アパートバブルの懸念

アパートバブルの懸念
平成28年7月
平成28年7月4日の日本経済新聞によれば、不動産市場にアパートバブルの懸念が出てき
ており、その原因が団塊世代の相続税対策と日銀のマイナス金利政策であるとされています。
平成27年1月に相続税の非課税枠が、改正前の60%に縮小されたことに伴い、都内に自
宅を持つ相続人の40%以上が相続税の申告書を提出する必要が出てきたとの報道もありまし
た。現在の相続税法の評価基準によると、現金で所有することに比べ、不動産で所有するほう
がその評価額を低く抑えることができ、かつ、不動産を貸し出すとさらにその評価を下げるこ
とができることから、即効性のある相続税対策として、以前より資産家の相続税対策として有
効とされてきましたが、ここへきて、さらに加速する傾向があります。
しかしながら、空き家は、平成25年時点で850万戸に達し、空室率は14%となってお
り、現在も増え続けていると想定されます。
このような状況の中、次のような相続税対策のリスクが考えられます。
1.空室の増加により、収益性が悪化し、借入金の返済に支障をきたす危険があり、被相続人
だけでなく、そのアパートを相続した相続人が所有し続けることができない可能性があります。
2.空室率の悪化により、収益還元法で評価するアパートの時価が大幅に下落し、相続をした
相続人が、売却した場合に、借入金の返済ができない可能性があります。
3.最悪の場合、所有する不動産等をすべて処分しても、借入金の返済ができず、自己破産に
追い込まれることも考えられます。
以上のように、東京オリンピックを控え、不動産が脚光を浴びていますが、その投資には、
十分注意されることが望まれます。
お分かりにならない事がありましたら、遠慮なく、廣田哲治公認会計士事務所までお願いし
ます。
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法学博士・公認会計士・税理士
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