11-7 インターネット検索の注意点

インターネット検索の注意点
11-7 インターネット検索の注意点
■インターネットの情報の特徴
インターネットは、誰もが無料で手軽に情報を得ることができ、今や私たちの生活に欠
かせないものとなっています。しかし、インターネットの仕組み上、これらの情報は「誰
もが無料で手軽に発信しているもの」でもあります。この特徴をよく理解せずに利用し
ていると、間違った情報を鵜呑みにしたり、危険な Web サイトに辿り着いてしまったり
することがあります。大学生としてレポートや論文を書くときは、情報源の信頼性を絶
えず確認しながら作業を行う必要があることを、よく覚えておきましょう。
■インターネットで情報を検索する際の注意点
①情報の「価値」は自分で判断しよう
Web ページは、作成方法さえ知ってしまえば、誰もが自由に発信することができます。
個人が作成したページには、偏った内容が掲載されていたり、不正確な情報が含まれる
ことがあります。インターネット検索のシステムは機械的に関連ページを表示している
だけです。そのなかから「価値ある情報」を見つけるのは、利用者次第です。
②何でも検索できるとは限らない
インターネット上には膨大な情報があるので、一見、何でも検索できるように見えます。
ところが、著作権が保護されている情報(例えば出版されている書物の内容など)はほ
とんどの場合、通常のインターネット利用では中身を見ることができないようになって
います。こういった重要な情報を参照するために、実際に図書館や本屋などを巡り、自
分で中身を確認する習慣をつけましょう。また、インターネット検索の結果として表示
されたページでも、作成者の都合によって既に削除されていて内容を完全に取得できな
いこともあります。
③効率よく調べるには慣れや経験が必要
インターネット検索は、検索のキーワードさえわかれば、すぐに結果を得ることがで
き、必要な情報を知ることができるので大変効率的です。逆に、曖昧なキーワードを使っ
てしまうと、ヒットした膨大な情報から、自分が必要なものを選び抜くのに時間がかかっ
てしまい、効率が悪くなります。
インターネット検索は、上手に活用する術さえ身につけてしまえば、検索の素早さや情
報の多さなど、学生生活に必ず役立つはずです。インターネットの情報の特徴と検索の
仕組みをよく理解しながら、積極的に利用していきましょう。
KAETSU メディアガイド 2008 185
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資料や情報の検索
■インターネットで調べた情報の信頼性を確認するには
①政府、研究機関、企業などから発信されている 1 次情報を使う
政府機関の統計データや白書、研究機関の学術論文、企業の財務データなどの Web ペー
ジでは、有用で信頼性の高い情報やデータが定期的に発信されています。
②図書などで裏づけを取る
インターネットで得た情報にも、出典(データや文章を取ってきた場所)が示されてい
る場合があります。これらの出典について、図書館などで確認する習慣をつけましょう。
出典が示されていないインターネット情報をそのままレポートなどで使うのは、適切で
はありません。
③有料の情報を使う
情報メディアセンターの Web ページから利用できる新聞や図書などのデータベースは、
大学が専属的に契約している有料データベースです。収録内容は紙媒体で発行されてい
るものが大半なので、信頼できる情報です。
④あくまでも「手がかり」として活用することを心がける
インターネットの情報は、何かを知りたいときの「とりあえずの情報」としては、大変
有効です。検索結果をもとに、概要や参考資料などを見つけていきましょう。
※具体的なインターネット検索術については「G-1 Google で情報検索」を参照してくだ
さい。
■ Wikipedia と情報の信頼性
2006 年 12 月、アメリカのバーモント州ミドルベリー大学日本史教授ニール・ウォー
ターズ氏は学生の試験解答を見て、数人の学生が島原の乱について「イエズス会が反乱
勢力を支援した」と同じように誤った記述をしていることに気づきました。調べてみると、
間違った学生全員が Wikipedia から引用していました。
これ以降、同大学の歴史学部では、Wikipedia から引用した情報をレポートに書くこと
が禁止されました。
Wikipedia は 誰 も が 記 事 を 作 成 し た り 編 集 し た り で き る の が 特 徴 で す。 日 本 語 版
Wikipedia(http://wikipedia.jp/) にも、市販の百科事典の数倍にあたる 47 万件余りの記事
が収録されています。しかし、記事を執筆したり編集したりするための特別な資格や登
録は必要なく、また、ほとんどの執筆者が匿名またはペンネームです。そのため上記の
例のように誤った情報が記載されていることがあります。
インターネットにはさまざまな人が作成し、記述の正確さが保障されていないページが
多くあります。用語の意味や概要を掴むために「利用」するのはよいですが、「引用」す
る場合は、必ず紙の事典や図書などの信頼性のある情報源を使いましょう。また間違った
情報をレポートに書いて単位がもらえない、という状況にならないように注意しましょう。
186 KAETSU メディアガイド 2008