温暖化対策CDM/JI事業調査シンポジウム(東京) (2005年8月22日環境省、㈶地球環境センター(GEC)主催) 調査報告04 社団法人国際環境研究協会 ■ブラジルの製糖業の概要 製糖・アルコール事業 ブラジル製糖業コージェネプロジェクト 砂糖とアルコールの双方を生産可能 サトウキビ生産量:約3億トン 砂糖生産量: アルコール生産量:1,260万kl(2002) うち無水(ガソリン混合用):700万kl トレンド:無水アルコールが増加 バガス:サトウキビの絞りかす 山口 建一郎(社団法人国際環境研究協会 客員研究員 (株式会社三菱総合研究所)) ■バガスを用いたコージェネとは 従来型のコージェネ 大量のバガスを消化するための手段(いわば発電機つき焼却炉) ボイラのスペック:蒸気圧21kgf、蒸気条件330℃ コージェネ施設高度化 契機は2001年のエネルギー危機 蒸気条件の高度化(42∼62kgf@420℃) 余剰電力を域外供給(電力自由化が行われ、IPP事業が可能に) 想定可能な製糖施設 サトウキビ処理量:100万トン(バガス生成量:28万トン) バガス熱量:700GWh 発電所規模:約20∼40MW-el(稼働時間4,400hr/yr) 展望 現状:1,500MW(5,400GWh)うち系統輸出は9%程度 ポテンシャル:6,000MW∼8,000MW(26,000∼35,000GWh) ブラジルの総発電量:29,335GWh(2002) ■ウニアルコ・アルコール製造工場 概要 サトウキビ処理量200万トン/年(栽培面積25,000ha) アルコール生産量65,000kl エネルギー施設 ボイラ 現状:21kgfボイラ@330℃、21kgf@380 ℃ プロジェクト:42kgfボイラ@420℃ 発電機 現状:1.5MW×4 プロジェクト:15MW×2+8MW×1 →想定104,299MWhを系統輸出 生産量:8,700万トン(280kg/t-cane) 熱量原単位:2,250kcal/t エネルギー供給量:17,500ktoe(2002:ブラジルのTPESの10%) 消費内訳:エネルギー用途37%、その他63% ■製糖業コージェネ施設のCDM化 域外電力供給による系統電力の代替 隣接地域に熱需要があるケースが少ないため、域外熱供給は多くの場合想定しにくい。 温室効果ガス排出削減 乾季に収穫・発電→火力発電代替を主張可能 追加性の論拠 事業・経済リスク 2001年エネルギー危機鎮静化以降、売電価格が低下傾向 高い金利(ブラジル開銀でも10%以上) 従って実施しているケースは少ない(既設設備能力1,540MW中系統供給能力は133MW(2000 −01) クリアすべき課題 ベースライン(コンバインドマージン) バガスの用途競合 パイオニアとしてのVale do Rosario ■ウニアルコ・アルコール製造工場 本プロジェクトのセールスポイント 系統連係が必要(送変電設備に総コストの20%以 上を要する。) →類似プロジェクトと一線を画しうる追加性 →事業実施のみを考慮するとマイナス要因 その他 32kmの送変電施設の建設 温室効果ガスの排出削減 AM0015(バイオマス)に基づき提出されているブラジルの類似事例を参考。 原単位は下記の通り - Simple OM: 0.719t-CO2/MWh - Λ:53% - Adjusted OM: 0.719*(1-0.53) = 0.338t-CO2/MWh - BM: 0.569t-CO2/MWh - CM: (0.338 + 0.569)/2 = 0.453t-CO2/MWh 想定温室効果ガス排出削減量:104,299MWh * 0.453t-CO2/MWh = 47,247t-CO2/MWh CDM化に際して想定できる障壁 技術的先進性・・・追加性は担保できており、大き 問題はないと考えられる。 1 温暖化対策CDM/JI事業調査シンポジウム(東京) (2005年8月22日環境省、㈶地球環境センター(GEC)主催) 調査報告04 社団法人国際環境研究協会 ■ブラジルのCDM体制 主管省庁:科学技術省(MCT) Jose Miguezをはじめとした地球温暖化問題のベテランが中心 気候変動問題省際委員会 11省庁からなる委員会(議長:MCT、副議長:環境省) CDM承認フロー 科学技術省に提出 省際委員会での検討(2か月に一度開催) 提出後最初の省際委員会から60日以内に採否決定 CDM承認に際しての要件 (a) PDD(英語、ポルトガル語) 所得平準化、雇用側面を重視 (b) Validation report(英語、ポルトガル語) (c) 利害関係者への招待状(管轄自治体の象徴、州環境省、市町村環境省、ブラジル社 会・環境NGOフォーラム、地域団体、検察(public prosecution office)) (d) 当該事業者によるコミットメント (e) 環境・労働関連諸法の遵守の証明 (f) DOEに関する証明(DOEはブラジルに拠点を持つ必要がある) ■今後の方針 これまで実施した事項 PDD作成 現地事業者との協力体制の確立 今後の課題 (必要に応じた)PDDの最終化(事業者との協議の上) Validation ブラジル政府提案への準備(利害関係者対応等) MOUに基づく事業CDM化 旧式ボイラ・発電システム サトウキビ圧搾設備 2
© Copyright 2024 Paperzz