特集 エンベデッドソリューション2010 組込み市場を統一する次世代アーキテクチャに向け 「UDEOS4/Cortex-M3」を提供 当社は、組込み向けリアルタイムOSとして「UDEOS4/Cortex-M3」を提供しています。検査手法の充 実による高品質の確保と、20年来のITRONへの取り組みの中で培ってきた技術を、高性能・低コスト の32ビットコアアーキテクチャとして注目されているARM Cortex-M3プロセッサに対応させました。今 後は8ビットマイコンからの置き換え需要や国内外のマイコンへの対応など、活性化が期待される組込 み市場への積極的なビジネス展開を進めていきます。 変化する組込みプロセッサへの アプローチ する市場にマッチしたCortex-M3は、今 メッセージバッファ、可変長メモリプール、 後の組込み市場においてデファクトスタン アラームハンドラといった、組込みでよく利 これまで、 ローエンドの組込みシステム ダードになり得るアーキテクチャだと言え 用される機能を追加実装しています (図 の分野では、多くの半導体ベンダが固有 ます。 -1)。 のアーキテクチャを供給してきました。時 8ビットや16ビットの組込み分野では、 リ 他 社 の I T R O N の 多くが 1 社 のツー 代の移り変わりとともに共通性・互換性 アルタイムOSを利用しないアプリケーショ ルだけをサポートしているのに 対し、 に乏しいベンダ固有のアーキテクチャは ンが多く存在します。 そのような領域でリ UDEOS4/Cortex-M3は複数の開発 影を潜めつつあります。各半導体ベンダ アルタイムOSを新規導入する場合には、 環境に対応した点が特長となっていま は自社独自のアーキテクチャを維持する オープンアーキテクチャでありデファクトス す。IARシステムズ(株)の Embedded のが困難になってきており、 コア部分には タンダードになっていて、 リアルタイム性に Workbenchに加え、KEIL社のμVision 性能・実績・コスト面で優れた製品を採用 優れたITRONの採用が見込まれると考え にも対 応しており、今 後は U D E O S 4 / していくという時代の趨勢の中で、 グロー ています。当社のUDEOS4/Cortex-M3 Cortex-M3の無償評価版を両社の評価 バルに展開されるARMアーキテクチャを の提供も、 そのような背景を受けて開発が キットにバンドル提供していく予定です。 採用するケースが増えています。 その中 進められました。 これらの評価キットは1万円前後で購入 することができるため、コンパイラ・デバッ でも、コンパクトなコアサイズが特徴の わけ消費電力とコスト重視のニーズに対 複数の開発環境に 対応 応したプロセッサであり、低コスト・低消費 U D E O S 4 / 電力が要求される組込みアプリケーション Cortex-M3は、 で高いシステム性能を発揮するよう設計 UDEOSシリーズの されています。 中でも、ワンチップ Cortex-M3は32ビットマイコンでありな マイコンを利用した がら1ドル程度で供給可能な製品もあり、 システム向けに開発 8ビットや16ビットマイコンからの置き換え され た 組 込 み 用リ を十分可能なものとします。 これにより、車 アルタイムOSです。 載システム、白物家電、 ネットワーキング機 μITRON4.0仕様の 器、 モータ制御を行うデジタルカメラやプ スタンダードプロファ リンタなど、広範囲な領域での利用が見 イルに加え、自動車 込まれます。 まさに、ITRONがターゲットと 制御用プロファイル、 Cortex-M3は組込み分野において、 とり ガの性能評価やUDEOS4/Cortex-M3 の評価を手軽に行うことが可能となります (図-2)。 UDEOS4/Cortex-M3 μITRON4.0 Standard Profile タスク管理 タスク付属同期 同期・通信 (SEM, FLG, DTQ, MBX) 割り込み管理 メモリプール管理 (MPF) 時間管理 (CYC) システム状態管理 システム構成管理 μITRON4.0 Extended Function 時間管理 (ALM) 拡張同期・通信 (MBF) 図 -1 UDEOS4/Cortex-M3 の機能構成 Wave 2010.5 vol.14 TOSHIBA INFORMATION SYSTEMS(JAPAN)CORPORATION タスク例外処理 メモリプール管理 (MPL) Embedded Solution 2010 う一点挙げられるのがサイズ性能です。 長年の経験とノウハウを 活かした品質とサポート ら多くのラインナップが提供されることが マイクロコントロールユニット(MCU)向け 当社は、20年来に渡りITRONの開発 予想されるため、当社では新規チップのリ に非常にコンパクトな設計となっていま /販売/サポートを行ってきました。過 リースに合わせタイムリーにOSを提供し す。 タスク5つ、 セマフォ、 イベントフラグ、周 去から蓄 積された検 証ノウハウと検 査 ていきます。 期ハンドラを使用したアプリケーションが スイート (検査プログラム・検査データ・ 当社はお客様の製品開発を支援する ROM 6.1KB、 RAM 1.6KBのメモリに収ま 検 査 環 境 )は、現 在では数 万 件におよ ためのサポートも積極的に行っています。 るため、省メモリタイプのチップにおいても ぶ検査項目を整備するまでに至ってい マルチタスクにおける設計ノウハウや省 ます 。U D E O S 4 / メモリへ向けたプログラミングノウハウを UDEOS4/Cortex-M3の特長としても Cortex-M3シリーズは各半導体ベンダか Cortex-M3は 始めとした、多くの経験とITRON開発者と Cortex-M3という新 しての視点から、 アプリケーションに応じ しいアーキテクチャ たメモリ効率のよいタスク設計やサービ とKEILやIARといっ スコールの選定など、 アプリケーション開 た新規の開発環境 発で重要となる上流工程のコンサルテー に対応し、 UDEOSシ ションを行っています。 リーズで培ったノウ Cortex-M3がターゲットとする市場で アプリケーションの領域を圧迫することが ハウと検査スイートにより安定した品質の は常に低コストが求められます。 チップや ありません。 また、 自動車制御用プロファイ 提供に努めています(図-3)。 また、 その膨 開発環境の低価格化が進む中、私たちソ ルの機能を利用することで、複数のタスク 大な検査項目をこなすための検査スイー フトウェアベンダが提供する製品にもこれ 間でスタックを共有することが可能となり、 トは、マルチタスクプログラミングを容易 まで以上の低価格化が望まれています。 RAMサイズの削減に大きく貢献します。 に検査することができる独自の記述フォー 当社では、低価格化に向けた取り組み 一方、速度性能の面では、40MHzと マットと検査を自動化するためのノウハウ とともに長年の経験とサポート力を積極 いうクロックにおいて割り込み起動時間 に基づいています。短期間でより多くの検 的に活かし、 お客様のニーズに応えていき 3.8μ秒、 ディスパッチ処理時間4.6μ秒と 査項目を実施できる環境は、品質を保ち ます。 高速な応答性能を実現しています。 これ つつ新たなアーキテクチャや開発環境へ (エンベデッドプラットフォーム事業部 は低クロックでシステムを動作させること の迅速な対応が可能になります。今後、 図 -2 IAR システムズ ( 左 )とKEIL の開発キット 山田善一) で、 より低消費電力を実現することが可能 であるOSと言えます。 そのほかに、 スタック オーバーフローの検出機能やOSレベルで のイベントトレース機能があります。 スタッ UDEOS4 Series TX49 Spec μITRON4.0 ARM11 クオーバーフローは時としてシステム全体 ARM9 を予測不能な状況に陥れ、システムダウ ンの発生はアプリケーション開発者にとっ て原因の特定が困難なものとなります。 こ れらのデバッグ支援機能は解析が難しい 不具合の解決に非常に効果を発揮し、 お 客様の開発期間の短縮に繋がるものと考 Cortex-M3 UDEOS Series Spec μITRON3.0 TX49 TX39 1997 2000 2003 2006 2009 UDEOS/UDEOS4 Lineup えています。 図 -3 UDEOS シリーズラインナップ TOSHIBA INFORMATION SYSTEMS(JAPAN)CORPORATION Wave 2010.5 vol.14
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