個人に適したキーボード配列 ~日本語入力のために

平成 23 年度 卒業研究発表会
日本語入力に最適なキーボード配列の研究 井上 朋紀 蘆田 昇 間かけてタイピングする場合がある。そこで、タ
イピング速度の向上による業務時間の短縮、タイ
ピングによる指の負担軽減を目的として、個人に
あったローマ字での日本語入力に最適なキーボー
ド配列を考案することにした。日本語入力は、イ
ンターネット上にある論文やニュース記事を基に
進 め て い く 。 1. 研 究 背 景 近年、スマートフォンを始めパソコンやタッチ
パネルディスプレイなど様々なデバイスにソフト
ウ ェ ア キ ー ボ ー ド が 普 及 し つ つ あ る 。 しかし、まだまだハードウェアキーボードの普
及 率 は 高 く 、そ の ほ と ん ど に Qwerty 配 列 が 採 用 さ
れている。一部の人たちに好まれている打鍵効率
の 良 い Dvorak 配 列 は 、 先 に Qwerty 配 列 が 多 く 普
及 し て い た た め あ ま り 普 及 は し て い な い 。 2. 研 究 目 的 図 1.ソ フ ト ウ ェ ア キ ー ボ ー ド Qwerty 配 列 、Dvorak 配 列 と も に 英 語 圏 で の タ イ
ピングを考慮したキーボード配列であり、ローマ
字での日本語入力に適したキーボード配列ではな
いと考えられる。また、各人各様にタイピングに
癖がありキーボード入力が得意なパターン、不得
意 な パ タ ー ン が あ る と 思 わ れ る 。 図 2.Qwerty 配 列 図 3.Dvorak 配 列 そこで、個々人のキーボード入力について解析
を行い個人の特徴にあった配列を提案することで、
タイピング速度の向上と指にかかる負荷を解消で
き る の で は な い だ ろ う か と 考 え た 。 本卒業研究では、資料作成や日常で最も使用頻
度の高いローマ字での日本語入力に着目した。業
務での資料作成や論文などでは多くの文字を長時
本卒業研究では個人のタイピングにおける特
徴を検証し、人それぞれにあったキーボード配
列を提案することが目標である。提案するキー
ボード配列は、腕や指の負担を軽減するだけで
はなく、作業効率の向上につながるものを考え
る。キー配列は、日常的に行うローマ字入力で
の 日 本 語 タ イ ピ ン グ に 着 目 す る 。 ローマ字入力の大きな特徴として、2 文字組
で1つの文字となることがほとんどである。そ
こで、2 文字組のタイピングテストを行い、被
験者の得意とするタイピングパターンの検証を
行う。タイピングに時間のかかった 2 文字のキ
ー位置を不得意パターンとし、時間のかからな
かった 2 文字のキー位置を得意パターンと判別
し て 、被 験 者 が 得 意 と す る パ タ ー ン を 抽 出 す る 。
被験者が得意とするキー位置から順に、日本語
入力で出現頻出度の高いアルファベット文字か
ら順に配置し、キー配列を提案する。被験者に
とって提案する配列はタイピング速度と作業効
率 の 向 上 に 寄 与 す る と 考 え る 。 次 に 、 代 表 的 な キ ー ボ ー ド 配 列 ( Qwerty 配 列 )
とタイピング速度、指の負荷、移動距離の 3 つ
の観点から比較し、被験者に適したキーボード
配 列 を 提 案 す る 。 3. 研 究 成 果 キ ー ボ ー ド の 歴 史 や 誕 生 に つ い て 学 習 し た 。 ま
た、キーボードの種類や普及率などを調査し、そ
の特徴についても調査を行った。
次 に 、 ロ ー マ 字 で の 日 本 語 入 力 の 特 徴 を 調 査 し
た 。 そ の た め に 、 フ リ ー ソ フ ト “ KAKASI” を 用
いて日本語の文章を訓令式のローマ字に変換後、
文字ごとの頻出度を抽出するプログラムを作成し
た。ヘボン式と比較した場合、グローバリズムで
平成 23 年度 卒業研究発表会
大抵の国の人たちが同じ発音になることや、訓令
式は英語圏以外の国でつかわれるもので日本も英
語圏とは異なるため訓令式を採用した。
文 字 の 頻 出 度 と 移 動 距 離 に 着 目 し た ロ ー マ 字 で
の 日 本 語 入 力 に 適 し た 配 列 の 検 討 を し た 。図 4 に
文字の出現頻度のみを考慮して考えたキーボード
配 列 ( Finger 配 列 ) を 示 す 。
図 7 .各 指 の 移 動 距 離 図 4 .Finger 配 列 個 人 の 特 徴 を 活 か し た キ ー ボ ー ド 配 列 を 提 案 す
るために、2文字組みのタイピングテストプログ
ラムを用いて個人が得意とするキー入力パターン
の 抽 出 を 行 っ た 。被 験 者 は 卒 業 研 究 者 自 身 で あ る 。
図 5 は、タイピングテストの結果を基にしたキー
ボ ー ド 配 列 ( SFY 配 列 ) で あ る 。 図 5 .SFY 配 列 図 5 の SFY 配 列 は 、 タ イ ピ ン グ テ ス ト を 行 う 際
に Qwerty 配 列 上 の ア ル フ ァ ベ ッ ト キ ー 位 置 を 使
用 し て い る た め 、被 験 者 が Qwerty 配 列 を 覚 え て い
るかいないかでタイピングに依存する可能性があ
る。そこで、タイピングテストを行うキーボード
に 数 字 を 割 り 付 け 、Qwerty 配 列 へ の 依 存 を 軽 減 さ
せ た キ ー ボ ー ド 配 列 ( SFY’ 配 列 ) を 図 6 に 示 す 。
図 6 .SFY’ 配 列 提 案 し た Finger 配 列 、 SFY 配 列 、 SFY’ 配 列 の
3 つ を Qwerty 配 列 と 比 較 す る 。 Finger 配 列 は 、指 の 負 荷 に 注 目 し て キ ー 配 置 し
た配列であり、指の負荷の大きい小指などの移動
距離、使用回数が少ない配列となっているため当
初 の 目 的 を 達 成 し た 配 列 の 提 案 が で き た 。 SFY 配
列は、全体的に指の移動距離の少なさに優れたキ
ー ボ ー ド 配 列 と な っ た 。SFY’ 配 列 は 、タ イ ピ ン グ
テストを行うキーボードに多少問題があっため左
手 に 偏 っ た キ ー ボ ー ド 配 列 と な っ て し ま っ た 。 図 8 .各 指 の 使 用 回 数 4.展 望 タ イ ピ ン グ テ ス ト 方 法 に 多 少 問 題 が あ っ た た
め Qwerty 配 列 を 上 回 る キ ー ボ ー ド 配 列 が 提 案
できなかった。タイピングテスト方法をさらに
改善することでより優れたキーボード配列の提
案が期待できる。また、被験者4人のタイピン
グテスト結果から、タイピングに関しても個人
には様々な特徴があることがわかった。このこ
とから、やはり既存のキーボード配列にとらわ
れない、個人に適したキーボード配列の提案は
有 効 で あ る 可 能 性 が 強 ま っ た 。 参 考 文 献 1 .「 キ ー ボ ー ド 配 列 QWERTY の 謎 」
NTT 出 版 安 岡 孝 一 安 岡 素 子 著
2 .Dvorak jp http://www7.plala.or.jp/dvorakjp/
3 .KAKASI http://kakasi.namazu.org/index.html.ja
4 .QWERTY 配 列
http://ja.wikipedia.org/wiki/QWERTY%E
9%85%8D%E5%88%97 5 .DVORAK 配 列
http://ja.wikipedia.org/wiki/Dvorak%E9
%85%8D%E5%88%97 6 . 平 成 22 年 度 卒 業 論 文 7 . 平 成 20 年 度 卒 業 論 文