「10大ニュース」を公表しました

プレスリリース
平成25年12月26日
独 立 行 政 法 人 家 畜 改 良 セン タ ー
平成25年独立行政法人家畜改良センターの
「10大ニュース」を公表しました
独立行政法人家畜改良センター(福島県西白河郡西郷村
理事長
佐藤
英明)
は、平成25年の業務に関する出来事を「平成25年独立行政法人家畜改良セン
ター10大ニュース」として、別添のとおりホームページに掲載しましたので、
お知らせいたします(http://www.nlbc.go.jp)。
(参考)
独立行政法人家畜改良センターは、わが国の畜産の発展と豊かな食生活に貢献
することを使命とし、①家畜及び飼料作物の改良増殖、②牛個体識別事業(牛ト
レ ー サ ビ リ テ ィ)、 ③ 畜 産 新 技 術 の 開 発 ・ 実用 化 、 ④ 畜 産 技 術 の 講 習 ・ 指導 等 を
行う行政施策の実施機関です。
【お問い合わせ先】
「日本の食卓
改良と技術で守ります」
~小さなタネから大きなウシまで~
〒961-8511
福島県西白河郡西郷村大字小田倉字小田倉原1番地
独立行政法人家畜改良センター
企画調整課
みす み
担当:三角
TEL:0248-25-6162
FAX:0248-25-3982
平成25年 独立行政法人家畜改良センター10大ニュース
独立行政法人家畜改良センター(以下「センター」)では、今年も役職員一同、第
3期中期計画の達成に向け業務に取り組んで参りました。これらの業務展開の状況
について、10大ニュースとしてお知らせします。
1 乳用牛(ホルスタイン種)のゲノミック評価を開始
DNA情報を用いた遺伝的能力評価(ゲノミック評価)を開始しました。
従来の遺伝的能力評価では、観測値及び血縁情報を用いるため、若雄牛(娘牛のい
ない牛)や若雌牛(自身の記録がない)は対象外でしたが、DNA情報を用いることでこ
れら若雄牛や若雌牛のゲノミック評価を行うことが可能になりました。
このことにより、乳用牛改良がさらに加速されることが見込まれます。
2 遺伝的多様性に貢献するNew Sireの供用開始!
センターから供給した黒毛和種の種雄牛4頭(「菊知恵」、「美津隼」、「平金晴」及び
「豊勝栄」)について、後代検定の結果選抜され、精液が供給されはじめました。
これらの種雄牛の父牛は、兵庫県、岡山県及び鳥取県を起源とする系統であることか
ら、産肉能力の改良はもちろんのこと、我が国の黒毛和種における遺伝的多様性の確
保に貢献することが期待されます。
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3 ホルスタイン種の受胎率を3.5%高める遺伝子群を同定
(公社)畜産技術協会附属動物遺伝研究所、(社)日本ホルスタイン登録協会北海道
支局、全農ET研究所と共同で、ホルスタイン種の受胎率を高める遺伝子を同定し、そ
の成果を米国科学アカデミー紀要に発表しました。乳牛の受胎率は現在50 %を下回っ
ており、国内の酪農産業では大きな問題となっています。研究グループは、牛ゲノム
の受胎率関連解析により下記の4つの遺伝子に高受胎率型と低受胎率型があることを発
見しました。
CTTNBP2NL (第3番染色体): Gap結合の透過性を介して着床に影響
PKP2 (第5番染色体): Gap結合の透過性を介して着床に影響
CACNB2 (第13番染色体): FSH(卵胞刺激ホルモン)分泌に影響
SETD6 (第18番染色体): GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の発現に影響
これら4つの遺伝子について高受胎率型を持つ乳牛は、低受胎率型を持つ乳牛と比べ、
受胎率が3.5 %向上し、空胎期間が8.5日短くなることが分かりました。本遺伝子群に
よるウシの受胎性の判定方法は特許申請中(特願2013-111480)です。
4 代謝プロファイルテストで黒毛和種の受胎率向上
センター職員らが日本産業動物臨床医学雑誌に投稿した論文「黒毛和種受胚牛への
高蛋白飼料給与が栄養状態と受胎率に及ぼす影響」が11月に日本家畜臨床学会長賞を
受賞しました。黒毛和種の繁殖管理において、代謝プロファイルテスト(MPT)を応用
して飼料設計することで胚移植(ET)受胎率が改善することを示した内容で、今後の
繁殖技術に活かされる可能性が高いことが評価されました。
センター(鳥取牧場)では約10年前からET受胎率の高位安定を目的として飼養管理
改善に取り組んでいます。その際にMPTを活用することにより受胎率が低下した牛群の
栄養的特徴を客観的に捉えるとともに、血液検査結果のデータを基に飼料設計を改善
することでET受胎率の向上が可能となることがわかりました。現在も継続してMPTを実
施し、ET受胎率の高位安定による高能力種雄牛の生産をめざしています。
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5 牛トレーサビリティ制度の活用で牛の月齢確認が簡便に
厚生労働省では食品安全委員会によるリスク評価結果を受け、本年4月以降、牛の
特定部位(SRM)の取り扱い及びBSE検査の対象月齢等を見直しました。これを受けてセ
ンターでは、牛トレーサビリティ制度を活用して個体識別番号等から牛の月齢を簡便に
確認できる「牛の月齢確認システム」を開発し、ホームページ上(http://www.id.nlbc.
go.jp/tkSearch.php4)で提供しました。
本システムの活用により、と畜場でのBSE検査や特定危険部位(SRM)の除去等のリ
スク管理措置が引き続き適正に実施され、国産牛肉の信頼性がさらに高まることが期待
されます。
6 豚凍結受精卵の受胎率向上による改良群作出を実用化!
豚の育種改良を行う上で、育種素材の導入は不可欠ですが、それは同時に伝染性疾
病の侵入という大きなリスクを伴うものです。
こうした中、センターでは、本年、高能力種豚群を作出する過程において、疾病侵入
リスクが小さいなど、より効率的な手法である凍結受精卵移植技術を活用して種豚導
入を行いました。
これまで、凍結受精卵移植を行った雌豚5頭のうち3頭が分娩し、20頭の子豚を育成
することができており、今後の新たな種豚導入方法として期待されます。
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7 銘柄鶏の開発普及に向けて新たなネットワークがスタート
センターが保有する系統は、従来、卵用鶏やその素材として使用されてきましたが、
最近、卵肉兼用種である「岡崎おうはん」とともに、その作出に利用される組合せ系
統を地鶏・銘柄肉用鶏の雌系として利用する等、センターで保有するさまざまな品種、
系統を利用した新たな銘柄鶏作出の動きが出てきました。
これらの新たな需要に応えるため、25年10月にセンター岡崎牧場が主体となり、「岡
崎牧場系統の利用促進ネットワーク」を立ち上げ、その活動を通じて、広く保有系統
の利用、普及を推進することとしました。
ネットワークには既に45の会員登録をいただく等、都道府県、民間の多くの関係者か
ら強い関心が寄せられております。
今後、これらの取り組みを通じて、センター由来系統の地鶏・銘柄鶏に占める割合が、
一層、拡大していくことが期待されます。
8 センター岩手牧場が「農場HACCP」の認証を取得
農林水産省が定めた「畜産農場における飼養衛生管理向上の取組認証基準(農場HA
CCP認証基準)」に適合する農場として、6月にセンターの岩手牧場が認証を取得しまし
た。23年度に認証制度が始まり、乳用牛の牧場として全国3箇所目になります。
岩手牧場では、乳用牛の能力検定の実施に伴い、年間約3000トンの生乳を出荷してお
り、生産物の安全性確保は大きな課題です。平成19年度から認証基準に沿ったシステム
の構築を開始し、HACCPチームの編成、作業工程の確認、危害要因の分析、内部検証等
を行ってきました。「農場HACCP」は、畜産物の安全性確保だけでなく、農場管理の効率
化やリスク回避を進める運営手法の1つであり、認証取得はゴールではなく、1つの通
過点と考えています。今後とも「農場HACCP」に基づく継続的改善を進め、生乳の安全
性確保、育種事業の成果向上を目指します。
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9 待望の外国産種雄馬の初産駒供給開始
平成23年11月に(公社)日本馬事協会がフランスから導入した種雄馬について、
平成16年以来7年ぶりに十勝牧場に2頭(ブルトン種の「ウルマ ドュ ス-ケン」号及
びペルシュロン種の「ユネスコ ド テュ-レ」号)配置され、24年春から交配に用
いてきました。
本年、これら種雄馬の初産駒(それぞれ10頭(内♂4、♀6)及び11頭(♂8、
♀3))を生産しました。
これら産駒のうち、今後の馬改良の後継馬としてウルマの産駒6頭(♂3、♀3)
及びユネスコの産駒5頭(♂2、♀3)を飼養するとともに、ウルマの産駒(♀2頭)
の供給を行いました。
生産者から待ち望まれていた新規種雄馬の初産駒として、今後も利用が期待されま
す。
10 佐藤英明理事長が日本学士院賞を受賞
本年4月より就任した佐藤
英明 理事長が、「ほ乳動物における卵子形成の制御機構
に関する研究」という研究題目で、学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に
対して贈られる日本学士院賞を授賞しました。授賞式は6月17日に天皇皇后両陛下ご
臨席のもと挙行されました。
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