一人 の女の子のゆめのお話

三年
一人の女の子のゆめのお話
伊仙町立面縄小学校
田中
悠葉
わたしは子がめのアーヤ。何日か前にたまごからか
えって、今、すなの中で海に出ていくのをまっている
ものようだし、いそいで行けばつかまらないよ。海
もすぐそこだから、何とかたどりつけるよ。早く海
に出たいんだ
。﹂
と答えました。
シンは、あわてんぼうなのです。わた
しには、シンを止めることができません。
れにつられて、みんなも動き出しました。わたしもし
とうとう、シンが上に向かって動き出しました。そ
じっとまっていると、人間の女の子の一人言が聞こ
かたなく、上に向かってすなをかき分け始めました。
ところです。
えてきました。その女の子は、近くのすなはまにすわ
みんな、おし合いへし合いして上っていきます。
、頭 が す な の 上 に 出 ま し た 。あ た り を 見 る と
っているようです。
﹁わたし、モデルになりたいなあ。だって、きれいな
た。手と足にさらにさらに力をこめて、すなをかき分
だいぶうすぐらくなってはいましたが、まだ、明るさ
。﹂
へええ、人間の女の子
って、そんなゆめを持つんだ。
けました。やっと、全たいが出ました。海はどっちだ
服をたくさん着ることができるし、楽しそうだし、
わたしは思いました。その時です。わたしたちのリー
ろう。ザブーンという、なみの音が聞こえました。わ
がのこっています。いそがなきゃとわたしは思いまし
ダーのシンが、
たしは方こうを決めて、思いっ切り走り出しました。
すてきなお仕事だな
﹁みんな、そろそろすなの外に出るぞ
かけました。わたしは、
う。食べられてしまう。わたしはあせりました。前よ
アカアと鳴いています。あれはからすです。どうしよ
しばらく走ると、何かの鳴き声が聞こえました。カ
﹁だめだよ。お日様がまだ、しずみきっていないよ。
りも早く、手と足をかきました。でも、石やくぼみが
。﹂
と、五十い上はいる、子がめのきょう
だいたちによび
それに、人間の女の子が近くにいるよ。くらくなる
じゃまをして、なかなか前へ進みません。シンもまわ
、
黒 い か げ が 、頭 の 上 に 近 づ い て く る の を 感 じ ま し た 。
りのみんなも大あわてです。
まで、もう少しまった方がいい
と 、 大 声 で 言 い ま し た 。 シ ン は 、。﹂
﹁大丈夫だよ。人間って言ったって、まだ小さな子ど
ついに
げ つ け た り し て 、か ら す を お い は ら お う と し て い ま す 。
うをふり回したり、足でけるまねをしたり、小石をな
ゅんびをしていると、二人の人間のおばあちゃんがや
しかめて、すなはまに上がりました。たまごをうむじ
月の明るい夜、わたしは人間などがいないことをた
お母さんがめとして、もうすぐたまごをうもうとして
からすは何回か近づいてこようとしましたが、女の子
ってきました。さん歩にきたようです。わたしが見つ
もうだめだと思ったしゅん間、あの人間の女の子のす
にじゃまされて、なかなか近づいてこれません。
からないようにじっとしていると、二人の話が聞こえ
います。
﹁よし、今のうちだ。みんな行くぞ
てきました。
がたが目に入りました。女の子は、近くでひろったぼ
。﹂
とシンの声。わたしたちは、大いそ
ぎで海に向かいま
﹁あなたのまごのゆうはさん、東京でモデルとしてが
んばっているんだってね
、が ん ば っ て い る よ。﹂
一生けんめいに勉強して
ど力して、自分のゆめをかなえたんだよ
。﹂
あの女の子のゆめはかなったんだ。わたし
は、とって
﹁
した。そして、やっと海にたどりつきました。体がす
うっとすべるように、海の水の中へ入っていきます。
ま わ り の み ん な も 、次 々 に 水 の 中 へ と 入 っ て い き ま す 。
﹁どうやら、たすかったようだね。あの人間の女の子
のおかげだ
二人のおばあちゃんは、向こうに行ってしまいまし
もうれしくなりました。
﹁本当にそうだね。あの子のおかげだ。あの子はゆめ
た。わたしはとってもやさしい気持ちの中で、一つ、
﹂ながら、シンが言いました。
と な ら ん で 泳。ぎ
をもっていた。おんがえしに、何とかそのゆめをか
二つと新しい命をすなの中にうみおとしていきまし
、
た。
なえてあげられないかな
と 、 わ た し は 言 い ま し た 。。﹂
﹁そうだな。海の神様におねがいしてみよう
。﹂
というシンの言葉に、わたしはうなずきまし
た。そし
、わ た し た ち は 遠 い 遠 い 海 へ と 旅 立 っ て い き ま し た
それから、二十年の月日がたちました。わたしは、
わ た し が 生 ま れ た 海 に も ど っ て き て い ま し た 。そ し て 、
うん