外国人枠の制限撤廃(ベトナム:VNM)

藍澤證券株式会社
2016/7/25
審査番号:160725-A1
経済・株式
ベトナム
ベトナム、ビナミルクの外国人枠
投資リサーチセンター
明松 真一郎
/ ベトナム当局の株式市場における規制緩和の流れ
背景:以前から、ベトナム株は外国人に対する投資制限(原則銀行は30%、銀行以外は49%)があったため、
外国人にとっては大きなハードルとなっていた。
経緯;
・2015年7月:ベトナム政府が外資に対して行なってきた規制を大幅に緩和する方針を決定した。当局は各
社から申請が出てから個別企業ごとに対応していく。
・2015年8月末:第1号としてサイゴン証券(SSI)が外国人枠を100%に変更決定。
・2016年2月:ビンホアン(水産)(VHC)が外国人枠を100%に変更決定。
・2016年2月:エバーピアベトナム(繊維)(EVE)が外国人枠を100%に変更決定。
・2016年5月26日:ビナミルク(VNM)が定時株主総会で外国人枠制限の撤廃を決議。
・2016年6月28日:ビナミルクが取締役会を実施。株主総会で決議された外国人枠制限撤廃案を承認。
・2016年7月22日:ビナミルクが、国家証券委員会から外国人枠制限撤廃を認可された。7月22日より外国人
枠はこれまでの49%から100%に変更された。
/ ビナミルクの制限撤廃が持つ意味
① ビナミルク(以下 同社)はベトナムの超優良企業として外国人からの評価が高く、これまでほぼ常時外
国人保有制限が投資上限に達していたため、今回の変更により、外国人は買付が可能になる。
② 国内最大の時価総額を持ち、ブランド力も国内トップ企業である同社が規制緩和を決定したことで、現在
外国人枠が上限に達している他の優良企業に波及する可能性がある。
ベトナム市場で現在外国人比率が上限に達している優良銘柄
ティッカー
企業名
業種
7/22終値
概要
DHG
DHG製薬
製薬
90,500
国内最大の製薬会社
FPT
FPT
通信
41,300
国内外で事業を展開する最大通信会社
CII
ホーチミン市インフラ投資
建設
25,700
ホーチミンを中心に都市インフラ建設を手掛ける
MWG
モバイルワールドグループ
通信
135,000
国内で携帯電話の販売を手掛ける
REE
リー冷蔵電気工業
機械
20,500
空調機器メーカー大手で、不動産事業も行なう
TCM
タインコン縫製
縫製
21,800
繊維国内大手で、今後TPP発効による恩恵が期待できる
(出所:ブルームバーグ等、アイザワ証券作成)
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/ ビナミルクの特長等
① ベトナム最大の乳製品会社で、牛乳、練乳、ヨーグルト、粉ミルクなどを製造販売している。
② 2015年末現在、国内で13工場と2つの物流施設を持つほか、海外40か国への輸出も行なっている。
主な海外提携先や出資先は、ニュージーランドのミラカ社、米国のドリフトウッド社、ポーランドのビナミル
ク・ヨーロッパ社、カンボジアのアンコール・ミルク社など。
③ 国内での知名度、ブランド力が圧倒的なほか国外からの評価も高く、国内外の評価機関によるベトナム
企業のブランドランキングでは1位で、昨年発表されたアジアのブランドトップ1000社では、ベトナムから
10ブランドが選出されそのうち同社がベトナム最上位となった。
④ 高い利益率と成長性。国内での高い知名度、信頼性、市場占有率を武器に高い収益性を維持している。
2015年12月期は売上高、純利益ともに過去最高を更新した。
ベトナムVN指数とビナミルク(指数化)
ビナミルクの決算推移
(10億ドン)
45,000
450
40,000
売上高
400
VN指数
35,000
純利益
350
ビナミルク
30,000
300
25,000
250
20,000
200
15,000
150
10,000
100
5,000
16/7/6
16/1/6
15/7/6
15/1/6
14/7/6
2015
14/1/6
2014
13/7/6
2013
13/1/6
2012
12/1/6
2011
12/7/6
50
0
(出所:ブルームバーグ、アイザワ証券作成)
(出所:会社アニュアルレポート、アイザワ証券作成)
/ ベトナム市場で、現時点で外国人枠の空いている企業
ベトナム市場で、現時点でまだ外国人枠が上限に達していない有力企業は以下の通り(ビナミルクを除く)。ただ
し外国人保有比率については、流動的であるため、日々確認が必要。
ベトナム市場で現在の外国人比率からみて狙える銘柄(
ティッカー
企業名
業種
概要
7/22終値
MSN
マッサングループ
食品
魚醤、即席麺、インスタントコーヒーなどの国内最大手
67,000
30.1%
HSG
ホアセン・グループ
鉄鋼
鉄鋼、プラスチック建材などの製造を行なう
38,000
28.1%
KBC
キンバックシティグループ
建設
オフィスビル、商業ビル建設、インフラ投資などを手掛ける
16,900
33.6%
SSI
サイゴン証券
証券
国内最大手証券会社
22,700
58.2%
VCB
ベトコムバンク
銀行
国内最大手銀行で、時価総額も国内銀行トップ
53,000
21.3%
VIC
ビングループ
50,500
12.1%
不動産 不動産国内最大手で、高級物件中心に幅広く手掛ける
外国人保有比率
(出所:ブルームバーグ等、アイザワ証券作成)
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経済・株式
ベトナム
外国株投資の主なリスクと留意点
株価・為替の変動リスク:
株式は株価の変動等により、損失が生じるおそれがあります。外国株式は、為替の変動等
により、損失が生じるおそれがあります。
時価総額リスク:
時価総額による企業の社会的信用度、規模の把握をお勧めします。小型株は、流動性の低
さ/企業の情報開示/コーポレートガバナンス等に問題がある場合があります。また、客
観的投資情報が不足しているため、投資対象として安全なのは、情報量が豊富で、時価総
額の大きな代表企業と思われます。
政策リスク:
突発的な政情変化や政策変更など、また、各国の慣習や文化などの違いにご注意ください。
会計基準変更リスク:
国や企業により会計基準が違いますので、ご注意ください。
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