新しい挑戦に挑もう、日韓! 1.日韓経済関係、現在と未来 1)日韓経済関係の概要 日韓の貿易規模は1965年の韓日貿易協定締結の後, 日韓貿易額は2011年に過去最 大となる1080億ドル(前年比16.8%増)を記録した後、2012年には1031億5900万 ドルに4.5%減少し、2013年には946億9200万ドルと8.2%落ち込むなど3年連続減少 した。2015年に入っても1~2月の韓日貿易額は100億4400万ドルで前年同期比 13.6%減った。 また、韓国の対日本貿易依存度は、1965年の34.5%から2015年1〜4月の7.6%と1/5 の水準に下落した。特に輸出の場合、1965年に2位、2015年には5位に下落したが、 輸入の場合、日本は第2位の輸入相手国を維持している。 1 減少する日本 輸 の商品輸出額 出 の割合 全 体 の 輸 中 出 で 額 の ( 割 2015 年は 億 合 ド 、1 月〜11 ル 月の累計 ) 資料 韓国貿 韓国 易協会 対日貿易赤字は1965年の1億ドルで持続的に拡大し、2010年に361億ドルで、史上 最大を記録した。以来、赤字幅が縮小して、2014年216億ドルを記録し、サウジア ラビア、カタールに次いで第3位の最大の貿易赤字国である。 2)日韓経済関係の未来 日韓貿易不均衡が続くにもかかわらず、2012 年までは日本からの対韓直接投資は急 増した。理由としては、韓国側の積極的な投資誘致と円高により、輸出から現地生 2 産へ移動する動きが広がったことがある。1韓国への直接投資は、韓国が FTA(自由 貿易協定)のハブなので、輸出生産地としての魅力がもう一つの理由である。2しか し、「超円高」の変化と韓国経済の低迷などで韓国への投資メリットが低下して、日 本の対韓投資は、13 年以降減少している。また、最近の日韓関係の悪化も、経済関 係者の懸念となっている。 *駐日韓国企業ビジネス隘路(応答率%) 【円安の影響で採算性の悪化]('13年)73→('14年)61→('15年)57 [日韓政治関係の悪化]('14年)28→('15年)30 *2015年4月、日本のバイヤー266人を対象にしたアンケート調査でも、日韓関係の悪化で韓 国との取引が減少したという回答が46.7%に達し、両国関係の悪化が、実際のビジネスに悪 影響を及ぼしているものと表示された。一方、韓日関係が改善されれば、韓国との取引を拡 大するという回答は64%に達し、両国の関係改善への期待も高いものと表示される。 *韓日国交正常化50年、対日貿易の評価と課題 (2015 韓国貿易協会国際貿易研究院) しかし、アジアの発展とともに、両国の発展のために、両国間の経済協力を拡大し ていく一方で、関係改善のための民間および政府の多角的な努力が必要である。 また、 中国を含む第3の市場の共同進出、モバイル、ヘルスケア、ロボット、航空 宇宙など、両国が比較優位を持っている分野を中心とした将来の産業と新成長分野 での協力強化など進めていく必要がある。3 1 韓日国交正常化50年、対日貿易の評価と課題 2015.6 韓国貿易協会 国際貿易研究院 2 日韓貿易の特徴と韓日FTAに対する示唆 2015 韓国貿易協会 国際貿易研究院 3 日韓貿易の特徴と韓日FTAに対する示唆 2015 韓国貿易協会 国際貿易研究院 3 2. 日韓電子産業に見る比較優位 日本の場合は貿易規模が1990年代以降、継続的に減少しており、特に輸出の分野で 非常に急激な減少を見せ、 電子産業でも減少傾向を見せている。しかし、日本の電 子製品の貿易が世界貿易に占める割合は、輸入部門では低いが、輸出部門では、非 常に高い。これは、韓国に比べて比較優位にあると見ることができるが、最近では 急激な減少*を示している。 *電子産業の輸出が世界貿易に占める比重(日本):1990年20%〜最近5%4 韓国の場合は、全体の貿易量と電子産業貿易のすべてが1990年代以降、日本と比べ て比較的安定した世界貿易の比重*を維持している。 *電子産業の輸出が世界貿易で占める比重(韓国):1990年代以降、最近まで6%を維持5 韓国の電子製品の貿易が世界貿易に占める割合でみると、これは、1990年代には、 日本が韓国に比較優位を占めていたが、最近では、比較優位を失っていると考える ことができる。日本が比較優位を失っている理由には、日本の場合、日本国内に 細 かい産業が数多く存在し、国内競争でかなり疲弊している状態が続いているが、韓 4 韓国家電産業の日中韓国際競争力の比較と政策提言 2015 グォンセフン 韓国経済研 2015 グォンセフン 韓国経済研 究院 5 韓国家電産業の日中韓国際競争力の比較と政策提言 究院 4 国の場合、韓国は通貨危機でIMFが介入した時、国家主導型で国内産業を再編成 し、競争力のある企業に集約化したのが主な理由だと言われている。6 しかし、最近アベノミクスと円安に基づいて価格競争力を再び確保しつつ、製造業 では韓国に脅威となっているが、すでに韓国メーカーが主な生産拠点を海外に移転 して多角化したため、アベノミクスの影響が実際に大きくないとする分析もある。 特に家電業界の場合、日本企業が、基本的に輸出の減少傾向にあり、海外市場でも 主要な日本企業が TV 工場を閉鎖するなどの量的な面で減少傾向が顕著である。* - パナソニック •最近、中国の山東TV工場の生産稼働全面中止 •北米市場の生産拠点であるメキシコ工場も売却方針 - 東芝 •北米地域でTV生産を中止して、代わりに台湾の会社にブランドのライセンスを譲る方針 •インドネシアTV生産工場とエジプトとのTV合弁工場売却方針 •中国での合弁会社設立後、大連工場を停止し、ODM方式で運営するようにする - シャープ •TV部門の営業不振で、中国とマレーシア工場の売却などのリストラ検討 • ヨーロッパで液晶TVを生産していたポーランドの工場売却し、欧州市場から撤退 *韓国家電産業の日中韓国際競争力の比較と政策提言 2015 グォンセフン 韓国経済 研究院 これにより、日本の家電産業は厳しい構造調整を経た後、元の保有していた源泉技 術と高度な技術競争力を持って、高品質と利便性を前面に出して韓国のサムソン電 子などのグローバル企業になることを目的とし、高級家電製品市場を主導しようと する戦略を取るものとみられる。日韓貿易での問題は中国である。 TVとディスプ レイ分野は、現在まで韓国が圧倒的競争力を保有しているが、中国の技術追撃が非 常に速い速度で進んでおり、比較優位の議論は無意味になると思われる。これによ り、韓国と日本は、新興市場への進出を模索して最先端の技術市場にさらに投資す る戦略が必要である。 6 日本はこれから非常に厳しい世の中になっていく 東北経済産業局長の数井寛さんに聞く 5 3. サムソン、LGの躍進と今後の課題 最近の世界経済産業で韓国企業サムソンとLGの躍進が目立っている。特にLED、半 導体、家電製品やスマートフォン業界での発展が目立つ。これと関連し、サムソン とLGの戦略を調べ、今後の課題について考えてみることにする。 第一に、サムソンとLGは、本社中心の戦略の方法がある。本社中心の戦略方法は、 プロジェクトに着手する場合、全ての系列会社の中核人材が、本社に集まってグル ープ戦略を議論する。それ以降、議論された方向に従ってすべての系列会社が本社 のコンセンサスに合わせてすべてのリソースに集中する。またすべての系列会社が 凝集された力でプロジェクトを推進している。一方、ソニーの場合、プロジェクト が決定されると、プロジェクトが決定された分野の子会社の単独プレイをしたこと が不振の理由だと考えられている。7 第二は、刺身理論である。過去ソニーのウォークマンは、若者や文化を象徴する 一つのアイコンとなり、ソニーは革新的な企業で世に名を広めた。しかし、1990年 代後半、デジタル時代に入り、簡単にデジタルで事業分野を移動することができ なかった。ソニーはアナログ時代の名品に未練を置き、デジタル新製品の開発・生 7 LG研究員 ジョボンサン 6 産のタイミングをいつも逃し、高いブランド価値と製品の競争力を信じて孤独な標 準戦争を続けて、携帯電話、MP3プレーヤーなどを過小評価するミスを犯した。8デ ジタル時代はアナログ時代とは異なり、技術力の差よりも重要なのは速度となった。 サムソン電子は、人より一足先に新型半導体と携帯電話を開発し、市場を支配する 戦略をとった。競合他社よりも性能が進んだ製品を出して価格プレミアムを享受し、 競合社が追いかけてくると、より迅速にアップグレードされた製品を開発した。こ れはユン・ジョンヨン(前サムソン電子副会長)の刺身理論だった。すなわち、”い くら高価な刺身も一日二日経つと価格が下がる。刺身やデジタル電子メーカーの在 庫は致命的である。速度がすべてだ。-2004年 " 最後に、徹底した現地化のマーケティング戦略である。特にLGの現地化マーケテ ィング戦略が目立つ。インドで、LGは、生産、マーケティングのすべての法人に地 元人を配置して、サムソンと一緒にインドの家電製品企業では、1位を記録した。ま た、インドネシアでは、デング熱の主犯である蚊を狙うエアコンを披露し、結婚す るときに持ちたいと思う品の1位となった。9ロシアは最近、継続的に経済危機を経 験しており、多くの外国企業が続々と撤退した。しかし、サムソンとLGは、ロシア 現地に継続的に広報とスポンサーをして、最終的に撤退していなかった。 10現在は、 ロシアで国民的企業として考えられている。また、LGのアフリカ、中南米などの寄 付を通したイメージのマーケティングは効果的だと評価されている。 8 ソニー押しサムソン、より大きな敵会う 2010.10 ハンギョレ 9 東南アジアでも日本を圧倒した韓国の家電....シェア1位の半分がサムソン•LG 2015.11 韓国経済 10 LG研究員 ジョボンサン 7 * LG電子は、2009年にインドネシアでデング熱蚊退治エアコンである「ターミネーター」を発売 しかし、企業の世界で永遠の1位はない。ソニーがそうだったように、今、サムソン 電子とLGは、アップル、中国企業から激しい挑戦を受けている。サムソンは、過去 20年以上にわたり、源泉技術がなくても、先行投資と迅速な意思決定に、半導体、L CDに世界シェア1位を占めた。しかし、AppleがiPod、iPhoneを披露しながらパラ ダイム自体を変えており、シャオミやハイアールは価格競争力で挑戦している。こ の時点で、サムソンとLGに必要なのは、市場をリードする革新的な、つまりアイデ アと創造性を加えたスピードである。もしこれ以上の技術革新を成し遂げなければ 後発走者に追いつかれるのは時間の問題であろう。 出所:http://www.mi.com/ 出所 :マチン ハエク ホームページ 朴智賢 Global Leadership Institute University of California, San Diego 8 [参考と引用] l 韓日国交正常化50年、対日貿易の評価と課題 2015.6 韓国貿易協会 国際貿易研究院 l ソニー押しサムソン、より大きな敵会う 2010.10 ハンギョレ l 経済から見た日韓関係の現在と今後 - 向山英彦 日本総合研究所調査部シニア主任 研究員 l 東南アジアでも日本を圧倒した韓国の家電....シェア1位の半分がサムソン•LG 2015. 11 韓国経済 l 文化コンテンツ産業の輸出産業化のための政策課題 2015.7 韓国貿易協会 国際貿 易研究院 l 日韓貿易の特徴と韓日FTAに対する示唆 2015 韓国貿易協会 国際貿易研究院 l クールジャパン戦略への処方箋 2013 公益社団法人 日本経済研究センター l 韓国家電産業の日中韓国際競争力の比較と政策提言 2015 グォンセフン 韓国経済研究院 l 日本「衰退」、中国「向上」、韓国「現状維持」・・・家電の技術力、差は縮 小傾向=韓国華字メディア 2015.7 韓国メディア・亜洲経済の中国語版 l 日本はこれから非常に厳しい世の中になっていく 東北経済産業局長の数井 寛さんに聞く 9
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