沖縄県立総合教育センター 前期・離島長期研修員 第58集 研究集録 2015年9月 〈国語〉 自分の考えの形成をめざした読むことの指導の改善 -読ませ方と書かせ方の工夫を通して(第1学年)- 沖縄市立美東中学校教諭 Ⅰ 桃 原 市 子 テーマ設定の理由 PISA調査の結果から我が国の生徒は、知識・技能を活用して課題を解決するための能力、つまり思 考力・判断力・表現力等に課題があることがわかった。それを受けて学習指導要領が改訂された。国語科 においては、言葉を通して的確に理解し、論理的に思考し表現する能力などに重点を置いて内容の改善が 図られた。 平成26年度全国学力・学習状況調査において、本校は「伝えたい事実や事柄について、自分の考えや気 持ちを根拠を明確にして書く」という国語Bの正答率、無解答率が全国平均と比べると大きな差があった。 文章について自分の考えを根拠を明確にして書けない背景には、文章を読むのが苦手である、文章が読め ない、自分の考えをどう書いていいかわからない、文章の内容がわからないから自分の考えをもつことが できないということがあるのではないかと考えた。「書くこと」の指導以前に、文章の内容をどのように 理解させるか、文章をどのように読ませるか、文章について自分の考えをどのようにもたせるかなど、 「読 むこと」の指導にこそ問題があったと考える。これまでの指導を振り返ると、語句の意味を説明し、内容 を押さえて終わる一方的な知識伝達の授業であった。また、国語が苦手な生徒への配慮が十分ではなく、 文章の流れや文章の構成、表現の仕方、筆者のものの見方や考え方を理解させ、それらに対して自分の考 えをもつことができるまでの授業ができているとは言い難い。「読むこと」の領域の指導事項「語句の意 味の理解」と「文章の解釈」に時間をかけていたわりには、生徒が文章を読んで解釈できる力を定着させ ることができていなかった。 そこで身に付けさせたい力を明確にした「読むこと」の指導の改善をする。読んで書かれている語句の 意味や内容を理解して文章の解釈につなげる授業をする。そして、文章の構成や表現の特徴、ものの見方 や考え方について自分の考えをもつことができる力を生徒に身に付けさせる。つまり、語句の意味や用法 に関する「語句の意味の理解」の指導と文章に書かれた内容を理解し意味付ける「文章の解釈」の指導を 見直していく。そして、これまで重点を置いて扱うことができなかった書かれていることを読んで自分の 考えをもつ「自分の考えの形成」をめざした指導の改善をする。 本研究では、「自分の考えの形成」に焦点をあてる。教材文の読ませ方を工夫し、語句の意味を生徒に 推測させながら文章の内容を理解させる。そして、文章の構成や表現の特徴、ものの見方や考え方につい て思考をめぐらせ、自分の考えがもてるような指導をめざしていく。思ったことや考えたことを文字に書 き表すことで思考が整理され、自分の考えが形成されていく。そして、自分の考えを他者と交換したり発 表し合ったりすることで、他者の考えに触れ、自分とは違う考えに出合ったり、新しい発見があったりす る。交流後、自分に戻して振り返ることで、自分の考えを見直し自分の言葉でまとめ考えを深める。その 過程が自分の考えを広くすることになる。よって、これまでの「読むこと」の指導の在り方を見直し、自 分の考えを形成することに重視した学習活動を展開することが重要であると考え、本テーマを設定した。 〈研究仮説〉 「読むこと」の領域において、教材文の読ませ方と思ったことや考えたことの書かせ方を工夫すること によって、自分の考えをもつことができ、また考えを広げることができるようになり、自分の考えが形成 できるであろう。 Ⅱ 研究内容 1 自分の考えの形成とは 中学校学習指導要領では、 「読むこと」の領域の指導事項を「語句の意味の理解」 「文章の解釈」 「自 分の考えの形成」「読書と情報活用」の4つとすることで、学習過程が明確化された。そして、PI SA調査の読解力(テキストの中の「情報の取り出し」だけではなく、書かれた情報から推論して意 味を理解するテキストの「解釈」、書かれた情報を自らの知識や経験に関連付ける「熟考・評価」)の -1 - 2年 1年 表1 自分の考えの形成 3年 影響を受け、 「自分の考えの形成」が新設された。さらに、 「中学校学習指導要領解説国語編」 (以下、 「解説国語編」と略す)では、「自分の考えの形成」は2つの観点から成り立っていることが説明さ れている。2つの観点の一つは、「文章の構成や展開,表現の仕方等,文章の形式について自分の考 えをもつこと」であり、もう一つは、「文章に表れているものの見方や考え方について,自分の考え をもつこと」と示されている。 「文章の形式について自分の考えをもつこと」は前回の指導要領にはなかった。今回新たに付け加 えられた理由として、PISA型読解力の「熟考・評価」がテキストの形式についても評価すること を求めていることと関係があり、そのため第3学年の「表現の仕方について評価すること」や言語活 動例ア「批評する」という学習が示されていると捉えている。 第3学年には文章の形式について、 文章の形式 文章の内容 文章を読み比べ評価する指導事項があ るため、第1、2学年で評価、批評で 複数の文章を読み比 立場や根拠を明確にし きるまでの力を身に付けさせることが べ、評価する た自分の意見をもつ 必要である。解説国語編の改訂の要点 に「国語科の指導内容は,系統的・段 根拠を明確にして自 知識や体験に関連付け 階的に上の学年につながっていくとと 分の考えをまとめる た自分の考えをもつ もに,螺旋的・反復的に繰り返しなが ら学習し,能力の定着を図ることを基 本としている」と示されていることか 自分の考えを広くする 自分の考えをもつ らも、「読むこと」の指導は、3学年 を通して系統的・段階的に能力の定着 図1 系統的・段階的に育成される自分の考えの形成 を図らなければならないといえる。図 1は、発達段階における「自分の考えの形成」についてまとめたものである。 3学年を通して系統的・段階的に育成される「自分の考えの形成」について、生徒が、文章を読ん で思ったことやわかったこと、疑問などについて教材文や自分の知識、体験に関連付けて根拠、理由 をもつことが大事である。そして、生徒が複数の文章を読んで根拠を挙げたり、表現の特徴を分析的 に捉えたり、クリティカルに読んだりすることができるようになる。将来的には、生徒が社会生活の 中で生きて働く自分の考えが形成され、生かされていく。 系統性を重視し、学習事項を繰り返しながら、第2、3学年へと学習内容を深化させるためにも、 第1学年の指導は重視しなければならない。高木まさき(2009)は、第1学年の「自分の考えの形成」 の指導について、次のように説明している。文章の形式について自分の考えをもつことを「文章の構 成や展開に加え、文章の種類による叙述の特徴を考えさせたり様々な形態の文章を取り上げたりしな がら表現の特徴に気付かせること、そして、それらの工夫や効果について自分の考えをもつことを指 導する」とし、文章の内容について自分の考えを広くするとは、「書き手のものの見方や考え方に共 感すること、疑問をもったり、批判したりすることなどを通して、読み手としてのものの見方や考え 方を更に広げていくことである」と述べている。それをふまえて身に付けさせたい「自分の考えの形 成」の例を表1に示す。 「自分の考えの形成」の例 文章の形式につ いて考えをもつ 文章の内容につ いて考えをもつ 自分の考え方を 広くする 文章を読んで、3段落構成になっていると思う。 この段落には、問いの答えが書かれていると思う。 私も主人公のように幸せになりたいと思う。 視点を変えて物事を見ることは大切だという筆者の考えに私も同じ考えである。 自分の考えを表に出し、周りの考えを取り入れて、自分の考えを他者と交流する。 交流を通して自分と同じ考えの人がいる、自分と違う考えの人がいるなど、新しい発 見や考える視点が増える。 他者と交流したことを自分に戻して振り返ることで自分の考えが広がる。 2 文章の内容を理解するための読ませ方の指導の改善 音読について、平成16年2月文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」(以 下、「審議会答申」と略す)には「積極的に音読を取り入れていくことが大切である。また,音読す ることによって,漢字の読みを覚えたり,文章の内容を確実に理解したりできる」とある。また、有 -2 - 働裕・小原亜紀子(2014)は、音読を文章理解、文章記憶に有効な活動と考え、黙読等との比較検証 を考察している。この中で、読むことに苦手意識をもっている人は、黙読では、集中力の高低や周囲 の環境に左右されやすいが、音読は、声を出す行為によって強制的に読むことに集中させられるので、 一定の読解成績を保つことができると述べている。さらに解説国語編には、「読むこと」の領域の言 語活動例として、音読や朗読を通して文章の内容について理解を深めたり、感じたことや考えたこと を声に表したりする活動をあげている。また中学校では、小学校の音読指導を踏まえて、相手にわか るように正確に音読したりすることを通して、文章の理解を一層深める活動を行うことが示されてい る。これらのことからも、授業において音読をすることは文章を理解するために必要であるといえる。 本研究で留意しなければならないのは、「自分の考えの形成」につながる読ませ方の工夫をしながら 文章の内容を理解させ、自分の考えを形成するための土台づくりをすることである。 これまでの授業は、新しい教材に入るときに教師が教材文を読んだりCDを流したり、それらを聞 きながら読めない漢字が出てきたら読み仮名をふるよう生徒に指示してきた。生徒に読ませるときは、 全体の中で生徒1人に音読をさせたり、ペアや4~5人のグループで段落ごとに区切って読ませてい た。また、説明文では文章構成を、物語小説では5W1Hを意識して読むように指導していた。読み 終わると、文章構成や5W1Hを全体で確認をしていた。そして、教師が段落を一つ一つ解説して内 容を理解させる流れの授業であった。音読を取り入れてはいたが、文章の内容を理解させるために効 果的な読ませ方だったとは言い難い。 検証前の生徒アンケート(図2)から「国語は好きで すか」という項目に対して60%の生徒が、あまり好きで 国語は好きですか N=116 好き はない、嫌いと回答している。その理由は、「文章を読む 嫌い 4% 15% のが嫌い」「長い文を読むのがあまり好きではない」「文 章を読んだ後疲れる」「文章を読んで自分の考えをもつこ まあまあ あまり好 とができない」「文章を読んでの感想などがうまく書けな 好き きではな い」などだった。生徒の理由を注意深く見て考えると、 36% い 45% 文章を読むことに苦手意識があるため、読んでも内容が 頭に入っていかないから文章に対して自分の考えを書く ことができない。だから読むことが多い国語の授業はあ まり好きになれないのではないかと感じた。生徒ではな 図2 事前アンケート く教える側に問題あると考えると、文章を読むことで想 像力を膨らませ新しい世界をみつけたり、わからなかったことがわかったりするなど、文章を読むこ とでいろいろ学ぶことができる楽しさを授業を通して指導できていなかった。また、書かれているこ とを読んで自分の考えをもつという「自分の考えの形成」につなげることを意識した授業をしていな かった。そこで、生徒が文章を読んで書かれていることが理解できて、自分の考えをもち、書き表す ことができるようにすることを考えた。内容を理解するためには文章を最後まで読み通し、何度も読 むことが大切である。読んで考えることで多くのことが学べ、そこから次のことが知りたくなり、同 時に自分の考えが形成されることを生徒に理解させたい。音読を大切にしている小学校との引き継ぎ がうまくできていれば、中学に入学しても読むことに対 表2 読ませ方の指導の改善 して抵抗を感じることなく、興味をもたせることができ たのではないかと考える。以上のように、これまでの授 ○文章全体の意味を捉えるために、全文 業の取り組みの課題から、「読むこと」の指導を見直し改 を通読する。 善する。 ○読めない漢字やわからない語句があっ 読ませ方の指導の改善として、表2に示す。文章全体 ても止まらず、最後まで読み通す。 の意味を捉えさせるために最後まで読み切らせることを ○読めない漢字やわからない語句は、推 第一とする。わからない語句や疑問に思うところがあっ 測する。 ても止まらず、全文を通読する。わからない語句が2つ ○おもしろい表現や印象に残ったところ、 3つあっても文章全体の意味は通る。読めない漢字やわ 疑問に思ったところをチェックする。 からない語句を丸で囲ませ、プラスイメージの言葉だろ ○内容を想像する。 う、こんな意味ではないかなどと推測して読んでいくこ ○読めない漢字やわからない語句は、宿 とを指導する。文章の内容も想像しながら読み、おもし 題にする。 ろい表現や印象に残ったところには直線を引かせ、疑問 -3 - 自分の考えの形成につながる に思ったところには波線を引かせるなど、考えながら読ませる。生徒が何回も読んで文章に慣れてい くことで授業展開がスムーズに運ぶようになる。そして、筆者が主張している部分が見えてきたり、 書き手や登場人物の心情に対して共感したりすることができるようになると考える。読めない漢字や わからない語句を確実にチェックさせ、通読後に確認させる。そして、宿題として語句の意味調べや 漢字練習などをさせる。宿題は副教材を活用したり、教師が作成したワークシートをさせる。生徒が 読めない漢字やわからない語句を推測しながら文章を最後まで読み、表現の特徴や効果に気づき、文 章の内容を理解することができるように、指導を改善する。 3 思ったことや考えたことの書かせ方の指導の改善 (1) 自分の考えの書かせ方の改善 文章の内容が理解できると自分の考えを形成しやすくなる。しかし、内容が理解できても何につ いて自分の考えを書かせるか、授業展開に即してその対象を明確に示さないと、生徒が戸惑ってし まう。題名の付け方や、筆者の主張など対象を具体的に示すことが大事だと考える。入部明子(20 00)は、「人は思考する時、多くはイメージのような形でまず全体像を想起する。それを数や文字 などの記号に変換していくシステムが大脳の働きである。論理的思考にたどりつくためには、右脳 にある見えない思考を左脳で見える思考にするために、できるだけ短時間にイメージを文字のよう な記号にする工夫が必要である」と述べている。審議会答申では、 「考える力」を「論理的思考力」 とし、「論理的思考力の育成は書くことが中心 批判から、 思ったこと・ になると考えられている。書くことは,考え 考えたことの 浅さや甘さを を整理し,考えることそのものの鍛錬にもな 知る る」とある。また、轡田隆史(1997)は、「頭 文字という 記号に置き 思ったこと・ に浮かんでは消える思ったことを文字に置き かえる 考えたことを さらに深化さ かえることで自分の目で見て自分が思ったこ せる との浅さや甘さを思い知らされる」と述べて 頭に浮かんだ いる。文章を理解しながら頭にある漠然と過 思ったこと・ 考えたこと ぎ去っていく文章に対する自分の考えを、自 分の言葉で文字に書き表して目で見て頭で考 え、思考を整理する学習を反復的に繰り返す 図3 書くことで考えが形成される ことで、自分の考えが形成されると考える(図 3)。 これまでの授業を振り返ってみると、文章を読んで初発の感想を書かせたり、学習の最後に筆者 の主張について思ったことを書かせたりしていた。できる生徒にとっては書けるが、何をどう書い ていいかわからない生徒への指導は十分ではなかった。だから、文章に対して、ただ難しかったと 書く生徒がいたり、内容についてなぜそう思ったのか根拠や理由を書く生徒がいるなど、個々の生 徒の能力に任せた学習になってしまっていた。 本研究では、頭にある考えを見える思考にするためにワークシートを活用した授業を行う。教材 文にある問いや答え、根拠などを一つ一つ書き込んでいくことで内容の確認もでき、さらに思考が 整理されるワークシートを作成する。答えや根拠など考えたことを文字に書き表すことで、頭と目 で考えることができ、思考が整理されていく。それが自分の考えの形成につながると考える。また、 自分の考えを深めるために漠然と過ぎ去っていったイメージを支える根拠を探し、理由づけするこ とも自分の考えの形成につながると考える。答えや根拠が探せない生徒には文章を読ませ考えさせ る。最後は、文章の形式や内容について自分の考えを書かせる。ここまでを全体指導で行う。机間 指導しながら書けない生徒には、「本文中の~について~と思います」など文の形を提示する。他 には、この文章がいくつの段落からできているか数えたらわかるようなことや文章を読んで同じ気 持ちになったり、内容がよくわからないと思ったところはないか問いかけて、文章が理解できてい るかを確認する。そして自分の考えを引き出すために、文章の言葉を使って、頭にあることを書き 表せるよう促す。授業を通して文章の中から抜き出すのではなく、文章の中に表れている文や言葉 を根拠や理由としながら自分の言葉で書けるように指導したい。 (2) 自分の考えを広くする工夫 自分の考えをもつことで終わらせるのではなく、文章の内容については考えを広くすることを指 導する。自分の考えを広くするために生徒間での交流を行う。自分の考えを発表したり、交換した -4 - 考えを広くする りすることで他者の考えに触れる。そして、自分の考えとの共通点や相違点を見つけたり、級友の 考えから発想が広がったり、違う考えに出合ったりすることが自分の考えを広くすることになる。 また、他者の考えに触れることは自分の読みの確かさを確認できたり、読みが深められたりする。 交流後、再度自分に戻して振り返ることで、自分の考えを見直し、さらに考えを深め、整理してま とめたことを書かせる。他者の考えを受け入れた後、自分の考えを見直し、考えることに必要なこ とが書くことだと捉えている。 検証前のアンケートから、生徒は自分の考えを広くすることの意味を次のように思っている。 「色 々な考えを聞いて自分の考えの参考にすること」「自分の考え方だけでなく友達の意見も聞き入れ ること」「視点を広げること」「自分の考えを増やす」「色々な考え方をすること」などであった。 他者の考えという情報を取り入れて考える。そして、自分以外の人や物の影響を受けることで、自 分の考えを広くすることである。 本研究では、自分の考えを書いたワークシートを 10名程度のグループで回し、黙読することで交流さ せる。時間を決めて、教師の合図でリズムよく回し 考えを書く 交流する 振り返る ていく。黙読の方が、他者の考えを落ち着いて自分 のペースで読むことができ、他者の考えを理解しや すいと考えたからである。交流後、自分に戻して振 り返り、自分の考えを書かせることで自分の考えを 図4 自分の考えを広くする 広くする(図4)。 Ⅲ 指導の実際 1 2 3 単元名 学びをひらく いろいろな言葉にふれ、学習の見通してをもつ 教材名 ダイコンは大きな根? 稲垣 栄洋 単元の目標 ○身近なものについて説明された文章を読み、使われている言葉の意味や内容をとらえる。(読む こと イ) ○文章の形式について自分の考えをもつことができる(読むこと エ) ○文章の内容について自分の考えを広くすることができる。(読むこと オ) 単元の評価規準 国語への関心・意欲・態度 読む能力 言語についての知識・理解・技能 ・身近な野菜を取り上げてい ・各段落の役割を考えたり、図と照らし合わせ ・語句の辞書的な意味と文脈上の意 る文章の内容や表現に関心 たりしながら、文章の内容を的確に捉えてい 味との関係に注意しながら内容の をもちながら音読している。 る。(イ) 読み取りに生かしている。 〔イ(イ)〕 ・筆者の文章の書き方の工夫について自分の考 えをもっている。(エ) ・文章を読み、自分の考えを広くしている。 (オ) 4 指導と評価の計画 次 時 一 1 主な学習活動・指導上の留意点 指導過程における評価規準と〈評価方法〉 目標:段落の役割に着目して 大体の内容をつかむ ○グループで一文交代読み。 ○通読する前に、次のことを指示する。 ○説明文の文章構成を確認 し、「段落の役割」を表す 関 身近な野菜を取り上げている ・読めない漢字、わからない語句は鉛 文章の内容や表現に関心をもちなが 筆で○で囲む。 基礎的な語彙を確認する。 ・印をつけるだけで、他の人に聞いた ら音読している。<授業観察> 言(イ(イ)) 語句の辞書的な意味 りしないで、止まらずそのまま読む。 と文脈上の意味との関係に注意し、 ○グループで9つの形式段落 ○説明文の特徴に気づかせる。 理科の専門用語を図で確かめたりし を順序よく並べ替え、ポイ ・初め中終わりの文章構成 て、内容の読み取りに生かしている。 ントや気をつけた文、語句 ・接続語、指示語 <授業観察・ワークシート> -5 - 等にチェックする。 ・問いかけと答えの読み分け ・筆者の考えの段落 目標:ダイコンの特徴を読み 2 ( 取る ○ペアで一文交代読み。 ○起立させ、読み終わったら座らせる。 ) 本 ○2つの問題提起とそれに対 ○問題提起とその答え、根拠が何形式 読イ 「段落の役割」を基に問題 時 する答えについて考える。 段落にあるか考えさせそれぞれ書か 提起、答え、根拠が書いてある段落 1 問題提起2については根拠 せる。 がわかる。 まで読み取る。 ○ペアで相談しながら書き込ませ、教 <授業観察・ワークシート> 科書の言葉を使い、自分の言葉でま ○ダイコンの特徴について思 とめさせる。 ったことや考えたことを書 ○文にできない時は単語を書かせる。 く。 机間指導による声かけ。 目標:自分の考えをもとう 二 3 ○ペアで一文交代読み。 ○筆者の考えを読み取る。 ○9段落に着目。 ○9段落を全員で音読する。 読エ ○文章の書き方について筆者 ○3つの工夫点を考えさせる。 文章の形式について自分の 考えをもっている<ワークシート> はどのような工夫をしてい ・その中から1つ選び思ったことを書 るか考え、それについて自 かせる。文にできない時は単語を書 分の考えをもつ。 かせる。机間指導による声かけ。 ○自分の考えをペアと交換。 目標:自分の考えをもち、 4 ( 広げよう ○ペアで一文交代読み。 ) 本 ○内容について自分の考えを ○文にできない時は単語を書かせる。 読オ 交流を通して自分のものの 時 もつ。 机間指導による声かけ。 見 方や考え方を広げようとしてい 2 ○自分の考えを交流。列ごと ○自分の考えと同じ、違いなどを考え る。 に回し黙読する。 させる。 <ワークシート・交流・授業観察> ○振り返り、自分の考えをま ○自分の考えと違うものや気づかされ とめる。 たことがあったかを考えさせる。 文章を理解することは、自分の考えを形成するための土台となる。第一次は、ここをねらいとして文章 構成や段落の役割の確認、ダイコンの特徴の読み取りを中心とした。読ませ方の工夫としては、音読の機 会を増やすためにペアによる一文交代読みをした。第二次においては、文章の書き方について筆者が工夫 していることと文章の内容について、思ったことや考えたことを書き表し整理することで自分の考えをも ち、広くすることをねらいとした。 5 本時の指導 (1) 本時1(第一次 第2時) ① ねらい ダイコンの特徴を読み取る ② 本時の工夫点 場 面 工夫点(手立て、方法) ・ダイコンの特徴(問題提 起とその答え、根拠)を ・ペアで相談させる。 ③ 過程 ・ペアで相談しながら文章の解釈をするとわかり ・問題提起とその答えを押さえるこ 読み取る。 5分 やすく理解できると考えたから。 とで、特徴がみえてくる。 展開 主な学習活動 指導上の留意点等 ①前時の確認をする。 導入 理由 ②本時の学習を確認する。 目標 ダイコンの特徴を読み取る -6 - 評価規準〈評価方法〉 ③ペアで一文交代読みをする。 展開 ④問題提起とその答えについて 40分 ③通読する前に、鉛筆でチェックするところを指 示する。 考える。問題提起2について ・問題提起は線を引き、ダイコンの特徴には波線 は根拠まで読み取る。 を引くこと。 ④問題提起の文は~でしょうか。なぜ~。答えの 文は~からです。となることに気づかせる。 読イ ・ペアで相談してもよい。 「段落の役割」を 基に問題提起、答え、根 ⑤ダイコンの特徴について思っ ⑤書けない場合、カイワレダイコンとダイコンの 拠が書いてある段落がわ たことや考えたことを書く。 図を使って特徴を確認する。 かる。<ワークシート・ ・教科書の言葉を使って書いてもよい。 授業観察> ・全体を見る机間指導。 終末 ⑥本時の学習内容について、わ ⑥具体的なダイコンの特徴について思ったことや 5分 かったこと、不思議なこと、 考えたこと等を確認させる。 これからも使えそうなこと等 を自己評価シートに記入する。 (2) 本時2(第二次 第4時) ① ねらい 自分の考えをもち、広げよう ② 本時の工夫点 場 面 ・内容について自分の考 工夫点(手立て、方法) 理由 ・全体説明を的確にする。教科書の ・個別指導しなくてもすむように。考えたことが えをもつ。 言葉を使って書かせる。 ・自分の考えを広げる。 教科書の言葉と似ていると考えているため。 ・自分の考えを他者との交流する。 ・他者の考えを聞くことで気づかされることがあ るから。 ③ 展開 過程 主な学習活動 指導上の留意点等 評価規準〈評価方法〉 ①前時の確認をする。 導入 5分 ②本時の学習を確認する。 目標 自分の考えをもち、広げよう ③ペアで一文交代読みをする。 展開 40分 ④内容について自分の考えをも つ。 ③誰が先に読むかを決めてから、一斉に読み始め る。 読オ 文書の内容につ ④これまでの授業を振り返らせ、内容を思い出さ いて自分の考えをもち、 ・これまでの授業を振り返る。 せるために「ダイコンのどの器官を食べていた 交流を通して自分のもの ・教師の質問の答えを教科書に か」等いくつか質問をする。 指をさしてから全体で答える。・教科書を読むことを促す。 ⑤自分の考えを交流する。 ⑤他者の考えを黙読させる。 ・2列ごと×3グループ ・自分の考えとの共通点、相違点、新しい発見等 ・体を横にして向かい合う の見方や考え方を広くす ることができる。<ワー クシート・授業観察> を考えさせる。 ・時間は15秒でまわす ⑥自分の考えを振り返り、まと ⑥書かせる前に「自分と違う考えの人はいたか」 める。 ・質問に挙手する。 等いくつかの質問をする。挙手することで自分 の考えが広がったことを気づかせる。 ・教科書の言葉を使って書いてもよい。 ・全体を見る机間指導。 終末 5分 ⑦本時の学習内容について、わ ⑦内容について自分の考えをもち、交流を通して かったこと、不思議なこと、 自分の考えを広げることができたか。 これからも使えそうなこと等 を自己評価シートに記入する。 6 仮説の検証 本研究では、説明文教材「ダイコンは大きな根?」を用い、教材文の読ませ方と思ったことや考え -7 - たことの書かせ方の工夫を行い、自分の考えが形成される指導の改善を行った。毎時間音読を重視し て、ワークシートを使って読み取ったことや自分が思ったこと、考えたことを書かせる。そして、文 章を理解し文章の形式や内容について自分の考えをもち、広くすることができたかどうか、生徒のワ ークシートや授業を振り返った自己評価シート、事前事後のアンケート、検証授業の様子から検証す る。 (1) 自分の考えの形成の土台となる内容の理解 ① 読ませ方を工夫することで、文章の内容を理解できたか 授業では教材文の読ませ方の工夫として毎時間、全文をペアに よる一文交代読みを行い、段落ごとに止まるのではなく、文章全 体を意識させるようにした。座って読むことを基本にし、起立さ せる効果も模索しながら起立して読ませたりした。読み終わりの ばらつきから残った2つ3つのペアの声が目立ってしまい、恥ず かしがって最後まで読まずに終わってしまうことを避けるため に、読む前に誰から読むかを決めさせてから一斉にスタートして 読ませた。読めない漢字やわからない語句を丸で囲んだり、問題 提起、筆者の考えなど線を引きながら読ませた。通読後、丸で囲 ませた読めない漢字を教科書や副教材を使って調べ書き込ませ 写真1 一文交代読み た。生徒たちに読み急ぐ様子はなく丁寧に読んでいて、読み間違 いがあるとパートナーが訂正しているペアの様子も見られた。生徒たちは回数を重ねるうちにす らすら読めるようになり読むスピードも速くなり、文章に慣れてきたことがうかがえる。事後ア ンケートから「何回も文章を読むこと」はまあまあ効果的であったと感じている生徒が90%以上 だった。「どんなところが効果的だと思うか」という回答には、「何回も読むことで内容などを理 解する力が強くなる」「だんだん意味を理解することができた」「内容だけではなく、文章の構成 や工夫を読み取ることができた」「ちょっとずつだけど筆者の考えがわかってくる」などがあっ た。このことから生徒は1回ではなく何回も読むことで内容が理解しやすくなり、合わせて読む ことの大切さも実感できたとうかがえる。また、内容の確認をするために質問をすると、生徒か らの返答が早くなっていき内容が理解できていると感じた。一文交代読みによる音読は、文章の 内容を理解することに有効だったと考察する。検証後のアンケートから、ペアで音読することに ついて「読めない漢字を教えたりできた」「一人で読むより良いと思った」「二人でやることでや りやすくなった」「ペアで一文読みをすると必ず読まないといけないからよい」「あまりすらすら 読めなかったけど、自分もパートナーもすらすら読めるようになった」という回答があった。ペ アによる音読活動で、内容が理解できたこと意外にも複数で学習する良さを生徒は感じているよ うだった。実際の指導においては、音読の前に前時の確認や本時の目標などの説明が長くなって しまった。要点をまとめ必要最小限の確認や説明を行うようにする。今回の教材文は、内容も用 いられている語句も比較的やさしいものだったので、内容も難しく、難解語句が多い教材文でも 音読のさせ方を工夫することで内容を理解させる指導方法を模索していく。 ② 書かせることで、文章の内容を理解できたか 教材文の内容を理解するためにワークシートを活用した。問題 提起、その答え、答えの根拠が書きやすいように枠を作り、配置 を考えた。ペアによる一文交代読みの後に、それぞれを枠に書き 込ませた。教材文をそのまま写すのではなく、教材文の言葉を使 って自分でまとめさせるようにした。内容の理解に不安が残る生 徒には、教材文にあるカイワレダイコンとダイコンの図を黒板に 貼り、それにダイコンの特徴を単語で書き込んで説明をした。 生徒は教材文を見ながらワークシートの枠に問題提起とその答 えを書き込んでいた。根拠については教材文を読んで考えている 様子が見られた。ワークシートより、問題提起については90%以 上の生徒が「なぜ」と文末表現に「~か」を使って表現している ことから読み取れていることがわかった。答えについては、問題 図5 生徒のワークシート 提起の後に答えがあるという文章構成を読み取れていた。問題提 -8 - 起とその答えの読み取りにはあまり時間がかかっていなかった。毎時間、全文を音読をしている ため、どの段落に何が書かれているのかが頭に入っていて音読の効果がうかがえる。根拠を見つ けられていない生徒には机間指導で声をかけることで、根拠の部分を見つけることはできた。そ れを自分でまとめることは難しそうだったので、教材文を写させた。根拠を見つけられた生徒で もそのまま教材文を写している生徒もいた。中には文末を「から」としたり、教材文の言葉を使 ってまとめている生徒もいた(図5)。ワークシートに書き込むことでダイコンの特徴をつかみ、 内容を理解できたと捉える。実際の指導においては、根拠を書かせるためのワークシートを扱う 際にも、交流学習を盛り込むなど、指導の工夫が必要であった。また、ダイコンの特徴を図に書 き込んで説明したところは、視覚に訴えることで理解しやすくなることをねらいとしていたが、 提示のタイミングや説明の仕方など、授業展開を見直す必要がある。 (2) 文章の理解が自分の考えの形成へとつながる ① 書かせることで自分の考えをもつことができたか ワークシートに書き込んでいくことは、 表3 ダイコンの特徴に関する生徒の考え 内容の理解をしやすくするだけではなく、 頭に浮かんでいる自分の考えを整理して見 ○私は辛いのがいやなので、上の部分を食べるようにし たいです。 える思考にするための手立てになると考え ○大根を食べるときは辛さや甘さを少し意識しながらお ている。一文交代読みやワークシートを活 いしく食べたいと思った。 用して内容を理解したことをもとにダイコ ンの特徴について思ったことや考えたこと ○これからも野菜などを食べるときは、いろんなことを 調べてみたいです。 を書かせた。「主に食べていると白い部分 は大体同じ太さなので根と思っていたけ ○味は分かれているけど、ダイコン自体はつながってい るので不思議だなと思いました。 ど、胚軸と根に分かれていて違う器官で、 味まで違うということを初めて知った」と ○根が水分を吸い上げ、栄養分を蓄えているので、ダイ コンの器官で根は大事な役割をしている。 書いている生徒が多かった。他には、わか ったことや気づいたことだけではなく「書 かれている内容が当たっているかどうか確 表4 文章の書き方についての生徒の考え(ワークシート) かめたい」「他の野菜のことも調べてみた い」などがあった。自分の考えをもち、さ ○9段落に読者に質問みたいなのをしているが、なんでそ ういうふうにしたのか知りたい。 らに教科書から発展し、興味・関心をもっ て自分の考えを広くしていると捉えた(表 ○題名はその文の顔のようなものなので変わった題名だと 読みたいという気持ちになる。 3)。 文章の書き方について筆者が工夫した具 ○筆者が読者に問いかけているようでおもしろかった。 体的な内容を提示しながら教師が説明を加 ○問いの次にそれに対する答えがきていて読みやすい。 え、具体的な工夫点については生徒に読み ○器官が後で味が前にきていたら意味がわからなくなるか ら順番を工夫していることがわかる。 取らせた。ワークシートより、具体的な筆 者の工夫点はなく、「題名の付け方がいい と思った」のように書いている生徒は18% 表5 文章の書き方についての生徒の考え(自己評価シート) だった。それ以上に具体的な工夫点を読み ○敬体で書かれている方が常体より言葉遣いが良い。 取っていたり、また工夫点についてなぜそ ○大根という文字だけにとらわれず見方を変えてみたい。 う思ったのか理由を書いている生徒もい ○題名の?と僕がよく使う…は同じ効果があるのではな た。良いところや工夫点だけではなくその いかなと思いました。 理由も書けているので、生徒は文章の書き ○題名にこだわりをもちたい。 方について自分の考えをもつことができた ○これから何かを知ってほしい文を書く時に敬体を使え と捉える(表4)。さらに発展して「作文 るように頑張る。 を書くときに活用してみたい」など、これ ○作文を書くときは自分も工夫したい。 からの自分の学習につなげている生徒もい ○工夫をもっと意識して探してどんどん真似ていきたい。 た。また、自己評価シートの記述からも同 ○作文を書くときにあえてカタカナを入れたり記号をつ 様に、これからの自分の学習につなげ、向 けたりして見る人を引きつけるような書き方をしたい。 上しようとする意欲が見られた(表5)。 一文交代読みやワークシートに書き込ませることで内容が理解できたから自分の考えをもつこと -9 - につなげられたと考える。実際の指導においては、全体への説明が不十分で机間指導で補ってい たので、説明の過不足や無意味な机間指導を避けるためにも、全体指導の在り方を見直していく 必要がある。生徒が思ったことや考えたことを整理できるようなワークシートの工夫改善を継続 して行う。 ② 交流を通して自分の考えを広くすることはできたか 最終授業第4時は、内容について自分 表6 自分の考えを広くした生徒の考え(ワークシート) の考えをもち、広げることをねらいとし た。内容についての自分の考えをワーク ○違う意見に「自分の身を自分で守る」が動物と植物の 共通点とあって納得することができた。 シートに書き、そのワークシートを男女 混合の座席2列で黙読をした。15秒ごと ○みんなはダイコンの味、僕はダイコンの作りに注目し ていたので、味に注目してもっと文章の内容を理解で に教師が合図をし、リズムよく回してい きるようにしたい。 った。自分の考えを前に出て発表し他者 の考えを聞くというこれまでの方法では ○自分が思わなかった考えがあり、自分もこういうこと をやってみようと思った。 なく、生徒自身は発表せず、黙読するこ とで他者の考えに触れる方法を取り入れ ○自分が気づかなかった新しい意見に気づけた。 た。発表を苦手とする生徒でも自分の意 ○見方を変えてみるという意見があって、私も味方を変 えてみようと思いました。 見を恥ずかしがらず提示できる。交流の 様子を観察していると、黙読している生 徒たちの表情に変化があった。表6、7に 表7 自分の考えを広くした生徒の考え(自己評価シート) 見るように、自分と同じ考えの人がいる、 自分とは違う考えに出合う、新しい発見が ○自分と違う意見が多く、こういう考えもあるんだなと あるなど、他者の考えに触れることで気づ 感じ、他の野菜のことをもっと知りたくなった。 きが促されたと考える。 ○私が思いつかないような事がいっぱいあった。 交流を終えて、どれくらいの人が自分の ○これからも友達の意見を聞いて自分の意見と違う所を 考えと同じあるいは違っていたのかを確認 探してみたい。 することで、振り返った自分の考えが書き ○気づいていなかったことに気づけるんだなあと思った。 やすくなると考え、全体に質問をして挙手 これからも考えを交流していろいろな考えを発見した させた。その後、自分の考えを見直し自分 い。 の言葉でまとめさせた(表6)。自分以外 ○自分だけの意見ではなく、いろいろな人の考えも大切 の考えを受け入れて、発想が広がったり、 と思った。 違う考えに気づかされ、自分の考えを広く することができたと捉える。また自己評価シートの記述から、交流を通して生徒は、自分の考え が広くなっただけではなく、自分以外の人と関わることで、学ぶことがあったと感じていること が読み取れる(表7)。他者の考えに触れることは、自分の考えだけではなく他者の考えも大切 に思い、考えを広くすることが自分を成長させることにつながると考える。実際の指導において は、10名程度の交流にとどまった。より多くの考えと交流させるための方法を授業展開の工夫な どで模索していく。 Ⅳ 成果と課題 1 成果 (1) 毎時間全文を音読することは、内容を理解することに有効であることを改めて確認し、音読の可 能性を実感することができた。 (2) 自分の考えを広くする手立てとして、他者との交流も有効であることを改めて確認し、交流活動 の可能性を実感することができた。 2 課題 (1) 何について自分の考えを書かせるか、対象を焦点化すること。 (2) 系統的・段階的な指導を意識して、第2、3学年の授業展開を具現化すること。 - 10 - 〈参考文献〉 有働裕・小原亜紀子 萩中奈穂美 2013 2014 「音読の学習効果に関する一考察-聴解、黙読、つぶやき読みと比較して-」 「自分の考えをつくる 学習課題の提示法」 井上伸円 2013 「詳しく読み取らせるためのポイント」 有元秀文 2012 『まともな日本語を教えられない 工藤順一+国語専科教室 国立教育政策研究所 校 中島克治 国語】』 2011 高木まさき編 有元秀文 2011 『国語教育』8月号 30~31頁 勘違いだらけの国語教育』 合同出版 『これで読む力がぐんぐんのびる』 教育課程研究センター 2011 44~45頁 明治図書 明治図書 合同出版 『評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料【中学 教育出版 『中学生のための読解力を伸ばす魔法の本棚』 2009 2008 『国語教育』10月号 『平成20年改訂 中学校教育課程講座 『新学習指導要領に沿った 小学館 国語』 ぎょうせい 文部科学省 2008 『中学校学習指導要領解説 文部科学省 2004 文化審議会答申 PISA型読解力が必ず育つ10の鉄則』 国語編』 明治図書 東洋館出版社 「これからの時代に求められる国語力について」 入部明子 2000 『 「見えない思考」から「見せる思考」へ』 轡田隆史 1997 『 「考える力」をつける本』 『国語教育』12月号 三笠書房 - 11 - 17~24頁 明治図書
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