インターネットを利用した 文献の収集と管理のエトセトラ

2009 教育心理学課題演習
インターネットを利用した
文献の収集と管理のエトセトラ
TA 平知宏
2009/10/20(Tue)
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本日のお品書き
• インターネット時代の文献収集
• 文献の収集法
– どうやって集めるか
• 文献の管理法
– どうやって管理するか
• 文献の共有法
– どうやって共有するか
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文献収集とは
• 心理学だけでなく,研究を進めていくための
必須のスキル.
• 文献収集というと……
– 知りたいことを自分で探して
– 知りたいことが載っている文献を探して
– 知りたいことをコピーして読む
……と極めて個人的な作業のように見えるが……?
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文献収集とは
• 新たに知識を得るという側面だけでなく,共通認識の
確認という側面も強い.
– 自分の知りたいことは何か?
– 自分の知りたいことを自分がどこまで知っているか?
– 自分の知りたいことが他人によってどれだけ知られてい
るか?
• 特に心理学のような学際分野では,情報の更新が早
く,知りたいことがコロコロ変化することが多い.
– 知見はどんどん新しくなる
– 実験や調査の結果はどんどん出てくる
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インターネットと文献収集
• 文献収集という作業は,その行為の性質上,インター
ネットと非常に相性が良い.
– インターネットは情報を発信・共有するための道具.
– 誰でも情報の更新・修正が可能であるため,情報の鮮度
は非常に高い.
– 情報にアクセスするのはほぼ無制限,知識の共有に有利
である.
• 反面,使い方を間違うと,大変時間のロス.
– 情報量が多いだけに,求める情報が簡単に手に入らない.
– 玉石混合,ゴミな情報も多い.
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本日めざすもの
• Webを活用して,上手に知りたいことを「検
索」し,それらを上手に「管理」する方法を学
びます.
• そのためには,インターネットを積極的に活用
する態度を身につけてください.
– 実際に手を動かしましょう!
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文献収集の三大悲劇(私見)
• どこで何をどのように調べれば良いのか,全くわ
からない状況に陥ってしまった.
– 収集の問題
• 以前調べたはずの文献を,また収集する羽目に
なってしまった.
– 管理の問題
• 論文を収集しただけで読んだ気になってしまった.
– やる気の問題
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文献をいかに収集するか
• 何が知りたいかを決める(これ基本)
– 「対人認知における印象形成について調べたい」
– 知りたいことから複数のキーワードを抽出する.
• 「対人認知」「印象形成」……
• どのように調べたいかを決める
– 目的にあった調べ方を!
• 特に未定
• 知りたいことが書かれた論文・資料を見つける
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どのように調べたいか
• 特に未定のとき
– 知りたいことが漠然としすぎて,そもそもその「知りた
いこと」がどういうものなのか,良く分からない.
– 強い興味があるわけではないが,とりあえず調べて
みたいという軽い動機があるだけ.
• 知りたいことの論文・資料を見つける
– 知りたいことのキーワードの定義をある程度自分で
把握していて,先行研究の内容について調べたい.
– 専門的にどのような研究がなされているか,もっと詳
しく知りたい.
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検索エンジンを活用する
• 情報資源を抽出・要約するためのプログラム.
– 自動型or手動型
– 学術情報に特化した検索エンジンも多い.
• 自分の目的にあった検索エンジンを使用する
ことをお勧めします.
– 特に未定のときは……?
– 論文・資料を見つけるときは……?
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特に未定のとき
• 公開されている学術情報のほとんどを網羅しているタ
イプを選ぶ.
• 「論文を見つけるとき」に使用するような検索エンジン
を内包することもあるため,情報量が莫大である.
• 情報の内容は実に様々なため,必ずしも「学術向け」
とは言い難いものも含まれる.
– 知りたいことをピンポイントで探し出すには不向き.
– 個人のWebサイトで公開されている資料までがヒットする
ことも.
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論文を見つけるとき
• 「知りたいこと」について研究された論文,資料,
学会発表について網羅したエンジンを使用する.
• 「査読」と呼ばれる過程をパスした資料がほとん
どなので,情報の精度は高め.厳密な意味での
「論文」検索が専門.
• 全文閲覧に制限があることも
– 会員以外はキーワード,要旨,引用文献のみ.
– 大学内ネットワークからだと,大抵の論文は閲覧でき
るはずです.
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有名どころ
• Google Scholar(特に未定)
– http://scholar.google.co.jp/
– Googleが提供する学術情報に特化した総合デー
タベース.情報量の多さがウリ.
– 厳密な意味での学術情報以外のものが含まれて
いる可能性もあり.
• Googleのエンジンでも良いが,専門性はさらに落ちる.
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日本語
• CiNii(論文を見つける)
– http://ci.nii.ac.jp/
– 国立情報学研究所が提供する学術論文情報のデータ
ベース.
– 科学技術振興機構が運営するJ-STAGEとの連携が強化さ
れ,より多くの情報が閲覧可能に.
• http://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja
• J-GLOBAL(特に未定)
– http://jglobal.jst.go.jp/
– 文献に限らず,研究者,特許,研究課題などの学術情報
を総合的に網羅したデータベース.
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英語
• PubMed(論文を見つける)
– 医学系の文献が多い
– http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi
• ScienceDirect(論文をみつける)
– ELSEVIER社の論文検索エンジン.生物系・建築系など幅
広く網羅
– http://www.sciencedirect.com/
• 学内からであればSCOPUSの方が利便性は高い?
http://www.scopus.com/home.url
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検索する際の基礎事項
• 窓にお目当てのキーワードを入力するだけ!
– ……ではなく,検索の基本的な手法を理解しましょう.
– and検索「対人認知」かつ「印象形成」が含まれる
– or検索 「対人認知」もしくは「印象形成」が含まれる
– not検索 「対人認知」はあるが「印象形成」が含まれない
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全検索エンジンにおいてほぼ共通
• and検索
– スペースで区切られた複数のキーワード検索は
すべて「かつ」で検索される.
• 「対人認知 印象形成」
• or検索
– 「OR」で区切られた複数のキーワード検索はすべ
て「もしくは」で検索される.
• 「対人認知 OR 印象形成」
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検索エンジンによって仕様が異なる
• not検索
– 「対人認知」は調べたいが「印象形成」は調べたくない.
• Googleなど一般のエンジンでは「対人認知 –印象形成」で可能
• Science DirectやPubMedでは「対人認知 AND NOT 印象形成」
• 3つの組み合わせ次第では,より複雑な検索が可能.
– 対人認知 印象形成 –対人行動
– 対人認知 AND (印象形成 AND NOT 対人行動)
• いわゆる「検索オプション」「詳細検索」などで指定して
やることもできますが,無駄な労力を省くためにも,こ
の3つはすぐにできるよう押さえておきましょう.
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より効率よく発見するために
• 自分好みのテーマの論文がたくさん収録され
ている論文誌が見つかった!
– 今後も自分好みのテーマの論文が掲載される可
能性が高い.
• 論文検索に特化した検索エンジンサイトでは,
新規論文が発表されるごとにお知らせしてく
れるシステムが充実しています.
– メールの登録,RSSの更新など
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文献を管理する
• お目当ての文献を見つけてきたので,うまく
管理する!
– 検索結果を記憶する → 消えるかも!
– 紙に印刷して保管する → なくすかも!
– PDFをPC上に保存する → 個人的にお勧め!
• もちろんバックアップをしっかりと!
– どのように管理すれば効率が良いか?
• 興味範囲ごとにフォルダに入れる? 年代ごとにフォ
ルダを作る? 論文誌ごとにフォルダ分けする?
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一般的なPCでの管理イメージ
論文
対人認知
論文A
印象形成
論文C
対人行動
論文D
論文B
論文E
論文F
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一般的なPCでの管理イメージ
論文A
論文
《興味》
対人認知
論文B
《興味》
印象形成
論文C
論文D
論文E
論文F
《興味》
対人行動
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PC上での管理の難点
• 一般的なPCのデータ管理では,フォルダ指向型のイン
ターフェースがとられている.
– Windows エクスプローラーに代表されるような,階層構造
(フォルダによる分類)重視.
• 大量の文献が階層構造によって分類可能かどうか?
– 多分無理.
• A,Bという論文は「対人認知」関係の論文としてまとめよう!……で
もそのうちBの論文は「印象形成」とも関係がある
– 論文間の関連性を把握しにくくなるという点においても,
階層型の分類はお勧めしない!
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PC上での管理の難点
• 近年では,属性指向型インターフェイスを用いたデータの管
理方法が用いられている.
– 「このファイルは何年に作成されたもので,作成者は誰々で,コメント
は○○である」
→EndNoteやiPapersなどの市販の文献管理ソフトはこれに当たる.
• 属性の新規作成はできない,属性ごとに内容を入力するの
は面倒,入力できる内容は一つのみという問題が残る.
– 使える属性は最初から「年」「作成者」……のみ
– いちいち「年」「作成者」ごとに入力する必要がある
– 属性に「対人認知」「印象形成」という2つのキーワードを同時に入れ
ることはできない.
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タグ型文献管理のすすめ
• ファイルごとに自由に情報を付与する方法
– 「このファイルは何年で,誰々作成でテーマは
○○と××で……」
– 属性はかぶっていても良い
平知宏
心理学
対人認知
論文A
印象形成
2009
ぜったい読む
タグ型文献管理を勧める理由
論文A
対人認知
論文B
印象形成
論文C
論文D
論文F
対人行動
論文E
タグ型文献管理
• Windows Viata
– PDFには未対応?
• Tag2find
– 若干重い
– http://www.tag2find.com/
• Cite U Like(おすすめ!)
– 論文の発見と管理と共有のソーシャルブックマーク
– http://www.citeulike.org/
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例
Cite U Likeの利点
• タグ型文献管理に優れる点
– 論文間の関連性がわかりやすくなる
• 文献情報の管理が容易な点
– ScienceDirectやPubMedなどの主要エンジンのページから,自動的に
書誌情報,掲載ページ,著者,要旨などを収集できる.
• Web上にPDFのバックアップがとれる点
– 容量無制限
• 登録した文献に興味のある人がわかる点
– その文献がどの程度興味を引くものであるかの目安となる.
– 文献情報の共有にも役立つ
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Cite U Likeの難点
• 基本的に英語対応
– 日本語の検索エンジンなどにはあまり対応していない.
– もちろん,自力で書誌情報等の登録を行うことは可能.
• フリーのサービスである点
– いつサポートが打ち切られてもおかしくないので,文献管
理の手段としては,あくまでもサブで.
– EndNoteなど有料の文献管理ソフトの方が万全といえば
万全.複数を併用すると良い.
• Webベースである点
– ネット環境がなければ使えない.
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文献の発見と管理ができました
• あとは読むだけ!
– 三大悲劇のうち「やる気の問題」
• 発見と管理をした段階で,読む気が失せた…
– 他人に対するフィードバックを意識するように.
– 論文を読むのは自分のためだけではなく,同業者と
知見を共有するためでもある.
– 他人にも見える形で「論文メモ」を公開してみる.
• ブログ,SNS,SBM
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