近江八幡市立総合医療センター 薬剤部 2016.8.26 目次 1.添付文書改訂情報 P.1~ 2.新規採用医薬品情報 P.2~ 3.今月のトピックス P.3~ 1.添付文書改訂情報 効能効果、用法用量等の変更 ※以下の採用薬につきまして、効能・効果、用法・用量の変更等の重要な改訂がありましたので、 臨時報告いたします。 一般名(主な薬品名) 献血ヴェノグロブリン IH5% 変更箇所 改訂内容 効能・効果 水疱性類天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な 場合)の適応を追加 医薬品・医療機器等安全性情報 335 号 ※以下の医薬品につきまして、各種添付文書の変更・追加がありましたので、ご報告いたしま す。 一般名(主な薬品名) 変更箇所 主な変更点・追記点 掲載ページ ニンテダニブエタンスルホン 酸塩(オフェブ Cap) 重大な副作用 血小板減少を追加 p.7 オムビタスビル水和物・バリタ プ レ ビ ル 水 和 物・ リ ト ナ ビ ル (ヴィキラックス配合錠) 重大な副作用 急性腎不全を追加 p.8 ①ソホスブビル(ソバルディ錠) ②リバビリン(レベトール Cap、コ 重大な副作用 高血圧及び脳血管障害を追加 ペガス錠) レ ジ パ スビ ル ア セト ン 付加 物・ソホスブビル(ハーボニー配 合錠) 重大な副作用 高血圧及び脳血管障害を追加 p.10 p.12 詳細および安全性情報バックナンバーにつきましては、院内薬剤部掲示板「医薬品安全性情報」 -1- または医薬品医療機器情報提供 HP(http://www.info.pmda.go.jp/)をご参照ください。 2.新規採用医薬品情報 7 月開催の薬事委員会にて、以下の通り、新規採用薬・削除薬品・後発品切り替え薬品が決定 されましたので再度ご報告いたします。 -2- ドーピングとは 世界各地で開催されるスポーツ大会において、『参加選手がドーピング違反をした』と言う報道が流れることが あります。ドーピングは薬剤によってパワーアップを図るものですが、ドーピングに使われる薬剤は、私達が普段 使用している治療薬にも入っているのをご存知でしょうか? 知らずに使用してドーピング検査で陽性反応が出ると、ドーピング違反になる可能性があるため気を付けなけ ればなりません。今回は先日までブラジルでオリンピックが開催されていたこともあり、ドーピングについてお話 ししていきたいと思います。 ◆ ドーピングの定義 ドーピングとは、「競技能力を上げる目的で薬物などの方法を不正に使用すること」を指します。ただし、ドーピン グの定義は単に「禁止薬物を使用した」と言うだけではありません。 ドーピングの定義は大きく 3 つに分けることができます。 最初に、「禁止薬物や禁止方法を使用する、企てること」があります。違反となるのは、ドーピング検査におい て競技者の体内から禁止物質などの陽性反応が出ること、禁止物質の使用や使おうとすること、持っていること です。 2 番目に「競技者に対して禁止物質・方法を使用させる、企てさせること」があります。これは周囲の人がドー ピングを手助けする行為、もしくは手助けしようとしているとみなされる行為なども防止規定への違反となりま す。 3 番目は「ドーピング検査の拒否」です。検査に必要な居場所情報を知らせないことも違反になります。 これらに該当すればドーピングと見なされてしまいます。 -3- ◆ 禁止されている物質・方法 禁止物質と禁止方法を定めるのは、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)と言われる機関です。禁止表は毎年 更新され、1 月 1 日~12 月 31 日までが有効期間とされており、禁止表は WADA のホームページで見ることがで きます。 ドーピングとして禁止されている物質・方法としては「常に禁止されている物質・方法」、「競技時に禁止される物 質・方法」、「特定の競技で禁止される物質」のドーピングをする状況によって 3 つに分けられます。 前述しましたように、禁止物質は意外に多くのものに含まれており、普段使用している治療薬にもドーピング検 査で陽性になる薬品があります。例えば、市販薬の風邪薬、咳止め、花粉症などのアレルギー薬には、エフェド リン(※)、マオウ(※)と言われる禁止されている物質が含まれているものもあります。また、病院で治療を続けな がらスポーツをしている人は、処方薬に禁止物質が含まれていないか、医師、薬剤師に確認する必要がありま す。例えば、喘息の治療に使う気管支拡張薬のβ2 刺激薬、生理不順治療に使用したり子宮内膜症の治療に 用いられたりするクロミフェンは筋肉増強に使われるホルモン剤でもあり、糖尿病治療で使うインスリンも禁止物 質の成長因子に含まれます。また、高血圧や心疾患治療で使う利尿剤も尿量を増やしてドーピングを隠ぺいす るための手段に使われるため禁止物質とされていますし、薬と言う認識が薄い漢方薬の中でも、カクイジン、ジ ャコウなどは興奮薬なので禁止されています。薬ではなくサプリメントにも禁止物質が含まれていることがあるた め、スポーツをしている人は注意が必要です。しかし、これらの薬品を治療のため使用していると言うことを申請 し許可されれば使用できますので、スポーツをしている人がすぐに治療を止める必要はありませんし、自己判断 で治療を中断してもいけません。 (※)尿中濃度 10 µg/mL を超える場合は禁止 参考: ・役に立つ薬の情報~専門薬学 ・「図解入門 よくわかるドーピングの検査と実際」 多田光毅他著 薬剤部 医薬品情報課 淵上尚彦 -4-
© Copyright 2024 Paperzz