自然災害について子供に話す - Hand in Hand Parenting

Talking to Your Child About Natural Disasters
自然災害について子供に話す
March, 2011
by Patty Wipfler (Translated into Japanese by Hinako Arao)
パティー・
ウィフラー
最近日本で起こった地震、津波と、それによって引き起こ
された放射能の危険性は、親にとっての挑戦です。直接
自然災害について子どもに話す
被害を受けた人の生活はどうなっているんだろう、私が似た状況に陥ったらどう家族を守ろうか、など、私たち一人一
パティー・ウィフラー(荒尾 日南子訳)
人にいろいろな感情がわき起こります。毎日のよう
に人間の苦しむ姿を、写真や映像で見せつけられます。親がする
べきことは何でしょう?子供を守り育む形で、このような出来事をどうやって説明できるでしょうか?
最近起こった日本での地震、津波と、誘発された放射能の危険性は!"#$%&'()$)*+,-
このよう./
な困難な時期に、
どのようにして子供と自分自身を大切にするのか、考えてみました。
被災地の人々の生活はどうなっているんだろう、自分が同じような立場になったら家族をどう守ろうかな
どと思いをめぐらし、私たちだれもが感情をゆり動かされました。毎日人間の苦しむ姿を映像で目のあたりに
まず初めに、
大人同士が、子供のいないところで、
この事態について話し、自分たちが抱いた感情や反応に取り組
します。こんなとき親はどうすべきしょう?
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む時間をもつ必要があります。私たち大人は、今起こっていることにいろいろな感情を抱いていて、簡単に無力感で
5EFGHこのような困難な時期にどうしたら子どもと自分自身を大切にできるか、私の考えを以下に記しま
いっぱいの気持ちになってしまいます。多くの場合、一番にするべきことは、自分が何を、そして誰のことを一番大切
す。
に思っているか思い出すこ
とです。
初めに、子どものいないところで大人同士が話し合い、自分の気もちや反応を処理する時間をもつ必要が
あります。私たち大人というものは現在の様々なできごとに対して気もちを抱えていて、無力感におそわれや
私たちは子供のこ
ろ、世の中が優しく安全で公平であって欲しいと思っていました。だから今、もし時間をゆっくりと
すいものです。そのため、たいていの場合、まず第一にすべきは、自分にとって何が、そして誰がいちばん大
って、安心感がないこ
とに気づけば、自分の家族への思いや安全と正義を求める気持ちがわき起こって、泣いたり、
そして時には体が震えたり
といった人間としての当たり前な反応が引き出されるでしょう。
切なのか思い出すことです。
私たちは、聞き手と
なってくれる大人を見つけ、お互いに時間を折半して聞き合い、この大惨事によって引き起こさ
私たちは子どものころ、世界は当然やさしくて安全で正しいところだろうと思っていました。時間をゆっ
れた各々の感情を認めて、
解き放つことが必要です。心の奥底の感情に取り組むことは、私たちが本来持っている
くりかければ、家族への思いや安全と正義を求める願いから、状況にふさわしい人間らしい反応が起こり、安
力を再び使えるよう
にし
てく
れます。私たちに希望と活力があれば、世の中が正しくなるために、私たちが家庭やコミ
心感が危うくなっていることに目を向ければ、涙がでたり、震えがくることもあるでしょう。話を聞いてくれ
ュニティーの中でするべきことを実践できるからです。
る人に自分の気もちを打ち明け、気もちがあふれるままに聞いてもらう必要があります。相手と時間をわけて
互いの話を聞き合えれば、この大惨事のために私たちが抱えることになってしまった心の負担と向き合うこと
私たちが他の人を大切に思い、困難な状況にある人々と心を一つにしていることを子供に見せるのは大切なことで
す。しかしもできます。心の深いところで感じている感情を体験することで、ふたたび人間に本来備わっている力が発揮
、子供だけが私たちの感情を見せる唯一の相手ではいけません。もし、子供の前で感情がわき上がってき
できるにようになるのです。私たちは希望と活力がいつでもすぐに感じられるようにしておく必要がありま
たら、それをオープンに見せるのは良いこ
とですが、その感情について細かな説明はしないことです。「
ニュースで聞
す。そうすれば家庭やコミュニティーで、世界を正しい場所にするために自分にできる限りのことを実践でき
いたことで悲し
くなったの。」
と言えば良いし、「
悲しみを外に出すためにちょっとの間泣く必要があるのよ。」
と付け加
るようになるからです。
えても良いでし
ょう。
子どもにとって、私たちが他の人を大切に思い、困難な時に人々との連帯感を感じている姿を見ることは
とても小さ
な子供にとって、大災害の詳細すべてを知っても、役に立ちません。人間の苦しみを見せられても消化で
大切なことです。けれど、子どもだけが大人の感情を向ける唯一の存在であってはいけません。もし、子ども
きないのです。
生々しい新聞の写真やテレビの映像、またはニュースキャスターの解説にさらすことで、とても怖い思
の前で気もちがわき上がってきたら、それを正直に見せるのはいいでしょう。でも、その気もちについて細か
いをさせてしまいかねません。小さな子供には消化できないような情報からどうやって子供たちを守るか、次にポイン
な説明はしないことです。「ニュースで聞いたことで悲しくなったの。」と言えばいいですし「悲しみを外に
トを掲げます。
出すためにしばらく泣く必要があるのよ。」とつけ加えてもいいでしょう。
幼い子どもにとって、大災害の一部始終を知らされるのはいいことではありません。人間の苦しみを見せ
●子供をメディ
アから守る。
られても処理できないのです。生々しい新聞の写真やテレビの映像、またはニュースキャスターの解説にさら
テレビのレポート
や、新聞の写真、ラジオの解説などは、大人が安全と感じていない、責任を持てていない、または
されると、とてもこわい思いをしかねません。以下に、処理しきれない情報から小さい子どもを守る方法をい
他の人を信用出来ていないと
いう印象を子供に与える可能性があります。ニュースは、子供が寝た後や通勤中に聞
くつか挙げます。
くようにしまし
ょう。あなたが苦労して築いた家庭内のつながりや愛情に満ちた感覚を報道に蝕まれないように。
●この瞬間に集中する。
一緒にいることの素晴らしさに注目し、いつもの日常生活を送りましょう。
●難しくない言葉で説明する。
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何が起こっているかを、 子供たちに分かる言葉を使って説明しましょう。 例えば、 地震があって、 大きな波が沢
山の人を傷つけたので、 沢山の大人がいろんな気持ちを抱えているんだよ、 という風に。 さらに、 あなた自身に
もいろんな気持ちがあって、 他の大人にそれを聞いてもらって毎日を良く生きていこうと思っている、 と説明すると
•子どもをメディアから守りましょう。テレビの報道や、新聞の写真、ラジオの解説などを見せると、
大人が安心に思えないこと、手には負えないことが起きている、または他の人を信用できないような
できごとが起きているという印象を子どもにあたえる可能性があります。ニュースは、子どもが寝た
後や通勤の車の中でに聞 くようにしましょう。あなたが苦労して築いた家庭内のつながりや愛情が
報道によって損なわれないように。
•いまこの瞬間に集中しましょう。一緒にいることのすばらしさに注目し、いつもの日常生活を送り
ましょう。
•大災害について、おおまかに子どもに分かる言葉で説明しましょう。たとえば、地震と大きな波で
たくさんの人が傷ついたので、いろいろな気もちを抱えている大人がたくさんいるんだよ、という風
に。さらに、あなたにもいろいろな気もちがあって、他の人にそれを聞いてもらって毎日をよく生き
ていこうとしている、と説明するといいでしょう。
•安心していい、とはっきりと伝えましょう。テレビで生々しい映像を見たり大人の緊張した会話を聞
いた子どもには、子どもが安全だということ、いつもあなたが安全に守ってあげることを伝え、耳に
したニュースについては、あなたができるかぎりの対応をしているということをはっきり伝える必要
があります。
もし子どもにどうしてこのような惨事が起きたのか聞かれたら、子どもの年齢と経験に合わせた答えを考
えましょう。ときどき地球は伸びたり曲がったりする必要があり、大人はみんなが安全でいられるように力を
尽くしているけれど、まだ大人にも分からないことがたくさんあることを認めましょう。大人もこの災害から
学んでいること、大人にも悲しんだり泣いたりする時間をとる必要があること、他の人に自分の気もちを聞い
てもらう時間をもてば、問題解決できる力がわくようになることなどを説明してあげましょう。何千人もの人
が協力していること、被災地には救援の手がさしのべられていることも教えてあげましょう。
しかし結局のところ、災害は子どもの理解をこえるものです。ですから、「正しい」説明をしようとがん
ばりすぎないでください。事実をあれこれ並べたところで、突然起こる大惨事は理解のしようがありません。
むしろ、小さな子どもは、なぜまわりの大人が反応しているのか教えてもらう必要がありますし、大人はいま
は沈み込んでいるけれど、あなたの世話はちゃんとしてあげると話してもらう必要があります。危険はここま
でやってこないよ、という安心の言葉はなんどでも子どもにかけてあげる必要があります。
もし、子どもが、声の調子や言葉、目にした映像などでこわい思いをしたとしたら、そう口では言わなく
ても、なにか別の方法でこわかったことを伝えてくるでしょう。たとえば、夜中に目が覚めて泣くかもしれま
せんし、晩ごはんの最中にあなたの膝にどうしても座りたいとダダをこねたり、今日はきたい靴が見つからな
いと言ってかんしゃくを起こすかもしれません。
こんなとき、子どもは、大人に耳を傾けてもらう必要があります。子どもが感情をつよく感じている最中
は、大人にぴったりとそばに寄り添ってもらい、大丈夫だと安心させてもらう必要があります。おだやかな口
調で「晩ごはんのあとだったらお膝にきてもいいよ。約束するよ。」と言えば、子どもはあなたからの安心感
が心の底に届くまで、泣いたり、もがいたりして、恐怖心や緊張感をほぐそうとするでしょう。「靴だったら
もう片方きっと見つかるよ。でも、いまはどこにあるか分からないの。」と言ってあげていいのです。そんな
言葉をきっかけに、子どもは心配な気もちを外に吐き出します。 子どもはこのような小さいことで感情を爆発
させる必要があり、この小さな爆発は心の中にたまっていた感情のふたを開ける「缶切り」の役目を果たして
います。子どもはだいたい、安心できる夕食時や寝る時間などの家族団らんの時間、または朝の学校や保育園
に行く前などの手一杯な時間を選んで、感情を爆発させ、たまっていたいやな気もちをとり除こうとし、そう
することで自分は安全なのだとふたたび思えるようになります。
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子どもに耳を傾けるとき、このような感情の表現がしばらく続くことを覚悟してください。温かく深い愛
情を注いでもらえばもらうほど、子どもはいっそう激しく感情をあらわします。これは、ごく普通で、健康的
なことであり、あなたが安心感をあたえていることの証です。子どもの感情発露の原因になっているだろうと
思われる惨事については何も触れないでください。なぜ感情的になっているのか分析しようとしたり、なぜ泣
いているのか子どもに説明させようとすると、 子どもの感情をほぐすプロセスがぱったり止まってしまうこと
があります。むしろ、子どもを感情的にさせた小さいできごとの方に注意を向ける方がうまくいくでしょう。
そのできごとが感情爆発のきっかけとしては子どもにとってちょうど扱いやすい大きさだったのです。
小さい集団である家族でさえ、全員が力を合わせてやっていくためには、お互いの愛情、はたらき、そし
て誠実に関わりつづけることがどんなに必要か、私たち親は身にしみて知っています。
親として修練しているこの技量は、まさに人間社会を個人レベルから癒していくために必要な技量です。私
たちは耳を傾けることで互いに近づくことができます。耳を傾け、大惨事に際して起きた深い感情を表現でき
る相手を見つけることで、私たちは自分のもつ思いやりに気づき、感情をときほぐし、家庭の中でも外でも愛
情にもとづいた行動がとれるようになるのです。
Hand in Hand Parenting
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(650) 322-5323 www.handinhandparenting.org
Talking to Your Child About Natural Disasters by Patty Wipfler
The recent earthquake and tsunami in Japan, and the radiation dangers they sparked, create a challenge
for parents. Feelings have been triggered in each of us, as we picture what life is like for those directly
affected, and as we imagine protecting our families in similar circumstances. We are exposed to daily
images of human suffering. What is a parent to do? How do we explain the events to our children, in a way
that protects and nurtures them?
Here are some thoughts about caring well for our children and ourselves during difficult times:
First, we need to set aside time to talk with each other, and work through some of our feelings and
reactions, at times and places separate from our children. We adults carry feelings about the current
events, and it’s easy to fall into feeling helpless. So often, the first task is to remember what and whom we
care most about.
As children, we had an expectation that the world would be sweet, safe, and just. If we take the time, our
thoughts about our families and our longings for safety and justice will lead to the appropriate human
response—crying, and even trembling, when we focus on the breach of that sense of safety. We need to
open our feelings and let them flow with other adults as listeners, perhaps exchanging listening time with
them, to address the emotional load a tragedy places on each of us. Accessing our gut feelings will help us
recover our ability to use the power we do have. We need hope and energy at our fingertips, so we’re able
to do what we can in our families and communities to make the world right.
It is important for our children to see that we care about people, and feel one with them in hard times.
But our children shouldn’t become our only sounding board. If your feelings bubble up in their presence,
go ahead and show them openly, but without detailed explanation of your feelings. "I'm sad about
something I heard on the news" is fine, along with "and I just need to cry for a little while to let the
sadness out."
It is not helpful for very young children to know all the details of a well-publicized disaster. They can't
digest exposure to human suffering. Exposure to the graphic images in newspapers or on TV, and the
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interpretations of newspeople can be frightening. The following are ways to keep young children protected
from information they can’t process.
• Shield them from the media. TV reports, newspaper photographs, and radio commentary can
communicate that adults do not feel safe, in charge, or trustful of others. Get your news after
the children have gone to bed, or while you're commuting in your car. Don't let news erode the
sense of connection and caring that you work so hard to build in your family.
• Concentrate on the present moment, on the goodness of being together, and on moving
forward in your daily routine.
• Explain the events in general terms, and in terms that your child can understand. For
example, you could say that lots of adults feel upset, because there was an earthquake and a big
wave that hurt many people. You can explain that you have feelings, too, and that you will be
talking to other grownups to express your upsets, and then live your life well.
• Give explicit reassurance to children who are exposed to graphic images on TV or to tense,
distressed adult talk. They need to be told explicitly that they are safe, that you will keep them
safe, and that you are doing what you can to respond to the news they have heard.
If you are asked why a tragedy happened, fashion your answer to your child's age and experience.
Acknowledge that sometimes, the earth needs to stretch and bend, and we are working to keep people
safe, but we don’t have all the answers. You can explain that people will learn from what happened; that
grownups need to have time to be sad and cry about it; and that making time for people to show their
feelings gives them the energy to work out solutions. Point to the cooperation of many thousands of
people, and the help that has arrived at the scene.
In the end, though, disasters don't make sense to children. So don't try too hard to get the explanation
"right." The facts don't make a random catastrophe understandable. Young children need an explanation of
why the adults around them are reacting, and that we may be too serious right now, but that we will take
care of them. Your children need as much reassurance as you can give that harm won’t come to them.
If your child has become frightened by the tones, words, or images he has seen, he will find ways to
bring up his fears that may be indirect. For example, he may wake up crying in the night, may get upset
over not getting to sit on your lap during dinnertime, or may have a tantrum over not being able to find
the shoes he wanted to wear today.
Our children need us to listen at these times, to stay close and reassure them while they feel the feelings
in a big way. "You can sit on my lap after dinner, I promise," said with a relaxed tone, will let your child cry
and fight, releasing the feelings of fear and tension until your reassurance sinks in. "We'll find your other
shoe, but right now, I don't know where it is," will work just fine to give a child an outlet for his worries.
Children need these small upsets to serve as "can openers" for the emotions they have stored away. They
usually choose a safe family time, like dinnertime or bedtime, or a challenging time like leaving for school
or day care in the morning, to crack an upset open so they can offload the feelings and then sense that
they are safe again.
When you listen, you can expect the feelings to last a good while. The warmer and more loving you are,
the more intense the feelings will become. This is normal, healthy, and a direct acknowledgment of the
sense of safety you have provided. Don't mention the crisis that you think may be attached to all these
feelings. Children's emotional release process can be stopped cold when a parent tries to analyze the
situation, or insists that the child explain why he’s crying. It works better to focus solely on the small issue
at hand, which your child chose because it was exactly the size he could handle.
As parents, we know that it takes a great amount of person-to-person love, work, and commitment to
keep even a small group of people working cooperatively together.
The skills we develop, as parents, are the same skills needed to heal our human community, person by
person. Listening helps us draw closer to each other. Listening, and finding someone who will let us
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express the deep feelings we have when disaster strikes, lets us acknowledge the compassion we have,
release the feelings, and act on our caring, both at home and more widely.
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