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マーケティング分析
―初心者がつまづきやすいポイントと分析の技法―
専修大学 生田目崇
[email protected]
2012年8月2日 SASユーザー総会
0
マーケティング・マネジメント・プロセス:P.コトラー
1. 市場機会の発見(リサーチ,SWOT分析)
2. 標的市場を選定(STP)
3. マーケティング・ミックス戦略を開発(4P)
4. マーケティング活動を管理
市場機会
の発見
ターゲット
市場の選
定
マーケティ
ング活動
の管理
マーケティ
ング・ミック
ス
SASユーザー総会 2012年8月2日
1
マーケティングの変遷
1.0:製品中心
2.0:消費者志向
3.0:価値主導
目的
製品を販売
消費者を満足させ
つなぎとめること
世界をより
良い場所にすること
可能にした力
産業革命
情報技術
ニューウェーブの技術
市場に対する
企業の見方
物質的ニーズを
もつマス購買者
マインドとハートを持つ
より洗練された消費者
マインドとハートと精神
を持つ全人的存在
主なマーケティング
コンセプト
製品開発
差別化
価値
企業の
マーケティング
ガイドライン
製品の説明
企業と製品の
ポジショニング
企業のミッション,
ビジョン,価値
価値提案
機能的価値
機能的・感情的価値
機能的・感情的・
精神的価値
消費者との交流
1対多数の取引
1対1の関係
多数対多数の協働
中心となる
マーケティング活動
マーケティング・ミックス
の最適化
ターゲット市場の選定
個客対応
ビッグデータ対応
コトラー他:「コトラーのマーケティング3.0」(2010)+加筆
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マーケティングにおけるデータ解析:手法の観点から
 集計・統計分析
– OLAP
– 統計解析(統計値,検定,分散分析)
 多変量解析的アプローチ
– 伝統的な手法による分析
– マーケティング特有のモデル(普及モデル,価格モデル)
 データ・マイニング,テキスト・マイニング
– 非線形の関係
– 大規模データ分析
– 個別対応
 意思決定
– 最適化モデル
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3
多変量解析・データマイニング手法の概観
決定木モデル:CART
因果関係
一般化線形モデル
ニューラルネットワーク
決定木モデル:CHAID
ロジスティック回帰分析
数量化I類
重回帰分析
マハラノビスの
汎距離による
判別分析
コンジョイント
モデル
正準相関分析
クラス判別
多項ロジット・モデル
階層型クラスター分析
2群の
正準判別分析
多群の
正準判別分析
数量化II類
主成分分析
数量化III類
アソシエーション
ルール分析
構造解析
潜在クラス分析
共分散構造分析
因子分析
SASユーザー総会 2012年8月2日
NTTデータ中川氏の資料より
4
データ・マイニング,テキスト・マイニング
 大量・非集計データ,非線形関係を計算機パワーで分析
– データ分類
 非階層型クラスタリング:大規模データのクラスター分析
 決定木分析:If-then形式の判別
 SVM:非線形の判別分析
 自己組織化マップ:二次元上に類似するサンプルの集合を作成
– ルール抽出
 アソシエーション分析:If-then式のルールもしくは同時選択
– 予測
 ニューラルネットワーク:非線形の因果関係モデル
 テキスト・マイニング
– 形態素解析,係り受け解析,頻出分析,アソシエーション・ルール
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5
アソシエーションルール分析
If 条件A Then 条件B
・・・確信度○○
Support
U:全サンプル
X:前提
Y:結論
XY
Lift
【ルールの評価指標】
確信度
Confidence
条件Aに占める条件Bの割合
Confidence(X⇒Y)=(XY)/X
支持度
全体Uに占める条件Aかつ条件Bの割合
Support(X∩Y)=(XY)/U
リフト値
条件Aに占める条件Bの割合(確信度)に対する
全体に占める条件の割合の比
Lift(X⇒Y)=((XY)/X)÷(Y/U)
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決定木分析
顧客全体
年齢で分類すると
最も明確分類できる
年齢
~29
30~39
性別
家族
男性
非優良
女性
非優良
独身
非優良
分割基準
カイ二乗
ジニ係数
情報量
40~
既婚
優良
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優良顧客の
特徴は30代既婚者
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マーケット・セグメンテーション
 「消費者をなんらかの意味で同質と考えられるような消費者グループに分割」す
ること
– 消費者の嗜好や行動が多様化
– 消費者の情報探索・判断能力の向上
マス対応
セグメント対応
• リソースの効率的配分
• 選択と集中
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セグメンテーションの軸
関東,関西,東北・・・
都市規模
5千人未満,2万人未満,
5万人未満,10万人以上・・・
心理的軸
地理軸
地域
ライフスタイル
イノベーター,都市型,伝統的
性格
社交的,権威主義的,野心的
生活価値観
保守的,自己達成,自己表現
人口密度
都市,郊外,地方,農村
購買回数
ー
気候
太平洋側,日本海側,山地・・・
購買単価
ー
年齢
20代・30代,F1・F2,M1・M2
性別
男性・女性
1人・2人・3人・4人・・・
人口統計的軸
行動面の軸
家族数
購買機会
定期的,アドホック,値引き時
購買時間帯
日中,夕方,深夜
追求便益
経済性,便宜性,新規性
ロイヤルティ
高,中,低,無
使用頻度
少量,中程度,大量
使用者状態
非使用者,旧使用者,潜在使用
者,初回使用者・・・
学歴
高卒・大卒・院卒
所得
300万円以下,500万円以下・・
職業
専門職,技術職,公務員,学生,主
婦,定年退職者・・・
家族ライフ
サイクル
若年独身,若年既婚子供あり,
高年既婚子供あり・・・
購買準備段階
無知,知識あり,興味あり,購買
意欲あり
社会階層
中流階層の上位/下位,
上流階層の上位/下位・・・
マーケティング
要因感受性
品質,価格,サービス,広告,
セールスプロモーション
出展:わかりやすいマーケティング戦略,沼上,有斐閣アルマ(2001)をもとに修正
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STPの分析手法
 集計分析
– RFM分析(S)
– ABC分析(T)
 多変量解析
– 主成分分析・因子分析(S,P)
– 判別分析(T)
 データマイニング
– 決定木分析(S,T)
– クラスター分析(S)
 その他
– 個人差の考慮(S,T)
– 最適化手法(S,T)
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顧客購買履歴をもとにした
 RFM分析
– Recency:直近購買日からの期間
– Frequency:一定期間の購買回数
– Monetary Value:一定期間の購買金額
 これらを顧客ごとに算出しスコアリング
 5段階もしくはデシルに分割する方法も(例:RFMセルコード)
 基本的には「反復購買」「反復来店」に関して,優良顧客セグメントを識別する
のが目的
high
mid
Low
R
< 3日
< 1週間
1週間≦
F
7回 <
3回<
≦2回
M
20,000円 <
10,000円 <
≦ 9,999円
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RFM分析の例
RFMセル
111
112
113
121
122
123
131
132
133
211
212
213
221
222
223
231
232
233
311
312
313
321
322
323
331
332
333
セルごとの人数
1629
284
10
549
724
97
21
115
100
479
89
3
423
856
232
42
502
919
159
73
5
152
444
165
27
397
1952
次月離脱客
1286
213
10
346
438
50
7
42
34
390
65
3
259
454
93
12
137
159
137
60
5
95
254
90
7
96
220
反復購買確率
次月平均購買額
21.1%
25.0%
0.0%
37.0%
39.5%
48.5%
66.7%
63.5%
66.0%
18.6%
27.0%
0.0%
38.8%
47.0%
59.9%
71.4%
72.7%
82.7%
13.8%
17.8%
0.0%
37.5%
42.8%
45.5%
74.1%
75.8%
88.7%
SASユーザー総会 2012年8月2日
555
1,078
0
753
1,496
2,666
1,002
1,894
3,495
452
1,150
0
698
1,607
3,718
929
1,977
5,383
354
776
0
809
1,665
2,390
829
1,779
6,630
次月平均購買額
(購買者のみ)
2,634
4,311
0
2,036
3,787
5,502
1,503
2,984
5,295
2,430
4,265
0
1,799
3,422
6,205
1,300
2,720
6,509
2,560
4,356
0
2,157
3,891
5,257
1,119
2,346
7,472
12
主成分分析+クラスター分析の例
 ID付POSデータを顧客別・カテゴリー別に集計
 主成分分析により次元の縮約(図示できるように)
 主成分得点を使って,クラスター分析(k-means法)でセグメントを作成
SAS Enterprise Guideによる例
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線形モデルからの発展
• 回帰分析・分散分析
線形モデル
• 正規分布を仮定
• ロジットモデル・ポアソン回帰・ワイブル回帰
一般化線形モ
デル
• 正規分布以外の分布を仮定
• 潜在クラスモデル
混合モデル
• 個体差の考慮
• 階層ベイズモデル
個別の
パラメータ
• 個別のパラメータ
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個人の異質性の考慮したモデル
 統計的見地から個人の異質性を考慮する手法が提案されている.
– 離散的なモデル
 潜在クラスモデル
離散的なセグメントに対する所属確率を推定
所属確率
30%
50%
20%
10%
20%
70%
セグメント1
セグメント2
セグメント3
SASユーザー総会 2012年8月2日
15
個人の異質性の考慮したモデル
– 連続的なモデル
 階層ベイズモデル
分布のパラメータと各サンプルの値を統計的に推定
 通常はMCMC(マルコフチェーンモンテカルロ)法によるシミュレーショ
ンにより求める
収束するまで
4
3
Aさんの値
パラメータ
の分布
2
1
0
0
0.2
0.4
-1
-2
Bさんの値
-3
-4
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セグメンテーション・ターゲティングに関する若干の注意
 有効なセグメントの条件(コトラーの基準)
1. 測定性
セグメントの購買力が測定できる
2. 到達性
セグメントに対してマーケティング活動ができる
3. 維持性
セグメントが十分なサイズである
4. 実行性
セグメントに対して実際に販売促進ができる
SASユーザー総会 2012年8月2日
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モデル作成時はこんなことを考えてください
 モデルづくりにおいても80:20の法則
– 結果全体の8割は重要な2割の原因によって決まる・左右される
⇒ 重要な変数を落とさないこと
 何をしたいのかをはっきりさせること
– 何か決めたいのか(例:プロダクトミックス,価格)
– 何かを把握したいのか?(例:優良顧客,セグメンテーション)
– 誰が何のために使うモデルなのか?(例:外部向けか内部向けか)
 分析結果は万能ではないし,真実にどれだけ近づいているかは永遠の疑問
– ですが分析結果を見通す力は必要
– 地道な試行錯誤
– 真の状況にモデルがどれだけ近づいているのか??
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線形モデルvs非線形モデル
回帰分析の結果をみると
説明がしにくい二つのグループが
重なっている
上:線形回帰
右:ニューラルネット
Namatame et al. “Analysis of Contract Price in a B2B Automobile
Auction,” Industrial Engineering & Management Systems, Vol.8,
No.4, pp.201-212 (2009).
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19
当日はいくつか分析例を示します
SASユーザー総会 2012年8月2日
20
現在考えている課題
 分析も個客志向
– それらしい解は確かに出てくるのだけれど,計算実験してみると...
尤度計算
疑似データ
潜在クラス
モデル
 ビッグデータへの対応
– 利用されるデータが変わる可能性
 食卓メニュー記録 → ID付POS+クックパッド
– マーケティング・モデル分析と融和するのだろうか?
 計算機パワーによって左右される? モデルの出番はあるにか?
SASユーザー総会 2012年8月2日
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SASの分析プラットフォーム
 汎用分析環境
– SAS® 9.3
– SAS ® Enterprise Guide
– SAS® Enterprise Miner
 マーケティングに特化したプロダクト
– SAS® Enterprise BI Server
– SAS® Merchandise Intelligence
– SAS® Customer Intelligence
– SAS® Supply Chain Intelligence
SASユーザー総会 2012年8月2日
22
ご清聴ありがとうございました!
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