明らかになった。今後の研究として、噴射終了までの 噴霧の発達状態のマクロ的観察、レーザーシート法による噴霧の内部構造の解析、PDPA 装置による噴霧の流速および粒径の計測を予定している。 -82-
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