弱 Q25 視 弱視児が文字を読むためには、どのような方法が有効ですか。 弱視児は、視力や視野の広がりの程度、まぶしさの有無や程度など、その見え方には著しい 個人差があります。したがって弱視児のこうした見え方を理解することは、弱視児の文字指導 (読み・書きなど)を進めていく上においても大切なことです。 1 児童生徒の見え方の実態を知る 児童生徒の見え方は一人一人違います。視力や眼疾・見え方などを正確に把握し、最も見や すい文字の大きさや字体、行間や文字間、また縦書き、横書きによる見え方の違いなどを知る ことが大切です。そして、一人一人の見え方に応じた指導を行うことが重要であり、こうした 配慮が、児童生徒一人一人の「見る意欲 」「見る力」を育てていきます。 2 個に応じた学習環境の整備 (1) 教材 視力や視野に応じて、文字の拡大率や行、文字の間隔を選択します。行間や文字間が狭い と「字詰まり」になり、読みの効率が低下します。逆に広いと視野が狭い場合には能率が低 下します。児童生徒の見え方の実態をよく理解し、最も読みやすい最適文字サイズ等を一人 一人決めていくことが大切です。 また教材提示の際、弱視児が「部分と全体の関係把握が困難」であることを考え、眼を動 かす順番を整理した教材や「 縮小図と拡大図 」の使い分けで学習効率を高めるようにします 。 (2) 学習環境 Q23参照 弱視レンズや拡大読書器、あるいは斜面机や書見台の使用、照明やコントラストの調整な どを行うことが大切です。 3 文字の認知力 弱視児は細部の見分けが困難であるため 、「は→ほ 」「る→ろ 」「め→あ」や「文→丈 」「脊 →有」などの似通った文字はよく読み誤ります。これらの誤読は、文字の字形などを正確に把 握できる力(文字の認知力)を向上させることによって改善できます。文字の認知力を高める ためには、文字に見慣れる、読み慣れる、使い慣れることが大切です。フラッシュカードを使 ったり、繰り返し書いたりすることは効果的です。また、弱視レンズや弱視用拡大読書器の使 い方(ピントの合わせ方、レンズの動かし方など)に習熟することによって見えにくさが改善 され、文字の認知力を高めることができます。 4 「速さ」より「正確さ」を 読みの「速さ」については、弱視児の場合、小学校の中学年でも1分間で100文字以上読め なければ、学習の効率はよくないといわれています。しかし、読みの学習においては 、「速く 読む」より「正確に読む」を中心に指導していきたいものです。読みの正確さがある程度まで に達してきた段階で 、「速さ」をねらいとする方法がより効果的です。読みの速度が増してく ると読解力もついてきます。また、漢字指導においては、学習する漢字の数にこだわらず、一 字一字に十分な時間をかけて「正確に読む」指導を徹底していきたいものです。 5 音読 詩や短歌・俳句あるいは古文などの教材については、音読しながら暗記する時間を多く設定 し、言葉の一つ一つを耳から入れることも言葉を理解したり、確かな読みを育てたりする上に おいて効果的な方法です。韻文や古文には一定の快いリズムがあるため、児童生徒は楽しみな がら暗記していきます。さらに、音読から朗読の学習にまで発展させていけば言葉の理解はよ り一層広がり、深められていくことが期待できます。 -1-
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