スパイダーマン対地球

空間における空気の流れ
Ⅰ
概要
上、下、左、右、天井、とそれぞれ穴をあけ、立方体に線香の煙を流しそれぞれのちがい
を比較した。
Ⅱ
研究のきっかけ
空間における空気の流れを研究しようと思ったきっかけは学校の校舎には冷房も無いの
に風通しが良く涼しかったときのこと、風通しのよさと建物の間にどんな関係があるのだろ
うと疑問におもったことだった。また、建物と風通しの関係を調べていくことで実際に生活
していくうえで役にたてていきたいと思いこの研究をやることにした。
Ⅲ
1
実験方法
二面を透明にし(一面は光の確保、もう一面は観察するため)、四面を黒く塗った立方体
(30.2×30.2cm)に、長方形の穴(3.00×21.0cm)を「上」、「下」、「横」、
「天井」の場合と分けてあけておく。
2
1の立方体を室内に置き同条件の下、 「上」、
「下」
、
「横」
、
「天井」、(下図参考)のもの
に線香を穴付近にもっていき煙をいれ、煙のうごきを観察、記録する。(私は室温25度の冷
房の入った部屋で実験を行った。)
「上」
Ⅳ
「下」
「横」
「天井」
予想
「上」・・・煙は上部のみで移動を行う。よって空気は循環しない。
「下」・・・煙は箱の中では円を描くように循環するが、空気が外部に出るのは困難。
「横」・・・穴に対している角のほうの空間には煙はあまりいかない。
「天井」・・・風の流れが全体をまわり、風通しが良い。
1
Ⅴ
1
実験結果
上に穴をあけた場合
➜
➜
空気は天井を伝いかべに沿って下降した。
穴の開いている側の下部、つまり図でいう左下には線香の煙はあまりまわってこなかった。
2
下に穴をあけた場合
➜
➜
煙はかべを伝い上昇し天井のかべを伝い下降し、穴の外へ出ていった。
全体的にみて煙の回転が良かった。
3
横に穴をあけた場合
➜
➜
煙は壁を伝い外へ出て行った。
箱の下部にあまり煙は行かなかった。
4
天井に穴をあけた場合
➜
➜
煙はあまり下へ降りていかず上部で煙がまわっていた。
2
Ⅵ
考察
私が実験をした場所においては天井の穴をつける空間をつくることは向いていないが、横
穴をつくることは向いていると思われる。
Ⅶ
今回の実験の課題・反省点
今後の課題を考えるためインターネットを使ったところ下図のものを見つけた。焼肉の煙
をうまく散らすシステムである。
この資料を参考にしたところ
まず今回一番の反省点は空気の温度の違いで空気の流れは異なることより温度変化によ
る違いの実験を行わなかったので、温度変えたら同じ条件下でどのような変化が生じるのか。
穴の面積、形を変えたら空気の流れはどうなるか、又はこの形自体を変えたらどうなるか、
また窓の数を増やしたり方向を変えるとどうなるか。
風速を変えることで空間内の空気の流れがどう変化するか。
Ⅷ
感想
空気の流れを研究する事にしたはいいが、それ以前に空気の流れをどう観察しようかとい
う問題に直面し、観察にいたるまでが長かったため、予想以上に難しい研究であった。そし
て観察することになったらなったで実験する場所の空気の温度、流れなど注意しなくてはな
らない点に気づかずに実験を進めてしまったため実験としては良い実験にならなかったの
が心残りだった。また実際に建物の設計を考えるときには風通しやその他にも構造をはじめ
デザイン、対強制も同時に考えなければならない建築士の苦労、仕事への充実感のようなも
のを少なくはあるが、感じ取ることができた。
引用▶知恵の輪ニッポン
http//www.co-ip.jp/02seeds_flash/vol13/index1.asp
3
地震と建築
Ⅰ
概要
本やインターネットを使って、過去に起こった地震の建物の被害の様子や耐震基準の変化。
そして、地震の対策をどうすべきかを調べる。
Ⅱ
はじめに
建築にはデザインや構造、他にも様々な研究分野があり幅が広いものです。その中で地震
と建物の構造との関係について研究したかというと、日本は地震国であり、以前には阪神・
淡路大震災や新潟中越地震などが起こり、大きな被害もでています。また今現在、宮城県沖
地震や東海沖地震で大地震が発生する可能性も高くなってきているため、人々は被害を避け
られる安全な空間を求め、関心を持つようになって来ていると思います。このように人々の
意識も変わり、そして様々な耐震技術が開発されてきたことや、耐震基準があげられたこと
によって、どのような変化が建物に起こってきたかを知りたいと思い、この内容で研究する
ことにしました。
Ⅲ
活動日程
前橋工科大訪問
5月
データー収集
6月
データー収集
夏休み
データ収集・レポート作成の準備
9月
レポート作成
Ⅳ
4月4日(火)
研究テーマを決定
1
研究内容
地震とは
・ 地震には活動期と静穏期を持っていて、これがくりかえされている。
・ 地震には5つのタイプがある
(1)陸側のプレート内部で発生するタイプ(活断層はこれに含まれる)
→震源が地表に近いために、マグニチュードが小さいわりには局所的な大きな被害
が出てしまう可能性がある
(2)陸側のプレートとフィリピン海プレートの境界で発生するタイプ
→巨大地震を引き起こす可能性がある
(3)フィリピン海プレートの内部で発生するタイプ
(4)フィリピン海プレートと太平洋プレートとの境界で発生するタイプ
(5)太平洋プレートの内部がずれ動いて発生するタイプ
いくつもの波が混ざり合っているものであり、建物には水平に作用するもので、震
度1以上の地震は年間1000回を超える。(震度1:約 1200 回
回 震度3:約 200 回
震度 2:約 550
震度4:約 90 回)を越えます。また、地震の波の中のどれか
1つが建物の固有周期と一致してしまうと、共振が起こり建物はとても揺れてしまい、
時には全壊してしまうこともある。
過去には阪神・淡路大震災(1995 年 M7.2)が起こっており、震災死亡要因の 80%
は建物の倒壊や家具の転倒による圧死、窒息死、圧座損傷。15%が焼死という大きな
犠牲を引き起こすこともある恐ろしいものです。
ちなみに
震度とは:ある場所の揺れの大きさを表す単位
マグニチュードとは:地震のエネルギーの大きさを表す値
(M7以上 大地震
2
M5以上7未満 中地震
M3以上5未満 小地震)
阪神・淡路大震災の被害について
←古い住宅は1、2階とも崩れる全壊
←比較的新しい建物は1階だけがつ
ぶれ、2階部分が1階部分を押しつぶ
す感じであった
建物が壊れた主な原因
・壁の量が少ない
・強い壁のホゾ抜けが起こった
・壁の配置バランスが悪い
・腐朽や蟻害が見られた
・瓦葺き屋根で重量が重かった(伝統的な昔の家に多い)
倒れなかった家
・1981年以降に立てられた家※
・耐力壁、バランスが適切で、施工も適切な木造住宅
・リーバイフォー、プレハブ住宅など構造計算が必要なになる3階建て住宅
※1981年以降に建てられた家は1978年に起こった宮城県沖地震(マグニチュー
ド7.8)を受け、壁量の再強化をすすめる耐震基準へと改正された ため、この年以降に
建てられたものと、建てられていないものとで被害の度合いは違ってくる。
建築基準法の改正と規定の変化
基礎
1971年
壁の量
筋交い
必要壁量の
筋交いプレートを
規定
使う
壁の配置バランス
コンクリート造
または鉄筋コン
クリート造
1981年
2000年
3
鉄筋入りの基礎
地耐力に応じた
サイズによっての
壁の配置バランス
基礎構造の規定
留める金物の指定
に関して初の規定
これからの被害予想
日本は新期造山帯に属しており、また左図見
てもわかるように活断層が数多くあります。
そのため、日本では地震が多く発生している
のです。
今現在地震が発生する確率の高い地震は、
・ 宮城県沖地震
(M7.530年以内の発生率99%)
・ 東海沖地震
(M8.5前後発生率50∼69%)
などがあります。
また現在
1980 年までに建てられた旧耐震基準の住宅
約 1,154 万戸(建物全体の 47.1%)
1981∼1999
新耐震基準
約 1,073 万戸(43.8%)
2000 年以降
新・新耐震基準
約 172 万戸
(7%)
となっており、特に1980年までに建てられたものは震度7以上の地震では倒壊の危
険性大となっている。
そして今注目されている首都直下型地震。死者は 4000 人以上と予想されており、また
高層ビルのガラスなどの落下物や地下鉄などのために、道路の陥没が起こり、これによる
被害が大きくなると考えられている。
4
耐震技術について
(1)耐震(下図の左図)
通常の耐震建物のことで、杭から建物までガッチリと地盤に固定されている。揺れ
に対してひたすら耐える構造のため、振動がそのまま伝わり、建物への負担が大きく、
地震が重なれば耐力が落ちていってしまう。
耐震建築
免震建築
(2)免震(上図の右図)
地盤と建物の間にゴム等の振動絶縁装置を入れ、震動の衝撃を装置で吸収し、地震
のもつエネルギーを建物に伝わりにくくする。そのため、通常の3分の1から 5分の
1の揺れですみます。また、建物内の家具が倒れずに済み、損害を受けず、阪神・淡
路大震災を受けて需要が増えてきている。
(3)制震
地震時に建物の特殊なダンパーなどで地震のエネルギーを吸収することで、建物の
揺れを減らすもの。損傷を受けるのは吸収部材だけなので、それを交換すれば良いだ
けである。
Ⅴ
耐震
免震
制震
建物損傷
△少
◎無
○少
揺れへの衝撃度
△有
◎無
○少
あらゆる地盤への対応度
◎適
×不適
◎適
建物周辺の危険度
◎無
×有
◎無
今後の課題
倒れる恐れのある建物をどう耐震補強していくかが問題になってきている。
対処としては
・筋交いやブレースを入れる
・免震や制震などの耐震技術を利用する
・鉄筋コンクリート構造の建物には炭素の繊維を柱に加える
などがあるが、耐震技術は上の表からもわかるように、条件に合ったものを使わなければ
ならない。家を建てる際には地盤への補強、屋根の重さ、鉄筋の入ったしっかりとした基礎、
をよく考慮し、不自然な力のかかりやすい曲がりの多い構造は避けた方がよい。
また地震発生前にしておいた方がいいこととして、地震は突然起こるため、不安や恐怖は
あるもの。だから。あらかじめ地震への知識を身につけ、災難時に備えておくことが必要で
ある。
Ⅵ
感想
私は建築系に興味があり、将来このような仕事につきたいと思ったので個人研究というか
たちで研究をすることにした。なので、自分の知りたいことを調べて知ることができ、進路
を決定する上でとてもプラスになった。建築は専門的な知識が必要で難しかったが、今もこ
れからも問題になってくる地震と建築の耐震について知ることができたのでよかったと思
う。
Ⅶ
参考資料等
http://www.sanwagr.co.jp/menshin_02.html
http://www.starts.co.jp/Syncs/seismic/seismic.asp
地震でも安全な家に住みたい
日本木造住宅耐震補強事業者共同組合
巨大地震と大規模構造物
座間信作
阪神大震災に見る
坂本功
木造住宅
五重塔
無敵建築
Ⅰ
概要
日本を代表する歴史的建造物である五重塔がこの地震大国日本で今もなおその美しさを
保つことができているのはなぜか。インターネット、情報番組、本などの様々な資料を基に
調べた。
Ⅱ
はじめに
1995 年、大惨事をもたらした阪神淡路大震災では、死者 6300 人負傷者 4 万 3 千人、全
半壊家屋 20 万 9 千。神戸市内では高速道路の高架橋やビルが倒壊した。しかし、そんな中、
如意寺、八幡神社などの五重塔はほとんど無傷でこのマグニチュード 7.3 の地震を耐え抜い
た。考えてみると「地震で歴史的な五重塔が倒壊した」という話は聞いたことがない。高層
で不安定に見える五重塔がなぜ倒れないのか。五重塔には現代の建築物にはない耐震の秘密
が隠されているのではないかと考え、そのなぞに迫ってみた。
Ⅲ
活動日程
3 月
建築に関する研究を行うにあたって協力をいただける機関を調べお願いのメールを送
った。
4月
前橋工科大学建築工学科学部長河西さんを訪ね、研究テーマの決定。
E・Sの時間にインターネット、本、新聞、テレビ番組などを通してデータを
収集
Ⅳ
5月
データ収集
6月
データ収集
7月
集めたデータ、自分の考えをレポートにまとめる。
五重塔とは?
塔はストゥーパともいわれ、釈尊の遺骨を奉安するためのものであり、仏教寺院において
最も重要な建物とされている。五重塔は古いものでは 1300 年以上の歴史を持つものがある。
例えば世界文化遺産にも登録されている奈良の法隆寺は 1300 年以上の長い歴史の中で震度
6以上の地震を 3 回、震度 5 以上のものであれば 6 回も経験している。他にも古くからある
五重塔としては、醍醐寺、厳島神社、興福寺、仁和寺、東寺、日光などがある。日本には歴
史上 500 以上の塔があり、火事によってなくなったり建て替えられたりした塔は数多くあっ
ても、地震によって建て倒壊したものは数少ない。高さは法隆寺の五重塔では 31.5m、日
本で最も高いものでは 56mの高さがあり高層であるといえる。
●五重塔のつくり&特徴●
*特徴*
①各層の独立
五重塔は十二本の側柱、四本の四天柱が各層ごとに切られ、積み木のように重なってい
る構造である。
②心柱
周囲の柱やはりに接しておらず塔の重さを支えていない
③組物
小さな木材が組み合わされたもので五重塔のひさしの部分にそれを支えるような形でつ
いている。以下がその例。
Ⅴ
1
地震に強い理由
すべて木でできていて釘を使っていない
釘を打つとそこから木が傷んでしまうために
強度が弱くなってしまう。釘を使わないことで強
度が増す。また、木にはコンクリートと違って柔
軟性がある。
2
心柱の役割
周囲の柱やはりに接しておらず塔の重さを支
えていない。強くゆれた際、積み重なった各層がはずれないようにする「かんぬき」の役割
をしているという説がある。
3
組物の役割
地震の揺れを受け取ると軋んだり摩擦を起こして揺れのエネルギーを吸収したり熱に変
えてブレーキの役割をする。下部の力が分散され上部に伝わりにくくなる。組物は単なる
飾りではない。右の図が力の伝わり方を示した図である。
4
高層である
地震にはその地震固有の振動の周期が存在する。また、建物にもその建物の固有振動の
周期が存在する。このふたつの周期が同じである時建物は地震の際に共振し大きく揺れる。
大概の地震は周期が約 0.5 秒であるのに対し、高層である五重塔や高いビルは周期が1∼
2秒であるので周期の違いから揺れが打ち消される。
5
やじろべい
五重塔の屋根の部分には重厚なかわらが使われている。
左の写真を見てもわかるように、五重塔の屋根は少し先が
上に反っていて独特な形をしている。屋根は軽い方がいい
ような感じがするが実はこの屋根の重み、形がやじろべいのような役割を果たしバランス
をとっているという説もある。
Ⅵ
科学的に解明
●薬師寺の五重塔●
薬師寺には 710 年に建てられた古い東塔、1981 年に建て替えられた、新しい西塔の二つ
がある。この二つの塔に計測器をつけて調査を行ったところ、心柱が傷つき割れて添え木
の施されている古い東塔は風で塔が揺れる際にも傷より上が大きく揺れたのに対し、新し
い西塔は上部下部とも揺れ方に違いはあまり見られ
なかった。このことからも塔の揺れ方に心柱が大き
な影響を与えている事がわかる。
●防災科学研究所による実験●
2004 年、12 月。つくば市にある防災科学研究所
で五重塔の五分の一サイズ模型を使った実験が行わ
れた。宮大工が 2 年がかりでつくった7mの五重塔
に 100 個近い計測器をつけ、地震の揺れを人工的に
あたえた。その結果五重塔がくの字に揺れているこ
とが判明した。今までにも地
震で揺れる五重塔を目撃し
た宮大工の証言などからく
の字に揺れることは知られ
てはいたがこの実験で科学
的に証明された。他にも塔の
中心を通る心柱が、塔の変形
や揺れを抑制する効果が見
られた。心柱は、塔本体とは
逆向きに動いて変形や揺れ
を抑制している。右の新聞記
事はその実験を取り上げた
ものである。
★ 「く」の字がたにゆれることのメリット
↑2006 年 4 月 15 日(土曜日) 毎日新聞
重心があまり動かず安定していて倒れにくい
重心が動いてしまい簡単に倒れる
この心柱の動き、働きが、五重塔が地震に強い理由だと考えられている。
Ⅶ
現在
近代、現代の建築に生かされる五重塔のメカニズム
霞ヶ関ビル
耐震設計として鋼材を組み上げた「柔構造」(五重の塔のような地震の時に
は柱がゆらゆらと揺れ、地震の力があちこちに分散する構造)を採用して い
る。柳のように揺れる建物をイメージして作られた。
丸ビル
ビルの中心を貫く鋼鉄製の耐震シャフト、これが五重塔の心柱と同じ働きを
している。
日本橋
新開発ダンパーが 100 個近く使われている。これは、五重塔の組み物と同じ
三井タワー
ように地震のエネルギーを吸収する。
このように、五重塔の建築技術は現在様々な高層建築にいかされている。まだまだ解明さ
れていない部分も多い五重塔の耐震構造にはこれから先もっといろいろな発見が期待され
る。
Ⅷ
感想
今回の個人研究を通して私は、千年以上も昔の建築技術から学べる事の多さ、古代日本の
建築技術の高さに感動しました。昔の技術が今の発達した科学に敵うはずがないと思ってい
ましたが、今の科学技術を持ってしても五重塔が地震に強い秘密はまだすべては解明されて
いません。過去から学べる事が沢山あるという事に気付くことができました。これからも研
究は進みもっといろいろなことがわかってくるのではないかと期待しています。高層ビルの
建築に、五重塔の耐震技術が活かされている事にも驚きました。最新の技術ばかりに目を向
けるだけではなく、昔の技術からも学ぶ。広い視野を持つ研究者をめざしたいです。
Ⅸ
参考資料等
参考映像…テレビ朝日「五重塔の制震メカニズム」
NHKスペシャル、世界遺産「災害列島もなぜ厳島神社被害に遭わないか、地
震で倒れない五重塔」
参考サイト…http://www.seizuyoushiya.com/gojyuunotou.htm
http://www.sukima.com/words/kumimono/kumimono.htm
http://www.seizuyoushiya.com/gojyuunoyou.htm
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/336/index.htm
http://www.hm.aitai.ne.jp/^nokada/pagoda/4_ctrclmn/Pagod_41.html
参考文献…「五重塔はなぜ倒れないか」上田篤
行け!紙飛行機!!がんばれ!紙飛行機!!
地球の未来は君たちの翼に!
Ⅰ
研究の概要
紙飛行機の飛び方について、実際に飛ばし、その結果から考察する。
Ⅱ
はじめに
子供時代に誰でも一度は飛ばしたことのある、紙飛行機。子供ながらにどうやったら遠く
まで飛ばせるかを考えたものでした。
いまだ、「飛ぶ」という原理が明らかにされていないながらも、飛行機は今や日常に不
可欠なものとなっています。今回私たちが紙飛行機を研究テーマに選んだのは、このような
事実から、子供の頃を思い出し、そんな紙飛行機に対して抱いていた、魅力や夢を科学的側
面から捉えてみようと思ったからです。
Ⅲ
方法
① 飛行機が飛ぶ原理について調べる。
② 実際に紙飛行機を折り、飛ばす力の強さを変える。
③ 角度を変える。
④ 重心を前後左右にずらす。
⑤ これらの結果から どのような条件が一番よく飛ぶかを調べ、考察する。
Ⅳ
活動日程
・五月、飛ぶ原理や、飛行機などについて調べ、実験計画を練り、発射台を作った。
・六月∼七月前半、実際に飛ばし、記録をとった。
・七月以降、考察をし、レポートをまとめた。
Ⅴ
仮説
②物理的に力が強いほど、物体は遠くまで飛ぶと考えられるが、紙飛行機の場合、質量が
小さく、面積が広いため、力がつよければつよいほど空気抵抗によりうまく飛ばなくなると
考えられる。
③物理的に物体が最も遠くまで飛ぶ角度は、45 度だと考えられるが、滑空時の空気の流
れを考えた場合、角度は小さくなると考えられる。
④重心をずらすことによって、旋回や、下降上昇のしかたに違いが見られるのではないか。
具体的に、重心を前に置いた場合、機体はすぐに降下する。
後方においた場合、機体は上昇しすぎてしまう。
また左右に置いた場合重心を置いたほうに旋回するのではないか。
■飛ぶ原理について
飛行機はなぜ飛ぶのか。航空工学の教科書に従えば、
「ベルヌーイの定理」で説明できる。
飛行機が飛んでいるときは、飛行機の上部の気流は、下部の気流よりも速い速度で流れて
いる。この定理によると、気流の速度が速いところは、圧力が低く負圧となる。だから翼
の下面に比べ上面が負圧となり、揚力によって翼が浮くのだという。
しかし、フェルミ研究所の物理学者デービット・アンダーソンは、流体力学による解説
を一蹴する。
デービット・アンダーソンによると、ベルヌーイの定理で飛行原理を説明するには、問
題が2つあるという。
まず、ベルヌーイの定理では翼の形が問題になるが、形は揚力を決める上で最も関係の
無いことである。もし翼の形が大事だとしたら、逆さ飛行は出来ないはずだ。第二に、ベ
ルヌーイの定理では、なぜ翼の上面の気流が速く流れるのかを説明していない。
そこでデービット・アンダーソンは、ニュートンの法則で飛行原理を説明している。コ
アンダ効果と呼ばれるものだ。コアンダ効果とは、空気といった粘性の流体は流れている
物体の表面に粘りつく性質があることをさす。だから、曲面を描く翼の上面を空気が流れ
ると、側面をなぞって下向きに向かう。空気が下に向かうと翼が空気を押し下げ、その反
作用で空気が翼を押し上げる。
翼の形は揚力には無関係だというのが、デービット・アンダーソンの考えだ。大事なの
は気流が翼に当たるときの角度である迎え角である。迎え角が増えたり、速く飛んだりす
ると、より多くの空気が下に押され揚力が増すという。
確かに、ベルヌーイの定理だと、翼の形状が大きく関わってくるため、紙飛行機がなぜ
飛ぶのかについては説明が出来ないのである。
しかしこの二つの原理については、まだ決定的な理論とはなっておらず、現在も論争中
とのことである。
Ⅵ
実験方法
及び
実験材料
〇A4 コピー用紙
〇クリップ
〇ゴム
〇段ボール箱
■実験
紙飛行機を折り、自分たちの手で飛ばして飛距離を測定する。また、角度を変えて飛ば
してみる。
しかし、人の手では飛ばす強さ、角度が一定ではな
いためうまく飛距離を測ることが出来なかったため、
発射台を作成した。
発射台作成後...
①
角度と飛距離の関係を調べるために、発射台の角度
を十三通りにして飛ばしてみた。
1 つの角度につき、四回の実験を行った。距離の計測方
法は、ブロックに分けて、どのブロックに落ちたかでまと
めた。
②
また、力の強さと、飛距離を調べるために、二通り
の力の強さ(2.4N・3.2N)で実験を行った。
ここで使った紙飛行機はセミ飛行機という形の
ものである。
■セミ飛行機の作り方。
真ん中で折り目をつ
けます。
機首を作ります。
更にとがらせます。
ここで紙を裏返しにして、
機首を折り返します。折る場所は一番最初に
直角二等辺三角形を折ったところ。そこが厚く
なっています。そのさかいめで折ります。白い
紙が見える方を外側にして半分に折ります。
翼のへりが胴体の下とそろうようにして翼を作ります。
形をととのえて、できあがり。
この飛行機は、機首が厚く安定した飛び方をするのが特徴です。
Ⅶ
実験結果
②発射台の角度と飛距離の結果は以下の図のようになった。
上図の表横の数字をnとし、左図のように角度θを
定めた。
cosθ=n/28
発射の位置は赤い点で示してある。
③紙飛行機を飛ばす強さと飛距離との関係は以下の図のようになった。
④クリップを用い、重心を左右にずらしてみたが、クリップをつけている場合といない場
合では、違いは見られなかった。
Ⅷ
考察
これらの実験結果から、物体は力は強ければ強いほど、また、角度は45度が最も遠くま
で飛ぶと考えられるが、そのような結果にはならなかった。
その理由は、紙飛行機の形状、すなわち、前後からは空気の抵抗を受けにくく、上下から、
受けやすいといった紙飛行機独特の構造にあると考えられる。紙飛行機をよく観察して見る
と、前から見ると、面積がほとんど無いことがわかるが、上下からの観察すると、面積はそ
の何十倍もあるのだ。
まず角度。物体の斜方投射では空気の抵抗が考えられていない。紙飛行機が飛ぶのは空気
の流れと密接な関係があることも、事前の調べでわかっていたので、紙飛行機が空気から何
らかの力を受けていたと考えられる。
また、角度を上げれば上げるほど、最高点に達した後、機体の後方から、また戻ってくる
ように空中を滑り落ちてくることが観察された。これは、最高点で一度停止した飛行機を後
ろに引っ張る何らかの力が働いていたと考えられる。
また、力であるが、結果としては、力が強ければ強いほど、遠くまで飛んだという結果に
なっている。しかし、実験中、ちゃんと飛ぶのは少なかった。これは発射する力が強ければ
強いほど、発射時の機体がずれが大きくなり、うまく気流を作れなくなったのではないかと
推測できる。
Ⅸ
今後の課題
・ 同じ条件下で飛行機の飛び方にあまりばらつきが出ないように、発射台を厳密な発射の出
来る発射台に改良する。
・ 紙飛行機の飛び方と重心について考える。
・ セミ飛行機以外の型でも、同様の実験を行い、型によっても違いがあるのか考察する。
Ⅹ
感想
なぜ紙飛行機は飛ぶのだろうか、という疑問は幼少時よ
りずっと持ち続けていた。空を飛ぶということについて、
飛行機はいつか墜落してしまうのではないか、などの不安
定さや怖さを感じていた面もあったのと同時に、空を飛ん
でみたいと夢を見ていた。そんな思いが私にこのテーマを
選択させたのだと思う。今回の実験では、飛ぶ原理という
核心には時間などの関係上迫れなかったのが残念である
が、原理の理解は深まったように思う。
今回の研究で、実験の難しさを改めて実感し、精密な実験をし、正確な結果を得ることに
は多大な努力、失敗が必要なのだということを学んだ。ほんの小さいことにも全力で取り組
んできた人たちがいるからこそ、今の科学があり、今の私たちの生活があるんだということ
を理解し、将来科学に携わっていきたいという思いを強くした。この経験は大切にしていき
たいと思う。
この研究は、すごく楽しくてそれと同じくらい
難しいものだった。私はまともに紙飛行機を折る
ことが出来なかったのでインターネットで紙飛
行機の種類や折り方を調べたが、よく飛ぶもの、
旋回するもの、速いものなど色々あって、高校生
にもなってすごくはしゃいでしまった。しかし研
究するとなると、皆同じ条件で飛ばすのは難しく、
思ったような結果は得られなかったりして試行
錯誤の繰り返しだった。結局、一番興味のあった飛ぶ原理までたどり着けなかったのが非常
に残念だ。今回の研究で実験・研究の難しさ、試行錯誤することの大切さ・面白さを実感す
ることが出来た。非常に充実した貴重な経験になったと思う。この経験を今後も忘れずに科
学を楽しみたいと思う。
参考資料
飛行機はなぜ飛ぶのか−「ベルヌーイの定理」説に挑む
http://hitomix.com/taruta/paperplane/bernoulli.html
ソーラークッカー
Ⅰ
はじめに
私がソーラークッカーと出会ったのは昨年の1月、文部科学省主催で行われたサイエンス
キャンプでのことだった。ガスが要らないので、アジアをはじめとした発展途上国で利用さ
れ始めているのだという。そんな価値ある装置を自分なりに改良して最終的にはオリジナル
装置を作成し、海外援助や災害時に役立てることを目標に実験を行った。
Ⅱ
日程
4月
計画
5月・6月
ソーラークッカーの製作
6月中旬∼
試験的な実験・考察
7月26日・30日・8月1日
天候に恵まれ本格的な実験決行
8月3日∼
Ⅲ
レポート・全国大会に向けての資料作り
操作
今回は鳥居式ソーラークッカーを基本とした。
(左図)
基本型に加え、鍋に反射光がより多く当たるように設計したドー
ム型、4枚のシートを張り合わせて日光が当たる面積を増やした大
型の計3台のクッカーを作り、比較を行った。
①
3台のクッカーの比較。
黒く塗装した鍋に200ml の水を注ぎ、クッ
カーにセットする。時間の経過に伴う温度変
化を観察する。
②
予備調査でフライパン温度が何度まで上昇する
かを調べる。基本形にフライパンをセットし、
ウズラの卵を焼いて経過を見る。
←(左写真)ウズラの卵を入れた様子
(右写真)温度上昇の予備調査
実験① 7月26日(水)快晴 雲量11回目気温 26℃
2回目気温 33℃
基本形、ドーム型、大型の3台のクッカーの比較。黒い鍋に200ml
の水を注ぎ、熱した。
基本形と大型の比較。
大型は基本形を縦横ともに2倍し
↑3種のソーラークッカー
たもの。
ドーム型。
基本形に太陽がより反射するようにドーム型に調整した
反射板をつけたもの。
実験②
8月1日(月) 晴れ 雲量5
気温29℃
基本形にフライパンをセットし、ウズラの卵を焼いて経過を見る。
***使用した器具***
・100円ショップの鍋とフライパン
・
ホームセンターで売っているキッチン用の油はね防止シート
(敷くものと立てるものの2種)
・黒いスプレー(つやなし)
・デジタルの温度計
・メスシリンダー
油はね防止シートの敷くタイプのものを鳥居式ソーラークッカーに組み立てた。
図面は web ページ『ソーラークッキング』
http://www.marv.mediatti.net/%7ey-torii/
の「ソーラークッカーの作り方」を参照した。
Ⅳ
実験結果
実験①、実験②の温度変化については別紙のグラフ参照
実験②
目玉焼きが完成!
安全に食べるにはまだ改良が必要と思われますが、一応
の目標である目玉焼きは出来ました。
Ⅴ
考察
1
実験①
ノーマル型は日光が当たる面積は少ないが、風によってクッカーの向きが変わったりし
ないので時間帯に関係なく、安定した温度上昇が得られた。
ドーム型は太陽高度が高くなるにつれて上昇勾配がゆ
るくなった。これは、上に取り付けたドーム部分が影に
なったためと考えられる。
大型は風の抵抗が大きく、向きがすぐ変わっってしま
うので、午後は補強した。それにより補強前よりも顕著
な上昇が見られた。
実験を行った7月26日はその前日までずっと雨天が
↑ドーム型を上から見た写真
続いたために、実験場所の石畳が湿っていた。そのため
気化熱や異常に熱い地熱の影響も受けていると考えられ
る。
2
実験②
家庭で作るような目玉焼きにするには変遷前の白身の乾燥を防ぐために急な温度上昇が
必要であると考えられる。また一般に黄身のほうが白身よりも低い温度で凝固するが黄身
が半熟なのは一番熱いフライパンの表面と黄身の間に白身があって熱の伝導を阻害してい
るためであると考えられる。
Ⅵ
感想
今回は初夏の日照不足により、改良する余裕もないまま終わってしまったのが残念だった。
しかし、もっと改良を加えれば卵もしっかり調理でき、ほかの料理も出来るという確信が持
てた。これからもオリジナルクッカーを目指して実験を続けていきたい。
この実験を通して、自然エネルギーの大切さ、偉大さを感じ、日常生活においてもエネル
ギーを有効に活用しなければならないと感じた。実験中、校内の生徒や先生方が自然エネル
ギーに持ってくれたようだった。この私の実験で1人でも多くの人が自然エネルギーの有効
性に気づき、積極的に考えるようになってくれれば嬉しいと思う。
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
0
温度(℃)
4.30
7.45
10.30
15.00
ノーマル
23.00
ドーム
32.15
大型
38.00
46.30
PET 黒
42.00
実験① 三種比較 1回目
PET 透明
51.15
56.00
60.30
76.30
98.00
126.00
時間(分)
別紙
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
0
温度(℃)
3.00
9.30
ドーム
6.00
ノーマル
大型
13.00
PET 黒
20.00
実験① 三種比較 2回目
PET 透明
30.00
40.00
55.00
75.00 時間(分)
別紙
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
120.0
15.30
温度(℃)
16.20
18.00
18.20
20.00
20.44
実験② フライパンの温度変化
22.20
26.00
28.40
29.40
時間(分)
温度
別紙
Ⅰ
テーマ
何故シロツメクサには四ツ葉・五ツ葉ナドナドが出来るかを調べる。
Ⅱ
概要
1 校内の何処にシロツメクサが(有る/無い)かを調べ、その場所の環境を調べる。
2
そのシロツメクサの中に、四ツ葉・五ツ葉∼が有るかを調べる。
3
いくつかの株を鉢に植え替え、条件を変えて育てる。
Ⅲ
きっかけぇー
シロツメクサが沢山群生しているのを見つけると、ついつい四ツ葉を探してしまう人が多
いだろう。自分もその中の一人だ。あの四ツ葉を見つけた時の幸せ!その感動を人工的に生
み出せないか。そもそも、何故四ツ葉とかが出来るのだろうか。と思い、テーマに選んだ。
Ⅳ 使用するシロツメクサについて
別名・クローバー。ヨーロッパ原産の帰化植物。江戸時代にオランダからガラス器が送ら
れてきたときに、壊れないようにこの植物を詰めたところから、この名が付いたらしい。そ
の時のものが発芽して広まったという説や、食用として輸入したモノが野生化したという説
がある。薬用効果アリ。通常は三枚だが、突然変異で四枚とかになるものもある。だが、自
然界では十万分の一でしか発見できないらしい。突然変異の原因としては遺伝的なものが殆
どだが、土壌・水分の影響・光によって変化するらしい。あと6月∼7月にかけてが突然変
異体が発生しやすいらしい。(実験終了後のレポート作成段階になって知った。)その他に
も沢山踏まれて、成長点が傷ついた為。とか、栄養が豊富だから。等々説は沢山。
Ⅴ 活動日程
4月
資料集め
校内のシロツメクサの実体調査
5月
シロツメクサの植え替え
6月
実験スタート。条件を変えて育成
7月∼
レポート作成
Ⅵ
1
実験方法
第一段階。まずは校内の何処にシロツメクサが生息しているかを調べる。結果↓
大体こんな感じ∼
その中からシロツメクサが沢山生えていて、授業中に探していても他のクラスの授業(体
育とか)の邪魔にならない所(つまり弓道場周辺)の四ツ葉等の出現数を地道に数える。
結果↓
※数字が付いてないところは三ツ葉のみ
番号
四ツ葉の本数
五ツ葉の本数
①
4
0
②
5
0
③
4
0
④
4
0
⑤
1
0
⑥
1
0
⑦
4
0
⑧
19
0
⑨
2
1
⑩
1
0
⑪
5
0
⑫
9
2
⑬
4
0
⑭
1
0
⑮
1
0
⑯
4
0
⑰
2
0
⑱
5
0
⑲
3
0
⑳
5
0
21
19
0
22
2
0
という結果になった。
このことと、背が高いシロツメクサの中にも四ツ葉があったことから、人に沢山踏まれ
たからと言って、四ツ葉が必ずしも出来ると言う訳ではないということが分かった。それ
と、株ごとに随分突然変異体出現数が異なったので、突然変異体が出来やすい株と出来に
くい株があるのだと考えられる。
2
第二段階。条件を変えて育ててみよう!!
鉢に植え替えられそうな大きさの株を適当に計 12 鉢植え替える。内分け↓
2鉢
普通に育てる。何もしない。
2鉢
根を重りで刺激。・・・・・・・・・・・・・★
3鉢
葉を触って刺激。・・・・・・・・・・・・・★
3鉢
茎を刺激。・・・・・・・・・・・・・・・・☆
2鉢
栄養を他の鉢より与える。
★・・・四ツ葉の出来る原因と考えられる一つに、人に踏まれて。というのがあり、そ
の刺激は葉で受け取られているのか、それとも根で受け取られているのかを調べるため。
☆・・・対・四ツ葉になるのは成長点が傷付いたから説用。
育ててみるにも、全然変化せず。そんな中、何もしていない鉢の、元から四ツ葉が多か
ったヤツの中に六ツ葉が出現!!少々凹む。そして、あまりにも何も起きないので、人為
的に若い黄緑色の葉にいろいろな傷を付けてみた。
(対・四ツ葉出現原因は若い葉のころに
傷が付いた為説。)結果↓
見たとおり・四ツ葉にはほど遠い、変な形になった。葉が傷ついたときに四ツ葉になる
ための物質が有るとするならば・この段階ではもう既に、その分泌はストップしていると
考えられる。そこで、もっと早い段階の葉に傷を付けてみることにした。
結果。葉がぐにゃぐにゃになっただけで、三ツ葉のままだった。
校庭から採集してきたシロツメクサの中に、茎がくっついて、結果として六ツ葉となっ
ているものがあった。だから、二本の若い葉の茎の側面を傷つけて、縛ってくっつくかど
うかも調べてみた。が、実験の結果は失敗。茎と茎はくっつきませんでした。
Ⅶ
感想
四ツ葉の不思議に魅せられて、安易な気持ちで取り組むことに決めたこのテーマ。しかし、
実際は何から始めたらよいのかイマイチ分からなかったし、いろんなことを自分で考えなけ
ればならなかった。そして最終的には当初目的としていた実験の結果が出ないという大変困
った事態に陥った。一人で全て行うことの大変さを大変実感した。初めのころは、グループ
研究にすれば良かったと後悔したこともあったし、他のクラスの子が授業を受けている中、
一人で校庭に出てシロツメクサを調査したりと、なかなか大変なこともあった。でも、自分
が困っているときに何度も相談に乗ってくださった教師の方々や、実験を手伝ってくれた友
人達のおかげもあり、なんとかレポートにまとめられる段階まで到達することができた。と
ても感謝しています。
実験の大変さというか、分からないことの解明というか、不規則に発現する現象を説明す
るというのはものすごく大変なことだと思った。インターネットでシロツメクサについて調
べたところ、民間の方の中でもシロツメクサの突然変異の不思議について調べている方がい
らっしゃった。世の中の不思議が解決するのは良いことだと思うが、ロマンや神秘性が薄れ
ていってしまうような気がして・それはちょっともったいないように感じた。
クマムシ
Ⅰ
∼その生態にせまる∼
概要
クマムシを採取し、その特性を確認する
Ⅱ
はじめに
クマムシとは今話題の微小生物のことである。(水生・陸生のクマムシがいるが、ここで
は陸生を取り上げる。)乾燥や温度変化に強く、体を縮め、タル状の形になって長期間悪条
件に耐えることが出来る。-272 ℃ から 151 ℃まで耐え抜くことができると報告されてい
る。そんな驚くべきクマムシに興味を持ち、その特性を実際に調べてみようと、この課題に
設定した。
※クマムシにはさまざまな種がいるが、私たちが採取して実験に用いたのは、オニクマム
シとトゲクマムシである。
↑オニクマムシ
Ⅲ
↑トゲクマムシ
活動日程
4月…クマムシの探索をするも見つからず。
5月…クマムシの探索をするも見つからず。
6月…クマムシの探索をするも未だ見つからず。
諦めかけていたが 6/30 に発見!!
7月…いよいよ本格的な実験開始。
8月…夏休み中も実験を続ける。
このあたりから焦りが出始める。
9月…クマムシの実験&まとめ。
ギリギリまで実験を続ける。
↑採集場所:椎樹館裏庭
瀬戸際で奇跡の様なクマムシの復活劇を目の当たりにする。
採取の様子→
↑採集場所:校庭コンクリート壁
Ⅳ
実験の方法
1
クマムシのいるコンクリートの塀のコケなどをシャベルで引っかき、採る。
2
コケの中からクマムシを分ける。
方法①:ベールマン装置(一番発見しやすい)
・ ペットボトルの口の部分を漏斗のように切り取る。
・ もう一つペットボトルを切り取り、キャップ部分に2∼3重にしたガーゼを輪ゴ
ムでとめる。
・ ペットボトルを、ガーゼを取り付けた方を内側にして重ね合わせ、採取したコケ
をいれる。
・ ひたひたになるくらい水を入れて、外側のペットボトルの底に沈殿が出来るまで
待つ。
方法②:試験管を用いる(一番手軽)
・ クマムシがいると思われる竹の葉を試験管に入れ、水を半分くらい注ぐ。
・ 口を手で押さえ、上下に激しく振る。
・ 沈殿ができるまで待つ。
3
クマムシを観察する
沈殿を壊さないようにこまごめピペットで吸い取り、プレパラートに垂らす。
(クマムシの全体像がわかるように、またこの後の実験が進められるようにスライドガ
ラスはかけない。)
4
クマムシの耐性を調べる
観点①電子レンジにどれくらい耐えられるか
②氷点下での生存は可能か
③長期の乾燥状態に耐えられるか
・ プレパラートを乾燥させて得たタル状態のクマムシと、そうでないクマムシ(電
子レンジの時のみ)を用意する
・ プレパラートごとシャーレにいれて
① 秒数を小→大にして電子レンジにかける
② 冷凍庫に一週間保存いれてみる
③ 乾燥させてから4週間ほど放置してみる
・ それぞれ観察して生存しているか確認する
死亡とする判断基準は、水分を与えて十分時間が経
っているにもかかわらず動かないことや、つついても
動かないこととする。
Ⅴ
1
実験結果
電子レンジ
かけた秒数で生存が確認された個体数を表に示す
10秒以下
20秒
30秒
60秒
90秒
2
1
オニ
水分を与えて
水分を与えて
タル状態○
15分くらい
15分くらい
で活性化
で活性化
1
1
2
トゲ
水分を与えて
水分を与えて
水分を与えて
タル状態○
17∼30分
30分くらい
30∼50分
で活性化
で活性化
で活性化
1
オニ
かすかに足が
タル状態×
動く程度
7
トゲ
タル状態×
2
冷凍
オニ・タル状態:水分を与えて10分後にタル状態から元に戻り、活発に動き始めた。
トゲ・タル状態:水分を与えて20分後にようやく動き始めた
3
乾燥
6枚のプレパラートを保存していたが、4週間後、うち4つからクマムシは見つけらな
かった。
プレパラート①
⑤
トゲ一匹、水分を与えて25分で動き始めた。
トゲ一匹、水分を与えて待っても待っても動かなかった。
Ⅵ
考察
1
電子レンジ
タル状態でなければクマムシは熱に強いわけではない。また、個体差や個体が少ないの
で断言できないが、オニのほうがトゲより耐性が強いと思われる。
反省点:当初、タル状態になる前に電子レンジにかけて無駄に死なせてしまった。
採取したクマムシ、実験の回数が少なかった。
このような実験を行ったことが無く、個体差についてあまり考えられなかった。
生存していた場合、次に電子レンジをかけた時の秒数をどうとらえるかなど、
明確ではなかった。
クマムシがさらされる温度などが計測できなかった。
2
冷凍
高温より低温の方が強いと思われる。オニ、トゲともに元気である。
反省点:個体数の確保が出来なかったこともあるが実験用に準備したプレパラートが1
枚(オニ・トゲ各1)と、本当に少なかった。
時間の関係からただ漠然と1週間冷凍保存してみただけなので、もっと細かく
時間を決めて実験を行いたかった。
3
乾燥
見つかったクマムシはみんな生存していた。当初の電子レンジ実験で、その耐性を疑っ
たこともあったが、クマムシは本当に強かった。
反省点:保存方法がいい加減であったと思う。
初期は実験より観察が主だったため、その後の操作を考えず、スライドガラス
にカバーガラスをかけていた。そのプレパラートを用いたために、乾燥させた
後クマムシがカバーガラスなどにくっついて、観察できなかったという可能性
も否めない。
↓クマムシがタル状態から復帰する様子
Ⅶ
今後の課題
実験するに当たり、一緒にスライドガラス上に入ったコケにクマムシが絡まって、体力を
消耗していることが多い。出来るだけプレパラートにはクマムシ以外いないというのが理想
的だと思われるので、分離が上手に行えるようになれば、実験のスピードも成果も上がると
思う。
クマムシをもっと多く採取してより細かな実験を行う。上記3つのほかにも、クマムシの
耐性を探るため、浸透圧を測るような実験・塩酸などの劇薬ではどうなるか、というような
実験を行えると良い。
最近の発表からではクマムシの寿命は1年ほどと言う説もあるが、60年ほど生きるとい
う研究結果もある。驚きの耐性を持っているからであろうが、体の大きさからして寿命が長
すぎではないかという疑問が残る。寿命などを計算した上で、もっと長期の観察を行いたい。
Ⅷ
感想
担任が発した「クマムシおもしろそうだよ」の一言で、この研究テーマを設定してから5
ヶ月・・・・・長かった。
はじめの3ヶ月は探しても探しても見つからず、一時期どこかの会社や研究期間が実験用
に販売していないかと本気で考えた。そんな中、時間的にも精神的にもリミットが迫った6
月末日、やっと彼らに出会えた。この瞬間を待ちわびていただけに喜びはひとしおだった。
本当にあきらめなくて良かったと思う。
やっと実験を開始し、試行錯誤を繰り返しながら軌道に乗ってからは、毎回驚きの連続だ
った。
残念だったことは、クマムシ発見が遅れたため、実験にかけられる時間が少なくて、満足
行くほど実験の回数を重ねられず、丁寧にもできなかったことだ。実験のやり方は開拓でき
ているので、是非後輩に引き継いでもらいたい。
今回の課題研究では改めて科学、実験の楽しさと難しさがわかった。また、忍耐力がとて
も重要な位置を占めるということも痛感した。研究者を目指すわたしにとって、この半年近
くの経験はきっと将来に役に立つことと思う。
クマムシの研究…楽勝じゃん!!等と思いながら始めた活動だったが、クマムシを捕獲し
実際に実験に入るまでの道のりが非常に長く、何度も諦めかけた。他の班の人の実験が着々
と進んでいく中、何の進歩もなくただ時間だけが過ぎていく日々。あまりに見つからないの
で「ネットでクマムシ買って実験しようか。。。」という話まで出る始末。
そんな中気分転換(?)に椎樹館裏の岩から校庭の壁へと場所を変えてみると…いた!!!
クマムシ発見!!あの時の喜びはそれはもう表現することが出来ない程のものだった。
一度採り方のコツがわかると跡はもう芋づる方式で採れ、これでもう実験は安泰だろう…
そう思われた。が。現実はそう甘くはなかった。(ここまでに3ヶ月近くかかった)不死身の
はずのクマムシはレンジで 10 秒チンしただけで死んでしまったのだ。たった 10 秒で…。再
び絶望感に襲われた。しかしその後インターネットで調べてみると、自分達の実験方法が悪
かったということが発覚。クマムシが不死身なのは
タル
状態の時のみらしい。じゃあ、
タル状態にすればクマムシは死なないんだ!!希望の光が見えてきた。そして再び実験開
始。この辺で高女には2種類のクマムシがいることに気付いた。うちらは ソーセージ と
ダニ と呼ぶことにした。 ソーセージ の方が可愛く、耐久力もあることがわかり、こ
の種類が出るととても喜んだ。しかしまたしても立ちはだかる問題が。コケが多くクマムシ
のみの観察が出来ない。しかもコケにからまってクマムシが死ぬ。…クマムシ最強伝説はい
ったい…??不安に駆られつつも実験を続けた。そしてつい先日、レンジでチン 60 秒を経
過したクマムシが復活に成功!!更に約1ヶ月乾燥状態にあったクマムシも復活に成功し
た!!クマムシすごい!!!感動した!!!
この実験を通じて様々なことを学んだ。顕微鏡の使い方から研究に必要な忍耐力 etc…い
ろいろなことがあったなぁ。うにょうにょした生物を見ながら飯を食べることもできるよう
になったし、孤独にも耐えられるようになった。工夫しようとする力もついたと思う。クマ
ムシの代わりに赤ムシ(勝手に命名した小さい赤い虫)の実験をしようとしたことも今となっ
てはいい思い出だ。。。ただ、時間が足りなくて考えていたが出来なかった実験があること
が心残りだ。もっと早くクマムシが発見できていればなぁ…。もしこの実験を引き継いでく
れる後輩がいるのなら方法等いろいろと伝授してあげたい。っていうか是非とも引き継いで
くれ!!クマムシが素晴らしさを皆に伝えたかった。彼らの魅力はこんなレポートでは伝え
きれない(笑)
とにかく、この実験で学んだことは少なからず将来に役立つんじゃないかと思う。(研究
職に就く就かないに関係なく)諦めないことの大切さも学べたし。
最後に…実験に協力してくださった先生方、感謝です。そしてさっちゃん!1人だったら
この研究は出来なかったよ。。。本当にありがとう!!協調性とか、大事だね☆★
Ⅸ
参考資料等
http://cyclot.hp.infoseek.co.jp/sonota/kuma1x.html
http://kumamushi.net/
http://www.jet.ne.jp/hp-contest/2003work/070/
Ⅹ
おまけ
今回の実験で発見された微生物達(微生物じゃないもの含む)
突き過ぎで出血したかわいそうな一匹→
CコンピュータGグラフィックス
Ⅰ
概要
今日急激な進化を遂げたCG(コンピュータグラフィックス)について学ぶとともに制作
作業に挑戦する。
Ⅱ
はじめに
近年、メディアは急速な進化を遂げ、中でもメディア・アートと呼ばれるCGのそれは群
を抜くだろう。私たちがテレビなどで目にするほとんどすべてのものにそれは使われてい
る。さらにCGはもはや芸術の一郭を担うまでになり、映画などCGを抜きには語れない域
に達しているといえる。そんな日常に溶け込みすぎているCGというものを、もう一度改め
て見てみようと思う。
Ⅲ
メディア・アートの起源
メディア・アートの起源は、音楽から始まる。“スチル・オペラ”というものだそうだ。音
楽とメディア、機械的なものをうまく組み合わせた画期的なメディア・オペラであり、歌手、
俳優、そしてビデオプロジェクターも舞台の一員として参加しているマルチメディアの走り
であった。
80年代、データグローブを楽器として用いるなどの試みが行なわれたのはこの頃であ
る。それはさらに、音と映像、環境を組み合わせる方向へと発展していくものだった。
こうして VR の時代が訪れる。これはシミュレーションという概念をもたらした。独創的
なオリジナルから無限に再生可能なサンプリングへの移行である。そして空間の体験そのも
のが音やビジュアルよりも重要となり、今度はコンテンツからコンテクストへの移行であ
る。このあたりから、作品の社会への影響が語られるようになる。
同時にコンピューター・アニメーションが発達し、これをハリウッドが惜しみない予算を
掛けて使うようになった。しかしそんな商業主義的発展を後目に、アーティストたちは AI(人
工知能)に目を転じていく。カール・シムズの VR 作品では植物の成長をインタラクティブ
に体験できる。そのインターフェースはシンプルにしようと思えばいくらでもできたに違い
ない。マウスでも、キーボードでも構わなかったはずだ。しかし、彼はそれに植物の葉のデ
ザインを与えた。そこでこの空間の訪問者は、“植物に触る”という 1 つの体験を得るに至っ
たというわけである。
※
カール・シムズ:人為選択に基づく進化の方法を、人工進化という名前で提案した人
(参考記事:“メディア・アートの歴史――アルス・エレクトロニカの 20 年”)
Ⅳ
アカデミー賞
対象年
視覚効果賞に見るCG技術の推移
作品名
対象年
作品名
1961
ナバロンの要塞
1984
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
1962
史上最大の作戦
1985
コクーン
1963
クレオパトラ
1986
エイリアン 2
1964 メリー・ポピンズ
1987 インナースペース
1965 007/サンダーボール作戦
1988 ロジャー・ラビット
1966
ミクロの決死圏
1989
アビス
1967
ドリトル先生の不思議な旅
1990
トータル・リコール
1968
2001 年宇宙の旅
1991
ターミネーター2
1969
宇宙からの脱出
1992
永遠に美しく
1970 トラ!トラ!トラ!
1993 ジュラシック・パーク
1971 ベッドかざりとほうき
1994 フォレスト・ガンプ/一期一会
1972 ポセイドン・アドベンチャー
1995 ベイブ
1974 大地震
1996 インデペンデンス・デイ
1975
1997
ヒンデンブルグ
1976 キングコング
2300 年未来への旅
タイタニック
1998 奇蹟の輝き
1999 マトリックス
1977 スター・ウォーズ
2000 グラディエーター
1978 スーパーマン
2001 ロード・オブ・ザ・リング
1979
2002
エイリアン
ロード・オブ・ザ・リング/二つの搭
1980 スター・ウォーズ/帝国の逆襲
2003 ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
1981 レイダース/失われた《聖櫃》
2004 スパイダーマン2
1982 E.T.
2005 キング・コング
1983
スター・ウォーズ/ジェダイの復讐
アカデミー賞の視覚効果賞受賞作品を列挙してみたわけだが、この中で私が見たことのあ
る映画は一番古い物で『スター・ウォーズ』(ルーカスフィルム)、記憶に新しいのは『マ
トリックス』(ワーナーブラザーズ)や『ロード・オブ・ザ・リング』(ウェータ・デジタ
ル)あたりだ。
「映像化不可能といわれた○○が遂に公開」といったキャッチフレーズの映画は近年稀で
はない。「映像化不可能といわれた」が「映像化できた」のだ。いついわれたのかは定かで
ないが、その時点では不可能だったことが実現されている。実在しない物を惜しみなく表現
できるCGの発展は、これに一役も二役も買っているといえるだろう。これから「映像化不
可能」という言葉をそうそう使うことはないと思われる技術が、現代にはあるのだ。
技術発展を見るなら、『スター・ウォーズ』シリーズを例にとると分かりやすい。様々な
星の種族、ロボットなどが多岐にわたって登場するわけだが、目の肥えてしまった私たちに
は、旧シリーズの三部作はいかにも「着ぐるみ・人形」といった感じが拭えない。(その人
形っぽさがよいという声もあるが)しかし新シリーズには20年の間に急速に発展したCG
がふんだんに使われ、あらゆる物が細部まで抜け目なく表現された。爬虫類系の種族の質感
など無駄にリアルである。フルCGのキャラクターも多く、そのキャラクターが激しいアク
ションを繰り広げたりする。20年前の人形ではできない芸当である。CGの技術発展の偉
大さが窺えるところの一つだ。しかし表を見てみると、新シリーズの三部作のいずれも、視
覚効果賞は受賞できていない。
これはCGの技術発展による競争の激化の結果だと思われる。エピソードⅠが公開された
1999 年の視覚効果賞には、マトリックスが輝いている。2001∼2003 の視覚効果賞を独占し
た『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズは、CGのスケールもさることながら、巧みな遠
近法で小人種族を表現したりと+αの技巧に評価があったのではないだろうか。このように
CGの技巧は既に「当たり前」の物になりつつあるのだった。
Ⅴ
3Dと2D
2006 年夏に公開した『ブレイブストーリー』(フジテレビ、GONZO、ワーナーエンター
テイメントジャパン)を見に映画館に足を運んだ。基本は2Dで描かれたキャラクターが物
語を展開するのだが、背景に使われているのは3DのCGが多かった。バスや標識、ホワイ
トボードなど細かい背景部品まで。しかし背景に使われていた3DCGは、3Dでありなが
ら2Dの世界に適度な存在感があり、妙になじんでいた。かと思えば、実写かと思うくらい
リアルな空や川や森が出てきたり、妙に存在感のある3Dの石像と2Dの主人公が絡むシー
ンがあったりと、とても不思議な感覚を覚えた。「3Dと2Dの融合」という点でとても興
味を惹かれる一作だった。
一口にCGといっても、表現の仕方は様々であることを実感させられた。CGというとつ
い「リアル」を求めてしまう。いかに本物っぽく見せるかを躍起になって研究している人た
ちも多いと思うが、それだけがCGの良さではないのだ。適所適材、これに勝るものはない
だろう。
Ⅵ
まとめ
・ メディア・アートは音楽に起源を持つ。“スチル・オペラ”から始まった。
・ CGの発展は映画界に大きな波を起こしたが、現在それは当たり前のこととなって
しまった。
・ 「リアル」だけがGCではない。適所適材を極めるべき。
Ⅶ
制作記録
CGの制作に挑戦。
今回使用したソフトはShade8.5
basic (e-frontier)
まったくの初心者ゆえ頼れるのは説明書と己のみ。
まずはオブジェクトの作成
正面図、側面図、上面図、透視図が画面上
で四つ巴になっているこのキャンバス上に
オブジェクト(物体)を描いていく。
正面図でマウスを上下させると側面図で
は上下するが、上面図では動かない。
上面図でマウスを左右させると正面図で
は左右するが、側面図では動かない。
といった具合だ。空間図形が得意なほうが全
くもって有利である。
慣れるまでに結構時間がかかった。
今回はペットボトルをモデリングする。
正方形を描いて掃引体にし、底の部分だ
け一点に収束させて穴をふさぐ。上は開い
たまま。
コントロールポイントを挿入しつつ正面
と側面から操作し、くぼみや飲み口の部分の
サイズを変えていく。
まだゴツゴツである。
縦の大きさなども調整。角を切り落とし
たり丸めたりしながら滑らかさを出してい
く。
角を丸める度にパート(外形を形作る輪
郭線)が増えて何ともややこしい状態に。
だんだんペットボトルらしくなってき
た。
ひたすら微調整。根気との戦いである。キ
ャップとラベルもつけた。
レダリングをしてみるとこうなる。(すべての情
報を計算して画像にする作業をレダリングという。
Shade はすべて自動でやってくれる。)
これでオブジェクトは完成である
オブジェクトが完成したら形状情報で質感の設定をす
る。ペットボトルの透明感を出すため「透明」の数値を上
げる。すると↓となる。透明感が出てぐっとペットボトル
らしくなった。
怖い。
仕上げにラベルのオブジェクトにイメージを読み込ん
で(さらに微調整を加え)完成。
(ラベルデザイン:Kuno)
Ⅷ
アニメーション制作
アニメーションの制作にも挑戦した。
まずオブジェクトを作成する。
今回は蝶の胴体と羽二枚の計3
つのオブジェクトを作成した。こ
の蝶を羽ばたかせるのが目標。
↑羽を羽ばたかせるために羽の付け根に回転ジョイントを設置。
←モーション設定画面で波状のラインを
描いて羽ばたくようにする。
↑さらに旋回、縦揺れ、蝶自体
の方向転換用に 3 つの回転ジョイ
ントを挿入。
←羽の時と同様に時間軸をずらしながら
そのシーンに合った形に旋回、縦揺れ、
回転を設定していく。
羽の質感には「透明」や「メタリック」要素を取り入れ、
幻想的な雰囲気を狙った。→
アニメーションレダリングをして再生すると、蝶が羽ばたく。
(↑羽ばたきイメージ。実際は動画だ)
Ⅸ
感想
今回初めて1からCG、CGアニメーションを制作してみて、CG制作には第一に根気が
必要なことがこれでもかというくらいにわかった。拘泥りの程度にもよるが、パソコンと睨
めっこし、納得のいくまで細かく微調整を繰り返す作業は実に骨が折れる。しかも独学とい
うのは分からないことだらけなので、問題の解決に膨大な時間を費やすこともしばしばで大
変だった。しかしだからこそ、作品の仕上がりを見たときの達成感には計り知れない物があ
った。蝶が羽ばたいたときは本当に感動した。(十分に伝えきれないのがとても残念。。)
しかし、たった 12 秒の動画を作るのにこれだけ苦労がいるということは、映画一本制作す
るのにどんな苦労があるのか、想像するだけですごいことになる。将来CGデザインの関係
に携わりたいと考えているので、今回の体験が役に立つといいと思う。
Ⅰ
概要
『猫でもわかる C 言語プログラミング』を参考にしながら、現在でも業務用開発やフリーソフ
トウェア開発、組み込みなどの小規模のシステムで、幅広く利用されている C 言語の基礎を学ぶ。
Ⅱ
研究方法
『猫でもわかる C 言語プログラミング』にしたがい、実際にプログラムを書いてみる。
Ⅲ
学習内容
第1章
プログラミングのしくみ
・ コンピュータのしくみ
制御機能・演算機能・記憶機能・入力機能・出力機能
・ プログラムができあがるまで
ソースファイル
コンパイラ
オブジェクト
(C言語のテキスト)
(機械語に変換)
ファイル
リンカ
実行可能な
(両者をつなぐ)
プログラム
ライブラリ
(関数保管ファイル)
ビットとバイト
ビット:情報の最小単位
2種類の状態(1or0)を表現できる
バイト:8ビット
256種類の状態を表現できる
第2章
C言語の基本
・ コメント:/*
*/ で囲まれた覚え書き
直接プログラムに関与しない
・ main 関数:プログラムの開始点
例
/* hello.c */
←コメント
#include <stdio.h>
int main()
←main 関数
{
printf(“Hello World!¥n”);
←実際に行われる関数
return 0;
}
・ printf 関数とエスケープシーケンス
printf 関数:(“ “) 内の文を表示する関数
エスケープシーケンス:printf 関数内で改行等を表す記号(例
第3章
¥n:改行)
変数とデータ型
・ 変数:値を入れる入れ物
= の左におかれ、右の値を代入する
最後に代入された値だけが残る
・ データ型:数字や文字の表記方法のタイプ
整数型(short・int・long)
浮動小数点型(float・double・long double)
文字型(char)
がある
・ 書式指定フィールド:表示書式を指定する
%[flags][width].[precision]{type のプレフィックス}type で表す
flags:符号の有無、左詰めなどの指定
width:文字幅の指定
precision:小数点以下桁数の指定
type のプレフィックス:データ型の指定の補助
type:データ型の指定
%・type 以外は省略可能
例
/* format01.c */
#include<stidio.h>
int main()
{
int a,b,c;
←宣言文(使う文字を示す)
a=10;
←a に 10 を
b=15;
b に 15 を
c=a+b;
←c に a+b を代入する
printf(“%d たす%d は%d です¥n”a,b,c);
←%d にそれぞれ a,b,c を
return 0;
代入して文を表示
}
第4章
式と演算子
・ 演算子:特定の動作を持つ記号
記号により優先順位と結合法則(左右どちらから評価するか)が決まっている
例
単純代入演算子
「=」:右の値を左の変数に代入する
・ オペランド:演算子の作用対象
・ 式:評価されることにより値を持つ
同じデータ型ではそのままの型
異なるデータ型では大きい方のデータ型(格上げと呼ぶ)
代入すると代入先の型
で表示される
・ 各種演算子
① インクリメント演算子 「++」
後置すると評価した後で1を加え、前置すると1加えて評価する
①
デクリメント演算子 「--」
①と同様に1減らす
②
sizeof 演算子
「sizeof(式)」「sizeof(型名)」
式や型のサイズ(バイト)を調べる
③ 不等号演算子 「>」「<」「>=」「<=」
式が真であると「1」を、偽であると「2」を表示する
④ 等価演算子 「==」
両辺が等しく真であると「1」を、偽であると「2」を表示する
④
非等価演算子 「!=」
両辺が異なり真であると「1」を、偽であると「2」を表示する
⑤ 複合代入演算子 「-=」「+=」「*=」「/=」
A=A+B(A+B の値を A に代入する)を A+=B と表す事が出来る
同様に A=A-B を A-=B
A=A*B を A*=B
A=A/B を A/=B と表せる
⑥ キャスト演算子 「(型名)式」
式のデータ型を変える
⑦
ビット演算子
ビット積演算子 「&」:ビット単位でともに1なら1
ビット和演算子 「¦」:
どちらかが1なら1
ビット差演算子 「̂」:
互いに異なれば1
補数演算子 「~」:各ビットを反転させる
右シフト演算子 「>>n」:n(自然数)だけビットを右にずらす
左シフト演算子 「<<n」:
左にずらす
⑧ 条件演算子 「? :」
「?」の前を評価し真(0以外)であれば「?」と「:」の間を評価
偽(0)であれば「:」の後を評価
第5章
制御文
・ 制御文:プログラムの実行順序を変える文
ⓐbreak 文
「break」
繰り返し処理(ループ)を終了する
ⓑcontinue 文
「continue」
残りの処理を飛ばし繰り返し処理を継続する
ⓒgoto 文
「goto」
特定の箇所に飛ぶ
①
if 文
「if else if else」
条件に応じた処理を実行する
② switch 文 「switch
case
default」
条件式に応じた処理を実行する
③
for 文
「for」
指定した回数だけ繰り返し処理を行う
継続条件の式が偽になるところで終了する
④
while 文
「while」
継続条件を先に判断してから繰り返し処理を行う(前置判定)
⑤ do∼while 文
「do while」
処理をしてから継続条件を判断する(後置判定)
※
条件式で用いられる演算子
論理関係演算子
積結合(条件 AND)演算子 「&&」:かつ(共に真である事が必要)
和結合(条件 OR) 演算子 「¦¦」
:または(少なくとも一方が真である事が必要)
否定演算子 「!」
:真なら偽、偽なら真になる
・ scanf 関数:入力値を取得する関数
・ getchar 関数:入力された文字を取得する関数
第6章
関数
・ 関数:一定の処理をひとまとまりとして扱い、定義したもの
・ 引数:関数内で用いられる値
・ 戻り値:関数から返ってくる値
・ 変数の寿命とスコープ:変数の値が保たれる範囲を寿命
変数が適用される範囲をスコープ(適応範囲)と呼ぶ
寿命は retune で値が返されるまで
スコープは宣言された行以下
・ 記憶クラス指定子:変数の前に付け、寿命を変更する
①
自動変数(ローカル変数)
「auto」(省略可)
関数内またはブロック内宣言されたもの
宣言された関数・ブロック内または retune するまで
②
グローバル変数
関数外で宣言されたもの
プログラムが終了するまで
③
static
変数につけると return しても保持し続ける
・ 再帰呼び出し:その関数自身を呼び出す
Ⅳ
研究成果
『猫でもわかる C 言語プログラミング』に載っている練習問題に取り組み、添付されてい
る解答と比較する。
第6章
①
は間違えた箇所であり、それぞれの行の右に訂正を加えた。
練習問題
三角形の底辺と高さを入力すると、戻り値として面積を返す関数を作ってください。
#include <stdio.h>
int func(int x, int y)
double
{
int menseki ;
menseki = x * y / 2 ;
double
double
return mennseki ;
}
int main()
{
int x, y, s;
printf(
三角形の底辺は---
scanf( %d
printf(
, & x);
三角形の高さは---
scanf( %d
);
%lf
);
, & y);
%lf
s = menseki( x, y );
printf(
三角形の面積は%d です\n
,s );
%.2f
return 0;
}
② 初項 a、等差 d の等差数列の第 n 項までの和を求める関数を作ってください。ただし、
ここでは初項も等差も int 型とします。(ただし、関数部分のみ)
#include <stdio.h>
int tousa(int a, int d, int n)
{
if (n == 0)
return 0 ;
else
return a + (n ‒ 1) * d + tousa(a, d, n - 1) ;
}
掲載解答例(作った解答とあまりに違うため比較不可)
#include <stdio.h>
int tosawa(int a, int d, int n)
{
int i, wa = 0;
for (i = 0; i < n; i++)
wa += a + i * d;
return wa;
}
③
定価と消費税率(%)を引数として、税込み価格を返す関数を作ってください。定価
は int 型、税率は double 型、税込み価格は double 型とします。(ただし、関数部分のみ)
#include <stdio.h>
int kakaku(int a, double b)
{
double c ;
c = a * (1 + b / 100) ;
return c ;
}
④
n 人を異なる m 個の席につかせる仕方は何通りあるかを調べる関数を作ってください。
n、m は int 型で、m は n 以下であるとします。(ただし、関数部分のみ)
#include<stdio.h>
int func(int n, int m)
{
int kaijo(int, int);
int a;
int b;
a = kaijo(n) * kaijo(n - m)
b = kaijo(m) / a
return b;
}
int kaijo(int x)
{
if (x == o)
return 1;
else
return x*(x - 1);
}
掲載解答例(作った解答とあまりに違うため比較不可)
#include <stdio.h>
int junretsu(n, m)
{
int p = 1, i;
for (i = m; i >= n; i--)
p *= i;
return p;
}
Ⅴ
今後の課題
今回の活動では、
『猫でもわかる C 言語プログラミング』の約半分である第6章までしか、
読み理解する事が出来なかった。今後は、より高度な内容になる第7章以降も理解していき
たい。
Ⅵ
感想・反省
初めてやった事ばかりで、戸惑う事も多く思っていたよりも進める事が出来なくて、非常
に残念だった。しかし、益々情報技術が発達していく中で、本当に基礎だけではあるがプロ
グラミングについて学習出来たことは大変よい経験になり、またこれまで以上に関連技術に
関心を持つようになったので良かったと思います。
Ⅶ
参考資料
『猫でもわかる C 言語プログラミング』
著者・粂井康孝
出版・ソフトバンク クリエイティブ株式会社
猫でもわかるプログラミング
http://www.kumei.ne.jp/c_lang/
ハナスベリヒユの組織培養
Ⅰ
実験概要
ハナスベリヒユという植物を用いて組織培養を行い、カルスから芽がでるまでを観察する
ことを目標とした。
Ⅱ
はじめに
1
組織培養について
通常、動物細胞も植物細胞も一度分化しきって組織形成をすると、そこからまた違う組
織に分化することはない。しかし植物細胞は一度分化して組織を形成しても、ホルモンを
整えた培地で無菌状態で培養すると脱分化という現象を起こし、カルスと呼ばれる未分化
な状態の細胞塊をつくる。カルスを上手く培養するとそこからまた個体を作ることができ
る(再分化)
。
植物の成長には植物ホルモンが密接に関係している。脱分化・再分化には主にオーキシ
ンとサイトカイニンという植物ホルモンが関わってくる。この2つのホルモンの相対濃度
によって何に再分化するかが決まる。
今回はハナスベリヒユにおいてカルス形成しやすいオーキシン10mg/l・サイトカイニ
ン1mg/l で実験を行った。
2
ハナスベリヒユについて
スベリヒユ科のスベリヒユという植物を観賞用に品種改良したもの。別名ポーチュラカ。
カルス形成が他の植物に比べ比較的はやい。ニンジンなどでは1ヶ月ほどかかるのに対し、
ハナスベリヒユは4,5日でカルス形成したという実験結果があったので、今回はこれを
用いることにした。
3
プロトプラスト・ミニプロトプラストについて
(1)プロトプラスト
植物細胞にセルラーゼ処理をおこない、細胞壁を細胞から取り除いたもの。細胞壁
がないのでそれぞれの細胞が丸い形になる。細胞融合させて、中間雑種を作ることに
使われることが多い。
(2)ミニプロトプラスト
プロトプラストから液胞を取り除いたもの。細胞の大きさがほぼ等しくなる。細胞
工学の分野で広く応用されている。
チンゲン菜のプロトプラスト
4
今回の実験
課題:培地の形状
組織ごとの違い
小器官が脱分化にどう関わってくるか・・・を調べる。
Ⅱ
実験手順
1
培地をつくる
用意するもの:ビーカー(1l)アルミホイル、ガラス棒、オートクレーブ
市販のMS培地(植物の成長に必要な無機養分を調節したもの)
ショ糖、粉末寒天、
ナフタレン酢酸(オーキシンの一種
NAA)
ベンジルアデニン(サイトカイニンの
一種
BA)
0.1mol/l 水酸化ナトリウム、0.1mol/l 塩酸
① NAA
100gを水酸化ナトリウムに、BA
100gを塩酸に、それぞれ溶かす。
これはフタをして冷蔵庫に保存。使いたいときに希釈して使用する。
② ビーカーを用意し純水約800mlを入れ、MS培地4.6g、ショ糖30gを加えて溶
かす。
③ ①で作ったNAA溶液10ml、BA溶液1ml加える。
④ 水酸化ナトリウム、塩酸を用いて、pHを5.7∼5.8に調節。
⑤ 純水を加え、全体を1lにする。
⑥ 寒天9gを加え、加熱して溶かす。溶けたら、試験管の1/3 ほどいれ、口をアルミホイ
ルで2重にフタをする。
⑦ オートクレーブで約120℃で15分滅菌する。このとき、次の植え付けで必要な道具も
個々にアルミホイルに包み、一緒に滅菌しておく。
右:オートクレーブ
2
植え付け
・ 用意するもの
無菌箱、培地、ピンセット、薬さじ、メス、ペトリ皿、ろ紙、アルミホイル、はさみ、
ろう、キッチンハイター70%エタノール(消毒用)インキュベーター、試料(今回はハ
ナスベリヒユ、ニンジン)
① 無菌箱はあらかじめエタノールでよく拭き殺菌する。これを怠るとコンタミの原因とな
るので念入りに。また、殺菌を徹底するため、道具はオートクレーブにかける。エタノ
ールと滅菌水を無菌箱の中に用意し、メスやピンセットを入れておくのに使う。
② ハナスベリヒユは茎を切ったら菌の侵入を防ぐため切り口をすぐに溶かしたろうにつけ
封じる。
③ エタノールに30秒浸した後、キッチンハイターに約15分つける。
④ 無菌箱に移し、滅菌水でよく濯ぐ。5∼10mmくらいの大きさに切り、ピンセットで培
地の上に試料をのせる。
⑤ 滅菌しておいたアルミホイルで2重にフタをする。20∼30℃で培養する。
左:インキュベーター(保温器)
右:無菌箱。前方左右にある穴にゴム手袋を取り付
け、そこから手を入れて作業する。とても作業
しにくい。夏はとても暑い。上に殺菌灯がつい
ていて、きちんと除菌してから使えばほぼ無菌
状態を保持することができる。
3
プロトプラストの単離
・ 用意するもの
市販のプロトプラストキッド(単離用酵素剤、クエン酸溶液)ろうと、ろ紙、ビーカー、
試料(今回はセロリ、小松菜)
① ビーカーにキッドをあけ、スターラーで撹拌、溶解。
② 試料を洗い、細かく刻む。
③ ツンベルク管に刻んだ試料と酵素液を入れ、吸引ろ過を行う。
④ 気泡が出なくなったらビーカーに移し、インキュベーターにいれて約一時間放置する。
⑤ ろ過してろ液を遠心分離する。細胞が下に沈んだら、上澄みを捨て、マンニトールを加え、
再び遠心分離。不純物がなくなるまで繰り返す。
Ⅲ
実験
《実験①培地の形状の違い》
液体状の培地でのカルス形成をみる。
口の直径3cm・長さ20cmの試験管にそれぞれ培地を1/3までいれて試料を植える。
◇予想
培地の違いは寒天が入っているかどうかだけ。植物ホルモンはちょうど良い値に設定して
あるので、液体でも固体でもカルス形成する。
◇結果
●寒天培地
5日目からカルス形成しはじめ、7日目に13本中すべてにカルス形成がみられた。
ただし2本コンタミ(雑菌)混入。
●液体培地
13本どれにもカルス形成はみられなかった。
左:葉
右:茎
◇考察
寒天は脱分化に関係のない物質なので、形状に問題があると考えられる。固体培地は試
料がうえにのっているのに対して、液体培地ではそこに沈んでしまっているのでそれが原
因かと思われる。
《カルス観察》
一つ一つの形ははっきりしない。葉緑体が退化し、真っ白な細胞になっている。
《実験②液体培地の改良》
液体培地は試験管でなく口の直径3cm、高さ11cmの三角フラスコを用いる。
フラスコの底には脱脂綿を敷き、脱脂綿が十分に浸るぐらいの液体培地を入れる。
◇結果
液体培地に浸っていないものはすべてカルス形成した。浸っているものはしなかった。
固体培地でも培地に埋まってしまったもの
はカルス形成しなかった。
左:液体培地改良。手前が茎、奥が葉
右:寒天培地に埋まってしまった葉
◇考察
脱分化するには、試料が呼吸できることが必要。
★実験①②を通して
《実験③組織ごとの違いについて》
◇予想
分裂しやすい組織のほうがよりカルス形成すると思う。
葉よりも茎や芽のほうがカルスが多くなると思う。
◇①から
13本中、茎6本、葉4本、芽3本・・・で実験したがどれもほぼおなじ速さ、おなじ
くらいの量のカルス形成をおこなった。
ただし、カルスは切り口からしかできない。細かく切るとよりたくさんカルス形成した。
細かく切った試料。左:液体培地、右:寒天培地
《実験④ニンジンについて》
形成層、その他の部分で分けて同じように実験をおこなう。
◇結果:1ヶ月後
寒天培地は10本中1本、液体培地では6本×2中2個がカルス形成。
カルス形成したもののなかで、3個中1個が形成層、2個がその他の部分。
左:上のニンジン片にカルス形成。
右:全体がカルス化。実験前の倍くらいの大きさ
になった。
◇③④考察
脱分化しやすさについて、組織の違いはほとんどない。分裂のしやすさもあまり関係は
ない(④)。
また、ニンジンがあまりカルス形成しなかったのは、植物ホルモンのバランスがニンジ
ンには適切ではなかったためと思われる。
《実験⑤芽を出すために植え替えを行う》
サイトカイニンの割合がオーキシンに対して大きいと、芽や葉に分化しやすくなる。芽をださせ
るためにカルス形成した試料をカイネチンというサイトカイニンの一種のホルモンを多く含んだ
培地に植え替える。
◇結果:失敗。
培地の寒天量が少なく、試料が埋まってしまった。また、埋まらなかったものもカイネ
チンの量の調節がうまくいかず、芽は出さなかった。
・・・と思ったが、植え替えないものを2ヶ月そのまま培養を続けた結果、
全体がカルス化してこんなに巨大に成長し、
ちゃんと芽は出た。
よく写っていないが
左:右端の細胞塊から
左:左の茎からできたカルスから
《実験⑥細胞小器官の有無によるちがい》
プロトプラストを作り、液体培地で培養する。
◇結果:失敗。
チンゲン菜、セロリに関しては単離に成功したが、ハナスベリヒユに関してはプロトプ
ラストは出来たものの、単離ができなかった。
◇原因
ハナスベリヒユの細胞がもともととても小さく、また茎や葉を切るとねばねばした液が
でて、それに絡まり遠心分離ができなかった。葉に気泡が沢山あり、刻んだ量にしては細
胞が少なかったこともある。
Ⅳ
今後の課題
中途半端になってしまった実験が多かった。失敗ばかりだった。本当ならばニンジン培養
に適したホルモンバランスを確かめた上でレポートをまとめなければしっかりした実験結
果とはいえないと思うが、時間がなかった。
ハナスベリヒユからのプロトプラスト単離もうまくいかず、中途半端に終わってしまっ
た。
なぜ切り口からしかカルス形成しないのかもわからないままだ。
Ⅴ
感想
実験の結果は中途半端ではあったが、個人で課題をきめ、実験を行なうということはとて
も意義あるものだった。授業で行なう決まりきったことをこなし、結果を確かめるだけのよ
うなものとは違い、手順がわからなくても訊ける人がいないので試行錯誤しながらの実験だ
った。やるからにはある程度の結果を出さねばならず、少なからずプレッシャーを感じた。
課題を決めたときには先生方には高校での組織培養はコンタミとの戦いになるのできちん
とした結果が出ないかもしれないといわれ不安だったが、そこそこのデータがとれたのでよ
かった。
この経験を今後の大学での研究に生かしていきたい。
科学と音楽
Ⅰ
概要
プトレマイオスの時代から科学者が音楽の研究をしていたそうです。現在どんなものが研
究されているのかを調べ、実際に音を創りました。
Ⅱ
はじめに
万有引力で知られるケプラーは天球と音楽の関係を研究していました。そして、今までに
信じられてきた天球の音楽を科学的に説明したのでした。
Ⅲ
Ⅳ
1
活動日程
4月
資料集め
5月
音楽作り(遺伝子・大地の音楽)
6月
計算(惑星の音楽)
7月
報告書作成
9月
報告書作成
科学と音楽
フラクタル音楽
元の図形の一部を拡大しても類似の形状が繰り返されるような図形をフラクタルと呼び
ます。その中の一つが樹木図です。音楽でも、小節内の音の動きが、ブロックや曲全体の
大きな音の流れと同じ形になっているものがあります。
フラクタル図形
※右図は左図の右上の拡大図
マンデルブロートはフラクタルという概念を最初に考え出したフランスの学者です。
マンデルブロ図形は複雑に見えますが、次のような簡単な数式で表現されます。
Zn+1 = Zn*Zn+a
(Z0=0)Z、a はともに複素数で、|Zn|が無限大に発散しないような定数 a の集合をマ
ンデルブロ集合と呼びます。
2
遺伝子の音楽
自然界にある色々なものを利用して音楽をつくることができます。たとえば、地形の起
伏をメロディの起伏に置き換えることでも音楽を作ることができます。また、脳波を測定
し、そこから音楽をつくることもできます。
DNAはたった4つの構成物質、A、T、C、G(アデニン、チミン、シトシン、グアニ
ン)で示されますが、DNAはこの4つが何億と連なることでできています。人間や猿な
ど、種が違えば、この4つの構成要素の並び方が違っています。同じ人間同士でも、個人
によって、少しずつ並び方が違うのです。
この A、T、C、G の並びには、ある部分では、規則性があるような、ある部分ではラン
ダムであるような並びになっています。この並び方の法則を研究することにより、遺伝子
治療で病気を治したり、クローンを作ったりといったことが可能になるわけですが、研究
者の何人かが、この並びを音楽にして聴いてみると、何か法則をつかむのに役立つのでは
ないかと考えたわけです。こうして始まったのが遺伝子の音楽です。
A、T、C、G が 3 つ集まると、I、V、L、M、F、W、Y、C、A、P、G、T、S、Q、N、
E、D、H、K、R で示されるアミノ酸を構成します。これらの並びを使用して音楽を作る
試みも同様になされています。
3
大地の音楽
地形の高低差を利用して創られる音楽です。自然界にある波の音、風の音や年輪の模様
などは、人間の心にやすらぎを与える働きがあるといわれています。
(俗に、F 分の1のゆ
らぎと呼ばれています。
)そして、これらのデータを採取し、そこから音楽が作ると良い音
楽が作れるのでは…という考えが生まれこの音楽が生まれたらしいです。そしてこの音楽
をつくるソフトがつくられました。これは日本の各地の高度を記録したデータを利用する
もので、任意の2点を結ぶ直線上で高度を調べ、それを2小節分の音に変換します。単純
に高度が高いと高い音を、高度が低いと低い音を生成させます。このソフトを使っていろ
んな地域の音楽をつくってみましたが高度を単純に音程に割り当てるだけなので、さほど
良い音楽はできませんでした。音楽のルールを適用すれば、もう少し聴きやすい音楽にな
るのですが、あまりやりすぎると、何のために自然から取り出したデータを使用するのか、
わからなくなってしまいます。
4
ケプラーの惑星音階
ケプラーは音楽と天体運動の法則との間に共通する法則を見出そうと試みていました。
そして、彼は、水星から土星までの六惑星の近日点(太陽に最も近い点)と遠日点(太陽
に最も遠い点)での角速度を音階と関連させて惑星に音階を割り振りました。これが惑星
音階です。太陽の周りを回る惑星は、太陽から遠く離れた位置では、最も遅い速度に、太
陽に近い位置では、最も速い速度になります。この速度の増加と減少をケプラーは音程の
上昇と下降に対応させました。例えば金星の場合は離心率(軌道の円からのずれ)が小さ
く軌道が円に近いので、音程の変化が特に小さくなっています。そして、地球の場合はそ
の比率は 16/15(近日点の角速度は遠日点の 16/15 倍だけ速い)、これは音階ではミとファ
の関係に当たります。
この計算方法を先生に助けてもらい自分で出すことができたので、地球の場合を実際に
計算してみました。
離心率、軌道平均速度、軌道長半径をそれぞれ e,v,a とします。
e=0.0167
v=29.78
a=1.0000
近日点
av/a(1-e)(1-e)=1.0336788
遠日点
av/a(1+e)(1+e)=0.9668788
1.0336788/0.9668788≒16/15
惑星の音楽一覧
Ⅴ
惑星
音階
土星
G1 A1 B1 A1 G1
木星
G2 A2 Bb2 A2 G2
火星
F3 G3 A3 Bb3 C4 Bb3 A3 G3 F3
地球
G3 Ab3 G3
金星
E4 E+4 E4 (+は4分の1)
水星
A3 B3 C4 D4 E4 F4 G4 A4 B4 C5 A4 E4 C4 A3
今後の課題
今回はすでにやり方の分かっているものを調べてその計算に挑戦しただけだったので、今
後は自分でも何かの法則をつかって音楽をつくれるようになる。また、世界には自分の知ら
ない音楽がまだまだたくさんあると思うのでそれら全てを調べてみる。
Ⅵ
感想
みなさん音楽は好きですか?というよりも嫌いな人はいないですよね。少なくとも勉強の
音楽でなければ。音楽を歌ったり聞いたりしているととても楽しい気分になります。そんな
音楽はずっと昔から私たちにとって身近な存在です。この長い間消えずに残っている音楽っ
てすごいですね。そんな音楽は人間の色々な感情を表現する手段として使われつづけていま
す。そして、音楽は芸術であるから一見文系のほうに分類されると思いますが、実は科学と
密接に関係しています。曲作りには計算を使わなければならないし、人に好まれる音楽には
規則性や法則があります。例えば人に好まれる音楽はファとシが抜けたものが多いなど。
そして、科学と音楽の関連性について研究を調べている科学者は自分が思っている以上に
多いことが分かりました。そしてそのような試みはつい最近から行われ始めたものではなく、
ずっと昔から行われてきたもので、現在の人も昔の人も考えることは同じなのだと思いまし
た。音楽をただ聴いて楽しむだけでなく、音楽療法なども増えてきているので今後はもっと
音楽の活躍の場は増えていくだろうとおもいます。
Ⅶ
参考資料及び助言して下さった先生
高橋滋先生(物理)
理科年表
音楽研究所 http://www.asahi-net.or.jp
天球の音楽 http://homepage3.nifty.com/silver-moon/music/spheres.htm
放射線の殺菌作用
Ⅰ
概要
身近に存在する菌を使って放射線の殺菌作用を調べ、放射線の有効性がどのようなものか
を知った。また、菌の放射線への耐性から、生物がなぜ放射線に弱いのかを考えた。
Ⅱ
研究動機
病院で使われている注射器などの医療器具は、放射線を用い殺菌しているものがほとんど
である。常温で長期間保存できるように加工した食品の容器の殺菌にも、過酸化水素水のよ
うな殺菌剤の代わりに紫外線や放射線が用いられることも多い。また、日本ではまだ許可さ
れていないが、欧米では加工食品の原料に用いる香辛料などを加熱しないで放射線で殺菌す
る技術も用いられているという。放射線を利用することで、なぜ殺菌が出来るのか知りたい
と考えた。
Ⅲ
活動日程
5 月 19 日(金) 原子力機構での放射線を用いたバイオ研究の内容及び、私たちのくらしと
放射線に関する講義
6 月 2 日(金) 手に付着している菌を培養
6 月 9 日(金) 大腸菌と放射線耐性細菌への放射線照射・培養と前回の手の菌の観察
6 月 16 日(金) 前回の菌の生存率を調べる
Ⅳ
実験の方法
1 デイノコッカス(放射線耐性菌)と大腸菌へのγ線照射実験
放射線耐性細菌と大腸菌に放射線を照射し、生存率を比べる。
放射線耐性細菌はデイノコッカス・ラジオデュランスを、放射線は 60Co のγ線を用いた。
(1) デイノコッカスと大腸菌をそれぞれ 5 つのチューブに分け、下の表のように線量を
変えて 60Co のγ線を照射する。放射源からの距離を変えることで線量を変えられる
が、これは厳密ではないので、アラニン線量計を試料の隣に設置し、線量を同時に
測定した。
表 1:照射量の違い
試料
デイノコッカス
線量
大腸菌
予定線量
距離
予定線量
距離
[Gy]
[cm]
[Gy]
[cm]
8000
7
800
7
6000
14
600
14
4000
28
400
28
2000
55
200
55
室外
0
室外
0
照射時間
100 分
50 分
(2) γ線照射したデイノコッカス・ラジオデュランスと大腸菌の菌液を希釈した後、培
地にまく。
図 1:菌液の希釈
(菌液の希釈)
ⅰ)クラスターチューブを用意する。
ⅱ)②∼⑦にリン酸緩衝液 0.9 ml を入れる。
ⅲ)①に照射液 1 ml を入れる。
ⅳ)①からピペットで 100 μℓの菌液を取り②に加え、そのまま 40 から 50 回液を出し
入れして混合する。
ⅴ)その②から 100 μℓの菌液を取り③に加え、よく混合する。
ⅵ)その③から同様に④ヘ加え、よく混合する。
ⅶ)以降についても、同様に行う。
(プレーティング)
ⅰ)プレート(寒天平板培地)3 枚を回転台に置く。
ⅱ)ピペットで適当な希釈液 100 μℓとり、プレートの中央に乗せ、同じ希釈率のもの
を 3 枚作る。
ⅲ)台をゆっくり回転させながらスプレッダーで徐々に広げ、菌液が乾くまで広げる。
ⅳ)プレートの蓋に線量と希釈率を記入する。
表 2:大腸菌に照射した線量と選んだ3段階の希釈率
線量[Gy]
希釈率1
希釈率2
希釈率3
0
10E(−6)
10E (−5)
200
10E (−5)
10E (−4)
10E (−3)
400
10E (−3)
10E (−2)
10E (−1)
600
10E (−2)
10E (−1)
10E (−0)
800
10E (−1)
10E (−0)
表 3: デイノコッカス・ラジオデュランスに照射した線量と選んだ3段階の希釈率
線量[Gy]
希釈率1
希釈率2
希釈率3
0
10E(−6)
10E(−5)
10E(−4)
2000
10E(−6)
10E(−5)
10E(−4)
4000
10E(−6)
10E(−5)
10E(−4)
6000
10E(−6)
10E(−5)
10E(−4)
8000
10E(−5)
10E(−4)
10E(−3)
(3) 適温でコロニーが見えるまで培養する。
ⅰ)実験で照射した放射線量を測定する。
アラニン線量計を ESR 測定装置で調べる。
ⅱ)吸収線量の計算をする。
(4) 菌の生菌数(コロニー数)を数え、放射線量と生存率との関係を片対数グラフに表
す。
2
身の周りの雑菌について
(1) 手を培地に押し付け菌を培養する。(手洗い前、手洗い後、70%エタノール消毒後)
(2)手洗い前のものに紫外線を照射する。(蓋あり、蓋なし)
(3)手洗い前のものに 60Coγ線を照射する。(蓋あり)
3
果物の殺菌
(1)イチゴを 6 個ずつ 2 つのトレイに並べ、サランラップで密封する。
(2)1 つのトレイには 60Coγ線を照射、もう1つのトレイには照射せず、2 つのトレイを同
じ環境で保存し 1 週間後に鮮度を比較する。
Ⅴ
1
結果
デイノコッカスと大腸菌へのγ線照射実験
γ線を照射したデイノコッカスと大腸菌の培地のコロニー数を数え、生存率を求めた。
結果は次のページの表 4 および表 5 のようになった。表は、左から、照射したγ線量、3
枚のシャーレそれぞれのコロニー、その平均値、菌懸濁液の希釈率、希釈前の生菌数(コロ
ニー数の平均値・10/希釈率)、非照射試料の生菌数を1としたときの生存率(真の生菌数
/0 Gy 照射の真の生菌数)を表している。また、生存率の変化を図 2 に表した。
表 4:大腸菌の生存率
線量[Gy]
平均値
コロニー数
希釈率
真の生菌数
生存率
(ml 当たり)
(0.1ml 当たり)
(1)
(2)
(3)
0
75
68
56
66
10−6
6.6×108
200
83
87
112
94
10−4
9.4×106
1.417×10−2
400
60
56
51
56
10−3
5.6×105
8.386×10−4
600
284
298
236
271
10−1
2.71×104
4.087×10−5
800
350
368
388
361
1
3.61×103
5.565×10−6
1.00
表 5:デイノコッカスの生存率
線量[Gy]
コロニー数
平均値
希釈率
(0.1ml 当たり)
真の生菌数
生存率
(ml 当たり)
(1)
(2)
(3)
0
262
314
307
294
10−5
2.94×108
1.00
2000
305
300
303
304
10−5
3.04×108
1.03
−5
8
0.938
4000
279
299
250
276
10
6000
224
214
221
220
10−5
2.20×108
0.748
127
−5
8
0.432
8000
138
123
120
10
2.76×10
1.27×10
図 2:大腸菌と放射線耐性細菌の生存曲線
2
身のまわりの雑菌について
手洗い前のものが一番コロニーの数が多く、手洗い後ではそれほどコロニーはなかった。
エタノール消毒したものにもコロニーが見受けられた。紫外線照射したもので蓋なしのも
のは(一人を除き)雑菌は全て死滅しコロニーはなかった。しかし、紫外線照射で蓋有りのも
のは少しコロニーがあった。(紫外線量は 590 μW/cm2)
図 4:放射線照射の結果
図 3:菌の増殖の違い
3
果物の殺菌
放射線照射ありとなしでは違いが明らかであった。照射したものはしていないものより
新
鮮な状態であった。日本の法律により自ら食べて違いを見ることができず残念だった。
図 5:放射線照射・非照射の違い
Ⅵ
考察
1 デイノコッカス(放射線耐性菌)と大腸菌への照射実験
デイノコッカスと大腸菌の違いは遺伝子を構成する要素であるDNA分子の化学物質と
しての性質にはなく、両者とも同じように放射線による損傷を受けることがわかっている。
すなわち、照射後生存率の違いは、両者のDNAの修復能力の差から生じていると考えら
れる。つまり、破壊されたDNAをすばやく、かつ正確に修復できるデイノコッカスは多
く生き残り、そうでない大腸菌は生き残れなかった。このことから、放射線は細胞のDN
Aに傷をつけ、その個体の生存・増殖を妨げるため、殺菌効果があると考えられる。
2
身のまわりの雑菌について
手洗い前のものには予想ほど菌の増殖が見られず、手洗い後のほうは予想よりも多かっ
た。これは、手洗い前には手が乾燥していたため、菌が培地につきにくかったからだと考
えられる。
70%エタノールで消毒したものは、手洗い後より菌が少なかった。蓋をして紫外線を照射
したものは紫外線が遮られるので、菌の発生が見られるはずなのだが、今回の実験ではほと
んど菌がなかった。これは、もともと手からプレートに移った菌が少なかったからだと考え
られる。蓋を開けて照射したものには全く菌がなかった。しかし、蓋なしでも生き残ってい
た菌もあった。これは紫外線に強い芽胞であったと思われる。
3
果物の殺菌
箱に入れたイチゴを密封し、60Co のγ線を照射し、一週間後に照射していないものと鮮
度を比較した。その結果、照射していないものには白いカビが大量に生えていたが、照射
したものはカビが少なかった。このことから、γ線によってイチゴの表面に付着していた
カビが殺菌されたと言える。
Ⅶ
今後の課題
今回は殺菌作用についてわかったが、今後は人間に対する紫外線の影響を中心に調べてみ
たい。放射線耐性菌のデイノコッカスの存在を知り興味深く思ったので、なぜ放射線に強く
なったのか調べてみたい。海外では食品の殺菌・殺虫や植物防疫のために放射線照射が行わ
れていることを知り、どのように、そしてどの範囲まで放射線が利用されているのか調べて
みたいと思った。日本での放射線の活用についても知りたいと思った。
Ⅷ
感想
大まかにではあるが放射線殺菌の原理についてわかり放射線に対する正しい知識が得ら
れた。研究所の照射室の厳重な管理等々、今まで思い描いていた程、恐ろしいものではなく、
多少の知識さえあればよいということがわかった。これからは放射線と人体に対する影響
等、疑問に思ったことを調べていきたい。
放射線で医療器具等を殺菌する、といった話をよく聞くので、以前から放射線の殺菌作用
には興味を持っていた。SSH でそのことについて調べ、普段私たちだけではできないような
実験をすることができてとてもよかったと思う。私は今後、農学系に進みたいと思っている
が、農学でも品種改良や植物の機能の解明などに放射線が使われている。このような殺菌作
用以外の放射線の利用にも今後目を向けていきたい。
今回の実験や講義で放射線についての知識が深まりました。日本では他国と違いまだ放射
線の食品への利用が広がっていません。しかし、放射線のことをよく理解しないまま怖がっ
たりするのは良くないと思いました。放射線は良い使い方をすれば人や動植物に悪影響を与
えるものでもないし、役にたち将来に発展性のあるものだと思います。これから、放射線が
いろいろなところで見直され活用されればいいと思います。
放射線についての正しい知識がなく、ただ単純に「放射線は危ないもの」と思っていました
が、今回の実験や原子力機構の方々のご協力で、「放射線を正しく怖がる」大切さがわかりま
した。また、デイノコッカスの放射線への強さを視覚的に捉えることで、とても興味をひか
れました。今後、「なぜデイノコッカスはDNAの修復能力に長けているのか」「そのように
なった要因は何だったのか」が解明されることを楽しみにしています。
協力:独立行政法人日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所
化粧品と肌の関係
Ⅰ
概要
私たちは化粧品の肌への影響に興味を持ち、資生堂の協力の下、肌の基本的な知識から化
粧品業界の最先端技術まで、見学・講義を通して学びました。
Ⅱ
はじめに
「美肌」とは人類の永遠のテーマであり、人々は美しい肌を求めるため様々な試みをして
きました。化粧品はその過程で生まれ、今や私たちにかかせないものとなっています。そこ
で今回は化粧品の「スキンケア」に注目し、化粧品の果たす役割や肌の基礎知識、外部から
の刺激から身体を守る構造などについて、実験や調査を行いました。
Ⅲ
Ⅳ
1
日程
5月12日
資生堂リサーチセンター見学
6月
講義「紫外線について」
9日
6月16日
講義「化粧品の安全性について」
6月23日
講義「肌の基礎知識について」
活動内容
紫外線
地球上には、太陽光線(電磁波)が降り注いでいます。太陽光線は波長の長さにより、
赤外線(750nm以上)、可視光線(780∼400nm)、紫外線(400∼200nm)、放射線(200
nm以下)に分けられます。紫外線は、日焼け、シミ、ソバカスの原因となるほか肌の老
化を早める要因として、皮膚にとっては敵と考えられています。また、最近では体全体の
免疫力を退化させることもわかっています。紫外線はさらに、UV-A(400∼320nm)、UV-B
(320∼280nm)、UV-C(280∼200nm)に分けられます。
UV−A:日常紫外線と呼ばれます。
真皮まで達して、メラノサイトを刺激してシミの原因をつくり、ハリや弾力を
担うコラーゲンやエラスチンの働きを破壊するため、しわ・たるみの原因にも
なります。窓ガラス、雲も通します。
UV−B:レジャー紫外線と呼ばれます。
海水浴やスキーなどのアウトドアスポーツやレジャーシーズンの日焼けの主な
原因となります。表皮に影響を与え、肌は、炎症を起こし、しみ・ソバカス・
乾燥の原因になります。また、遺伝子レベルにまでダメージを与えることがあ
ります。
UV−C:大気に阻まれ、地球上には届きませんが、オゾン層が破壊されると地球上に
も届いてしまいます。非常に有害です。
紫外線は、晴れている日だけ降り注いでいるわけではありません。曇りの日は晴れの日
の約 65%、雨の日は約 20%降り注いでいます。また、空気のきれいなところほど紫外線
は強いです。
☆紫外線の実験
美白剤にはアルブチンとビタミン C が含まれていて、それぞれの働きは異なります。
この働きについて、実験を行いました。結果はチロシンの中にアルブチンを入れると、
チロシナーゼの発生を阻害し、ドーパ、メラニンにならないのでそれ以上黒くなるの
を防ぐことができ、すでにメラニンが生成されてしまった後でビタミン C を入れると、
黒くなったものがもとに戻りました。
紫外線は、日焼けや皮膚がんを引き起こすだけでなく、白内障や免疫低下の原因に
もなります。そのため、外出時には十分な紫外線対策が必要です。
☆紫外線対策
◎ 帽子をかぶる
帽子はつばが 7cm以上のものが良く、顔に浴びる紫外の 60%をカットすることが
できます。
◎ サングラスをかける
サングラスは目の保護ができるため、真夏の外出や冬のスキーなど特に紫外線の強
い日には必要です。
◎ 日焼け止めを使う
日焼け止めは、粉による反射で紫外線の吸収を防ぐ散乱剤と人間に紫外線を吸収さ
せずに日焼け止め自身が紫外線を吸収する吸収剤によって作られていて、UVB をカッ
トする「SPF(Sun Protection
Factor)」と UVA をカットする「PA(Protection Grade of
UVA)」の強さや、男性用、女性用、幼児用などで種類が分けられます。参考としては、
日常生活や散歩、買い物のときは SPF10、PA+のもの、屋外での軽いスポーツやレジ
ャーなどのときは SPF20∼30、PA++のもの、海や山でのスポーツ、レジャー、また
炎天下のときは SPF40∼50、PA+++のものを使うと効果的です。しかし汗をかいた
り水で洗ったりすると効果が落ちてしまったり、また SPF の効果が持続する時間は SPF
の値×20 分(日本人が日焼けする標準時間)のため、こまめに塗り直す必要があります。
◎ 濃い色の、厚い服を着る
夏は薄手の洋服を着ることが多くなりますが、紫外線を防ぐためにはなるべく色の
濃い、厚手の洋服を着るほうが効果的です。
☆紫外線の強さ
対策も紫外線の強さによって決める必要があります。まず季節の面から見ると、晴
れた日の UVB が春から夏にかけて強くなります。わたしたちは気温の上昇とともに紫
外線も強くなって、一番紫外線が強くなるのは 8 月だと思っていますが、紫外線は夏
より一足早く訪れ、6 月には冬の 4 倍以上の強さになるため外出時には特に注意が必
要です。また場所の面から見ると、芝生は 1%、コンクリートは 5%、砂浜は 15∼20%、
雪面は 80∼95%の反射率があり、その分紫外線も強くなります。そのため、冬にスキ
ーをするときには十分注意が必要です。また 1 日の中だけで見ると、午前 10 時∼午後
2 時の間に 1 日の半分紫外線が注いでいます。
☆紫外線の実験
美白剤にはアルブチンとビタミン C が含まれていて、それぞれの働きは異なります。
この働きについて、実験を行いました。結果はチロシンの中にアルブチンを入れると、
チロシナーゼの発生を阻害し、ドーパ、メラニンにならないのでそれ以上黒くなるの
を防ぐことができ、すでにメラニンが生成されてしまった後でビタミン C を入れると、
黒くなったものがもとに戻りました。
2
化粧品の安全性
(1)安全性保証
・化粧品における原料の精製度合いや処理法、配合量は、すべて企業に委ねられている。
・化粧品の安全性は化粧品メーカーにとって最も重要なテーマである。
どのようにして化粧品の安全性を保証しているのか。
1)徹底した研究
2)厳しい安全性テスト
安全性保証の流れ
原
料
開
発
製
開
発
製品の安全性保証
安 全 性 評 価 法
約80 も の テ ス ト
検証・改善
安全性保証
市場導入
消費者の情報
よりよい製品
より高い安全性
フィードバック
原料の安全性保証
品
(2)消費者が気にしている原料
○ 「安全性に問題がある」と聞いたことがある成分
①防
腐
②香
料
③鉱
物
剤
60.5%
51.1%
油
39.5%
④ 界面活性剤
34.8%
⑤ アルコール
33.9%
⑥色
素
26.6%
⑦ 紫外線吸収剤
12.9%
(肌トラブルを経験している一般消費者対象)
○ 各成分の使用目的と安全性
① 防腐剤
目的)化粧品を製造する際や使用する際に微生物が混入することによって成分が
変質するのを防ぐ
安全性)少ない防腐剤量で適切な防腐力を確保しているので、化粧品に用いられる
防腐剤は安全性が高い(但し、人によっては例外有り)。
② 香
料
目的)・使用者に心地よさを与え、使用者本人の魅力を引き出す
・原料固有のにおいをマスキングする
・使用者自身の心や体に心理面、生理面で有用な働きかけをする
(アロマコロジー)
安全性)香料の国際研究機関RIFMの情報や皮膚科医からの情報、安全性テスト
結果をもとに安全性に優れた香料のみを使用しているため、安全性は高い。
③
鉱
物
油
目的)*ミネラルオイルの場合*
・角層になじんで水分が逃げないように保護し、柔軟な肌に整える
*ワセリンの場合*
・肌や唇を保護し、水分の蒸発を防ぐ
・クリームや乳液の感触を調整する
安全性)肌トラブルを起こすのは鉱物油に含まれている不純物であり、それ自体は
安全。またこのことは戦後間もない頃の話であり、現在では十分精製し、
厳しく安全性を確認したものを使用しているため、安全性は高い。
④
海面活性剤
目的)肌に必要な水分と油分を同時に補う
安全性)多くの種類の界面活性剤を検討し、数多くのテストを実施し安全性の評価
を行ったり、乳化力や可溶化力などといった性能の評価を行い、厳選した
ものを安全な濃度で使用しているため、安全性は高い。
⑤
アルコール
目的)・化粧品を配合することによって肌の上で水の玉になりにくくし、なじ
み易くする
・防腐剤無しで微生物による成分の変質を防ぐ
・成分の溶解を助ける
・ヒヤッとしたクール感、さっぱり感を与え、肌を引き締める
安全性)商品の種類、使用部位、使用目的、肌質ごとに安全性や機能などを十分に
理解した上で配合しているため、安全性は高い。
⑥ 紫外線吸収剤
*作用*紫外線を吸収して熱などのエネルギーにして放出する
*特徴*透明性に優れ、白くならない
目的)UVカット
安全性)最適な配合濃度や基剤との組み合わせを研究し、安全性を高めている。
※UV効果を持つものは、紫外線吸収剤以外に紫外線散乱剤というものがある。
*作用*光を反射する粉末を利用して皮膚表面で紫外線を反射する
*特徴*可視光まで散乱させるため、白くなることがある
3
香料研究
香料研究は化粧品開発にとってなくてはならないものです。
ほとんど伝承によるもので正統な裏付けが無かった香りの効果や用法は、近年科学的に
も立証されました。天然香気原料から真に効果のある成分も解明されています。
例えば、同じ重さのものであってもレモンの香りのものは軽く感じられ、オークモスの
香りのものは重く感じられます。また、同じクリームを塗ったとしても、ミントの香りの
ものはサラサラするよう感じ、バニラの香りのものはしっとり感じます。
このように香りは重量感・使用感などに影響します。それは化粧品のイメージにとても
重要な影響をもたらすのです。
疲れているとき肌が荒れる、楽しいときは化粧のりもいい。このように肌と心の間には
密接な関係があります。
ストレスを緩和することにより肌状態を改善させようという研究が行われています。そ
こで注目されるのもまた、香りの効果です。香りをかぐことによってもたらされる心理的・
生理的効果でストレスを緩和し、肌状態を改善する。それがアロマコロジーの考え方です。
天然由来の香気の中から、気持ちを落ち着かせたり高揚させる効果を持った成分を抽出。
それらの成分を効果的に用いて、香りによるストレス緩和、そして肌の改善を期待します。
それらは主にフレグランスを中心に利用されてきましたが、今では肌との関連性に着目し
たスキンケア商品にも応用されています。
4
肌の基礎知識
ターンオーバーの働き
ケラチノサイト(表皮細胞)という細胞がターンオーバーによって、形・成分・働
きを変えていきます。
ケラチノサイトは基底層で生まれ、体内から栄養を補給して 2 個の細胞に分裂し、
このうち 1 個は基底層にとどまって次の細胞分裂に備えます。もう 1 個の細胞は有棘
細胞→顆粒細胞→角質細胞となって角質層にとどまり、やがてフケやアカとしてはが
れ落ちます。
メラノサイト(色素細胞)は、紫外線から身体を守り、ケラチノサイトに取り込ま
れて変化しながら角質層まで上がっていきます。この働きは、色々な外界の刺激から
身体の内部を守っているのです。
☝肌がきれいだと角質細胞も
大きさが整っている。
皮膚表面の pH は4.5∼6.5の弱酸性です。この pH 領域では最近の活動が抑えら
れるので、皮膚についた細菌が繁殖し、トラブルを起こすのを防いでいます。皮膚の
pH は入浴などで一時的に中性に傾きます。しかし、健康な皮膚にはもとの pH に戻そ
うとする働きがあります。これを皮膚の緩衝能といいます。
一般的に中性に傾いた肌は、刺激を受けやすく、デリケートな状態になっています。
肌荒れや敏感肌の状態では、pH のバランスを保つ働きが弱いため、外からの影響を受
けやすく、皮膚トラブルを起こしやすいと言われています。
Ⅴ
今後の課題
・外用である化粧品を、外用していてさらに内側(心)へ働きかけて肌を改善できるものにす
るには、香りなどの効果のほかにどんなアプローチができるか考えてみたい。
・メーキャップ製品の質による肌への影響を調べてみたい。
・肌を美しく保つための十代からのスキンケアについて調べてみたい。
Ⅵ
感想
今回最も印象に残ったのは、 Creative Integration という言葉でした。ひとつの化粧品に
は、ありとあらゆる専門知識と技術が凝縮されており、その細かなひとつひとつが、大きな
結晶である最終製品をつくっていました。そしてそこには、たずさわった多くの人々の情熱
と愛がこもっていました。これは化粧品に限ったことではありません。私も、素晴らしい成
果のひとつの成分となって貢献できるようになりたいと思います。
今回の活動を通して、「紫外線について」や「対策について」学び、紫外線がいかに人体
に悪影響を及ぼしているか、また強い日差しの中で対策をしないと皮膚ガンになる可能性あ
ることなど、今後生活していくなかで役立つ知識を得ることができました。今まであまり意
識して対策してこなかったので、年をとってもシミやしわの少ない肌を保てるように、これ
から気をつけていきたいと思います。
今回、資生堂の方の講義を受けたり、研究所への見学などを通して、化粧品と肌との関係
について学ぶことが出来たと同時に、科学と化粧品との深いつながりをも知ることが出来ま
した。今回の活動により、科学に対する関心がより一層深まることが出来、今回の貴重な経
験をどこかで生かしていきたいと思います。
私は今まで、化粧品は外見を美しくみせる道具としか考えていませんでしたが、この研究
を通して化粧品がスキンケアの分野でも大きな役割を果たしていることを学ぶことができ
ました。また施設見学などでは、化粧品作りに携わる人々の熱意や情熱を直に感じ、私たち
にとって肌がいかに重要であるのかを改めて考えさせられました。更に広がるであろう美肌
への無限の可能性をこれからも追い続けていきたいです。
肌を美しい状態にするというのは私たちにも身近なテーマだけれど、一つの化粧品は様々
な人の様々な分野の研究の集大成であり、最先端の技術がつまったものだと知りました。今
回は何よりも、研究所に足を踏み入れることができたのが感激でした。
肌や化粧品(シャンプーなどのスキンケアも含めて)に関わることで、将来だけでなく今
から使えそうなことや、知っていて役に立つことを知れたことがうれしかったです。リサー
チセンターはすごく綺麗なところで、研究所に対するイメージが変わり、また、女性の研究
者がたくさんいらして、楽しそうに働いていらっしゃるのが、印象的でした。お世話になっ
た資生堂さんに感謝したいと思います。ありがとうございました。
☆参考
http://www2.health.ne.jp/library/uv/index.html
☆協力
資生堂
ロボッツ
Ⅰ
概要
人型ロボットKHR−1の組み立てキットを使用して、本体の組み立てからプログラミン
グまでを行った。
Ⅱ
はじめに
最近、ASIMOやパーソナルロボットなどのようなヒューマノイドロボットに注目が集
まっている。人間とロボットが共存する日も、そう遠くないともささやかれている。私たち
は、そのようなロボットにとても興味があった。また、ロボットの製作に携わる講師の方々
から、講義をしていただき、ロボットに対する興味がよりいっそう深まるばかりだった。そ
こで、 実際に自分たちの手で組み立て、プログラミングを行い、ロボットを動かしてみたい
と思い、今回の活動へと至った。
Ⅲ
活動日程
4月21日(金)
4月28日(金)
5月12日(金)
5月19日(金)
6月
2日(金)
6月
9日(金)
組み立て
6月16日(金)
6月23日(金)
7月14日(金)
9月
1日(金)
9月
8日(金)
プログラミング
レポート作成
Ⅳ
組み立て
1
ブラケットへの組み込み(ロボットを構成するモーターの保護)
まず最初に、モーター(サーボ)にフレーム材(ブラケット)を取り付ける。
モーターについているねじ(ケースビス)をいったん外して
から共締めで固定する。
2
ボディーの組み立て(モーターの取り付け)ボディー(胴体)
の部分の組み立てを行う。
1で取り付けたモーターをボディーフレームと組み合わせ
て、上半身を作る。
3
手のパーツ組み立て
1のモーターにハンドパーツ、サーボアーム(腕の
関節)を取り付ける。
左右同じように取り付ける。
4
サーボアームの組み立て
胴体と脚をつなげるパーツをつくる。
向きが異なる 2 種類のフレーム材(サーボアーム)
を 2 個ずつ組み立てる。
5
サーボホーンの取り付け
モーターは無制限に動くわけではなく、動作角度は最大で 180 度程度である。
そのため手の動きや脚の動きを一定にするために最適なサーボホーン(ロボットの間接
部となる部品)の取り付け位置を調整する必要がある。
まず、基盤にモーターをつなげて電気を流してホーンの穴が直線になるように取り付け
る。
直線になったら専用のねじを取り付けて固定する。
6
腕と脚のパーツ類の組み立て
腕はⅢで作成したハンドパーツをⅤで調整したホーンの位置がずれないように取り付け
る。
脚はⅣで作成したサーボアームと足裏(フットソール)を腕と同じようにホーンの位置
がずれないように取り付ける。
7
基盤の固定
モーターに電気を流す基盤をボディの後ろに取り付ける。
8
最終組み立て
それぞれのパーツ(腕、脚、ボディ)を左右に気をつけて組み合わせる。
最後に頭を取り付けてロボットの組み立ては完成!
9
サーボ接続
それぞれのモーターと基盤を接続する。
このとき間違った接続をするとちゃんと作動しないので、間違わないように接続するこ
と。(配線は絡まってしまう恐れがあるので束ねておく)
Ⅴ
1
プログラミング
ホームポジション:動作の基本となる体勢
初期状態の場合,重心が後ろにあるので自立して立つことが出来ない。またサーボへの負荷と
消費電力を最小限にするためにも,重心を体の中心にする必要がある。そのために足のサーボを
一直線にし,上体は直立姿勢にする。
←初期状態の足の脚と
ホームポジションでの脚の形
2
モーション
モーションの設定には直接データ入力する方法と教示機能を使う方法がある。
・データ入力
パソコンの画面に直接数値を入力し,ロボットの体勢を見ながら微調整する。こ
の場合,パソコンからロボットの方向へ信号が一方通行になる。
*モーション例;おじぎ,Dancing
〈おじぎ〉
ホームポジション→右足を前へ,左足を後ろへ
足を前後に動かすと同時に膝を曲げる
右手を曲げて胸の前へ
これらを同時に
行います
前傾姿勢
ここで苦労したことは,膝を曲げた状態で重心を体の中心に持ってくることと,サ
ーボの回転角度の限界を考えながら前傾姿勢にさせることだ。前者は左右の足の屈伸
を調節して最適な体勢を探し,後者では腰の角度だけでなく,足の角度も使って傾か
せた。
・教示機能
現在のサーボ出力軸の位置をデータとしてパソコンに送ることが出来るので、自由
に動かせるようにしたサーボを直接触って動かすことによって,サーボの位置を決め,
その体勢のデータを決定することが出来る。
*モーション例;腕立て伏せ
両手を伸ばして前に出す→膝を曲げる→腰を曲げる(重心が前に来るので自然と前
に倒れる)→膝を伸ばす→ひじを繰り返し屈伸させる
ここでのポイントは,倒れたときにロボットへの衝撃が軽減されるように重心を移
動させる前に膝を曲げて,高さを低くしたことだ。
Ⅵ
考察
ロボットを直立させる場合は重心が本体の中心になるように設定しないと安定しないこ
とと、サーボの位置だしであらかじめ初期の位置に戻しておかないと、実際に動かすときに
違った角度に動いてしまうことがわかりました。また、モーターの基盤を繋ぐ配線を位置と
長さに合わせて取り付けたり、束ねて固定することで動きがスムーズになることも重要で
す。
Ⅶ
今後の課題
今回は3グループのうち2グループが十分にプログラミングまで実践できなかったので、
時間配分を考えて製作計画を立てることが必要だ。また、プログラミングでは簡単な動きが
多くなってしまったので、より複雑な動きに挑戦してみたい。
引用
http://www.kondo-robot.com/index.html
Ⅷ
感想
SSH講演でロボットの話を聴いてから、ロボット製作に興味を持ち,エキサイティング
サイエンスで実際に作りたくてロボット製作に参加した。組み立てる過程では、体の各部分
の関節がうまく機能しなかったり、なかなかホームポジションが定まらなかったりと予想以
上に大変な作業だった。でも、作っていると時間を忘れてしまうくらい楽しくて、とても貴
重な充実した体験をした。様々な企業で紹介されている人型ロボットはこれからも今まで以
上に目を見張る発展を遂げていくと思う。だから私たちが社会に出たときに今回の活動で学
んだことをこの発展に貢献していきたいと思った。
今日、日本においてもロボット開発が進んでいる。人型や動物型をはじめ、様々な場面で
活躍するロボットは私たちの生活と密になりつつあると言える。今回取り組んだ二足歩行型
ロボットの製作は、組み立ての細かい作業につまずき、すべて順調に進んだとは言えないが、
当初の目標であったプログラミングの過程までたどり着くことができた。1体のロボットを
完成させることができたときは、満足感でいっぱいで、ロボット製作の楽しさと苦労を実感
することができた。今回の経験を良い機会に、今後、益々の発展が見込まれるロボット研究
に私自身も目を向けていきたい。
エキサイティング・サイエンスⅢを通して,科学技術の素晴らしさを改めて実感すること
ができました。1,2 年次の SSH 活動では施設見学や講義といった活動が多かったのですが,
もともと何か作ったり考えたりすることが好きだった私にとって,自分たちの手で一から物
を作り上げていくという経験ができたことは本当に良い経験になったと思います。また,は
じめてのプログラミングで自分の手で組み立てたロボットが動いたときはとても感動しま
した。今回の活動を通して,仲間と協力して,自分たちの手で何かをやり遂げる大変さを学
び,喜びと満足を得ることができました。
全く原型のないパーツを目の前にした時、ほんとにこれがロボットになるのか疑問に思っ
た。しかし、毎時間、少しずつ組み立てていくうちに、ロボットの仕組みなどがわかるよう
になり、ロボットに対する好奇心が深まるばかりだった。途中、ロボットが起動しなくなる
という問題が発生し、冷や汗をかく場面もあったが、無事プログラミングにも成功し、ロボ
ットを起動させることができたのでよかった。簡単なプログラミングしかできなかったが、
貴重な経験が出来たと思う。
初めはプログラミングだけがしてみたくてロボット班にいました。けれども作っていくう
ちにだんだんロボットの形になっていくのがわかって、細かい作業などが大嫌いだったので
すが、このロボットを作るためなら、と班のみんなと協力して作り上げることができました。
説明書を読んでいたのにも関わらずたくさんの間違いをしたし、たくさんのハプニングもあ
りました。そのたびに違う班の子に教えてもらったり、自分たちで何とかしようといろいろ
試行錯誤を繰り返してみたりしてちゃんと完成した時は、本当にこの班にいてよかったと思
いました。
最後には生き生きとした動きをするロボットを見ながら、自分たちのプログラミング能力
を確認し、現在のロボット工学の素晴らしさを満喫する、という初めの予定とは、大幅に違
ってしまいました。しかし、滑らかとまではいかないけれど、ロボットが自分たちのプログ
ラミング通りに動いた時には、感動しました。この活動で、失敗を協力して乗り越えること
で、更なる発見や新しい視点が見つかるということを実感して、何事にも恐れず挑戦する力
と、失敗を失敗のままで終わらせない力が、研究において大事だということを、改めて感じ
ました。この経験を自分自身の発展に生かしたいと思います。
現在ロボットは研究が進み、さまざまな分野での活躍が期待されています。そのような人
間みたいに動くロボットを作ってみたいという興味からこの班に参加しました。しかし、ロ
ボットの作成は、部品がとても細かかったり、左右を間違えたりと本当に難しかったです。
また、ロボットはちょっとした間違えで動かなくなり、人間の動きの複雑さを感じました。
ロボットが形になり始め少しでも動いたときは感動しました。良い体験ができたと思いま
す。
物を作ることが好きで機械にも興味がある私には、ロボット作りは最適な研究課題であ
り、しかも車輪のロボットでなく二足歩行のロボットを作成する機会が得られたことを幸運
に思っている。製作途中では、サーボの動く角度を考えずに取り付けてしまって、ビスを外
してやり直したり、プログラミングの仕方が最初わからなかったりして行き詰ったこともあ
ったが、出来上がってロボットが命令通りに動いたときの感動は何者にも変えがたい。じゃ
がりこ 3 号!!!手のかかるやつだったけど愛してるよ!!!
SSH 群馬大学医学部班
Ⅰ
基礎遺伝子実験
活動日程
6月9日(金)
於
群馬大学
新興再興感染症についての講義
実習
①基礎遺伝子実験
②赤痢アメーバの観察
Ⅱ
実験:プラスミドDNAの精製、制限酵素処理と電気泳動による確認
1
目的
プラスミドとは細菌や酵母の細胞質内にあって、細胞内で複製され、娘細胞に分配され
る染色体以外のDNAの総称である。細菌や酵母の細胞質内に存在し、染色体のDNAと
は独立して自立的に複製を行う。一般に環状構造をとる。現在、プラスミドとしてよく呼
ばれるものは、遺伝子組み換えの際に用いられるベクターとして様々な人工的な改変がさ
れた環状二本鎖 DNA のものが多い。大腸菌を用いた遺伝子クローニングでは、プラスミ
ドを取り出し、酵素で切断し、切断部位に増幅しようとする DNA 断片を酵素で組み込む。
この組み換え DNA を大腸菌に導入し、大腸菌の増幅により、組み換え DNA を増幅する。
今回の実験では、このようなプラスミドDNAを大腸菌より精製し、正しいプラスミド
DNAが精製されているかを、制限酵素処理と続いて行う電気泳動により確認する。
2
材料
・一晩液体培養した大腸菌
・プラスミドDNA精製キット
・制限酵素
・0.7%アガロースゲル
3
方法
(1)プラスミドDNAの精製
・大腸菌培養液をチューブに移す
・resuspension solution(RNase+)で再懸濁する
・Lysis solution 加えて転倒混和し、弱アルカリ性でたんぱく質を破壊する
・遠心分離を行い、DNAとたんぱく質を分離させる
・DNAを含む上澄みに Wash solution を加える
・透過した液を捨て、滅菌水を加え、プラスミドを溶質させカラムを捨てる
(2)制限酵素処理
・2 種の混合溶液を作成する
<1>
<2>
精製したプラスミドDNA
精製したプラスミドDNA
滅菌水
滅菌水
BamH I Buffer
BamH I Buffer
BSA
BSA
BamH I
BamH I
Sal I
Total
50μl
Total
50μl
・以上の溶液を混合し、37℃で60分反応させ、その後75℃で酵素を失活させ反応
を停止させる
※BSA:bovine serum albumin 仔牛血清アルブミン
1 mg/ml のウシ血清アルブミンを使う。反応液中の制限酵素は低濃度になるが,ウ
シ
血清アルブミンを混ぜておくと酵素タンパクの安定性が増す。
※制限酵素について
制限酵素は、決まった塩基配列の 2 本鎖 DNA を認識して、それを切断する酵素
の総称である。今回使用する BamHI という制限酵素は、 [5'-GGATCC-3'] という配列
を認識してこれを [G / GATCC] という風に切断する。また、Sal I は[5'-GTCGAC-3']
という配列を認識して、[G / TCGAC]に切断する。
(3)アガロースゲル電気泳動
制限酵素処理したチューブに 10×loading buffer を 5.5μl 加える(2本とも)。
各チューブからを 20μl とり、0.7%アガロースゲルに順番に sample を入れる。
100Vで 30min.泳動する。
※電気泳動の原理
ゲル状の平板の片側に混合材料を置き、一方に電流を流し、物質を分離する方法の
こと。DNAはリン酸基を多数持ち、負の電荷を帯びているので+極に向かって移動
する。電気泳動は、DNAが短いものほど速く遠くへ、長いものほど遅く近くに移動
することを利用した分析法である。
今回の実験で行ったアガロースゲル電気泳動は、アガロース(寒天の主成分)ゲル
を使用した電気泳動により、核酸をその大きさに応じて分離する手法。
数ある電気泳動の中でも、もっともオーソドックスなものといえる。
→電気泳動アガロースゲル図
↑アガロースゲル
4
→操作中
結果
電気泳動したものを写真に撮り、制限酵素が働いているかどうか確認する。
写真は中央のバンドがマーカーで、両側2本ずつのバンドはすべて左が溶液<1>、右
が溶液<2>である。
①
②
③
④
・ それぞれの写真でバンドが見られたので、制限酵素が正常に働いた事が示せる。
・ ①∼④全ての写真において、<1>の溶液ではバンドが1本だけ確認された。
しかし、<2>の溶液では、②の右側と④の右側以外はそれぞれ2本のバンドが確認
されたが、②に関しては1本のみ、④に関しては3本のバンドが確認された。
5
考察
<1>の溶液ではバンドが1本確認されたので、BamH I が働き、プラスミドのある1
カ所を切断したことが分かる。また、<2>の溶液ではバンドが 2 つ確認されたので、
BamH I、Sal I2つの酵素が正常に働き、プラスミドのある 2 カ所を切断したことが分か
る。
②の右の写真では、溶液<2>を入れた方は、①のようにバンドが 2 本見えるはずだが、
1 本しかない。これは、どちらかの制限酵素が溶液に含まれていなかったためであると思
われる。
また、④の右の写真では、溶液<2>を入れた方は、2 本のバンドが見えるはずだが、
<1>の時と同様のバンドがでており、計 3 本のバンドが現れてしまった。
このような事が起こってしまった原因は以下の 2 つが考えられる。
① 制限酵素濃度が足りずすべてのプラスミドを切断できなかった
② 制限酵素処理中に何らかの原因で酵素が失活した
Ⅲ
感想・今後への課題
大学で行われる基礎実験をさせて頂いたが、やはり実験の難しさというのをとても感じ
た。精密さと慎重さが必要で、且つ必ずしも正しい結果が得られるとは限らない。今回は基
礎的なもので、応用・発展した実験は出来なかったが、この実験で得られた、実験に対する
心構えというものを忘れずに今後に生かしていきたいと思う。
形質転換を起こさせる実験は学校で経験していたが、今回はさらに奥深く、難しい実験だ
った。何をしているかわからず言われたままに操作をしてしまうことも多少あり、自分の知
識不足を強く感じた。しかし高校のレベルを超えた大学の研究らしいものが体験でき、より
興味を持つ契機となった。
今回実験をさせて頂き、実験には計画性、正確さ、慎重さが重要だということを改めて体
感することが出来た。結果を基に、なぜその結果が得られたか考えることで、納得するまで
探求する姿勢を更に身につけられたように思う。この実験を機に DNA に関する他の実験に
ついても調べたりと、生物に関しての知識・興味を益々増やすことが出来、自分にとっての
大きな刺激となった。
今回の実験で、一見単純な操作にも細かな注意が必要で、DNA のように小さなものを扱
う実験の難しさを実感するとともに、なぜ失敗したのか考察することなどの実験に対する姿
勢で、自分に甘い部分があったことを再確認した。大学の実験室には見慣れない器具も多く、
とても新鮮であり、また新たな知識も得ることもでき大変勉強になった。
講義内容を理解した上で、私たちの実験結果から考察を行うのはとても難しく、かなりの
時間がかかってしまったが、2 回目の実験であっただけに、1 回目よりもスムーズに器具を
取り扱えたので良かったと思う。文献を読むだけでは、実際の実験には対応しきれなく、得
られる知識の量も変わってくるのだということを改めて実感できた。
今回の実験は難しいものではあったが、実験を通して、大学で行う実験がいかに精密さと
正確さを必要とするかがわかった。結果を考察することで、様々な観点で考えることの大切
さを改めて実感することもでき、非常に有意義であった。今回の体験を今後につなげていけ
たら、と思う。
Ⅳ
協力
群馬大学医学部医学系研究科
依藤
宏
先生
国際寄生虫病生態学分野