2.2 CMOS基本ゲート 論理ゲート(Logic)をMOSFETで組み立 てる方法 CMOS CMOS = Complementary MOS • p-ch MOSFETとn-ch MOSFETを集積化できる製造技術 • p-ch MOSFETとn-ch MOSFETを使用する回路方式 2 電源ラインの表記について CMOS LSIでは、電源ラインをVDD, VSSと表記する慣習がある。 VDD VDD (論理値=1) 2.5V 回路 GND 5.0V 回路 2.5V VSS アナログ回路 VSS = GND (論理値=0) ディジタル回路 電位は相対値なので、どの電位を基準(GND)と置いてもよいが、 ディジタル回路では、VDD > 0, VSS = 0 (電源のマイナス側を基準) アナログ回路では、 VDD = -VSS = 0 (電源の±中央を基準) とすることが多い 3 MOSFETのスイッチ機能 p-ch n-ch 3端子表記 4端子表記 スイッチ (G = 0) スイッチ (G = 1) 4 LSIで使用する基本論理ゲート 組み合わせ回路 1段ゲート 2段ゲート 順序回路 ラッチ フリップフロップ 5 インバータ Truth table IN 0 1 Symbol OUT 1 0 Schematic p-ch n-ch スイッチで、出力端子と VDD/GND の接続を切り替える 6 出力論理レベルの制限 電位差がないので ONにならない p-ch MOSFETはVDD出力専用 p-ch n-ch 電位差がないので ONにならない n-ch MOSFETはGND出力専用 7 CMOSロジックの一般形 VDD IN1 PUN Pull-up Network OUT IN2 Pull-down Network PDN GND Pull-up Network: VDDを出力するp-ch MOSFETスイッチ回路 Pull-down Network: GNDを出力するn-ch MOSFETスイッチ回路 8 2入力スイッチ回路 p-ch MOSFETによるPUN n-ch MOSFETによるPDN 9 2入力NAND(準備) Symbol Truth table A 0 0 1 1 B Y 0 1 1 1 0 1 1 0 ド・モルガンの定理 Y AB AB p-ch MOSFET で表す n-ch MOSFET で表す 先ず、2つの形式の論理式を求めておく 各変数の否定から成る式 各変数が否定されていない式 10 2入力NAND(完成) Y AB PUN AB PDN PUN A=0 OR B=0 ならY=1 PDN A=1 AND B=1 ならY=0 PUNとPDNを結合 11 2入力NOR(準備) Symbol Truth table A 0 0 1 1 B Y 0 1 1 0 0 0 1 0 ド・モルガンの定理 Y AB AB p-ch MOSFET で表す n-ch MOSFET で表す 12 2入力NOR(完成) AB AB PUNとPDNを結合 13 ANDとOR n-ch MOSFETでPDN AB A B n-ch MOSFETでPDN A B AB p-ch MOSFETでPUN p-ch MOSFETでPUN CMOS論理ゲートではANDとORを構成できない CMOS論理ゲート2段なら 実現可能 14 入力数を増やす方法 PUN Y ABCD A BCD PDN 入力数が多いとn-ch MOSFETが直列となっ て、GNDへ電流が流れ にくくなるため、動作速 度が遅くなる ※ 入力数は4あたりを限度とする 15 8入力NAND 8入力NAND Y A BCDE FG H (A B C D) (E F G H) A BCD E FG H ド・モルガンの定理 = (注) 8入力NANDはNAND+NOR+NOTの3段ゲート 16 8入力AND 8入力AND Y A BC DE FG H (A B C D) (E F G H) A BC D E FG H ド・モルガンの定理 = (注) 8入力ANDはNAND+NORの2段ゲート 17 ゲート段数と伝搬遅延時間 • 論理ゲートに論理値を入力してから、演算 結果が出力されるまでにかかる時間を伝 搬遅延時間(Propagation Delay)と呼ぶ • ゲート1段の伝搬遅延時間を td とすると K 段の論理回路(Logic)では、 論理回路全体の伝搬遅延時間 K td 18 ゲート段数の数え方 1. MOSFETの各入力端子から出力端子ま でに、MOSFETのゲート電極を通過する かを数える 2. 一番大きい通過回数を段数とする MOSFETのゲートに電圧を加えてからスイッチが ON/OFFするまでに一定の時間がかかるため。 遅延時間の原因と詳細な解析法は、第7章で解説 する。 19 3入力複合ゲート AND-NOR(1) Z (A B) C MOSFET 10個 (4) (2) (4) = ゲート段数=3段 NAND, NORによる表現 直接MOSFETで表現(次ページ) 20 3入力複合ゲート AND-NOR(2) Y (A B) C A BC ド・モルガンの定理 (A B) C MOSFET 6個,ゲート段数 1段 VDD A B (A B) C C 結合 (A B) C 21 3入力複合ゲート OR-NAND(1) Y (A B) C MOSFET 10個 (4) (2) (4) = ゲート段数=3段 NAND, NORによる表現 直接MOSFETで表現(次ページ) 22 3入力複合ゲート OR-NAND(2) Y (A B) C ABC ド・モルガンの定理 MOSFET 6個,ゲート段数 1段 (A B) C (A B) C 結合 (A B) C 23 小テスト予告 • 論理式の演算を行う1段のCMOS回路を描ける ようにしておくこと – 例 Z A∙B C∙D (AOI22) Z A B · C D (OAI22) Z A B C ·D (OAI31) • CMOSロジックの段数とトランジスタ数を求めら れるようにしておくこと – 例 Z A B C D E F G H Z A B C D E F G H 24
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