単分子膜 (SAM) 製膜と光リソグラフィー シリコン(Si)基板上に,単分子膜(SAM)を作る実験と,その SAM を真空紫外光(VUV) によってリソグラフィする実験をしています. Yoshio Yagi, Sugimura Laboratory, Department of Materials Science and Engineering, Kyoto University, 2005 背景と目的 実験方法 製膜した SAM を真空紫外光によって分解します.任意にパターンを 作って分解することで,分解した部分に選択的に他の分子を製膜し, 化合物半導体,有機分子デバイスの構築や,バイオチップ等の生体機 能マイクロチップデバイスへの応用が期待されてます. 製膜 ・水素終端化 ・洗浄 水素終端化 ・製膜のメカニズム 熱によって水素がラジカル化し,分子が下の図のように次々とラ 5 % HF 5分 ジカル反応し,膜が形成されていきます.Si の表面が全て分子で 覆われた時点で反応は止まり,膜は単分子膜となります. 熱励起によるラジカル反応 H H H Si Si Si H Heat Si R R H H Si Si 超純水でリンス 40 % NH4F 30 秒,80 C ・製膜 R 製膜装置 製膜する分子には,1ヘキサデセンと1ヘキサデカノー R Si H H Si Si Si H H Si Si Si 水素終端化シリコン Si H ルを用いてます. Si ここでは1ヘキサデセンの製膜について説明します. SAM 製膜前に N2 バブリングを 30 分間しておきます. 加熱し,約 180℃で 2 時間保持します. 接触角が 108 程度になれば,うまく製膜ができているという Silicon substrate 超純水でリンス 温度計 ことです. SAM N2 1- ヘキサデセン ・光リソグラフィ 基板 波長 100∼200nm の紫外線は真空紫外光(VUV)と呼ばれます. 大気中では酸素に吸収されるため伝搬距離が短く,真空中ある 1-hexadecene molecule (CH2=CHC14H29) いは窒素置換雰囲気中で使用する必要があるため,こう呼ばれ ます.VUV 光で分解することをリソグラフィといいます. ホットプレート リソグラフィ エキシマランプ λ= 172 nm 10 mW/cm2 ・マイクロパターニング VUV光 エキシマランプによって,波長 172nm の光を SAM に当て, SAM を分解していきます. フォトマスク SAM にフォトマスクをかぶせ,異なる酸素分圧で VUV を当て Vacuum ます.酸素分圧を 2,200,20000Pa の雰囲気でそれぞれ露光 します. フォトマスク 大気圧は 105Pa なので,酸素分圧は 20000Pa です. O2 → O CO2,H2O 右図がリソグラフィ装置です. SAM SAM SAM 実験結果 シリコン基板 それぞれの酸素分圧で露光し,水滴接触角を測定しました. 1- ヘキサデカノールを各真空度でリソグラフィした結果を下に示 たった部分でのみ SAM が分解されるので,任意のパターンで分解することができます. ります. UV 洗浄後のシリコンの接触角は 0 . 水素終端後のシリコンの接触角は約 86 . 1- ヘキサデセン製膜後の接触角は約 108 . 時間の経過に連れて膜が分解され ているのがわかります. 120 酸素分圧 200Pa ぐらいが最も分解 100 速度が早いのがわかります. 水素終端化や製膜できているかどうかを 調べる方法の一つして,水滴接触角を測 します. 酸素分圧は高すぎても低すぎても 超純水の水滴 いけません.これは酸素が VUV に よってラジカル化して SAM を分 解する一方で,VUV 光を吸収して 接触角 基板 しまうからです. ちょうどいいバランスの酸素分圧 で露光すると,短時間で分解する ことができます. 水滴接触角 [deg.] フォトマスクを通して露光すると,光の当たる部分と当たらない部分ができます.光の当 80 60 2 104 Pa 40 20 0 2 Pa 2 102 Pa 0 200 400 600 800 VUV 露光時間 [sec.] 1000
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