第6学年2組 理科 学習指導案 平成22年7月6日(火)第6校時 男子11名 女子11名 計22名 場 所 理 科 室 指 導 者 鶴田 千尋 田中 嘉一 1 単元名 ものの燃え方と空気 2 単元について (1)児童観 児童は物が燃えるということについての知識はあり,空気がそのことに関わっていることについ ては認識している。また,空気の組成が窒素,酸素,二酸化炭素などであることについても既習事 項として学んだ。しかし,酸素に物を燃やすはたらきがあるという知識は十分に無く,物を燃やす と空気がなくなってしまうという程度の認識である。二酸化炭素の発生については,生物の呼吸の 際に発生するものという程度の認識である。 また,空気は自分たちの周りになんとなく存在しているものであり,その形や組成などについて の実感はほとんど無く,ただ見えないけれども存在し,大切なものであると認識しているに留まっ ている。 (2)教材観 本単元は,学習指導要領における理科の内容区分の「A物質・エネルギー」に相当し,内容の「(1) 燃焼の仕組み」に合わせて設定した。ここでは, 「『粒子』についての基本的な見方や概念を柱とし」 て「粒子の存在や」 「粒子の結合」についての内容を含んでいる。 「物を燃やし,物や空気の変化を 調べ,燃焼の仕組みについての考えをもつことができるようにする。 ア 植物体が燃えるときに は,空気中の酸素が使われて二酸化炭素ができること。」を内容としている。 植物体を燃やす際,空気の入れ替わるところでは燃えるが,入れ替わらない所では燃えなくなっ てしまう現象から植物体が燃える前後の空気の性質を調べ,植物体が燃えるときには空気に含まれ る酸素が使われた二酸化炭素ができることや,酸素には物を燃やす働きがあること,燃えた後の植 物体の様子も変化していることについて捉えることを意図して設定される。空気が物を燃やすのに 必要であること,そして空気の中でも酸素が重要であり,物を燃やすのには酸素が必要であること を実験から導き,更に二酸化炭素の発生につなげていくことを重視している。 (3)指導観 本単元の理解のためには,キャンプファイヤーや焚き火などの生活の中での経験から物が燃えるためには 空気が必要であるということを思い起こさせることから指導を始めていく。実際の授業では,空気 の通り道を作った缶を使って空気の必要性を調べる実験,窒素・酸素・二酸化炭素を使って日のつ いた木の燃え方を比べる実験,木を燃やしたびんの中を石灰水や気体検知管を使って調べる実験を 通して,酸素には物を燃やすはたらきがあること,燃やした後には二酸化炭素が多く酸素が少なく なることを理解させる。 その際,「粒子」についての概念にまで思考を深めさせていきたい。集気びんの中の空気の様子 に目を付けさせ,窒素・酸素・二酸化炭素の様子を図に表させる。これは,実験の結果を基に整理 し考察していくことで言語活動を重視していくことにもつながる。これにより,実感を伴った理解 の定着を図ることができる。 -1- 3 研究課題との関わり (1)研究主題 ― 確かな学力を育てる 学び合う力を育てる指導の工夫 ― <高学年の目指す児童像> ・新しい知識や技能を確実に習得できる子 ・相手の考えを理解し,自分の考えを話せる子 ・学習の見通しをもって,学んだことを生かせる子 <目指す児童像> ・基礎的な知識や技能を身につけ、活用できる子 ・自分の考えをもち、互いに学び合うことができる子 ・学び方を身につけ,自ら学ぶ子 (2)研究の視点 ①学習過程の工夫 本授業では,教えて考えさせる4つのステージの予備的知識として実験の結果として得られる酸 素と二酸化炭素の組成の変化を,教科書の帯グラフから読み取ることを「おそわる」ことと位置付 けた。実験の結果をあらかじめ知ることで,子どもたちの興味・関心を更に引き出し,実験の効果 を高めることができると考えた。そのため,実験を通して知識を「かくにんする」ことにした。さ らに,深化問題として新たに加わった「粒子」概念を通して空気の組成の変化を絵で表すことで, 表面に現れた変化を科学的なものとしていくことを「理解深化」と位置付けた。そして,自己評価 の際には,分かったことや分からないことを記述させることを通して自己の学習を「みつめる」こ とをとり入れた。それによって,自分の本時における課題の理解度を再確認し,分かったことや分 からないことを教師が知り,次時の授業の中で生かしていけるようにした。 ②学び合う力を育てる工夫 本授業においては,実験の結果を整理し考察し表現する学習活動を重視し,理解深化として「も のが燃えたあとの集気びんの中のくうきのようすを考え,図に表してみましょう。」という課題を設 置した。空気の中の二酸化炭素の増加や酸素の減少について,目には見えず,気体検知菅の実験結 果の数値のみで理解したことを,実際の集気びんのなかの物質の様子を図で考えることで理解を深 めていく。 その際,一人一人の思考を大切にしてまず考えること。そして,グループでの話合いを行い,こ れらの知識を課題解決の手がかりとして使い,深く思考し,結論を導くという論理性が要求される。 司会を中心に一人一人の考えを出し合い,お互いが意見交換しながらグループの思考を高め,結論 を出していく。グループでの話合いを授業の中に位置づけることでより深い内容にまで児童が到達 することができる。更に,一人では思いつかない思考の深まりに辿りつけるように話合いを進めさ せることを目指していく。 -2- 4 単元の目標 ○空気中で物を燃やし,物が燃えるときの空気の質的変化を多面的に考えながら調べ,見出した問題 を興味・関心をもって追究する活動を通して,物の燃え方についての見方や考え方をもつようにす る。 【関心・意欲・態度】 物が燃えるときの空気の質的変化を意欲的に追究し,見いだしたきまりを身の回りの物に当てはめ ようとする。 【科学的な思考】 物が燃えるときの空気の質的変化に問題を見いだし,多面的に追究し,相互関係や規則性をとらえ る。 【技能・表現】 問題解決に適した方法を工夫し,装置を組み立てたり使ったりして実験を行い,その過程や結果を 的確に表す。 【知識・理解】 物の燃え方について理解する。 5 単元の評価規準 関心・意欲・態度 ・物が燃えるときの 単 元 空気の質的変化を意 の 欲的に追究し,見い 評 価 だしたきまりを身の 規 回りの物に当てはめ 準 ようとする。 科学的な思考 ・物が燃えるときの 空気の質的変化に問 題を見いだし,多面 的に追究し,相互関 係や規則性をとらえ る。 技能・表現 ・問題解決に適した 方法を工夫し,装置 を組み立てたり使っ たりして実験を行 い,その過程や結果 を的確に表す。 知識・理解 ・物の燃え方につい て理解する。 ○物が燃えることに 興味を持ち,よく 燃やすための方法 を進んで調べよう とする。 ○窒素,酸素,二酸 化炭素のどれかが 物を燃やすはたら きのある気体だと 考え,興味をもっ て実際に取り組も うとする。 ○空き缶の中で木を 燃やす活動から, 物が燃えることと 空気の入れ替わり とを関係づけて考 える。 ○びんの中で木を燃 やしたときの空気 の変化について, 自分なりの考えを もち,モデル化す る。 ○木をよく燃やすた めに,空き缶に穴 をあけたり空気を 送ったりして,工 夫して調べる。 ○窒素や酸素や二酸 化炭素に物を燃や すはたらきがある かどうかを調べ る。 ○気体検知管や石灰 水を安全に用い, 物を燃やす前後の 空気の質的変化を 調べている。 ○木などが燃えると きには,新しい空 気が必要であるこ とを理解する。 ○酸素には物を燃や すはたらきがあ り,窒素や二酸化 炭素には物を燃や すはたらきがない ことを理解する。 ○木が燃えるときに は,空気中の酸素 の一部が使われて 減り,二酸化炭素 ができていること を理解している 学 習 活 動 に お け る 具 体 の 評 価 規 準 -3- 6 学習指導計画 〔11時間扱い〕 本時10/11 次 時 ○学習活動 ・予想される児童の反応 1.ものを燃やす ○空き缶の中で木片を燃やす。 ・よく燃えるよ。 ・燃えないかもしれないよ。 ・キャンプファイヤーのときすきまをあけていたよ。 1 ・焚き火をしている缶にあなが空いていたよ。 ・ 2 1 ・ 3 ○空き缶の中の木片がよく燃えるように,方法を ・ 色々と工夫して調べる。 4 ・燃えるためには空気が入るといいね。 ・空気の通り道をつくるのはどうかな。 ・空き缶の中で燃やすとき,空気の通り道をつく るといいよね。 2 3 評価の視点 ・物が燃えることに興味を持ち,よ く燃やすための方法を進んで調べ ようとする。 【関心・意欲・態度】 ・空き缶の中で木を燃やす活動から, 物が燃えることと空気の入れ替わ りとを関係づけて考える。 【科学的な思考】 ・木をよく燃やすために,空き缶に 穴 を あ け たり 空 気 を送 っ た りし て,工夫して調べる。 【技能・表現】 ・木などが燃えるときには,新しい 空 気 が 必 要で あ る こと を 理 解す る。 【知識・理解】 2.ものを燃やすはたらきのある気体 ・窒素,酸素,二酸化炭素のどれか ○窒素,酸素,二酸化炭素に物を燃やす性質があ が物を燃やすはたらきのある気体 るかどうかを調べる。 だと考え,興味をもって実際に取 ・空気の3つの成分から, り組もうとする。 ①窒素が燃えると思うよ。 【関心・意欲・態度】 5 ②酸素が燃えると思うよ。 ・窒素や酸素や二酸化炭素に物を燃 ・ ③二酸化炭素は体の中でいらなくなったも やすはたらきがあるかどうかを調 6 のだから,燃えないと思うよ。 べる。 ・ 7 ・火のついた木を入れるとよく燃えたっけ。 【技能・表現】 ・窒素を入れると火が消えてしまったね。 ・酸素には物を燃やすはたらきがあ ・二酸化炭素と窒素を入れると火が消えるんだ り,窒素や二酸化炭素には物を燃 ね。 やすはたらきがないことを理解す ・ものが燃えた後の空気は,もとの空気の成分と る。 違うんだね。 【知識・理解】 3.ものが燃えるときの変化 ・びんの中で木を燃やしたときの空 ○ものが燃えたあとの空気ともとの空気との質 気の変化について,自分なりの考 的な違いについて考える。 えをもち,モデル化する。 8 ・ものを燃やすと空気の性質が変わるんだね。 【科学的思考】 ・ ・空気を送り込んでいると火は燃え続けるね。 ・気体検知管や石灰水を安全に用い, 9 ・空気の成分で,酸素があればものを燃やすね。 物を燃やす前後の空気の質的変化 ・ 10 ○木片を燃やす前後で空気の性質の違いを調べ を調べている。 ・ る。 【技能・表現】 11 ・空気と燃やす成分があれば,燃えた後は石灰水 ・木が燃えるときには,空気中の酸 で調べて二酸化炭素が多くなるね。 素の一部が使われて減り,二酸化 ・気体検知管を使うと二酸化炭素が多くなるね。 炭素ができていることを理解して ・組成がよくわかるね。 いる。 【知識・理解】 7 本時の学習指導(10/11時) (1)本時の目標 ◎気体検知管や石灰水を用いてものを燃やした前と後の空気の変化について調べられるようにす る。 (2)評価規準 -4- ○【技能・表現】 ・気体検知管や石灰水を安全に用い,物を燃やす前後の空気の質的変化を調べている。 ○【知識・理解】 ・木が燃えるときには,空気中の酸素の一部が使われて減り,二酸化炭素ができていることを理 解している。 (3)展開 段階 Ⅰ 予 備 的 知 識 ( お そ わ る ) Ⅱ 理 解 確 認 ( た し か め る ) 1 №学習活動○学習内容 課題について知る。 ◆指導上の留意点★評価☆具体的支援 時間 5’ ものが燃えたあとの空気は,もとの空気と何が違うのだろうか (1)教科書 34 頁の帯グラフから,ものが 燃えた前後の空気の組成を知る。 ①窒素は変わらない。 ②酸素は減っている。 ③二酸化炭素は増えている。 (2)グラフから分かったことを発表する。 ①ものを燃やしたあとの空気は燃やす 前の空気よりも二酸化炭素が多く含 まれ,酸素が少なくなっている。 ◆グラフの見方を確認し,窒素,酸素,二 酸化炭素の変化について読み取らせる。 ◆窒素については,変化しないので取り 扱う必要の無いことを確認。 ★木が燃えるときには,空気中の酸素の一 部が使われて減り,二酸化炭素ができて いることを理解している。 【知識・理解】 ☆木を燃やす為には酸素が使われること を思い出させる。 ☆グラフの読み取りを確認する。 ◆木が燃える前の空気の様子を説明させ 20’ てから実験する。 ・言葉・図などで友だちに説明できる。 ◆教師が石灰水の実験をし,見せることで 気体検知菅の実験に時間を確保する。 ◆石灰水の実験により,まず二酸化炭素が 増えることを確認し,気体検知菅で二 酸化炭素・酸素の数値を確認させる。 ≪実験≫ ア 集気びんの中に石灰水を入れる。 (2)気体検知管を使って,木を燃やす前の空 →反応なし 気と燃やしたあとの空気を調べる。 イ 集気びんの中に気体検知管を入れて調 べる。→酸素・二酸化炭素の数値記入 ①実験の手順を知る。 ②実験する。 ウ 集気びんに火の付いた木を入れる。 ア 二酸化炭素 イ 酸素 エ 火が消えたら取り出す。 ③実験の結果をまとめる。 オ ア,イと同様に石灰水・気体検知管 ・燃やしたあとの空気では,二酸化炭素 を使って調べる が増えた。(約1%→約4%) ・燃やしたあとの空気では,酸素が少 ★気体検知管や石灰水を安全に用い,物 なくなった。 (約21%→約18%) を燃やす前後の空気の質的変化を調べ ている。 【技能・表現】 (3) まとめ ☆教科書の図や記述を確認させて実験に ・ものを燃やしたあとの空気は燃やす前 取り組ませる。 の空気よりも二酸化炭素が多く含まれ, 酸素が少なくなっている。 ◆授業の中で, 「ものが燃えると酸素が減 (4)理解度チェックをする。 少し二酸化炭素が増加する」というこ ◎ … よく分かった(説明できる) 。 とを実験の結果から酸素や二酸化炭素 ○ … 分かった(説明できない)。 の変化(数値)から捉え,友だちに発 △ … よく分からない。 表できることを基準とする。 2 実験をして確かめる。 (1)石灰水を使って,木を燃やす前の空気 と燃やしたあとの空気を調べる。 ①実験の手順を知る。 ②実験する。 ③実験から分かったことを発表する。 ・燃やしたあとの空気は石灰水を白く にごらせた。 ・二酸化炭素が増えた。 -5- 3 15’ 理解深化課題に取り組む。 <ものが燃えたあとの集気びんの中の空気のようすを考え,図に表してみましょう> (1)ワークシートに記述して考える。 Ⅲ 理 解 深 化 ( か ん が え る ) Ⅳ 自 己 評 価 ( み つ め る ) 8 ◆実験の結果から二酸化炭素が増えたこ と,酸素が減ったことについて図に表 させて考えさせる。その際,気体検知 菅による実験結果のそれぞれの数値の 割合を一定にすることに配慮する。 (2)グループで話し合う。 ①酸素の粒の数を減らす。 ②窒素の粒の数変えない。 ③二酸化炭素の粒の数は増やす。 ⑤酸素と二酸化炭素の粒の割合を考え ◆ものが燃えても酸素が全部なくなるわ る。 けではなく,酸素が無くなった分だけ 二酸化炭素が増えるという空気中の組 (3)発表する。 成の変化があるだけであることに注意 ①窒素の粒の数は変わらない(78個)。 させる。 ②二酸化炭素の粒は1個から4個。 ③酸素の粒の数は21個から18個 ◆司会を立ててグループの話合いをし, 代表が発表する。 ★木が燃えるときには,空気中の酸素の 一部が使われて減り,二酸化炭素がで きていることを理解している。 【知識・理解】 ☆気体検知菅の数値について確認させ る。 4 自己評価する。 5’ (1)理解度チェックをする。 ◆理解度として「粒子」の概念にまで着 ◎ … よく分かった(説明できる) 。 目して図に書き表すことを基準とす ○ … 分かった(説明できない)。 る。 △ … よく分からない。 ◆記述の中に,感想が含まれることもあ るが許容する。 (2)今日の授業で分かったこと,分からなか ◆理解度を次時の内容につなげる資料に ったことを記述する。 する。 板書計画 ものの燃え方と空気 課題 実験 ものがもえた後の空気は, もとの空気とは違うのだ 前 ろうか。 大切 後 <ものが燃えたあとの 石灰水 気体検知管 変わ らな い 白く 濁る 二酸化炭素 ものが燃えた後の空気の … 酸素… 二酸化炭素 … 酸素… 組成 まとめ ①ちっ素は変わらない。 ものを燃やしたあとの空気は ②酸素は減る 燃やす前の空気よりも二酸化 ③二酸化炭素は増える。 炭素が多く含まれ,酸素が少 なくなっている。 ◎ ○ △ -6- 集気びんの中の空気 のようすを考え,図に 表してみましょう> ◎ ○ △
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