2007(平成19)年度 事 業 自 至 報 告 書 2007年4月 1日 2008年3月31日 特定非営利活動法人 情報オリンピック日本委員会 1. 総括 特定非営利活動法人としての活動 3 年目である 2007 年度は、定款第 3 条に謳う『数理 情報科学教育の普及啓発、高等学校・中学校等における数理情報科学教育に関する調査研 究等の事業、及び 国際情報オリンピック(International Olympiad in Informatics = IOI)への参加者の選抜、派遣等に関わる事業を行い、以ってわが国の数理情報科学教育の 振興に寄与することを目的とする』のうち、国際情報オリンピックへの参加者の選抜試験 (第 7 回日本情報オリンピックの開催)と派遣(第 19 回国際情報オリンピック・クロアチ ア大会への参加)を中心とする活動を行った。これらの活動については、理事会・総会の 承認のもと、運営委員会とその下に設置された作題部会、実施部会、強化研修部会、およ び学術委員会が分担してこれにあたった。 実施体制 総会 事業計画・報告、収支予算・収支 決算、役員の選任・解任、など 監事 会員 業務・会計の監査 法人の活動を支援 事務局 理事会 総会の議決事項の執行、 その他の会務の執行、 規程作成、入会審査 会務に関わる事務 学術委員会 システム委員会 運営委員会 学術会議・教育セミナーの開 JOI の実施、IOI 派遣選 JOI の実施や研修等に必要な 催、機関紙刊行、数理情報科 学教育の普及・啓発 手の選抜・強化研修、普 試験等のシステムの準備・管 及・広報その他の会務の 理 執行 作題部会 JOI の試験問題作成 実施部会 強化研修部会 JOI の試験実施 合宿研修や通信教育等による 強化研修 2007年度に行った主な活動内容は以下の通りである。 1) 運営委員会が統括する事業 第 7 回日本情報オリンピック(JOI2007-2008)の実施、アジア太平洋情報オリンピ ック(APIO)への参加、国際情報オリンピック(IOI)へ派遣する選手の選抜・ 1 研修のため春の合宿を実施した。今年度は、本選の直後8月末に、本選参加者を 対象にして1泊の合宿形式でセミナーを、夏季セミナーとして新規に実施した。 2) 学術委員会が主催する事業 合宿研修期間中の最終日に表彰式を挙行し、「春のセミナー」として記念講演会 を開催した。次年度以降、小学校高学年程度を対象とする事業を展開するために、 学術委員会の下にジュニア部会を新設した。 2. 事業の詳細 当初の事業計画とおり、以下のように実施した。 1) 国際情報オリンピックへの参加 8 月 15 日~8 月 22 日にクロアチアの首都ザグレブで開催された第 19 回国際情報オリ ンピック(IOI)へ選手 4 名と役員 4 名を派遣し、以下のような好成績を収めた。メダ ル受賞者3人は、(社)情報処理学会の若手奨励賞を受賞した。 氏 名 学 校 名 学年 学校所在地 成 績 奥田 遼介 一関工業高等専門学校 高3 岩手県 片岡 俊基 高田高等学校 高3 三重県 金メダル 松元 叡一 筑波大学附属駒場高等学校 高2 東京都 銅メダル 吉田 雄紀 灘高等学校 高3 兵庫県 銀メダル (氏名の五十音順、学年は IOI 開催の 2007 年 8 月時点) 日 団長 副団長 2) 谷 聖一 伊藤哲史 随行役員 原 正雄 随行役員 伊藤剛志 本 選 手 団 役 員 日本大学文理学部・教授 京都大学大学院理学研究科・助教・1994 年 IOI スウェ ーデン大会銀メダリスト・1995 年 IOI オランダ大会金 メダリスト 東海大学理学部・准教授 国立情報学研究所・特任研究員・1996 年 IOI ハンガリ ー大会日本代表選手 国際情報オリンピックへ派遣する選手の国内選抜試験の実施 予選をウェブ上で実施し、成績上位者 40 名及び今年度より導入した指定校制度によ る合格者 5 名、受験者多数校の特典による合格者 4 名含む計 49 名を予選合格者として 選抜した。 本選は予選合格者を東京都の会場(国立オリンピック記念青少年総合センター。東 京都渋谷区)に集めて、実際にPCを使ってプログラミングをすることにより、成績 優秀者 16 名を選抜し、国立オリンピック記念青少年総合センターで実施した春の合宿 研修に招待した。 ①予選:2007 年 12 月 16 日(日) 実施方法:参加者が用意したPC(個人あるいは学校所有)を使い、作成 したプログラムにより答を求め、ウェブから提出する 実施場所:ウェブ上(独自のウェブ試験実施システムを使用) 2 参加者は自宅あるいは在学校のコンピュータ教室等で受験 ②本選:2008 年 2 月 10 日(日) 実施方法:当委員会が用意したPCを使ってプログラム作成して答を求め る。答およびソースプログラムを回収 実施場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) 試験等参加者数(カッコ内は昨年度の実績) 参加登録者数 参加者数 予選: 377 名(192 名) 334 名(150 名)= ログイン者数 本選: 48 名( 36 名) 合宿研修: 14 名( 13 名) ※今年度、実質参加者数は昨年度の 2 倍強であった。 3) APIO(第1回アジア太平洋情報オリンピック)への参加 国際大会のアジア太平洋地域版として、国際大会1日相当の問題がウェブ上で提示 され、参加国は国内の会場で PC を使って解答した。平成 19 年(前年度)3 月に実施し た春の合宿研修の参加者と、その参加者が所属する学校のうち地方会場として施設を 提供してくれた学校の生徒若干名が参加した。各国の上位 6 人までが代表選手と看做 される。 参加人数 20 名(高校生1・2・3年生) 以下の 6 名が日本代表選手として以下の成績を収めた。 氏 4) 名 学 校 名 学年 学校所在地 銀メダル 吉田 雄紀 灘高等学校 高3 兵庫県 銀メダル 片岡 俊基 高田高等学校 高3 三重県 銅メダル 副島 高1 東京都 銅メダル 吉田 周平 広島大学附属福山高等学校 高2 広島県 優秀賞 徳重 佑樹 日本放送協会学園高等学校 高3 東京都 優秀賞 山下 晃弘 津山工業高等専門学校 高3 岡山県 真 筑波大学附属駒場中学校 合宿研修・セミナー等の実施 IOI選手および次年度以降の選手予備軍たる中堅層の強化や研修のために、以下 の諸事業を実施した。 ① 通信教育:2007 年 4 月~8 月 目的:主に国際大会派遣選手4名を対象とし、2007 年 3 月末の選抜から同年 8 月 の国際大会までの期間、様々な種類の問題に取り組み基礎力のレベルアッ プを図るとともに、勉学意欲を継続させることを目的とする。 実施方法・場所:選手各自の自宅や在学校のPC教室等を利用し、月に1~2回 程度、国際大会レベルの試験問題をウェブシステムやメーリングリスト等 を用いて貸した。提出された解答を丁寧に採点、講評し、それに基づいた 指導を行った。春の合宿参加者も参加可とした。 ② 夏季セミナー:2007 年 3 月 29 日(木)~31 日(金) 目的:国際大会へ選手として参加することを目指すレベルの上級者の強化に繋が る強化研修と。生徒の夏期休暇期間を利用して合宿形式で開催する。 実施方法: 講義とセミナーを行い、最終日に勉強の成果発表会を行った。講師による 3 情報科学に関するトピックの講義、情報科学の専門書の論講、参加者自身 が考えて議論したり、実際にプログラムを作ったりした。 実施場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) ③ 派遣直前合宿:2007 年 8 月 13 日(月)~14 日(火) 目的:派遣前最後の強化研修(通信教育の成果確認)であるとともに、選手に国 際大会に向けた心の準備をさせる。 実施方法: 競技規則の再確認。受験上の基本事項の再確認。プラクティスセッション の問題に関する討論・解説。通信教育で扱った問題から4問を選び、討論 及び解説を行った。 実施場所:成田エアポートレストハウス(成田空港内) ④ 本選直後セミナー:2008 年 2 月 10 日(日)~11 日(月) 目的:日本情報オリンピック本選の試験終了後に、引き続いて1泊程度の合宿形 式で本選に出題した問題の解説を始めとする講義や演習を行うことにより、 本選へ参加できるレベルの生徒の次年度へ向けた能力のレベルアップを図 る。 実施方法:本選で出題した問題の解説と参加者同士の交流 実施場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) 合宿研修:2008 年 03 月 19 日(水)~25 日(火) 目的:IOI派遣選手の選抜、強化研修 実施方法:当委員会が用意したPCを使って国際大会と同レベルの問題による 試験のほかに、講義、演習、問題の解説を行った。 実施場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) ⑤ 講師: 3 月 20 日 泉 祐介(東京工業大学) 『STLを使ってみよう』 3 月 21 日 河内 亮周(東京工業大学) 『計算量理論入門-NP vs. P予想を解決して100万ドルを ゲットしよう!-』 3 月 22 日 守谷 純之介(ヤフー株式会社) 『情報検索の基礎 -WEB検索システムを支えるアルゴリズム-』 3 月 23 日 小林 悠 (株式会社アクセラートジャパン) 『IOI with 関数型言語』 午前 3/19 (水) 3/20 (木) 3/21 (金) 3/22 (土) 3/23 (日) 3/24 (月) 3/25 (火) 9:15 集合 9:30~12:30 8:45 集合 9:00~13:00 試験1 試験2 8:45 集合 9:00~13:00 試験3 9:30~12:00 講義4a(小林悠) 8:45 集合 9:00~14:00 試験4 午後 夜 16:00 集合・ガイダンス 17:00~宿泊屋の整理 19:00~21:00 プラクティス 13:30~17:00 講義1(泉祐介) 14:00~17:00 講義2(河内亮周) 19:00~21:00 講評・解説1 19:00~21:00 講評・解説2 14:00~17:00 講義3(守谷純之介) 13:00~17:00 講義4b(小林悠) 15:30~16:50 表彰式 17:00~18:00 記念講演 (伊藤毅志) 19:00~21:00 講評・解説3 自由時間 9:00 集合・アンケート 10:00 解散 4 18:30~20:00 懇親会 春の合宿研修では、講義と試験を連日行い、その成績によって、2008 年 8 月 16 日~ 23 日にメキシコで開催される第 19 回 IOI へ派遣する日本代表選手 4 名を決定した。 氏 副島 名 学 校 名 学年 学校所在地 真 筑波大学附属駒場高等学校 高1 東京都 滝聞 太基 筑波大学附属駒場高等学校 高1 東京都 保坂 和宏 開成高等学校 高1 東京都 松元 叡一 筑波大学附属駒場高等学校 高2 東京都 (氏名の五十音順、学年は 2008 年 3 月時点) 5) 数理情報科学に関連する教育セミナーの開催、機関紙の刊行、高等学校・中学校に おける数理情報科学教育に関する普及及び啓発 ・教員との懇談会の実施 本選実施時に生徒の付添で来場された教師と懇談会を実施し、学校での指導教員の 所見、要望を聴衆した。 日時:2008 年 2 月 10 日 13:30~15:30 ・情報オリンピック(JOI&IOI)の普及・啓発を目的として、合宿の最終日前日午後に 表彰式と記念講演会を開催した。 表彰式 日時:2008 年 3 月 24 日 (月) 午後 3 時 30 分 ~ 4時 30 分 場所:国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟小ホール 表彰対象者:第 7 回日本情報オリンピック成績優秀者 金賞・銀賞・銅賞 各 1 名、優秀賞 13 名 全国6ブロックの最優秀成績者 各 1 名 金賞・銀賞・銅賞の受賞者は(社)情報処理学会の若手奨励賞を受賞した。 記念講演 日時:2008 年 3 月 24 日 (月) 午後5時 ~ 6時 場所:国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟小ホール 講師と講演題目: 伊藤 毅志(電気通信大学・助教) 『コンピュータに思考ゲームをさせる試み ~コンピュータ将棋・囲碁の最前線 -』 ・アンケートの実施 情報オリンピック参加生徒の実情を把握し、普及・啓発に役立てるべく、本選大会 時に生徒へのアンケートを実施した。(次ページ参照) ・広報誌の刊行 『情報オリンピックに参加しよう』No.3, No.4 を刊行し、全国の高等学校等に配布 した。 5
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