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和田 浩一「ピエール・ド・クーベルタンのスポーツ各論:乗馬のスポーツ」(2000年10月9日、日本体育学会第51回大会)
表1.クーベルタンの「実用的ジムナスティーク」の年間計画一覧表
(表中の「1」は実施を意味する)
第 1 年 目
実 施 項 目
走り
跳び
投げ
登り
泳ぎ
ボクシング
剣術
レスリング
射撃
歩き
乗 馬
木馬上での乗馬ジムナスティーク
(より重い亜鈴、棍棒など)
(ボール投げ、槍投げ)
木馬での手綱のレッスン
乗馬 (組になっての速足)
(手綱の扱い)
(騎馬サーブル)
(障碍馬)
(調馬索での飛び)
(横木飛越)
馬
馬での散歩
馬での帰還
客馬車用馬のレッスン
馬での長距離疾走
<手仕事>馬具の掃除
<手仕事>装鞍
<手仕事>装勒
<手仕事>脱鞍
<手仕事>馬の世話
<手仕事>馬具の手入れ
ボート
帆走
自転車
自動車
<手仕事>海むすび・ひも
<手仕事>自転車(自動車)の分解と組立
<手仕事>銃の掃除、分解、刃のとりかえ
<手仕事>木への絵描き、ニス塗り
<手仕事>進水と船の装備、掃除、設
置、コーキング
実施
回数
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
10月 ~ 2月
3 4 5 6 7 8 9 10 11
1
1
1 1
1
1 1
1
1 1
1
1 1
15
23
14
19
14
16
1
1
1
25 1 1
1
1
1
2
9
1
1
9
1
1
28
1 1
7
1 1
1
1
4
8
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4
5
4
1
1
2
2
4
2
2
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2
5
6
3
14
9
1 1
7
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4
6 1 1
1
4
1
3
1
3
4
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3月 ~ 7月
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
1
1
1
1 1
1
1
1
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第 2 年 目
1
1
1
1
1
1
1
1 1 1
1
1
1
1 1 1 1 1 1
1
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1 1 1 1
10月 ~ 2月
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
1
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1 1 1
1
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3月 ~ 7月
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29
1 1
1
1
1 1
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1 1 1
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1 1
1 1
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1 1 1
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クーベルタン『実用的ジムナスティーク』(1905年)、TC-III、pp.526-530 から作成
1
equitation.xlsTableGU
2010/8/6
表2.クーベルタンの騎馬格闘技にかんするおもな論説
出 典
『実用的ジムナスティーク』1905年;4) 『オリンピック・レビュー』1906年2月
[約800語]
号;10)[約1400語]
備 考
●.サーブルを手にした二人の騎手
●.『オリンピック・レビュー』
が、逆向きに駆歩をするのは「武装乗 ●.二人が横にならんで馬に乗りそれ 1909年12月;33):称賛に値する
認 識 馬」だ。われわれのものは、騎手が横 を行うのであれば、すべての人が容易 ひとつのスポートの普及を期待
にならび、陸上の格闘技とまったくお にできるスポートである。
したい。今日ではイギリスでし
なじ「フレーズ」(*)を探す。
か実践されていない。
(*).例:「もしあなたの敵が、
右手にサーブルをもつあなたか
●.方向づけをもった動きは一瞬にし
らちょっとだけ後退する瞬間
て、敵の位置をかえる。 ●.騎馬格
に、あなたの左手をつかむこと
特 徴 闘技のおもな斬新さのひとつは「フ
に成功し、あなたの背中に攻撃
レーズ」(*) が一貫して同時に、しか
をくわえるならば、あなたは交
も突発的に展開されること。
差の第一の構えで敵と対決する
ことになる」。
●.つぎの三点を可能にすること。
1.随意の三つの歩度で歩くこと、 『オリンピック・レビュー』
●.1.騎手の姿勢がすぐさま改良さ
2.馬の平静さを保たせること、3. 1909年3月;31):最初はひとり
れること、2.有効な信頼が獲得され
長 所
馬との持続的な交流をもたらすこと。 で、つぎにパートナーといっ
ること、3.局所的なからだのこわば
●.からだのしなやかさ、大胆さ、一 しょにホッケーの真似ごとを
りが消滅させられること。
瞥の能力、冷静さを発達させる。●. やって見れば、たちまち本当の
面白さを感じながら安心と自信
騎座を体得させる。
が生じ、スケートが上達するの
学習心 ●.注意の配分は敵に3分の2、馬に ●.騎手の注意が馬だけに集中するの
をおおいに助けるであろう。こ
理学的 3分の1。集中された注意力は、神経 を避けながら、騎手としての才能を急
れはクーベルタン氏の主張する
な視点 的な不器用を生みだす。
速に完成させる。
練習方法、すなわち一定の論拠
●.大部分の馬は急速に慣れていき、 にもとづく騎馬格闘技の実施を
●.ふつうの馬は鉄がかち合う音や、
最初は必然的に並歩となる。騎手の両 乗馬指導のための貴重な補助手
馬につ あちらやこちらで馬が被るひじょうに
脚の締めつける力によくしたがい、規 段とみなす方法と、いくぶん類
いて 軽い乱打には、意外なほど早く慣れ
則正しくかつ連続した歩度をつくりだ 似している。
る。
せることが大切。
(**).以上は原則として乗馬学校
●.少し慣れたら1.サーブル(木
●.1.サーブル(金属製の格闘技用
教程の
製・金属製)、2.棒術、3.ボクシ
での訓練で、戸外では禁止す
内容
サーブル)、3.ボクシング。(**)
る。
ング
●.木製サーブル、軽量サーブルは不
●.0.サーブルの受け渡し(右手→ 適当。 ●.ガード:直線型と十字型が (***).訓練[約880語]の一例:
左手)の練習:手綱がからむと難し ある。 ●.陸上での教程:いくつかの A:頭へのアタック → B:パ
い、1.足を閉じ攻撃と防御を繰り返 アタックとパラード。手首を柔らかく ラード、右顔面と左顔面へリポ
サーブ す(右手と左手で)。突きは禁止。 することが目的。 ●.アタック:剣先 スト → A:上ティアースと上
ル
2.向かい合わせにして合図しひとり での突きは禁止。 ●.以下の項目で若 カルトでパラード → B:パ
に攻撃を、相手には防御をうながす。 干の説明あり:パラード、全16種類の ラード、背中と手へリポスト →
3.軽い常歩と速歩ではじまる追跡訓 訓練の一覧表 (***)、手首の訓練、挨 A:下ティアースと下カルト、
練。
拶、ガードの変化、追撃と接触、馬の もしくはプリムでパラード。
役割。
●.サーブルとおなじ訓練が可能。
●.固くて重い棒を使用してはならな
棒 術 い。●.不自然にならないように警戒
し、日常生活の実際的な状況に近づく
こと目指さねばならない。
●.敵の方へ頸をかたむけながら、頭
部への攻撃をうまくかわし、前体重を ●.有効なガードは直線型。●.以下の
ボクシ
かけて脇腹に反撃せよ。 ●.両脚だけ 項目で若干の説明あり:アタックとパ ●.『スポーツ教育学』1922年:
ング
で馬を操り、二本の腕を自由にしなけ レードと身のこなし、陸上での教程 騎馬格闘技には、一般に普及さ
ればならない。
せるような規則がまだ備わって
●.1.サーブル:厚いウールのキュ いない。いままでの騎馬格闘技
ロット、長靴または革製の脛当て、フ はどちらかといえば武装乗馬で
ランネルのシャツ、襟が首筋まである あり、馬の役割が大きすぎて、
●.1.サーブル:頭部と首筋をしっ
丈夫な生地のフェンシング用ジャケッ 武器操作の役割が十分でない。
かり覆う特別な面、フランネルのシャ
ト、フルーレ用の手袋(手綱によって (脚注:『オリンピック・レ
ツ、丈夫な生地のフェンシング用ジャ
傷つきやすいので二重革のものが望ま ビュー』1906年2月号で、騎馬
装備 ケット、長靴用の丈夫な乗馬ズボン、
しい)、フェンシング用マスクに革製 格闘技の利用を初心者の騎手を
なめし革のフルーレ用手袋。3.ボク
の隙間塞ぎをあわせたもの。 3.ボ 上達させるために役立たせると
シング:手綱をつかめるように、指が
クシング:キュロットとフランネルの いう、新しい原理にもとづく規
分かれた手袋。
シャツで十分。ジャケットとマスクは 則の計画書を見よ)。
いらない。通常のボクシング用手袋は
不適当で、サーブル用がよい。
注)表中の番号は、和田が便宜上つけたもの。
1
classification.xlsescrimeche
2010/8/6
表3.クーベルタンの乗馬にかんするおもな論説
『スポーツ・アトゥレ
『実用的ジムナスティーク』1905
ティック』1890年;8)[約
年;4)[約1600語]
600語]
『オリンピック・レビュー』
1906年2月;9)[約880語]
『オリンピック・レビュー』1912年11、 『エクセルシオール』1915年4、 『スポーツ教育学』1922年;
12月、1913年1月;15)[約3600語]
5月;20) 21)[約1560語]
6)[約860語]
A. ●.馬に乗るために馬を
乗馬と 所有することは、かなら
は
ず必要だというわけでは
ない。
●.第1.ジムナスティー
ク、第2.科学、第3.芸術
(異なるレベルの積み重
ね)
●.大衆乗馬:ジムナスティーク。
従来の乗馬:科学と芸術の結合。
●.体のしなやかさ、ものご ●.乗馬スポーツは他のス
とを信頼すること、注意深い ポーツと一緒にしにくい。
ことが大切。
B-1.
従来の
乗馬:
歴史お
よび現
状認識
●.「乗馬には馬を所有
しなければならない」と
いう考えは、乗馬の発展
によくない影響を与えて
いる。
●.特権階級の傲慢さと職
業の利益とが、乗馬の大衆
化を妨げている。●.伝統
派・理論派は古い時代の産
物。●.「たくさん馬に乗
らねばらない」という偏見
に、打ち勝たなければなら
ないだろう。
●.従来の乗馬界は「乗馬と大衆は
結びつけられると騒ぎ出す」「両者
は矛盾する」と公言している。●.
専門家と選ばれた動物との出会い。
●.エリート騎手は調教師でならね
ばならない。
●.金のかかるスポート。
●.エリート騎手は乗馬が通
俗化によって衰微し、崩れ去
ると認識していたが、それに
よって得られる利益について
は、まったく気づいていな
い。
●.身分的な傲慢さや職業的
な利益からくる貴族的な偏見
が、乗馬スポーツと他のス
ポーツを分け隔てている。
●.人間の器用さと馬の価値
がより大きなひとつの役割を
演じるようになったトーナメ
ントは、乗馬が純粋に行きつ
く先、そしてまったく貴族的
な結果へと進む中途にあり、
これは「パレード」となっ
た。
B-2.
従来の乗
馬:指導
法の分析
●.厩舎は馬の協会が馬
車の御者と馬丁の団体を
訓練するところ。●.馬
術教官の声は乗馬の喜び
をすべて奪ってしまう。
●.日曜騎手のバランス
は不安定で、滑稽だ。
●.イギリスではすべて
のひとが馬に乗るが、乗
馬学校で第一歩を踏み出
す男の子はいない。
●.乗馬の指導はもっぱら、職業騎
手や馬を自由につかえるひとや、日
常的に馬に乗れるひとを養成する方
向へ向かっている。
●.教師は1.ジムナス
ティーク、2.科学、3.芸
術をいっぺんに与えた。 →
生徒は落胆する。
●.指導法はエリート騎手を育成す
るように考案された。●.乗馬学校
は馬の手ほどきをするところではな
く、馬を調教するところ。
●.乗馬学校の形状と制限さ
れた大きさは、馬の歩き方の
規則性を妨げ、これが生徒に
とって最悪の敵となる。
●.乗馬学校は馬を調教し改
良できるエリート騎手だけを
つくる。●.最大の難点は自
由な駈歩の習慣を失わせるこ
と。
●.からだをくねらせたり駈歩でス
タートすることなしに、ふつうの馬
に声をかけ、信頼をもってこれに乗
り、これを効果的につかう騎手の養
成に、だれも気をかけていない。
●.アメリカではラフ・ラ
イディングが誕生したが、
その文法書を編集して、諸
原則を基礎的な指導に適用
することはまだ残ってい
る。
●.大衆乗馬は多くの国で存在する
し、貴族の乗馬と共存している
(例:イギリス)。●.太平洋の沿
岸部では、速歩よりも駈歩の方が正
確だ。
●.馬術の大地イギリスで
は、大衆乗馬とエリート乗馬
が互いにすこしも害を与える
ことなく、ともに繁栄してい
た。●.わたしは長い間、大
衆乗馬の立場をとっている。
●.『21年間の闘い』1909年;5):1892年、L.P.レイシェルのアマチュア乗
馬協会設立の計画は時期尚早で、野心に満ちあふれていた。設立者がかれの
考えの本質で満足していたら、協会のうえにつくられるべき「大衆乗馬」は
生まれていただろう。 ■.『スイスとフランス人』1920年;35):[スイス
では軍にかんする]法律がすべての国のなかで乗馬の精神を拡散させ、世論
の興味を乗馬のほうへ惹きつけた。貴族的でちっぽけな財布には無縁という
評判の一スポートから、法律はひとつの大衆スポートをつくった…。
●.1のジムナスティーク
を支配し、2の科学に近づ
くことが大切。●.すぐれ
たジムナスティークと乗馬
にかんするいくつかの科学
的な教えが、大衆乗馬の目
指すべきこと。●.いざと
いうときに馬を操作できる
までに少年を訓練するこ
●.大衆乗馬は実用的ジムナス
ティーク。●.少年たちだけを対象
としており、まだ不十分な研究状態
である。●.大衆乗馬の目的は、群
衆と普通の馬との出会い。●.馬を
「傷つけること」なく、馬具を着脱
したり馬の世話をしたりできるよう
になること。●.跳躍は必要ない。
●.「くそ勉強しなくても肩
を内や、横歩または駈歩発進
ができて、ふつうの馬に近づ
いて信頼をもってのり、これ
を有効に利用」できる折々の
騎手をつくりださねばならな
い。●.教程の数を減らし、
より有効で即効性のある方法
にすることが大切。
◎.1.両腿と両膝の不動性、2.胴体 ●.両膝を馬に接触させる
の可動性、3.両腕の自由性は、乗馬 と、騎手は自分の支点を馬の
ジムナスティークの基礎。(『実用 両脇にとる。 ●.[備考・
的ジムナスティーク』からの引用) その他欄(*)へ]
●.大衆騎手は、普通の馬を
損耗させずに利用するだけで ●.『オリンピック・レビュー』1913年9月;28):乗馬は金のかかるスポー
ツであるけれども、「馬にふれたこともない人間は半人前にすぎない」から
満足したい。
必要だと言ったひとたちには、大衆乗馬という練習があり、日に日に勢いを
増し有効になりつつある。 ■.『オリンピック・レビュー』1906年3月;
27):[デブルイヤール証書の技能検定]乗馬:受験生は厩舎で裸馬を手に
し、これに鞍と勒をつけ、乗馬学校へ連れていき、馬に乗って三つの歩度に
したがわせる。 ▼.[F-1欄(#)へ]
●.考えもつかないような災難を避
けようとする「初期恐怖」によっ
て、進歩を遅らせたり妨げたり、多
かれ少なかれ最後の成功を危うくす
るような、一種の筋=神経の発作が
生まれるかもしれない。●.信頼は
大衆乗馬の礎石。●.慣れは信頼に
いたるための、もっとも短くて確実
な道。
●.1.両腿と両膝の不動
性、2.腰と胴体の柔軟性、
3.両腕の自由性は、乗馬の
「ジムニーク的準備」として
獲得したいもの。 ●.[備
考・その他欄(*)へ]
●.乗馬の心理的な鍵は「信
頼」。●.乗馬は他のスポー
ツよりも、「信頼」を取り戻
すのが容易ではない。●.
「初期恐怖」は筋=神経に痕
跡を残すから注意すること。
●.持久力は信頼をつくりだ
すから、若者はよりながい騎
乗に慣らされるべき。
C-1.
大衆乗
馬:歴
史およ
び現状
認識
C-2.
大衆乗
馬:定
義と目
的
●.「わたしがひとつ、 ●.変則的な姿勢・動きに「慣れさ
お母さんがたや、さらに せる」ために、簡単ですばやい方法
はもっと優秀な騎手たち を提案すること。
が反対するような助言を
しておきましょう。しか
しわたしは、あなたがた
が助言にしたがわなかっ
たことを後悔しないだろ
うと思いますよ」
D-1.
◎.1.両腿と両膝の不動性、2.胴体
乗馬の
の可動性、3.両腕の自由性は、乗馬
運動学
ジムナスティークの基礎。
的分析
D-2.
乗馬の
心理学
的分析
●.馬に乗りひとりで森
へ行くと、誰ともすれ違
わず、注意をそらされた
り冷やかされたりしな
い。
E. ●.やわらかい帽子。拍 ●.われわれの考える未来の乗馬の
大衆乗 車をつけない。
学校とは、二つの内接円をもつ長方
馬の施
形の土地。長さ150~200m、幅60~
設・馬
70m。二つのピスト(平坦・障碍
具など
物)がある。雨の日用の屋根つき建
造物あり。●.鞍はアメリカ式がよ
い:自信とよい姿勢をすばやく与え
るから。
F-1.
教程:
従来の
内容と
その結
果
『スポーツ・アトゥレ
ティック』1890年
●.時期尚早に鐙をはずし
てはならない。
◎.「鐙なしの馬で手綱をもち角度を
つける」→「つらい姿勢になる」→
「馬の口に支点をとる」→「からだ
が緊張する:両手は不自由、両腿と
両膝はぐらつき、胴体は動かな
い」。
『オリンピック・レビュー』
『実用的ジムナスティーク』1905年 1906年2月
備 考 ・ そ の 他
●.『コー地方雑誌』1902年7月;25):[移動にかんして]乗馬は第1級の
ジムナスティークである。この訓練をつづけると科学になり、さらに遠くへ
進んでいくと芸術になる。パリの M.H.ジャマン教授が示したこの三区分はじ
つに正しい。■.『オリンピック・レビュー』1909年12月;33):乗馬スポー
ツはあきらかにもっともやっかいで金がかかる。
●.『海の彼方の大学』1890年;3):乗馬は学校のなかでは教えられていな
い。いくつかの町では乗馬学校があり、たくさん乗ることができる。協会も
組織され、週に1または2晩あつまり、会議が華やかになるようにオーケス
トラが観覧席に座り、まるで競馬場のように音楽で駆けめぐる。他のとき
は、メンバーたちが騎馬遊歩や騎馬バレードや、丸一日かけての遠足を組織
する。これらの乗馬学校には、更衣室と講義室と食堂がある。フランスの乗
馬学校は、これとおなじ平面図にもとづいて組織されることが望まれる...
■.『オリンピック・レビュー』1913年9月;28):金持ちの若者は自分の馬
をもち、なんの苦労もなくおぼえるもの。この人たちはこれで結構だ。▼.
『スポート・スイス』1931年7月;37):1889年の博覧会のとき、徒競走、乗
馬、ジムナスティーク、フェンシング、水泳のあいだに、完全な対等性が打
ち立てられた…乗馬はつねに伝統を追いつづけるフランス馬術協会に移り
…
●.『体育の改善と展開 文部大臣閣下へ提出した報告書』1915年3月;
30):エリート騎手たちは、大衆乗馬が新兵の募集に害を与えず、しかも伝統
を尊敬する態度で存在していることに、ますます納得するようになってい
る。
(*).地面と垂直に立っている徒歩の人間と、横になって馬によりかかってい
る馬上の人間との間には、ひとつの差異があり、後者には前者とはべつな構
造があると推測させるほどである。[『エクセルシオール』と『スポーツ教育
学』は、おなじ言い回し]。
●.乗馬の喜びは、すべての
スポーツのなかでもっとも強
烈で、より完全なもの。喜び
●.『オリンピック・レビュー』1910年4月;34):信頼の望ましい量がおび
の基礎は、スピードとリズ
ただしくある第1級のスポーツは乗馬と水泳…。たいへん知られた現象は、
ム。●.信頼は体のしなやか
馬の能力を利用することが騎手が馬にいだかせる信頼に直接的に比例してい
さの度合いに依存する。●.
ること、馬が抱いた信頼は騎手が自分自身でもっている信頼と同等で、直接
馬上にいる初心者は、馬の動
的な交際をしていること…。信頼は経験によって強化される。
きで狼狽し、バランスを失い
落馬するかもしれないという
恐れに苦しめられる。
●.大衆の乗馬学校は両端が丸っぽ ●.真の乗馬学校とは、両端 ●.[完全な]乗馬の民間学
い長めの長方形。屋根で覆いつくす が半円形のながい長方形の、 校は、周囲を十分に長い直線 ●.『21年間の闘い』1909年;5):[1890年頃]わたしが乗馬の競技会を望
か、そうでないか。地面は牧草地。 柵で囲まれた広場。
走路と二つの曲線走路で囲ま んでいたのは、動物順化園においてでもなければ、軍馬たちとともに陸軍学
4つの電灯。付近には美しい散歩道
れ、簡単な障碍物がゆったり 校においてでもなかった。
や牧草地がある。
とおいてある広い訓練場をも
つ。馬具にも配慮がなされ、 (#)『オリンピックの回想』1932年;7):わたしは25年以上、論説や変化
やわらかい手綱が準備されて に富んだ言いまわしのイニシアチブによって、乗馬の問題を会議の話題にも
いなければならない。●.自 ちこみつづけた。これらはすべて同じ目的に向かっていた。「馬に乗らない
治体や馬術協会が補助金を出 ひとびと」つまり馬を所有する手段をもたないひとびとのあいだに、乗馬ス
すべきだ。
ポートを普及させることである。荒馬乗りのテオドア・ルーズベルトから、
◎.「鐙なしの馬で手綱をもち角度を ●.「[これまでに]いった ●.もし「ジムニーク的な成
洗練された騎手だったモーリス・ド・コセ=ブリサック伯爵にいたるまで、
つける」…[あとは略]。(『実用 い訓練をうけた騎手の何人
果」が獲得される前に手綱を
わたしは絶え間なく賛同を得た。しかし、その実現が問題になったとき、無
的ジムナスティーク』からの引用) が、無意識のうちに手綱に
もたされれば、生徒は間違い
意識の悪意が立ちはだかった。まるで、特権階級の特権を放棄し、極度の洗
『よりかかっている』ことだ なく自分の支点を馬の口にと
練をもとめる独占的な支配を捨てなければならないのか、と言うようにで
ろう」。
る。
あった。
『オリンピック・レビュー』1912年11、 『エクセルシオール』1915年4、
『スポーツ教育学』1922年
12月、1913年1月
5月
1
備 考 ・ そ の 他
classification.xls内容
2010/8/6
『スポーツ・アトゥレ
『実用的ジムナスティーク』1905
ティック』1890年;8)[約
年;4)[約1600語]
600語]
F-2.
教程:
大衆乗
馬の教
程内容
と注意
点
●.1.鞍のうえで姿勢
を保持する。2.少しだ
け上手な仲間といっしょ
に森へ行く(2回)。
3.自分だけで森へ行
く。4.曲乗りをしたり
鐙を前に出したりして、
騎座をかためる。[教程
というよりアドバイス]
G.
乗馬ジ
ムナス
ティー
ク
H. ●.午後1時に出発し、
平行騎 3時に帰ること、拍車を
つけないこと。●.優雅
乗
さを追求しないこと。
「アトゥレティック・ス
ポーツをしてください。
芸術のふりをしないでく
ださい」。
『オリンピック・レビュー』
1906年2月;9)[約880語]
●.1.鐙なし木馬の利用(ジムナス
ティーク)。2.調馬索。3.組に
なっての速歩と駈歩[平行騎乗]。
4.障碍馬。5.調馬索で横木飛越
(はじめて手綱をもつ)。6.騎馬格
闘技。7.状況に応じて、裸馬に乗
る、他の馬を飛び越える、水の中へ
入るなど。
●.1.厩舎での馬具の装
着。2.手綱に触れる前に、
速歩・駈歩・跳躍などの馬
の動きに慣れること(例:
両腕の力強い動き、両下肢
の飾り紐、馬の背でのけぞ
ること)。2.平行騎乗。
●.すなわち、馬具を装着
し、馬に乗り、上体を高く
維持し 前進すること
●.[乗馬の]変則的な姿勢や動き ●.[馬の知識を記憶させ
に「慣れさせる」には、事前に木馬 る]ジムナスティークが有
を利用することが必要となる。●. 効であるためには、最初は
騎手の姿勢と馬のすばやい重心移動 馬の操作から完全に離れた
の習慣をあたえる。●.1.両側から 状態でなければならない。
の乗り降り。2.両脚での飾り紐。
3.両腿・両膝を固定し、おもりを用
いての運動。4.からだ反らし。5.
棍棒まわし。6.ボール投げと槍投
げ。7.球竿。●.木馬は実際の動物
の大きさと輪郭をかねそなえ、ふつ
うの鞍がおかれたもの。たてがみの
詰め物と革製の被覆は意味がない。
●.ジムナスティーク的観点でいえ
ば、われわれは自動性をつくりだす
ように努め、リズムを壊しこれを妨
げるものを避けることが必要であ
●.第二の馬のうえに未熟な騎手を ●.[馬の動きをはやく慣
乗せ、腕を組ませると、速歩や駈歩 れさすことは難しいが]
ができるようになる。
「現にクーベルタン氏がそ
の解決策を見いだしたの
だ。『平行騎乗」の名にも
とづき、『実用的ジムナス
ティーク』のなかで示され
ているものがそうであり、
これは多数の講習に適用で
きるものである」。
I.
集団散
歩
J. ●.曲乗りをしてみたり ●.調馬索のレッスンはおおいに用
調馬
して、騎座を少しずつ固 いられるが、頼りすぎは貴族化への
索・曲 めることができる。
道へすすむ。その不備は組合せの訓
乗り
練[平行騎乗]によって補われる。
●.調馬索で2、3回、横木を飛越
えさせる。ここではじめて手綱に触
れるが、使い方は自分で学ばせる。
●.やる気が起きないほど
難しい古代のジムナス
ティークは、曲乗りという
名をまとっており、軍での
評価が高い。
●.1.厩舎での馬具の脱着と馬の世
話。2-1.普通の馬の動きに慣れるこ
と。2-2.集団散歩。2-3.歩度の下
げ上げ(常歩と軽い速歩)。3.駈歩
による曲乗り。●.厩舎にはじまり
厩舎に終わる。
●.1.乗馬の準備ジムナス
ティーク。2.右列または
曲った列での駈歩。わずかに
速歩で、角度をつけない。
3.平行騎乗。4.集団散歩。
5.駈歩での半巻(徐々に半
径を小さくする)。●.生徒
には、どうやったら体を調整
できるかを教えない。
●.[D欄の]ことは正しいのだ
が、乗馬を木馬でのジムナスティー
クから始めなければならないと結論
づけることはできない。●.両側か
ら馬に乗れる必要あり。
●.はじめてバランスをとる
すべての者には、事前にすべ
き修練がある。●.すべての
運動形式を検討しても、騎手
を準備する形式を見つけるこ
とはできない。●.両膝を馬
に接触させると騎手が支点を
馬の両脇にとるという現象
は、ジムナスティークやス
ポートのいかなる段階にも存
在しないので、特殊なジムナ
スティークが必要となる。
●.乗馬の準備ジムナス
ティークは[大衆乗馬の]第
一の修練をかたちづくる。
『オリンピック・レビュー』1912年
11月、12月、1913年1月、署名な
し:●.雨・太陽・寒さが心配な人
は、乗馬をするに値しない。●.女
性は大衆乗馬の対象外だ。馬に乗っ
た女性はつねに上品な人。
備 考 ・ そ の 他
●.1.馬に鞍をつけ、馬を
厩舎に連れもどし世話をする
こと。2.集団散歩。3.駈歩
での曲乗り。4.いくつかの
騎乗格闘技の訓練。●.これ
らの条件は、第二の騎手とし
て伸ばしていくか、エリート
騎手として伸ばしていくかの
選択を保証する苗代。
●.『オリンピック・レビュー』1909年10月;32):乗馬では、実用的ジムナ
スティークがつよく求めた条件にもとづいてつくられた木馬が必要となろ
う。木馬が店になければ、85cmの高さの白い木製のテーブルのうえに60cmの
高さの椅子を固定すれば、馬にまたがる方法を手に入れることになる。
■.『オリンピック・レビュー』1910年10月;15):シーソー木馬の高さは、
足が地面につかないこと。横幅は実際の馬にちかい寸法で、鞍をおけるこ
と。シーソー木馬は乗馬ジムナスティークの原理に合致した運動を可能に
し、時間と金をかけることなく、からだによくかつ推奨に値する運動を身に
つける方法をもたらす。 ▼.『ジムナスト・スイス』1925年8月;36):ジ
ムニーク用の木馬は、すばらしくしかも魅力的な運動に適合する用具であ
る。これが動物のカッティングをしているのは、乗馬のもっとも完全な導入
部である乗馬ジムナスティークの自然な前奏曲だからだ。ジムナスティーク
と乗馬はほとんど行き来していないので、乗馬の日常的な修練は、不十分か
つ時代遅れの方法によって行われている。この時代遅れの方法は、大衆的ス
ポートのかわりに、男らしさを補足するスポートから贅沢なスポートを作り
だす。
●.横にならぶ二人の生徒が
前提となる。前が補助する者
で、となりの馬は両手を自由
にさせた初心者を背中に乗せ
ている。●.まるで乗馬学校
のなかで、一番すぐれたもの
を提供するのに適しているか
のようだ。
●.生徒は最初の教程から、集団散
歩にでる必要がある。●.集団散歩
を立派に組織することは芸術であ
る。●.8~10人の集団で2~4時
間、つづけて4,5日おこなう。
●.小さな畝は馬が軽く跳び越える
ので気にしない。●.集団散歩では
馬の操作は存在せず、手綱は緩めら
れたままで、馬を乗馬学校へ連れ戻
すときにはじめて操作する。●.馬
の操作にかんする心配の種を取りの
ぞかれた素人は、ジムナスティーク
に没頭でき急激に進歩する。●.馬
の操作にかんする心配の種から素人
を引き離すことが、集団散歩を主張
するおもな理由だ。
●.大衆騎手の養成のためには、曲
乗りでは速歩ではなく駈歩をもちい
る。●.駈歩での輪乗りは、素人に
とって新しい段階を示す。素人は、
手の作用にともなう両下肢の作用の
配列の仕方を学ぶ。●.大きな円か
ら小さな円へ進めていく。●.速歩
の輪乗りには価値がない。
●.他の馬とぐずぐずした
り、歩法を他の馬にあわせた
りすること以外に、群をなし
ている馬に心配はない。ゆえ
に、初心者は馬を操ることの
心配がほとんどなくなり、自
分のジムナスティークにすべ
てを捧げ、はやく進歩でき
る。
●.調馬索の教程は、かつて
は偉大な熟練者たちに推奨さ
れたが、曲乗りを除いて民主
主義的ではない。●.自然な
しなやかさをからだに得させ
る。●.民主主義的でない調
馬索の教程は、平行騎乗と集
団散歩におきかえられる。
●.ひじょうに若い馬や落ちつかな
い馬は大衆乗馬に必要ない。年を
とった馬、優柔不断な馬、よく栄養
が与えられた馬、うまく治療された
馬に不都合な点はない。●.よくし
たがう馬 :生徒は自分の才能を過信
する。●.頑固な馬:馬の強情さと
衝突し、生徒はおおげさに助けを訴
える。●.集団散歩の馬は、乗馬ジ
ムナスティーク(柔軟性と持久性)
のすぐれた道具となる。
K.馬
の種類
L.
その他
『オリンピック・レビュー』1912年11、 『エクセルシオール』1915年4、 『スポーツ教育学』1922年;
12月、1913年1月;15)[約3600語]
5月;20) 21)[約1560語]
6)[約860語]
(← ← ← ← ← ←)
●.難しいのは、列から少し
遅れたときに合流させようと
すると、馬が抵抗することだ
けである。
●.馬の曲乗りはひじょうに
優雅で、男性的な力強さをも
つスポートである。これはほ
とんど普及していない。馬の
準備は、わたしたちが考える
よりも素早く簡単にできる。
●.ジムナスティークの協会
がプログラムのなかに曲乗り
をつけくわえれば、その魅力
が増し騎手たちも養成される
だろう
●.乗馬学校の馬は、1.慣
らされたことをするには都合
がよい:生徒は自分の才能に
幻想をいだく。 2.練習し
ていない別のことには途方も
ない頑固さを示す:生徒は馬
の頑固さにさからって大げさ
に助けを求め、意味のないこ
とを強要する。
●.『コー地方雑誌』1902年7月;25):わたしが基礎的な曲乗りと呼ぶの
は、左右どちらの側でも地面へ跳びおりたり馬に跳びのったりすることであ
る。挟み跳びや立ち跳びや馬の尻での跳びのような運動は、これとは反対の
ことで、生活においては一般的な用法ではない。■.『ジムナスト・スイ
ス』1925年8月;36):曲乗りは、すべての少年の理想とならねばならない。
●.『スポーツ・アトゥレティック』1891年3月;23):ランディのプログラ
ムは教育学的観点からしてすぐれてはいないし、競技的な観点からすればな
おさらのことである。…「学校のチャンピオン」はつねに過労に陥ってい
る。というのも、もし一つか二つの訓練を規則的に実践することが素晴らし
いことで、かつ健康によいことだとしたら、チャンピオンは賞を得ることを
目指して、訓練のすべてを完全におこなう危険性がある。実際的な解決方法
に近づくために、これは重要なポイントとなるのだが、わたしはユニオンが
乗馬にもフェンシングにも射撃にも取り組んでいないことを指摘しよう。
注)表中の番号は、和田が便宜上つけたもの。
2
classification.xls内容