平成28年度 事業計画書 自 至 平成28年4月 1日 平成29年3月31日 1 平成28年度 事業計画 1.はじめに 国内経済は、原油価格下落の長期化とともに、脱デフレ政策、物価上昇目標を阻む状態が 続いており、日本銀行がマイナス金利政策を導入しました。国外では中国株の急落による国 際株式市場の混乱と、中国経済の減速による景気展開の不透明さが懸念されています。 工業会関連の業界を眺めますと、鉄鋼業界は一年前とは状況が異なり、海外市場での中国 勢との競争激化で、輸出において更に厳しさが増しております。 一方で石油業界は、燃料としての石油需要の継続的減少に加え、昨年には石油元売業界の 再編成計画が相次いで明らかになり、元売会社の体制が大きく変わる様相を呈しております。 化学工業分野でも今までのようなグローバル化の流れだけではなく、高付加価値製品の生 産設備を国内に向けた計画もでてきつつあります。 このような中、最近のメンテナンス業界では、人手不足の問題が一段と厳しさを増してき たと思われます。今まで現場を支えてきた高年齢就労者の引退に対し、少子化の進行による 若年就労者数の減少と就労先の多様化の中で業界への入職者数が増えず、一方で東日本大震 災以降の復興事業と東京オリンピック関連事業が相まって、求人状況が更に悪化していた中、 さらに 4 月中旬に発生した平成 28 年熊本地震による影響も今後危惧されています。このた め、作業者の技術・技能の維持・伝承による品質の維持、安全の確保が、従来以上に大きな 課題となってきています。これに対し、我々メンテナンス業界で生業を立てる企業集団の工 業会としては、如何に人手不足及び人材の確保・育成の方策を実行に移していくかが本年も 急務であり、最大の課題であります。 このようにメンテナンス業界を取巻く環境は引き続き大変厳しい状況にありますが、国内 の装置の高経年化の中でメンテナンスの社会的重要性は増大しております。このため、工業 会は今まで以上にメンテナンスの重要性を社会に発信すると共に、様々な課題・問題に取組 んで参ります。 2.本年度の主な施策取組み 昨年度と同様に、プラントメンテナンス業の人材不足の課題に取組みます。 ① 業界全体としての人材確保、人材の育成及び関連する政府の助成金等の情報を含め会員 企業に有益な関連情報を収集、発信します。 ② メンテナンス業および工業会の社会的な認知度アップに取り組みます。 ③ 業界に関する法規上の問題抽出と会員企業への関連情報の提供に努めます。 ④ メンテナンス業に応用できる最新技術を調査、発掘し、会員企業への情報提供を目指し ます。 3.事業内容 (1)総務委員会 理事会の諮問に応えながら工業会の方向付け等の具体的な仕組みづくりを行うと共に、 理事会の付議事項の事前審議を行います。 (2)企画推進委員会 総務委員会および各委員会と連携して工業会を取り巻く問題点の抽出を行うと共に、 人材不足対策に対する答申の検討内容とその実行企画を精査し推進します。 (3)法令・規格委員会 昨年度実施した法規等の調査の中から改正建設業法および改正労働者派遣法について 会報に掲載するとともに、プラントメンテナンス業の法規上の課題に関連する各省庁の 審議会等の重要な報告について随時工業会のHPへ掲載します。 また、社会環境の変化等によりプラントメンテナンス業の現行法に照らして不具合な 事象については、規制改革委員会等の趨勢を見極めるとともに、実態調査(アンケート) を実施し検証していきます。 2 (4)調査統計委員会 工業会活動の成果を高めるため、プラントメンテナンス業の動向を定例的に調査・分 析を行い、アンケートを基にして統計データを作成します。 ・工業会会員企業の企業概要 1 年調査を 7 月に実施、分析結果を会報 98 号(平成 29 年 2 月発行予定)に掲載いたします。 ・上記と同時に、3 年毎の調査である「メンテナンス・サービス企業の実態調査」のア ンケートを 7 月に実施します。その分析結果をまとめ、その調査報告を別冊にて、 平成 29 年 3 月に刊行いたします。 (5)評価提案委員会 プラントメンテナンスのグローバル展開に向けた取り組みとして、「海外の生産拠点 (工場)におけるメンテナンスのアウトソーシング(外注)について」のアンケートを 実施します。 国内プラントメンテナンス業界の人材不足への対応策として、企画推進委員会から方 向性として示されたモチベーションアップを目的とした「工業会表彰制度」の上申を行 います。 (6)教育研修委員会 メンテナンスの高度化、高付加価値化に向けた動機付けにつながるような研修会、セ ミナ-等の企画・立案を行います。 ・本年度の通常総会(6月7日)時にセミナーとして危機管理「油田事故対策」の講演 を企画、運営します。 ・本年度も工場見学会の企画、運営を行います。 ・「業界全体としての人材の確保及び人材の育成」の観点から、能力評価基準(ジョブ カード)や厚生労働省の人材育成に関する助成金制度について工業会会員への PR 等 の検討を進めていきます。 (7)広報活動委員会 平成 27 年度の認知度確認アンケート集計結果の回答が少なく、メンテナンス業の特 殊性からか、期待したほどの集計が出来ませんでした。これらを踏まえ今年度の活動は、 これらメンテナンス意識の更なる掘り下げを主体とした活動を重点的に取り組みます。 その方策として、以下の3点を中心に活動します。 ・プラントメンテナンスショー等を活用した対面式アンケート方式(企業)や、会報 の継続配布後の意識向上アンケート調査(学校)等を企画し、認知度の再調査活動 を行います。 ・メンテナンス業の実態が分かり、興味がもてるような掲載記事のあり方を検討し推 進します。 ・メンテナンス関連の同業他協会との連携によるメンテナンス業の位置づけ向上活動 を行います。 (8)技術研究委員会 運転中に可能な点検・検査、ビックデータ・スマート化、技術の継承・高度化への取 組みとして以下の技術テーマを検討し、中間報告を会報 98 号(平成 29 年 2 月発行予定) に掲載します。 ・断熱下配管の腐食検査 ・自動遠隔計測・3D計測などによる振動・温度・歪などのモニタリング ・現場工事進捗をマスターPCで集中管理することによる工程情報共有化 ・フランジ締付け、肉盛補修、特殊溶接など将来に継承し高度化させる仕組み 3
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