研究の成 果と課題 新潟市立東中野山小学校 1 (1) 教諭 石黒 淳一 学力を高める手立てとして…電子情報ボードの活用 使用したソフトウエア、コンテンツの有効性や問題点 ○ソフトウエア「ホームページビルダー」 ○デジタルコンテンツ「情報処理推進機構(IPA):教育用画像素材集」 デジタルコンテンツから動画をダウンロードしたり、マット運動の上手な児童の見本演技を録 画したりして、それをホームページビルダーを使って加工してマット運動の技の一覧表を作成し た。 導入時に技の一覧表を示すことで、児童は、自分が練習する技のイメージをつかみやすく、教 師も動画を再生しながら一時停止したり巻き戻したりすることでポイントをマーキングできた。 また、今回使用したマット運動のデジタルコンテンツは、一つの技でも色々な動画があり、教師 の指導に合った動画を選んで使用することができる。 反面、今回使用したマット運動一覧表にはいくつか改善点もあった。ダウンロードした動画が ムービ ーファイル(mpeg)、児童の見本演技が QickTime ムービー(MOV)だったため、ホーム ページ ビルダ ーで加 工すると 、QickTime プレー ヤーで 再生さ れ、画面 上で動 画が小 さくなって しまった。動画のファイルがいくつか混在するときには、パワーポイントを活用して一覧表を作 ると、そのファイルに適したソフトが起動し、全画面表示可能となる。また、技のポイントをマ ーカーするだけでなく、デジタルコンテンツ上にも技のポイントが文章で表示されているので、 それを活用するなど児童がいつでも分かる工夫が必要であった。 (2) 使用環境(体育館のレイアウトや使用環境のアイデアや問題点) <体育館のレイアウト> ○△ ○△ ○△ ○△ ○ ■ ス テ ー ▼ ▼ ジ ○△ ※記号 ○パソコン △デジタルカメラ マット ○△ ■プロジェクター セーフティーマット -1- ▼踏切板(マットの下) 電子情報ボード グループ(6人または5人のグループ)で、デジタルカメラで録画してそれを見ながら練習で きるように、パソコンとデジタルカメラを壁側にくっつけて練習場所を確保するように配置した。 この配置にしたことで、パソコンを気にすることなく技の練習ができたし、グループ全員がパソ コンの周りにやってきても画面を見ながら教え合うことができた。また、練習をしている児童の 妨げにならないように電子情報ボードを体育館の端に設置したことで、他の児童を気にすること なく技のポイントをもう一度電子情報ボードで確認しながら練習することができた。 (3) 児童へのアンケートをもとにした数値を含めた成果と課題 児童へのアンケート結果は以下の通りである。 ① 電子情報ボードを使うと授業は楽しいですか。 A ② 使うと楽しい 87.1 % B いつもと変わらない 12.9% C 使うと楽しくない 0% 先生が電子情報ボードを使って説明すると、マット運動の技の動きがよく分かりました か。 A よく分かった 84.3 % C 使うとよく分からない 2.8% ③ B あまり変わらない 12.9% 自分で電子情報ボードを操作すると、マット運動の技の動きがよく分かりましたか。 A よく分かった 72.9 % C 使うとよく分からない 2.8% ④ Bあまり変わらない 14.3 % 友達と協力し合ってマット運動の練習をするときに、電子情報ボードは役に立つと思い ますか。 A とても役に立つ 51.6 % C 練習には役に立たない 0% ⑤ B 使っても使わなくても変わらない 48.4 % 電 子情 報 ボー ドの どん なと ころ が役 に立 ちます か。(④ の質 問で、 電子 情報 ボード が役 に立つと答えた人) ○技のポイントの部分を動かして線などを書き込めるので分かりやすい。 ○実際にやってもらうのと違い、巻き戻したり、スローにしたり、止めたりして何回も見 ることができる。 ○見本の演技が動画で出るので分かりやすい。 ○見本と自分の悪いところを比較できる。 ⑥ これからも電子情報ボードを使った授業を受けたいと思いますか。 A 受けたい 84.3% B たまに受けたい 15.7% C あまり受けたくない 0% 質問①、⑥の結果を見ると、児童は電子情報ボードを使うことで授業が楽しいと感じ、これか らも電子情報ボードを使った授業を受けたいと強く要望している。また、質問②、③からは、マ ット運動の技の動画を電子情報ボードで使って提示すると、技のポイントや自分の欠点などがよ く分かることが分かる。 反面、質問④の結果からは、他の項目より電子情報ボードの有効性が低いポイントとなってい る。これは、児童が友達と練習する際に電子情報ボードを有効に活用できていないことが考えら れる。有効に活用している児童は、質問⑤の結果のように、「技のポイントの部分を動かして線 -2- などを書き込めるので分かりやすい」等の電子情報ボードを活用した練習方法を身に付けていた。 したがって、この問題点は、電子情報ボードを積極的に活用して練習することで改善できると 考える。 (4) 電子情報ボードを使用して提示した画面 ▲マット運動一覧表 ▲見本の動画 ▲本時の導入で提示した児童の動画 2 (1) 研究の成果と課題 成果 ○電子情報ボードは、児童の授業に対する意欲・関心を喚起する上でとても有効である。 ○電子情報ボードを使って、見本の演技の動画を再生したり、児童の技のポイントを示したりす ることで、児童はマット運動の技の動きがよく分かり、ポイントを踏まえて練習に取り組むこ とができる。 ○お互いに協力し合ってマット運動を練習する際、電子情報ボードを使ってマーキングしながら 友達に教えることで、言葉で伝えるだけでなく、視覚的に説明することが可能になり、説明す る児童も説明を聞く児童も分かりやすくなる。 (2) 課題 ○電子情報ボードで動画等を提示するときには、できる限る大きく表示できるように加工すると きにソフトを選択する必要がある。 ○電子情報ボードのよさに気付かせたり、よい練習方法の一つとして活用できたりできるように、 普段から電子情報ボードを頻繁に授業で活用していかなければならない。 ○どのソフトを使うと電子情報ボードを有効に活用できるか、教師自身の教材研究が必要である。 -3-
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