AMA・JM 誌論文 消費者が制作した広告:共創広告は,説得を阻害するのか?

Japan Marketing Academy
AMA ─ Journal of Marketing ─ 論文抄訳
消費者が制作した広告:
共創広告は,
説得を阻害するのか?
Debora V. Thompson & Prashant Malaviya
Journal of Marketing Vol. 77 (May 2013), 33-47
学習院大学大学院 博士後期課程
福田 怜生
訳 ──── 要約
企業は,消費者を積極的に関与させながら広告を制作するなど,共創と呼ばれるマーケティング開発
過程を採用することが多くなっている。本研究では,広告における共創が,共創に参与していない消費
者のブランド評価や広告評価に及ぼす影響を明らかにする。この影響には,共創参与者の広告制作能力
に対する懐疑と,広告制作者への同一化の要因が介在していると考えられる。そこで本研究では,懐疑
-同一化モデルを提唱し,共創広告の説得効果を高める条件を検討するため 4 つの実験を行った。その
結果,(1) 消費者がメッセージを精査するための認知リソースを制約されている場合(2)消費者と広告
制作者の類似性を高めるバックグラウンド情報を与えられた場合(3)ブランドに対する消費者のブラン
ドロイヤルティーが高い場合に広告における共創の説得効果が高まることが明らかとなった。
キーワード
説得,情報源の類似性,広告効果,説得知識,消費者制作広告
できる。
はじめに
このようなベネフィットを,広告の共創に関
企業は,広告等のマーケティング活動におけ
課題である。しかし,広告が共創されたもので
る開発過程に消費者を積極的に関与させる共
あるという事実を,消費者に伝えることが,広
創を行うようになっている。その一例として,
告評価やブランド評価にどのように影響するか
2010 年に行われたユニリーバ社のグローバル
については,これまで研究されてこなかった。
ビデオメイキングコンペティションが挙げられ
そこで,本研究では,共創広告が,消費者の広
る。このコンペティションでは,Ben&Jerry's
告評価やブランド評価にどのような影響を及ぼ
やリプトンなどをはじめとした 13 のブランド
すかといった問題に取り組む。
が参加した(McMains 2010)
。広告の共創を行
本研究では,まず,コミュニケーションにお
うことによって,マーケターは共創に参与した
ける情報源の影響や社会的影響,説得知識に関
消費者(共創参与者)からカスタマーインサイ
する研究のレビューを行った。これらの研究で
トなどの重要なベネフィットを受け取ることが
は,共創広告がポジティブな評価となるのは,
与していない消費者に転移させることは重要な
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広告制作の専門家(広告代理店など)と比較し
よう努める傾向があるからである(Campbell
て,共創参与者のほうが,自分と類似している
and Fairey 1989)。また,情報発信者の魅力が
と消費者が考えた場合であることが示されてい
及ぼすポジティブな影響は,同一化の影響に関
る。一方,ネガティブな評価となるのは,共創
する研究結果とも一致している。同一化が生じ
参与者の能力に対して疑いを持った場合であ
ることで,情報発信者と受信者との関係が定義
る。本研究では,こうした影響がどのような条
される。しかし,受信者は,このような関係に
件で生じるかを具体的に示し,懐疑-同一化モ
必ずしも気付くわけではない。また,同一化は
デルを提唱する。
意識的な気付きなしでも活性化される(Kelman
1961)。
広告制作者の情報が及ぼす影響
一般的には,共創参与者は,広告制作の専門
社会心理学やマーケティングに関する研究
共創広告は,専門家が制作した広告と比較して
では,説得過程において広告制作者の魅力が
メッセージの説得力が高まるはずである。
ポジティブな影響を及ぼすことが示されてい
以上のことから次の仮説 1 を設定する。
る。情報発信者の魅力は,受信者との精通性,
好感度,類似性によって決定される(McGuire
仮説 1:対象の広告が共創参与者によって制作
家よりも消費者に類似している。したがって,
1985)
。一般的に,消費者と類似していたり,
されたものであるという知識は,広告
好ましかったり,知られているような情報発信
評価とブランド評価を向上させる。
者は魅力的であるため説得力が高まる(Wilson
and Sherrell 1993)
。精緻化見込モデル(Petty
広告は消費者を説得することを目的としてお
and Cacioppo 1986)やヒューリスティック―
り,そのために効率的なメッセージとなるよ
システマティックモデル(Eagly and Chaiken
う,専門家によって制作されることが一般的で
1984)などの説得理論によると,消費者が情報
あ る。Friestad and Wright(1994) ら の 研 究
を精緻化するだけの能力や動機を持たない場
によると,情報発信者の説得能力に関する消費
合,周辺的情報やヒューリスティックな手がか
者の知覚は,説得知識(説得に関する素朴理論)
りが情報処理に利用されることが示されてい
の重要な要素である。消費者は,広告に反応し
る。
たり広告を解釈したりするために説得知識を利
こうした研究では,共創参与者と消費者との
用している。特に,特殊な情報や事前に予想し
間の類似性が重要であることが強調されてい
ていない情報に,説得知識は活用される。した
る。なぜならば,人は類似した他人を好む傾向
がって広告が共創されたものであるという情報
にあり(Kiesler and Corbin 1965)
,自分に類
は,消費者をその情報に注目させ他の情報の精
似した他人の態度を自分にとってふさわしいも
緻化を阻害する要因となるであろう。
のであると考えたり(Berger 1977)
,自分に似
最近の研究では,共創広告を見た消費者は,
ていない他人よりも似た他人に受け入れられる
広告制作者の説得能力に対する懐疑的な思考
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を促すことが示されている。Ertimur and Gilly
パイロットスタディ
(2012)の研究では,消費者が広告に反応する
際には,広告制作者の説得能力についての信念
デザインと手続き
が用いられることが示されている。消費者は,
共創参与者の説得能力を専門家よりも低く見積
被験者(アメリカの私立大学の学生125名)は,
もる傾向にある。その結果,共創広告は,説得
広告制作者情報 2 群(コントロール vs 創参与
力が低くなると考えられる。以上のことから仮
者が制作)× 広告 2 種の 4 群のいずれかの群に
説 1 に対立する仮説 1alt を設定する。
割り当てられる。まず被験者は対象商品(ドリ
トス)の広告を呈示される。その後,その広告
仮説 1alt:対象の広告が共創参与者によって制
と広告されたブランドに対する評価を行うよう
作されたものであるという知識は,
求められる。広告を視聴する前に,「共創参与
広告評価とブランド評価を向上させ
者が制作」群には以下の文章が呈示される。
る。
「あなたが今から見る広告は,消費者によっ
て制作されたものです。その広告はドリトスが
共創広告をみた消費者が,同一化と懐疑のど
主催する広告制作コンテストで,優勝したコ
ちらの影響をより強く受けるかは明らかでな
マーシャルです。また,このコンテストでは,
い。今日の消費者は多くの情報を入手できるよ
商品の広告に関するアイディアを消費者から募
うになり,マーケティングメッセージに対して
集しました。」
懐疑的な思考を持つようになってきた。消費者
一方のコントロール群においては,このよう
はマーケターやマーケティングに関する考えを
な情報は与えられない。本研究では,ドリトス
ブログやソーシャルメディアなどで表現するよ
に関して二つの共創広告を利用した。
うになっている(Belkin 2011)
。つまり,消費
測定
者は広告が共創されたものであることを伝達さ
れた場合に,その内容に対して懐疑を抱くよう
になってきているのではないだろうか。そうで
広告を見た後,被験者は 5 つの広告評価尺度
あるならば,共創広告に対して今日の消費者は
(α = .96)と 3 つのブランド評価尺度(α = .92)
同一化の影響よりも懐疑の影響を示す可能性が
(各 7 段階尺度)について回答することを求め
高いと思われる。
られる。コントロール群の被験者は,広告が共
パイロットスタディでは,呈示される広告が
創参与者によって制作されたことに気付いたか
共創参与者によって制作されたものであること
どうかを尋ねられた。
を学習した消費者が同一化と懐疑のどちらの影
結果と議論
響をより強く示すかを検証する。
広告制作者情報2群×広告2種の独立変数が,
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広告評価とブランド評価それぞれに及ぼす影響
ルを 図− 1 に表す。このモデルは,広告制作者
を調べるために,分散分析(ANOVA)を行っ
が共創参与者であるという情報が広告評価とブ
た。その結果,広告制作者情報の主効果が,広
ランド評価を高めるに,懐疑を弱めたり同一化
告評価(F(1,121)= 6.44, p = .01)
,ブランド
を高めたりすることが重要であることを示して
評価(F(1,121)= 22.61, p < .001)ともにみら
いる。広告が共創参与者によって制作されたと
れた。広告制作者情報において「共創参与者が
いう情報に対して,消費者がネガティブな反応
制作」群は,コントロール群と比べて広告評価
を示すのは,広告制作者の説得能力に対し疑問
が低下した(共創参与者が制作 M = 4.52, コン
をもった結果である。広告制作者の能力に対し
トロール M = 5.23)
。またブランド評価も低下
疑問を持つためには,情報の精緻化が求められ
した(共創参与者が制作 M = 4.49, コントロー
る。したがって,広告制作者に対する懐疑は,
ル M = 5.67)
。したがって仮説 1alt が支持され
情報を精緻化するだけの認知リソースがある場
る結果となった。これは同一化ではなく懐疑の
合に生じると考えられる。パイロットスタディ
影響が生じたからだと考えられる。次に,広告
の「共創参与者が制作」群で懐疑が高まった理
が共創参与者によって制作されたという情報が
由は,多くの消費者にとって,広告の共創が稀
ポジティブな影響となる条件を検討する。
なものであると知覚したからであろう。選択的
注意に関する研究では,事前の予想と一致しな
制作者の説得能力を高く知覚する条件
い情報に遭遇した消費者は,その情報を処理す
広告制作者の影響に関する懐疑-同一化モデ
(Heckler and Childers 1992; Lynch and Scull
るためにより努力を向けることが示されている
図 —— 1 広告制作者の影響に関する懐疑-同一化モデル
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1982)
。対象の広告が専門家ではなく共創参与
は,人は自分と類似している人の意見を判断に
者によって制作されたという情報に,消費者は
取り入れる傾向にあることが示されている。例
注意を向ける。その結果,消費者は,共創参与
えば Jiang et al.(2010)では,セールスマンと
者の広告制作能力に対し懐疑的な思考を持つ。
消費者の間に偶発的な類似点がある場合(誕生
一方で,消費者が広告メッセージを精緻化す
日や出生地の一致)に,消費者の購買意図が高
るための能力やリソースを持たない場合,共創
まることが示されている。一方,広告制作者と
参与者に対する懐疑の影響は弱まるであろう。
消費者間との類似性が低く,かつ消費者が広告
精緻化見込モデル(Petty and Cacioppo 1986)
メッセージを精緻化するための認知リソースを
では,メッセージを精緻化するための能力が低
持つ場合,類似性が高い場合に比べて,広告制
くなると,周辺的情報処理が導かれることが示
作者の能力への懐疑が高まると考えられる。つ
されている。周辺的情報処理とは,努力や熟考
まり,消費者が認知リソースを十分に持ってい
をあまり必要とせず,文脈的手がかりに頼って
る場合かつ,広告制作者との類似性が高いと消
行われるものである(Kardes 2002)
。そうだと
費者が知覚した場合にのみ,広告が共創参与者
すれば,消費者の認知リソースが制約されてい
によって制作されたという情報は広告評価とブ
る場合,広告が共創参与者によって制作された
ランド評価を高めると考えられる。以上のこと
という情報は懐疑の影響よりも同一化の影響を
から次の仮説 3a と 3b を設定する。
強く示すことになると思われる。以上のことか
ら次の仮説 2a と仮説 2b を設定する。
仮説 3a:対 象の広告が共創参与者によって制
作されたという情報は,広告評価とブ
仮説 2a:消 費者の認知リソースが制約されな
ランド評価を低下させる
い場合,対象の広告が共創参与者に
仮説 3b:対 象の広告が消費者と類似した共創
よって制作されたという情報は,広告
参与者によって制作されたという情報
評価とブランド評価を低下させる。
は,広告評価とブランド評価を向上さ
仮説 2b:消 費者の認知リソースが制約された
せる
場合,対象の広告が共創参与者によっ
同一化を高める
て制作されたという情報は,広告評価
とブランド評価を向上させる。
以下では,対象ブランドに対するブランドロ
懐疑を弱める
イヤルティなどの個人差変数が類似性を高める
広告メッセージの説得力を向上させるために
かどうかに関して検討する。ブランドコミュニ
は,広告制作者との同一化を高めることが一つ
ティに関する研究では,ブランドロイヤルティ
の方略となる。実験 2 では,消費者に,広告制
の高い消費者は製造業者よりもブランドを理解
作者のデモグラフィック情報を与えることで,
しているという信念を持つことが明らかにされ
広告制作者との類似性を操作する。先行研究で
ている(Muñiz and Shau 2005)。これらの研
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究では,対象のブランドが他の消費者に称賛さ
共創参与者によって制作された広告に対してポ
れているという情報は,ブランドロイヤルティ
ジティブな評価を促すものである。このポジ
の高い消費者に対して,市場にブランドロイヤ
ティブな評価は,制作者と消費者間の類似性の
ルティを持つ消費者が他にもいるというシグナ
向上が説得力を高めるといった直接的な影響だ
ルになり,ブランドコミュニティとの結びつき
けでなく,広告制作者についての懐疑的な考え
を強化することも示唆されている。これらの知
の表出を防ぐような間接的な影響によっても形
見は,同様の刺激を与えられた被験者同士の結
成される。したがって,我々は,広告制作者と
びつきが強まる(Pinel et al. 2006)という,社
消費者との間の類似性が向上することによって
会心理学の研究結果にも合致している。
懐疑が弱められるといった間接効果を仮定す
以上の先行研究をもとに,本研究では,広告
る。このことから,仮説 5 を設定する。
ブランドに対するロイヤルティの高い消費者は
広告を制作した共創参与者に対し同一化しやす
仮説 5:消費者と広告制作者間の類似性が高ま
いと仮定する。なぜならば,広告が共創参与者
ることで,広告制作者である共創参与
によって制作されたという情報は,自分以外に
者の説得能力に対する懐疑が弱められ,
も対象のブランドを好む消費者がいるというシ
共創広告の説得力は高まる。
グナルになるからである。一方でブランドロイ
ヤルティの低い消費者は広告を制作した共創参
実験 1:消費者の認知リソースを制約すること
与者に対して自分と類似しているという感覚を
で懐疑を弱める
持たない。そのため,広告を制作した消費者の
実験 1 では,共創参与者が広告を制作したと
説得能力に対して疑問をもつと思われる。以上
いう情報が及ぼすネガティブな影響が,認知リ
のことから,次の仮説 4a と仮説 4b を設定する。
ソースの制約によって弱められることを検証す
る。この実験 1 では,認知リソースを必要とす
仮説 4a:対 象のブランドに対する消費者のブ
る情報の数を変えることで被験者の注意を操作
ランドロイヤルティが低い場合,広告
した。実験材料はパイロットスタディとは異な
が共創参与者によって制作されたとい
り,実験 1 では広告制作の専門家が制作した広
う情報は,広告評価とブランド評価を
告を利用した。
低下させる
デザイン&手続き
仮説 4b:対 象のブランドに対する消費者のブ
ランドロイヤルティが高い場合,広告
が共創参与者によって制作されたとい
実験の被験者(アメリカの私立大学生 151 名)
う情報は,広告評価とブランド評価を
は,広告制作者情報 2 群(コントロール vs 共創
向上させる。
参与者が制作)× 認知リソース 2 群(制約なし
vs 制約あり)の 4 群のいずれかに割り当てら
仮説 3 と仮説 4 に含まれる同一化の影響は,
れた。まず,被験者は対象商品(ドリトス)に
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関する広告を視聴するよう求められる。その後,
ては,有意差がみられなかったため(F < 1, p
被験者は広告とブランドに対する評価が課され
> .37)仮説 2b は部分的に支持されたといえる。
られる。広告制作者情報の「共創参与者が制作」
これらの結果から,消費者が広告メッセージ
群では,パイロットスタディの「共創参与者が
を精緻化するだけの認知リソースを持つ場合に
制作」群と同様の教示がなされる。認知リソー
のみ,懐疑が評価に影響することが明らかと
スが「制約あり」群では,8 ケタの数字を記憶
なった。また,認知リソースが制約されること
する課題(Gibson 2008)を課せられる。全て
で共創参与者が制作したという情報は広告評価
の被験者は,事前に広告を視聴したことがある
に対してポジティブな影響を与えた。しかしな
かどうかを尋ねられた。この他の手続きはパイ
がら,ブランド評価においては仮説 2b の対立
ロットスタディと同様とする。
仮説の棄却域まで到達しなかった。
次の実験 2 および実験 3 では,消費者が広告
結果
制作者に対して同一化することによって,共創
広告の効果が高められることを示す。
広告評価とブランド評価
広告評価とブランド評価それぞれに対して,
実験 2:広告制作者についてのバックグラウン
広告制作者情報 2 群 × 認知リソース 2 群 × 事前
ド情報を通して同一化を向上させる
に視聴した経験 2 群を ANOVA によって分析し
実験 2 の目的は,仮説 3 と仮説 5 を検証する
た。その結果,認知リソースと広告制作者情報
ことである。広告制作者に関するバッググラウ
との間の交互作用が,広告評価(F(1,143)=
ンド情報の有無によって,消費者が自分と広
4.80, p < .05)
,ブランド評価(F(1,143)= 6.40,
告制作者を同一化することを操作する。これに
p < .05)それぞれにおいて見られたため,仮説
よって広告制作者と消費者間の類似性が高ま
2 は支持された。仮説 2a で予測したとおり,認
り,懐疑が低下し説得力が高まると仮定する。
知リソースが「制約なし」かつ広告制作者情報
パイロットスタディと実験 1 では,精通性や購
が「共創参与者が制作」群における広告評価(M
入頻度が高い商品カテゴリーを実験材料とし
= 4.10)は,コントロール群の被験者の広告評
た。本研究の知見を一般化するため,実験 2 で
価(M = 4.88)と比べて低かった(F(1,143)
は相対的に精通性や購入頻度の低い商品カテゴ
= 7.53, p < .01)
。またブランド評価においても
リーを実験材料とする(ピックアップトラック
同様の結果が得られた(共創参与者が制作 M =
とクロスオーバー車)。
4.43, コントロール M = 5.09, F(1,143)= 6.99, p
デザイン&手続き
< .01)
。一方,認知リソースが「制約あり」で
広告制作者情報「共創参与者が制作」群の広告
評価(M = 4.92)は,コントロール群の広告評
被験者(アメリカの私立大学の学生316名)は,
価(M = 4.27)と比較して高くなった(F(1,143)
広告制作者情報 3 群(コントロール vs 共創参
=7.53, p < .01)
。しかし,ブランド評価におい
与者が制作 vs 学生が制作)× 広告 2 種(シボ
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レー・コロラド,シボレー・トラバース)の 6
が制作」群(M = 4.22)は高い類似性を示した
群のいずれかに割り当てられる。まず,被験者
(F(1,304)= 14.88, p < .001)。また,コントロー
は対象商品(シボレー・コロラドかシボレー・
ル群(M = 3.29)と比較した場合も「学生が制作」
トラバース)の広告を呈示される。
「共創参与
群は高い類似性を示した(F(1,304)= 10.83, p
者が制作」群は,パイロットスタディの「共創
< .001)。したがって,類似性の操作は成功し
参与者が制作」群と同様に,呈示される広告は
ている。
消費者によって制作されたものであるという教
示がなされる。また,
「学生が制作」群に割り
広告評価とブランド評価
当てられた被験者には,呈示される広告は学生
類似性と同様に広告評価において,3×2×2
によって制作されたという教示がなされる。ま
の分析を ANOVA で行った。その結果,広告
た,他の実験の手続きに加え,被験者は呈示さ
評価(F(2, 304)= 6.75, p < .001)とブランド
れた広告を視聴しながら思い浮かんだ考えを書
評価(F(2,304)= 18.15, p < .001)ともに主効
き留めて,最後に自由記述で回答するよう求め
果が見られたため,仮説 3 は支持された。また
られる。さらに広告を視聴した後に,広告制作
広告評価は,コントロール群と比較して,「共
者と自分がどの程度似ていると思うかを 7 段階
創参与者が制作」群は低くなった(F(l , 304)
で回答するよう求められた。この他の手続きは,
= 6.98, p < .01)。また,ブランド評価において
実験 1 と同様となる
も同様の結果が見られたため(F(l , 304)= 5.81,
p < .02),仮説 3a は支持された。一方,仮説 3b
結果
については,広告評価では「学生が制作」群は
コントロール群より高かったが,(F( l , 304)
広告制作者との類似性
= 10.45, p < .001),ブランド評価については有
類似性において,広告制作者情報 3 群 × 広告
意差が見られなかった(F( l , 304)= 1.21, p >
2 種 × 事前に広告を視聴した経験 2 群の分析を
.27)。そのため仮説 3b は部分的に支持された。
「共創参与
ANOVA で行った。表− 1 のとおり,
者が制作」群(M = 3.16)と比較して,
「学生
表 —— 1 実験 2 の結果
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自由記述
その結果,β 1,β 2,β 3(広告制作者情報→
広告制作者に対する同一化が懐疑の影響を低
知覚された類似性→広告に対する懐疑→広告評
下させているかどうか(仮説 5)を検証するた
価とブランド評価)は全て有意であった。これ
め,各群において,広告に関する被験者の考え
らの結果を 表− 2 に示す。広告制作者と被験者
について,自由記述の内容分析を行った。その
間の類似性は懐疑に対し有意にネガティブな影
結果,対象の広告に対する懐疑的な記述が,
「共
響を及ぼしていた。また,この類似性は,広告
創参与者が制作」群の被験者(43%)は,コン
とブランドの評価に対し,有意にポジティブな
トロール群(28%)と「学生が制作」群(26%)
影響を及ぼしていた。広告制作者との類似性が
と比較して多かった(x 2 = 6.97(1), p < .01)
。
上がると,広告制作者の能力に対する懐疑が弱
一方で,共感に関する記述は,同一化の操作に
められたことから,仮説 5 は支持された。
合致していた。
「学生が制作」群の共感に関す
る記述(33%)は,
コントロール群(19%)と「共
実験 3:ブランドロイヤルティを通して同一化
創参与者が制作」群(14%)よりも多かった(x
を高める
2 = 10.2(1), p < .01)
。これらの結果からも仮
実験 3 では,ブランドロイヤルティが,共創
説 5 は支持されたといえる。
参与者が制作した広告の広告評価とブランド評
価にポジティブな影響を及ぼすことを検証す
媒介分析
る。さらに,広告制作者の信頼性,広告コスト,
仮説 5 を検証するため,直交対比を利用して
共創を実施する企業や共創参与者の制作動機に
広告制作者情報をコード化した(共創参与者が
対する消費者の知覚が及ぼす影響についても検
制作 =-1,コントロール =0,学生が制作 =1)
。
討する。
また類似性を通した広告に対する懐疑の影響を
明らかにするためにシーケンシャル媒介分析
(Tylor, MacKinnon, and Tein 2008)を行った。
表 —— 2 実験2における媒介分析の結果
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者に尋ねている。
デザイン&手続き
結果
この実験の被験者(アメリカの私立大学生
123 名)は,広告制作者情報 2 群(コントロー
広告制作者に対する類似性の知覚 ル vs 共創参与者が制作)× ブランドロイヤル
広告制作者情報,ブランドロイヤルティ,及
ティ 2 群(連続変数)の 4 群のいずれかに割り
びこれらの交互作用を独立変数,広告制作者と
当てられる。実験材料はフリトレー社が主催し
の類似性の知覚を従属変数として線形回帰分析
ているコンテンストで優勝した作品を利用す
を行ったところ有意な影響は見られなかった
る。また,
「共創参与者」群は,実験 1 と同じ
(ps > .18)。これらの結果は,ブランドロイヤ
教示がなされる。また被験者は,下記の設問に
ルティを持つ消費者は,広告制作者との類似性
も回答するよう求められる。その他の手続きは
に対し意識的に推論していないことを示してい
実験 1,2 と同様となっている。
る。
測定
広告評価
従属変数を広告評価として,同様の線形回帰
広告制作者に対する懐疑と同一化の知覚
分析を行った。その結果,広告制作者情報の
被験者は,広告とブランドの評価尺度に回答
ネガティブな主効果が見られた(b = -1.51, t =
した後,広告制作者の説得能力に対する懐疑の
-2.58, p < .05)。従ってコントロール群と比較し
知覚を測定される。懐疑に関する尺度は,広告
て,「共創参与者が制作」群は低い広告評価を
制作者の説得能力に対する被験者の知覚と共創
行っている。さらに,仮説 4 で想定した,広告
参与者の制作動機に対する被験者の知覚から構
制作者情報とブランドロイヤルティの交互作用
成される。また,ここでは広告制作者に対する
は,有意な影響を及ぼしていた(b = .51, t =2
同一化の知覚も測定される。いずれも 7 段階の
.76, p < .01)。またスポットライト分析を行っ
尺度となっている。
たところ,仮説 4a で予測されたように,呈示
された広告が共創参与者によって制作されたと
その他の設問
いう情報を与えられたブランドロイヤルティが
企業が共創を行う動機も消費者が懐疑を持つ
低い群(1 標準偏差以下 M = 1.50)は,広告評
潜在的理由になり得る。そのため,企業がコン
価に対してネガティブな影響を示した(b = -.75,
ペティションなどを行う理由を被験者がどのよ
t = -2.09, p < .05)。一方,ブランドロイヤルティ
うに捉えているかについて,広告コストに対す
が高い群(1 標準偏差以上 M = 4.32)は仮説 4b
る被験者の知覚によって測定している。最後に,
で予測されたように,「共創参与者が制作」群
ブランドロイヤルティ(Aaker, Fournier. and
における広告評価に対しポジティブな影響を示
Brasel 2004)と,ドリトスの購買頻度を被験
した(b = .68, t = 1.84, p < .07)。
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Japan Marketing Academy
消費者が制作した広告:共創広告は、説得を阻害するのか?
ブランド評価
制作者の説得能力を低く評価した(b = -.1.13, t
ブランド評価においても,同様の線形回帰分
= -3.41, p < .001)。
析を行った。その結果,ブランドロイヤルティ
我々は,広告制作者の説得能力に対する知覚
のポジティブな主効果が見られた(b = .17, t =
を通した広告制作者情報の間接効果が広告評価
.1.65 , p = .10)
。さらに広告制作者情報の,ネ
とブランド評価にどのような影響を及ぼすかを
ガティブな主効果が見られた(b = -1.08, t =
検討するため,Moderated 媒介分析(Preacher
-2.52, p < .05)
。また,広告制作者情報とブラン
and Hayes 2008)を行った。その結果を,表−
ドロイヤルティの交互作用の影響(b = .37, t =
3 に示す。仮説 5 で想定したように,ブランド
2.75, p < .01)は有意であった。またスポット
ロイヤルティが高まると,共創広告において生
ライト分析では,呈示された広告が共創参与者
じる広告制作者に対する懐疑の影響が弱まるこ
によって制作されたという情報を伝えられたブ
とが示された。
ランドロイヤルティが低い群(1 標準偏差以下)
最後に,広告制作者情報やブランドロイヤル
は,ブランド評価に対してネガティブな影響を
ティが,広告制作者の説得能力以外の懐疑に
示し(b = -.53, t = -2.00, p < .05)
,ブランドロ
及ぼす影響を検討するため,回帰分析を行っ
イヤルティが高い群(1 標準偏差以上)は,ブ
た。広告制作者の説得能力以外の懐疑の要因と
ランド評価に対しポジティブな影響を示した(b
して,広告制作者の信頼性,共創参与者の制作
= .52, t = 1.91, p < .06)
。これらの結果から,仮
動機,広告コストや企業が共創を行う動機に対
説 4a,4b はともに支持された。
する消費者の知覚を用いた。その結果,広告制
作者の信頼性,広告制作者の制作動機,企業の
広告制作者に対する懐疑 共創が行う動機に対し,広告制作者情報とブラ
仮説 5 を検証するため,広告制作者情報,ブ
ンドロイヤルティは有意な影響は及ぼしていな
ランドロイヤルティ,またこれら 2 つの要因の
かった(全て ps > .12)。「共創参与者が制作」
交互作用を独立変数とし,広告制作者に対する
群では,広告コストの知覚に対して有意な影響
懐疑を従属変数として回帰分析を行った。その
が示された
(b = -1.29, t = -2.12, p < .05)
。
しかし,
結果,
「共創参与者が制作」群においてネガティ
広告制作者情報とブランドロイヤルティの交互
ブな主効果が見られた(b = -.53, t = -3.32, p <
作用は広告コストの知覚に対して有意な影響を
.01)
。従ってコントロール群と比較して「共創
及ぼしていなかった。従って,広告コストに対
参与者が制作」群は,広告制作者の説得能力に
する知覚のみで,ブランドロイヤルティと広告
対して懐疑を強く持っているといえる。またブ
制作者情報の交互作用が広告評価とブランド評
ランドロイヤルティと広告評価の交互作用の影
価に及ぼす影響を十分に説明することはできな
響は有意であった(b = .45, t = 2.62, p = .01)
。
いであろう。
続いてスポットライト分析を行った。その結果,
ブランドロイヤルティが低い被験者は,コント
ロール群よりも「共創参与者が制作」群が広告
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AMA ─ Journal of Marketing ─ 論文抄訳
表 —— 3 実験3における媒介分析の結果
二つ目に,広告制作者の説得能力に対する懐
総合討論
疑及び広告制作者に対する同一化が,広告とブ
本研究では,広告が共創参与者によって制作
懐疑の影響は,消費者が広告制作者の説得能力
されたものであるという情報が消費者の広告評
に着目した際に生じる。一方,同一化は,消費
価とブランド評価に及ぼす影響を検討した。そ
者と広告制作者との類似性に対する知覚から生
の結果,以下の 3 点が見出された。
じる。懐疑の影響を弱める要因と,同一化を高
一つ目に,共創参与者が制作した広告は,広
める要因の検討を行った結果,消費者のブラン
告制作の専門家が制作した広告以上に信頼性が
ドロイヤルティが高い場合や,消費者の認知リ
重要とはならないことが明らかになった。消費
ソースが制約されている場合,また,広告を制
者は広告メッセージの説得力を判断するため
作した共創参与者と消費者間のバックグラウン
に,広告制作者の説得能力を評価している。実
ドの情報が共通している場合に,懐疑の影響が
験の結果,実務上の直感と異なり,共創参与者
弱められ,同一化が高まった。
が制作した広告は,説得を妨げ,広告評価とブ
最後に,広告制作者の信頼性,広告コストや
ランド評価を低下させることが示された。
共創を行う企業の動機に対する消費者の知覚な
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ランドの評価に及ぼす影響が明らかとなった。
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消費者が制作した広告:共創広告は、説得を阻害するのか?
どの要因を検討した結果,懐疑や同一化に有意
参与者と共創に参与していない消費者間の同一
な影響とならないことが示された。
化を高めることが共創の成果に対する懐疑を弱
めることを示した。本研究の結果から共創広告
理論上の示唆
の効率的な説得効果を得るためのメカニズムが
明らかとなった。
本研究の結果は,企業のマーケティング活動
実務上の示唆
に消費者が参与するといった共創に関する議論
に貢献する。共創は,異なる背景を持つ消費者
と組織との間の関係を強化する。例えば,消費
マーケターが共創参与者によって制作された
者のアイディアは,対象企業と消費者との間の
広告をどのように利用すべきかといった問題に
共感を高める(Liu and Gal 2011)
。また,製
ついていくつかの示唆を提供する。
品デザインや製品特徴の開発に消費者を参与さ
共創参与者が制作した広告を関与が高い消費
せることで,製品満足度を改善することが出来
者が視聴した場合には,説得効果が妨げられる。
る(Moreau and Herd 2010)
。従来の研究では,
また,共創参与者が制作した広告は,消費者の
共創に参与する消費者と企業との関係に焦点が
広告に対する懐疑や否定的な反応を高めてしま
当てられてきたが,本研究では共創に参与して
う。これらの結果は,消費者が広告制作者の説
いない消費者の反応に着目した。共創参与者は,
得能力に対して懐疑を持った場合にもたらされ
広告制作の専門家が制作した広告を模倣するこ
る。しかし,消費者は,共創参与者や共創を行
とで,それと同等の品質を持つ広告を制作する
う企業が信頼出来るかどうかに着目して広告や
ことができる(Shau and Muñiz 2008)
。しか
ブランドの評価を行なっているわけではない。
しながら本研究の結果では,共創広告に対し,
むしろ,共創参与者が効率的な説得メッセージ
消費者は,共創参与者の説得能力に疑いを持つ
を制作することができるかどうかを判断してい
ことが示された。この結果は,共創広告は,ブ
る。
ランドの特徴に対する精緻化を促す代わりに,
実際は共創参与者によって制作された広告で
広告の特徴について精緻化を促進することを示
あっても,消費者がそのことに気づかなければ
した Ertimur and Gilly's(2012)の質的研究の
ネガティブな反応は見られない。しかし,広告
結果に一致するものである。
が共創されたものであることを消費者に伝達し
さらに,我々はブランドリレーションシップ
ないことは,マーケターが共創を行う意図と反
(Fournier 1998; Muñiz and O'Guinn 2001)の
するため,大きな問題となる。この問題を解決
知見を拡張した。これらの研究は,共創活動が
するために,マーケターは,消費者の認知リソー
ブランドと消費者間の関係構築に及ぼす影響に
スが制約されている場合は,消費者は共創広告
焦点化している。一方で,本研究は,共創参与
にポジティブな反応を示し,広告に注意が集中
者に対して共創に参与していない消費者がどの
している場合には,ネガティブな反応を示すと
ような反応を示すかに焦点を当てている。共創
いうことを理解する必要がある。
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JAPAN MARKETING JOURNAL Vol.33 No.2(2013)
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AMA ─ Journal of Marketing ─ 論文抄訳
これらの知見は企業が広告メディア選択を行
う際にも有用であろう。テレビ CM など一般的
福田 怜生(ふくだ れお)
に,関与が低い視聴環境では,共創広告は,ポ
2011 年 3 月白鴎大学経営学部卒業
ジティブな反応が示されるであろう。2008 年
2013 年 3 月学習院大学院博士前期課程修了
には,ダヴボディーウォッシュが消費者を広告
現在学習院大学院博士後期課程在学中
制作に参与させるコンテストを実施した。ここ
で優勝した CM が実際に放映される際には,広
告は共創参与者によって制作され,コンテスト
で優勝したものであるという簡単な但し書きが
添えられていた。我々の研究結果からこのよう
な手法は非常に効果的であると考えられる。一
方で,共創広告が制作した広告であるという情
報は,ソーシャルメディアや,他のオンライン
ビデオサイト(YouTube など)など,消費者
が情報を精査できるような高関与条件のもとで
は効果的ではないであろう。
また,本研究は,消費者に対し広告制作者と
の類似性を高める情報を提供することが重要で
あることも示した。今日では,マーケターはこ
れらの情報をテレビ広告だけでなく,ソーシャ
ルメディアやオンラインビデオサイトなどを利
用して消費者に伝達することが出来る。
実務上の示唆として,ブランドロイヤルティ
に関する結果も有用である。共創広告に対し,
ブランドロイヤルティの低い消費者は,ネガ
ティブな反応を示すが,ブランドロイヤルティ
の高い消費者は,ポジティブな反応を示す。そ
のため,共創広告は,対象のブランドの成長度
合いに応じて適切に利用しなければならない。
成長したブランドの広告制作に対しては,消費
者を参与させることで,より効率的な広告効果
が期待できると思われる。
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