権利擁護と成年後見制度

権利擁護と成年後見制度
1. 日本国憲法の基本原理の理解
憲法の基本原理は、(A
)、「基本的人権の尊重」、(B
)である。人権と
は、人間が人間らしく生きるための、生まれながらにしてもっている権利のことで、その中
核は(C
)である。憲法第 11 条・第 97 条は、「国民はすべての基本的人権の享有を
妨げられ」ず、「現在及び将来の国民」がもつ「侵すことのできない永久の権利」である、
とその性質を定めている。また、人間であるがゆえに当然に有すること(固有性)、性別など
には無関係であること(普遍性)、原則として国家や地方自治体から侵害されないこと(不可
侵性)が示されている。但し(D
)に反しないよう、国民はこれを濫用してはならな
いとされている。憲法は国の最高法規であり、守るべき優先順位は、 憲法> 条約> 法律>
政令>条例 である。
憲法の基本的人権は、基本的に、(E
)、(F
)、参政権に分類される。
更に、日本国憲法が保障する権利に即して言えば、(G
)、国務請求権(受益権)が
加わる。憲法に明文化はされていないが、社会の変化の中で新たに保障が必要になってきた
権利がある。憲法 13 条、包括的基本権としての幸福追求権に根拠をもつ「プライバシー権」、
(H
)、(I
)などは、(J
)と呼ばれている。
(A
)とは、国家の最終的な意思決定権力を国民が有するという意味で、その現れ
として、公務員は国民が選定し罷免する。しかし、すべての公務員の任免権をもつわけでは
ない。国会議員の選挙、地方公共団体の長および地方議会の議員の選挙、(K
)の
国民審査などが、憲法が規定するものである。選挙権は、日本国民で満年齢(L
)
歳以上の者に与えられる。
※判例
憲法 13 条
指紋押捺、個人の容貌等の撮影、
私生活の公表
憲法 14 条
嫡出子と非嫡出子の法定相続分
憲法 25 条
朝日訴訟
堀木訴訟
※外国人の人権
マクリーン事件
最高裁判決
外国人の政治活動
八幡製鉄事件
最高裁判決
株式会社の政治活動
※2007 年(平成 19)
「日本国憲法の改正手続に関する法律」
各議院の総議員の 2/3 以上の賛成で国会発議、国民投票の過半数賛成
日本国憲法は、成文憲法、硬性憲法、
※三権分立
裁判所の権限
違憲審査権
p. 1
2. 相談援助活動と法
(A
)社会の中で、社会福祉サービスの供給が、基本的に私人間の法律関係と
して、(B
)の規制対象となったため、社会福祉士が法学を学ぶ必要性は、従前よ
り大きくなっている。認知症高齢者や知的障害者、精神障害者等、(C
)能力の低
下が著しく、(A
)を独力で締結することが困難な人たちほど、福祉サービスが
必要である。そこで、(C
)能力を補完して、権利行使を支援するため、成年後見
制度や(D
)が制度化されている。
(A
)は原則として「申込」と「承認」という 2 つの意思表示の合致で成立す
る。 しかし、実際には、十分な(C
)能力がある一般消費者であっても、事業者
と消費者の間には、情報の質および量、ならびに交渉力に格差がある。
(B
)には、(A
)について、詐欺や強迫による取消し、誤認や困惑
による取消しの制度が用意されているが、それらの立証は難しい。そこで、(B
)
の規定だけでは保護の不十分な消費者について、その救済を容易にするための、法律がある。
(E
)は、一定の要件を満たせば、契約は当初にさかのぼってなかったものとさ
れる「クーリングオフ」を定めている。(F
)は、事業者の免責条項(債務不履
行または不法行為による損害賠償請求権を排除又は制限する条項)について、その無効の範
囲を拡張して、消費者の擁護を図っている。
自己破産は、多重債務などにより借金返済ができなくなった(G
)が、みずか
ら裁判所へ破産の申立てをし、家庭裁判所が破産手続き開始決定をする制度である。
児童虐待、高齢者虐待、(H
)、(I
)の各防止法は、「法は家庭に入
らず」の原則を外し、家族構成員の生命・身体・財産を保護するために、法が家庭に入るこ
とを規定している。
※契約=法律行為と法律効果
法律行為
法律行為
意思表示(申込)
買主
= 商品引き渡し請求権
+ 代金支払い義務
債務
意思表示(承諾)
売主
= 代金支払い請求権
+ 商品引き渡し義務
債権
※法律行為の瑕疵
錯誤による意思表示・・・無効・・・・・重大な過失があれば主張できない
詐欺による意思表示・・・取消可能・・・善意の第三者に対抗できない
脅迫による意思表示・・・取消可能
p. 2
3. 民法の理解
(A
)が国や地方公共団体と個人との公的な関係を規律する公法であるのに対し
て、民法は、個人と個人の生活関係を規律する(B
)法である。民法は、①総則
(人、法人、者、時効)②物権(占有権、所有権)③債権(契約、不法行為)④親族(婚姻、親
権、後見)⑤相続(相続人、相続の承認および放棄、遺言、遺留分)の 5 編構成である。
<財産法> 経済生活について
民法上の権利・義務の主体となれる能力を(C
)能力という。すべての人に出生と
同時に認められ、死亡によってのみ消滅する。人はみずからの自由な意思に基づいて権利を
取得し、義務を負担する。
取引等にあたっては、自らの行為がもつ意味ないしは結果について正常に判断する能力、
事理を弁識する能力 ≒ 判断能力 を備えていなければならない。法律行為を有効に行う
ことができる能力を(D
)能力という。民法は、20 歳未満の未成年者に対して、一律
に(D
)能力を制限している。また、判断能力を欠くか、あるいは不十分とみられる
者を類型(成年後見・保佐・補助)化して、その類型にあたる者の法律行為を制限している。
故意または過失によって違法に他人に損害を加える行為を(E
)行為と言う。行
為者は生じた損害を被害者に償わなければならない。(E
)行為の損害賠償が負え
る能力を(F
)能力といい、一般的に 12 歳程とされる。(E
)行為による損
害賠償請求は、損害および加害者を知ったときから(G
)年間、行使しないと、時効
により消滅する。不法行為発生時から(H
)年間、経過した場合は一切行使できな
い。
※典型契約
①贈与
②売買・・・代金は現金に限る
③交換
④消費貸借・・・借りた者と同種・同等のものを返還する
⑤使用貸借
⑥賃貸借 ⑦雇用
⑧請負・・・注文者が請負人に仕事を依頼し、完成したら報酬を支払う
⑨委任・・・委任者が受任者に法律行為(事務)をすることを委託し、受任者が承諾する
任意後見がこれにあたる、無償が原則だが報酬の特約がある
医療・看護・介護などはサービス内容が事実行為のため準委任契約である
⑩寄託
⑪組合
⑫終身定期金
⑬和解
※損害賠償責任の方法
債務不履行責任・・・
①履行遅滞②履行不能③不完全不履行
債務者が本旨に従った履行をしない時は、債権者は損害賠償請求及び契約解除
の権利を有する
不法行為責任 ・・・ 故意または過失によって他人に損害を与えた場合、加害者はその被害者に対して
自己責任の原則と過失責任により、その賠償責任に応じる義務が発生する
使用者責任
・・・
使用者は、労働者がその職務中、他人に加えた損害を賠償する責任がある。
(不法行為責任)
p. 3
<親族法> 夫婦・親子を中心とした家族生活について
親族とは、(I
)親等以内の血族、配偶者、(J
)親等以内の姻族をさす。
親権は、未成年に対する権利義務の総称である。身上監護に関しては、①監護教育権②居
所指定権③懲戒権④職業許可権がある。財産管理に関しては、この財産を管理し、かつ、そ
の財産に関する法律行為についてその子を代表する権利が与えられる。
2011 年(平成 23)の民法改正により、親権の濫用がある場合は、
「親権(K
)の審判」
に加えて、
「親権(L
)の審判」が、子、子の親族、検察官、児童相談所長、未成年後
見人、未成年後見人監督人によって申立てできるようになった。
親権は、婚姻中は父母が共同で行い、父母が離婚した場合は、父母の協議により父母の一
方が単独親権をもつ。協議が整わない場合は、(M
)が審判で定めることになる。
なお、親権が定まらないままでは、離婚はできない。子の監護については、(N
)
や養育費の分担についても、協議により定めなくてはならない。
親権を担う者がない場合は、(O
)後見が開始する。これは、親権の延長という
性格があり、職務内容は財産管理と身上監護が中核である。ただし、事務にあたっては、親
権者の場合、
「自己のためにするのと同一の注意義務」で足りるのに対して、(O
)
後見人には、(P「
」)の注意義務が課せられる。
民法上の扶養義務を負うのは、配偶者間、直系血族及び兄弟姉妹間である。扶養義務者が
複数いる場合の順位は定められていない。扶養義務は、①扶養権利者が要扶養状態にあり、
かつ、②扶養義務者に扶養能力かある場合において、③扶養権利者の請求があったとき、実
際に発生する。夫婦間ならびに親が未成熟な子を扶養する義務は、(Q
)義務(自
己と同程度の生活を援助すべき義務)、それ以外の親族間の扶養義務は、(R
)義
務(余力があれば援助すべき義務)が目安とされる、扶養の方法は、経済的援助に限定される。
※相続
法定相続と遺言相続、代襲相続、寄与分、相続人の不存在と特別縁故者
p. 4
4. 行政法
行政法は、(A
)と(B
)との間の権利義務関係を規律している。
行政処分≒行政行為とは、公権力の主体たる国又は地方公共団体が行政目的を実現する
ため、法律によって認められた権限に基づいて、一方的判断により、特定の国民の権利義
務その他の法律的地位を具体的に決定することである。違法・不当な行政処分によって国
民の権利や利益が侵害された場合、救済の制度として、(C
)(D
)
がある。
行政不服申立ての改正
行政不服審査法・行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律 2016.4 月施行
行政手続法の一部を改正する法律 2015.4 施行
不服申立ては、処分(行政庁が行った事)のほかに、不作為(行政庁が何もしない事)も対
象にしている。(C
)と(D
)のいずれを選択するかは、国民が選択
できる。但し、(C
)についての裁決を経た後でなければ(D
)を出訴
できない旨を定めた個別法がある。「不服申立て前置」と呼ばれ、国民の裁判を受ける権利
を不当に制限しているとの指摘があった。改正により、制限が一部廃止・縮小された。生
活保護法、(E
)法、(F
)法については不服申立前置が存続している。
不服申し立ては、行政上の争いを(G
)が裁く制度であり、公正性の向上が求め
られていた。改正により、手続きは審査請求に一本化された。審査請求の期間が(H
)
ヵ月に延長、審査庁が裁決を行うようになった。処分に関与しない(I
)が、審査
請求人と処分庁の主張を公正に審理し、裁決は、有識者からなる第三者機関の点検も行わ
れる。再審査請求は例外的となった。生活保護は(J
)日以内に審査請求、なお不服で
あれば(K
)日以内に再審査請求ができる。(L
)法、(M
)法は、障
害者介護給付費等不服審査会、介護保険審査会を、審査請求機関として設置している。
行政事件訴訟は、行政上の争いを(N
)の立場から裁くものである。抗告訴訟
は行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟であり、(O
)種が定められている。処
分、又は処分の執行または手続きの続行によって生じる重大な損害を避ける緊急の必要が
あるときは、(N
)は申立てにより、決定をもって処分の効力、処分の執行又は手
続きの全部または一部の停止をすることができる。
※行政行為の効力
執行力
・・・裁判所に提訴せずとも、自力で強制執行が認められる
不可争力 ・・・不服申立期間・出訴期間が経過すると、その行政行為の効果を争えない
公定力
・・・違法な行政行為でも、取り消されるまでは有効
不可変更力・・・行政行為をした行政庁は、それを職権で取り消すことはできない
p. 5
方法
具体的対応
行政不服申立て
場所
目的
行政機関
行政争訟
行政事件訴訟
裁判所
国家賠償
違法の場合
国家補償
損失補償
根拠法
行政不服審査法
違法状態の解決
国家補償法
金銭補償
適法の場合
国家賠償による損害賠償請求は、行政事件訴訟ではなく、(P
)訴訟として行われ
る。被告は、国、地方公共団体であって、行政庁ではない
国家賠償法第 1 条は、公務員がその職務を行うについて故意は過失により違法に他人に
損害を加えたときは、国又は地方公共団体がこれを賠償する責に任ずるとしている。民法第
715 条の(Q
)責任と異なり、まず、国・地方公共団体が必ず責任を負う。公務員
に故意または重大な過失があった場合は、国または地方公共団体は、求償権を公務員に対し
て行使できる。国家賠償法第 2 条 1 項は、公の営造物の設置または管理に瑕疵があったため
に他人に損害を生じたときは、国または地方公共団体は、これを賠償する責に任ずるとして
いる。設置管理に過失がなくても、国または地方公共団体は損害賠償の責任を負う。これを、
(R
)責任と言う。
p. 6
5. 成年後見制度の概要
(
A
)後見制度は、民法の規定に基づく後見制度である。(
B
)の審判により、精神上
の障害(認知症、知的障害、精神障害)により、判断能力が不十分な成年者の、生活・療養
看護(身上監護)及び財産管理の関する事務(後見事務)を、本人と共に行う成年後見人等を
選任することで、本人を保護・支援する。( A )後見の開始の審判を申立てることができ
る申立権者は、本人または、配偶者、( C )親等内の親族等である。申立権者がおらず、
本人の福祉を図るために特に必要があると認めるときは、(
D )に申立権が認められて
いる。( B
)の審理では、調査官による調査、面接、親族への照会、家事審判員または
参与員による審問、( E )が、必要に応じて実施される。本人の判断能力の程度によっ
て、後見、保佐、補助の 3 類型いずれかに審判されたら、それぞれ成年後見人、保佐人、
補助人が選任される。
任意後見制度は ( F )法による、契約に基づく後見制度である。本人に十分な判断能力
があるうちに、あらかじめ後見人と後見人に与える代理権の範囲を決める。任意後見契約は
( G )によって作成され、公証人の嘱託により、東京法務局へ任意後見契約の登記がなさ
れる。実際に本人の判断能力が不十分になったときに、( B )に任意後見監督人の選任に
申立てがなされる。選任が整って初めて後見事務が開始される。任意後見と( A )後見の
併用はできず、原則は、任意後見優先である。
成年後見制度は本人の権利擁護の制度である。「自己決定の尊重」「残存能力の活用」「ノ
ーマライゼーション」を理念として、容易ではないが、本人意思の尊重と本人保護を両立さ
せ、本人の最善の利益を追求することが期待される。
( A )後見
後見開始の審判=
取消権
+
(日常生活を除く全て)
保佐開始の審判=
同意権・取消権
+
(13 条1項一括)
補助開始の審判=
同意権付与の審判
(すべての法律行為から特定)
+
(13 条1項の中から特定)
任意後見
任意契約の登記
+
代理権
(すべての法律行為一括)
代理権付与の審判
代理権付与の審判
(すべての法律行為から特定)
任意後見監督人選任
=
代理権
(すべての法律行為から特定、同意権・取消権はなし)
p. 7
6.
成年後見制度利用支援事業の概要
法定後見の制度を利用するには、経済的負担が求められる。権利擁護の必要性は、資力の
有無にかかわらない。資力が十分でないために利用できず、保護に欠ける事態を招かないよ
うに、申立費用や鑑定料、成年後見人等への報酬等を支援する仕組みづくりに、国庫補助が
行われている。
対象者が高齢者か障害者かで、位置づけが異なる。高齢者については、(A
)法
に定める(B
)の任意事業であり、障害者については、
(C
)法に基づく市町村地域生活支援事業の(D
)事業である。いずれに
しても、市町村において具体化・予算化されなければ利用できないことから、自治体の財政
に左右され得る。
※「成年後見制度の利用の促進に関する法律」(成年後見制度利用促進法)2016 年 4 月成立
7. 成年後見制度と日常生活自立支援事業
□日常生活自立支援事業の対象
日常生活を営むのに支障がある人たちで、認知症の診断がある人や療育手帳や精神保健福
祉手帳所持している人に限らない。在宅生活者に限らず、社会福祉施設入所者や入院患者
も利用できる。
□利用料
無料または低額 1000~1200 円程度/1 回
□サービス内容
契約により、(E
)や(F
)の資格をもつ専門員が支援契約を作成
し、それに基づいて、登録された(G
)がサービスを提供する
① 福祉サービスの利用に関する相談、助言、必要な手続き
② 日常的金銭管理サービス
③ 書類等の預かりサービスや住宅改修、居住家屋の賃借、日常生活上の消費契約及び住民
票の届け出等の行政手続きに関する援助その他福祉サービスの適切な利用のための一連
の援助
□国庫補助事業、(H
)種社会福祉事業
□事業の実施主体は、都道府県社会福祉協議会および指定都市社会福祉協議会
で、市町村社会福祉協議会、地区社会福祉協議会や社会福祉法人等に委託可
□(I
)審査会では、利用者の能力の判断等を行い、契約の適正化を図るとともに
利用者の援助を行なっている。判断能力が低下し、契約締結能力に問題があるケースでは、
(J
)制度への移行も検討される
p. 8
1
J
3
E
精神鑑定
A
国民主権
K
喪失
F
任意後見契約
B
平和主義
L
停止
G
公正証書
C
個人の尊厳
M
家庭裁判所
D
公共の福祉
N
面会交流
A
介護保険
E
社会権
O
未成年
B
地域支援事業
F
自由権
P
善良なる管理者
C
障害者総合支援
G
平等権
Q
生活保持
D
必須
H
知る権利
R
生活扶助
I
自己決定権
J
新しい人権
A
K
最高裁判所裁判官
L
18
2
4
7
E
精神保健福祉士
国民
F
社会福祉士
B
行政
G
生活支援員
C
行政不服申立て
H
2
D
行政事件訴訟
I
契約締結
J
成年後見
A
契約
E
介護保険法
B
民法
F
障害者総合支援法
C
判断
G
行政
D
日常生活自立支援事業
H
3
E
特定商取引法
I
審理員
F
消費者契約法
J
60
G
債務者
K
30
H
配偶者虐待( DV )
L
障害者総合支援
I
障害者虐待
M
介護保険法
N
裁判所
3
6
A
憲法
O
6
B
私
P
民事
C
権利
Q
使用者
D
行為
R
無過失
E
不法
F
責任
A
法定
G
3
B
家庭裁判所
H
20
C
4
I
6
D
市町村長
5
p. 9
例題>
成年後見制度に関する記述の内、正しいものには◯、間違っているもの
には、×を付けなさい。
(1
) 家庭裁判所により補助人の同意権を拡張する審判がなされても、補助人が保佐人
と同等の同意権を行使できることはない。
(2
) 成年後見人は、成年被後見人に代わって、施設入所契約を結び、成年被後見人に
その施設で生活するように指示できる。
(3
(4
(5
) 成年後見人と成年被後見人の利益が相反する場合、成年後見人は成年被後見人の
ために家庭裁判所に対して特別代理人の選任請求を行わなければならない。
) 不動産処分の代理権を付与されている保佐人は、家庭裁判所の許可を得なくても、
被保佐人に代わって居住用不動産を処分できる。
) 被保佐人が保佐人の同意を得ないで提出した婚姻届けは、保佐人によって取り消
(7
すことができる。
) 家庭裁判所は、成年後見開始の審判をするときは、職権で成年後見人を選任する。
破産者や以前に成年後見人等を解任されたことがある者を成年後見人等に選任する
ことはできない。
) 成年後見人は、家庭裁判所に届け出ることによって、その任務をいつでも辞する
(8
(9
(10
ことができる。
) 保佐人は、被保佐人に代わって、遺産分割協議を行うことができる。
) 保佐開始の審判を、本人が申し立てることはできない。
) 任意後見監督人選任前であれば、本人または任意後見受任者はいつでも、任意後
(6
(11
(12
(13
(14
(15
(16
(17
見契約を解除することができるが、公証人の認証を受けた書面によらなければなら
ない。
) 任意後見契約には、被後見人の葬儀や埋葬など、被後見人の死後の事務も任意後
見人としての事務に含まれている。
) 任意後見人の権限には、被後見人が行った法律行為に関する取消権がない。
) 成年後見人は、不適切な事務遂行行為によって第三者に損害を与えた場合、成年
被後見人に事理弁識の能力があるときには、その第三者に対して損害賠償責任を負
わない。
) 成年後見登記制度による登記事項証明書は、成年後見人等の職権等を確認するた
めの、職務遂行に欠かせないものである。
) 成年後見人は、福祉サービス契約を締結することがあっても、現実の介護行為を
行うものではない。
) 任意後見契約が登記されている場合、原則として、法定後見開始の審判
はできない。
) 任意後見監督人は、任意後見契約法に定められた家庭裁判所が選任する必置の機
関である。
p. 10
(18
(19
(20
(21
) 保佐人は、被保佐人の心身の状態、生活の状況悪化が予想されても、被保佐人の
意思を第一に尊重しなくてはならない。
) 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被保佐人、その親族もしくは保佐人
の請求により、又は職権で、保佐監督人を選任することができる。
) 家庭裁判所は、職権で被保佐人のために特定の行為について、保佐人に代理権を
付与する旨の審判ができる。
) 成年後見人は、成年被後見人が建物の贈与を受けた時、これを取り消すことがで
きない。
例題>「成年後見関係事件の概況平成 27 年1月~12 月」最高裁判所事務総局家庭局に見ら
れる成年後見制度の動向について、正しいものには◯を、間違っているものには×を付けな
さい。
(22
(23
(24
(25
(26
(27
(28
) 成年後見関係事件の申立件数は、後見、保佐、補助及び任意後見監督人すべてで
増加して、30000 件を超えた。
) 審理については、2 か月以内に終局することは少なく、2 割以上が、6 か月以上か
かっている。
) 申立人は本人の子が最も多く、全体の 3 割を占め、次いで、兄弟姉妹、市区町村
長の順である。
) 本人の年齢は、男女とも 80 歳以上が最も多い。
) 申立ての動機としては、介護保険契約(施設入所等のため)が最も多く、次いで、
預貯金の管理・解約となっている。
) 成年後見事件のうち、4 割以上で鑑定が実施された。鑑定費用は、9 割以上が 10
万円を超えていた。
) 成年後見人等と本人との関係をみると、第三者が選任されているものが全体の 7
割を超えた。
p. 11