1 食物選択の生物心理文化モデル (文化心理学:2006,06,06-2008,05,25) 1. 食物選択の生物心理文化モデル 定義:食物選択は,個体が生得的に有する行動傾向(生物要因)と,個体が環境適応の 過程で獲得する行動傾向(学習要因)と,社会・文化が伝達・伝承する規範的行動傾向 (社会文化要因)の 3 者間相互作用によって決定される。 個体が生得的に有する行動傾向(生物要因): 甘味物質の接近受容傾向:摂取 苦味物質の回避拒否傾向:摂取拒否 食物新奇性恐怖の傾向: 摂取拒否 食物新奇性嗜好の傾向: 摂取 痛み刺激からの逃避回避傾向:摂取拒否 ネガティビティバイアス:摂取拒否 個体が環境適応の過程で獲得する行動傾向(学習要因) 単純暴露による好悪の獲得: 継続的摂取 条件づけ(古典的条件づけ)による好悪の獲得: 摂取・摂取拒否 強化学習(オペラント条件づけ)による好悪の獲得:摂取・摂取拒否 社会・文化が伝達・伝承する規範的行動傾向(社会文化要因) 行動の同調(模倣)傾向 調理方法(レシピ),料理文化の成立 調理方法(レシピ)の伝達・伝承 道徳感情の成立 社会・文化・宗教による食物タブーの成立 2. 食物選択の生物心理文化モデルによる嗜好(嫌悪)獲得の説明 2-1. 砂糖 生物要因:甘味物質の接近受容傾向 個体要因:甘味物質の発見・摂取 社会文化要因:甘味物質を取り入れたレシピの成立とその伝達・伝承 甘味物質の生産・産業化 甘味物質の利用可能性の高まり 個体:摂取機会の増加,容易な嗜好獲得 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 道徳感情の成立 食物タブーの成立(タブーの対象とはならないが,伝承レシピ以外の 使用法はタブー化されやすい) 2-2. 風味づけ法則 生物要因:(汎食性動物のジレンマ) 食物新奇性恐怖の傾向と食物新奇性嗜好の傾向の対立 親近性接近と変動性接近との対立 個体要因:風味づけの発見 社会文化要因:風味づけを取り入れたレシピの成立 2 風味づけを取り入れたレシピの伝達・伝承と変化 個体:摂取機会の増加 単純暴露による嗜好獲得 条件づけ・強化学習による嗜好獲得 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 道徳感情の成立 食物タブーの成立(他文化の風味づけ法はタブー化されやすい) 2-3. 苦味種マニオック 生物要因:毒性成分(シアン化合物:青酸カリ) 個体要因:毒性の発見 解毒法の発見(苦味除去法の発見) 社会文化要因:解毒法を取り入れたレシピの成立 解毒法を取り入れたレシピの伝達・伝承と変化 個体:レシピに従った解毒法の習慣的使用(多くは解毒の意味を知らない) 摂取機会の増加 単純暴露による嗜好獲得 条件づけ・強化学習による嗜好獲得 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 道徳感情の成立 食物タブーの成立(レシピに従った解毒法をとらない調理法はタブー 化されやすい) 2-4. コーン(トーチラス) 生物要因:栄養欠陥(ナイアシン,アミノ酸,カルシウムの不足) 個体要因:石灰調理による栄養分補給方法の発見(柔らかくする方法の発見) トーチラスを作る方法の発見 社会文化要因:石灰調理を取り入れたレシピの成立 石灰調理を取り入れたレシピの伝達・伝承と変化 個体:レシピに従ったトーチラス作りの習慣化(多くは石灰調理の理由を栄 養補給でなく,コーン柔らかくする為であると考えている) 摂取機会の増加 単純暴露による嗜好獲得 条件づけ・強化学習による嗜好獲得 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 道徳感情の成立 食物タブーの成立(レシピに従った調理法:石灰調理をとらない調理 法はタブー化されやすい) 2-5. トウガラシ 3 生物要因:痛み刺激からの逃避回避傾向を誘発 栄養,薬理効果の可能性あり 情動調整効果の可能性あり 個体要因:薬剤として使用か?(不明) なんらかの環境条件(事情)による摂取か?(不明) 黒こしょうの代用か?(不明) 社会文化要因:トウガラシを取り入れたレシピの成立 トウガラシを取り入れた風味づけ法の成立 個体:トウガラシを取り入れたレシピ・風味づけ法への暴露 摂取機会の増加 単純暴露による嗜好獲得 条件づけ・強化学習による嗜好獲得 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 道徳感情の成立(大人の食物?) 食物タブーの成立(トウガラシを取り入れたレシピ・風味づけ法に従 わない料理の忌避) 2-6. ミルク 生物要因:成人後のラクターゼ分泌を促す遺伝子の変異 個体要因:ミルクの摂取 タンパク質の不足する環境か(不明) 社会文化要因:ミルクを取り入れたレシピの成立 個体:成人の食物としてのミルクの発見(ラクターゼ分泌者) 食物として不適なものとしてのミルクの発見(ラクターゼ非分泌者) ラクターゼ分泌者の生存可能性の高まり ラクターゼ非分泌者の淘汰 社会文化要因:ミルクを用いたレシピの成立 行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大(ラクターゼ分泌者) 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 食物タブー(ラクターゼ非分泌者による摂取拒否) 2-7. 加工ミルク(ヨーグルト・チーズ) 生物要因:ミルクの消化・吸収困難(ラクターゼ非分泌者) 個体要因:加工ミルクの消化・吸収可能性の発見 加工ミルクの栄養価値の発見 社会文化要因:ミルクの入手が比較的容易な環境 加工ミルクを取り入れたレシピの成立 個体:加工ミルクを取り入れたレシピへの暴露 摂取機会の増加 4 単純暴露による嗜好獲得 条件づけ・強化学習による嗜好獲得 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 社会文化要因:行動の同調(模倣)傾向による摂取行動の促進 個体:嗜好獲得の促進・摂取量の増大 道徳感情の成立 食物タブーの成立(加工ミルクを取り入れたレシピ・風味づけ法に従 わない料理の忌避) 3. 食のタブーと“奇食” 食のタブー:個体が帰属する食文化(伝承されたレシピ集で構成され,また一定の枠 内でしかその変動を許さない文化規範)が許容しない物質を摂取するか,許容しない組 み合わせで食物を摂取すること。 奇食:食のタブーを逸脱すること。 奇食の背後に想定される要因および例: 生物要因:毒性(例:未調理の白インゲン,生野菜,生卵,排便 etc.) 痛み刺激の逃避・回避(昆虫の触角,ウニのとげ etc.) 汎 食 性 動 物 の ジ レ ン マ : 食 物 新 奇 性 恐 怖 vs. 食 物 新 奇 性 嗜 好 親近性接近と変動性接近との対立 社会文化要因:文化規範全般の弱体化・文化規範の崩壊 凝集化・一極化を志向する文化 vs. 変動を許容する文化 (雑種文化,取り込み文化としての日本?) 地球主義(globalism) vs. 地域主義(localism) 個体要因:新たな食材,新たな組み合わせの発見(お好み焼き+マヨネーズ) 帰属文化への反発・受け入れ拒否 帰属集団(家庭)への反発・受け入れ拒否 養育者(依存対象)へのコミュニケーション手段(取引手段) 他文化受容の試み・積極的受容(ピザ+オレガノ,エスニック食) 4. 偏食と食の問題行動 食の問題行動:食障害(食の疾病)までにはいたらないが,本人の健康維持さらに良 好な家族関係・人間関係の維持を阻害する日常的な食行動をさす。代表的なものとして, 抑制的摂食,外発的摂食,情動的摂食があり,また偏食,異食(pica),偏執的摂食(food craving),大食なども含まれる.さらに,食べることに対する集中力の欠如,無関心や, 本来は摂取によって得られる快感を感じない,といったことがらも含まれる。 偏食:帰属文化が有する食物レパートリーの多くを摂取しなかったり,その一部のみ を選択的・集中的に摂取するといった行動特徴をさす。摂取エネルギーの調節が機能せ ずに,やせか肥満を導くことが多い。また栄養障害に陥りやすく,心身に好ましからぬ 結果をもたらすこともある。 偏食の背後に想定される要因および例: 生物要因:苦味,痛み刺激への過敏性 5 強度な食物新奇性恐怖 強度な親近性接近 社会文化要因:帰属文化への反発・受け入れ拒否 帰属集団(家庭)への反発・受け入れ拒否 個体要因:条件づけ・強化学習による嫌悪の獲得:摂取拒否 帰属文化への反発・受け入れ拒否 帰属集団(家庭)への反発・受け入れ拒否 養育者(依存対象)へのコミュニケーション手段(取引手段) 5. これからの日本人の食のありかた 5-1. 食環境の激変 戦後日本の食環境はおおきく変化してきた。特に 1970 年代以降は激変しつつある。 飲料食品産業の巨大化 アグリビジネスのグローバル化 グローバル産業としてのファストフード コンビニエンスストアの全国チェーン展開 飽食とそれに伴う諸問題(ダイエット産業,食の”暴力”化,食の”遊戯”化) 食育基本法の制定 スローフード運動と消費者の健康,安全志向 5-2. 変わらぬものと変わりつつあるもの 変わらぬもの: 生物要因:すべて(ただし,顎骨の退化?アレルギー?免疫耐性?) 個体要因:単純暴露による好悪の獲得:継続的摂取 条件づけ(古典的条件づけ)による好悪の獲得 強化学習(オペラント条件づけ)による好悪の獲得 変わりつつあるもの: 社会文化要因:食物の利用可能性(量・質)の変化の早さ 風味づけ法則の不安定化 文化規範全般の弱体化・文化規範の崩壊 個体:食経験の不安定さ(レシピの変動,利用可能性の変動,不安定さ) 食不安の増大(安全性への危惧,摂取過多への怖れ,健康障害) ヒューリスティクス思考法(情報過多) 自尊感情の低下 5-3. 以上 解決への道しるべ 失ったものの確認(生と死,感謝:相互協調文化) 生物的存在としての自己に対する自信・信頼 情報社会に生きる術の獲得 日々の満足できる食の確保(経験) 6 やせるものを食べる カスピ海ヨーグルト にがり水ダイエット 炭水化物がやめられぬ お酢大辞典 ドライフルーツ トウガン・ダイエット 水煮トマト キムチ納豆ダイエット 発芽玄米ダイエット 黒酢シャーベット 黒酢の粉ダイエット 五穀ミルクダイエット 五穀ミルク 2 ワカメンダイエット わかめヌードル 海藻汁ダイエット キトサンダイエット 小豆ミルク ゴールデンキャンドル 豆ココアダイエット 馬の油ダイエット 黒ゴマおから ダイコンおろし酢 シソ油ダイエット サツマイモ断食 やせるレシピ
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