No.43 2012年8月号 (PDF:3596KB)

Miyagi
Prefecture
Forest
Instructors
Association
NPO法人 宮城県森林インストラクター協会
会報43号 2012年 8月
目
次
巻頭言 森づくりへの関心の高まりから見えてくる協会の課題
会長
震災復興事業部のページ
震災復興事業部だより
震災復興事業部長
5期 日下
10期
高垣
晃・・・・・1
至・・・・・2
環境・森林事業部のページ 「企業の森」の課題
環境・森林事業部 9期
企画部のページ
第37回
工藤 潔/6期 竹内 一郎・・・・・3
~きかく概論~「秋の企画 バイオマスの森」
企画部長 1期 木村健太郎・・・4~5
会報委員 9期 小島 恵子・・・・・6
宮城県みどりの少年団大会
施設管理事業部のページ
「ことりはうす」あれこれ
宮城県蔵王野鳥の森自然観察センター 管理職員 11期 馬場 則孝・・・・・7
県民の森の防火巡視を終えて
県民の森
防火巡視員作業サポーター 13期 今野
久一・・・8~9
花山の自然の中で楽しいウッドランドクラブ
こもれびの森 森林科学館 管理職員 9期 小林
妙子・・・・10
森林インストラクター養成講座報告 第14期生 養成講座再開
研修担当
紙上講座
13期
野鳥の観察会を始めるひとつの方法
もりもり教室のページ 夏だ一番もりもり祭り!
「西コミ自然ふれあい学校」に行こう!
安全のページ NO.15
会報委員長
相馬
實・・・・11
7期
西谷 理恵・・・・12
9期
入岡 知美・・・・13
2期 進藤
恵美・・・・14
スズメバチ刺症の対策・対処法
安全委員会 12期 蜂谷
仁・・・・15
森林インストラクターQ&A「13期 太田 雅夫さん」
リレー式会員の広場 那須の紅葉
会員からの活動報告その1 震災復興に頑張らう!!
会員からの活動報告その2
・・・・16
13期 高橋恵美子・・・・17
1期
武藤
正・・・・18
11期 後藤
政子・・・・19
東日本大震災復興支援プロジェクト「わらべ地蔵を被災地へ」に参加して
インフォメーション・編集後記
表紙: 12 期
加藤 宏
「ムシトリスミレ(栗駒山)」御室の岩壁(7 月)
写真を撮った場所は御室の岩壁です。ここの下は、大雪渓になっていて下から沸き上がるガスが趣を添え
仙境のようです。この御室の岩肌にしっかりと貼り付き私達を迎えてくれている妙に私の気を惹く花です。
スミレという名前が付いていますがスミレの仲間ではありません。スミレのような花を咲かせるのでそうな
りました。(スミレとの違いはその葉の表面がベトベトしていて虫を捕まえて消化吸収します。)
巻 頭 言
森づくりへの関心の高まりから見えてくる協会の課題
会長
5期
日下
晃
森林をめぐる状況をみると、森林に触れる機会を求め、森と関わるイベントなどが数多く企画さ
れ、たくさんの人々が森づくりに参加している様子をよく目にするようになりました。
これは、3.11東日本大震災や原発事故を契機に森林の果たす役割が注目され、復興事業とし
ての海岸林の復活や「森の防潮堤」計画が始まったことが少なからずあると思います。東北は大変
森林が豊かな地域で、森林や林業をみなおすことで地域や人々が元気になるという考え方も広がっ
て来ました。また、
「2011国際森林年メッセージ及び行動提案について」
(平成23年10月に
国際森林年国内委員会)が発表され、「森のチカラで、日本を元気に」と、個人や企業・団体に対
し、豊かな森林を守り育てていくために一人一人が具体的に行動することが呼びかけられたことも
大きいと思います。
こうした状況を受けて企業や関係団体・学校などから、私たち宮城県森林インストラクター協会
への事業協力依頼や講師派遣等も増えてきています。森づくりや森での活動への参加者が増え、イ
ベント企画内容の要請も多様化し、会員の事業参加機会が多くなってきています。県民の森やこと
りはうす、こもれびの森など指定管理施設利用状況を見ても、いずれも前年度はもちろんのこと
前々年度と比べても、たくさんの人たちが訪れ森との触れ合いを求める事例が多くなって来ている
ようです。5月には、東南アジアの子どもたちを交えた森づくりや8月には福島の被災地の子ども
たちとの森と関わるイベントもありました。
最近のイベントの企画や体験学習等を例にしてみますと、「自然観察、植樹活動、植樹地の世話
活動(下草刈りや枝打ち、間伐など)、里山生活体験(井戸掘り・薪づくり、腐葉土づくり、干し
柿づくり、カゴ編み、草木染めなど)、山菜園づくり、ネイチャークラフト作成、荒れた森の整備
作業や地こしらえ、遊歩道づくり、ベンチづくり、ビオトープ(湿地、バタフライ、甲虫など)づ
くり、巣箱づくり、苗木のホームスティ」など、参加者数の増加やニーズに対応し活動内容がいろ
んな要素を含んだものになり、多数の会員の活動参加が期待されてきています。そして森づくりへ
の関心が高まるにつれ協会への相談も多くなり、森づくりへのコーディネイトや提言が求められた
りするようにもなってきています。
企業の森でのイベントや小中学生との取り組みで、「自然観察しながら、葉っぱを使ったいろん
な遊びをしたり、笛をふいたり音を出して遊んだ。」
「木の実や枝でクラフト作って遊んでおもしろ
かった。」
「山道やかいだんを作ったのが楽しかった。」
「はじめてのこぎりで木を切った。」
「木を植
えた、自分たちの森を作りたい。」
「山が荒れたままでは、温暖化にやくだたないということがわか
った。」
「木を適度に切ることで森を守ることができるということがわかった。」
「森の中で遊んで気
持ちよかった。次も参加したい。」「山菜やキノコを育ててみたい。」等の感想が参加者より寄せら
れています。森とのふれあう楽しさを感じ、関心を持ってもらうことにより、私たち宮城県森林イ
ンストラクター協会の取り組みが森林と人々の関係を変えるために、「人々と森林をつなぐ」とい
う期待される役割を果たすことがますます大事になっていると思います。
こうした森林や自然への関心の高まりは、一時的なブームや一過性のものではなく、将来に向け
て自然と人間の関係を見直し、関わろうとする人々が多くなり、私たち協会の出番が今以上に増え
るだろうと思っています。日常的にたくさんの会員が参加し、協会活動への期待及びニーズに安定
的に応えられる組織体制の強化や多様な要請に対応できるスキルアップなどが喫緊の課題になっ
てきています。
1
震災復興事業部だより
震災復興事業部長
10 期
高垣
至
前 42 号では「環境教育防災林」のモデル校である石巻市・橋浦小学校での活動を報告しました。
この間、事業部の体制もメンバーの都合等で入れ替わり、副部長を 10 期の草野洋一さんにお願い
しました。また、工藤潔さん(現協会理事・事務局長)、松原哲成さん(現協会理事・経理契約部
長)を中心に 8 名の実行委員と協会事務局、そして多くの皆さんのご協力を得て、模索しながら活
動を進めています。
今回は事業部の二つ目のテーマである「生活用水資源ネットワークの構築」について報告します。
震災直後、トイレなどの所謂生活用水を求めて、ここ県民の森にも
多くの方々が来られました。そこでまず第一に、緊急時に生活用水が
確保出来そうな湧水や疎水がないか神谷沢団地や菅谷台団地に挟まれ
た利府町の菅谷地区を探索しました。その結果、4 ヵ所が好適地とし
て確認されました。また、県民の森の中で実際に役立った湧水 1 ヵ所
を、より快適な水汲み場とするために整備しました。(写真①)
写真①
それから青少年の森・森林学習館前を西に進んだ突きあたりの崖の下に滴り落ちる湿地の水を何
とか活用出来ないかと整備活動を行いました。Yの字型の水路に 2 ヵ所、そしてその合流点に 1
ヵ所合わせて3ヵ所にいずれも大雨による崖崩れで発生した杉の倒木で砂防ダムを、その下にコン
クリート枡を設置しました。こうして、渇水期には地中に吸い込まれてしまっていた湿地の水をな
んとかせき止めて汲めるようにしました。(写真①、②,③)
写真②ビフォー
写真③アフター
写真④アフター
「生活用水資源ネットワークの構築」目標は、これら自然の水が確保できる場所の他に、使われ
なくなった井戸の復活を提案して災害時に開放してもらえる旧家との交渉、公共施設への簡易井戸
の設置などを行って、それらを総合的にプロットした地図を災害用に公民館などに配置する事業を
目指しています。簡易井戸の掘削については学習館前で試掘を行って技術的な問題はほぼクリアし
ており、掘削用の複数の装置を手配中です。現在は身近なエリアでこれらの小モデルづくりを協会
の仲間の力で進めていますが、最終的には自治体との協働で災害発生時に役に立つある程度の広域
での実現が目標です。
2
「企業の森(県民の森隣接地)」の課題
環境・森林事業部
工藤 潔・竹内一郎
宮城県県民の森の東南部に隣接する企業の森整備活動は、2006 年(平成 18 年)の秋の「宮
城県 ENEOS の森」を皮切りに、その後順次「MISAWA オーナーの森 宮城」、
「とうはつの森」、
「ぐりりの森」、「イオンの森」…と進められてきました。
宮城県・森林ボランティアの方々・県民の皆さん・企業の皆さん・宮城県森林インストラク
コ ラ ボ
ター協会員の協働により、長年手入れされず荒れ放題になっていた里山が次々に整備されてき
ました。その変容ぶりは、毎週のように訪れている人にはかえって認識しづらいのですが、1
年ぶり、2 年ぶりという人には本当に驚かれます。
「あの時に植えたシダレザクラ・オオシマザ
クラがこんなに成長したんですか!」
「以前はこの辺りは鬱蒼とした荒れ山で、恐くて入れませ
んでしたが…」。散策を楽しむ方も随分増えました。
けれども課題はまだまだ山積しております。
特に気になるのが、①「企業の森群は南北に長
く、道も複雑にくねって分かりづらく、万遍なく
通しで歩きづらいために、その良さが充分に活か
されているか疑問であること」があります。また、
②「一部区間あるいは一部地域の杉林の除間伐が
遅れており、薄暗く汚い印象の所」があります。
特に「MISAWA オーナーの森 宮城」と「宮城県
ENEOS の森」の間にある杉林(道路際・特に不
法投棄防護柵がある付近)と「ぐりりの丘」から
北側の杉林の間除伐整備は喫緊の課題です。
上記の課題を克服するために、環境・森林事業
部メンバーを中心に会員の方々と協議しながら、
の
今秋以降の整備(美)作業を行っていきたいと考
「グランディ21」と「県民の森」をつなぐ散策
えております。
と森林体験の重要拠点として、これからも丁寧に
皆様方のご意見とご参加をお待ちしております。
整備(美)を続けていきたいと思います。
蛇足ながら、これら地区の整備(美)が進み、また宮城県県民の森が再オープンする目途が
※
つきましたら、「宮城県県民の森・企業の森の百名木選考とコース設定・コース地図作成」 事
業を開始したいと考えております。
※「宮城県県民の森・企業の森の百名木選考とコース設定・コース地図作成」事業
常日頃、散策や整備を行っていると、
「誇り」や「歴史」を感じる特別な木が次々に見つかります。環境・森林事業部で
は、何らかの形でこれらの「名木」をリストアップして県民の方々に紹介できないかと検討を続けております。皆さん
のご意見を参考にしながら進めていきたいと思いますので、ご意見・ご提案をよろしくお願いいたします。
3
企画部のページ
◆秋のきかく・バイオマスの森?◆
~きかく概論~
1期 木村 健太郎
~ 植樹と“バイオマスの森”考 ~
久しぶりに会った友人から相談を受けました。「“バイオマスの森”を造りたいんだけど...
」
かなりおカネの匂いがしたので、反射的に「どうせどこかの助成申請の話だろうけど、何で
も流行り言葉を並べればおカネがもらえる的な発想は好きじゃないな」と返しました。そのあ
と2時間くらい植樹や里山再生についていろいろと意見交換をしましたが、この議論の中で確
認できたことは、
(1)“バイオマスの森”= “生物体量の森”“生物資源の森” 直訳すると何か変だ。
(2)そもそも、スギ植林地も里山二次林も全て“バイオマスの森”であったはずだ。
(3)自然林を無理やり“バイオマスの森”にして適正に維持管理しなかったために森林の荒
廃が進んだ。
結果的に、
“バイオマスの森”は笑われそうなので止めようということになったのですが、こ
れから“バイオマスの森”を育てるのであればどの樹種を植林すればいいのだろうかというこ
とについては結論が出ませんでした。国内産業レベルで考えて、将来的に最も必要になる樹木
は何なのか、スギやヒノキなのか、果樹なのか、薪炭材なのか、答えは良く分かりませんが、
樹種は何であれ、むしろ植えたら適正にきちんと管理することこそが大切なのかもしれません。
バイオマス関連事業で活発に議論・研究されているのが、木
材資源を燃焼またはガス化・液化してエネルギーとして有効活
用する方法です。平成15年にRPS法※が施工されて以来な
んとなく増え続けてきたバイオマス発電所の建設が、震災後の
「再生エネルギー特別措置法」による国からの大きな助成と国
民の支持を受けて、各地で急ピッチに始まっています。
森林に関わっている我々にとってはかなり喜ばしいことですが、いくつかの懸念もあります。
特に、木質震災ガレキや枯損材やスギC材以下を燃やしているうちはいいとして、これらの安
定供給が絶たれたらどうするのか。RPS法ができた際にも、バイオマス燃料を利用する工場
の建設にあたって各企業が最も心配したのが安価な燃料の安定供給でした。
さらに、3年ほど前になりますが政府は木材自給率を2020年までに50%以上とする目
標を掲げ、
「森林・林業再生プラン」を策定しました。自給率を現在の倍以上にするためには年
間何㎥の樹木を伐らなければならないかについては、数学の強い方は自分で計算していただき
たいと思いますが、だらだらと成長の遅い広葉樹ばかり植えている場合でない気もします。特
に、地球温暖化ブームに乗って「原発OK・火力ダメ」だったのが震災以降「原発ダメ・火力
止むやし」になり、これが「原発も火力もダメ・とにかく木を燃やせ」という時代が来たら、
(そ
れはそれで夢のような時代かもしれませんが)毎日「禿山の一夜」で過ごす信じられない時代
に突入するかもしれません。
いつも我々の議論は森づくりの目的から入るので、
“生物多様性の森”
“地球温暖化防止の森”
“レクリエーション林”“環境教育林”“防災林”etc.となり、“生産林・資源林”として何を育
てるかといった概念が薄れてきているように思います。バイオマス発電所をたくさん建設して
も、需要だけを考えて安定的な供給源を育てておかないと、
「スギA材B材を燃料にしてしまう」
「発電するために木材を輸入する」などといった本末転倒な時代が来ないとも限りません。
4
このように考えると、これまで関わってきた植林と育林方法が正しかったのかどうか、かな
り自信がなくなります。行政でも企業でも広葉樹(特にサクラやアオダモやクヌギなど)を植
えたがりますが、やはりスギやカラマツが良かったのではないか、バイオマス燃料材として成
長が速ければいいのであれば、キリやカラスザンショウやアカメガシワでも良かったのではな
いか。これまで“お邪魔木”のレッテルを貼って何も考えずにバッサバッサと伐り倒してきた
アカメガシワが、急にカネの成る木に思えてきました。そういえば、事務所でいつも涼しく仕
事ができているのは、目の前の大きなアカメガシワとミズキのおかげなのでした。
~ この秋の植樹企画 ~
今年も例にもれず、10月から11月にはたくさんの企業や行政の森づくり活動が予定され
ており、当然のことながらたくさんの木を植えることになりそうです。企画する側としては、
「き
れいな花が咲く」「美味しい実が成る」「素敵な動物や昆虫が集まる」など植樹する方々が喜ぶ
樹種を中心にバランス良く組み立てるのが仕事なので、伐採利用を前提とした“バイオマスの
森”にはならないはずですが、自分と数人の仲間しか分からない「不要木の森」
「人気がない木
の森」もバレないように潜り込ませようと考えています。
そして植樹の前提として、
(1)不要木でもまだまだ健全に育ちそうな木は伐らない。
(2)伐った木はできる限り有効活用する。
(3)木を植える時は、目的をはっきりさせて樹種を選ぶ。
(4)育たない場所には植えない。
(5)「環境に必要だから木を植える」のではなくただ「植
樹すること」を目的としている事業には協力しない。
の五原則をより色濃く打ち出していきたいと思っています。
~ この秋の環境教育 ~
かなり幅の広い活動してきた当協会も、中学生を直接相手にすることは少なかったのですが、
昨年11月に実施した「利府町キャリアシップ事業」で利府町の大勢の中学生と5日間一緒に
活動し、たくさんの素晴らしい収穫を得ることができました。小学生ほどリアクションが良く
ないものの、森づくりや井戸掘りをさせると、“体験”ではなく“本当に戦力になる”感じで、
指導しているほうも楽しみながら大きな達成感を味わうことができます。
今年も、10月5日に新地町尚英中学校1年生71名、11月26日から5日間は利府町の
中学生30名程度が来てくれる予定です。遊歩道づくりやベンチづくりの他、井戸掘り、薪割
り、剪定、畑仕事、湧水整備などに挑戦してもらおうと思っていますので、ご参加・ご協力を
お願いいたします。きっと若い力を分けてもらえるはずです。
そういえば、宮城県ENEOSの森で現在展開している事業は、『「未来へつなぐ共学の森」
事業』なのでした。会員の方々が持っている素晴らしい知識や技術を、森林活動を通して若い
世代に引き継いでもらうことが「企画」の最大の目的なのだということを、子ども達がいつも
再確認させてくれます。現在の子ども達が世の中を動かす20~30年後、果たして森林がど
うなっているのか、楽しみでもありますが、現在はまだ恐い思いのほうが強いです。
※RPS法
2003 年 4 月に施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」
のこと。電気事業者に新エネルギー等から発電される電気を一定割合以上利用することを義務づけ、新
エネルギー等の一層の普及を図った。
5
第37回
宮城県みどりの少年団大会
会報委員
9期
小島
恵子
みどりの少年団とは「次代を担う子供達が緑に親しみ、緑を愛し、緑を守り育てる活動を通
じてふるさとを愛し、そして人を愛する心豊かな人間に育っていくこと」を目的とした自主的
な団体です。その宮城県大会が、今年度も 7 月 27日(金)に県民の森青少年の森を舞台に開
催されました。
例年より参加者が少ないとはいえ、みどりの少年団21団体、約340名の参加者が集い、
自然観察、植樹、式典、交流会とたくさんのプログラムを楽しみ、過ごすことができました。
グランディ21をスタートし、自然観察を行いながらウォークラリー開始です。大会前日に
梅雨明けし、痛いくらいの太陽、夏空が広がっていました。少年団毎に、摘み草・みやぎの自
然学校・森林インストラクターのメンバーが引率者として加わりましたが、アスファルトの歩
道は日差しを遮るものもあまりなく、照り返しもありで、団員たちの表情はさえない様子。そ
れでも要所に用意されたクイズに挑戦しながら、コウゾの実を食べてみたり、クサギの匂いを
嗅いだりと、直接草木に触れ合う瞬間は目を輝かせていました。
森の中に入ると、子供達の表情が変わりました。太陽の日差しから逃れることができたこと、
また、緑に囲まれ土の上を歩くことの安堵感があるのか動きも感性も働き始めたようです。
MISAWA オーナーの森宮城には幹周り約2.8mの大きなモミの木があります。隣を歩いてい
た少年に「立派な木だねえ・・・」と声をかけると、
「この位の大木は何度も見たことがあるよ」
と言います。家ではワサビやクレソンを栽培しているのだと話してくれました。そんな環境で
暮らしている子供達を羨ましく思いながら、3人の子供が手をつなぎ幹周りを囲んで、皆でわ
いわい計測している姿は嬉しいものでした。
植樹地では森林インストラクターのスタッフより
丁寧に植樹の仕方を説明してもらい、神妙な面持ち
で大切に 1 本ずつ苗を植えることができました。午
後からの式典では、きちんとした姿勢で主催者の挨
拶や利府町みどりの少年団の発表に耳を傾けていま
す。
交流会に入ると、子供達ははじけたように活動し
始めました。準備された16のブースを思い思いに
廻り、 ネイチャークラフトやレクリエーションを
モミの木の幹周りは何メートル?
夢中になって楽しんでいました。
無事に大会も終わり、笑顔で見送ったあとは、大わらわで後片付けです。当日のみのスタッ
フだった私でしたが、大会の実施計画やその準備にどれほどの労力が注ぎ込まれたか、頭が下
がります。大会に参加した子供達が、今日の自然体験を通してどんなものをどれほど持ち帰っ
たか・・・、これがきっと準備に準備を重ねた労力の見返りなのでしょう。素通りしていた小
さな自然が大きく膨らみ、言葉にはならないけれど緑への愛情や豊かな心を育む大切な時間と
なったことは確かだと思っています。子供達の感性は、素敵ですから。
6
「ことりはうす」あれこれ
宮城県蔵王野鳥の森自然観察センター「ことりはうす」
管理職員
11期
馬場
則孝
宮城県森林インストラクター協会が「ことりはうす」の指定管理者になって、今年で4回目
の夏を迎えます。年々、入館者の方は個人の方も団体も多く利用されてきています。
近頃では「ことりはうす」には小さなお子様たちの来館が目立ち、とても微笑ましい光景を
時折、見かけることが多くなりました。子供たちに生きた動物とふれあってもらおうと、セキ
セイインコやウサギも飼育していますが、インコに話しかけたり、ウサギに会いに来る子達も
多くなりました。時折、「山のうさぎじゃないの?」とか、「この鳥は自然の?」と聞かれる大
人の方もいますが、見て微笑んでくれたり、子供たちと同じように話しかけてくれます。
7月からのイベントは「かぶとむしつかまえ隊」
や「くわがたむしみっけ隊」などの子供向けの虫捕
り体験が始まっています。とても盛況で親子連れで
賑わっています。雨の中でも子供たちの歓声や笑い
声が森に響いて一時、賑やかな楽しい森になってい
ます。夏の野鳥の森を親子でゆっくり散歩し、わさ
び沢の湧水地で水と遊んで、カブトムシの捕まえ方
や飼育方法を説明したあと、昆虫の森でのカブトム
「野鳥の夏のくらしを探ろう」より
シやクワガタムシの捕獲体験になります。
カブトムシやクワガタなど近くの社や林で捕まえた感動を知って欲しくて始めたイベントは
「とったー」とか「いたー」とか子供の歓声で、いっぱいです。また小さい子供の頃から森に
親しんでもらおうと「ことりはうすのピクニック」を毎月第三日曜日に実施しています。内容
は明るい森の周辺でお弁当を持って食べに行く幼児対象のイベントです。その他たくさんのイ
ベントを企画、実施していますが、対応が手薄になってきている感があり、この紙面の場を借
りて、宮城県森林インストラクターの会員のご協力を広くお願いいたします。ぜひ活動をやっ
てみたいと思う方は「ことりはうす」においでください。それからすでにお世話になっている
インストラクターの方々やサポーターにもこの場をお借りしてお礼申し上げます。忙しい中、
お休みなのに、活動をしていただいているボランティアの方々への配慮が足りない部分も多々
ありますが、これからもよろしくお願いします。自分も体力的、精神的につらい部分もありま
したが、森を愛するお客様やボランティアの皆様とスタッフに支えられて4年目の夏を迎える
ことができました。自分自身が成長できたかというとまだ反省点しか浮かびません。でも一人
でも多くの方が森の豊かさや、やさしさを知っていただけると思っています。そして癒される
ことも。
館内で今、キリギリスが鳴いています。これからの季節、夜はカンタンのやさしい美声やハ
ヤシノウマオイ、モリオカメコオロギ、ケラやもちろんエンマコオロギ・・・・虫しぐれに包まれ
るのです。
7
県民の森の防火巡視を終えて
県民の森防火巡視員兼作業サポーター
13 期
今野 久一
県民の森では、火災が起きやすい春先は例年「防火パトロール」を行って
います。最近はあまり起きていませんが以前は度々火災が発生し、特に昭
和 58 年4月の松陵団地から松島町までの「2市3町」に亘る大規模火災
はご記憶の方も多いかと思います。園内の案内看板には「火災防止」と「ゴ
ミ持ち帰り」のお願いの表示もありますが、良心や道徳心とかはどうなっ
たのでしょうね。先日 TV 放送で、持ち山を里山風に整備し一般に開放し
ているオーナーが紹介され、「採取しようとする者はここから直ちに帰れ」
の立看板を立てていました。さすがに「県民の森」ではこんな過激な表現
は出来ないのが苦しいところでしょうか。
「防火パトロール」は警備会社の方と 2 名で園内を巡回します。県民の森には講座受講時に来
たことがありましたが、想像以上の広さと遊歩道の上り下りが激しく、喘ぎながら同僚の後を追
うのがやっとでした。警備会社の I さんは、現役時代は自衛官で年齢とは思えない動きです。も
う一人の K さんもIさんと同じ経歴で、県民の森は隅々までご存知のベテランです。I さんはそ
んな私を「不安な新兵が入ってきたので、一からたたき上げないと使い者にならない」と思った
のでしょう。遊歩道の配置、不審者との応酬話法、坂道の歩き方まで色々と教えてくれました。
また、立ち居振る舞い一つで県民の森の信用を左右しかねず、巡回中の「立ち居振る舞い」には
特に注意を促されました。当初は火災発生現場で直ちに取るべき行動は何かを頭に入れ、通報の
ためにも一刻も早く園内の地理を覚えるようにと、叱咤激励の日が続きました。しかし、言い訳
ではありませんが樹木の葉が全部落ち、全体として皆同じように見える所で「○○の道・△△の
道」と言われてもピンと来ず、何にもない所で「これお花畑です」と言われるようなものでした。
そこで、昔暗記するのに語呂合わせで覚えたこと思い出し、別添のように無理やり遊歩道を南か
ら北へ順に繋いで覚えました。これは管理事務所の同僚職員に大いに受け、PC で立派に体裁を
整えてもらい気恥ずかしくもありました。
何か大変なような事ばかり申しましたが、ある日、ニリンソウの群生に差し掛かった時、女性
の方が座り込んでおり、「すみません、可愛さに思わず取ってしまいました」と目の前に花一輪
を挙げてきました。すかさず I さんは「しょうがないね、二度と取らないで」と言いましたが、
ニリンソウのバックが引き立たせたのか、許されるものなら私から「どうぞ」と差上げたくなる
ような美しい方でした。また、岩切城を巡回した時は花見客が車座になっている一方で、花見の
騒ぎを他所に、一人で一本、一本、植物に優しく触れながら観察している人にも出会いました。
お蔭様で私も沢山の花や樹を見させて貰い、覚えさせても貰いました。カタクリ、ニリンソウ、
ショウジョウバカマ、キクサキイチゲ、ヒトリシズカ、キンラン、ミツガシワ等々見つけた順に
デジカメに花と体験を一杯詰め込み、少しは進歩したかなと思っています。それと事故なく終わ
ったことは、市町村の森を巡回したとき、休憩がてらお参りした青麻神社のご利益かなとも思っ
ています。総じて、最初は「防火パト、今日も一つ樹を覚え」でありましたが、結局、最後は「防
火パト、覚えぬままに、雇い止め」でもありました。
8
(2012.5.31 記)
「県民の森遊歩道名 楽々暗誦」
「中央の森」
.つ
.さ
.も
. こもって 水辺が欲しい
あ
木の実はないかと 野鳥が見張る
.っといてよ
ほ
「四季の森 一」
うぐいす 椿に先越され
やよいのみちのく 梅 うづく
「四季の森 二」
.の旅
かしわからあきはぎ いっきに下り 長
今年もみつまた 葉つきが悪く 万策つきて
ははそで帰る
十三期 今野 久一 作
四季の森 一
・うぐいす:うぐいすの道
・椿:椿苑
・やよい:やよい文化の道
・みちのく:みちのく文化
の道
・梅:梅苑
四季の森 二
・かしわ:かしわ苑
・あきはぎ:あきはぎの道
・いっき:いつきの道
・長:ながつきの道
・うづく:うづきの道
・みつまた:みつまたの道
・葉つき:はづきの道
・万策:万作の道
・ははそ:ははその道
中央の森
・あ:あかまつの道
・つ:ツツジの道
・さ:さわらびの道
・も:モミジの道
・こも:こもれびの道
・水辺:水辺の道
・木の実:木の実の道
・野鳥:野鳥の道
・見張:見晴の道
・ほ:ほととぎすの道
県民の森ひと口情報
震災による県民の森業務停止命令(主要建物の一般使用禁止)は当初の年度内が 6 月末に延長、
更に 12 月 27 日までに延長されました。震災復旧工事は 1 年余りほとんど手付かずでしたが、主
要幹線車道の富谷町管内の工事は 3 月末に竣工し、現在、仙台市および自然保護課の管理道の工事
が進行中で竣工は 10 月末の予定です。また、建物(中央記念館・もりの学び舎など)の復旧工事
の入札が先月末にやっと成立し、12 月竣工の予定になっております。従って、県民の森の本格開
園は年を越しそうな状況ですが、そんな中、5 月から一般県民より一足先にクマさんが初来園し、
現在も時折、園内巡回に訪れております。園内散策中の出会にはくれぐれもご注意下さい。
9
花山の自然の中で楽しいウッドランドクラブ
こもれびの森 森林科学館 管理職員 9期
小林 妙子
今年の森林科学館は、6月初旬までカメムシに悩まされました。11月に越冬のために来るカメ
ムシは動きも鈍く捕獲も比較的楽ですが、春のカメムシは活動的で捕獲も難しく、館内中、茶色の
5ミリ大の糞で水玉模様になり、女子トイレは臨時カメムシ館になりました。そういえば、春先は
杉花粉にも悩まされず、杉の実りが悪く、餌不足の上寒い日が続き、館から飛び出していく気にな
れなかったかと少し同情もしています。カメムシが飛び立ち、最近の楽しみはクスサンの幼虫に変
わりました。カツラの木には申し訳ないのですが幼虫は枝先の柔かい葉をモリモリ食べ、日々変化
しています。科学館でカツラの木にクスサンの幼虫がついたのは、5年目にして初めてです。
私の楽しみはさておき、6月、7月のウッドランドクラブについて報告します。
6月の「カブトムシの飼い方講座」には、親子37名の皆
さんに参加していただき、紙芝居で勉強した後、甲虫ビオト
ープで幼虫探しをしました。持参のおにぎりと科学館提供の
トン汁とカレーうどん(残りのトン汁で作ります)でお腹を
満たし、午後はネイチャークラフト(カブトムシ作り)を楽
しみました。カブトムシの幼虫は地元のキノコ農家の中條さ
んから頂く廃菌床に山のように入っています。ボランテイア
の小山さんにも持ってきていただきました。
7月は「川遊び&自然観察とデイキャンプ」でした。
何といっても花山漁協からの養殖イワナ300匹の提供
があってこその行事です。館前の草木川の浅瀬に網を張
り、ひとときイワナとのふれあいタイムの後、自分でさ
ばき、地元のボランティア:ベテランの和男さん作の竹
串に刺し塩をふり炭火にかざします。イワナの焼け具合
....
を気にしつつも、網と虫籠を手にするとめんこいハンタ
ーに変身!です。捕まえた虫たちを自慢しあった後は
「あ
りがとうでバイバイ!」そして「腹減った!」お昼は流しソーメンです。ミニトマト、チョコレー
ト、ゼリー、そしてキュウリ、ソーセ-ジも流れます。(次年度に向け流す品物のアイデイア募集
中!)そろそろイワナもいい感じの仕上がりで、頭からかぶりつきます。自分でさばいたイワナは
「旨い!」です。そして最後の締めは、真夏の最大イベント「スイカ割り大会」です。皆が叩きた
がり、若々しかったスイカもあっという間に空気漏れのビーチボールスイカと化しました。それで
もみんなで叩いたスイカは「旨い!」と大笑いでウッドランドは終了しました。参加者はなんと、
96名にもなり、2班に分かれての活動でしたが、無事終了でき、スタッフ一同胸をなでおろして
います。
食材、竹材等の提供を惜しまない地元の方々、こもれびの森サポーターの方々の協力を得て、後
半も楽しいウッドランドを開催していきます。色々な形で皆さまに参加して頂きたくお願いいたし
ます。花山いいとこ何度もおいで!お待ちしております。
10
森林インストラクター養成講座報告
第14期生 養 成 講 座 再 開
(そして普段の協会活動にも)
研修担当
13期
相馬
實
平成23年度の宮城県森林インストラクター養成講座第14期受講生がほぼ決まりかけていた
3月11日、大地震が発生しました。これにより、平成23年度の募集は振り出しに戻り、本年
度募集定員を10人増やし、40名が受講することになりましたが、事情により、現在39名で
予定どおり進行しています。開講式、閉講式を含め20日間の講座日数を計画して進めていると
ころです。8月まで開講式を含め、8回の講座が終了しました。
講座の日程と内容は、下表のとおりです。事務の裏方として、13期の長南久美子さんには主
に講座資料作成に携わってもらっています。また、講座当日の受付や受講生のお世話役として、
島貫房雄さん、伊藤裕さん、雫石昭子さんにお手伝いしてもらっています。
6名の14期生が普段の協会活動にも積極的に参加しています。その様子は次回以降紹介いた
します。
宮城県森林インストラクター養成講座の日程と内容
5月20日(日)
森林文化、山里の植物、植物と万葉集、植物観察実習
6月 2日(土)
野鳥の生態、双眼鏡の使い方、昆虫観察の企画と実習、宮城の野生鳥獣
3日(日) 野鳥観察実習、昆虫観察実習
6月17日(日)
森づくり、作業道具の使い方、植樹実習
7月 8日(日)
里山の定義、炭焼き、樹木の特性、キノコ植菌
7月22日(日)
キノコの生態、自然観察会の中のキノコ、キノコの観察・鑑定実習
8月19日(日)
自然観察会の運営、インタープリテーション、ロールプレイング
9月 2日(日)
森林作業の意義、刈払機の仕組み、刈払作業実習、鎌と刈払機の使い方
9月15日(土)
野外活動の安全、読図とコンパスの使い方、ロープワーク、キャンプ実習
16日(日) 自然体験企画の立て方、ワークショップ(自然体験)
9月30日(日)
鉱物・地質・化石、災害の心のケア、ワークショップ(学校林)
10月14日(日)
ブナ林の自然環境、山地の植物、植生調査、樹木鑑定
11月 4日(日)
植林活動、植樹概論、アイスブレーキング的一発ネタ
11月18日(日)
林業計画、選木、間伐、枝打ち実習
12月 8日(土)
赤十字救急法
12月16日(日)
ネイチャークラフト実習
1月13日(日) 水鳥の観察実習、冬鳥の観察、巣箱と餌台
1月27日(日)
アニマルトラッキング、冬場の自然観察、まとめ
4月22日の開校式から
植樹実習=支柱への巻結びに挑戦中
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野鳥観察実習
野鳥の観察会を始めるひとつの方法
7期
西谷
理恵
観察会の中でも敬遠されがちなテーマの一つが「野鳥」のようです。理由として、声はすれども
姿は見えず、やっと見つけても動き回ってじっくり観察できない。しかし慣れてしまえば鳴き声で
居場所と種名を自ら教えてくれて、植物に比べれば種数も格段に少なく、季節や環境でさらに種を
絞れてしまう割と覚えやすい生き物です。(例外も一部あり)
初心者向けの野鳥観察会であれば、全ての種を知っていなければいけないこともありませんし、
野鳥の好みそうな環境を知っていれば、歩き回らなくても野鳥のほうからやって来てくれることも
少なくありません。
ともかく身近な野鳥の存在に気付くのがまず一歩です。私の場合ですが、自分の身近なフィール
ド(観察の場以外でも家の周りなど)で「耳」を使ってみます。人は自分の生活に必要のない周囲
の音の大半を雑音として無意識に排除すると聞いたことがあります。はじめは意識して鳥の鳴き声
を聞くようにすると、いつの間にか話をしながらでも鳥の声が耳に入ってくるようになります。あ
とは音を頼りに、どのへんにいるのか探します。すぐには見つからないこともありますが、じっく
り鳴き声を聞いているとなんとなく声質が分かってきて違うフレーズで鳴いていても、あ、この前
の鳥と同じだ。と気づくこともあり、後で正体が分かることも多くあります。見方も人の目は一点
を集中して見るより、視界全体をなんとなく眺めていると動くものにぱっと反応するようにできて
います。姿を見つけられれば「何をしているのか?」じっくり観察です。すぐ飛び去ってしまうこ
ともありますが、餌探し、羽繕い、休息などじっくり観察できる機会も少なくはありません。「ど
んな場所で何をしているのか」は、ただ見つけた鳥の名前を教えるよりも大切なことです。その鳥
を「知る」ことで興味も深まりますし、自分の言葉で解説することができ、参加者により伝わりや
すくなります。あとは「観察してもらう」ですが、双眼鏡や望遠鏡、カメラなどの道具を使う方法
(双眼鏡は協会やことりはうすにも有ります!)や、話を交えながら肉眼で観察したり、鳴き声だ
けでも観察会はできます。(図鑑、羽などの小道具も有効です。)
たまに失敗するのが、よく見たいと思いすぎて近づきすぎて
しまったり、鳥から見れば「怪しい動き」をして逃げられてし
まうことです。(鳥からも「見られて」います。)
観察会の手法は様々ですが、たくさんの種類や珍しい鳥を教
える必要はないと私は思っています。身近に棲んでいる生き物
の存在に気づいてもらえるガイドができれば何よりではないで
しょうか。
12
「西コミ自然ふれあい学校」に行こう
会報委員
ダ ッ シ
ュ
2期
進藤
恵美
*
宮城版DASH村 を作っているらしいという噂を聞きました。なんでも富谷町にあると。
(*DASH村とはアイドルグループが里山で自給自足の暮らしにチャレンジするという人気テレビ番組)
7月14日(土)に西成田コミュニティセンター(旧富谷町立西成田小学校跡地)で24年度第
2回「西コミ自然ふれあい学校」が開かれました。事業開始2年で人気講座となり参加希望の申し
込みが殺到、抽選で選ばれた小学校低学年の子供を中心とした親子47名が参加しました。
開会式では、講師陣を紹介されるまでもなく「けんたろす!!」とわが協会人気講師の名が子供
たちから飛び交いました。はっぱ爆弾を披露して前回の活動を思い出してもらい、今の時期に観察
できる植物・生きものやキノコをおもしろおかしく紹介して子供たちの興味を引き付ける、けんた
ろすのテクニックはさすがです。
インストラクター24名の引率のもとに「たのしいもりづくり」にチャレンジです。メニューは
自然観察、作業、クラフトと盛りだくさんに1日を遊べます。8班に分かれていざ裏山に自然観察
に出発。観察路入り口のばたふらいガーデンは生きものの宝庫。カエル、イモリ、トンボ、バッタ、
オケラ、チョウ、ゲンゴロウなどなどたくさんの生きものが生息。子供たちは素手で追いかけっこ。
葉っぱロケット、葉っぱ爆弾、悪乗りしたけんたろすはオオバコの鼻毛爆弾で攻撃、さすがに女の
子たちはひいてましたよ。枝で作った武器、葉っぱの飛行機とちょうちょ、ササ竹のダーツ、イタ
ドリの笛、なんでも遊び道具に早変わり。ナミアゲハが子供たちが植樹した山椒の木に卵を産み付
けに来ました。目の前での産卵に釘付けになり観察する子供たち。産み落とされたばかりの直径 1
ミリメートル弱の小さなヒスイ色の球形に感激した様子でした。近くの葉の陰ではアシナガバチの
産卵も観察できました。虫怖いとか、泥まみれが汚いなどと騒ぐ、やわな子供はいません。みな、
たくましく頼もしい子供たちばかりです。自然の中を駆け回ったあとは労働。班ごとインストラク
ターの指導のもとに遊歩道作り、井戸掘り、甲虫ビオトープ作り、丸太のベンチ作りなどなど…。
作業道具も子供サイズで大人顔負けの働きぶりでした。力の
いるところはお父さんに助け舟を出してもらって土と汗に
まみれて立派に完成しました。また来た時に僕が私が作った
と自慢できます。お昼には富谷町特産のもやしが入った味噌
汁が出ました。常連さんは、今日のお汁は何かな??と楽し
みにしている様子でした。午後からは室内に移動して岡ちゃ
ん指導のもとに七夕工作。たんざくに書いた子供たちの願い
は「プリキュアになりたい。」インストラクター諸氏は「プ
リ○◆▼??なんだぁ??」女の子に大人気のアニメの正義
のヒロインですよ。飾りに使う和紙は本格的なものが用意さ
れ、仙台七夕の七つ道具の資料もあり講師陣の心意気が伝わりました。ひとりひとりがアイデアあ
ふれる作品を生み出していました。自然と触れ合うことで感性が養われ、人として強くなれるとい
う閉会の言葉に、まさにその通り、と思いました。
協会内では怪しい呼び名、時々会報紙にも登場しますが、「スーさん」とか「アニキ」とか「ワ
カさま」…がまかりとおってます。別れ際に子供たちがお世話になったインストラクターに親しく
声をかけていました。「バイバァーイ、デンデン!」そうか、このニックネームが世代を飛び越え
る魔法のことばだったのだと納得しました。皆さんも参加して栄えあるニックネームをいただきま
せんか。ちなみに私は気恥ずかしくも「エミリ」です。ほんと、年甲斐もなく。
14
安全のページ
スズメバチ刺症の対策・対処法
NO.15 安全委員会
安全委員会
12期
蜂谷
仁
今年も暑い夏がやって来ました。県民の森でも5月の初めころから樹液の出ているクヌギやコ
ナラの木などに、カナブン、チョウ、スズメバチ等が摂餌の為に飛来しております。この周辺で
よく見られるハチの主な種類は、アシナガバチ、キイロスズメバチ、オオスズメバチ、クロスズ
メバチ等で、住宅地ではアシナガバチが多く見られますが、時にはスズメバチ類も見受けられま
す。スズメバチは越冬した「女王バチ」が5月頃から単独で小さな巣を作り、働き蜂の卵を産み
育て、6月初めから後半にかけて本格的に巣作り出来るところに移動して巣作りを始め、産卵に
集中し働き蜂は営巣、給餌、育児の一切をこなし巣は急速に発達して活動の活発な最盛期に入りま
す。
彼らから、我々が身を守るには近付かないのが一番ですが、その前に我々が気配りする事が必
要です。先ず服装ですが黒系の服装は彼らの天敵であるクマの DNA がインプットされているの
か?明るい色より反応がかなり敏感であり、甘い香も好むので化粧品を始め香りのあるヘアース
プレー、虫除けスプレーも同じで香りに集まって来るので要注意です。ちなみに虫除けスプレー
はスズメバチに全く効き目は有りませんので他の方々にも教えて頂ければと思います。何も知ら
ずに近付いてしまったらどうすれば良いのでしょうか?
ハチは向こうからわざわざ我々を狙っては来ません!!
もしハチが近づいて来たら近くに“ハチの巣”が有ると思った方がいいです。
偵察バチは巣に近づく者を威嚇します。これを無視して更に近づくと今度は“アゴ”を“カチ
カチ”鳴らして更に威嚇を強化します。この辺で我々が気付けばすぐに立ち止まり、左右の動き
は彼らから見れば攻撃の対象となるので、手ではらったり駆け出したりはせずに、ゆっくりと後退
してその場を離れれば彼らも離れて行きます。又、纏わり付かれても決して身動きしないでじっ
と我慢の子でいれば「彼らを攻撃しない物体」と認識するのかチェックが終われば帰って行くの
で、その後は走らないでゆっくりと後退してその場を離れましょう。不幸にも刺されてしまった
なら、まず毒は“水溶性”であるので指でしっかり搾りだしながら十分に水で流すのが一番で、
市販の毒吸引器(ポインズンリムーバー)を持っていれば、それを使い吸引して水で流すのも同
じで有効です。近くに水が無ければスポーツドリンク等で代用して流しても構いません。個人差
は有りますが刺傷部位は痛みを伴い段々腫れあがり刺傷後20~60分後にアレルギー反応(ア
ナフィラキシーショック)で呼吸困難や血液循環障害を起こす場合が有るので必ず病院へ行きま
しょう。幸いにして重傷に至らなくとも2~3日後が腫れのピークとなるので医師の指示に素直
に従い、患部の腫れや炎症が治まるまでアルコールも控え安静にするのが一番です。備えるなら
救急用品+飲料水と抗ヒスタミン剤を含む副腎皮質ホルモン軟膏や医師の処方箋を必要とする自
己予防注射「エピペン」を常備携行してプチ安心のアウトドアを楽しみましょう。
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森林インストラクター Q&A
今回は今期から理事に就任、また13期生の事務局として大忙しの太田雅夫さんを紹介します。
(聞き手:13期 佐藤 健)
Q:森林インストラクターを志したきっかけはなんですか。
A:退職しましたが、以前はテレビ局仙台放送におりました。アナウンサーではなく報道記者でも
なく、番組の製作者でもなく、最後は営業、事業というところにおりました。自然を開拓して
人の住む住宅団地を作るお手伝いをしていました。たとえば泉パークタウン、名取のりんくう
タウンなどです。
町づくりのため、
ゼネコンやハウスメーカーとのつながりも多くありました。
情報提供のため、番組製作やお祭りイベント事業などもしていました。そんな中、環境問題や
森林資源とのかかわりが気になり、それらを知りたくなってきました。それまでは家の周りの
草花も分からず、樹木も知らないことが分かりました。国で実施した林業従事者体験ツアーに
参加、3Kの仕事の様子や、家の建築に使用する木材は、あれだけ年数と手間をかけ、たった
500円で売られていると知りました。まず「家の周りから知らなくては」がきっかけです。
Q:森林インストラクターになって、ご自身に変わった所はありますか?
インストラクターとして「森林における野外活動の指導や森林林業の普及啓発」をしているわ
けではありませんが、家の周りの桜の木がソメイヨシノで江戸末期にオオシマザクラ、エドヒ
ガンの交配によって偶然できた桜で、自分の力で実をつけることができないため、一般に接木
という方法で人の手で増やした木だということ。戦後に植えられたソメイヨシノはいわば全部
クローンで、花が咲くときは一斉に咲き短命で樹齢60年くらいで変色し、枯れてしまうこと
が多いこと。それに比べてヤマザクラは木肌もきれいで、実には鳥たちが集まって樹齢300
年にもなることが分かりました。
Q:アマチュアバンドに参加されていて、定禅寺通りストリートジャズフェスティバルにも出演さ
れているそうですが、これを交えて自己紹介をお願いします。
A:音楽は好きで、仕事でも演劇、祭り、コンサートを企画運営実施していま
した。個人的にドラムパーカッション演奏しており、プロのジャズの人と
ジャムセッションや、ロック、ハワイアンなど4つのバンドに参加してい
ます。音楽はいいですよ!これから自然と音楽のコラボレーションを考え
たいですね。
Q:理事になられて協会を運営する側にまわられましたが、これからどんな方向へ向かって活動し
たいと考えていますか?
A:自分としてはインストラクターとして貢献したいのですがなかなかできないので、協会理事と
してできる社会貢献があればと思っています。また協会としては、多くの人が参加できる、ま
たはしたくなるような楽しい会になればと思います。
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那須の紅葉
13期 高橋 恵美子
健康のため山歩きを始めてから18年になります。いろんな素晴らしい景色に巡り会ってきまし
たが、もうすぐやってくる紅葉の季節に思いを馳せるべく、その中で記憶に新しい去年の那須の山
旅について書いてみようと思います。那須連山は季節を変え、コースを変え、6回ほど歩いていま
したが、よく山の本で取り上げられている熊見曽根の紅葉はまだ見ていませんでした。
10月11日、天気予報は曇りベースでしたが、直感を信じて出かけました。今回は「中の大倉
尾根」を登るので、大きな温泉プールで有名な北温泉からスタートしました。急坂を登って暫くす
ると、シロヤシオの林に入りました。隣のスキー場からゴンドラで上がってきた観光客が気軽に歩
けるよう周回の遊歩道ができており、その一部になっている所です。ミズナラの大木も多く、黄色
く色づいた様子は明るい気持ちにさせてくれました。
遊歩道から分かれて中の大倉尾根に入ります。
傾斜が平均しており、最近整備もされて歩きやすい道になっていました。ナナカマドやカエデ類、
ドウダンの紅葉がきれいです。雲がすっきり取れたらさぞ鮮やかに違いないですが、これで文句を
言ったらバチがあたります。北側の赤面山の斜面は笹原の中に点々と色をちりばめた彩を見せ、南
側の朝日岳から鬼面山に続く尾根斜面は赤一面の帯のような紅葉でした。
尾根を登りきって主稜線に合流しました。ここを南下して清水平へ一旦下り、熊見曽根に上り返
すとまた雄大な山岳展望が広がってきました。紅葉のすばらしいことはいうまでもありません。朝
日岳に寄った後、剣ヶ峰を越えて峰の茶屋までは怖がり屋の私でも歩けるレベルの岩稜帯で、プチ
スリルと爽快感を味わいながら、紅葉の一つも見逃さないようにと心躍る歩きでした。
峰の茶屋にはたくさんの登山者が休んでいました。ここからの下り道は、さすが那須でも一番の
人出を誇る登山道です。朝日岳の斜面の鮮やかな紅葉は、列に並ぶようにしながら歩き眺めました。
平日にも拘わらず、峠の茶屋の駐車場は駐車待ちの列が出来るほどの混雑ぶりだったようです。
ここから北温泉分岐までの車道沿いには遊歩道がついており、車道歩きは北温泉側の2キロだけ
で済みました。車を停めた所は、那須御用邸用地の一部が天皇陛下のご意向により一般開放になり
去年オープンした「那須平成の森」の「ふれあいの森」に隣接している場所でした。秋が深まった
季節にはここを散策に訪れるのもよさそうです。
中の大倉尾根
熊見曽根付近から朝日岳展望
剣ヶ峰の巻き道
次回は13期の谷 洋子さんにリレーします。
17
会員からの活動報告
その1
震 災 復 興 に 頑 張 ろ う !!
1期
武藤
正
宮城県森林インストラクターの1期生として1年間専門教育を受け卒業、活動を開始以来、早
くも14年目になりましたが、各期の皆様方は県有林の管理、もりもり教室、民間各社の環境基
金活動、震災復興助成事業等々、大活躍の様子に敬意を表するとともに喜んでおります。
今後ますますのご健勝、発展を祈願しております。1期生も老いてはきましたが、出来る限り
震災復興、環境整備の手助けに頑張って行きたいと思って精一杯動いているところです。
最近の状況を申し上げますと、今般下記のごとき「気仙沼大島」での震災復興植樹を実施して
参りました。今後毎年「椿まつり」を続けていくことになりましたので、その要点だけを報告申
し上げます。
記
1、主
催
気仙沼大島ヘルスツーリズム推進協議会
主
管
社団法人
宮城県ウオーキング協会
協
賛
公益社団法人
後
援
AJOSC
2、場
所
国土緑化推進機構
全日本社会貢献団体機構
気仙沼大島龍舞崎
3、樹
種
伊豆大島椿、夏ツバキ、モクレン、マンサク
コブシ、ハナミズキ、ヤマボウシ
4、参加者
計500本
285名(1都13県)
5、主として椿を植樹した理由
①椿は12月頃から5月頃まで長期の間、花が咲いていること(長寿の木)
②深紅の実がなり中から黒い種を出しオシベの底に蜜が蓄えられ、小鳥を呼び寄せること
(受粉)
③椿は実が椿油に加工され、相撲などに化粧油として使用され、必需品であること
(現在でも不足気味であること)
④ 椿は木質が堅く、杖などでは貴重品であること
以上のように桜などに比較すると昔から椿は観光用に工夫、手入れすることで大いに期待され
る樹種である。したがって毎年500本位ずつ植樹を続け、一大椿林観光地(園)を造成してい
く予定です。
18
会員からの活動報告
その2
東日本大震災復興支援プロジェクト「わらべ地蔵を被災地へ」に参加して
11期
後藤
政子
東日本大震災復興支援プロジェクト「わらべ地蔵を被災地へ」と、「わらべ地蔵彫像会」が7月
14~17日の4日間、宮城の4会場で開かれました。京都の佛師、冨田睦海氏が震災で亡くなら
れた方々その中でも特に幼い子供たちへのご供養として地蔵菩薩を彫り東北へ届けることはでき
ないかという想いから事業は始まりました。大学の同窓を通じて若手僧侶たちが賛同、協力し佛師
が材の準備と彫刻を指導し、寺院側は会場の提供、運営と参加者の募集を担って活動しています。
私も仙台と岩沼の2日間参加しました。実は彫刻刀を使うのが苦手な方のために陶芸による製作も
あり、陶芸も作りたいと思い急遽、休暇を取り行きました。彫像会は先ず、本尊回向してから彫像
に入ります。丁寧な指導と檜の香りの中、仏を彫るということにより自己を考える貴重な時間を過
ごさせて貰いました。出来上がった地蔵は会場の寺で開眼供養をしました。参加者の中には被災し
て家族を亡くされた方々もいて家に持ち帰り供養するそうです。
約1年の活動で全国35の寺院で開催され1560体のわらべ地蔵が被災者の方々に手渡され
ました。そして、わらべ地蔵の数以上にほしいと希望される声があり、今後も開催されるそうです。
詳しい内容は
http://www.project-warabe.com/をご覧ください。檜の材の調達を山梨に有る
プロジェクト運営事務局に聞きました。木曽の檜組合から調達しているそうです。檜は木曽のブラ
ンドで伊勢神宮などに需要があり高い材ですが、わらべ地蔵の主旨に「そういう事に使うなら」と
端材など集めて協力してくれているそうです。
インフォメーション
著者はマツタケの研究者である。マツに化学肥料を与えて栽培すると確かに大き
く育つが、植林すると活着が悪くその後の生育も芳しくない。マツの根に菌根菌が
付いたものは活着もよくその後の生育も順調に育つ。マツの生育の悪くなった場所
に炭を使って土壌改良をして、菌根菌の胞子を撒いたところ生育が回復した。この
ような事例から樹木にとって菌根菌との共生が不可欠であることが分かる。東日本
大震災の津波で壊滅的被害を受けた海岸林の再生にも土壌はもちろんだが菌根菌
のことも考慮に入れた再生計画が必要なのではと強く感じた。
木材腐朽菌の一番古いキノコの化石は中生代の白亜紀(恐竜の全盛期)の地層か
ら発見されているので古生代の石炭紀には木材腐朽菌がまだいなかったことにな
る。古生代の巨大シダ植物が腐ることなく炭化し石炭になったのも、進化のアンバ
ランスのおかげだと知ったのは目からうろこであった。(11期
鈴木
武)
【編集後記】今号から会報委員長を担当します2期の進藤恵美です。各事業部・委員会からの報告
や活動、イベントの様子を伝えていきます。読んだ後に次は参加してみようかなと思っていただく
ことが目標です。会員の皆様からの情報も大歓迎ですので事務局までご一報ください。
19
5月10日、下見
てくてく
6月23日、施工
てくてく
最強講師陣
てくてく
特定非営利活動法人
宮城県森林インストラクター協会
メール:[email protected]
ホームページ:http://mifi.main.jp
TEL・FAX:022(255)8223