Embargoed Advance Information from Science

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The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science
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Science 2010 年 10 月 1 日号ハイライト
ニューギニア高地で発見された初期人類の痕跡
化石からわかった古代ペンギンの羽の謎
最小の抗癌剤製造工場
3 番目の蚊のゲノム塩基配列が解明された
ニューギニア高地で発見された初期人類の痕跡
Record of Early Humans in the New Guinea Highlands
ニューギニア高地には約 5 万年前、木を伐採して土地を開拓し、有用植物を栽培してい
た初期人類がいたことが考古学的証拠によって明らかになった。これらの発見は、かつ
てオーストラリアやパプアニューギニアもその一部として形成する陸塊であったサフル
大陸に人類が到達していたことを示す最古の記録である。周囲を海で囲まれたサフル大
陸は、現生人類の移住が最も遅かった主要地域の一つである。Glenn Reginald らはニュー
ギニア高地にある遺跡発掘現場の模様を詳しく説明している。そこからは炭化したタコ
ノキの実の殻や有用な葉やパイナップルに似た果物が出土した。ヤムイモの澱粉も発見
され、これは標高の低い暖かな自然の生育地から採取したものと推測される。さらに、
植物の伐採に使用されたと考えられる石斧のような道具も出土しており、これは、ここ
に住んでいた初期人類が森林の一部を切り開いて日光が当たるようにし、食用などの有
用植物を栽培していたことを示している。関連する Perspective 記事では、Chris Gosden
が、この地域に居住していた狩猟採集民は現在のパプアニューギニアである奥地の山岳
地帯を頻繁に登り降りする小柄な移住民で、小規模な開拓や植物の移植を行っていたと
述べている。これがきっかけとなり、その数千年後、サフル大陸の別の地域への移住が
始まったと考えられる。
Article #11: "Human Adaptation and Plant Use in Highland New Guinea 49,000 to 44,000 Years
Ago," by G. R. Sum merhayes; A. F ord at U niversity of Otag o in Dunedin, New Zealand ; M.
Leavesley at University of Papua New Guinea in National Capital District, Papua New Guinea; A.
Fairbairn at University of Queensl and in Bris bane, QLD, Australia; H. M andui at Na tional
Museum and Art Gallery of Papua New Guinea in National Capital District, Papua New Guinea; J.
Field at Uni versity of Sydney in Sy dney, NSW, Australia ; R . Fu llagar a t Scar p Archaeology i n
South Sydney Hub, NSW, Australia.
Article #3: " When Hu mans Arriv ed in th e New Guinea Hig hlands," b y C. Go sden at Ox ford
University in Oxford, UK.
化石からわかった古代ペンギンの羽の謎
Penguin Fossil Paints Portrait of Ancient Feathers
3600 万年前のペンギンの羽の化石から、そのペンギンの現在の体つきの特徴を解き明か
す手掛かりが、新しい研究によって明らかになった。2008 年、現生鳥類の羽に見られる
メラノソームという色素顆粒が、化石の鳥の羽からも初めて検出された。この色素顆粒
は極めて小さく、ヒトの毛髪の直径の 100 分の 1 ほどしかない。今回 Julia C larke らは、
化石化したメラノソームを調べることで、ペンギンの進化的発達が解明できることを示
した。ペンギンは冷水環境に非常に適応している。翼と羽が変化したことによって、高
速で遊泳(水中「飛行」)したり、氷点近い温度の水から身を守ったりが可能になった
のだ。だが、ペンギンの羽が進化した過程を示すデータはこれまでほとんどなかった。
今回分析されたペンギンの化石は、ペルーで発見された 3600 万年前のもので、保存状態
の良い羽が残っていた。研究チームによると、古代ペンギンの翼と羽の外見は現代のペ
ンギンのものと変わりないが、羽にあるメラノソームには違いが見つかったという。特
に、古代ペンギンには多くの水鳥にみられる色素細胞に類似したメラノソームが存在し
たが、現代のペンギンには存在しない。この結果は、古代ペンギンの羽の形状の進化が、
強度や耐水性といった特性に作用する顕微鏡的変化より前に起きたことを示唆しており、
ペンギンが水中生活にいつどのように適応したかの解明につながるかもしれない。
Article #17: "Fossil Evidence for Evolution of the Shape and Color of Penguin Feathers," by J.A.
Clarke at Uni versity of Te xas at Aust in in Au stin, T X; D .T. K sepka at N orth Carolina St ate
University in Ral eigh, NC ; D.T. Kse pka at North C arolina Museum of Natura l Scie nces i n
Raleigh, NC; R. Salas-Gismondi; A.J. Altamirano at Museo de Historia Natural-UNMSM in Lima,
Perú; M.D. S hawkey; L. D’Alba at Un iversity of Akron in A kron, O H; J. Vinther a t Y ale
University in New Haven, CT; T.J. DeVries at University of Washington in Seattle, WA; P. Baby
at IRD in Toulouse, France; P. Baby at Université de Toulouse in Toulouse, France.
最小の抗癌剤製造工場
The Tiniest Cancer Drug Factory
抗癌剤タキソールは、もとは希少なイチイの樹皮から採取されていた。現在、この薬剤
の鍵となる中間体、タキサジエンが、大腸菌の発酵過程から豊富に産生されることが新
たな研究により報告された。このような工学の功績により、最終的には安価で効率的な
タキソール製造法が導き出されるかもしれない。90 年代初頭、この命を救う薬がイチイ
の樹皮 1000 トンから抽出される量は、わずか 286 ポンドに過ぎず、この量に達するには
イチイの成木 50 万本以上を伐採する必要があった。近年タキソールは、豊富に生息する
西洋イチイや植物培養細胞の関連分子に化学変換を生じさせるという破壊性の低い方法
によって主に製造されている。しかし、このような植物を中心とした工程は不安定であ
り時間を要することから、タキソールは依然として高価であった。生化学者やエンジニ
アにとってタキソールの生合成の理解と操作が常に課題であった。Parayil Ku maran
Ajikumar らは、大腸菌におけるタキソールの生合成経路のうち初期の 2 段階を操作して
待望の化学物質、タキサジエンを製造した。この方法は、いくつかの細菌酵素と植物酵
素の活性の均衡を通して大腸菌の発酵過程を利用するものである。関連する Perspective
記事では、タキソールの工学過程に関与する多数の因子や、他の植物に由来する多くの
重要な化学物質の発酵過程開発の可能性について考察する。
Article #9: "Isoprenoid Pathway Optimization for Taxol Precursor Overproduction in Escherichia
coli," by P.K . A jikumar; W.-H. X iao; K.E.J. Ty o; F. Sim eon; E. Leo nard; O. Muc ha; G.
Stephanopoulos at Massachusetts Institute of Technology in Cambridge, MA; P.K. Ajikumar; T.H.
Phon; G . Ste phanopoulos at Si ngapore-MIT A lliance in Sin gapore, Sin gapore; Y. Wan g; B.
Pfeifer at Tufts University in Medford, MA.
3 番目の蚊のゲノム塩基配列が解明された
Third Mosquito Genome Sequenced
ヒトの疾患を媒介する主な蚊 3 種のうち最後の 1 種のゲノム塩基配列が解明された。ネ
ッタイシマカ(Aedes aegypti)とガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)のゲノムは既
に解明されており、新顔はネッタイイエカ (Culex quinquefasciatus)である。この蚊は、リ
ンパ系フィラリア症の原因となる線虫だけでなく、西ナイルウイルスやセントルイス脳
炎ウイルスなどの重要なキャリアでもある。Culex はこれら3種の中では最も多様性に富
み最も広く分布している蚊属であり、そのゲノム塩基配列から他の 2 種との興味深い差
が存在することが明らかになった。これら 3 種全てのゲノムを比較することにより、蚊
が媒介する疾患を制御するリード化合物(新薬候補)が発見できるかもしれない。あるい
は逆に、制御を困難にしている種間の差を特定できるかもしれない。
2 報のうちの初めの論文では、Peter Arensburger らによって、C. quinquefasciatus のタンパ
ク質コード遺伝子 18,883 個という遺伝子レパートリーは A. aeg ypti より 22%、Anopheles
gambiae より 52%大きいと記載されている。唾液腺や免疫系の機能に関連する遺伝子に
加え、嗅覚受容体や味覚受容体などを含む数種の遺伝子ファミリーが増幅されているの
だ。これら増幅は、C. quinquefasciatus が鳥、ヒト、家畜の血を食餌にすることができる
事実を反映していると考えられる。もうひとつの論文の中で Lyric Bartholom ay らは、
Culex の感染応答遺伝子についてさらに詳しく研究している。この研究チームは、免疫応
答に関連する遺伝子 500 個を発見したが、これは Aedes とは同数で、Anopheles やショウ
ジョウバエ(Drosophila m elanogaster)よりは小さかった。遺伝子増幅のいくつかは、
Culex が多く見られる汚染された都会環境など多様な生息地への適応状況と呼応している。
Article #13: " Sequencing of Cule x q uinquefasciatus Establ ishes a Platform for Mosq uito
Comparative Genomics," by P. Arensbur ger at U niversity of Califo rnia, R iverside in Ri verside,
CA. Please refer to the article for a full list of authors and institutions.
Article # 14: " Pathogenomics of Cul ex quinquefasciatus a nd Meta-Analysis of Infec tion
Responses t o Diverse Path ogens," by L.C . Barth olomay at Iowa State University in Am es, IA.
Please refer to the article for a full list of authors and institutions.