モルディブ記録書 - NPO法人アルファバドミントンネットワーク

モルディブ共和国バドミントン協会
女 子 ジ ュ ニア 選 手 育 成 支 援 事 業
記録書
2016年2月
特定非営利活動法人アルファバドミントンネットワーク
目
次
Ⅰ.
はじめに
1.事業の概要
2.ムーサ挨拶
3.ご協力いただいた皆様
4.表敬訪問先
Ⅱ.
活動スケジュール
Ⅲ.
活動内容
1.準備
2.滞在日記
Ⅳ.
感想集
ホストファミリー 古橋 久子
ホストファミリー 對馬 司
ホストファミリー 對馬 ライマ
東日本大震災学習コーディネーター 高梨 勝也
Abdul Razzaq Aminath Nabeeha
Moosa Nashid
白井 巧
Ⅴ.
おわりに
資料
1.外務省資料
2.ムーサ・ナーシド氏からの礼状
3.収支報告
4.事業パンフレット
5.ハラール食説明会資料
6.メディア掲載情報
7.写真集
Ⅰ. はじめに
このたびはモルディブ共和国バドミントン協会女子選手育成支援事業へのご支援・ご協力を賜り、誠にありがと
うございました。2015年12月14日をもって、全てのスケジュールが完了したことをご報告させていただきます。
当事業は2015年2月にモルディブ共和国バドミントン協会会長ムーサ・ナーシド氏が来日したこ
とに始まります。ムーサ・ナーシド氏の来日目的は、2020年東京オリンピックに向け、モルディブ共
和国の選手出場を目標に5カ年計画で選手強化するにあたり、その協力を日本に取り付けること
にありました。
モルディブ共和国のバドミントン競技実績としては、ロンドンオリンピックに男子選手1名出
場を果たしていますが、ムーサ氏の次なるターゲットは女子選手の育成でした。ムーサ氏がバド
ミントンを始めたきっかけは、日本の青年海外協力隊の普及活動にあります。また1995年に10ヶ
月間日本で研修活動を体験しており、日本とのつながりが深く、またその交流経験から、ムーサ氏
は日本のスポーツ競技指導、なかでも学校教育における部活動の価値を見いだしておりました。
このような経緯から、今回の選手派遣の目的は、選手の競技力向上のみならず、モルディブのジュ
ニアプレイヤーに日本の学校教育とスポーツ指導を体験させることでもありました。
特定非違営利活動法人アルファバドミントンネットワーク(以下アルファ)理事である白井巧
が30年ほど前に青年海外協力隊活動でモルディブ共和国を訪れ、ムーサ氏を指導しています。教え
子であるムーサ氏の描く夢や、バドミントン競技の発展で国の繁栄を望む彼の志を支えるため、日
本での協力を得ようと白井理事は2月にムーサ氏とともに精力的に国内を回りました。アルファは
そんな二人の思いに共鳴し、ムーサ氏にモルディブ共和国ジュニア選手育成支援を約束しました。
育成支援事業実行にはいくつかの関門がありました。2015年9月にスポーツ・フォー・トゥモロ
ー情報交換会にて事業説明しました。10月に外務省と打ち合わせを行い、16日間のステイのうち
の10日間は外務省主催となり外務省との協働事業に発展しました。これにより当初予定の選手2名招へ
いに加え、コーチであるムーサ氏の招へいが可能となりました。11月には公益財団法人日本バドミ
ントン協会の協力を得ることができました。
準備が事業の大半を占めると言っても過言ではありません。実際受け入れるに当たり多くの準
備・調整を要しました。短期留学の受け入れ、ステイ先の確保、冬物衣料の調達、視察先コーデ
ィネイト等。全てが初めての経験で戸惑うことばかりでしたが、これらのほとんどは関係の皆様
のご協力とご尽力により滞りなく進めることができました。
そして迎えた選手の滞在。選手達の存在は、各所で2020年東京オリンピックへの意識を身近に
引き寄せることとなりました。選手達と接した子供達、訪問先、滞在先の方々、皆が2020年オリ
ンピックで彼女たちに再会する日が来ることを願い、夢を共有する時間を持つことができました。
今ここで事業準備から実施までの日々を振り返り、記録をまとめ事業実施記録書といたします。
2016年2月
-1-
1.事業の概要
■事業名:
モルディブ共和国バドミントン協会女子ジュニア選手育成支援事業
■主催:
外務省
2015年11月29日~2015年12月8日 (スポーツ外交推進事業)
特定非営利活動法人アルファバドミントンネットワーク
2015年12月9日~2015年12月14日 (2015年度 国際交流事業)
■協力:
公益財団法人日本バドミントン協会
■事業目的:
モルディブ共和国バドミントン協会女子ジュニア選手に対して
バドミントンの競技力向上
日本の学校教育とスポーツ指導の体験
■主な活動
1. 外務省,スポーツ庁,駐日モルディブ大使館及び日本バドミントン協会の表敬
2. 全日本総合バドミントン選手権大会への視察
3. 西武台千葉中学校・高等学校でのトレーニング及び学生との交流
4. 筑波大学バドミントン部の視察及び学生との交流
5. 野田市オープンサタデークラブへの参加及びクラブメンバーとの交流
6. 東日本大震災学習(石巻市、東松島市)
7. 聖ウルスラ学院英知高等学校でのトレーニング及び生徒との交流
8. 西武台千葉高等学校での学校教育体験(短期留学)
9.ホームステイを通じた国際交流
■日
程:
2015年11月29日~12月14日
■育成支援選手
Abdul Razzaq Aminath Nabeeha
(モルディブ共和国バドミントン協会選手)16歳
Abdul Razzaq Fathimath Nabaaha
(同協会選手)16歳
Nashid Moosa
■コーチ
(モルディブ共和国バドミントン協会会長)
■主な滞在先(いずれも野田市内でホームステイ)
1. 古橋
柳一 宅
2. 對馬
司
宅
-2-
2.ムーサ・ナシード氏からの挨拶文(育成支援事業に向けて)
NPO法人アルファバドミントンネットワークのスタッフの皆さんこんにちは。
モルディブバドミントン協会では、2020年の東京オリンピック出場を目指しております。とてもハード
ルが高いこの目標を乗り越えて是非東京に行きたいと考えています。
同時に皆さんとの交流を末永く深めていくことも心より願っております。
SPORTS FOR TOMORROWを通じた皆さんのご支援に対し感謝と期待感でいっぱいです。
本当にありがとうございます。
2015年8月26日
モルディブ共和国バドミントン協会
会長
ムーサ・ナーシド
(Moosa Nashid/Mr.)
3.ご協力いただいた皆様
(1)
※順不同、敬称略
法人及び団体
・
外務省
・
野田市
・
公益財団法人 日本バドミントン協会
・
特定非営利活動法人 いしのまき NPO センター
・
筑波大学
・
西武台千葉中学校、西武台千葉高等学校
・
西武台千葉高校 バドミントン部 保護者会
・
西武台千葉高校 1 年 2 組の皆さん
・
聖ウルスラ学院英智高等学校
・
宮城県立名取高校
・
宮城県立東松島高校
・
石巻市立渡波中学校
・
ラケットショップ キャビン
(2) 個人
氏 名
所 属
備考
・
橋本 奈津子
外務省 大臣官房人物交流室
外務事務官
・
豊吉 彩乃
外務省 大臣官房人物交流室
外交実務研究員
・
高橋 英夫
公益財団法人 日本バドミントン協会
理事
・
四倉 禎一郎
特定非営利活動法人 いしのまき NPO センター 理事長
・
志田 泰盛
筑波大学
人文社会学系
准教授
・
吹田 真士
筑波大学
体育系
講師バドミントン部顧問兼任女子監督
・
森 亜友奈
筑波大学
人間学群
・
高瀬 秀雄
西武台千葉中学校・高等学校
教諭 バドミントン部
顧問
・
稲田 聡
西武台千葉中学校・高等学校
教諭 バドミントン部
顧問
障害科学群
-3-
バドミントン部
・
戸邊 尚彰
西武台千葉中学校・高等学校
教諭 バドミントン部
顧問
・
田所 光男
聖ウルスラ学院英智高等学校
教諭 バドミントン部
総監督
・
深瀬 潤二
聖ウルスラ学院英智高等学校
教諭 中・高バドミントン部顧問
・
髙梨 勝也
宮城県立名取高校 定時制課程
教諭
・
今井 夏帆
宮城県立東松島高校
3 年生
・
今井 鈴音
石巻市立渡波中学校
2 年生
・
岡部 いほり
西武台千葉高校バドミントン部保護者会
会長
・
對馬 司
西武台千葉高校バドミントン部保護者会
ホストファミリー
西武台千葉高校バドミントン部保護者会
ホストファミリー
對馬 ライマ
・
古橋 柳一
古橋 久子
・
岡部 元
西武台千葉高校バドミントン部保護者会
・
相沢 ゆかり
西武台千葉高校バドミントン部保護者会
・
中村 昌代
西武台千葉高校バドミントン部保護者会
・
有川 公子
西武台千葉高校バドミントン部保護者会
・
林 千恵子
西武台千葉高校バドミントン部保護者会
・
岡安 満
ラケットショップキャビン
・
松浦 秀徳
柏店店長
通訳
4.表敬訪問先
※順不同、敬称略
訪問先
・ 外務省大臣官房室人物交流室
室長
品田 光彦
・ スポーツ庁 国際課
課長補佐
猪俣 康博
国際交流係長
日名子 裕康
・ 野田市
・ 駐日モルディブ共和国大使館
市長
根本 崇
教育長
東條 三枝子
大使
Ahmed Khaleel
Mariyam Zahuwa
Shazly Saleem
・ 公益財団法人日本バドミントン協会
専務理事
銭谷 欽治
スポーツフォートゥモロー担当
金沢 亮子
・ 西武台千葉中学校・西武台千葉高等学校 校長
八木下 徹
・ 聖ウルスラ学院英智高等学校
伊藤 宣子
校長
-4-
Ⅱ.
活動スケジュール
外務省 主催期間
DATE
TOPICS
11/29 日 7:30
11:00
成田着(UL454)
成田着
説明会
事務所バネにて
對馬宅 ステイ (11/29 、 30)
18:00~20:00 歓迎会
11/30 月 9:45
13:00
野田市 表敬訪問
西武台千葉高校 登校
16:00~
12/1
火 8:00
校長先生に挨拶
トレーニング
西武台千葉高校 登校
16:00~
トレーニング
古橋宅 ステイ(12/1~12/11)
12/2
水 7:30
10:00
ステイ先から出発
外務省 表敬
スポーツ庁 表敬
モルディブ大使館 表敬
日本バドミントン協会 表敬
全日本総合選手権観戦
代々木第2体育館
宿泊:東京プリンスホテル
12/3
12/4
木 10:30~13:00 筑波大学視察
筑波大学バドミントン部交流、昼食会
11:15
ムーサ氏帰国
UL455便
16:00~
西武台千葉高校 登校
トレーニング
西武台千葉高校
登校
外務省視察
外務省より豊吉氏、授業・練習風景視察
金 8:00
16:00~
12/5
12/6
土
トレーニング
8:30~11:00 野田市オープンサタデークラブ参加
日
仙台へ移動
宿泊:仙台国際ホテル(12/5~12/7)
東日本大震災学習
石巻・旧野蒜駅、
石巻復興まちづくり情報
昼食会、日和山
12/7
月
仙台市内ショッピング
15:00~20:00 ウルスラ英知学院
12/8
火 10:30
16:00~
休憩、市内観光、ショッピング
ウルスラトレーニング
仙台→野田
仙台発
西武台千葉高校
トレーニング
古橋宅 ステイ
-5-
アルファバドミントンネットワーク 主催期間
DATE
12/9
TOPICS
水
西武台千葉高校
16:00~18:00 アルファクラブ参加
関宿総合体育館
夕刻より春日部にてショッピング
12/10 木 16:00~
西武台千葉高校
トレーニング
12/11 金 16:00~
西武台千葉高校
トレーニング
12/1
西武台千葉高校
トレーニング
土 11:00~
2
17:00~19:00 生徒主催 送別会
西武台千葉高校体育館にて
對馬宅 ステイ(12/12.13)
12/1
3
日
西武台千葉高校
對馬ファミリーと市内観光
16:00~18:00 公式 送別会
12/14 月 11:15
レストランボヌールにて
帰国(UL455)
成田発
-6-
Ⅲ. 活動内容
1. 準備
2015年 2月
ムーサ・ナーシド氏来日
育成支援事業を約束する
2015年 8月
白井理事モルディブ共和国を訪れ、モルディブバドミントン協会
および派遣選手家族に事業説明する
2015年9月
事業案内パンフレット作成、会員に送付
スポーツ・フォー・トゥモロー情報交換会にて事業説明する
筑波大学バドミントン部にモルディブ交流について相談する
2015年10月
プロジェクト会議(以降数回)
事業パンフレット作成、配布
ホストファミリー決定
西武台千葉高校短期留学受け入れ決定
西武台千葉バドミントン部保護者会長との打ち合わせ(以降数回)
ホストファミリーとの打ち合わせ会議、学習会(以降数回)
スポーツ・フォー・トゥモロー認定事業となる
日程の一部外務省主催が決まり、外務省協働事業となる
外務省との日程調整(以降随時)
筑波大学交流担当の学生と打ち合わせ(以降数回)
「東日本大震災学習」スケジュール作成を高梨勝也氏に依頼
聖ウルスラ学院英智高校バドミントン部でのトレーニング・交流を田所氏に
相談
西武台千葉高校バドミントン部保護者会(以下保護者会)にて説明会
2015年11月
保護者会対象ハラール食学習会(保護者会主催)
冬物衣料、制服準備
訪問先スケジュール調整
歓迎会、歓送会準備、調整
2. 滞在日記(11/29 ~ 12/14)アルファ facebook より抜粋
(https://www.facebook.com/NPOalpha.bad.net/)
1日目
11/29
ムーサ氏、ナビ、ナバ来日
成田空港到着後、アルファ事務所に直行しスケジュール等を確認した。
18時より野田市内レストラン「ハラール」にてアルファ主催歓迎会を行った。
25名参加
2日目
11/30
9:45野田市表敬訪問
出席者:野田市市長、野田市教育長、ムーサ、ナビ、ナバ、白井巧、高瀬麻美
市長が、今後野田市が2020年東京オリンピックに向けて支援する競技種目とし
てバドミントンを検討する可能性があると発言した。
13:30西武台千葉高校校長先生に挨拶
ムーサ:選手が日本の学校教育を体験し、人として成長する糧にしてもらいたい。
その後、ナビ、ナバは高校1年生のクラスに合流。
-7-
ホストファミリーの一つでありバドミントン部員である對馬氏次女が在籍しているこ
と、他にバドミントン部員が2名いることからこのクラスでの在籍となった。
授業後ホームルームや清掃をクラスメイトと行った。
その後バドミントン部の練習に参加し、 練習後對馬宅に移動した。
3日目
12/1
朝から学校で通常授業を受け、夕方から部活動に参加した。
今回滞在では日本の学校文化を学ぶことも目的の一つである。初めて体験し
た清掃活動について聞くと、
「みんなで一緒に何かをやるのが楽しい。
」
練習二日目の感想として、
「練習は少し疲れたけど、チームのみんなが元気
良くて感じが良いから練習楽しい。
」
ステイ先を古橋宅に移動した。日本食、天ぷらに挑戦した。チームメイトが
同席する賑やかな夕食となった。
4日目
12/2
早朝野田を出発し、外務省、スポーツ庁、モルディブ大使館を表敬訪問。
午後は代々木体育館で公益財団法人日本バドミントン協会への挨拶、全日本総合
選手権を観戦し、そのまま東京のホテルにステイし東京を満喫する夜となった。
外務省コメント:SFTを今後とも支援していきたい。
スポーツ庁:2020年はアジアのオリンピックとして考えている。日本の良さ
やアジアの良さを知り合い、交流を通じて互いの理解を深めることが大切。
駐日モルディブ大使館:本国とも連携して、バドミントンを支援していく。
バドミントン協会:SFTは、バドミントン協会としても初の試みだが、これ
を機会にバドミントンを世界に広めていきたい。
全日本選手権大会観戦したナビ・ナバの感想:モルディブだと男子の競技
力の方が世界に通用するが、日本は逆で女子の戦績が良いことを知った。日
本人とモルディブ人ではフットワークが違うと思った。モルディブは足の運
びがシンプルだけど、日本人は複雑なステップを踏んでいるようだ。
5日目
12/3
ムーサ氏が早朝帰国。不安そうにコーチを見送るナビ、ナバに、ムーサ氏が
かけた言葉は、
「失敗してもいい。たくさん経験して欲しい。そしてそこから
学ぶ事が大切。
」
その後筑波大学に向かい、体育施設見学を経てバドミントン部員と交流した。
到着が昼休みだったので、学食のハラール対応ランチを全員で食しながら歓
談した。
バドミントン部員からナビ・ナバの練習環境についての質問が飛び交い、短
時間の滞在であるが密度の濃い交流となった。
ナビ感想:バドミントン部員で集まっている人たちの背景がバラエティーに
富んでいる。体育専門学群の施設を観たが、各スポーツ種目にチャンスが与
えられているのが良かった。
(モルディブでは体育専門学校が存在しないこ
とから、高等教育における体育教育見聞が筑波大学訪問目的であった。
)
ムーサ氏より、全ての練習に参加するようにと指示があったことから、野田
に戻りすぐに練習に参加した。
筑波学生交流ランチ会出席者:ナビ、ナバ、志田泰盛(筑波大学訪問コーデ
ィネーター・筑波大学教授)
、白井巧、筑波大学バドミントン部学生13名
6日目
12/4
朝から学校で過ごした。6時間目の高瀬秀雄監督の英語授業に、外務省大臣
官房人物交流室より豊吉彩乃氏が視察に見えた。授業後豊吉氏は校長室にて
校長先生と歓談した。
-8-
校長先生:学校としては短期留学生の受け入れは初めてのことである。生徒
たちの見聞が広がりよい影響がある。
7日目
12/5
野田市教育委員会主催のオープンサタデークラブに参加。小学生のコーチ役
を務めた。子供達に片言の日本語で話しかけたり、サインをねだられた。
ナビ・ナバ感想:こんなに小さいときからバドミントンやっているから、日
本ではプレイヤーが育つと思った。
サタデークラブ終了後、仙台に向かった。日本で体験する初めて電車である。
8日目
12/6
東日本大震災について学ぶ。
仙台宿泊先で今回のコーディネーター高梨勝也氏
(宮城県立名取高校定時制教諭)
と合流し、旧野蒜野駅に向かった。ここで語り部の四倉禎一郎氏(特定非営利活
動法人いしのまきNPOセンター専務理事)と合流した。
まず、旧JR野蒜駅舎の前に立てられた交流施設にて20分間の石巻市公式東日本大
震災記録映像を観た。二人は終始津波の迫力に圧倒され涙ぐむシーンもあった。
続いて石巻市復興まちづくり交流会館を訪問し、リチャード・ハルバーシュタッ
ト館長の説明を聞き、今井夏帆さん(宮城県立東松島高3年)と妹の鈴音さん(石
巻市立渡波中2年)と合流。
一同で昼食会場へ。 昼食は交流会館近くの「八幡屋」
。八幡屋は今回の訪問に合
わせ、特別にハラールメニューを用意し、館長の取り計らいで英語メニューを用
意してくれた。
続いて日和山より石巻市を臨んだ。
髙梨勝也氏:これからのスポーツ選手は、競技だけではなくそれ以外での活動も
期待されていると思う。国際理解を含めて色々な物事を吸収しようとする、ナビ
とナバの姿が立派だった。
今井夏帆さんと今井鈴音(渡 波中学校2年)
:自分達と全く違う文化の中で育っ
た方々との交流はかなり緊張しました。でも日本とは遠いようで近いような食文
化、学校のシステムなどを聞けてとても新鮮でした。私達から『子供視線からの
震災』について語ることができ、とても良かったです。今後とも語り部のような
存在になれればと思いました。
ナビ、ナバ:私たちの国も2004年インドネシアスマトラ島沖地震の後、津波が押
し寄せた。けれど私たちは5歳だったので当時の記憶はない。東日本大震災時の
津波は、それとは比較にならない規模だった。津波の破壊力が信じられないくら
い迫力があってびっくりした。日本は復興から5年目だけれど、ここまで街が回
復出来ていることにも驚いた。モルディブへ戻ってから友だちに今日の体験を伝
えたいと思う
9日目
12/7
午前中は休憩と仙台市内でショッピング。
午後3時に聖ウルスラ学院英智高校を訪ねた。校長先生ご挨拶後、校内を紹介し
て いただき授業風景を見学し、16時半からトレーニングに参加した。田所光男
監督、深瀬潤二先生らから手取り足取りアドバイスをいただいた。
田所光男氏:技の飲み込みは悪くない。基礎的な反復練習が大切。バドミントン
競技に適した基礎的な身体の獲得が肝心である。
ナビ、ナバ感想: 部員の皆が協力的で色々言ってくれたので、練習にスムーズ
に参加することが出来た。ダブルスのコンビネーションが学べて良かった。
-9-
10日目
12/8
14:00 通訳兼エスコートの寺井さんとともに、川間駅到着。
これにて外務省の招へい事業は終了となった。
古橋宅に帰宅後すぐに夕刻からの練習に参加した。
11日目
12/9
久しぶりの登校。
授業後夕刻よりアルファ主催の小中学生対象レッスンに参加した。
レッスン後、チームメイト、ホストファミリーとショッピングモールに繰り
出し、食事と買い物を楽しんだ。
12日目
13日目
12/10
12/11
登校、通常授業とトレーニング。
学校で受ける授業最終日。最後の授業はクラス全員で記念撮影をした。
古橋宅で過ごす最終日ともなった。チームメイトやその家族も加わり、モル
ディブ語レッスンしながらの食卓となった。
14日目
12/12
古橋宅で午前中帰国準備をし、11時からの練習に参加した。午後は九州から
来たチームとともに試合練習に加わった。
18時より生徒達主催の送別会が体育館で行われた。生徒が作ったハラール対
応カレー、菓子を囲み、ゲームとおしゃべりで遅くまで盛り上がった。
ステイ先對馬宅に移動した。
15日目
12/13
ナビ、ナバは早朝より、對馬一家と野田市内を観光した。滞在中一度も野田
市を観光する機会がなかったので、最終日に少しでも野田の名所を回ること
ができてよかった。
對馬さん夫婦は英語が堪能なこともあり、ナビ、ナバと濃いコミュニケーシ
ョンをとることができた様子。
夕刻より野田市内のレストラン「ボヌール」にて公式の送別会が行われた。
今事業に関わりのあった方30名が集った。
16日目
12/14
早朝對馬家を出発し、成田空港に9時到着。
道中事故渋滞があり到着予定を遅れてしまったこともあり、荷物チェックを
終えるとすぐにゲートでのお別れとなった。飛行機に慣れていない彼女たち
が二人だけで帰国することに不安がっている様子で、見送る方も少々心配に
なった。ゲート前で全員と握手を交わし、にこやかに出発した。
Ⅳ. 感想集
□
「ホームステイを受け入れて」
古橋
久子(ホストファミリー)
今回の事業プランを聞いたとき、我が家で受け入れたいと思いました。10年前にホームステイを受け入
れた際家族で大変良い経験ができたことに加え、今回来日するのは娘と同年代の子達でしたので、生活を
共にしたいと思いました。
言葉の壁はもちろんのこと、食文化の違いがありましたので、アルファで事前に学習会を開いてもらい
食材や調理器具を準備し、部屋を模様替えし彼女たちの来日を待ちました。せっかく日本に来たのだから
日本食を食べてもらいたくて天ぷらや鍋を作りましたが、口に合わなかったのかあるいは疲れもあったのか
あまり食が進みませんでした。部活動に参加しているので、日本食を提供することにこだわらず、彼女た
ちの嗜好を優先した結果毎日パン食になってしまいました。日本での思い出作りをしてあげたかったので
すが、毎日通学と放課後の部活動参加で帰宅が夜20時過ぎになってしまうので、どこにも連れていってあ
げられなかったことが心残りです。
今回ナビ、ナバに出会えるきっかけをいただけたことを感謝しています。また保護者会から衣服やお弁
- 10 -
当の協力もあり、本当にありがたく思っています。家族だけでなくバドミントン部の子供達などが毎夕食に
訪れ、おかげで我が家は毎晩賑やかな食卓になりました。ホストファミリーとして何ができて何ができな
かったのか今になってもよくわかりませんが、彼女たちが帰国した今振り返ると、すごく楽しかった、こ
の一言です。また機会がありましたら是非我が家で受け入れたいと思います。
□「ナビ、ナバとの出会いを通して」
對馬
司(ホストファミリー)
来日した双子のナビとナバにバネの教室で対面しました。移動による疲れとともに、緊張した面持ち
ながら満面の笑顔で出迎えてくれました。緊張をほぐすために、帯同したムーサさんを含め、冗談を交
えながら彼女ら二人と軽い会話をしたら幾分緊張感がほぐれたようでした。短い時間ながらも、親元を
離れ、異国の地での生活を前にリラックスできるはずはないし、母国にいる二人の両親も非常に不安な
気持ちで送り出し心配しているに違いないです。
麻美さんからのホームステイの要請を受け入れたのは、同年代の子を持つ親として、また共通した宗
教観ならび英語による会話により少なからず二人がリラックスし今回のプログラムに集中できるのであ
ればと思ったからです。おそらく今回のプロジェクトに協力、参加いただいたほとんどの方は、モルデ
ィブさらにはイスラム教という異文化に対し知識が希薄で戸惑ったことと思います。それは違う意味で
良い経験になったと思いますが。
二人が我が家で過ごした数日間ですが、国は違えどやることは皆一緒で、食事の間片時もスマホを離
さずひたすら何かを打ち込んでいたのが印象的でした。寝室に入った最初の夜、二人は家族と会話をし、
すすり泣き、涙を流していました。それは、ホームシックからなのかいまだにわかりません。そんなこ
とから、我が家に滞在中は可能な限り会話をし気持ちを和らげようとしました。我が家を後にし、彼女
らが本格的にプロジェクトに取り組み、過密と思われるほどのスケジュールをこなしている日々、今頃
あの二人はどうしているかなと気がかりになりフェイスブックを覗くため普段以上にスマホに触れる時
間が増え、スマホに写る二人の笑顔を見てにんまりする日々が続きました。
プロジェクト終盤の頃久しぶりに二人に会うと、数日前と表情が変わっているのに気づきました。こ
の短期間に西武台の生徒との練習から何かを感じ取り、必死になっている気がしました。それは一緒に
練習した生徒だけではなく、二人のために弁当を作った保護者の方々をはじめとする関係者の方々の協
力をも感じ取り、彼女たちをそうさせたものと思います。その強い信念を貫き続き、いつか大舞台で活
躍する二人に会える日を楽しみにして待っています。
このプロジェクト通し、微力ながらも関われたのは非常に光栄で、我が家のいい思い出になりました。
今後もアルファバドミントンネットワークがこのようなプロジェクトに積極的に参加し、バドミントン
を通じ近隣のみならず世界の選手育成に寄与し、アルファネットワークを知る一流プレイヤーが数多く
育ち、またこの野田を訪れてくれることを願っています。
今回このような機会を与えていただいた関係者の皆様方ならび共にご協力いただいた方々には感謝い
たします。
□對馬 ライマ(ホストファミリー)
It was our pleasure to have been approached by Mr. and Mrs Takase to host the homestay
programme this time.
We are pleased to have Nabi, Naba & Mr Moosa as our first friends
from Maldives.
I think like all homestay programmes, both parties get to exchange quite a lot, socially,
culturally, etc. from getting to know each other over a short span of time.
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It provides a platform for better understanding and open-mindedness to different cultures,
lifestyles and views.
Indeed, there are no such thing as a better country or a better culture. Instead,everyone
is equal.
What's beautiful about it is that there is always something to learn and
appreciate from each other.
Personally, I do not have any particular feedback on this experience.
If there is anything at all, I guess it would be a natural difference in expectations
from both sides.
However,
I thought it would be more exciting to leave expectations
open.
I applaud Alpha Badminton Network; JICA's, Mr Shirai; Seibudai Badminton Parent Committee
presently chaired by Mrs Ihori Okabe; Seibudai Badminton teams; for the dedicated effort
and sincere support shown in the spirit of voluntarism.
It was a wonderful experience for my family and I.
Thank you.
□ 高梨 勝也
(
「東日本大震災学習」コーディネーター 宮城県名取高等定時制課程教諭)
これからのスポーツ選手は競技だけではなく、それ以外での活動も期待されています。その為に
は、競技者はただ強ければいいのではなく、人物としても立派に成長しなければなりません。ジュ
ニア時代から外に目を向けておくこと、外の世界を知ること、それを受け入れること、そんな柔軟
さとキャパシティを持ち合わせる選手が国際舞台で活躍できるのでしょう。
若い年齢層の「ユースオリンピック」の意義もそうだったと思います。期間中、いろいろな国の
選手と交流したり、ミックスのチームを作って試合をしたり、一緒に学んだりと、勝つためだけで
なく、お互いをリスペクトする姿勢を身につけられるような、国境を越えた世界規模で実現しよう
としています。そこには途上国も、先進国も関係ない同じラインで。そう考えれば、これからはス
ポーツが世界の繋がりの核となり、それが世界平和にも大いに貢献していくのだろうと思っていま
す。
今回のプログラムの中で、国際理解を含めて色々な物事を吸収しようとする、ナビとナバの姿は
立派でした。ナビ、ナバはきっと、自分たちの国のことばかりでなく、また、バドミントンという
枠ばかりでなく、バドミントンを通してもっと広い意味で活躍していくのではないかと思います。
そのためにはまず、東京オリンピックです。ひとまわりもふたまわりも成長して出場できることを
期待しています。
□「お弁当に心を込めて」中村昌代(西武台千葉高等学校バドミントン部保護者会)
醤油を使う勇気がなく、塩コショーの味付けばかりになってしまいました。今回、添加物の確認をす
るという、子どもが小さいときには必ずしていたことを改めてしました。ボランティアを受けてみたもの
の、難しいなぁ〜とちょっと後悔しましたが、ハラール食について学びとても勉強になりました。モルディ
ブの食文化に触れることも出来とてもいい経験をさせていただきました。
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(学校で授業を受ける日は、保護者会有志がハラール弁当を作りました。来日前に保護者会でハラ
ール料理学習会を開いたところ、
「おもしろそう」
「やってみたい」と立候補した6名のお母さんによっ
て日替わり弁当が提供されました。日頃使う食材や調理器具が使えないこと、メニューに制限があるこ
と、何より朝練に参加するお子さんに持たせるには早朝に作り始めなければならないこと。これらの難
題に積極的に取り組んだお母さんを代表してのメッセージです。
)
□Abdul Razzaq Aminath Nabeeha(帰国後のメールより)
Konichiva.
I'm am writing to let you all know that Naba and I have
reached home safely. And we ha
ve already started training here. Thank you all for the support you gave when we were i
n Japan. And thank you all the host families for making us feel like home. We can only
try to repay you back for everything you have done for us. Will keep you all updated.
Arigatogauzimastha.
□Moosa Nashid(モルディブ共和国バドミントン協会会長)
この度は、日本の多くの皆さんのご支援をいただき、スポーツ・フォー・トゥモロー事業としてモルディブ
バドミントン協会の女子ジュニアU16代表選手の訪日が実現しました。ご協力いただいた皆様、本当にあり
がとうございました。
今回の訪日に際し、私がモルディブの若い選手達に伝えたかったことは「良いプレイ
ヤーとは何
か?」でした。
テーマは、「チャレンジ」でした。
・自分が出来るところまで頑張る。
・挑戦してダメであればそれで良い。
・そして再び立ち向かう姿勢を育てる。
なぜなら、若い選手達には多様な経験を通じて「豊かな創造力」と「柔軟性」を学んでもらいたかったか
らです。
私は日本のジュニア育成の仕組みは、学校の部活動に学ぶ所が多いと考えています。日本の高校の
バドミントン部のコーチは大方が教員です。コーチは部員に対する技術指導の他にも、他者への尊敬、個
々の力を合わせてチームで困難に乗り切ろうとする指導法が見られます。これらは、私自身が1995-1996
年に約一年間日本政府招へいの研修時に学んだことでした。良いプレイヤーになるには何が必要か?そ
れは競技力と同時に、人間としての成長そのものが求められることです。日本の部活動には、それを育て
る要素がたくさんあります。
ナビとナバは、ホームステイや学校体験を通じて日本の家族、日本の学校文化も学びました。さらにナ
ビとナバは、東日本大震災の学習で石巻市や東松島市を訪問しました。人は、人生の窮地にどのように
向き合うのか。東日本大震災のその日を経験した方々から、直接話しを聞きました。この経験は、ナビとナ
バにとって他者への共感と日本を知るとても良い出来事でした。今回の訪日を通じてナビとナバが得たも
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のは、バドミントンの技術習得だけではありませんでした。今回の訪日から学んだ経験を生かし、2020年オ
リンピック出場に向けてトレーニングを積んで行きたいと思います。
最後になりましたが、今回の訪日では日本の多くの方々からご支援をいただきました。外務省、(公財)
日本バドミントン協会、NPO法人アルファバドミントンネットワーク、西武台千葉高校、西武台千葉高校バド
ミントン部と保護者会、筑波大学バドミントン部、聖ウルスラ学院英智高校、東日本大震災学習を企画して
いただいた元青年海外協力隊モルディブ陸上競技協会コーチだった髙梨勝也さん。他にも、多くの日本
の皆さんからモルディブのバドミントンを支えていただきました。大変感謝しております。本当にありがとう
ござました。
Arigatou Gozaimashita
□白井 巧(アルファ理事 国際交流担当)
モルディブバドミントン協会から、女子選手2名が初の公式来日を果たした。
モルディブバドミントン協会では、2020年に日本で開催されるオリンピックに向け、女子選手の出場を目
指している。
今回のモルディブ女子選手・コーチの来日では、スポーツ・フォー・トゥモロー事業として、外務省、(公
財)日本バドミントン協会、NPO法人アルファバドミントンネットワークの協働となった。
○バドミントン交流史
モルディブのバドミントンと日本のバドミントン交流の歴史は以下の通り。
1986年:青年海外協力隊(JICAボランティア)にて初のコーチ初派遣。
以降、不定期になるが2015年2月まで8名のコーチが派遣された。
1994年:広島アジア大会にて、モルディブ男子ナショナルチーム初来日。
大会前の強化練習会を、西武台千葉高校バドミントン部と実施。
1995年:日本の外務省主催「21世紀友情計画」にて、現ムーサ会長(当時ナショナルコーチ)が、約1年間
のスポーツ研修で訪日。
2000年:アジアジュニア選手権(京都・長岡京市)にて男子ジュニアチーム初来日。
2015年2月:スポーツ・フォー・トゥモローにて、モルディブバドミントン協会会長招へい事業を実施した。
○印象に残ったシーン
私には、ナビとナバの滞在期間中に印象深かったシーンがある。それは、練習中に次の練習課題の指示
内容確認のため、ナビとナバがコート上で日本の生徒とコミュニケーションを取っていたシーンだ。日本人
の生徒たちは、実践的な英会話が得意ではない。日本は、モルディブを取り巻く南アジア圏の生活・文化
事情とはかなり異なっている。しかし、ナビとナバは不測の事態に対応しつつ積極的に問題を解決して行
く姿勢があった。このような小さな挑戦の積み重ねが、ナビとナバの将来のバドミントンにとって有益な経験
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になるだろうと期待したい。
○ホームステイ
ナビとナバの滞在期間中の多くをホームステイとした。これは、日本理解と若い選手の見聞を広げることを
目的とした、ムーサ会長の意向でもあった。モルディブと日本の生活習慣の違いを考えると、2人のホーム
ステイが容易ではないことは予測していた。しかし私は、ホームステイは大いに賛成だった。なぜなら、私
がモルディブバドミントン協会のコーチとして現地で生活していた当時、モルディブ人家族の中で生活をし
ていたからだ。ホームステイは容易ではないが、何よりもその国の日常生活を学ぶことに最も有益な経験
になるからだ。もし私のモルディブ時代にホームステイをしていなかったら、私のモルディブへの興味・関
心は違ったものになっていただろう。
最後になりましたが、この場をお借りしてどうしてもお礼を伝えたい方がいます。西武台千葉高校バドミン
トン部保護者会の皆さんです。ナビとナバを受け入れていただいたホストファミリーの對馬家の皆さん、古
橋家の皆さん。その他にも、お弁当作り等々・・・保護者会の皆さんからは見えないところで多くのご支援を
いただきました。
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Ⅴ. おわりに
大人達の思い。スポーツによる人物交流という国のミッション。そして5年
後のオリンピックにかける皆の期待。思えば、これらの幾重にも重なる大人の
思いを16歳の彼女二人が背負うには重荷ではなかっただろうか。親元を離れ
る経験すら初めてであった二人が、日本でにわかモルディブ大使として過ごした
日々を思い返すと、それがいかに大役であったか、全てが終わった今感じ入る。
時として、もてなす側は自分の思いを優先しすぎるかもしれない。そしてその効
果を期待する気持ちが常にどこかに潜んでいるかもしれない。
彼女たちはそんな我々の思いを肩すかしすることなく、しなやかに受け止め、
さらには彼女たちの中で膨らませ育くんだと感じる。滞在終盤二人にカメラを
向けると、日本語の挨拶を交えながらスポーツフォートゥモロープログラムへ
の感謝や、オリンピックに向けての夢を語った。そんな二人の顔から、ほんの
2週間で大きく成長した彼女たちを見て取ることができた。大人というのは、若
者が成長する姿を確認できただけで満足する。ホストファミリーである對馬氏
は今回のステイを引き受けるにあたり、こう発言した。
「青年の成長に関わるこ
とができる、これはチャンスである」と。最終日送別会で語る選手二人の言葉は、
国を代表する自覚と、恩人への感謝の言葉に溢れていた。
16日間の滞在を終始笑顔でこなし、関係者に夢や希望を残して二人は帰国
した。外交とは、国際交流とは何であるか、彼女たちと過ごした日々を振り返
ることで、そんなことを改めて考える事業の結びとなった。今後アルファは引
き続き同様の国際交流を草の根活動で行うことだろう。今後の活動に向けて大
変良い経験となった。
帰国翌日に、モルディブで練習を始めていると連絡が入った。彼女たちが日本
での経験をどう料理し、味わい、そしてこれからどう振る舞うことになるのか。勝
手ながら彼女たちの活躍を期待を込めて見守りたい。
本事業実施にあたり、ご協力、ご尽力、ご支援いただいた皆様、誠にありがとう
ございました。
そして最後まで笑顔でやりきった、ナビ・ナバの二人に拍手を送りたい。
2016年2月
特定非営利活動法人アルファバドミントンネットワーク
常務理事 高瀬 麻美
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資料
1. 外務省資料
<事業概要>
スポーツ外交推進事業
(モルディブ共和国バドミントン協会 選手・コーチ招へい)
外務省 人物交流室
1 被招へい者一覧
(1) Nashid Moosa (コーチ/モルディブ共和国バドミントン協会会長)
(2) Abdul Razzaq Aminath Nabeeha (同協会選手)
(3) Abdul Razzaq Fathimath Nabaaha (同協会選手)
2 招へい日程
平成 27 年 11 月 29 日(日)~ 12 月 14 日(月)
【主な予定】
・外務省,スポーツ庁,駐日モルディブ大使館及び日本バドミントン協会の
表敬
・全日本総合選手権の視察
・西武台千葉高等学校でのトレーニング及び学生との交流
・筑波大学バドミントン部の視察及び交流
・野田市オープンサタデークラブへの参加
・東日本大震災学習(仙台市)
・聖ウルスラ学院英知高等学校でのトレーニング及び学生との交流
※なお, 12 月 9 日(水)以降は特定非営利活動法人アルファバドミントン
ネットワーク選手育成支援事業での招へい。
3 協力先
特定非営利活動法人アルファバドミントンネットワーク
公益財団法人日本バドミントン協会
4 目的
本 事 業 は , 日 本 政 府 の ス ポ ー ツ を 通 じ た 国 際 貢 献 策 「 Sport for
Tomorrow ( SFT )」
プログラムの一環として,外務省が特定非営利活動法人アルファバドミント
ンネットワークおよび公益財団法人日本バドミントン協会の協力を得て実
施するものであり,スポーツ分野における国際協力と国際交流の促進を目
的としている。
本招へいの実施により,日モルディブ間の友好関係の増進と共に, 2020
年東京オリンピック・パラリンピックに向けた,スポーツの価値とオリンピッ
ク・パラリンピック精神の普及が期待される。
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2. ムーサ・ナ-シド氏からの礼状
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3. モルディブ共和国バドミントン協会選手育成支援事業 収支報告書
収支報告書
単位:円
収入の部
合計
団体自己資金
寄付
619,610
400,000
15,750
参加費
177,000
その他
26,860
支出の部
合計
選手活動支援費
619,610
143,873
滞在補助
88,000
食費
28,973
交通費
傷害保険
事業費
720
26,180
399,083
帯同費
イベント費
81,826
233,084
会議費
12,554
交際費
30,254
謝金
34,000
交通費
6,300
その他
1,065
管理費
76,654
差し引き収支
事務費
5,337
印刷費
62,477
送料
8,624
雑費
216
0円
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■特記事項
1.収入の部
①参加費
歓迎会、送別会参加費
2.支出の部
(1)選手活動費
①滞在補助
ホームステイにおける補助費(1 名 1 泊 4000 円)
②食費
選手外食費、(11/29 ~ 12/8 は外務省の負担であるが、一時アルファが立て替え後日精算した。)
③傷害保険
選手2名分
日本到着から自宅到着まで
※外務省がかけた保険にはスポーツ活動が含まれていないため、全滞在期間および復路飛行
機および自宅までの移動について保険をかけた。
(2)事業費
①帯同費
選手引率時交通費、宿泊費、食費等
②イベント費
歓迎会、送別会、食事会(筑波大学学生交流、東日本大震災学習)
■外務省(11/29~12/8)負担分の記録
①往復航空券代(モルディブ-日本):コーチ1名、選手2名
②保険
:選手
11/28~12/8
コーチ
自宅から日本までの移動と滞在について
11/28~12/3
自宅から自宅までの移動と滞在について
③宿泊費:ホームステイ以外の宿泊施設宿泊代
12/2
東京プリンスホテル 3 名
12/5~7
仙台国際ホテル 2 名
④食費:朝食、昼食、夕食費(外食の場合のみ)
⑤交通費:公共交通機関運賃
⑥送迎:11/29 成田空港から野田市アルファ事務所
12/2
野田市ステイ先から都内表敬訪問先および都内移動時、ホテルまで
12/3
コーチ 成田送迎
12/3
選手 ホテル→筑波大学→野田市ステイ先
⑦エスコート・通訳費
11/29
成田空港到着から野田市アルファ事務所まで
12/2
野田市ステイ先から終日
12/3
ホテルから筑波大学学生交流を経て野田市ステイ先まで
12/5
大宮駅から仙台宿泊先まで
12/6
東日本大震災を学ぶ、終日
12/7
ウルスラトレーニング
12/8
仙台→川間駅
終日
※外務省負担金額は不明である。
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4. 事業パンフレット
事業案内裏面
事業案内表面
5. ハラール料理説明会資料(保護者会説明会にて 對馬司氏作成)
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6. メディア掲載情情報
1
2015.12.02
朝日新聞
2
2015.12.11
河北新報
3
2015.12.12
毎日新聞
4
2016年1月号
バドミントンマガジン
5
2016年1/15号
市報のだ
6
2016.01.05
読売新聞
1
2
- 22 -
3
5
4
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6
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