成形樹脂歯車の静音化

〈機械システム工学科〉
成形樹脂歯車の静音化
大久 忠義(OHISA Tadayoshi)
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教授
所属学会・協会
日本機械学会,精密工学会,設計工学会
キーワード
①機械加工 ②歯車 ③樹脂成形
④騒音
研究課題
●射出成形プラスチック歯車の成形変質層の利用
●熱可塑性樹脂歯車の運転特性
研究シーズ
●低騒音化を目指した成形樹脂歯車の解析と評価
OA 機器や AV 機器のような精密機器などには射出成形プラスチック
歯車が数多く使用されている.その理由は,射出成形プラスチック歯
車が金属製歯車に比べ,コスト,量産性,重量面,そして特に静音性に
優れているからである.近年の精密機器は使用期間が短くなってき
ており,耐用年数よりも静音性を重視する傾向にある.従って,歯車自
体の静音性を持たせる方法として,成形変質層を活用するというのが
考えられている.この層は 3 つの層から形成され,歯表面に非晶質の
スキン層,その内側に非晶質と結晶が混在する中間層,さらに内側に
結晶のみの球晶からなる.これらの層のうち,スキン層と中間層の厚み
が静音性に影響を与えるとされる.静音性を高めるには,成形変質層
を厚くするのが有効であるが摩耗が激しくなると考えられる. 以上の
ことから,本研究では歯車材料や成形条件が騒音,摩耗量に及ぼす
影響を明らかにすることを目的として,ポリアセタールコポリマーとポリ
アセタールホモポリマーを用いた射出成形プラスチック歯車を種々の
成形条件で作製し,成形条件による成形変質層の大きさ,静音性お
よび耐久性への影響に関する研究に取り組んでいる(図).さらに,
金属歯車の強度に匹敵するとされる熱硬化樹脂歯車についても,今
後の需要が期待されることから,生産性の向上,軽量化と高剛性化,
静音性を達成するための樹脂歯車の開発に取り組む予定でいる.
POM-H105
POM-C
図
総回転数 1×107 後のポリアセタール
歯車の成形変質層(2000rpm,1Nm)
POM-H105:ホモポリマー金型温度 105℃,
POM-C:コポリマー
提供可能な技術
●歯車精度評価
●成形変質層の解析(試料の薄片化,偏光顕微鏡観察による)