永遠のおもちゃ−鉄道と自動車

永遠のおもちゃ−鉄道と自動車
■機関車を作った人々
1825年9月27日、イギリスで世界初の鉄道の営業運行が始まりました。当日は、機関車を
開発したジョージ・スティーブンスン自らが機関車「ロコモーション号」を運転し、ストッ
クトンからダーリントンまでのおよそ40kmを走りました。平均時速は18kmだったと記録
されています。さらに4年後の1829年、リバプールとマンチェスター間に鉄道が建設され、
スティーブンソンと息子のロバートが製作したロケット号が時速約40kmで走りました。
蒸気機関車が、それまでの馬などによる移動手段に終止符を打った瞬間でした。
スチーブンソン親子は「鉄道の父」として、また産業革命時代の英雄として歴史に燦然
と名を残しています。
しかし、その陰には数多くの苦労と努力が隠されていました。
とくに、父ジョージは、貧しい家庭に生まれ、物心ついたときから働いていました。彼が
生まれて初めて学校に行ったのは18歳の時でした。それまで彼は字を読むことすらでき
なかったのです。
しかし、彼には困難に立ち向かう勇気と実行力がありました。勉強できなかった分は、
彼の息子ロバートが学校で学んだことを、家でロバートから教わりました。 ロバートも
また、よく父を助け、支えました。鉄道の飛躍的な進歩は、この二人の深い絆と努力があっ
たからこそ成し遂げられた大偉業でした。
■きかんしゃトーマスの誕生
鉄道で思い起こすのは何と言っても世界中の男の子の人気者「きかんしゃトーマス」
です。
トーマスもまたイギリスで誕生しました。
トーマスの生みの親ウィルバート・オードリーは、すぐ近くを線路が走る家に育ちまし
た。小さいころから蒸気機関車を目にしてきた彼は、機関車一台一台に名前をつけ、人間
と同じように機関車同士が話をする場面を想像し、物語を作っていました。
そんな彼が大人になり、自分の息子が病気にかかったときに、自分が作ったしゃべる機
関車の物語を語って聞かせたのです。
これが息子の大のお気に入りとなり、またたく間に彼の友だちにも広がっていきまし
た。そして、1945年、とうとうこの物語は「The Railway Series」という絵本として出版さ
れたのです。
■自動車のはじめ
最後に、自動車の歴史を少々。
1769年、フランスのニコラス・キュニョーが、大砲を運ぶためにつくった三輪の蒸気自
動車が、世界で最初の自動車といわれています。この自動車、15分おきに水を足してや
らねばならず、時速3.2kmという速度しか出せなかったにもかかわらず、試運転中に塀に
激突してしまい交通事故の第1号にもなっています。
その後、1885年、ドイツのゴットリープ・ダイムラーは、ガソリンエンジンを自転車にと
りつけ、世界で最初の自動二輪車を誕生させました。時を同じくしてカール・ベンツが三
輪のガソリンエンジン搭載の自動車を誕生させました。
この二人の作った車が、今の自動車の原型なのです。
その後、ダイムラーとベンツは良きライバルとして、お互いに自動車会社を設立し、技
術を競い合いました。そして、1926年二人の会社が合併。かの有名なドイツの車メルセデ
ス・ベンツを作るクライスラー・ダイムラー社(旧姓ダイムラー・ベンツ社)が誕生しまし
た。