第一回BLP外部評価委員会

第1回
■第1回
BLP 外部評価委員会
BLP 外 部評 価 委員 会
開催 日時・場 所
2009 年 3 月7日午後 3 時 10 分
5時、立教大学 12 号館第三会議室にて開催。
出席 者
<外部評価委員>
高橋秀明(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
二子石謙輔(セブン銀行取締役)
<立教大学経営学部>
白石典義(学部長)、松本茂(BBL 主査)
<立教大学教育開発支援センター>
伊藤直子、八木美保子
<BLP 教員>
日向野幹也(立教大学経営学部・BLP 主査)、山口和範(立教大学経営学部)、竹澤伸哉(同)、
石川淳(同)、元山年弘(同)、柴田舞(同)、三木朋乃(同)、齋藤和彦(アルバー・ジャパン)、
星五郎(パナソニック)、津吹達也(コラゾン)、太田哲二(万有製薬)
<BLP 事務局>
船山美紀、野呂田智子
<BLP 履修学生>
経営学科2年(当時)松岡洋佑
経営学科1年(当時)矢畑雅美
以上
○日向野:それでは、時間になりましたので始めたいと思います。本日は「BLP 外部評価委員
会」の第 1 回目にお越しいただきまして、ありがとうございます。外部評価委員としてお招き
しましたのは、慶應大学の高橋秀明(たかはしひであき)先生。
○高橋:高橋です。どうぞよろしくお願いします。
○日向野:それからセブン銀行取締役の二子石謙輔(ふたごいしけんすけ)さん。
○二子石:二子石でございます。どうぞよろしくお願いします。
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○日向野:私は日向野(日向野幹也/ひがのみきなり)です。じゃ、BLP の教員の紹介を。端
からお名前だけ。
○柴田:柴田舞(しばたまい)でございます。よろしくお願いいたします。
○太田:太田哲二(おおたてつじ)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○三木:三木朋乃(みきともの)と申します。よろしくお願いします。
○齋藤:齋藤和彦(さいとうかずひこ)と申します。よろしくお願いします。
○星:星五郎(ほしごろう)です。よろしくお願いします。
○津吹:津吹達也(つぶきたつや)と申します。よろしくお願いします。
○元山:元山年弘(もとやまとしひろ)です。よろしくお願いいたします。
○山口:山口和範(やまぐちかずのり)です。よろしくお願いします。
○竹澤:竹澤伸哉(たけざわのぶや)と申します。よろしくお願いします。
○日向野:それでは、あと経営学部から、松本さん、お願いします。
○松本:松本(松本茂/まつもとしげる)です。よろしくお願いします。
○日向野:それから、そちらの若い二人は後ほど紹介しますけども、BLP のアシスタントのお
二人です。
○松岡:よろしくお願いします。
○矢畑:よろしくお願いします。
○日向野:BLP の事務方の。
○船山:船山(船山美紀/ふなやまみき)と申します。よろしくお願いいたします。
○野呂田:野呂田(野呂田智子/のろたともこ)と申します。よろしくお願いします。
○日向野:じゃ、後ろのお二人もお願いします。すみません。
○伊藤:大学教育開発・支援センターの伊藤と申します。よろしくお願いいたします。
○八木:同じく大学教育開発・支援センターの八木と申します。よろしくお願いいたします。
○日向野:それでは、本日はまず前半にパワーポイントのスライドのご説明と、それから授業
風景のナレーションの入ってる映画、それを両方ご覧いただいて、スライドは途中止めながら、
随時ご質問を頂いて進行したいと思います。じゃ、スライドを。
まず、この BLP というプログラムの教育の目標でございます。そもそも大学でもそうですが、
社会に出ても仕事をするときに一人で仕事をするということはまずなくて、チームですること
が多いですね。チームは、社外であったり社内であったりするんですが、そのチームで問題解
決をするときには、専門知識とリーダーシップの両方が必要だろうと考えます。
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自転車をこぐと、チェーンで動力が伝わるのは後輪です。ですので、後輪が専門知識に当た
ります。ここで言う専門知識は経営学に限りませんで、業務知識といったイメージをお考えに
なっていいと思います。リーダーシップの方は、その後輪の動力を使って、チームをどっちの
方向に進ませるかという、かじを切る役割をします。これがリーダーシップです。この両方が
必要ですが、BLP では、今までの大学教育で、正課で扱ってなかったリーダーシップを正面か
ら強化しようというプログラムです。
これがミッションですが、BLP で関連するリーダーシップというのは上の三つの性質を持っ
てます。
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まず、エマージェントなリーダーで、権限のないリーダーです。つまり課長とか部長といっ
た権限のあるリーダーではなくて、権限のない対等の立場から出発したリーダーシップのリー
ダーです。これは上位の者に任命されるアポインテッドなリーダーとか、あるいは選挙で選ば
れるエレクテッドなリーダーとは明白な違いがあるわけです。どうしてこれを目指すかと言い
ますと、これを先に練習しておけば、後に選挙で選ばれるとか上司に任命されるとかした場合
に慌てないですし、権限を振るうことだけに頼らないいいリーダーなれると考えられるからで
す。
2 番目は、チームリーダーシップで、これはリードする方が複数でもいい、チームでもいい
という意味です。一つのグループの中に複数リーダーが居ても、そのリーダー同士のコミュニ
ケーションや目標共有ができていれば、グループとしては分解せずに済むということです。
3 番目は、大きな絵を描いて周囲を巻き込む。これは特に変革が必要な場合のリーダーシッ
プですが、人間関係だけで引っ張るんではなくて、将来どうしたいかという大きな絵を描いて
周囲を巻き込む。巻き込むという辺りは権限がないということを反映してるんですけども、こ
ういったいわゆる変革型のリーダーシップをゆくゆくは目指します。低学年の場合は、ここは
無理ですが、だんだんに 3 番が増えていく。
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経営学部の成果の中で、こういったリーダーシップを養うのが目標ですので、先ほどの自転
車の比喩(ひゆ)で言いますと後輪に当たる部分、専門科目とリーダーシッププログラムとの
相乗効果を狙いながら反応するというのが、われわれのミッションであると考えます。
教育の方法なんですが、共通の手法は、一言で言えばアクションラーニングです。と言いま
すのは、最初に最小限のツールを教えて、あるいは BLP でないほかの専門科目の知識を使うよ
うに BLP の中で促して、その知識を使ってグループで問題解決プロジェクト、またはグループ
エクササイズ。
エクササイズはゲームやディベートですが、これを行う。で、成果を競うわけです。この時
に締め切りを設定して、それから成果によって成績が左右されることを明言して競わせます。
最後に振り返りをするという順番になります。
次に行く前に、映画をご覧に入れます。これは今年度の春から夏にかけた、最初の科目から
つくったものです。
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http://www.youtube.com/watch?v=4LdXR9Icsrs&feature=player_embedded
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○日向野:今のビデオの中でも話してましたね。ツールを学ぶ期間とグループワークをする期
間とリフレクションと 3 段階に分かれていて、このツールは学期によって変わるんですね。今
お見せしたのは、たまたま BL0 だったんで、KJ 法と SWOT 分析が必修のカリキュラムだったん
ですけども、学期が進むにつれて別のものも使っていきます。例えばリーダーシップ理論とい
うのはツールとして使うこともありますし、振り返りのツールとして使うこともあります。
それから、この真ん中の部分は、今の BL0 では牛乳の販売促進(『牛乳消費促進プロジェクト』)
というコンサルティングみたいなグループワークだったんですけども、ここも変わっていくわ
けです。
じゃ、ここまででご質問を頂けるとありがたいんですが。わたしに、あるいは教員に何か質
問があればお願いします。
○高橋:よろしいですか。本当に今与えられた情報しか持ってないんで、ひょっとしたら的外
れだったら申し訳ないんですけど。スチューデントアシスタントですけれども、わたしは教え
ることというのは一番良い学習法だと思うんですけども、スチューデントアシスタントには何
かプログラムを与えて、SA として活動させるんでしょうか。
○日向野:SA 同士の集まりは常設化されているんですね。どういうふうにアシストするかとい
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うことを毎週各チームで協議してます。それに関して合宿などもやってます。
それから後に出てきますけども、クラスの中でグループプロジェクトで行き詰ってくると、
SA の方が頼られがちなんですよ、教員よりも。そういうときに教え過ぎないという工夫が必要
なので、その辺りはちょっと工夫をしたいところです。
何か松岡君。
○松岡:松岡洋佑(まつおかようすけ)です。今、あらためて自分の体験を振り返ってみます
と、今ご指摘のとおり自分で教える、自分で体験してきたことを今度 SA の立場から見てみると、
まるで違ったものが見えてきまして、その中で自分の足りないものも見えますし、同時に 1 個
下の学生たちの足りない部分といいますか、互いに相互的に高め合えるというのをすごく実感
してます。
一方で、僕はすごく SA として良いものを得たと思ってるんですけども、SA になりたい人、
それからほかになりたくても機会がなかった人が、まだ実際には居るので、そういったところ
をもっとよりみんなでやっていけたら楽しいのかなということは感じてます。
○高橋:SA は別に評価はもらえないわけですか。
○日向野:SA としてはもらえませんけれども、SA になるときには、BL1 という科目の中でトッ
プクラスの成績を取ってる中でやりたい人、あるいは教員が推薦する人。それから、実は再任
されるかどうかは、教員からの業務ぶりへの評価がもちろんかかわってきます。
○高橋:分かりました。
○日向野:いかがですか。
○二子石:今、見ただけで、毎日毎日それは社内で起こってることなんですよ、今こうやって
ることって。ですから、すごく実践的と思います。
リーダーシップっていうと、誰か一人が発揮するもの、全体をまとめる人がリーダーだと思
われるかもしれませんけど、わたしがずっと見てると、その場面場面でリーダーシップを発揮
するという人が居るんですね。
ですから、こういうグループで議論してると、誰かが一人リーダーになっていくだろうとい
う、たぶんそういうプロセスじゃないんだろうと。やはりこれを一つの成果に持っていくとき
のプロセスの中で、それぞれの場面でリーダーシップを発揮する人が居るんじゃないかと思っ
てて、恐らくそれは参加してる人全員がリーダーシップをどこかで発揮しているはずだし、そ
ういう体験をしているのかなと今見たんですけど、そういう見方でいいんでしょうか。
○日向野:はい、そうです。ありがとうございます。
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それでは、次に移ります。このひとまとまりの、それぞれの学期について考えます。今度は
学年と科目の構成で、今映像でご覧いただいたのは BL0 のもので 1 年生の春です。この後 BL1
というのが 1 年生の後期になります。2 年の春には BL2、それから秋に BL3。3 年の春に BL4 と
上がっていきます
それぞれ、これは 2008 年度までのバージョンですが、BL0 が「introduction」で BL1 で
「awareness」。BL2 だと「public mind」。この public mind というのは、チームとして反社会
的なことをしないという CSR 的な意味もありますが、それ以外にリーダーがチームを裏切らな
いという public mind です。BL3 の「leadership to change」は、変化に対応するという面と、
自ら変化をつくり出すという面、両方を意味します。4 の「strategy」は、グループで事業計
画をつくる、戦略というところを意味してます。
このうち特に BL0 と BL1、BL3、4 もですか、特に 0、1、4 は企業の方においでいただいて、
具体的な問題を与えていただいて、その問題を解決するというプロジェクト方式をとってます。
来年度は少し順番などが変わりますが。
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今話したことと全く同じ図を色分けしまして、赤いものがツールです。白がプロジェクトな
いしグループエクササイズ。グレーの部分が振り返りの期間です。そうしますと、この赤、白、
グレーの分布というのは、この 0、1 のような順番、ウエイトのときもありますし、BL4 になっ
てきますと、ほかの専門科目で知識を学んでますから、ツールを教えるという期間が短いんで
すね。長い期間プロジェクトを扱います。
それから、この赤、白、グレーの順番が、こういうふうになることもあります。つまりツー
ルを必要に応じて教えながら、プロジェクトが進んでいくといった組み合わせになることもあ
ります。
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実行の体制ですが、これは学生の方の人数でして、先ほどと同じように枠に区切ってなくて
五つ縦に並べて書いてます。
1 年生の BL0 は、経営学部では経営学科 200 名と国際経営学科 150 名、概数ですけども居ま
して、BL0 は 350 人全員が受けます。これを 15 のクラスに分けてます。同じ時間に展開します
ので、15 人の教員が担当します。
1 年の後期の BL1 は、経営学科全員と、国際経営学科はエレクティブ、選択科目になります
ので 240 人ぐらい、これは 7 クラスが展開します。
2 年次になって BL2 は前期ですが、ここは少し、国際経営が入って 220 人ぐらいです。
2 年の後期の BL3 になりますと、ここは経営学科も国際経営学科のどちらにとっても選択科
目になりますので、100 名から 90 名の 3 クラス。
最後、BL4 まで残るのは 1 クラスです。30 人から 25 人くらいです。
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教員のクラス担当。これは 2008 年度の実績ですけども、BL0 は 15 人です。来年は 16 人にな
るんですが 15 人で、平均学生数が 23 人、入学直後の半年ですね。ここに書いてあるのが教員
名でして、このデイヴィスさん(Davis, Scott Trevor)から井上さん(井上詔三)までは BL0
だけをご担当です。ただ、デイヴィスさん、ロイさん(Larke, Roy)、尾崎さん(尾崎俊哉)辺
りは、過去に上の方の科目も教えられた経験があります。ここから右は主に BLP を持っていた
だいていた先生で、グレーになってるところは実務家の先生です。
よろしいでしょうか。お手元の資料のバージョンだと見づらくなってますが、小さくなって
しまってますけども、お手元にもあります。
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それでは、体制の次は教員の FD でして、複数クラス、BL0 も 1 も 2 も 3 も、4 以外は全部複
数クラスですけども、共通シラバス、共通スライドです。語学の授業ですと共通シラバスは常
識だと松本先生に伺ったことはありますが、そうでないところでは、これは画期的なこととし
て、日々といいますか、毎年毎年スライドをつくるのに四苦八苦してます。ことしは神戸大か
ら元山さん(元山年弘)が来てくれたので、その点で非常に進歩があります。
2 番目。BL2 と BL1∼4 の教員は月に 2 回ミーティングをして、それこそ教員の振り返りでス
ライド関係などをしてます。
3 番目は、先ほどのフィルムの中にも出てきましたけども、問題解決プロジェクトの最終の 1
週前にクラス内発表会をするんですが、その時に教員だけが入れ替わって、隣のクラスの成果
を見にいって採点・助言をする。それを一種のセカンドオピニオンというふうにいってます。
これをすると自分のクラスと当然、意識しなくても比較することになりますので、すごく刺激
になります。
それから 4 番目。BLP 教員を外部の研修に派遣し始めました。これは文科省の(教育)GP を
いただいてから可能となったことでして、MBTI や心理アセスメント、それから EQ リーダーシッ
プ、それからアクションラーニングコーチ養成講座(ALC)といったところに BLP の教員を派遣
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しています。それから在外研究をしている場合もあります。
5 番目に、ピッツバーグのデュケイン大学。これは、学部レベルでリーダーシップ教育をし
てる数少ない大学の一つでして、そことの間で非常に良好な関係が出来ております。2005 年に
わたしが最初に行ってすごく刺激を受けて、その後も教員が行き来してまして、授業も相互に
見学してますし、教授法についての討論もしています。来週わたしはもう 1 回行く予定になっ
てます。
それから、カリフォルニア州立大学のサンノゼ校には、リーダーシップの評価センターとい
うのが出来ましたので、そことも提携を始める予定です。
最後に、BL2 の担当教員は 7 人居るんですが、来年度は BL2 でディベートを習いますので、
その道の権威であられる松本先生に、今月の末に指導法の教習をしていただくことになってま
す。
これは SA で、ちょっと重複になりますが、TA というのは院生で、立教大学では学部学生が
アシストをすると、TA ではなく SA という名前になってます。ほかの学部の SA ですと、契約社
員と言いますか、その学期だけ働くという SA なんですが、BLP の SA の場合は常設組織があっ
て、1 回 SA をやると、その組織にずっと属してます。だいたい各授業の修了者の 1 年先輩が各
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クラスに 1、2 名ついて、授業補助以外にソーシャルサポートをするんですね。
ディスカッションが中心の授業なので、それになじまない学生というのは、特に最初のころ
居ます。そういうときに、いきなりプロのカウンセラーに行くんではなくて、SA が事情を聞い
てくれるということをしてあげますということが、非常に力になってます。
それから、その修了者の中でリーダーシップの高い者のうち希望者が選抜されて SA になりま
すので、後輩から見るとロールモデルの役割も果たしてます。
SA は組織化されてまして、授業に参加した学期が終わってからも、BLP に対して常に改善提
案をやっています。年 2 回合宿も教員込みで実行しています。
ちょっと早口で言っちゃいましたが、この辺までよろしいですか、ご質問。
教員、事務スタッフの拡充。今年度の実績ですが、2008 年度の 4 月に助教 1 名、元山さんで
すが、授業 4 科目と教材スライド作成を担当してます。それから同月、事務と IT 担当の助手、
船山さんですが着任しました。10 月後期からは GP の支援をいただきましたので、補助事務要
員 1 名、野呂田さんに入ってもらいました。それから同じ秋からは兼任講師をお二人新しくお
願いしまして、今度の春からも二人。ただ、そのうちの二人がご病気とご出産で退任されたり
してますので、兼任講師さんは入れ替わりがかなりあります。ただ、今度の春は専任教員にも
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かなり増強がありまして、4 名着任するんですが、この 4 名全員が 1 科目ないし 3 科目ご担当
になります。
産学連携と広報の体制ですが、実務家の先生方には献身的にご協力をいただいてます。ご存
じだと思いますが、大学の非常勤講師・兼任講師の謝金というのは、本当に申し訳ないぐらい、
けたが一つ、二つ違うぐらい低いんですが、この BLP の意義をお認めいただいて意識を共有し
てくださっているので、楽しんでやってくださってます。
○不明:楽しいですね(笑)、BL いい。
○日向野:2 番目は、問題解決プロジェクトにおける出題者、クライアントに、企業や官庁の
方になっていただくというかたちで連携しています。先ほどお見せした映像では日本酪農乳業
協会でした。
それから、ことしの後期でしたが、BL1 では、EC ナビという価格比較サイトなどをしてるネッ
ト企業さんになっていただきました。
BL3 では、ETIC(エティック)という NPO にクライアントになっていただきました。
BL4 では、セブン銀行を含め 4 社の企業さまにクライアントになっていただいて、学生から
見るとすごくぜいたくなプロジェクトの手法になりました。
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今後も企業さまのご協力をいただきたいんですが、幸いこちらからお願いするばかりではな
く、何かご縁があってそういう場所が始まることが増えてきましたので、うれしく思ってます。
3 番目は、ウェブサイトを頻繁に更新しまして、先ほどお見せしたのを含めて You Tube で授
業風景を公開して、そこへのリンクは学校サイトからなっています。メールマガジンも発刊し
てます。広報についてはブラップジャパンに相談しています。
目標の達成度の評価体制ですが、ここまでよろしいですか。ビジネス・リーダーシップ・ポー
トフォリオ。これは先ほどのフィルムでも少しご紹介しましたが、授業における提出物が非常
に多いです。特に振り返りはかなり分量がありますし、それ以前も週報を出させてるんですね。
そういう提出物を、紙ではなくてデジタルで出させるシステムを作っています。メールで送る
と、それが自動的に格納されるようなポートフォリオを作っています。
その中身は、今申しましたように、次の提出物、総合評価、誰かから受けたものを本人が見
られるようにしたいんですね。それから教員からのフィードバックもあります。これを全部蓄
積して、半年後、1 年後、卒業するまで、もしかすると卒業してからも、どうですかね、イン
ターネットから閲覧できるようにしたいというふうに今作業中です。順調にいけば 4 月から稼
動いたします。今年度の分は前半は紙で出してるので、それをスキャンして画像で今は利用し
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てますけど、後半はメールで送らせたので、それをファイルの束にして利用しているところで
す。
2 番目としては、大学の授業評価アンケートがあります。
それから 3 番目には、学期終了後に、各クラスから SA に受講生の一部を選んでもらいまして、
われわれは誰が選ばれたか今でも知らないんですが、完全匿名座談会、放談会をやりまして、
テープ起こしで全部文字化して、それを後で教員が衝撃を受けながら読んで、改善に役立てる
ということをしています。これは分量が膨大ですので、報告書のかたちで要約しています。
こういった評価体制に続いて、自己評価。ここまでよろしいでしょうか。次にいってよろし
いですか。自己評価と改善の計画にまいりますが。
○高橋:ちょっとすみません。目標達成度って、教員の評価というのはどういうふうになさっ
て?
○日向野:教員に対する評価ですか。
○高橋:ええ。
○日向野:教員に対する評価は、今のところこれと、あとは個別のクラスでとっているアンケー
トです。個別のクラスでとっているアンケートを、来年度は共通のものにしたいと考えてます。
実は、大学の授業アンケートの扱いというのは、大学の中で割合微妙な問題がありまして、
ほかの先生でも閲覧できないということがあるんですね。それから学部の平均が何点かという
ことが分からないんです。それですと、こういうチームティーチングには向かないので、大学
の公式のアンケートを使うことは使うんですけども、それ以外に BLP の中でやろうということ
を計画してます。
○山口:はい。ちょっと説明しますと、閲覧できるのは、細かい数字までは閲覧できなくて、
グラフ化されたものでどのような回答になってるかというのと、あと教員がこのアンケートを
受けて、どういうふうに学生に対してコメントしたかということまでは一応閲覧できるんです
けど、大学でこの授業評価アンケートを今実施してる中で言うと、教員の評価には使わないと
いうことを前提に行ってますので、個別法を利用するということでないと教員の評価にちょっ
と今は使えない。
○高橋:今おっしゃったのは評価ですか。それとも教員の処遇に使わないということですか。
評価することと処遇するに使うことは違いますから。
○山口:立教大学の場合は、基本的には、これは個人が自分の授業を改善するために利用する
という目的に定められてます。こういうチームティーチングの場合に、その部分のところをど
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こまで広げて解釈できるかのところは、きちんと定まっておりませんので、今は学部内で、こ
の BL であれば BL についての例えば平均であるとか、そういうものは渡せるようになってます
ので、そこまで今は利用できるということです。
○高橋:わたしは SFC なんですけど、SFC は、あまり教員、フィードバックもいろんなこと書
かれるんですけれども、それから満足度も全員見えるんですね。ですけれども、わたしは非常
勤だから全然関係ないんですけれども、常勤の方もだからといって、それで企業が変わるわけ
でもないし。だから、わたしは教育の質を上げることと、それから評価、処遇の部分をちょっ
と切り離さないと、この問題は難しいんじゃないかという気がします。
わたしは見えた方がいいと思いますけどね。というのは、それは特に教員に対することより
も、これから授業を受けようとする人が、どの先生の授業はどういう評価を受けてるって、前
の年の人のそれを読んでくるわけですから。
○山口:その部分は今学生が見れるようになってまして、今は図書館で、これまで僕がやって
たんですけども、今年度の調査結果からすべてウェブで学生が見られるようになってます。
○日向野:個人教員ごと?
○山口:科目ごとです。すべての科目についての結果と、その教員が。
○日向野:知らなかった。
○山口:教員は必ずコメントしないといけませんので、そのコメントについてのところも全部
見られるようになってます。
○日向野:じゃ BL2、1 でいろんな人が教えてたら、その人ごとの評価?
○山口:見られます。見られますけど、ちょっとごまかしがあると言うと語弊があるかもしれ
ないですけど、平均点の数字は出さないんですよ。棒グラフがあって、5 と答えたら長さだけ
はグラフとして全部表示されてますので、だいたいどういう評価を受けてたかということを、
ほかの教員が見ること、そういう意味では可能です。
○日向野:教員名まで見られます?
○山口:全部見られます。
○日向野:ほんと?
そうですか。それはすごいですね。分かりました。認識不足で、すみま
せん。じゃ、よろしいですか、次に進んで。
○高橋:非対称性をのぞかないでいいじゃないですか(笑)。
○日向野:情報のですね。ちょうどタイムリーな順番になってるんですが、BL3 の授業評価ア
ンケートが、前後の BL1、2 や 4 に比べて低いようにわたしには見えます。これはなぜかと言う
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と、学期が進むにつれて、自分が強化したスキルというものの個人差が大きくなってくるせい
も、全部じゃないがあるんではないかと考えました。
そこで対策として、今までは BL0、1、2、3 まで 3 クラス同質の授業を行っていたんですが、
来年度は BL3 を同じ三つのクラスでも全く別内容で、時間も別、重複履修しても構わないとい
う三つの科目に分割しまして、それぞれ「リーダーシップ理論」
「リーダーシップコミュニケー
ション」
「クリティカルシンキング」という三つの特定のスキルの科目に変えます。それを自由
に選択するというように変えます。
と同時に、BL1、2 もどちらか一方をリーダーシップのための特定のスキルを強化する重点的
な学期にするということを考えておりまして、そのための手法として、今度の春からの BL2 は
ディベート、論理的に考えて話すという訓練に特化しようという計画でおります。
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それから、学生のリーダーシップそのものの向上というのは、これはまだ時系列で把握でき
ていないんですが、それはポートフォリオが稼動して、異なる学期、学年の振り返り、それか
らリーダーシップ持論などを比較できるようになると把握できるんじゃないかと考えています。
それから、大学のアンケートに加えて、リーダーシップに即した授業アンケートも新設する
予定です。
それから、これも重複になりますが、アセスメントセンターとの提携計画があって、受講生
のリーダーシップをどう計測するか、評価するかということも学んでいきたいと考えています。
それから、3 番目。クライアント企業、問題出題者が同時に何週間後にかが多いんですが、
だいたい 6∼7 週間後に審査をしてくださるんですが、その審査基準がよく分からなかったり、
あるいは出題の時に言ってたことと実際の審査が違うじゃないかということがよくあるんです
ね。これは特に 1 年生にとっては不満が大きいんです。
と言いますのは、大人の世界ではそれはよくある理不尽で済みますけども(笑)、まだ 1 年生
はクライアント企業の中に教師を求めるんですね。正しい教師を求めるんです。つまり教育的
配慮で最初の出題をして、そのままコンシステントに審査してくれるということを期待します
んで、その方向で打ち合わせを 1 年生についてはしようと考えてます。これはモチベーション
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の問題もありますので、いきなり最初に理不尽なクライアントぶりを発揮されなくていいとい
う打ち合わせをするつもりです。
半ば冗談なんですけど、この辺はクライアントが居て、学生がコンサルティングのまね事を
するわけですね。そのときに「出題者が理不尽だ」と不平を言う学生には、今まではクライア
ントはしばしば「自分が欲しいものが分かっていない」と言ってたんですけども、19 歳の子ど
もにしたらつらいので、こういうふうにしようと考えます。
4 番目、BLP で読み書きも教えてほしいという要望がございます。つまり BLP と専門科目とい
う二本柱からすると、読み書きを教えるのは BLP の方だけだという声がありますが、一応声が
あるので、ことしの BL1 の中でウォーレン・ベニスの『リーダーになる』という本を 1 冊読ま
せて、ディスカッションするということをやってみました。
これはこれなりに収穫があったと思います。それはリーダーシップの振り返りについても理
論というのは有効ですから、リーダーシップの文献を授業で読んでディスカッションすること
は意義があります。ですが、リーダーシップに関係ない本の読み書きというのを BL1 で教える
というのは、例えば BL での教員構成とか、先ほどの BL0、1、2、3、4 という科目の構成を考え
るとマッチしてるとは考えにくいので、こういうリーダーシップに関する限りではないと難し
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いかなと今のところ考えております。
とりあえず以上です。あとは自由にご質問をいただけたら。きょうは、民間企業の先生方も
4 人、無給で(笑)おいでいただいてます。
○高橋:よろしいですか。
○日向野:はい、お願いします。
○高橋:わたしは、日向野先生からこれをスタートされる準備段階で少しお話を伺って、その
時に思ってたイメージときょうお話を伺って、ものすごく非常に総合的に考えられて、よいシー
ケンスでされてるなと思って非常に感動いたしました。わたしもこういうプログラムが昔あっ
たら、もうちょっとわたしの実務家人生も良かったのにと思うんですけども(笑)。大変苦労し
てリーダーシップを学びましたけれども、ほんとに良いプログラムだなと。
しかも、わたしはリーダーシップのプログラムを早くからやることは良いことだと実は思っ
てまして、それでわたしはここで言う権威のないリーダーは、ちょっと何となく日本語がおか
しいと思うんですけれども、いわゆるピアリーダーシップですよね。それからいくのが一番、
わたしはわたし自身の台本に照らしても良いと思うし、ピアレベルでリーダーシップが発揮で
きる人というのは、権力が付与されたり、エレクテッドって選ばれても、非常に良い結果を残
す確率が高いと思うんですね。ですから、ほんとによく考えられてて、大変わたしは感激いた
しました。
それでリーディングマテリアルで、ぜひバダラッコ(ジョセフ・L・バダラッコ)の『クワイ
エットリーダーシップ(静かなリーダーシップ)』をやっていただくと、この皆さんのつくられ
てる教科の内容にぴったりじゃないかと。
つまりリーダーシップというのは、日本はアメリカの教育の影響が強過ぎるんだと思うんで
すね。ですから、どうしてもハイパワーなリーダーシップだと、非常にカウボーイ的だとわた
しはずっと前から思ってまして、それに対して、もっとバダラッコの方の最初に出てくるアル
バート・シュバイツアーの話とか、きょうも来てますけどユヌスさん(ムハマド・ユヌス氏)
の話なんか聞くと、もうほんとに、このおじさんがあんなにすごいことやったのかという感じ
ですよね。
でも、そういう人がミッションとか理念を通して、すごい人を惹き付ける。それはどこから
来るのかというところが、若い時にそういう人に出会い、そういう教育を受けたら、やっぱり
社会に出てもそういう力を備えて困難を乗り切っていくんじゃないかと思ったもんですから、
わたしはコメントというか、非常にプレイズとして申し上げたいと思いました。
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第1回
BLP 外部評価委員会
○二子石:今の先生のお話に続くんですけど、わたしもよく会社とか組織に入りますと、どん
な小さな組織でもトップという権力があるんですよね。そうすると、その発言者でチームが動
いていくということになると、いずれにしてもその人の力量で決まってしまうということがあ
るんです。
そうじゃなくて、大量生産、大量消費の時代はそういったことかもしれないですけど、これ
だけいろんなニーズが社会に多様化してきて、またとらえにくくなってくると、ニッチといえ
どもビジネスになり得るし、みんなの意見を出し合って、そこから一つの仮説を立てチャレン
ジしてくというプロセスが非常に大事だと思ってまして、そのときには課長さんとか部長さん
からアイデアが出るんじゃないんですよね。そうなると、上に立つ人ほど下の意見といいます
か、チームメンバーの意見をよく聞いて、そこから可能性を探るということをしないといけな
いと思ってるんです。
そういう意味では、リーダーの資質として引っ張っていくという力強さと、みんなが迷って
るときに方向を示すということは、いろんな場面があると思うんですけど、一番大事なのは、
みんなをやる気にさせて、みんなの意見を本当によく 100 パーセント足し引いて、それをよく
聞くというスタンスが必要かなと。
ここで優秀なリーダーを評価して、それで採用してくというのがありましたけど、優秀なリー
ダーシップの発揮者というのは何かというのを、非常にそういう意味では幾つかの物差しをも
たないと駄目だと。ただただ大きな声で「おれについて来い」という人が、必ずしも優秀では
ないと思ってます。
逆に、メンバーからすると、いいリーダーをつくり上げるというメンバーの役割を持ってる
んですよね。それは、お互いにその人の良さとか価値を認め合うということが必要なので。ど
うも日本の文化というのは、上になると足を引っ張るということがよく言われますけれども、
そうじゃなくて優秀なリーダーはみんなでつくって、それをリスペクトして、その人を中心に
つくっていくというメンバーの役割というのもほしいですね。
この授業というのは、そういう意味じゃリーダーシップの発揮の仕方とともに、いいリーダー
をつくる、形成していくためのメンバーの訓練、そういう場合もしたらいいんじゃないかなと。
今のところそんな印象を受けました。
○日向野:逆に、実務家の先生方からいかがですか。
○津吹:私は今期 BL1 を担当させていただきました津吹と申します。よろしくお願いします。
私は実務家ということで、普段は民間企業に勤務しておりまして、こちらの方に兼任講師とい
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第1回
BLP 外部評価委員会
うかたちになっておりまして、まず一番思うことは、私自身が非常に大きな学びの機会を与え
ていただいてるというのが本当に率直な感想です。
先ほどおっしゃられたように、教えることが学ぶことではないですけども、私が社会に出て
12 年ぐらいたちまして、企業の中ではまだまだこれからもキャリアを積んでいくと中で、まさ
にリーダーシップの重要性というものを痛いほど社会に出て痛感した人間でして、本当に早い
段階でこれを学んでおけばとか、これを今から出る子に伝えられたらという思いがあります。
それをこのクラス 30 人、40 人の彼らの中に、どうやって伝えて導いていくかというのは試
行錯誤しながらの毎日でして、本当にこれで良かったのかなという毎日反省なんですね。その
中で、私自身が気付くこと、机の上では分からなかったことがたくさんありまして、まずそう
いう機会があるということは、私にとっても非常にありがたいと思ってます。
また、私の場合は、特に社会に出た時代というのが変革の時代といいますか、終身雇用が崩
れてどんどん価値観が変わりつつあるような中で、バブル景気の問題とかあった時代でして、
企業の中でも外でもどうやって生きてくのかというのを考えた時期がありまして、そういう中
でリーダーシップとかビジネスとはどうあるかということを、いわゆる企業の中に居る人間と
して、今のこの学生たちに少しでも、そういう実務家の経験ということを伝えられたらと思い
ながらやっております。
○星:BL1 を去年の秋に担当させていただきました星です。津吹さんと一緒で、わたし自身が
非常に学ぶところが多かったんですけれども、特に学生の視点からすると、なかなか受験勉強、
高校までは基本的に問題集を解いて、一人で先生から教わったことをレビューしてやるという
訓練が中心ですが、それがその後、大学でも同じような展開になると、社会に出てから非常に
大きなギャップがあるはずと。それが、そうじゃなくて、大学の低学年のころから、実際に仲
間とコミュニケーションをとりながら何か問題を解決していくという訓練を積むというのは、
本当にうらやましいプログラムだと思ってます。
あと、いわゆる学生自身のレスポンスとして、ロールプレイでリーダーシップの訓練をする
というのは、ちょっと物足りないというような声も一部にはありました。日向野先生もその点
について、より専門知識を自分たちで学びながら、グループの成果に貢献していくという方向
にかじを切られていまして、それは社会に出ると、当然自分で難問に直面したときに、あらゆ
る本をひっくり返したり、人に話を聞いたりしてやっていくことになりますので、そういう訓
練にもなってるんじゃないかと思います。
さらに、もう一歩進めるとすると、基本的に経営学部の科目というのは、ファイナンスにし
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第1回
BLP 外部評価委員会
てもマーケティングにしても、じっくり本を読むというのは一種、前段でして、その上でいろ
んな角度、いろんな視点を持った人たちが集まってソリューションを出していくというのが、
実務を念頭に置いた経営学の教育の本質になれるんじゃないかと思ってまして、そういう意味
でリーダーシップのクラスだけじゃなくて、ほかのファイナンス、マーケティング、それから
オペレーションマネジメントとか、そういうところでもグループワークで与えられた宿題を解
いていくという訓練を入れていくと、かなり BLP 専攻の人だけじゃなくてもレベルアップにつ
ながるんじゃないかと感じました。以上です。
○高橋:グループワークって、ものすごい時間がかかるんですよね。
○星:そうなんですよ。
○高橋:たぶんクラスの方が、教師の側としてはやっぱり楽ですよね。ですから、ロードがか
かるからには、それに応じたリターンが出る、リーダーシップというのは、たぶんそういう科
目だと思うんです。
ただ、ファイナンスとかマーケティングをわたし的に言うと、クライアントから出題をいた
だくのもいいんですけど、もっといいのは後ろの後輪であるファイナンスを学び、マーケティ
ングを学んだ人たちが、これだと BL4 でそういうプロジェクトになるのかもしれませんけど、
もっと早い段階で専門知識を使って、例えば BL3 のプロジェクトとかグループワークに使う。
そうすると、本当の意味でドッキングするんじゃないかという感じがします。
○星:おっしゃるとおりですね。ファイナンスとかマーケティングのクラスでグループワーク
のやり方をティーチングするというのは、これは明らかにトゥマッチでもったいないと思いま
すんで、逆に宿題を出して、それをグループで検討して提出しろみたいな、そのグループワー
ク系のとこだけやるというのはあるかもしれないと思います。
現にアメリカのビジネススクールはそれを結構導入してまして、学生は、半分の人たちは、
特にアメリカ人の場合は非常に個人主義的ですので、最初は嫌がるわけですね、そんな自分で
考えた方がいいって。ただ、やっていくうちに、あ、結構これは人から学んでるとか、そうい
う何か成長があるみたいで、それは実際に企業に入ってからも、グループでやるときに役に立
つという気がします。
○高橋:質問ですけど、立教大学のこの BLP に限らず、初年度からグループワークをやらせる
というのは割と基本形なんですか。
○日向野:そうではないと思います。もしかすると経営学部だけかも。
○高橋:わたしは、これは本当に慶應もぜひそうやってほしいと思うんです。実は、わたしは
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第1回
BLP 外部評価委員会
大学院しか教えてないんですけど、大学院を教えてびっくりしたのは、
「グループワークが初め
てです」という学生が居るんですよ。それで本当に基本動作ができてないんですよ。そういう
ことで、先ほどは伺いませんでしたけど、ちょっと答えが出たんで聞かなかったんですけど、
メンタルな問題に発展したりということがあるんですね。
ですから、わたしは 1 年生の時からこういう訓練を受けて、しかも SA の人がカウンセラーに
行っちゃう前にちゃんとカバーしてくれるというのは、非常に良い仕掛けだと思います。会社
の中に入ったらグループワークが仕事ですから(笑)。ですから、最初からそれは習っといた方
がいいと思います。
○星:それでどうしても、いや、自分はグループワークに宿すことができないとなれば、それ
はまた大学の時代でしたら方向転換するというのも可能ですんでね。社会に出てからそれを発
見するというのは結構、それでも若いうちであれば平気でしょうけども、それなりに悲劇です
ね。
○二子石:これをやっておけば、会社に入って、あ、この課長は駄目だ、この部長は駄目だと、
一発で見抜けちゃう(笑)。
○星:そうですね。目が肥えるという感じですね。
○二子石:どこかでこういうのは理想のリーダーシップの仕方ですよというのは、どの段階で?
これは、あくまでも自分でそういうのは感じ取りなさいと。
○日向野:持論とリーダーシップの理論というのを擦り合わせるということはします。先ほど
のベニスの『リーダーになる』といった本を使ったのがそれです。バダラッコの本もぜひ読ま
せたいと思ってるんです。
○高橋:あとは、僕が最近、学生にリーディングの際に与えてるのは、
『ルーム・トゥ・リード』。
ジョン
、何だっけ?
例のマイクロソフトを辞めて NGO をつくった人(ジョン・ウッド氏?)
ですけども、素晴らしいムービングストーリーですよ。学生すごいのが多いです。今の学生は、
こういうのがお好みなんだというのがよく分かりましたね(笑)。
○星:ルーム・トゥ
何?
○高橋:『ルーム・トゥ・リード』って、図書館をたくさん造った人が居るんですよ。
○星:あ、居ますね。
○高橋:ジョン、何て言いましたっけ。ベストセラーになりました。一つのことをどうやって
組織化して、人を
、だってお金を持ってないんですよ、この人。個人的には多少お金はあっ
たでしょうけど、何十億、何百億というお金を集められることをどうやって、しかも昔の慈善
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第1回
BLP 外部評価委員会
団体みたいに、ください、くださいというんじゃなくて、組織化して、まさにフランチャイズ
方式で、ベンチャーの手法を使ってそういうことをやった人なんです。今もやってますけれど
も、日本にも支部が出来て大したものです。
○星:事業家ですね。
○高橋:事業家です、まさに。それをソーシャル・エンタープライズとして、そういうかたち
で結実させた。
もう一つ少しテクニカルな話になるかもしれないんですけど、このカリキュラムの中で、た
ぶんどこかにきっと入ってらっしゃるんでしょうけれども、わたしの個人的な経験は、トレー
ニングは全部アメリカで受けたんで、トレーニングとしてはアメリカ的かもしれませんけども、
自分ではすごく役に立ったな、やっぱりアサーティブネストレーニングをすること。
というのは、リーダーシップというのは、アクティブリスニングとか、そういうスキルとい
うのは必ず必要ですけど、どこかでもって勝負に出なきゃいけないんですね。だから、いつが
勝負かというタイミングが分かるのもリーダーシップだし、そのときに相手をアグレッション
でやっつけるんではなくて、アサートする力、それってやっぱりトレーニングがあるのとない
のじゃ全然違います。
わたしの場合は、米国で日本人がたった一人居る、そういう 3,000 人ぐらい働いてるオフィ
スの中に、たった一人日本人。その中で生き抜いていくためには、アサーティブネストレーニ
ングというのが、とても役に立ちました。
というのは、もう先ほどのお話じゃないけど、個人主義でがんがん攻撃してくる人たちを相
手に、どうやってそれを裁いて、自分が傷つかないで生き抜くかと。ですから、わたしが先ほ
ど申し上げたように、わたしが若い時にこのトレーニングを受けてたら、もうちょっと良かっ
た。
でも、すごい苦しかったです、それは。英語もそんなにできないうちに、そういう修羅場を
ずっとくぐってきましてね。でも、その会社はトレーニングに送ってくれて、全然変わりまし
た。ああ、そうか、こうやってしのげばいいんだと。
それはトレーニングに入りますから、ロールプレイというか実際にやらせるんですけど、ゼ
ロックス機の前に受講者がみんな並ぶんです。一番後ろについた人は先に行って、自分の持っ
てる紙を先に(コピーを)とってくれと頼めと。それを実際にやらせるんですよ。最初、何に
も教えないでそれをやらせるんです。その時は、いろいろトラブル、「嫌だよ」とか言われて、
ぱーんとけられたら何て答えるかと。そういうことから始まって、実際にはどういうやり方を
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第1回
BLP 外部評価委員会
すると、それがうまくいくかというのを教えてくれるんですけど、実際にそうなんですよ。こ
れは、そういう種類のトレーニング。
それから、交渉術でもいいんですけど、交渉術というと、あまりピアレベルのリーダーシッ
プにはちょっとなじまないところもありますんで、ですから多少技術的な側面ではありますけ
れども、そういうことを教えると、ちょっと内気な子というのが、がらっと変わるとわたしは
思います。
日本も、今の女性はそういうトレーニングは必要ではないかもしれませんけど、昔はずいぶ
ん女性のためのアサーティブネストレーニングというのがありました。今はもうやってないで
す。今は、(男性と)かなり同じぐらいのレベルに達したんだろうと思います。
○星:これは、かなり明確な方法論があるんですか、アサーティブネストレーニングは。
○高橋:そうですね。アメリカでは普通に行われているトレーニングコースです、割とベーシッ
クな。ですから新入社員とか、わたしも新入社員で入ったんですけど、結構やらされて。
○星:BL で教えてる感じだと、学生たちはもうちょっと、そこまでアグレッシブじゃなくて、
割とお互いを立てながら、実にうまく円滑にやるという何かを持ってるなって感じなんですね。
たぶん今言われた非常にしかるべきタイミングでちゃんと自己主張して、みんなを納得させる
というトレーニングに直結してるかと言うと、そこはちょっと違うような気がしますが、少な
くとも日本人のマインドセットの中でうまく、あんまりぐしゃぐしゃにならないでやっていく
というトレーニングには非常に向いてると。
だから、もしかしたら違う側面のトレーニングというのは、また違う観点から入れていく必
要があるのかもしれないというのは感じています。
○高橋:わたしも自分の授業の中で実はグループワークを対応して、まあディスカッションク
ラスなんですね。ところが、わたしはオブザベーションなんですけど団塊世代ですから、見て
て、今の子たちがすごい、何ではっきり言わないのかと。全部、奥歯に物が挟まってる。これ
は今の時代の価値観の中で、それがコンフォータブルなゾーンなんだと思うんですよ。立ち入
らない。ですけども、社会に出たらそんなことってあり得ないですよね。実際には期限が決め
られてるし、どんどんディシジョンしていかなきゃいけない。
ですから、実はグループワークをやると、ほとんどのプロジェクトが最後の瞬間に、ものす
ごいニアクラッシュ状態なんです。こちらでどういう経験か知りませんけど、最後で重要なこ
とを、英語の表現で「beat around the bush 」というんですけども、大事なことを話さないで
周りのことばかり話す。
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第1回
BLP 外部評価委員会
それを直すのは、やっぱりアサーティブネストレーニングです。今ここでこのことを決めな
ければ、先に進まない。ところが、それをどういう切り口で切り開いていいかというテクニッ
クを持ってる。われわれは会社に入って実践でそれを習ったんだけど、実践で習う前にもう有
効な技術があるから、それを教えた方がいいとわたしは思います。
○二子石:全く同感です。
○高橋:ねえ。本当にもう擦り合わせばかりですもんね。
○二子石:そうですね。
○日向野:かつてあったという女性のためのアサーティブトレーニングというのは、今は使え
ませんかね、男子学生に(笑)。
○高橋:昔は結構そういうコースが日本でもあったんです、10 年ぐらい前に。もう今はないん
です。やってないんですよ。つまりもう必要ないぐらい十分に、女性もちゃんと自己主張がで
きるようになったということだと思います。
○二子石:どうですか、やってて。先ほど僕は、ああいうことって誰でもリーダーシップは発
揮し得るんだというお話をしましたけど。それでも、やはりその中のリーダーというのは出て
くるんですか。
○津吹:グループの中でですか。
○二子石:はい。
○津吹:そうですね。やはりアリの法則ではないんですけども、何割かがその場を仕切って。
クラスの中で、フリーライダーという呼び名をしてるんですけど、どうしてもただ居るだけの
存在というのがどうしても発生してしまったりで、だから平均的に全体のモチベーションを上
げていってというのは、試行錯誤しながらやっているというのが正直なところです。
○二子石:その人が、なぜそういうリーダーになっていくんだろうという過程というのは、やっ
ぱり節目節目でその人がいい意見を言うし、説得力もあるというようなことの積み重ねでそう
なるんでしょうか。
○津吹:恐らくわたしの感覚では、いろんなタイプが居ると思うんです。論理的にグループを
まとめていく学生が居たり、時には声が大きいじゃないですけども、割とわっと感情を出して
引っ張っていくタイプも居たり、あるいは地味だけれども、みんなを調整しながら縁の下的に
やっていく子が居たり、それぞれのリーダーシップだとは思うんです。
わたしが思っているのは、どんなかたちでもいいからというか、いろんなタイプがあるのだ
から、その個性に応じたリーダーシップというのを身に付けて伸ばして、発揮してくれればい
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第1回
BLP 外部評価委員会
いと、わたし個人では思ってます。
だから、逆に見え隠れ、隠れてしまいがちな、だけどもリーダーシップを発揮しようとして
いる学生はきちっと見てあげなきゃ、評価してあげなきゃいけないと。そういったところは、
ちょっと考えながらやっているところです。
○松岡:一つよろしいですか。学生の体験からして、今お話に出てたようなことというのはす
ごく実感する部分がありまして、僕はウエルカムキャンプとか BL0 から 1 にかけて、どちらか
というと自分ではすごくリーダーシップを発揮できてると思ってたんですね。実際にチーム自
体もそれなりにうまくいき、充実感もみんな得たと僕は勝手に思ってた部分がありまして、BLP
のいいところというのは、恐らく授業時間外のコミュニケーションというのがものすごく促進
されると思うんです。
なので、授業が終わってから、本当に BL1 までですから 1 年たってから、
「あの時さ」ってい
う話を結構するんですね。僕は、本当に 1 年たってぐらいですか、
「実はね、おまえ結局あの時、
自分の意見だったじゃん」みたいな話もしてもらいました。
僕に限らずなんですけど、本当にそのメンバーが、先ほどおっしゃられていたトレーニング
の代わりではないんですけど、自分たちなりに「リーダーシップってこうなんじゃないの」と
か、
「おまえさ、あの時もっとこうした方が良かったよ」ということを、互いに認識し合えるよ
うになってるというのが僕は率直な実感で、BL2 以降では、割とそのトレーニングの代わりに
自分たちで話した結果、それが少しは生かされてるというのは実感してます。おっしゃられて
るとおり、リーダーはみんなでつくったり、互いを通して自分を知るじゃないですけども、そ
ういったことはすごく有用にできてると感じてます。
○二子石:授業で集まってさっきみたいに討議してる時間と、それ以外の場所でもメンバーで
集まっていろいろやるんですか、飲んだり食ったりしながら(笑)。
○松岡:ものすごくやります。
○二子石:それはね、そこが大事なんでしょうね。
○松岡:はい。みんなで予定を擦り合わせて、本当に授業時間というのは、どちらかというと
決められたのでそこにみんな行くだけであって、むしろ実働時間というのは毎日夜までやる。
班によって多少差はありますけども、そこで本当にコミュニケーションをとれることが一番の。
リーダーシップというよりは、コミュニケーションをとるきっかけとして、ものすごくありが
たく思ってます。
○二子石:そうでしょう。と思います。あの中だけで、僕は物事が決まっていくとは思えない
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第1回
BLP 外部評価委員会
んですよね。説得力というのは、人柄も含めて全体が出てくるものだから、それってどこかで
認識し合ってるんじゃないかと思ったんです。そういうのが、あの場面で意見として出てきた
ときに、あ、こいつはああいうやつだから、こいつの意見に従っていこうということになって
いくんだろうと思ってるんです。
そういう時間がたくさんとれてて、コミュニケーションがしっかりとれてるチームは、たぶ
ん授業の時に短い時間でそれぞれしたときに物事が決まっていくとか、そういうのが増えてく
と違いが出てくるのかもしれないなと思うんですね。
○高橋:さっきのフィードバックセッションで、わたしは学生が相互フィードバックするとい
うのが大変優れた方法だなと思って、自分のところでは相互フィードバックはやってないんで
すね、わたしがフィードバックするのはやってますけれども。だけど、実際には相互フィード
バックの方が良いなと、わたしは一つ思うんです。
それから、あと学生が紙に落とすところで、自分のこと以外の他人の行動まで書くというの
はわたしもやってて、それはすごく大事だなと思います。優れたリーダーって、優れた観察者
なんですよね。すごくよく人のことを見てます。ですから、人のことをよく見てる人が、それ
に行動力がつくと、リーダーにつながっていくと思うんで、その最初の観察力の部分というの
をよく見てて、わたしは、だからフィードバックするときには、
「ああ、君、よく見てたね」と
言うと喜びますよ。
そういうところもあるんで、自分が他人の行動をよく見るということと、わたしがきょう本
当にありがたいなと思うのは、この相互フィードバックというのは、ぜひ春学期でやってみた
いなと思います(笑)。
○日向野:文章だけで出すと、書き言葉にならなきゃいけませんから、ここから先の感想は真
意が伝わるように口頭で眼を見ながら、と。
○高橋:1 グループ 5 人がマキシマムなんでしょうか。何人でらっしゃいますか。
○日向野:BL1 では 6 ですね。ためしに 8 人にしたことがあるんですが、駄目ですね、8 人は。
本当は 8 人でも大丈夫なようにしたいんですけども、分けられなかったんです。
○高橋:わたしは、6 人の BL じゃ、多くなるとフリーライダーが多くなる。ところが、5 人ぐ
らいだと、1 人でも欠けるとできないんです。だから責任感がものすごく出てくる。
○日向野:そうか、BL1 は 3 人でやってる。3 人は、でも駄目です。ちょっと悲しいグループも
ところどころ。
○高橋:そうですよね。全くクラッシュしちゃうところも出てきますよね。
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第1回
BLP 外部評価委員会
○日向野:発言してない方、何かご質問でも感想でも。
○太田:わたしが言っていいですか。わたしはこの 4 月から、太田と申しますが、まだ全然経
験はないんですが、今ちょっと聞いておりましてアサーションですか。
○高橋:アサーティブです。
○太田:ええ。だから人はやっぱり理だけじゃ動かない。理屈は分かってても、情の部分がな
いと。この情の部分を扱うんだろうと。その質問と、それからもう一つは、リーダーシップっ
て普通は他人に影響を与えるのがリーダーシップなんでしょうけど、その前にまず自分で自分
をコントロールするというか、セルフリーダーシップというかセルフモチベーション、ここの
ところは awareness のとこで扱ってる。
さっき日向野先生がチェンジマネジメントのところの、まずすごいストレスが来たときに、
そのチェンジに対して自分がどう乗り切るかというそのチェンジマネジメントと、もう一つは
自分でチェンジエージェントとして変革をつくり出していこうという、その二つの意味がある。
だから、たぶん自分で自分をコントロールできるようなものは、大きな刺激が来たときに、
それをどううまくサーフしていくかという、そこがセルフリーダーシップみたいなところにな
るのかなと思ったんですけども、そういうものは別にあるんだろうかと。リーダーシップもよ
く『7 つの習慣』なんか、最初はまず自分をコントロールしないと人にもいい影響を与えられ
ません、だからまず自立が先だと言ってるみたいですけども。
○日向野:自立の方が先だということは今は教えてないです。
○太田:そうですか。
○日向野:チームの中で、それは自然に詰まっていくだろうという前提にしてますから。
○太田:分かりました。
○日向野:最初のご質問はいかがでしょうか。
○高橋:人間は感情によって動いてますから、理論というのは基本的に説明のためにあります。
だから、わたしはそれがなかなか、大学院生なんで結構専門知識を持ってるから、専門知識で
いろいろ言おうとするんだけど、全然人は動かないわけです。
かつ、グループワークをやったことのない人は、何で動かないのかって、ものすごい嫌な次
元。それを教えてあげると納得という感じになるんですけど、そのために 13 週間使うのはもっ
たいないと思います。そういう基本動作みたいなことは、大学の 4 年間の中で学ぶべきだと思
います。でも、残念ながら、大学すべてが共同作業をどうやってこなすのかということを訓練
して出てくれてないので、どうしてもそういうのは。
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第1回
BLP 外部評価委員会
あと、わたしが受け持ったたまたまクラスの場合は、3 分の 1 は外国人なんですね。わざと
そうしてます。マルチナショナルの中でどうやって仕事するかというプレッシャーをかけてま
すから、特に難しいといえば難しい。日本語があまりうまくできない人の中に居ますけど、で
も、そういう中でどうやってコミュニケーションして分かってもらうか、そして分かるかとい
う、その動きですよね。そういうことをやってます。
○太田:会議で決まっても行動に移らないというのは、やっぱり納得性がないわけですね。納
得性がないというか、当事者意識がなくて他人事みたいに結局納得してない。だから、もう一
つは理屈では納得したけども、あいつが言うんだから行動しないというのがあるんですね。そ
ういうところは、最近 EQ なんかは、ああいうツールとかを使ったり。
○二子石:同じことを言ってても、あの人が言ってやるという違いみたいなのはあります。
○太田:企業なんかで、よくあります。
○二子石:ありますよね。
○日向野:それは大学でもあります。
○高橋:(笑)それは人の世ですから。
○太田:さっき何かおっしゃってた、みんなに当事者意識を持たせるようなファシリタティブ
なリーダーシップというんですか、ポジションパワーを使わないでみんなにやる気を出させて
いくような。だからポジションを使ってやれば、緊急のときは仕方ないかもしれませんけども、
みんなそれぞれが、そのためにはその前に十分話し合う必要はあるかもしれないし、自分の意
見を聞いてもらったり、今のアサーシングじゃないけども、それがないとなかなか納得性が高
まらない。
○二子石:そうですよね。意外と社会全体が、方向性が決まってるような時代だと思うんです、
このパワーリーダーシップの発表にしたって。今は違うんだと思うんですよね。それぞれが、
それぞれのポジション、それぞれの立場、企業で、新しい道をつくっていかなきゃいけないと
いうときに、上に解がないんですよ、そういうことの。経営にしても、上の方にこうあるべき
だという答えを持ってないんですよ。それを組織全体でつくり出していくという過程だと思う
んですね。
○高橋:あと、わたしが思った印象は、企業の中でコーポレート・ユニバーシティを担当して
ましたので、まさにこのアクションラーニングの手法を使って、最後は役員の前で発表する。
そのテーリングが幾つか会社全体の問題解決になるということで、まさにそれを今この授業で
やってるということで、非常に素晴らしい。
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第1回
BLP 外部評価委員会
○二子石:すごいですよ、これは。ですから、これをやって、その後入ってもまた同じ繰り返
しの授業を会社の中で受けていくようなものなんですけど、ずっとこの問題というのは終わり
ませんね、どこへ行っても。と思うんですよね。そのレベルレベルで、やはりこの基礎の部分
を振り返られるような、そういう授業だともっといいと思います。
○日向野:ちょうど第 1 期生が、3 年生が就活が始まったところで、採用市場の評価がどうか
というところが非常に気になるところです。
○高橋:超氷河期ですからね。この BLP のカリキュラムの中には組織論は?
○日向野:この中にはないですけど、別の専門科目のところにあります。
○高橋:何年次で、それはだいたい履修するんですか。
○日向野:2 年以上でしょ?
○石川:2 年です。2 年から。
○高橋:もちろんピアレベルのリーダーシップということなんで、別に組織論の背景がなくて
もいけることはいけるんですけれども、わたしは、BLP の 0、1 を通したその上で組織論と組み
合わせたことをやられると、もうちょっと現実的かなと思います。
というのは、今、二子石さんの言ってる先が見えない時代になったときの状況として、これ
は別に企業に限ったことじゃなくても、わたしはちょっと午前中 JICA で教えてたんですけど、
政府でも同じですけども、今時代がどんどん新しくなって、それからメディアもどんどん変わっ
てるんで、アプリケーションはどんどん新しく塗り変わってるんですね。
ところが、OS が変わってないんですよ。OS が、昔のメーンフレームと同じです。中央集権な
んですよ。だって日本のガバメントを見てください。中央省庁で、本当は今も住民サービスと
か地方の時代とか言ってサービスの質が問われてて、だからいろんな知事さんなんか一生懸命、
住民サービスで新しいアプリケーションをやってるけど、その下の実行を担当してる OS が古い。
だから、うまく回らない。効率が悪い。会社も同じですよ。わたしも社外取締役を何社かでやっ
てるんですけども、下を整理しないで上のところばかり一生懸命いじってるんです。これでは
駄目。もう新しい時代についていかない。
なぜかと言うと、全部中央が権力、お金を握ってて、すごい速いスピードでペリフェラル、
実際には顧客と対応すると、チェンジしてるのに、もう対応が遅くてしょうがない。パスが何
度も何段も、もう典型的な古い OS。OS を捨てなきゃいけないという、わたしはそういう時代だ
と思うんですね。
ですから、そういうリーダーシップを一生懸命トレーニングして社会に出たとしても、組織
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第1回
BLP 外部評価委員会
というものは実際にリーダーシップが゙発揮できるプラットフォームになりますから、その組織
のどういう構成がどうなんだという、少なくとも理論をフェアで習って出ていかないと、リー
ダーシップというのは本当の意味で発揮しにくいんじゃないかなと。それはガバメントも両方
同じじゃないかと思います。
○星:今、方向感がない中でボトムアップでいろいろアイデアを現におっしゃられたんですが、
わたしもそれを伺って、ボトムアップでやってって、中央集権的な意思決定メカニズムの中に
入れていって、果たしてどれだけ通るかなというのはちょっと。
わたしも日常、年がら年中それでつらい思いをしてるんですけども、その現場の情報が本当
にビビッドに上に行くまでに、上がるかどうかとか、仮に上がったとしても、それが現場が感
じてる問題意識と同レベルのイシューとしてとらえられるかというのは、そこら辺は本当に難
しいと思います。
だから、それは権限委譲するとか、OS の仕組み自体を変えていくというのは、本当に企業の
中でリーダーシップが機能していくためには、そうじゃないかなという気がします。
○二子石:全くそうだと思います。わたしが申し上げてるのは、うちの会社はそれができてる
と言ってるんで、そういう点はいつも注意、気にしてますということを申し上げてるんで、ちょ
うどこの学部と同じように三百数十人しか社員が居ないんですね。
でも、やっぱりぞっとすることを聞くことがあるんですよ。わたしに到達するまでに、何段
階もプロセスがありますというのを、去年、おととし入った社員と飲んでると、そういう話が
出ます。これは、本当にぞっとしますよね。こんなちっちゃな会社でこんなことが起こるんだ
と。これは絶えず注意しておかないと駄目ですね。
どうしても組織というのは、上を見出すとそうなっちゃうんですね。そこは何か新しい仕掛
けが要ると思います。何かプロジェクトをやるときに、上から指名するんじゃなくて、
「希望者
は別に年齢とか何とか全部問いません。このプロジェクトをぜひやりたい人は、手を挙げてく
ださい」といってやろうかなと今度は思ってるんですけど、そういうことをやっていかないと、
組織というのは必ず絶えず揺さぶっておかないと、しーんとなった瞬間に、今、先生がおっ
しゃってる
。
○星:なかなか・・・。
○二子石:ええ、揺さぶるというのは大切ですよね。それが権限委譲ということになると、権
限委譲されて、それがまたぴしっと収まっちゃうと同じことになってしまう可能性がある(笑)。
委譲したところで同じことになってしまう可能性があるので、そこは難しいですよね。
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第1回
BLP 外部評価委員会
○星:そうですね。
○日向野:そうすると、企業では、どっちかというとリーダーシップを発揮できるような環境
をつくっておくために、いつも活性化する必要があるし、われわれ大学としては、学生が自分
の入った企業がどういうタイプの組織をしてるかを診断する技術として組織論を教えておくと、
よりリーダーシップを発揮するかもしれないということでしょうか。
○高橋:リーダーシップって組織と不可分ですから、わたしは組織論を論として学ぶこと以外
に、例えばグループワークをするんだって、6 人居れば組織化が可能なわけですよね、どうい
う担当をして
、リポーティングリーダーシップはできないかもしれないけど。そこでもっ
て、そういう考え方、つまり民主主義では動かないんですね。
わたしは自分のクラスのグループワークを見て、決してディレクトはしませんが、
「このペー
スで、君、何週間後に結果出せる?
どうして出せると思うか」という問い掛けをすると、彼
らはこれではまずいと。ですから、アサイメントをしたり、どうしてそういう割り振りにする
のか、どうして考えたのかって、そういう問答としては考えさせてるんですけど、実際にはやっ
ぱり組織論を習った方が、もっとすんなりいくだろうと。
ですから、BL4 ですか、4 は専門を習ってるからというんで、すごい短いですよね。ああいう
かたちになるべきだと思うんですけど、どこかで組織論のベーシックみたいのを教えておいた
方が、リーダーシップの使い方、発揮の仕方に良い影響があるような気がします。
○日向野:ほかにいかがでしょうか。
じゃ、質疑応答の中でコメントはずいぶん頂きましたので、まとめて評価をいただいてよろ
しいですか。
○高橋:わたしは、先ほど冒頭に申し上げましたけど、本当にちょうど立ち上げのベースで少
し構想をお聞きして、きょういろいろ拝見させていただいて、とても良いカリキュラムに組み
上がっていて、かつ非常に細かいところまで、実際にカストマーは学生ですから、カストマー
の点から見て、いろいろな目配りがされている、先ほどの SA がフォローするというところとか、
SA 自身にもコミュニティーをつくらせて、それ自体が学習効果を発揮してるとか。それから、
流れが非常に良く出来てるようにわたしは思いました。
わたしのコメントで、サジェスチョンで差し上げたのはクリティカルなものは一つもなくて、
多少のプラスになればという程度のことですから、わたしは大変素晴らしい、自分の大学に取
り入れたいなという評価で、大変高い評価だと考えます。
○二子石:わたしも、実は社員の面接をやってても何を聞くかというと、何を勉強しましたか
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第1回
BLP 外部評価委員会
とか、卒論何を書きましたとか、ゼミは何ですかとか、わたしは一切聞かないんですね(笑)。
今までどういう人生を過ごしてこられましたかとか、もっと言えば学生の時に、どういうクラ
ブ活動でも何でもいいんですけれども、チーム活動に参画してきたかとか、そういうのはよく
聞くんですよね。
それはなぜかと言うと、こういうことを聞きたいんですよ。つまりそういう集団の中で、何
かを一つの目的に向かってやるという活動をしてきたかとかですよね。その中で、自分がどう
いう役回りをしてきたのか、あるいは自分が友達からどういう評価を受けてきたのかという話
に持っていこうとするんです。
ですから、クラブ活動をやってない、バイトだけやってました、本だけ一生懸命読んでまし
たという人は、ちょっと困ってしまうと言うとあれですけども、そういう意味では、日本でこ
ういうのがない時には、そういうところでは恐らくこういう実体験、クラブ活動のようなとこ
ろで皆さんやってこられたと思うんですけども、授業として、しかも理論に教育された訓練を
されるというのは、非常に企業にとってはありがたいと言いますか、ぜひそういうのをやって
きましたと、堂々と入る時に説明してくれるような学生が、どんどん出てくるといいなと思い
ます。
そうすると、非常に入ってからのイメージができるんですよね、その人の。いい意味では、
ありがたいカリキュラムだと思いますし、ぜひ毎年いい学生をこれで出していただいて、でき
れば一人でも二人でも、わが社に入っていただければと思います(笑)。最後ですけども、本当
にいいカリキュラムだと思います。
○日向野:ありがとうございます。ディスカッションいただいた点については改善したいと思っ
ております。では、白石先生。
○白石:どうも、きょうはいろいろとありがとうございます。何分ぐらい?
10 分ぐらいで。
○日向野:結構です。
○白石:あと、いろんなこと申し上げますけども、そういうもともとの考え方から含めてちょっ
とお話ししたいんですけども、今どんなことが問題であるかということも含めて。
ご存じのように、この経営学部が出来て、まだ 3 年、ことし、今度 4 年目になりますけれど
も、立教大学自体としては経営とか商学の歴史は長くて 100 年近くですけれども、そういう中
で既存の学部・学科の改編の一つの位置付けとして、こういう経営学部をつくろうということ
があったのは事実です。時代の要請に応えてということだったかとは思うんですが、それで経
営学部をつくろうということになりました。
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BLP 外部評価委員会
その時の理論は、本当に当初は、日本ですと一橋の商学部とか慶應の商学部というところの
カリキュラムを持ってきて、こういうのが参考になりますというアドバイスは教員からありま
したけど、わたしは、そんなものは全く役に立たないと(笑)。
全くとは言い過ぎでしょうけれども、基本的な経営学を学ばせるためのフレームワークはあ
りますけれども、われわれがこういう後発の中で経営学部をつくるという意味を考えてもらわ
なければ困る。大規模大学のミニチュア版をつくって、どういう意味があるのか、まず勝てる
わけないですし。勝てるといいますか、意味付けはどうするのかと。
そういう中で、時代の要請に応えるということが一つですけども、あとは何ゆえ立教大学に
つくるのかと。立教大学の建学の精神に合わないものをつくる必要はないと。そういうことを
とにかく基本として出発しようということで。
一方の BBL の方は、立教大学は宣教師がつくった大学ですから、外国ですとか英語ですとか、
当初は宣教師の方々が英語で聖書や学問を教えたという伝統がありますんで、そういう中で一
つ国際化、それは合ってるだろうと。でも、ほかに何があるだろうかということを考えたとき
に、一つリーダーシップというのがキーワードではないかという考えに至ったわけなんです。
ただ、日本でいうリーダーシップというと、今もオバマさんと比べて麻生さんのリーダーシッ
プはって、そういうカリスマのリーダーシップだけじゃないわけですよね。本当に身近に翻っ
て、家庭のお父さんのリーダーシップはどうなってるのかなから本当に始まると思うんです。
リーダーシップのない家庭というのは、お父さんかお母さんか分からないですけど結構多いん
じゃないかと。組織ですから、組織というか何人が集まってというところではリーダーシップ
は必要で、それは横のリーダーシップと、家庭、縦横、上下もありますし、そういうことを考
えました。
ただ、アメリカを見ると、リーダーシップ力があるというのはカリスマ的なことじゃなくて、
普通の人が持ってる力としてのリーダーシップ、それだけで一つの意味がある。そういう位置
付けですよ。価値がある。価値があるから、英語でアメリカ人が「leadership」と言うと、そ
れは資質として一つ価値のある資質だという受け取り方をしてる。
それに対して、日本はそこまで言ってないわけですよ。何か上から下へのリーダーシップと、
やっぱり大きな違いがある。
できれば組織として生活していく中で、身に付けるべき一つの資質として、こういうリーダー
シップを考えられないかと。それは高校生、今の若い人たちが非常にパッシブな行動はできる
けどアクティブな行動はできない。隣の空気を見る。それで動いてる。しかし、社会に出れば、
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BLP 外部評価委員会
全くそれと違う程度の差はありますけれども、いろんなリーダーシップをもっと、組織で働い
ていくということですから。そういうことを養成するプログラムが必要だと考えたわけです。
そこまでは良かったんですけれども、リーダーシップを担当する教員をどうするんだというこ
とから、いろいろわたしは苦労して日向野先生に来てもらったんです(笑)。
でも、日本で初めてのプログラムですから、アメリカには同類のものもありますけれども、
どちらかというと MBA 以上なんですよね。ですから会社の経験があって、それを踏まえてのリー
ダーシップと。こちらはまだ学部レベルという違いもありますし、やっぱり日本の中でという
ことで、中身をどういうふうにしようかということは全くスクラッチから始めるということで、
今回 3 年やっていただいて、かなり成果を上げてきたと思いますし、一つとしてはこういう GP
に採用されるということはあります。
ただ、例えば英語で見ると、英語の能力を高めようというときに、英語の授業を提供して学
生に受けてもらったら、アンケートをとると、ああ、良かった
、そういうときがあるんで
すね。結果、じゃ英語の成績がどれだけ伸びたかというのを量んなきゃいけないですから、量
るというところが、このプログラムは難しいとは思うんですけれども、そういうことはやっぱ
りしなければと。
評価の中に、学生に対するアンケートは重要です。教員のアンケートも重要ですけれども、
社会からの評価をどうやってはかっていくのかと。はかることが重要じゃないんですよ。だけ
ど、そういう姿勢は忘れちゃいけない。一つ今回就職したときも、どういうところに入れるか、
もう少し長く見ると、行った企業からどういうふうに評価されるかと、それが非常に重要と思
います。
ちょっとわたしが今感じてる問題点は、専門科目とのリンケージをどういうふうにしていく
かというのが、組織論が非常に重要だというご指摘もありましたし、くさび形にどういうふう
にしていくかと。BL の一番最後は、かなり専門科目の知識があって、インテグレーションして
何かできるという構想にはなってるんですよ。だけど、その構想がどれだけ実現できてるのか
といったようなところが今後あるなと思います。
こういうかつての経験者も出てきて、トップというか、本当にいい効果があった学生諸君で
すから、それはいいとこである。ご指摘いただいたいいところというのも、うまくいけば
、
いってますよ、学生のうちの 2、3 割は本当にそのとおりできてますけど、そうじゃない学生も
考えなきゃいけないといいますか。でも、全部引き上げるのは難しいですから、こちらの戦術・
戦略としてはトップ 3 割を伸ばすというやり方もありますけども、教育機関ですから全体のス
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BLP 外部評価委員会
タンダードを上げていくということが非常に重要だと今は考えてます。
今、問題があるという学生諸君は、たぶんこの BL の授業に出ても、何の目的でやってるのか
よく分からない(笑)。そういう子は、たぶん人の意見なんか、人を見てないわけですよ。自分
だけしか考えてない。こういう課題を与えられて、その課題について議論するということは分
かってるけども、これが何の役に立つのか、何のためにこういう議論をさせられてるのかが分
かっていない。ですから、「集まって何か議論するんですよね」、その程度で終わっちゃう学生
諸君が居るんですよね。
だから、それは今までの初中等教育の中で、そういうふうにしか受け取らない、偏差値が高
くてもそういう教育を受けた。その子たちの視点をどうやって変えていけるのかどうか、その
辺が次にあるんじゃないのかなというのは。結果、やっぱりフリーライダーもそういうところ
から。
一つの方法としては、人数を 6 人にするということは方法としてはあるんですけど、彼らの、
要するにできない子というのは、何で勉強させられてるか分からないからできないというとこ
ろがありますでしょ(笑)。これについても、そういうところが、その辺をどういうふうにした
らというのが次の課題かなといったように思ってます。
評価を受けるというのは、本当に難しいですよね。文科省辺りがこのためですから良ければ
ということですけども、本当に社会から評価を受けるってかなり時間がかかりますし。だけど、
一瞬たりとも動きを止めると元に戻るか、そういうのはオーバーシューティングというんです
か、ドーンと下にいっちゃう。
ですから、こういう努力は重ねていかなければいけないと思うんですが、わたし自身がやっ
てきて、なかなか重ねてきた自分の努力と評価というのは、こんなにやってるのに、ここまで
かなと思うところも一瞬あるんですけどね。だけど、どこかでやっぱりそういうのはブレーク
スルーがあるはずなんですよ。だから、そこまで頑張らなければいけないなとは思ってます。
こういうプログラムは、立教はうちだけです。本当にほかはないですね。ご指摘があったよ
うに、一方通行で教える方が全然楽なんです。それでミニチュア版をつくっちゃいけないと先
ほど申し上げましたけど、それが一つで、でも彼らにできないこと、明治であっても、早稲田
であっても、慶應であっても、このプログラムができないというのは、あれだけ人数が多くて、
あれだけ伝統的であったらば、既存の先生方に、
「こういうことをやってくれ」って、
「冗談じゃ
ない。そんなことやってられないよ。おれは研究があるんだ」と絶対できない。
ですから、うちのサイズで新しくつくった、そしてうちの、どちらかというと学生の面倒は
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第1回
BLP 外部評価委員会
よく見ようという大学の方針がありますから、そういう中ではできる。賛同する人間も最初は
半分ぐらいでしたけど、教員の中でもね(笑)。それが 6 割、7 割と増えてきて、とにかく今は
このプログラムはコアとしているんだと。
でも、いろんなここが問題だというのは常に出てきますよね。でも、それがやっぱり重要で
すから、きょうの結果も唯一の教授会では報告があって、次はどうしようかということをやっ
てますんで。
毎年こういった場を設けていただいて、日向野さんはつらいかもしれないけど、僕としては
厳しい評価をいただいて改善に向けていくということが一番、社外取締役等々を思い、その時
代ですからね。
○高橋:先生、学外からこういう評価委員を選ばれること自体が、極めて日本の大学ではユニー
クですから。そもそも大学の方ばかりで大変口幅ったいけども、でも大学の方って外から非難
されるのが大嫌いですから(笑)。
でも、本当に大学を良くしようと思ったら、特にわたしは大学といってもほとんど企業人で
すから、企業、それから学生、大学という三位一体の関係で、お互いにやっぱりフィードバッ
クをし合うということをやらないと、良くなっていかないんじゃないかなと思いますよ。
そういう点では、わたしは日向野先生から「外部評価委員になってください」って、えーっ
と思いましたが、そんな大学というのは、わたしはほかに知りません(笑)。
○白石:
(笑)やっぱり。これも継続が重要ですけどね。そういう気持ちを持ちましたので。本
日はありがとうございました。
○日向野:学部長からの評価が一番厳しかった(笑)。本日は、どうもありがとうございました。
(終了)
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