会 報 - 秋田工業高等専門学校

第 56 号
秋田高専産学協力会
会 報
平 成 26 年 12 月 20 日 発 行
発 行:秋田工業高等専門学校産学協力会
問合先:秋田高専企画室内 ☎018−847−6106
飛行ロボコン自動操縦部門優勝(2連覇)
・一般部門準優勝
~第10回全日本学生室内飛行ロボットコンテスト報告~
航空宇宙研究会指導教員 今 田 良 徳
第 10 回全日本学生室内飛行ロボットコンテスト
会に備えており,今年は飛行速度を上げるための翼
(日本航空宇宙学会主催)は国内の大学,高専,専
形状開発と機体の飛行安定性向上に重点を置き活動
修学校を含めた 72 チームがエントリーし,平成 26
を行ってきました。また,自動操縦飛行をより安定
年9月 27 日~ 28 日に東京都大田区総合体育館で開
させるための制御プログラム開発にも力を注ぎまし
催されました。本校からは5M 齋藤聡,齊藤諒,佐
た。開発・製作活動は試行錯誤の連続となりました
藤佳織,5E 齋藤太朗,4E 深谷天馬,伊藤宏美,
が,各チームとも納得のできる機体が完成し,大会
4B 齋藤匠悟,3M 五十嵐大樹,岡部凌,菅原拓斗,
へ臨むことができました。
吉岡佑真,吉田一貴,2E 三浦悠介,松田祐真,1
今大会では上位チームの決勝スコアが例年になく
M 齊藤翔梧の 15 名が代表として3チームに分かれ
僅差であり,飛行性能を向上させた機体が多数見ら
て出場し,飛行競技自動操縦部門第1位 ( 大田区長
れたことから,学生にとって多くを学ぶことができ
賞),飛行競技一般部門第2位(OKB 賞)の上位入
た大会であったと思います。学生達は大会までの製
賞を果たすことができました。また,特別賞として
作活動を振り返るとともに,新たな目標を立てて来
ベストパイロット賞(ヒロボー賞),モノづくりブ
年度に向けた活動を既に開始しております。今後も
ログ賞(モノづくり日本会議賞)を併せて受賞する
彼らの頑張りに期待したいと思います。
ことができました。
今大会の競技課題は,2部門双方に課せられた救
援物資に見立てたお手玉を飛行エリア内の定められ
た場所に投下するメインの課題の他,追加課題の手
放し飛行,ゲート通過,無動力滑空,そして自動操
縦部門のみに課せられた高度制御を有した自動旋回
飛行,並びに自動8の字飛行,一般部門のみに課せ
られた物資回収という多くのミッションをクリアし
なければならないものでした。さらに,タイムスコ
アの導入や予選と決勝の競技内容を変えるなど新た
な試みが盛り込まれ,事前の競技シミュレーショ
ンが重要となる大会となりました。(競技の詳細は
http://www.indoorflight.t.u-tokyo.ac.jp/)
本校チームは,早い段階から競技分析を行って大
−1−
全国高専ロボットコンテスト2014東北地区大会報告
ロボットコンテスト指導教員 小 林 義 和
全国高専ロボットコンテスト東北地区大会は,去
す。普段はチームの区別なく,互いに協力してロボッ
る 10 月 26 日(日)に岩沼市総合体育館を会場に開
ト製作に打ち込んでいます。
催されました。今年の高専ロボコンの競技課題は,
大会の結果は,A チーム,B チームともベスト4
「出前迅速」というテーマで,出前ロボットと(必
まで進出し,B チームについては8年ぶりに決勝に
要に応じて製作した)受け取りロボットを用い,お
進出して,準優勝を獲得しました。
盆に高く積み上げられた蕎麦(そば)の蒸籠(せい
今年度は,大会前,大会中にも様々な問題やトラ
ろ)を3つの障害物(スラローム,角材,傾斜)を
ブルに遭遇しましたが,学生達が1つになって様々
乗り越えて配達する競技です。なるべく多くの蒸籠
な問題に対処してきました。ロボコン大会当日も学
を運んだチームが勝つというルールでした。今回は,
生が自分たちのロボコンを楽しんでくれたと思いま
昨年までのルールであった,2足や4足の足を使っ
す。
た歩行ではなく,また,ロボットをコントローラで
来年は,秋田高専の主幹による秋田大会です。今
操作しても良いというルールとなり,新しいロボッ
年の結果が来年につながって,次回の大会が今年以
トの技術が試されました。とくに,9cm の高さの
上の結果になるよう精進していきたいと思っていま
角材をタイヤで乗り越える,蒸籠を倒さないように,
す。今後も是非応援のほどよろしくお願いいたしま
約15度の傾斜ゾーンを越えるというところが難し
す。
かったように思います。
なお,会員企業には「ロボット等援助金」にご賛
秋田高専からは,秋田新幹線と戦隊ヒーローをモ
同いただき,ロボット製作費の一部に充当できまし
チーフにしたAチームの「‡‡ 新幹戦隊 ‡‡」と,
たことをお礼申し上げます。
かわいいイクラのキャラを使ったBチーム「How
much?」の2つのチームが出場しました。「‡‡ 新
幹戦隊 ‡‡」は上級生の学生が多く,機械工学科
の学生が中心となったチーム構成です。ロボット
は,クローラーと,エアシリンダーで上下するタイ
ヤ,電子制御で蒸籠を水平に保つ機構を装備してい
ます。一方 B チーム「How much?」は電気情報工
学科の学生がメンバーに多く比較的低学年の学生が
多いチーム構成です。ロボットは,蒸籠を水平にす
るアームは電子制御を使わない,天秤のようなメカ
ニカルな機構を持っているなど,両チームは,ロボッ
大会後のロボコンチーム
トもメンバーも対照的なロボット構成となっていま
第3回秋田県中学校ロボットコンテスト
秋田県内の中学生がロボットの製作技術を競うコ
10 校から 16 チームが参加した。
ンテストが8月9日,秋田市内のホテルで開催され
生徒たちは5月と7月に秋田高専で二度にわたる
た。これは,子どもたちにものづくりや理科への興
講習を受け,コンテストに備えロボットの操作方法
味を持ってもらうことを目的に,秋田市の秋田港ラ
を学んでいた。
イオンズクラブが主催・秋田高専が共催により実施
コンテストのルールは,赤・青の2チームのロボッ
したものである。今年で3回目の開催となり,県内
トが,競技フィールド中央部にある立方体,三角柱,
−2−
円柱などのブロックを取り込み,運搬し,それを形
第一中学校の「シェイプイン一号」であった。
状の一致する穴に位置決めしながら正確に挿入する
生徒たちは秋田高専教職員の指導を受けながら熱
ことでポイントを獲得していき,より多くのポイン
心にロボットを操作し,競技や他校生との交流を楽
トを獲得した方が勝者となる。
しんでいた。
今年度も多くの接戦が繰り広げられ,優勝は大館
秋田高専産学協力会が地区研修会を開催
秋田高専産学協力会は 10 月 24 日(金)に能代地
開発と鋼材の熱処理変形解析」と題し,自身の研究
区を会場として第 62 回研修会を開催した。会員企
開発について詳しく紹介した。
業である秋木製鋼㈱において会社説明と工場見学を
当日は,秋田高専産学協力会の会員企業関係者や
行った後,秋田高専機械工学科の磯部浩一教授が「鉄
本校教職員など約 30 名が講演を熱心に聴講し,発
鋼製錬における各種プロセスおよび品質改善技術の
表内容について活発な質問や意見交換が行われた。
講演題目 「鉄鋼製錬における各種プロセスおよび
品質改善技術の開発と鋼材の熱処理変形解析」
【講演概要】
本講演では,銑鋼一貫製鉄所において講演者が主導的に携
わってきた,鉄鋼製錬,特に溶解,鋳造プロセスにおける新
プロセスや品質改善技術に関わる研究開発について紹介した。
併せて,現在,秋田高専で新たに取り組みを開始した,計
算力学を用いた金属材料の熱処理,鋳造時の変形,応力解析
の研究内容について述べた。
【講師紹介】
秋田工業高等専門学校
機械工学科 教授 磯 部 浩 一 氏
1982年(昭和57年)3月 名古屋大学大学院工学研究科博士前期課程 鉄鋼工学専攻 修了
1982年(昭和57年)4月 新日本製鐵㈱入社
1997年(平成9年)6月 同社 技術開発本部 室蘭技術研究部 主任研究員(製鋼総括)
2000年(平成12年)4月 同社 技術開発本部 室蘭技術研究部 主幹研究員(製鋼総括)
2006年(平成18年)6月 名古屋大学 博士(工学)
−3−
2010年(平成22年)4月 北海道大学客員准教授(大学院連携分野客員教員)
2012年(平成24年)10月 新日鐵住金㈱技術開発本部 室蘭技術研究部 主幹研究員
2013年(平成25年)4月 秋田工業高等専門学校 機械工学科 教授
2014年(平成26年)4月 同 専攻科長
○専門分野…材料力学,計算力学分野(現在)
○現在の研究テーマ……①連続鋳造工程の熱応力,変形解析
②鋼材熱処理時の変形挙動解析
○技術相談キーワード…①材料力学,計算力学
②金属の溶解,凝固プロセス
③溶融金属凝固時の欠陥防止(偏析,内部割れ)
④鉄鋼材料の熱間加工性,熱間割れ防止
⑤鉄鋼材料(快削鋼,機械構造用鋼,ばね鋼)
秋田高専が知的財産権セミナー特別講演会を開催
秋田高専では 12 月3日(水),同校地域共同テク
マに,最新の特許紛争例の紹介や,紙芝居形式によ
ノセンターの主催により,知的財産権セミナー特別
る特許紛争の攻防の例が示された。講演会には本科
講演会を同校大講義室で開催した。講師に秋田大学
5年生・専攻科生をはじめ,教職員,一般参加者を
産学連携推進機構知的財産ディレクターの角谷浩氏
含めた約 200 名が参加し,熱心に聴講した。講演後
を講師に迎え,「特許権の取得から特許権侵害を巡
の質疑応答では学生・教職員から質問もあり,講演
る攻防まで」と題して講演が行われた。講師からは,
内容に対する理解が深められた。
現在世界各国で起こっている特許紛争をメインテー
−4−