24年度2次隊 ファティック 体育 配属先:ファティック県教育委員会 金川菜穂子 セネガルの小学校では体育の授業はあまり行われてい ない。 教員に興味を持たせるにはどうすれば良いのか。 授業の中で高い運動能力を発揮する子どもたちと日本 人とは明らかに違うセネガル人の体格に興味を持った。 セネガルの子どもたちは何が優れているのか把握した上で 授業内容を考え、体育の重要性をデータを用いて伝えること で教員にも興味を持ってもらえるのではないか 上体起こしと立ち幅跳びのみ実施。 日本人の方がセネガル人より平均が上。 結果が予想と違っていた。 セネガル人は運動神経が良いというのはただ の思い込み? →人類の体型の特徴を調べ、調査を再度実施。 いくつか説はあるが、1950年以降、人類は コーカソイド、ネグロイド、モンゴロイド、オース トラロイドの4大人種に分けられるとされている。 コーカソイド ネグロイド カポイド モンゴロイド オーストラロイド コーカソイド・・・広い範囲に分布しているため、個体差が大 きいが、身長はモンゴロイドよりも大きく、顔は彫が深い。 ネグロイド・・・黒色人種。手足が長く、特に膝から下が長い。 手首、足首は細い。腸腰筋が発達しており、骨盤が前傾し ている。腸腰筋はももを引き上げる役割がある。骨密度が 高く、骨粗鬆症になりにくい。 カポイド・・・女性の臀部の脂肪が非常に多い「脂臀」という 特殊な形質を有する。ホモ・サピエンスの特徴を残しており、 アフリカ最古の人種と言われている。 モンゴロイド・・・もともと農耕民族で寒いところにいたため 身体が小さく脂肪が多い傾向にある。 オーストラロイド・・・大きくアボリジニ、メラネシア、ドラヴィダ の3タイプに分かれる。身長が高く長頭が特徴である。 日本人(モンゴロイド)に比べ、セネガ ル人(ネグロイド)は骨盤が前傾、腸腰 筋が発達している。骨盤前傾により、身 体の後ろの筋肉が収縮するため発達 している。日本人は骨盤中立または後 傾傾向にあり、身体の前についている 筋肉が発達しやすい。 骨盤が前傾するとお腹の筋肉も伸び た状態になり、収縮しにくくなってしまう。 そのため、お腹の筋肉は弱ってしまい、 脂肪がつきやすくなる。 上半身に関しては脊柱のS字湾曲が効いてい る事が挙げられる。後湾した胸椎の上に肩甲 骨がかぶさるような状態になる。 肩甲骨を一定の高さに保持するのに筋力に 頼る割合が低くなるので腕を楽に使う事が出 来る。 骨盤後傾型の場合、脊柱のS字湾曲が目立 たず、肩甲骨を一定の高さに保持するだけで も無駄な筋力を必要とすることになる。 対象者 ファティック市の小学校3校 CE2~CM2(日本の4年生から6年生にあたる) 男子103名、女子93名、計206名 テスト種目 上体起こし、立ち幅跳び、ソフトボール投げ、 反復横跳び、50M走 上体起こし 膝を90度に曲げ、腕を交差させ肩に 手を置く。 30秒間で背中が床についている状 態から肘が膝に何回つくか測定。 男子はセネガル人の方が日本 人より平均回数が多く、女子の 高学年は日本人の平均回数が セネガル人より上回る結果と なった。 骨盤前傾により、腹筋があまり 発達しておらず日本人の平均よ りも低い結果になると思ってい たので意外な結果となったが、 一般的に男性より女性の方が 骨盤が前傾しているからではな いかと推測される。 立ち幅跳び 踏み切り線を引き、両足を軽く開 いて、つま先が線の前端に揃うよ うに立つ。両足で同時に踏み切っ て前方へとぶ。 着地位置のうち、最も踏み切り線 に近い位置と、踏み切り前の両足 の中央の位置とを結ぶ直線の距 離を計測。 CM1とCM2を比べると男女ともCM2の方 が平均値は上がっているが、日本よりも 記録は低い結果となった。足首と大腿 四頭筋が骨盤の傾きの影響で日本人 の方が発達しているため、日本の方が 平均値が高かったのではではないかと 考えられる。 ソフトボール投げ 地面に直径2mの円を描き、 投球は地面に描かれた円内 から行う。ボールが落下した 地点までの距離を測定。 CE2の男子以外は日本人 とセネガル人の平均記録 がほぼ同じであった。しか し、セネガル人男子で40 m以上を記録した児童が 3名いた。肩甲骨を一定 の高さに保持するのに筋 力に頼る割合が低くなる ので腕を楽に使う事が出 来るためではないかと考 えられる。 反復横跳び 地面の上に中央ラインを1本 引き、その両側100cmのとこ ろに平行にラインを引く。 中央ラインをまたいで立ち、 右側のラインを越すか踏む までサイドステップし、次に 中央ラインにもどり、さらに左 側のラインを越すかまたは触 れるまでサイドステップする。 この運動を20秒間繰り返し、 それぞれのラインを通過する ごとに1回と数える。 男女とも平均値の差が 大きい結果となった。横 に体重移動させる動き が全体的に遅かった。こ の結果から敏しょう性(動 作方向を正確に変更す る速さ)が低いことが分か る。 50m走 スタートはスタンディング スタートで行う。 セパレートの直線コース を走り、タイムを計測。 男子はセネガルが平均記録が 速かった。運動靴を持っていな い児童が多く、またフォームも綺 麗とは言えないが、足の蹴る力 が強いように感じた。 ハムストリングスと腸腰筋の発達 により、双方の筋肉をしっかりと 利用されているためだと思う。 女子においてはCE2以外は日本 人の平均値の方が良い記録と なった。30m辺りまではスピード に乗れているが、その後失速し てしまう児童が多かった。 テスト結果から、敏しょう性を高める運動を取り入れる必要が あると感じた。以下のように活動を進める。 4月 ラダー作成、マニュアル作成 ラダー作りは現地教員と共に行う。 5月 ラダートレーニング 授業内でラダートレーニングを行う。 7月 教員研修 毎年バカンス中に行われる研修会でラダートレーニングの 方法を教える。
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