第4回「数学でモテよう!」

2011年12月7日 千葉大学教育学部藤川研究室発行
社会を読み解く数学授業通信
・体調に気をつけて・・・
こんにちは!先週、私は体調を崩してしまい休ませていただきました。ちょっと無理しちゃったことが原因です。しっかり休
養をとることも重要なんだなと身をもって実感しました。みなさんも気をつけてください。毎度のことですがこの授業用のメー
ルアドレスがあります。この授業通信で取り上げてほしいことなどあれば教えて下さい。質問、ご要望も受け付けています。
メールアドレスはこちら→(省略)
〜第4回 数学でモテよう!〜
さて、今日のテーマですが、「数学でモテよう!」ということ
で “美人角” というものを紹介したいと思います。
世界には “美女” と呼ばれる人たちがいます。映画「ロー
マの休日」で有名なオードリー・ヘップバーン。ハリウッドス
ターからモナコ王妃にまでなったグレース・ケリー。美人で名
高い悲劇の女優マリリン・モンロー。さらには「微笑のシンボ
ル」といえるレオナルド・ダ・ヴィンチによる名画「モナリザ」な
どです。
昔から人々を惹きつけてやまない美人たちですが、どうし
て彼女たちにはそれほどまでに人を惹きつける力があるの
でしょうか?
それにはちょっとしたヒミツがあるんです!
それが “美人角” という角度です。左右のまゆ尻から口角
まで線を伸ばして、あご下で交わる角度が45度になるもの
のことです。では、なぜ45度なのでしょうか?45度の秘密
に少し迫りたいと思います。
・45度の秘密
実は美人角は「正方形」と「白銀比」に関係しています。
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左から、オードリー・ヘップバーン、グレース・ケリー、マリリン・モ
ンロー
日本の建築は山から伐り出される丸太を正方形の角材に
加工した材木が使われます。もっともムダが少なく、張りの
強度が大きくなる断面、それが正方形の特徴です。その角
材を使って作られる茶室には多くの正方形が見られます。
正方形は日本文化の象徴である茶室に見られる様式美と
いえますね。畳の配置、炉、座布団、ふすま、障子・・・全て
は静寂をつくりだすために選ばれた正方形なんです。
2011年12月7日 千葉大学教育学部藤川研究室発行
また、45度は正方形に対角線をひくことであらわれてくる角度
です。そして「白銀比」とは「1:√2の比」のことで√2は「約1.4」で
す。「白銀比」は「正方形」に対角線をひくことであらわれます。
雪舟の水墨画や、菱川師宣の「見返り美
1
人図」にも「白銀比」はあらわれていて、1:
約1.4
約1.4 。またコピー用紙は縦横の比が白
(√2)
銀比なので「白銀長方形」です。コピー用 1
紙には半分に折っても元の長方形と同じ
正方形
形になる性質(相似)があります。また、「白
銀比」は正方形の一辺と対角線の比でも
あります。
正方形の一辺と対角線がなす角度が45度。45度の直角二等
辺三角形にも秘密があります。折り紙を想像してみてください。
対角線で半分に折ると45度の直角二等辺三角形ができます。
さらに半分に折ると同じ形(相似)の二等辺三角形ができます。
そしてこれを繰り返していくと同じ二等辺三角形が次々に作られ
ていきます。つまり、無限に相似がつくりだされていくのです。
このように45度という角度は正方形と「白銀比」を連想させ、さ
らには無限の相似へと結びつく角度なんです。もしかしたら茶の
湯の世界を確立した千利休や、水墨画の世界に大きな功績を
残した雪舟はこの「45度の秘密」に気づいていたのかも・・・
ということで美人の話に戻りますが、女性の顔という表舞台に
あらわれる45度は「正方形」と「白銀比」を連想させ、ムダのな
い美しさを。そして、直角二等辺三角形の無限に続く相似を連
想させ、無限への美、すなわち永遠の美をあらわしているので
はないでしょうか。私たちはこういったものを無意識のうちに感じ
とって“美しい”と思うのかもしれません。これが45度の秘密です。
ためしにみなさんも真正面から写真をとって、2本の線をひき、
角度を測ってみるのも面白いかもしれません。え?美人角じゃな
かった?だいじょうぶです。たとえ自分が美人角じゃなくったって
落ちこむ必要はないんです。なんたって今は「お化粧」という技
術がありますからね(笑)。まゆげの長さをちょちょいといじれば
簡単に美人角をつくれちゃうんです。何かのCMでありましたね
“かわいいはつくれる!”って。あれは本当だったんですね(笑)。
中学生のうちはお化粧の必要はないと思うので、大人になって
から試してみてください。男のみんなはそんなお化粧に惑わさ
れないように気をつけましょう!
参考文献 桜井進著「超面白くて眠れなくなる数学」
・難問にチャレンジ!★★★☆☆
12個のコインが各辺に4個ずつの正方形にならんでいる。これをならべかえて、1つの辺に5個ずつコ
インがならぶようにしたい。どうしたらいいだろうか。
参考文献 樺旦純著「頭の迷路」