植生タイプ別草地の維持

Ⅵ 植 生 タイプ別草地 の維持
草地 には、 イネ科、 マ メ科の牧草 、ギ シギシの ような雑草、嗜好性の よ くな い不良牧草な どが生 育
して い ます。 この よ うな草地 に生育す る
草種構成による区 分
草地 の特徴
ア カク ロー バ 、 シ ロ ク ロー
バ ( ラジノ ク ロー バ ) の 生
チモ シー ・アカ ク ロー
シ ロ ク ローノ
育 が旺 盛 な草地 、新播 草地
や比 較 的新 しい草地。
短 年性のアカクロー バが衰
退 し、 シ ロ ク ロ‐ バ ( ラジ
ノク ロー バ ) が 3 0 % 程 度 を
占め る草地 。
チモシー ・シロクローバ草地
タイプ 3
シ ロ ク ロ ー バ (ラ ジ ノ ク
ローバ )が 10%程 度 に衰退
したチモ シー を主体 とす る
草地。
マ メ科牧草がほ とん ど消え
て しまい、チ モシー の単 一
草地。
チモシー単一草地
ケン タ ッキ ー や レ ッ ドトッ
プな どの不 良 イ ネ科 草 や、
フキ 、 ギ シギ シ、 シ バ ム ギ
な どの 雑 草 の侵 入 が 著 しい
不良植生草地
図 │.植 生 タイプの見方
植物 の集 ま りを植生 と呼び ます。
草地 は 乳牛 の飼 料 を つ くる所 で す か
ら、草地 の 目的 にか な った状態、すなわ ち
草地 に播種 した牧 草 が草地全体 に密生 し
て青 々 と生 育 して い る状 態 をよい植生 と
いい ます。この植 生 タイプは草地 の 状態
を示す 目安 とな ってい ます (図-1)。
よい植生か ら収 穫 された飼料 は、採 食
量や産乳量 を高め、子L牛の健康 を良好 に
して能 力を最大限 に発揮 させ ます。
また経 営の採算性 を も左右す る重 要 な
意味 を植生は もってい ます。
(1)チモ シー とク ロー バー が ょ く混播 され
た草地
この 草地 は
チモ シー 50%以
上
ク ロー バ ー 10∼ 30%
雑草 な どの侵 入 が 少 な い 草地 、すなわち
植生 タイプ 1∼ 3の 草地状態 を いい ます 。
チモ シー は 刈遅 れる と、 セ ンイの リグ
ニ ン化 が進 むため、茎葉 が粗 剛 とな り、
自
由採食量 と共 に可消化 エ ネルギ ー摂取量
が急 激 に低下 します ( 図- 2 、 3 ) 。
しか しク ロー バ ー は生 育 に よる採
食量 、可 消化 エ ネル ギ ー 摂取 量 の低下 速 度 がチ モ シ ー よ りもゆ る
やかです 。 したが ってチ モ シー とク ロー バ ー が適 度 に生育 して い る混 播 草地 の 草 は 、 マ メ科 率 が 高 ま
るほ ど採 食量 は 向 上 します 。 これ らの事 か ら、 スリ
取 時期 が 若 干遅 れ て も、 ク ロー バ ー が 混 入 して い れ
ば、 高 い採 食量 を維 持 す る こ とがで きます 。
しか し混播 草地 の場 合 、草丈 の低 い ク ロー バ ー はチ モ シ ー の 遮 光 に よ り十 分 な受 光 がで きず衰 退 し
ます 。 ク ロー バ ー が 衰退 して裸 地 がで き、 その裸地 に雑 草 が 侵 入 して しだ い に味 の わ る い牧 草 が 生育
す る草地 にな ります 。
この よ うに牧 草 の生 育競合 や土 壌 養分 の 変化、気 象 な どの影 響 で 植生 は た えず 変 化 します 。 したが
って 更新 時 の種 子 割 合、適正 な施肥 と刈取 時期 な ど、 良 い植 生 を維 持 す る具 体的 な と り くみ が必 要 で
す。
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0 0 : オ ーチャー ドグラス
T i : チ モシー
R c : ア カクローバ
(Kcal)
36 361)
2
︲
19
7
29
6
9
6
20
4
2
可消 化 エネ ル ギ ー 摂 取 最
5
′
20
,′
8 8′
6/9
6
´
29
7 1ン9
月日( 滝川1 畜試 )
図 -2
8/8
月 日(滝川畜試 '
図-3
※体重 6 0 0 k g の牛の 1 日 1 頭 当た り可 消 化 エ ネルギ ー摂取 量
( 体重 6 0 0 k g の牛 の維 持 に必 要 な可 消化 エ ネルギ ー は 1 8 , 7 0 0
Kcal)
1日 1頭 当た り自由採 食量 (乾物20%)
モ シー主体草地
(2)チ
この 草地 は植生 タイプ 4の ような状態 です。 (図 1)こ の よ うな草地 はチモ シー 主体の植生 を維 持
する草地管理 と、裸地 や雑草の侵 入を防止す るような施肥管理 に徹 す る事が大切です。
先 に述 べ ま した ように、気候的 に高温 が続 き、 日差 しが強 くな る とセンイの リグニ ン化 がイネ科草
はマ メ科草 よ り早 く進 み ます。 そのため生育 に ともな って可 消化 エ ネルギー や摂 取量や採食量が低下
します (図-2、 3)。
な るべ く早刈 につ とめ 、嗜好性 や消化 率の高 い生育時期 に収穫 す るように こころがけ る こ とが味の
良い飼料 をつ くる うえで重要 です。 そのほか、適期刈取 りを行な うために、 自分の作業体系 にあわせ
て、草地 ご とに出穂時期の異 な る品種 を播種す る方法 もあ ります。 (図-4)。
図 4 イ ネ科品種 の熟期別配列
6.28
6.24
7. 3
一
7.10
ホ ク シ ュウ
中 生
キ リ タ ツプ
オニチ ャー ド
―
6.30
ホ クセ ン
← 早生 →
ア ッケ シ
極早
ホ ク レ ン改 良 種
ホ クオウ
ノ サ ップ
セ ンポ ク
草 種 名
エ
タ ンプ ウ
早 晩 性
オ カ ミド リ
ケ イ
出 種 始
( 月日)
晩 生
チ モ シー
早 い時期 に 刈 る草地 には 早 生種 を、 また地理 的 に遠 い な どの理 由であ とまわ しに され る草地 には 、
晩生種 を播種 す る こ とに よって ス1 取の 適 期 幅 を広 くし、 牧 草 の 味 を草地 別 に幅 を持 たせ る こ とが で き
ます。
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この 草地は、マ メ科草 が5 0 % を 越 え、チモシー
い ます。植生 タイプ 1 よ りも更 にク ロー バー の
多 い状態です。 ( 図- 1 )
P
早 刈
な どのイ ネ科牧草がわずかにみ られ る状態 をい
一
チモ シー の再 生は球茎の 分け つ に よって行なわ
長 に ともな って倒伏 しやす くな ります、 で きる
過 多
適
│ │
い
ロー バ主 体の草地 にな ります。 このほかシ ロク
ロー バ ー は、茎 を支 えるセンイが 少な いため生
マ メ科牧草
マメ科牧草
れます。そのため再生 開始 が遅 れ るのに対 して、
地表近 くにほふ く茎 ( ランナ ー ) で 繁殖 す るシ
ロ ク ロー バは ランナ ーの節 よ り再 生 しますので
チモ シー よ り早 く生育 します。 その結果生 育競
合 に よってチモ シ ー は減 少 しやす くな り、 ク
ヽ
︵
マ
科
の
下
︶
口
=
日経
外
ほ
申
メ科牧草の主体 草地
(3)マ
マ メ科牧草
少
図-5
だけ倒伏す る前 に刈取 るこ と、そ して マ メ科 の
生育 を抑 制す る施肥 とチモ シー の生育 に重点 をお い たメ1取時期 な どチモ シー を回復 させ る管理 に心 が
け る こ とが必 要 です。 (図-5) │
ー チ ャー ド主体
(4)オ
草地
タイプ 4の よ うなオー チ ャー ド単 二 草地の状態 です (図-1)。 オ ーチ ャー ドの 出種時期 (図-4)
や刈取後の再生 はチモシー よ り数 日早 い ため 、ォー チ ャー ドのセンイの リグ ニ ン化が早 ま ります。 し
たがって ォー チ ャー ドの採 食量 は急激 に低下 します (図-2、 3)。
採草はチ モシー主体草地 と同様 に早 刈に徹 すること、 また放牧地 は放 牧後の残草、再生草 を適 度 に
掃除刈を行な い、 オ ーチ ャー ドの生長 点 を採 食 させな い程度の短草利用 に取 りくむ こ とが、 よい植生
を維持す る上で大切です。
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