2012 Vol.4, Issue of October 31 理数科 通信 Takahiro Nakamoto, Takahiro Fukuse, Yusuke Asai, Nobuyuki Inoue, and Kimihiko Yamamoto Department of Science and Mathematics, Tottori Higashi High School 理科実験セミナー(生物) 8月28日(火)、29日(水)、本校にて理数科 の3年生を対象に理科実験セミナーを実施しました。 生物担当の原田晋一先生を講師に、「法医学検査シミ ュレーション~制限酵素を用いたDNA鑑定に挑む ~」というテーマで実験を行いました。制限酵素を利 用したDNAの切断パターンによってできる様々な DNA断片の長さを比較検証し、科学捜査などで行わ れるDNA鑑定を疑似体験しました。 の 情 原 熱 田 的 先 な 生 授 業 を 展 開 中 D N A 断 片 を 注 入 ! 地学・農学系)に分かれ、Aコースは「分子を見る」・ 「低温の不思議と超電導」 ・ 「放射光が拓く物質科学」、 Bコースは「遺伝子と形質」・「環境放射能」・「ト リの雌雄を解剖して判別し、DNA で鑑別する」と いうテーマで、生徒一人一人の興味・関心に応じて実 験・観察・講義を受けました。高校では味わえない発 展的な実験や講義に感動しました。 生徒の感想(Aコース選択者) ・結晶を作成したり、原子の配列を自分の目で見たり することができました。半径を求めたり、原子間の 距離を求めたりして楽しかったです。 ・この3日間は、今まで習ったこともないような内容 で難しかったけど、たくさんの専門的な実験ができ て、とても貴重な体験ができました。 ・私は、化学の講義でデータ解析プログラムを作った のが楽しかった。酸素と炭素との結合の平均距離を 求めることができた。とにかく楽しくて、勉強にな りました。 奥 データを解析中! 手前 僕は物理選択者なので、 開始直後は生物の用語や実 験の内容がよく理解できず、難しい実験だと思ってい た。しかし、実際に実験してみると一つ一つの作業が とてもシンプルで分かりやすく、最終的には、実験で 使った言葉とその意味、手順などが理解でき、班の仲 間と楽しみながら充実した実験ができた。 今回はいく つかのDNAを鑑定することがメインで、DNAを取 り出す方法が未知のままなので、今後その方法を調べ たり、機会があれば実際に実験したりしてみたい。 3-8 稲墻 望 自然科学実験セミナー 9月24日(月)~26日(水)、理数科の1年生 を対象に自然科学実験セミナーを広島大学で実施し ました。理学部と生物生産学部の先生方のご指導のも と、大学の施設を使って学習させてもらいました。 生徒はAコース(物理・化学系)とBコース(生物・ 結晶を観察中! 生徒の感想(Bコース選択者) とても楽しい3日間でした。自分が今まで体験でき なかったことをたくさん体験することができてうれ しかったし、勉強になりました。特にトリの解剖はと ても衝撃を受けたし、怖かったけど、自分で解剖する ことで実際に体の仕組みなども見ることができた。私 は大学に行きたいと感じたことがなかったけど、今回 のセミナーで大学に対して興味を持つことができま した。 生殖腺を観察し、雌雄を判別する 鳥取県高校生科学セミナー 7月15日(日)から鳥取県高校生科学セミナーが 開催されています。本校からは10名の生徒が参加し ています。このセミナーでは、鳥取大学や鳥取環境大 学等において数学・物理・化学・生物・情報の各分野 の講義・実験・実習等が4回行われます。また、第5 回として「科学の甲子園」鳥取県大会が10月28日 (日)に本校で行われました。 10月6日(土)に実施された第3回、10月14 日(日)に実施された第4回のセミナーの内容は以下 のとおりです。 分野 数学 第3回 10月6日(土) ・講演会 「医者の仕事」 ・数学コンテストへの参加 物理 化学 生物 ・講演会 「医者の仕事」 ・各分野の実験 情報 ・講義・実習 「データ構造とアルゴリ ズムの応用」 第4回 10月14日(日) ・講義・実習 「代数学入門(群)」 10月6日(土)の科学セミナーに参加してきまし た。僕は生物分野の実験を選択し、アフリカツメガエ ルの生体解剖の実験をしました。最初は抵抗がありま したが、解剖を進めていくうちに生命の神秘のような ものに引き込まれていき、実験を終えたときには生物 に対する興味・関心がより一層高まっていました。 今回の科学セミナーでは、解剖実験などで新しい知 識を得ることができ、研究する上で必要な能力を身に 付けることができました。この経験を今後の学習や課 題研究などに活かしていきたいと思います。 1-8 西尾 駿 サイエンストピック 今回は、生物担当の井上伸之先生に、iPS細胞 について書いていただきました! ・物理講義・実験 「運動と力」 ・生物講義・実験 「遺伝子の発現と検出」 ・講義・実習 「科学の甲子園の問題に 挑戦!」 今、日本中で話題になっているiPS細胞(人工多 能性幹細胞)についてお話しします。つい先日、山中 伸弥教授にノーベル医学・生理学賞が授与されると発 表がありました。iPS細胞の開発により再生医療へ の道を開いたことが評価された結果です。 では、iPS細胞とは一体どのような細胞なのか、 iPS細胞によってできることとはどのようなこと なのかを説明します。細胞の中には核があり、その中 にDNA(デオキシリボ核酸)が詰まっています。この DNAが生物の形、性質を決定します。ヒトはもとを たどれば受精卵という一個の細胞です。この細胞が分 裂していきます。その時に細胞は表皮、神経などに役 割分担をするため、形や性質の異なる細胞になります。 これを分化といいます。この分化した細胞は、もう分 化する前の細胞には戻れません。例えば、神経細胞は もう表皮細胞にはなれません。これを可能にしたのが 山中教授です。分化した細胞は形、性質が違っても持 っている核(その中のDNA)は同じです。なぜなら同 じ一つの細胞から分裂したからです。このDNAの使 うところの違いによって、形や性質の違う細胞に分化 しているだけです。そのために表皮細胞のDNAの使 う部分を変えてやれば、様々な細胞に再び分化するは ずです。考え方はこのように非常に単純なのです。 情報分野 科学の甲子園の問題に挑戦! 生 物 分 野 D N A の 抽 出 実 物 験 理 中 分 野 バ ネ に よ る 重 力 加 速 度 の 方法は、分化した細胞のDNAの中に、別に作成し た 4 種類の特定の配列のDNAを組み込みます。する とこの細胞は受精卵と同じく様々な細胞に分化でき るようになりました。これがiPS細胞です。iPS 細胞は様々な細胞に分化できるため、心筋細胞、神経 細胞等を作ることができます。今までは、ドナーから 提供を待つ必要があった臓器移植も、自分の表皮細胞 からiPS細胞を作り、それから臓器を作り移植する こともできるはずです。この様に画期的な医療技術の 開発が期待されているからこそ、大きな話題となって いるのです。
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